亀井英孝の「千年続く経営」ブログ

名南経営コンサルティング 亀井英孝 公式ブログ

2017年11月

今日は、採用について考えててみたいと思います。

 

「よい人を採用したい」採用する側に立てば、
当たり前の心情ですね。しかし残念ながら、どの
組織にも適合する“よい人”などはいないと思った
方がよいでしょう。よって採用にあたってはまず、
 「どのような組織にしたいのか」
 「どのような仕事を任せたいか」
などを明確にする必要があります。

 

個性=種、組織・仕事=土壌、教育=肥料

 

です。

土壌があっていなければ、どんなに素晴らしい
遺伝子を持つ種であっても花を咲かせることは
できません。

 

また、採用活動にあたっては、徹底的に性悪説に
立つことをお勧めしています。採用活動とは、
“よい人”を採る活動ではなく、
 「入れてはいけない人を入れない」
活動であると認識する必要があります。
 「悪貨は良貨を駆逐する」
のです。特に小さな組織においては、その影響力は
必然的に大きくなります。たとえば
4人の組織に
入れた
1名は、20%の勢力を持つ者ということに
なります。

 

具体的には、
 「具体的に挙げてきた成果は何か?」
 「どんなことに取り組んできたか?」
 「会社や同僚、またはお客様にどのような影響を
  与えてきたか?」
など、YES・NOで回答できる質問ではなく、
目を閉じれば瞼に浮かぶほど具体的な状況を
ヒアリングしていきます。

 

「やりたいこと」と「できること」は異なりますし、
「できること」と「役立つこと」も異なります。
また、過去の実績が自社では弊害になることさえも
あります。だから面接では、
 「その実績は本当か?」
 「本当に自分でやったことか?」
 「それは自社に役立つか?」
を徹底的に確認します。

 

ところが中小企業においては、どうしてもよいところ
だけに着目する傾向があるように思います。応募して
くれる人が少ないから、
 「何とか入ってもらわなければ」
と思ってしまうのは無理もありません。そしていつの
間にか欠点までも長所に見えてくる。

 

しかし実際に入れてみると「こんなはずではなかった」
となる。「騙された!」と・・・。でもそれはやはり
採用する側の失敗に他なりません。

 

採用とはよい人を入れる活動ではなく、徹底的にその人
の人となりを知り抜いて、その上で欠点を許せるないしは
育てる覚悟を持てる人を入れることです。その上で、
既存の社員さんが「責任をもって育てます!」と言って
くれる人を採用できれば最高です。

 

一方、入社後は徹底的に性善説に立ちましょう。採用は
結婚と同じです。結婚する前には両目をしっかり開けて
見極め、結婚したら片目を瞑る。その意味においても、
採用とは、欠点を許せる人、育てる覚悟を持てる人を
入れることといえるのです。

私どもでは毎月、多くの研修を開催させていただい
ています。私も講師をさせていただいたり、私自身の
学びの場とすることがありますが、ご受講いただく
方々の姿勢の違いから、どんなによい講座であって
も、学ぶ姿勢ができていなければ価値がない、と
感じることがあります。

もちろん、どんな方がいらっしゃっても満足して帰って
いただくための努力を惜しむつもりはありませんし、
常によりよい講座にしていこうと精進しているのです
が、残念ながら、力不足を感じざるを得ない場合が
あるのです。

私は『教育』について、常々次のようなお話をします。

教育の“教”は「押得る(おしえる)」、すなわち「押して
(強制的に)得させる(習得させる)」であり、“育”は
「素立てる(そだてる)」すなわち「素(元々持っている
もの、素材)を立てる(活かす、引き出す)」こと。

要するに、教育には「押得る」ことと「素立てる」ことの
二側面があり、これをケースバイケースで使い分け
なければならない、ということです。

また教育には、しつけ教育・知識教育・技能教育・
動機づけの4種類あります。多くの企業で入社後、
すぐに知識や技能に関わる教育をされているよう
ですが、その効果は疑問です。

まず、働く姿勢をきちんと身に付けさせ、働く意義と
価値をしっかりと植えつけることを先行しなければ
ならないのです。即ち、しつけ教育と動機づけこそ
先に行われなければなりません。この2つがまさに
「押得る」対象です。

そしてこの姿勢と考えがきちんと浸透すれば、教え
なくても知識や技能を身に付けようとし始めます。
即ち勝手に「素立つ」ものなのです。

よって、研修に参加させる場合は、ただ「こういう研修
があるから行って来い」ではなく、
 ・なぜその研修を受けなければならないのか
 ・その研修を受けることでどのようなものを身に
   付けることができるのか
 ・自分にとってどのような価値があるのか
などを伝え、理解・納得してもらった上で参加させなけ
ればなりません。結果として、研修受講成果はより
大きなものになります。

研修に関わらず、日頃の教育においても、「押得る」と
「素立てる」の視点をお持ちいただき、使い分けて
いただくとよいと思います。

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