本日は、“方針”について考えてみたいと思います。
先日、「生産性を高めるためのアドバイスが欲しい」
という会計事務所の先生がご来社されました。
その事務所では以前、他のコンサルタントの指導を
受けていたとのことですが、どうしても受け入れない
ことがあって、お断りになったとのこと。
その内容とは、品質に対する考え方だったそうです。
その事務所では、より高い品質を目指すことを使命と
されていましたが、そのコンサルタントの指導は
生産性の向上が何よりも優先され、そのためであるなら
「品質に関しては80点で構わない」という指導方針で、
「それがどうしても受け入れられなかった」のだそうです。
私は、そのコンサルタントの方の考え方が間違っているとは
思いません。
品質と効率は、往々にして相反する関係にあります。
そして、それらに対する方針は、どちらが正しく、どちらが
間違っていると言い切ることはできません。
いずれであったとしても、決められた方針に基づくとき、
その組織の活動は経営的なものであるといえるのであり、
またその方針の違いが、他の組織との違いを表すもので
あるからです。
要するに、組織はどのような方針をもとうと自由であり、
そこに正誤はないということです。
しかし、方針の違いがあるにも関わらず、方法論だけを
取り入れようとすることには無理があります。
1年間の月日を通してそのことに気付かれたその先生が
当社にお声掛けいただいたのは、当社の
「99点の仕上がりは0点と同じ。
常に最低100点の仕事にプラスαしてはじめて
プロとしての報酬をいただけることを心得ること」
という方針に共感されたからだとのことです。
私どもの考えが正しいか、また、私たちの取り組みが
ベストであるかどうかは別にして、正しい選択の視点
だと思います。
世の中にはたくさんの『成功事例』があります。
そして、その事例に学ぼうとする姿勢は大切です。
しかし、その成功には前提があります。その前提を
よく精査して、自社に適合するものを取り入れていく、
そういう姿勢が必要なのだと思います。