本日は、“採用”について考えてみたいと思います。
採用に対する考え方には諸々あり、どれが正解と
いうことではありません。
先日も、ある会合でお会いした二人の社長から、
「迷ったら入れない」「迷ったら入れる」という、
まったく反対の見解が出されていました。
採用に関する考え方は、トップの個性による違い
が大きいといえるでしょう。
一方で、面接をするたびに
「わずかな時間で見極めるのは本当に難しい」
と感じます。
だからこそ採用活動においては、何度も時間を取り、
互いにできるだけ迷いのない状態を実現することが
大切です。
そして「もうここでいい!」「もうお前でいい!」と、
互いがいい意味での“諦め感”をもてるようにしたい
ものです。
そのためにも、面接段階においては、
「性悪説で臨む」
ことをおすすめします。
採用活動とは、「よい人を採る活動」ではなく、
「入れてはいけない人を入れない活動」
との認識が必要です。
よって、面談においては、よい点を探しながらも、
欠点を炙り出すことも大切です。
具体的には、履歴書などに記載された内容を鵜呑み
にせず、そこに書かれた内容が本当かどうか、完全
に疑ってかかります。
「具体的にはどのように実施されたのですか?」
「なぜやろうと思ったのですか?」
「苦労された点はどこですか?」
「問題やトラブルをどうやって乗り越えられたの
ですか?」
などと、どんどん掘り下げていくのです。
そのように掘り下げていきますと、徐々に実態が
明らかになり、本当のこと、盛られていること、
嘘だったことなどが整理されてくるものです。
盛りや嘘が悪いとはいえません。入りたい会社の
面接なのですから、多少はあって当然でしょう。
問題はその内容が「許せるか、許せないか」に
あります。
とことん炙り出した上で、
「その欠点を受け入れることができるか?
許すことができるか?」
と自問します。この問いに「YES」の回答が
出たら大丈夫。
もしその欠点が顔を出したとしても、
「YESを出した自分の責任」
ですから、納得ずくで指導することができるでしょう。
しかし、そうでなかったら、「やっぱりだめだったか」
となってしまう可能性が高まります。
その失望感の中では、育成の意欲も失われてしまい
ます。
採用活動とは、「入れてはいけない人を入れない」
活動と認識し、面接においては『性“悪”説』で両目を
見開いて臨む。
しかし、一旦採用したら『性“善”説』で片目をつむって
指導する。そういう姿勢が必要なのだと思います。