この記事は
初出:2015年3月13日
修正:2017年7月30日

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『低反発と高反発のマットレス、一体どちらが良いの?』
というご質問を最近よく受けます。


ただ実際のところ、
このご質問に対して一言でお答えすることは不可能です。

そもそも『低反発』『高反発』という言葉の定義だけで、
良し悪しを決めることはできません。
今回はその辺りについて書いてみたいと思います。



1)低反発マットレスの謳い文句は『体圧分散性に優れること』
2)高反発マットレスの謳い文句は『寝返りの打ちやすさ』

確かにどちらも概ねその通りです。

そして『体圧分散』『寝返りの打ちやすさ』はどちらも
『質の良い睡眠を取るため』あるいは『良い寝姿勢を実現するため』
に必要不可欠な要素です。

しかしながら
『体圧分散』と『寝返りの打ちやすさ』は
ややもすると相反しがちな要素である事は意外と知られていません。

一般論として
柔らかめのマットレスは『体圧分散』に優れ
硬めのマットレスは『寝返りが打ちやすい』傾向にあります。


ですからマットレスを選ぶ際には
『体圧分散』と『寝返りの打ちやすさ』の
バランスを見極めることが重要となります。





せっかくですので
『体圧分散』
『寝返りの打ちやすさ』
について少し詳しくご説明してみます。





『体圧分散』とは
『睡眠時(寝姿勢)において、
身体と敷き寝具と接触する面の一部に圧力が集中することなく、
接触面全体に均等に圧力が掛かっている状態』
と定義されます。
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例えば図のような木の板を床面に置いたとします。
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この時、木の板と床面が接触している部分に掛かる圧力を
測定したとすれば均等です。
何故なら接触面がフラットだからです。

しかしながら人の身体はそうではありません。

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ご存じの通り私たち人間の脊椎には『S字カーブ』があります。

このS字カーブは、
直立歩行によって生じる脊椎に対する負担を和らげるために
必要不可欠なものです。

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四足の動物、例えば犬や猫の脊椎には
S字カーブはありません。

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また人間の場合でも、
産まれたての赤ちゃんは脊椎のS字カーブがなく、
立ち上がるようになる過程でやがてS字カーブが形成されるとか。


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直立歩行のために必要な脊椎のS字カーブですが、
これが睡眠時には却って体圧分散の妨げになっているという事実は興味深いですね。


硬いマットレスであるとか、せんべいふとんで寝た場合、
背中やお尻の凸部分に体圧が集中します。
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体圧が集中する部分の血流が妨げられ、違和感を感じます。
そのため寝返りの回数が増え、睡眠の質の低下につながります。



その点『低反発マットレス』を用いたら、
確かに背中のS字カーブは隙間なく埋まります。
柔らかい敷き布団1

ただ低反発のマットレスを用いた場合主として2つの問題が生じます。
(低反発マットレスに限らず、柔らかすぎる敷き寝具を使った場合も同様です)


 愎搬里猟世濆み』
もちろんマットレスの柔らかさの度合いと
使用者の体重の兼ね合いがありますが、
最も重い胴体部分が過度に沈み『く』の字型になってしまいます。
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これは特に腰の悪い人にとっては最悪の状態と言えるでしょう。


仰向き寝がしんどいので横向き寝が増える、
あるいは仰向きで寝た場合、
朝起きたら腰が伸ばせないという状態になってしまいます。


そして
◆愎科屬蠅打ちにくいこと』

それでは、
寝返りが打ちにくいと、どのような弊害が生じるかをご説明します。



『寝返り』の役割は主として次の2つが挙げられます。

”澆寝具と接触している部位で滞りがちな血流を
接触部位を替えることで促進する。

⊃仮夏癲特に敷き寝具と接触している部位に
こもる熱や湿気を循環させることで寝庄内の環境を快適に保つ。


そもそも睡眠時の寝返りは無意識の現象です。

当店に来られるお客様の中に
『私は寝返りはまったく打ちません』という人がおられますが、
おそらくそれはご本人が自覚していないだけで、
実際には寝返りを打っているはずです。

一説によると私たちは
一晩のうちに平均して約20回寝返りを打っているとか。


『ずっと動き回っている』事は
もちろん疲労の蓄積につながります。
しかしながらその反対に
『まったく動かずじっとしている』のも身体にとっては大きな負担になります。


