December 08, 2014
ヴィン・サントとの新たな"出会い”

「食後はこれを味わってもらいたくて。ここはフィレンツェ。トスカーナ州ですからね、やっぱりこれなのよ。ご存じかしら?」
昔むかし、はじめてデメオ家の夕食に招いていただいた時です。食後に出てきたのは、琥珀色の液体が入ったボトルと、アーモンドが入ったビスケットでした。ビスケットは知っていたし、食べたこともありました。でもまだまだその頃はイタリア通い初心者だった私は、この琥珀色の正体は知らなかったし、この2つの関係!も知らなかったのです。
「このグラスに入れるわね」とマルチェラさん。いたづらっぽい笑みを浮かべて横から、「ひといきに飲むのが作法なんだよイッコ」とご主人のジョルジョさん。「ジョルジョ!」とご主人をたしなめてから、二人で説明してくれたのは、これがヴィン・サントというワインの一種で、デザートワインなのだということ、ビスコッティをこのワインに浸してから食べるのがトスカーナ流、ということでした。お二人は食事の最初に、キアンティの赤ワインを用意してくださっていたのですが、このヴィン・サントも同じキアンティの伝統ワインのひとつなのだ、と、ボトルの文字を見せてくれました。
これが私とヴィン・サントの出会い。ビスコッティをつけると、強い香りがたちのぼり、鮮やかでシャープな甘味がビスコッティにアクセントを与えてくれて・・確かにこうして食べるべき!と思える味で、すぐに好きになりました。
収穫後ゆっくり、棚に並べて干して乾燥させること、糖分が高くなった果汁をゆっくり発酵させ、そして熟成させることで生まれる甘味と味わい。ビスコッティは作り方を教わり、自分でもよく作るようになりましたがヴィン・サントは作れない! というわけでヴィン・サントは、トスカーナで買って持ち帰ったり、日本でも手に入れば買って、家に置いておくようになりました。トスカーナを訪れるとイタリア人の友人宅をあちこち訪ねることにもなるのですが、ヴィン・サントが登場することも多いのです。もちろんビスコッティがない時でも。ほんのひと口、飲むことで気持ちがほぐれるのです。
こんなふうに、ヴィン・サントとは長いおつきあいなのですが、ヴィン・サントを8種類もテイスティングしたのは、ついこの間がはじめてでした。キアンティワイン協会主催の、ヴィン・サントワインセミナーです。イタリアン・プロフェッショナル・ソムリエでイタリアワインの生き字引でいらっしゃる林茂先生のレクチャーとテイスティング。ひとりひとりの席にワイングラスが8脚、きれいに並ぶさまは普通のワインのテイスティングと同じですが、注がれるのは、琥珀色の液体。
甘味が強く酸味をあまり感じないタイプから、フレッシュ感が強く酸味もほどよいもの、酸味はあるが甘味のまろやかさがすばらしいもの、酸味とスパイシー感がある辛口のもの。もちろん色も明るい黄色に近いものから、濃いアンバー、薄めの琥珀色・・・1種類だけ飲んでいる時にはわからなかったバラエティ豊かな世界が驚きでした。
同じキアンティのものでもいわゆる「キアンティワイン」(サンジョヴェーゼ種主体の赤ワイン)は、いろいろなワイナリーのものを飲み比べ、自分なりに好きなものもあるのですが、ヴィン・サントにこれほどの違いがあるとは、豊かな味と香りの世界が広がっているとは! それもそのはずで、1本1本、使われている葡萄の種類、比率も違えば、熟成に使われる樽の種類、瓶内熟成の年数も違うのでした。
ヴィン・サントと合わせた前菜「フォアグラと三笠奈良漬けのマルブレ模様 真紅のポルト酒風味」、そしてビスコッティに白ワインジュレやフロマージュクリームをあしらったドルチェも新鮮でした。拙著「和イタリアンのレシピノート」等、日頃から和の食材を使ったイタリアンのレシピもたくさん作っている私なので、ヴィンサントに合う前菜も、早速考えて、作ってみたいと心が躍ります。
