2009年02月04日
ボクが生まれたからここで仕事をしているんだ。
イギリス人の仕事に対する姿勢は日本人と違う。もちろん、一部エリート達には仕事に命を懸けているような者も居り、彼らの就業時間は長い。が、彼らでさえ家族との年三回のホリデーは欠かさない。バルバドスの別荘の長椅子に寝そべる彼らはつい、後ろ髪を引かれてブラックベリーを恐る恐る覗いてみる。現代のような情報が一気に世界を駆け巡る時代には彼らは仕事を完全に忘れる事など出来ない。メールの発信人には何月何日にオフィスに戻りますと自動返信が行っているはずだが…。その文面を見て某エリート氏はカリブの明るい太陽の下でちょっとため息を吐いたりするのだ。Give me a break…
一方、一般従業員にとって仕事と言うのは人生の一部であって、楽しむために仕事をする。だから給料を貰えばすぐにホリデーへ行く。そして仕事自体もなるべく楽しもうと努力をする訳だ。そう、努力である。冗談を飛ばして同僚と笑い合ったり、男性でもお茶を入れてあげるから一緒に飲もう、と紅茶を持って来てくれたりする。仕事はいつかリタイアする物であるから家族の事を優先するのは当然である。「あ、明日配管工事屋が来るから午前中は来ないからね。」「…奥さんは?」「彼女は一人じゃ嫌なんだ。」
さて、ある日オフィスのメンバーの一人が大型スーパーマーケットの袋をぶら下げてにこにこ出社して来るのだ。「皆?今日はボクの誕生日なんだ。一緒に祝ってくれると嬉しいナ。」何を隠そう、その袋の中には買って来たバースデーケーキが入っている。それが妻帯者であればお手製の愛妻ケーキである事もある。他の者がバースデーボーイを祝ってやるのではなく、バースデーボーイが皆のためにケーキを買って来て、切り分け、お茶を入れていそいそと動くのだ。そして同僚達にバースデーソングを歌ってもらってバースデーボーイはとてもハッピーになれるのである。そんな日はあまり仕事は進まないと言っていいだろう。兄弟がプレゼントに何々の本を買ってくれた、だとかそんな話が飛び交い、それについて知っている者が居れば書評を述べてくれたりする。いかに職場以外の場で人生の研鑽を積んでいるか腕の見せ所なのだ。そしてランチにはボスや同僚がパブでビールをおごってくれるのだ。誕生日を宣伝する価値はここにあるのかも知れない。日本の諺では、袖触れ合うも何かの縁、と言うが、彼が生まれたからこうして今、一緒に仕事をしていると言う事だろう。そうか、そうか、とこちらもほのぼのした気分に浸っていたら、バースデーボーイと彼と仲の良い同僚達はランチから帰って来なかった。

「デスクにはバースデーケーキが。」

「オフィスで皆でケーキ。」

「パブでバースデービール。」

「ロンドンオフィス街の夕暮れ。」
『海外書き人クラブ. 河原けい』
一方、一般従業員にとって仕事と言うのは人生の一部であって、楽しむために仕事をする。だから給料を貰えばすぐにホリデーへ行く。そして仕事自体もなるべく楽しもうと努力をする訳だ。そう、努力である。冗談を飛ばして同僚と笑い合ったり、男性でもお茶を入れてあげるから一緒に飲もう、と紅茶を持って来てくれたりする。仕事はいつかリタイアする物であるから家族の事を優先するのは当然である。「あ、明日配管工事屋が来るから午前中は来ないからね。」「…奥さんは?」「彼女は一人じゃ嫌なんだ。」
さて、ある日オフィスのメンバーの一人が大型スーパーマーケットの袋をぶら下げてにこにこ出社して来るのだ。「皆?今日はボクの誕生日なんだ。一緒に祝ってくれると嬉しいナ。」何を隠そう、その袋の中には買って来たバースデーケーキが入っている。それが妻帯者であればお手製の愛妻ケーキである事もある。他の者がバースデーボーイを祝ってやるのではなく、バースデーボーイが皆のためにケーキを買って来て、切り分け、お茶を入れていそいそと動くのだ。そして同僚達にバースデーソングを歌ってもらってバースデーボーイはとてもハッピーになれるのである。そんな日はあまり仕事は進まないと言っていいだろう。兄弟がプレゼントに何々の本を買ってくれた、だとかそんな話が飛び交い、それについて知っている者が居れば書評を述べてくれたりする。いかに職場以外の場で人生の研鑽を積んでいるか腕の見せ所なのだ。そしてランチにはボスや同僚がパブでビールをおごってくれるのだ。誕生日を宣伝する価値はここにあるのかも知れない。日本の諺では、袖触れ合うも何かの縁、と言うが、彼が生まれたからこうして今、一緒に仕事をしていると言う事だろう。そうか、そうか、とこちらもほのぼのした気分に浸っていたら、バースデーボーイと彼と仲の良い同僚達はランチから帰って来なかった。

「デスクにはバースデーケーキが。」

「オフィスで皆でケーキ。」

「パブでバースデービール。」

「ロンドンオフィス街の夕暮れ。」
『海外書き人クラブ. 河原けい』
