2017年01月28日

正しい歴史を残したい

 1月25日でしたか、京都GREENさんのお知らせでNHKBSの「原爆投下、知られざる作戦を追う」を覗いたのですが、忽ち引き込まれ、息をのむ思いで2時間を見てしまいました。教えられること多く、その一々は述べられませんが、文官統制とは言え、殆どが科学者たちとマンハッタン計画に参与したグローブス中将の思いのままに原爆は投下され、子女を殺したくないという消極的なトルーマン大統領は無力であり、戰爭に勝つためにはなりふり構わず非戦闘員を殺し、究極の凶器の使用が最優先される事などを教えて呉れました。戦争は恐ろしい、二度としてはいけないのです。

 同じ武官であってもスチムソン陸軍長官は思慮の深い知性溢れる人物のようで、京都を目的地から外して千年の古都を原爆から救ってくれました。それであるならなぜ広島、長崎を犠牲にせねばならなかったのか? 甚大な戦果を日本の何処かで示さないことには、議会と出資者、即ち開発のために多額の税金を払った国民が承知しなかったのです。“原爆投下は本土決戦での犠牲を未然に防ぐ最良の手段であった”これも後付けのスローガンであることを教えて呉れました。

 私が最も敬服したことは、これらの資料が今に残されて公開されていることです。アメリカの強さはここにあるのではないでしょうか。またこれらを利用して真実に迫ろうとしたスタッフの努力も高く評価されるべきだと思います。なぜなら、戦前戦後を生きた我々は、果たして後世に誇れるほどの正しい歴史を残し得たでしょうか?「シベリア抑留」の経験を持つ私はそのようには思えないのです。否、その正反対で、歴代政府は隠匿するかまたは誤魔化すか、彼らは決して正直ではありません。果たしてこれで良いのでしょうか。

 およそ人類は古代から、様々な労力と才能を傾けて正しい歴史作りに励んで今日に至りました。司馬遷、へロドトス以下司馬遼太郎やトインビーなど実に多くの歴史家たちがその伝統を引き継ぎ、数多くの史観を残していますが、後世史家の評価に耐えられないものは消え去り、淘汰を受けて残った良質な歴史が次世代に引き継がれてゆくのでしょう。

 「シベリア抑留」の歴史は大きく間違っています。2010年に「シベリア特措法」が成立し、その13条で政府は強制抑留の実態調査を義務付けられていますが、皮肉なことに調査が進めば進むほど間違いや諸矛盾が続出し、その是正を急がれています。これらについては度々述べたところですが、余命あるうちに正しく直しておきたいのです。そうでないと当事者として怠慢の謗りを免れないと思うからです。

 どうして60万もの強制連行の実態が正しく実証されないのか?それは日ロ双方が明らかにすることを好まず、一日も早く忘れてしまいたからです。ロシアは欲の深さを知られたくない恥じらいから、我が国は終戦時の愚かさによる自虐から、共に触れてほしくない、アンタッチャブルが嵩じて歴史の中へ閉じ込めてしまいたいのです。

 次項から重複を恐れず私なりに纏めてみようと思います。ご検討下されば幸いです。

 

 


kamakiriikeda at 15:25│Comments(0)TrackBack(0)clip!

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