本日は、“危機”について考えてみたいと思います。
人が危機的状況に陥ったとき、どのような姿勢が
必要だと思われますか。
以前、元請会社のトラブルの影響を受け、急速に
業績が悪化したという会社の社長から相談を受けた
ことがありました。
とても苦しい状況の中、大変な努力をされている
ことはひしひしと伝わってきましたが、言葉の
端々に表れる社員さんに対する愚痴・ぼやき、
またトラブルを起こした元請への怒りや恨みに、
少々違和感を覚えました。
大切なことをお忘れになっているように感じたの
です。
そこで、次の2つのことをお伝えしました。
まずは『恩の自覚』をすること。
今は苦しいかも知れませんが、ここまで会社を
発展させてくださったのは、間違いなくその元請
会社であり、その要求・要望に応え、会社を支えて
下さった社員さんたちです。
更には、この会社を創り、残してくださったご両親や
ご先祖様への恩は忘れてはいけません。
特に、いのちの根元である両親やご先祖様に対しては、
一層の『恩の自覚』が必要です。
「お墓参りには行かれていますか?」とお尋ねすると、
ここ数年行かれていないとのことでしたので、少なく
とも月1回はお墓参りをしていただくようにお伝え
しました。
『恩の自覚』ができれば、感謝と報恩の心が自然と
生まれ、お世話になった方々へのご恩返しとしての
「何とかしたい」という心が芽生えるものです。
愚痴やぼやき、怒りや恨みというマイナスのパワー
ではなく、感謝・報恩、「人のために尽くしたい」
というプラスのパワーでものごとを考えることが
大切であるとお伝えしました。
二つ目に、信念をもって語ることができる『言葉』を
もつことです。
お聴きすれば、社員さんに語られる最も多いフレーズは、
「仕方がないじゃないか!」とのこと。
これでは、業績で落ち込んだ社員さんの心は、さらに
沈んでいってしまうことでしょう。
そこで、
「今の仕事の魅力は何か」
「将来はどんな会社にしたいのか」
などについて、ご自身の思いを明らかにしていただき、
それを具体的な言葉として信念をもって伝え続けて
いくことが大切であるとお伝えしました。
この会社に限らず、危機的状況に陥ったときにこそ、
『恩の自覚』と『信念の言葉』が必要なのだと思います。

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