まずはとにかく、美味しいヴィン・サントを改めてじっくり調べて買い求め、家でゆっくり味わって飲むしかありません。考えてみれば、マルチェラさんご夫婦と一緒に初めてヴィン・サントを飲んだ時は、時間はゆっくり流れ、ゆっくり食後のお喋りを楽しんだのでした。二十年経ち、85歳になったマルチェラさんのお宅へは、今もフィレンツェに行くたびに訪れお喋りに花を咲かせます。マルチェラさんのお宅のイタリアらしい天井の高さやお部屋の広さには遠く遠く及ばなくても、気持ちはゆったりと、ヴィンサントを楽しむひとときを、大事にしたいと思うのです。





初めて訪れた時と変わらぬたたずまいの、マルチェラさん宅
November 30, 2014
イカづくしのイタリアン
この週末が、このコラムの「下高井戸の魚屋さん」10周年でした。おや、もう。
イカスミのリゾット、イカスミのパスタ、どちらも私は「セピア」で作ることが殆どです。
イカスミ料理といえば、食べ物と思えない「真っ黒」と思われていて、意外性の魅力ではありますが、トマトとの合体のほうがなじむ味。お試しください。

下高井戸の魚屋さんが開店7周年記念、函館の新鮮そうなイカの安売りをしていたので、2ハイ購入、夕食はイカづくしイタリアンにしました。写真の1品は、その3品目、です。
1品目は、イカのリゾット「イカセピアのリゾット」にしました。
イカスミじゃなく、です。
イカスミのリゾットって、「真っ黒」と思っている人が多いです。ヴェネツィアではほんとに真っ黒が主流です。でも、トスカーナでは、トマト煮込みにイカスミを投入した、「焦げ茶色」のリゾットも作ります。イカスミといえどもいろいろなのです。今日は、食べる人に、以前ヴェネツィアで真っ黒リゾットを食べた時の印象がいまいちだった、という人が1名いたので、イカスミを少なくして(トマトは入れず)薄いセピア色のリゾットにしたのです。(ごめんなさい、写真がなくて)
ニンニク、玉ネギを炒め、刻んだイカを炒め、白ワインを加え、それから米とスープを入れ、途中でオリーブオイルと白ワインに溶いたイカスミを投入、全量入れずにひきあげると、ちょうどよい感じに。パセリも入れてあっさり味です。
2品目はイカのトマトソースパスタ。スミは入れません。、イカを炒めて白ワイン、までは一度に作り、そこで2つに分けて、トマトソース行きと、リゾット行きに分けたのです。
で、3品目。これは、「写真の色が悪いのかな。トマト煮でしょ」と思われそうなんですが、イカのワタトマト炒めです。リゾットとパスタに使った残りのゲソ中心で、オリーブオイルで炒め、白ワインとワタを入れてさっと和え炒め、トマト水煮とたっぷりのパセリを入れて軽く煮ただけ。5分で出来上がりです。
もちろんワインに合います。でもワインを飲まない子どももお皿を独占する勢いで食べてました。
もともと、和風でもネギをたっぷり入れたワタ焼き、好きでよく作るのですが、トマトとの相性もいいのです。ワタを入れると、白もいいけど、辛口のロゼもいいな、と想像しました♪
イカスミのリゾット、イカスミのパスタ、どちらも私は「セピア」で作ることが殆どです。
イカスミ料理といえば、食べ物と思えない「真っ黒」と思われていて、意外性の魅力ではありますが、トマトとの合体のほうがなじむ味。お試しください。

下高井戸の魚屋さんが開店7周年記念、函館の新鮮そうなイカの安売りをしていたので、2ハイ購入、夕食はイカづくしイタリアンにしました。写真の1品は、その3品目、です。
1品目は、イカのリゾット「イカセピアのリゾット」にしました。
イカスミじゃなく、です。
イカスミのリゾットって、「真っ黒」と思っている人が多いです。ヴェネツィアではほんとに真っ黒が主流です。でも、トスカーナでは、トマト煮込みにイカスミを投入した、「焦げ茶色」のリゾットも作ります。イカスミといえどもいろいろなのです。今日は、食べる人に、以前ヴェネツィアで真っ黒リゾットを食べた時の印象がいまいちだった、という人が1名いたので、イカスミを少なくして(トマトは入れず)薄いセピア色のリゾットにしたのです。(ごめんなさい、写真がなくて)
