税理士 郭曙光の海外進出企業の税務の勘どころ

税理士法人名南経営 郭曙光 公式ブログ

  2016年5月2日 平成26年度税制改正により、国際課税原則は総合主義から帰属主義へ変更されました。平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税から適用されることなります。  この改正は、主に日本に支店等を有する外国法人に対する内容となっていますが、内国法人の外国税額控除にも影響が及びます。
  外国税額控除の限度額の計算基礎となる「国外所得金額」の計算にあたっては、「国外源泉所得」の意義と範囲は極めて重要ですが、「国外源泉所得」の定義については、平成26年度税制改正において、従来の「国内源泉所得以外の所得」から、国外支店等帰属所得(内国法人の国外支店等がその内国法人から分離・独立した企業であると擬制した場合に、その国外支店等に帰せられるべき所得をいう。)を含む16種類の所得により構成されることとなりました。
  このため、「国外所得金額」の計算も、「国外支店等帰属所得の金額」と「その他の国外所得金額」に区分して計算する必要があります。この国外所得金額の区分計算は、例えば、3月決算の法人であれば、平成29年3月期からも必要となります。一般の内国法人に影響はほぼ無いと思われますが、国外に支店等を有する内国法人には大きな影響が出ます。外国税額控除の適用を受けようとする内国法人、特に国外に支店等を有している内国法人は、早めに国際税務を熟知している税理士等にご相談されることをお勧めします。

 平成27年10月に公表された「BEPS(Base Erosion and Profi t Shifting:税源浸食と利益移転)プロジェクト」の行動13「移動価格文書化の再検討」の最終報告を踏まえ、平成28年度税制改正大綱において、移転価格税制に係る新文書化制度が導入されることとなりました。
 移転価格税制に係る新文書化制度は、国別報告書(CBCレポート)、事業概況報告書(マスターファイル)、同時文書(ローカルファイル)の3層構造のアプローチとされています。対象企業は基本的に大企業であり、その主な内容は次のとおりです。

(1)国別報告書(CBCレポート)
 直前会計年度の連結総収入金額が1,000億円以上の多国籍企業グループの最終親事業体である内国法人等が、国別報告事項(多国籍企業グループが事業を行う国ごとの収入金額、税引前当期利益の額、納付税額その他必要な事項)を、最終親事業体の会計年度終了の日の翌日から1年を経過する日までに、税務署長に提供しなければなりません。
 国別報告書は多国籍企業グループの概略的な移転価格リスク評価の際に使用されます。基本的に租税条約に基づく自動的情報交換により、自動的に各国税務当局に渡されます。
(2)事業概況書(マスターファイル)
 直前会計年度の連結総収入金額が1,000億円以上の多国籍企業グループの構成事業体である内国法人等は、事業概況報告事項(多国籍企業グループの組織構造、事業概要、財務状況その他必要な事項)を最終親事業体の会計年度終了の日の翌日から1年を経過する日までに、税務署長に提供しなければなりません。
 事業概況報告書は、多国籍企業グループの重要な移転価格リスクの特定に使用されます。海外子会社を経由した情報共有方式により、情報共有を行います。
(3)同時文書(ローカルファイル)
 国外関連取引を行った法人は、同時文書(独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類)を確定申告書の提出期限までに作成し、原則として7年間保存しなければなりません。
 ただし、一の国外関連者との取引金額(受払合計)が50億未満であり、かつ、その一の国外関連者との無形資産取引金額(受払合計)が3億未満である場合は、その一の国外関連者とのその国外関連取引について、同時文書の作成・保存義務を免除します。
 また、同時文書化義務の有無に関らず、決められた期限内に同時文書又は同時文書に相当する資料等の提出等がなかったときは、推定課税のリスクがあることにご留意ください。
●適用期間
 上記(1)と(2)は平成28年4月1日以後に開始する最終親事業体の会計年度に係る国別報告事項又は事業概況報告事項について適用し、(3)は平成29年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用します。

 今年8月に、天津爆発事件が世の中を騒がせた。その後、安全点検の動きが中国各地で行われ、安全基準を満たさない企業に、工場や倉庫の閉鎖や操業停止、遷移等が求められている。中国にとって必然な行動ですが、これにより経済損失を受けている企業も出始めている。また、中国経済の減速や日中間貿易額の減少を背景に、最近は、日本親会社において外国子会社の株式等の評価損を計上できないかとの相談が増えている。

 今日は、非上場有価証券等の評価損の損金算入に関する取り扱いについて、改めてまとめてみる。
 株式等の評価損は原則として法人税上損金不算入だが、非上場有価証券等については、①その発行法人の資産状態が著しく悪化し、②その価額が著しく低下した場合は、損金経理したその評価損の金額は、損金算入できる(法法33条2項)

1、非上場有価証券等の発行法人の資産状態の判定
(法基通9-1-10)
 次に掲げる事実が「その発行法人の資産状態が著しく悪化した」に該当することとなる。 

その非上場有価証券等を取得して相当の期間を経過した後にその発行法人について、特別清算開始の命令があったこと、破産手続開始の決定があったこと、再生手続開始の決定があったこと、更生手続開始の決定があったことの事実が生じたこと。
②その事業年度終了の日におけるその発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額がその有価証券を取得した時のその発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額に比しておおむね50%以上下回ることとなったこと。
(注)発行法人が債務超過の状態にあるため1株又は1口当たりの純資産価額が負(マイナス)であるときは、その負の金額を基礎としてその比較を行う。

 なお、その非上場有価証券等の発行法人が外国法人である場合におけるその外国発行法人の資産状態の判定は、原則として、その有価証券を取得した日におけるその外国発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額(※)とその事業年度終了の日におけるその外国発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額(※)の金額に基づいてその比較を行う(法基通9-1-11)。
 ただし、その外国発行法人が物価の変動が著しいと認められる国に本店等を有するものであるときは、その国及び我が国の物価変動率を合理的に勘案したところによりその比較を行うことができるものとする。この場合において、その物価変動率を勘案した比較が困難であるときは、課税上弊害がない限り、その有価証券を取得した日及びその事業年度終了の日における電信売買相場の仲値により円換算した金額に基づいてその比較を行って差し支えない。

(※)その外国発行法人の会計帳簿の作成に当たり使用する外国通貨表示の金額により計算した金額という。また、純資産価額については、その外国発行法人が資産再評価を行っている場合であっても、その再評価価額が通常の市場価額を表わしていると認められない限り、その再評価価額にはよらないことに留意する。


2、価額の著しく低下の判定(法基通9-1-11)
 非上場有価証券等の価額が著しく低下したかどうかの判定は、上場有価証券等の判定に準用する。
 すなわち、その
事業年度終了の時におけるその有価証券等の価額がその簿価のおおむね50%相当額を下回ることとなり、かつ、近い将来その価額の回復が見込まれないことをいう
 なお、回復可能性の判断は、過去の市場移動の推移、発行法人の業況等も踏まえ、その事業年度終了の時に行うのである。
  

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