2018年03月

2018年03月12日

竜涎香を拾う

犬と見つけた竜涎香アンバーグリス

                        山田 海人

 2015年3月、イギリスのMorecambe, Lancashireの海辺を愛犬マッジ Madgeboxer dog)と散歩していたケン・ウィルマンKen Wilmanさんは愛犬のただならぬ反応から竜涎香を見つけました。

 愛犬のマッジは海辺を自由に走り回るのが好きで、その日もケンの先を走っていました。ところが海岸の“石”のようなものに異常に反応して、その“石”から離れないのでケンも臭いを嗅いでみました。それはすごい臭い匂いでしたので、“石”をそのままにして帰りました。 夜、気になった“石”をインターネットで検索してみたところ「竜涎香らしきもの」であることが分かり、翌朝、その石を拾ってきました。

 もし竜涎香なら5万ポンドもの値打ちになるので、今は、その“石”のサンプルをフランスのデイラーに送って、鑑定を待っています。

 検索したのは2006年、オーストラリアのビーチを歩いていた夫婦が、32ポンドの竜涎香を見つけ、295,000ドルを得たという検索結果でした。

 竜涎香について調べた10項目は、

1. アンバーグリスは、マッコウクジラの腸内で生成された鈍い灰色または黒色の固体、ワックス状で引火性物質である
2.
 それは深海に棲むイカの非常に鋭い嘴から腸を保護するために鯨によって生産されたものです
3.
 「鯨の嘔吐」'whale vomit'と呼ばれるが、それはおそらく嘔吐よりむしろ排泄される
4.
 沿岸から何百マイルも離れた沖合でクジラから排泄されている
5.
 それは何年もの間、海面に漂い浮遊しています
6.
 太陽と空気・海水にさらされた年月を経て、竜涎香は滑らかで灰色の塊状のコンパクトな岩石に変わり、ロウの様な感触があります
7.
 新鮮なアンバーグリスはクジラからの糞便臭があり、漂う年数につれて甘くて土のような香りになります。

8. アンバーグリスの由来は、最初にバルト海Baltic. Grisのビーチでアンバーが打ち上げられたので、その名前がついた。グリスはラテン語のグレーから来ています
9.
 アンバーグリスは香水の製造に使用され、結果として非常に高価で貴重です
10
 .科学者たちは、このためにアンバーグリスを「浮かぶ金塊"floatinggold"」と呼んでいる                      

  Dog walker finds smelly lump ofwhale vomit on beach that's worth £100,000 より
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2018年03月07日

竜涎香とは

竜涎香(りゅうぜんこう)とは   訳:山田 海人

What is ambergris?

By Emily Osterloff The Natural History Museum  25 July 2017

 竜涎香(りゅうぜんこう)とは、まだまだ人が知らない部分の多い不思議な物質ですが、最近分かったことを記載します。

 竜涎香はマッコウクジラだけが生産できる物質で、何世紀にもわたって人の暮らしに使われてきました。  竜涎香の化石は175万年前のものが発見されていて、何千年も前から万能薬・香り、媚薬などに使われていました。この竜涎香は油性なので海面に浮いて「浮かぶ金塊」など呼ばれていました。

 しかし、1800年代に捕鯨漁がはじまり、マッコウクジラは高級な鯨油が取れることで、捕鯨船から特別に追われる身となり、絶滅に追いやられました。

 マッコウクジラは、イカやタコを主に捕食し、消化できないクチバシの部分は四番目の胃に貯められて、嘔吐されて消化系から排除されていました。それでも稀に腸へ入ってしまうことがあり、尖ったクチバシは腸を刺激し、腸から分泌された“特殊な油“が異物となるクチバシにまとわり付いて、何年もの時間を掛けて油の層が重なって、真珠のように大きくなります。 これが竜涎香(アンバーグリス)で鋭いクチバシからクジラの内臓を守ろうとする防御本能が故の産物と言われています。

 

 「竜涎香の産出」

 マッコウクジラから竜涎香はどのようにして排泄されるかについては、多くの研究者は「口から嘔吐される、つまりクジラの嘔吐whale vomit'と思われていますが、博物館の学芸員リチャード・セビンRichard Sabinらは海外の研究者と情報交換をして、嘔吐と考えるには無理があり、大部分は肛門からフンと同様に排泄されると考えています。

また、竜涎香が大きくなりすぎて腸閉塞を起こし、そのクジラは死亡し、クジラの死骸は虫たちに捕食されて、浮力のある竜涎香は身体から離れて海面に漂う場合もあると言われています。

 マッコウクジラの仲間のコマッコウクジラは体型も小さいことから、竜涎香も小さ目になっていると言われています。

 マッコウクジラ類は世界の海に広く生息しているので、海面に10年以上も長く漂い、やがてその一部が海辺に打ち上げられています。

 

「実用的な香料」

 竜涎香の特性は香りです、クジラから排泄された直後は、強い排便の臭いがします。 しかし、乾いた竜涎香は楽しいいい香りがするので、ムスキーと呼ばれています。 小説「海底二万哩」にも竜涎香の香りが紹介されています。

 竜涎香の中で白いものは、何百年も高品質として取引され、素晴らしい香りがあります。一方、黒いものは低価格で取引されています。 竜涎香のなかのアンバリンAmberrineと呼ばれる物質には香りはありませんが、香りを長持ちさせる機能があります。 竜涎香は、産出されてから海面に浮かび、空気に触れ、紫外線を浴び酸化して、何年も海面を漂ったものが品質が良くなり、高品質となります。 酸化のレベルによって色が変化し、黒から白の間には、灰色から茶色があります。

 

「最も高価な香水」

 竜涎香は香水以外にも使われてきました。昔のアラブ文明では、アンバーと名付けて、脳、心臓、感覚の病気を含む、多くの病気を治療する香り、媚薬、薬として使用しました。

 

「竜涎香はマッコウクジラを危険にさらすのか?」

捕鯨漁がおこなわれていた時代は、マッコウクジラは竜涎香や脳油の貴重な製品目当てに絶滅に追いやられらました。
セビン氏は、現在は世界的に保護されているが、今後も危険にさらされる可能性があると言っています。

竜涎香(アンバーグリス)の収集と販売を規制する法律は世界中で異なりますが。 英国とヨーロッパでは、クジラ、イルカ、イルカの生きている種はすべて法によって保護されています。一部の国では、鯨由来の製品の所持、販売に厳しい法があります。ですが、法的にはまだ灰色の領域です。
しかし、絶滅のおそれのある種の国際取引に関する条約(CITES)は、アンバーグリスは自然に発生するマッコウクジラの老廃物であり、海岸や海から回収することは唯一合法であると考えられています。
セビン氏は次のように述べています。「竜涎香の代替品が存在し、これらの使用が奨励されるべきです。「これは、人間が利用できる資源として、いかなる形であれ、クジラを将来にわたって見ることを妨げるだろう。」

                      おわり
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kamakuraikimono at 20:37|PermalinkComments(0)

2018年03月02日

海辺の切抜き絵

インド旅行で、Kanat Nurtazinさんのアート作品

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kamakuraikimono at 17:55|PermalinkComments(0)