身近な例でご説明しますと、
長時間正座をしていると足がしびれます。


また『エコノミー症候群』という言葉を耳にしたことがあると思います。
飛行機の狭いシートで長時間動かずにじっとしていることで、
体内の血流が妨げられり、血栓が形成され、
場合によって生命の危険につながる事もあるとか。


ちなみに先日
私の母親が大きな手術をしたのですが、
手術の終了後、脚の下にバイブレーターが置かれていました。
手術の後まったく動けない為、血栓が出来やすいのだそうで、
それを防止する事が目的だそうです。
そして手術の翌日には
『手術の痕が痛いとは思いますが、出来るだけ体を動かして(寝返りして)ください。』
という指導を受けていました。


さらには寝返りと直接関係のある重篤な例としては
『褥瘡』いわゆる『床ずれ』が挙げられます。

高齢者で、身体(筋力)が弱ったことにより、寝返りが打てなくなり、
敷き寝具と接触している時間の長い、
なおかつ身体の中で最も重い臀部(お尻)の組織が壊死してしまう状態です。


これらの例からも『動かずじっとしている』事、
睡眠時に限って言えば『寝返りの打てない』事が、
いかに私たちの身体に負担が掛かるかをご理解いただけると思います。


先ほどご説明した通り高齢者は寝返りを打てません。
さらには赤ちゃんも同様に寝返りを打てません。
何故なら筋力が弱いからです。
裏を返せば寝返りを打つためには
相応の筋力が必要になるという事です。


この時に重要になってくるのが敷き寝具の反発力です。

低反発マットレスの場合、
文字通り反発力が極めて弱い・・・というよりも、
寝返りしようとする力をむしろ吸収、軽減してしまうので
寝返りが非常に打ちにくいのです。

実際低反発のマットレスを使った方の声としては以下のような
『自分の身体の形に埋まってしまう。』
『寝返りを打つたびに“よっこいしょ”と踏ん張らないといけない』
『寝返りのたびに眠りが浅くなる。目が覚める。』


低反発マットレスを使っておられる方の中で、
『気持ち良く眠っている』という人ももちろんおられるので、
全員が上記のような感想を持っているワケではありませんが、
寝返りの打ちやすさが低下するというのは、
間違いない部分だと思います。



健常者が低反発のマットレスを用いた場合、
さすがに寝返りが打てないという事はありませんが、
(無意識のうちに)寝返りの回数が減る、
寝返りのたびに眠りが浅くなる(場合によっては覚醒する)
といった弊害が起こるのです。

特に腰が悪くて体重の重い人が低反発マットレスを用いた場合、
先ほど述べた理由で仰向きで寝ると腰に非常に負担が掛かるので、
必然的に横向き寝が増えます。
なおかつ寝返りが打ちにくいので、
横向きでじっとした寝姿勢を取りがちで、
朝起きた時『しんどい(-_-;)』という事になってしまいます。



ここでようやく『高反発マットレス』の登場です。


『高反発のマットレス』の場合、
『反発力が高いことにより寝返りをサポートしてくれる』というのが
『高反発マットレス』の販売側が最大限にアピールするポイントです。

そして『高反発=寝返りが打ちやすい』というのは
一般論としては、ほぼ正しいと思います。


では
『低反発マットレス』VS『高反発マットレス』の対決
『高反発マットレス』の勝ち・・・かというと
一概にそうとも言い切れません。


ここで皆様に知っておいて頂きたいポイントは、
世の中に出回っている高反発を謳うマットレスの多くは、
寝心地が『硬い』ものが多いという事です。

つまりその分、体圧分散性に劣ることになります。
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冒頭で申し上げた
マットレスを選ぶ際には
『体圧分散』と『寝返りの打ちやすさ』の
バランスを見極めることが重要となります・・・というのは
まさにこういった事を意味しているのです。


仕事柄いろいろなマットレスのカタログやホームページを見ますが、
自社商品に都合の良い記述のみがなされている場合が多い印象を受けます。
ですからその記述のみを信じて
消費者の方々がご購入されたとしても、
『こんなはずじゃなかった』となってしまう場合も多いのではないでしょうか。


ですからマットレスを選ぶ際には、
実際に体感して選ぶことをお勧めします。

繰り返しになりますが、
『低反発』『高反発』といった言葉だけを鵜呑みにして
マットレスを選ぶのは失敗の元です。

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