ニンニク、玉ネギを炒め、刻んだイカを炒め、白ワインを加え、それから米とスープを入れ、途中でオリーブオイルと白ワインに溶いたイカスミを投入、全量入れずにひきあげると、ちょうどよい感じに。パセリも入れてあっさり味です。
2品目はイカのトマトソースパスタ。スミは入れません。、イカを炒めて白ワイン、までは一度に作り、そこで2つに分けて、トマトソース行きと、リゾット行きに分けたのです。
で、3品目。これは、「写真の色が悪いのかな。トマト煮でしょ」と思われそうなんですが、イカのワタトマト炒めです。リゾットとパスタに使った残りのゲソ中心で、オリーブオイルで炒め、白ワインとワタを入れてさっと和え炒め、トマト水煮とたっぷりのパセリを入れて軽く煮ただけ。5分で出来上がりです。
もちろんワインに合います。でもワインを飲まない子どももお皿を独占する勢いで食べてました。
もともと、和風でもネギをたっぷり入れたワタ焼き、好きでよく作るのですが、トマトとの相性もいいのです。ワタを入れると、白もいいけど、辛口のロゼもいいな、と想像しました♪
November 08, 2014
エスプレッソとお砂糖の深い関係
よく「イタリア人はお砂糖たくさん入れるんですってね」と聞かれます。「私は(ぼくは)コーヒーはブラックですよ」と続くことも多いのです。が。
私も、「コーヒー」(カップになみなみそそがれたドリップコーヒー)は、ブラックに限ると今でも思っていますし、お砂糖、入れません。
でも、エスプレッソにはお砂糖を必ず入れます。
同じ「コーヒーの一種」ながら、そこには大きな違いがあるのです。
エスプレッソの話を少々どうぞ。
**********
イタリアの石畳の道は、歩いていると足もとから冷えてくる感覚がある。歩き疲れたり、寒くなると、バールに入る。
そんなとき、「コーヒーを体があったまるようにごくごく飲む」というのはイタリアではありえなくて、ごくごくとあたたかいものを飲みたいなら、カップッチーノcappuccinoということになる。こまかい泡が口にあたるやさしい感触が嬉しく、からだもあたたまる。
でも、ちょっとここらでシャキっとして、また歩こう、どこかに行こう、という時なら、カフェcaffe = エスプレッソ。
リキュールのごとく、ここまで少ない?とあきれたくなるくらいの少ない量の苦く濃いエスプレッソには、砂糖が必須。イタリアへ行くまで、ふつうのブラックコーヒーに砂糖を入れるなど思いもよらなかった私は、2度目のイタリアで、イタリア人とバールに行き、砂糖を入れずにさっさとエスプレッソを飲んで驚かれたことがある。
「え〜〜イッコ、お砂糖入れないの? ものすごくコーヒーの味が好きなんだねえ」たぶん本当はかなり呆れていたのだと思う。
その後、イタリアのバールで家庭で数え切れないくらいエスプレッソを飲んで、お砂糖が、エスプレッソの濃さと苦さを心地よくしてくれ、「キュッと一杯、元気を出す」ためのリキュール的な役割に変えてくれる、必須のものだと気づいていったのである。甘くなることでバランスがとれるのだ。お砂糖ナシは、天秤ばかりが片方にストンと落ちているようなイメージ。
今は、家でも、エスプレッソならお砂糖しっかり、「飲む」ためのコーヒーはブラックお砂糖ゼロで飲んでいる。イタリアンの夕食のあとは、やっぱりエスプレッソである。
私も、「コーヒー」(カップになみなみそそがれたドリップコーヒー)は、ブラックに限ると今でも思っていますし、お砂糖、入れません。
でも、エスプレッソにはお砂糖を必ず入れます。
同じ「コーヒーの一種」ながら、そこには大きな違いがあるのです。
エスプレッソの話を少々どうぞ。
