October 05, 2004

9月1日


一応6時起床も夕べは眠りがものすごく浅く、何回も目が覚めてしまった。みんなもそうだったらしく、おそらくこの寒さと酸素の薄さのせいだろう。何回か夢を見たが、すべてエベレストが見れないというものだった。うーむ、正夢にはなるまいな。

しかし残念ながら外に出てみると夢の通り、エベレストの周りは厚い雲で覆われていた・・・雲は少しずつ動いていたので、一瞬でも全景が見えるチャンスを見逃すまいと極寒の中で震えながら耐えて待つ。

2時間ほど粘るが風が舞ってしまって、晴れそうかと思いきや別の雲に覆われてしまい一向にエベレストはその姿を見せてくれない。おっちゃんに10時までにはロンボクに戻ってくるように言われていたので、刻々とリミットが迫る。その間、朝ごはんにリンゴを丸かじりして、アンモナイトの化石の値段交渉したりする。このあたりは昔は海なので、化石がワンサカとれるらしい。日本では考えられないような値段の化石がテントの中に無造作に転がっている。荷物にならない程度の小さなアンモナイトと三葉虫の化石を4個、5〜10元(75〜150円)ほどで購入。これはいいお土産買えたな。

太陽は出てきたものの、依然としてエベレストは雲の中。時間は10時を回ってしまったのでやむなく出発することに(すでに時間オーバー)。ここで、ベースキャンプにある郵便局が開いているのを発見。富士山の山頂のように、ここにもなんと高度5300mの郵便局があるのです。これは試してみるしかねえと思い、みんなで急いで絵葉書に一筆。全部まとめて19元。これまたおもしろい。(ちなみに葉書が着いたのは3週間後でした)

eve31ここでいよいよ出発と郵便局から出る。と、なんとエベレストが見えてるではないか!背景が雲で白いため美しくとまではいかないが、全体像は十二分にはっきりと見える。す、すげえ、これがエベレスト・・・やったよホント。こんなに興奮したのっていつ以来だろう。感無量とはこのことか。他の山とは全く違った迫力と存在感。そうだよ、おれはこれが見たくてここまで来たんだよ。これでもうチベット旅行に思い残すことはないね。胸張って帰れる。

と、感動に浸っているのもつかの間、おっちゃんに言われていた10時はとっくに過ぎてしまい、11時になろうとしていた。ロンボクまで徒歩では2時間、馬車はこちら側にはない。うーむ・・・。と、キャンプのチベット人に「バイクで送っていってやるよ」と持ちかけられる。かなり焦っていたので考える間もなく20元で交渉成立。これなら10分で着ける。

eve32が、この帰り道は昨日のずぶぬれ馬車以上にデンジャーだった。ってかおれのチベット人ドライバーが馬鹿野郎だった。足もとは一応道にはなっているものの舗装もされていない土と砂の混じった悪路、すぐ左側は切り立った崖。その下は大きな川。そんな道をその馬鹿野郎は80km以上のスピードで爆走しやがったのだ。当然ヘルメットなんか被っているはずがなく、走れば土煙が舞うような道なので、ちょっとバランスを崩せば転倒してしまいそう。そのときは「転倒⇒谷に落下⇒エベレストの土へ」という道が開けてしまうだろう。そんなおれの思いを逆撫でするかのごとく、その馬鹿はカーブにもひるむことなく、高速で突っ込んでいく。落下のイメージが確固たるものとなっていく。

eve33一応必死の形相でアピールしてみるも言葉は全く通じない。「おい!ちょっとマジ死ぬって!おい!スロースロー!!」「イエィ!ヒュー!」通じないどころかこいつはおれが「にいちゃん最高だぜこのスピード!」と言ってるとでも思ってしまったらしい。「馬鹿コラ!止めろ!死ぬって!死ぬって!」「ヒューヒュー!!」おれ死ぬな・・・


幸いにして断トツ一番乗りで無事にロンボクに戻ってくることができた。久しぶりに人間をグーで殴りたいと心底思った。

eve34eve35おっちゃんにせかされてロンボク寺を出発。さらばエベレスト。いいものを見せてもらった。こんなの見てしまったら「そこに山があるから」と言って登りたくなる気持ちも分からなくないな。あの山のてんっぺん行けたら間違いなく気持ちいいわ。

帰りは来た道をひたすら戻る。昨日はラツェから来たのだが、おっちゃんの提案で今日はロンボクから一気にシガツェまで行ってしまうことに。かなりの距離だけど大丈夫なのかな。

eve36ヒマラヤ山脈が見渡せる峠を越えた辺りから車の調子がだんだんおかしくなっていく。行きでも何回かボンネット開けていじっていたが、どうやらエンジンにうまくガソリンが供給できていないらしい。でもおっちゃんがかなりメカニックが分かるようで、その辺りはおれはかなり安心してみていられた。車も85年製と古いが、その分構造が単純で、きっと素人が修理しやすいのだろう。


eve37峠を越えた後の下り道から見える山は地層がとてもきれい。これだけ縦に傾いている地層は初めて見た。チベットの気候があってこそここまできれいに保存されてきたんだろなー。中には円形に捻じ曲がった地層まである。すげえな。



eve38eve39帰りも相変わらず豪快な景色が広がる。途中の川辺で休憩。水がものすごく澄んでいる。昨日は顔も手も洗っていないのでここで顔を洗う。すっきり。ラサで買ってきたスイカをみんなで食べた。BGMは川の音。最高。

ところがシガツェはまだまだだと言うのに、悪い予感が的中、日が暮れて真っ暗になってしまった。時折ある村の小さな明かり以外は街灯なんぞは全くないので、ライトの照らす光以外は本当の真っ暗闇の中を進む。

行きでは干上がった川の中を突き進んだりしたのだが、夕べの雨のせいで川には水が流れている。そしてその川に突っ込むおっちゃん。おいおい、大丈夫か・・・道ではないのでどこを進んだらいいのか分からない上に、このランクルのライト程度では目指す先まで光が届かない。ここはさすがにみんな不安で、車の中も沈黙状態。

しかしやはりおっちゃんはプロだった。見えない道でも足元さえ分かれば進行方向がつかめるらしい。芸術的なハンドルさばきで川の深みを避けていく。無事に道路にリカバリーすることができた。これには一堂拍手。すげえ。

シガツェに着いたのは12時近く。おっちゃんの紹介でちょっと豪華なホテルに格安でチェックイン。ようやく晩御飯にもありつけた。さらにさらに、念願のシャワーも浴びることができた。4日ぶりのシャワーは感動的だった。ダブで洗顔したら顔がツルツルに。おれの顔ってほんとはけっこうツルツルだったんだな。

日本と似たような健康器具の通販の番組を見つつ、ふかふかのベッドに入り込む。弾力があって湿っていない枕。感動。山手線ゲームで朝青龍の物まねとかさせられつつ就寝。最高の一日だった。


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