本日は、“他力”について考えてみたいと思います。
私が尊敬する方のお一人に吉丸房江先生という方が
いらっしゃいます。
お会いするたびに多くの気付きと学びをいただく
ことができるのですが、本稿では人間の本質に
ついてお聴きした内容を一つご紹介しましょう。
それは
「人間は、まず人からしてもらうことから始まる」
ということです。
「動物は、独り立ちができるようにできていますが、
なぜか人間だけは一人では生きていけないように
できています。動物は、生まれてすぐに立ち上がり
自らお乳を求めますが、人間の子は1年も歩くこと
ができず、母親が乳房を口元にもっていってあげ
なければ、お乳さえ飲むことさえできません。
一人では生きていけない、支え合ってしか生きて
いけないから“人”と書くのです。」
「人間は、まずしてもらうことから始まりますが、
してもらっている間はそのことに気付かないもの
です。乳飲み子が「お母さん、ありがとう」と
思っている訳ではないように。だから、何事も
「当たり前」と思わず、してもらっていることを
きちんと自覚しましょう。」
「人は米一俵しか担ぐことができません。家族を
食わせていくのが精いっぱい。もしそれ以上の
成果が出ているのであれば、それには必ず別の
力が働いていると思いましょう。その力は、意外
に見えていないことが多いもの。その“見えない
力”とは何かを明らかにした上で、「ありがとう
ございます」と素直に受け取り、自分自身が役に
立てると自覚できるとき、喜んでお手伝いさせて
いただくのです。」
「素直に受け取ることができない人がいますが、
それはお返しをしたくない人、人に迷惑を掛けたく
ありませんという人。でも迷惑を掛け合うのが
人の常、迷惑を掛け合ってお互いが成長し、より
よいものを生み出していくのが人間の世界です。
迷惑を掛けたら、その人のために自分ができること
が自覚できたとき、精一杯してあげたらいいのです。」
このお話をお聴きしたとき、なんだか気持ちが楽に
なりました。
どこかで「迷惑を掛けてはいけない」と気張って
いた部分が、「掛けちゃえばいいんだ。掛けちゃったら、
自分ができることでお返しすればいいんだ」という
解き放たれた気持ちになったのです。
一方で、「人は米一俵しか担ぐことができない」との
話に、どこかでおごっていた自分がいたように感じ、
ドキッとしました。
米一俵の力の自力を自覚し、見えない他力を常に意識
して、感謝の心で日々を過ごしていきたいと思います。