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イタリアの石畳の道は、歩いていると足もとから冷えてくる感覚がある。歩き疲れたり、寒くなると、バールに入る。
そんなとき、「コーヒーを体があったまるようにごくごく飲む」というのはイタリアではありえなくて、ごくごくとあたたかいものを飲みたいなら、カップッチーノcappuccinoということになる。こまかい泡が口にあたるやさしい感触が嬉しく、からだもあたたまる。
でも、ちょっとここらでシャキっとして、また歩こう、どこかに行こう、という時なら、カフェcaffe = エスプレッソ。
リキュールのごとく、ここまで少ない?とあきれたくなるくらいの少ない量の苦く濃いエスプレッソには、砂糖が必須。イタリアへ行くまで、ふつうのブラックコーヒーに砂糖を入れるなど思いもよらなかった私は、2度目のイタリアで、イタリア人とバールに行き、砂糖を入れずにさっさとエスプレッソを飲んで驚かれたことがある。
「え〜〜イッコ、お砂糖入れないの? ものすごくコーヒーの味が好きなんだねえ」たぶん本当はかなり呆れていたのだと思う。
その後、イタリアのバールで家庭で数え切れないくらいエスプレッソを飲んで、お砂糖が、エスプレッソの濃さと苦さを心地よくしてくれ、「キュッと一杯、元気を出す」ためのリキュール的な役割に変えてくれる、必須のものだと気づいていったのである。甘くなることでバランスがとれるのだ。お砂糖ナシは、天秤ばかりが片方にストンと落ちているようなイメージ。
今は、家でも、エスプレッソならお砂糖しっかり、「飲む」ためのコーヒーはブラックお砂糖ゼロで飲んでいる。イタリアンの夕食のあとは、やっぱりエスプレッソである。
August 23, 2014
イタリアのアイスティー
暑いときの飲み物は、日本では(店では)アイスコーヒー、アイスティー、アイスオレあたりでしょうか。氷をたっぷり入れて(多すぎるくらい)「ごくごくとたくさん」飲めるのが「あたりまえ」です。
ところが、イタリアのバールでは、「アイスコーヒー」はかなりマイナーな存在。コーヒー=エスプレッソのイタリアでは、それをアイスにすると言われてもピンと来ないのです。
何しろエスプレッソは、キュっと一杯ひっかける、に近い、ほんの少量のとろり濃い飲み物だから。これをそのままさましても「アイスコーヒー」ではないし、そもそも美味しくない。だからこれを氷で割ったり、リキュールを入れたり、するわけですが、エスプレッソのうまさとは全く別もの。店によって当たり外れも激しいし、選ばれることが少ない飲み物です。・・・とはいえ、最近いつもイタリアへ冬に行っているので、変わっているかもしれないけれど。
イタリアのバールでの夏の飲み物は、そのかわりに、熱い飲み物としては不人気の紅茶が、一転して人気ドリンクになります。バールでも、夏は注文のトップ。2年前に急死してしまった大切なイタリアの友人と、その奥さんと初めて会ったのは、ピサのバールで、「暑いですね〜やっぱりアイスティー(テフレッドかな」と三人で注文したのを鮮やかに覚えています。
イタリアの正統派アイスティーは、しっかり甘く、しっかりレモンの味もするさわやかな飲み物。こればっかりは、レモンもぎゅうぎゅうとたくさん、砂糖もざんざんたくさん、がいい。私は、砂糖はグラニュー糖を少々にして、はちみつを多めにしている。ほんとにすっきり、一瞬気温が下がる気がするアイスレモンティー(te’ freddo al limone=テ フレッド アル リモーネ)は日本の初夏にも夏にも残暑にもおすすめ。8.23
イタリアン・アイスレモンティのつくりかた
1・熱湯で紅茶をかなり濃く400CCつくる。
2・グラニュー糖を15g、はちみつを20g入れてかきまぜる。
3・氷を200gぶん入れる。
4・レモンをギュウギュウ搾って小さいので1/2個ぶんくらい入れる。
