本日は、“接客”について考えてみたいと思います。
以前テレビで紹介されていた、ある温泉宿の事例を
ご紹介します。詳しくは忘れてしまったのですが、
老舗旅館の何代目かの若当主が、傾きかけた実家
の宿を立て直された経緯が紹介されていました。
その若当主が朝礼の場で社員さんに仰っていたのが、
次のような内容です。
「目の前の一人ひとりのお客様は、私たちにとっては、
何人かのお客様のうちの一人です。しかしお客様に
とっては一生に一度しかない、大切な一日を私たちに
委ねてくださっています。決してそのことを忘れては
いけません。
幸いにも私たちは、全国的にも名が通った温泉地で
商いをさせていただいています。多くの方が「一生に
一度は行ってみたい」と思っていただけるところです。
だから、それほど努力をしなくても、お客様は私どもに
足を運んでいただけているのです。
しかし私たちは、ついついそのことを忘れ、忙しさに
かまけて、ともすると傲慢な態度を取ってしまったこと
もありました。私たちの過去の衰退は、そこが原因
だったと私は断言します。私たちはもう二度とその
過ちを繰り返してはいけません。
一生に一度、そんな思いで来ていただいているお客様
に、最高の満足を感じていただく。私たち一人一人が
その満足の提供者となれるよう、最大の努力をして
いきましょう。」
話の内容はこのようなものでした。そしてその宿で働く
社員さんが、イキイキと、キビキビと、楽しそうに働いて
いる姿が、今でも思い出されます。
もし、社員さん全員がこのような気持ちでお客様に
接することができたならば、間違いなくとても素晴らしい
会社になることでしょう。
目の前のお客様お一人おひとりに対して「一期一会」の
精神で接することが、“接客”の原点だと思います。
この事例を通じて、お客様との向かい方の基本を感じて
いただければ幸いです。