October 01, 2004

8月31日


7時起床。ゲストハウスのレストランでトーストを頼むも、普通の食パンが出てきたがまあ気にしない。8時出発。ラツェの街は街灯が全くないため昨日はどんな街なのか全く分からなかったが、意外と商店や中華料理屋もあって田舎町という雰囲気がプンプンする。5分ほど運転すると家屋は見えなくなり、再び大自然が広がりだした。

eve21相変わらず朝は天気が悪いが、例によって今日もしばらくすると青空が見え始めた。2時間ほど谷を流れる川沿いの道を進む。ここの川+山+空のコントラストは素晴らしい。この景色は今まで見た中でもベスト3には入るな。ロード・オブ・ザ・リングの景色(撮影はニュージーランドでとのこと)に近いものがあるが、それをもっと荒々しくした感じ。力強い。


eve22そこを抜けると小さな街に到着。ここではエベレストへの入山証を取得する。車一台400元、さらに一人につき65元。手続きはおっちゃんがすべてやってくれたので、おれらはお茶を飲みつつのんびりしていた。この街はおそらく入山証のために作られたのだろう。町並みが人工的で、すごく埃っぽい。昔ながらという雰囲気は感じられない。川沿いには大量のゴミが散乱していた。

中国人はあまりゴミをゴミ箱に捨てるという感覚を持っていない。ところ構わずその辺にポイ。ゴミ箱があるのに利用しないんだからどうしたもんだかね。野良犬やカラスの多い日本では考えられない。

そういえばチベットに来て以来、どこを歩いてもずっと違和感を感じていたのだが、どうやらそれが「鳥が少ない」ことだと最近気づき始めた。たまにスズメを見かけることもあるが、群れで飛んでいるのは見たことがない。高地だっていうのも関係あるのかな。大量の鳥が群れをなしているつくばから来た身としては、違和感がどうしても感じられてしまう。

eve23eve241時間ほどでおっちゃんは戻ってきた。ここから大きな峠を越える。山といっても木は全くなく、大きな凹凸のない平べったい山なので、頂上から足元がきれいに見える。この峠の道はチベット版いろは坂といったところか。おそらくこの峠で標高6000m近いと思うが、ここまで来ると本当に空が近いことが実感できる。空気が薄いせいか空が真っ青で、空自体がせまってきているような感覚になる。

峠のてっぺんからはエベレストを含めた7000m超えのヒマラヤ山脈が見えるらしいが、おれらが着いたときはヒマラヤ山脈の部分だけがっちりと雲で覆われていた。さらに途中でヤクホテルに滞在していた日本人グループのランクルと遭遇したが、エベレストは一応見えはしたもののイマイチだったとのこと。おいおい、大丈夫か・・・しかしおっちゃんは「おれが車を出したときは見えなかったことはねぇんだ!」と自信満々。今はこの自信を信じるしかないか。

eve2114時過ぎに宿泊予定地であるロンボク寺に到着。ここからエベレストのベースキャンプまでは車は立ち入り禁止なので馬車で移動。以前は車でも入れたってことは、おそらくここらの馬を持っている人たちに産業を興すための立ち入り禁止なのだろう。馬を使わざるを得なくなれば、それだけ懐は暖かくなるわけだしな。

2台の馬車に乗り分けてベースキャンプを目指す。しかしおれの乗った馬車の遅いこと遅いこと。もう一台はあっという間に見えなくなった。坂道に至っては馬が馬車を引くことができなくなってしまい、馬車のドライバーが重量を減らすべく降りて馬を引く始末。おいおい、これじゃ歩くのと変わらないじゃねーか。本来なら1時間で着くところをハルウララ君はたっぷり1時間半以上かけて到着。

eve28そしてついにエベレストと対面となったわけだが、残念ながら雲は晴れず、時折わずかに雲の切れ目から見えるのみ。(写真では中央付近の雲の隙間に見えるのがエベレスト)キャンプの人は「明日はたぶん大丈夫だよ」と言う。ここはこの人たちの長年の経験を信じるしかないな。っていつでもそう言ってたりして。

当初の予定ではロンボク寺の招待所に泊まる予定だったが、どうやら観光客もベースキャンプに泊まれるとのこと。明日の早朝からエベレストを見るためにも予定変更してこちらに泊まることにした。

おっちゃんにそのことを伝えて、荷物と食料をとってくるためおれと大澤さんだけ馬車でロンボクへと引き返す。帰りはハルウララくんは使わなかったのでかなり快速だった。しかし今度は快速すぎた。下り坂でも遠慮なくすっとばしていくもんだから振動直撃。内臓・関節・腰と、あっちこっちが痛くなる。同じ車でもランクルとはサスペンションの有無でこうも違うものか・・・

しかし戻ったものの問題発生。どうやら夜になったので馬車営業のボスである公安の人間が帰ってしまったらしく、彼の許可なく馬車は出せないというのだ。おそらく違反がばれたらそれなりの罰則があるのだろう。しかも雨まで降り出してきた。しかしここは大澤さんの語学力で悪状況回避。賄賂を払ってなんとか馬車を出してもらえることになった。ふー、助かったー。おれだけだったら回避できた自信はないっす。助かりましたありがとう。

ところが馬車に乗ったは乗ったでまた問題が。一応ビニールシートでほろはついているものの、強くなってきた雨がようしゃなく馬車の中に入り込んでくる。あっという間にずぶぬれ。さらには途中で雨がミゾレ交じりになってきた。このとき気温は5℃。この寒さで雨に打たれるって、おい。凍えた。後半は会話をする気力も失せ、二人でひたすら寒さに耐える。

eve26eve29やっとの思いで到着したテントにはストーブと暖かいお茶が!素晴らしい!地獄に仏とはこのことか。しかもテントでは食事まで出してくれた。非常食のつもりだったのでかなり嬉しい。料金もナムツォとは違いそこまで高くない。宿泊費も10元だし、なかなか好印象。おれらの隣では三浦雄一郎のシェルパ(登山ガイド)をした人が酒を飲んでいた。その人いわく、野口健は女性方面においては相当しょうもない男らしい。まあ真偽は分からんが。

テントの中は電球はついていた。どうやら昼に発電した太陽電池をバイク用のバッテリーに貯めておいて、それを使っているみたいだ。チベットの小さな村にはいろんな所でソーラーパネルが見ることができて、エネルギーを勉強してるおれにとってはなかなか興味深い。さらにこのテントではストーブの燃料も木や灯油ではなく山羊やヤクの糞を使っている。話は聞いていたが、実際に使っているのは始めてみた。バイオマス燃料か。おもしろいなー

お菓子をつまみつつ、お茶を飲みながら遅くまで下らない話をする。テントの中にはビールもあったが、さすがに高度5700mでビールを飲むのはちょっとね。あっという間に体がおかしくなりそうだ。

ストーブが消えてしまうとテントの中とはいえ寒い。ラサでレンタルしてきたダウンジャケットを着て、同じくラサで購入したタイツをパンツの下に履いて、毛布を2枚かけて就寝。チャンスは明日の朝しかない。頼む、エベレスト見えてくれ。
 

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