はちみつや砂糖の量はお好みで。ええ!こんなにいれるの?と思うくらいでちょうどいいので、最初はだまされたと思ってください。濃い目の紅茶がレモンで薄まってこんな色。

(モト記事は2007/7 大幅加筆修正)
ところが、イタリアのバールでは、「アイスコーヒー」はかなりマイナーな存在。コーヒー=エスプレッソのイタリアでは、それをアイスにすると言われてもピンと来ないのです。
何しろエスプレッソは、キュっと一杯ひっかける、に近い、ほんの少量のとろり濃い飲み物だから。これをそのままさましても「アイスコーヒー」ではないし、そもそも美味しくない。だからこれを氷で割ったり、リキュールを入れたり、するわけですが、エスプレッソのうまさとは全く別もの。店によって当たり外れも激しいし、選ばれることが少ない飲み物です。・・・とはいえ、最近いつもイタリアへ冬に行っているので、変わっているかもしれないけれど。
イタリアのバールでの夏の飲み物は、そのかわりに、熱い飲み物としては不人気の紅茶が、一転して人気ドリンクになります。バールでも、夏は注文のトップ。2年前に急死してしまった大切なイタリアの友人と、その奥さんと初めて会ったのは、ピサのバールで、「暑いですね〜やっぱりアイスティー(テフレッドかな」と三人で注文したのを鮮やかに覚えています。
イタリアの正統派アイスティーは、しっかり甘く、しっかりレモンの味もするさわやかな飲み物。こればっかりは、レモンもぎゅうぎゅうとたくさん、砂糖もざんざんたくさん、がいい。私は、砂糖はグラニュー糖を少々にして、はちみつを多めにしている。ほんとにすっきり、一瞬気温が下がる気がするアイスレモンティー(te’ freddo al limone=テ フレッド アル リモーネ)は日本の初夏にも夏にも残暑にもおすすめ。8.23
イタリアン・アイスレモンティのつくりかた
1・熱湯で紅茶をかなり濃く400CCつくる。
2・グラニュー糖を15g、はちみつを20g入れてかきまぜる。
3・氷を200gぶん入れる。
4・レモンをギュウギュウ搾って小さいので1/2個ぶんくらい入れる。
はちみつや砂糖の量はお好みで。ええ!こんなにいれるの?と思うくらいでちょうどいいので、最初はだまされたと思ってください。濃い目の紅茶がレモンで薄まってこんな色。
(モト記事は2007/7 大幅加筆修正)
August 03, 2014
お米のサラダ

「ナタデココ」「ティラミス」「食べるラー油」「塩麹」「生キャラメル」「モツ鍋」・・・食べ物の流行がある日本。流行去っても定着しているものもあれば、すっかり存在感がないものも。こんなに流行が激しいのはなんだかな、といつも思いますが、同時に、これは日本向きなのに、流行らせたい、と私が(珍しく)思うのが、お米のサラダです。
写真は、料理教室の時のものですが、特にやっぱり暑い季節に嬉しい一品。お米は、パスタとまったく同じように、塩をシッカリ入れた熱湯でゆで、ざるにあげて流水をかけて冷やします。イタリアでも夏には、この光景にあちこちのお家で遭遇します。
イタリアの米料理といえばリゾット、とすぐ連想するし、実際米料理の代表格なのはホントですが、夏にリゾットは珍しい。デリでも、テイクアウトできるお米のサラダが人気だったりします。
オリーブオイル、塩、胡椒に加えて、ワインヴィネガーで少しだけ酸味がきいて食べやすい。毎年必ず夏に1回行う料理教室「冷たいパスタとお米のサラダ」では、「お米のサラダが特に興味しんしん」といって参加される人が多いのです。たとえば「二日酔いの朝でも食べられそう」、たとえば「(会社への)お弁当にも持っていけそう」など、その後もおうちのメニューに入れてくれているようです。冷蔵庫で冷やしておけば、すぐに食べなくてもOK。夏の休日の夕方、冷えた頃に、一緒にワインも冷蔵庫から出して・・・。
May 31, 2014
土曜のピッツァ・土曜のフォカッチャ
