本日は、“預かる”ということについて考えてみたい
と思います。
2015年にお亡くなりになった、歌舞伎役者の十代目
坂東三津五郎さんは、常日頃
「歌舞伎の芸というのは先輩たちからの預かり物」
「しっかり次の世代に譲り渡さないと先輩たちに
申し訳ない」
と仰っていたそうです。その話を耳にしたとき私は、
事業承継において最も大切なことを、ずばりと言い
当てられているように感じました。
「歌舞伎が400年続いてきたのは、後輩に芸を移す
という繰り返しがあったからこそ」
「僕も後輩から教えて欲しいと言われれば、隔てなく
教えます」
深い言葉だと思います。
翻って世間では、譲る者、譲られる者の間の争いごと
がよく見受けられます。
そのような場合、どちらが悪いとは言い難いもので、
それぞれに問題があるものです。
ただ、もしどちらかを判定せよ、と問われたら、私は
譲られる側に問題があることが多いように思います。
譲られる者が大切にしなければならないことを疎かに
してはいないか、その点に反省すべきことがあるよう
に思うのです。
そのためにもまず、三津五郎さんのいう“預かり物”
とは、自分にとって何なのか、またその本質とは
いかなるものなのかを明確にする必要があるように
思います。
みなさんもぜひこれを機に、
「私が預かった物の本質とは何か?」
を考えてみていただければと思います。
