市内を観光後、郊外にある遼寧省博物館へ。市内からはバスで行く方法もありますが、今回は地下鉄、路面電車を利用。「世纪大厦」で有轨电车3号線に乗り換え、「和鸿广场」で降りて徒歩5分くらいで博物館が見えてきますが、観客の入口は西口のみなので、西側に回ります。ちなみに入館料は無料!
1階入口左側に無料コインロッカーがあり、大きな荷物は預かってもらうこともできます。
その先にミュージアムショップがあり、遼寧省博物館の収蔵品カタログは日本語版もあったので購入。ちなみに中国語版は売り切れとか。
1階の右手奥にレストランもあり、昼は14時までランチもいただけます。
これで20元、すごいボリュームです!
博物館では各階に無料で水、お湯が飲めるよう給水タンクが置かれています。紙コップもあり、とても便利です。館内には他にも有料でジュースやコーヒーが飲める場所があります。
遼寧省博物館は数々の歴代の絵画芸術品を収蔵しています。これは末代皇帝溥儀が日本に逃亡しようとして捕まり、その時持っていた重要な書画100余点を受け入れ、さらに民間に流出した清朝宮殿にあった書画を収集することができたからだそうです。
それでは、いよいよ博物館の展示へ。平日ということもあり、かなりすいていて、ゆっくり見ることができました。ちなみになんと全て写真撮影OKです。※以下の書画の写真は原則部分のみです。
宋辽金绘画
瑞鹤图卷 宋代 赵佶(徽宗皇帝)
徽宗皇帝の絵画の才能を遺憾なく発揮した作品がこの「瑞鶴図巻」です。この絵は清朝のときは北京の故宮にあったのですが,ラストエンペラー溥儀により故宮から持ち出され、日本の敗戦による満州国の瓦解後、遼寧省博物館に収蔵されることになりました。
清晓觚棱拂彩霓,仙禽告瑞忽来仪。
飘飘元是三山侣,两两还呈千岁姿。
似拟碧鸾栖宝阁,岂同赤雁集天池。
徘徊嘹唳当丹阙,故使憧憧庶俗知。
絵の横に、徽宗皇帝自ら絵が制作された経緯を痩金体で記した題記があります。
「政和壬辰」政和二年(1112)の「上元」旧暦一月十五日、いわゆる元宵節の日、その「次夕」十六日の晩、突然めでたい雲がもくもくと湧き上がり、宮殿の正門たる宣徳門に垂れこめてきた。民衆が皆これを仰ぎ見ると、一群の鶴が空中を飛び鳴きかわし、さらに二羽の鶴が屋根の鴟尾の両端に向き合ってとまり、とてものんびりした風情である。ほかの鶴たちはみな空を飛翔し、リズムにあわせるかのよう。来あわせた民衆は皆足をとめ、遥拝し、長い間感嘆していた。鶴たちは時間がたっても飛散しなかった。そのうち連なって西北のかなたに飛翔し散らばった。朕はこの瑞祥に感じいったので、詩を作って事実を記録しておく。
それでは瑞鶴図は皇帝の期待通りに北宋に祥瑞をもたらし、国を守ってくれたのでしょうか。
この絵から15年後の西暦1127年、北宋の首都、汴京(現河南省開封市)は金軍の攻撃により陥落し、繁栄を誇った北宋は滅亡します。徽宗皇帝とその息子欽宗皇帝は、ハルピンよりさらに北の五国城に捕虜として連れ去られ幽閉されました。晩年は失明していたともいわれています。北宋滅亡後の8年後、徽宗皇帝は53歳で亡くなりますが、この北の地で宣徳門の上空を舞う美しい鶴の姿を思い出すことはあったのでしょうか。
清明上河图卷 明代 仇英
張択端作「清明上河図」は、北宋の都・開封(かいほう)(現在の河南省開封市)の光景を描いたもので、北宋文化の絶頂期・徽宗皇帝のために描かれたとされ、中国が誇る至宝といわれています。2015年北京故宮で公開されたときは8時間並んでようやく見ることができました。 →(参考) 2015北京で「清明上河図」を見る
後世にもたくさんの模本が作られましたが、今回展示の仇英作は、張択端作をベースに明代の蘇州の風景に置き換えて描かれています。
清代绘画
南山积翠图轴 清 王时敏
四王全ての作品が展示されています。
姑苏繁华图卷 清代 徐扬
乾隆帝が愛した蘇州の街並みを描かせたもの。
絵画だけでかなり時間がかかったので、他の展示は駆け足で。同じ3階の書、刺繍のコーナーも見ごたえがあり、遼寧省の歴史、満州族の歴史のコーナーも興味深く拝見しました。
古代书法展
唐欧阳询行书仲尼梦奠帖卷
宋赵佶草书千字文(徽宗皇帝の珍しい草書体の書)
宋欧阳修行书诗文稿卷
南宋赵构章草洛神赋卷(南宋の高宗の書)
元赵孟頫般若波罗密多心经
会場風景
古代缂丝刺绣展
超絶技巧といえる素晴らしい作品揃い。近くで見ても刺繍とわからないほどのものもあります。特に北宋、元は見ごたえがあります。中国の刺繍の長い歴史を感じました。
仏像
銅鏡
満族民族展
満州族の生活、風俗の復元模型が多く展示されています。
辽金时期展(遼、金時代の展示)
全部きちんと見るのは2日くらいかかりそうです。
博物館入館は16時まで、各部屋は当日は16時45分に閉場し、17時に閉館で、館を退出しなければなりません。11月からは時間が変わりますのでご注意ください。ミュージアムショップも16時には閉まるようです。
帰りも路面電車で。
夕食は東北名物の餃子の店へ。餃子は手づくりで、実際に作っている様子を見ることができます。1皿9元~24元とリーズナブル。とても美味しかったです。
瀋陽の印象は、夏は意外と暑いということ。日本とほとんど変わりません。ただし朝晩はかなり気温が下がります。冬の最低気温はマイナス20度ぐらいのようなので、来るなら春秋がいいですね。
見どころが多く、次回はもっとゆっくり来て観光もしたいと思います。
帰りは、中国南方航空で、08:25 シンヨウ(瀋陽)/瀋陽桃仙国際空港 (SHE) 発、12:25 東京/成田空港 (NRT) 着。