6年前のコラムです。
ピッツァは今、小麦粉600gのタネと、300gのタネを作り、わざと翌日にあまらせるというかたち。幼児の時からこねこね、ぺしぺし、と一緒に作ってきた15歳は、このままピッツァイオロ(ピッツァ職人)になっちゃう?というくらい手慣れて打てる腕になりました。
******************
「ウチは毎週土曜はピッツァを焼くんだ」
というイタリア人の話をきいたのは、イタリアに通いはじめた、かなり昔の話。イタリア行きの機内で、出張から帰国するミラノ近郊に住むイタリア人男性が話してくれたのだ。
新婚の最初の土曜に、おくさんがピッツァを焼いてくれたこと、感激して、それ以来、記念日のように土曜は毎週ピッツァを焼くようになり、子どもが大きくなってきた今も続いている・・という、すてきにスイートな話だった。(この話は、エッセイ「幻のヴェネチア魚食堂」にも書いたので、二度目の人はごめんなさい)
ウチはそれほど頻繁ではないし、それほどスイートでもないのだが(!)、ピッツァは多い。それも、土曜日に。子どもと一緒に粉から作るので、週末じゃないと発酵時間がとれないという現実的理由もあるけれど、翌日はお休み、という軽い楽しさが、やっぱりピッツァには似合うから。
小麦粉500グラムでは足りない、というくらいに何枚も焼くのだが、中で必ず1枚はフォカッチャにする。ほぼ同じ生地で、焼き方を変えればフォカッチャになる。ピッツァを食べ始める前の、「前菜」的な軽いひとくちにちょうどいいので。
大きな植木鉢に種をまいたローズマリーも、幸い今のところ元気にしているので、何はなくてもフォカッチャの材料には困らない。あとは美味しいオリーブオイルでOK。
そのあとのピッツァの「一番手」は必ず、マルゲリータ。バジリコとトマトソース、モッツァレラチーズだけの一番シンプルで、イタリアでは一番ポピュラーなピッツァ。この話はまた今度!

ピッツァは今、小麦粉600gのタネと、300gのタネを作り、わざと翌日にあまらせるというかたち。幼児の時からこねこね、ぺしぺし、と一緒に作ってきた15歳は、このままピッツァイオロ(ピッツァ職人)になっちゃう?というくらい手慣れて打てる腕になりました。
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「ウチは毎週土曜はピッツァを焼くんだ」
というイタリア人の話をきいたのは、イタリアに通いはじめた、かなり昔の話。イタリア行きの機内で、出張から帰国するミラノ近郊に住むイタリア人男性が話してくれたのだ。
新婚の最初の土曜に、おくさんがピッツァを焼いてくれたこと、感激して、それ以来、記念日のように土曜は毎週ピッツァを焼くようになり、子どもが大きくなってきた今も続いている・・という、すてきにスイートな話だった。(この話は、エッセイ「幻のヴェネチア魚食堂」にも書いたので、二度目の人はごめんなさい)
ウチはそれほど頻繁ではないし、それほどスイートでもないのだが(!)、ピッツァは多い。それも、土曜日に。子どもと一緒に粉から作るので、週末じゃないと発酵時間がとれないという現実的理由もあるけれど、翌日はお休み、という軽い楽しさが、やっぱりピッツァには似合うから。
小麦粉500グラムでは足りない、というくらいに何枚も焼くのだが、中で必ず1枚はフォカッチャにする。ほぼ同じ生地で、焼き方を変えればフォカッチャになる。ピッツァを食べ始める前の、「前菜」的な軽いひとくちにちょうどいいので。
大きな植木鉢に種をまいたローズマリーも、幸い今のところ元気にしているので、何はなくてもフォカッチャの材料には困らない。あとは美味しいオリーブオイルでOK。
そのあとのピッツァの「一番手」は必ず、マルゲリータ。バジリコとトマトソース、モッツァレラチーズだけの一番シンプルで、イタリアでは一番ポピュラーなピッツァ。この話はまた今度!
