亀井英孝の「千年続く経営」ブログ

名南経営コンサルティング 亀井英孝 公式ブログ

2020年11月

本日は、“制度”について考えてみたいと思います。

 

組織運営上、制度つくりは欠かせない取り組みです。

しかしそこには、陥りやすい問題が存在します。

 

第一に、

 

現状を前提とした制度つくりは、課題解決を阻害

する要因になりうる

 

ということです。

 

もし今が正しい状態であるのであれば、その状態を

制度としてルール化することは、その良さをキープ

し続けるための“歯止め策”として有効に働きます。

 

しかしそうでないとすれば、制度化は好ましくない

現状の肯定となり、問題を固定化してしまう恐れが

あります。

 

よって制度つくりをする際には、現状が好ましい

状態にあるかどうかを見極めなければなりません。

 

そしてそうでなければ、どのような状態を目指すか、

理想の状態とはどのようなものかを明らかにし、

その実現に向けた制度化を検討する必要があるのです。

 

第二に、

 

一度制度化したら、元に戻すことは困難である

 

ということです。

 

制度つくりは、よりよい状態を目指して検討される

ものであり、制度化によって得られる効果は間違い

なくあるのだと思います。

 

しかし一方で、

 

制度化によって、どのような問題が生じる可能性

があるか

 

も同時に、かつより慎重に検討する必要があります。

 

社員さんにとって利益に働くことであればなおさら

です。

 

仮に導入してから問題が明らかになったとしても、

不利益変更はまずできないものだと思っておいた方

がよいでしょう。

 

よって制度つくりをする際には、制度化のメリット

・デメリット、効果とリスクを徹底的に見極めると

共に、多少融通の利くものにしておいた方が無難だ

と心得ましょう。

 

そして、制度つくりに際して最も気をつけておかな

ければならないのは、

 

制度によって社員さんを縛ろう、強制しようと

いった心根であってはならない

 

ということです。

 

制度は会社と社員さんの約束であり、共存の証しで

あり、互いによりよい関係を構築するための土壌と

いった考えが根底になければなりません。

 

制度検討にあたっては、そのような心根で、上記の

点に特に留意をしていただき、素晴らしい制度を

構築していっていただきたいと思います。

本日は、“報酬”について考えてみたいと思います。

 

「社長たるもの、役員報酬を3,000万円は取らない

といけない」

 

これは、私が知るある社長様の言葉です。

 

「役員報酬で3,000万円払えない程度の利益しか

出せない経営者は、経営者として失格。」

「社長が1,000万円で満足していたら、社員に夢を

見させられない。そんな会社は魅力がない」

 

と言い切るその社長の会社では、1割の社員の年収

1,000万円を超えているそうです。

 

会社の魅力は給与だけではありませんが、動機付け

のひとつの要因であるとの考えは、確かに一理ある

と思います。

 

理由は異なりますが、私もオーナー経営者の場合、

年俸3,000万円以上には賛成です。

 

私の考える3,000万円の内訳は、1,000万円が生活費、

1,000万円が緊急性を要する資金需要に対応するため

の一時金、そして最後に金融機関からの借り入れが

ままならなくなってきたときの備えとして、「何か
あるとき以外は決して手をつけてはいけない」保険
的な積立金です。

 

すぐ会社の資産を売却しなければならないとしたら、
手元にいくら残るのかを考えてみてください。

 

急な換金となった場合、なかなか希望通りとはいか
ないでしょう。

 

実際に、貸借対照表上の金額をかなり下回ることが
多いものです。

 

たとえば土地ひとつとっても、今すぐに売ろうとすれ

ば、なかなか言い値では売れません。

 

景気の良いときに買ったものであったらなおさらです。

ともすると「半値八掛け二割引」となってしまうこと
覚悟しなければなりません。

 

さらに、換金できた金額と負債の額と比較してみて

ください。

 

もしマイナスが生じたとしたら、その差額は誰が負担

するのでしょうか。当然連帯保証人たる経営者です。

 

だからこそ経営者は、そのリスクに備えた貯蓄をして

おく必要があるのです。これが最後の1,000万円の意味
です。

 

今すぐに上げることは難しいとしても、役員報酬に
対する考え方については、中期的視点をもって、検討
していただければと思います。

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