「お水取り」
と聞くと、ソク、自動的に
「ああ、もう春になるんだなあ」
と思うように、近畿育ちの人間はみんな、なっているのではないかなあ、と思います。
お水取りというのは奈良の東大寺二月堂の年に一度の行事で、水の儀式は秘儀、有名なのはたいまつの火が豪快に燃えるシーンですが、そんなことを何も知らない子どもの時から、
「お水取りが終わると春が来ると言われてるのよ」などと聞かされるわけです。
私は奈良のお隣の和歌山で育ちましたが、お水取りを見たことは、残念ながらありません。
和歌山市の高校時代の同級生で、結婚して奈良で暮らす友人が上京し、お水取りの時だけの和菓子をいただきました。
名前は「のりこぼし」。お水取りの時に飾られる木でできた椿の造花を模したものだそうで、上品で可愛らしい小さなお菓子です。
お水取りが終わるのは14日、あと1週間足らずです。陽射しが少なくて暗い日が多い最近の東京ですが、春らしい日も近いのかな・・・お茶の時間にのりこぼしをいただきながらそんなことを思いました。