May 25, 2014
飽きないいつもの味・・トマトソースパスタ

「今日の昼も昨日のようにトマトソースのパスタを食べて・・」
20年以上も前の話ですが、ローマの友達と何日か続けて会ったり電話したりしたとき、友達から何度もこんなセリフを聞きました。”昨日のように”はイタリア語でcome ieri(コメ・イエリ)。このイタリア語のフレーズが何だか耳に残っています。
パスタソースの基本、トマトソース。毎日とはいかないまでも、私の食卓にもよく登場します。ミートソースなどのように、玉ネギや香味野菜をじっくりじっくり炒めて煮込むこともありますが、一番基本のトマトソースは、煮込みも20分くらい。ささっと作るシンプルが美味しいソースです。
ニンニクをみじん切り(あまり香りをつけたくないときは薄切り)にしてオリーブオイルと一緒にフライパンに入れてから火にかけ、
香りがたってきたら(薄切りニンニクは取り出して)水煮トマト缶を入れフタをして
7,8分経ったら木べらでトマトをツブシ、塩を加えて
さらに10分くらい煮込む
これで出来上がり♪
その時の気分で、バジリコだけを入れたり、ニンニクを強く効かせたり、パルミジャーノチーズを煮込み途中から入れてとけ込ませたり、仕上げにかけたり、ほかのハーブを入れたり、オリーブオイルをひとたらししたり・・・ちょっとしたプラスアルファの違いで、味も変わります。写真は、パルミジャーノを最後にたっぷりすりおろし、オリーブオイルをひとたらししたもの。食欲がいまいちの時も、さらっと食べられて、重宝しています。もちろん、ほかのいろいろな食材と一緒になるトマトソースは限りなくたくさんあって・・・!!
トマトソースの世界は本当に深くて、美味しい。
このコラムのアーカイブから・・・
ブログ全盛時代に遅れをとってはじめたこのコラムも、始めた時からもう7年にもなりました。
「昔のブログ記事」と思うと誰も読まないでしょうし、でも話としてはおもしろいもの、役立ちそうなものもあるので、そういう記事だけ、新しい話も付け加え、一新して、再登場してもらおうと思います。
その一つ目が、トマトソースパスタの記事です。
もちろん新しく書き下ろす記事も入れていきます。
あまりにも間が開きすぎて見に来る人も減ったこのコラム、少し元気に復活させられるといいのですが。
どうぞよろしく。
※facebook もメインの投稿は公開にしています。twitterはお休みです。
「昔のブログ記事」と思うと誰も読まないでしょうし、でも話としてはおもしろいもの、役立ちそうなものもあるので、そういう記事だけ、新しい話も付け加え、一新して、再登場してもらおうと思います。
その一つ目が、トマトソースパスタの記事です。
もちろん新しく書き下ろす記事も入れていきます。
あまりにも間が開きすぎて見に来る人も減ったこのコラム、少し元気に復活させられるといいのですが。
どうぞよろしく。
※facebook もメインの投稿は公開にしています。twitterはお休みです。
May 10, 2014
おやきの話

長野の蕎麦の話、facebookでごく少々盛り上が(?)ったので・・・。
蕎麦はもちろん美味しいんですが、
長野といえばおやきです。私はおやきが大好きで、粉食文化の特集でも取材したこともあり・・・この際(?)長野市私が好きなおやきを。
*小川の庄(長野店)善光寺から少し下ってきたあたりに。
http://www.ogawanosho.com/oyakimura-daimonten.htm
小川の庄は、伝統のおやき、ていねいに生地をのばして、無理かと思うくらいたくさん具を包みます。ここで1つだけおやきを選ぶなら、野沢菜オススメ。
次の二つは交差点をはさんでかなり近い位置に。長野インターを使う車なヒトは通ります♪
*ほりかわ
http://oyakinohorikawa.com
ニラ、ミックス野菜、切り干し大根。冬はネギ味噌、夏はかぼちゃ、と旬のおやきも楽しみ。ていねいに作っている味です。
*ふきっ子
http://www.fukikko-oyaki.com
新しい味覚に挑戦しているおやき屋さん。
もちろんおいしいおやきはまだまだたくさんあると思うんですがとりあえず、長野市に縁ありの私のオススメです。
July 02, 2013
フロストシリーズ再読

フロストのシリーズが好き、というと、
驚かれることが多い。
ミステリーの中の食のシーンを取り上げたり、登場する料理を想像再現するのも好きで、それがテーマの著書もあるので、
フロスト? 美味しいモノとはとことん縁遠いシリーズなのでは?というわけだ。
読んだことがない人に説明するとすると、
「イギリスの田舎町の下品で冴えない警部フロストが独特の笑いのセンスと失敗のセンスと、人情を発揮してひっきりなしに起こる大小事件に駆け回る」シリーズ。うーん、おもしろさがイマイチ伝えられないもどかしさ。
ま、確かに美味しいものは、ハッキリ言って出てこない。
シリーズどれも、昼夜わかたずドロドロになって走り回るはめになるのだが、ろくなものを食べていないのは確か。
その上、思いっきり下品で、ちょっと眉をひそめるセリフも多々ある。
でも、それ以上にニヤッとするシーンが多々あり、
ほろっとするシーンも多々あり、やめられなくなってしまうのだ。小物のワルをすまいに訪ねた時は、「今は都合が悪いんだよ」と拒絶するのもかまわず、誰かに家捜しされて荒らされたすまいに入り、「片付いてる日の俺の家みたいだな」
署長にかます皮肉の数々。有力者の息子に便宜をはかる署長には本気で烈火のごとく怒り、警察官の夫を亡くした奥さんには、「泣いていいんですよ」と肩を貸す。でもそれが、クールでシブイ刑事ではなく、「袖がほころびた汚らしいレインコートに趣味の悪いマフラーといういつものむさ苦しい格好でのそのそ」なのだ。
私が「料理で読むミステリー」(NHK出版生活人新書/現在は電子書籍パピルスのみ)で紹介したフロストシリーズのなかの料理は、
「中華風鶏肉のカレー煮込み」。主不在の署長室に部下たちと陣取り、中華の出前を頼んで署員たちと「ミーティング宴」を繰り広げた時の、フロストのメニューだ。ロンドンから70マイルの田舎町が舞台なので、紅茶はよく飲むのだが、それも究極。珍しく描かれた朝食シーン(寝坊したので、ここまで寝坊したならあと1時間遅くても一緒だ、ということで朝食)では、紅茶のティーバッグが切れていたのでゴミ箱から出してきて再び熱湯に、という考えられないシーンもあるくらい(汚)
そんなシーンにもめげず、今、シリーズの1作目から再読中。
もうすぐ発売になる新作「冬のフロスト」を楽しむために、フロストのおさらいをしているのだ。フロストシリーズの作者、R.D.ウイングフィールドは残念なことにもう亡くなっている。未訳の作品はこの新作を含めてあと2冊しかないのだから、じっくりと新作を味わいたい。そのために、再読がすむまで新作はおあずけ。
・ ・・
シリーズ既刊すべて読了。
さて、新刊へ。
(写真の一番上はシリーズ二作目。このイラストのフロスト警部が一番イメージに近い気がするので)