本日は、“マニュアル”について考えてみたいと思います。

 

“マニュアル”を否定的に捉えられる方がいらっしゃいますが、 

それは、個性がなくなるとか、臨機応変の対応が阻害される、

といった理由であるようです。

 

しかし、私はそうは思いません。

 

「マニュアル」によって標準化された行動の上に、

その人の個性なり、臨機応変な対応をオンすればよいのです。

 

“働き方改革”によってどんどん「働けなくなる」時代に、

標準化された効果的・効率的な行動がベースにあるかないかは、

非常に重要かつ大きな違いが生じることになると思います。

 

一方で、「マニュアルを作っても使えない」との声も聴かれます。

その理由は、おおむね次のような内容であるようです。

 

□ひとつのゴール(業務の終わりの姿)に対して、

複数の方法が提示されていて、

どの方法でやったらよいかがわからない。

 

□専門用語を理解していることが前提となっていて、

知識がないと使えない。

 

□文字情報によって構成されていて、

理解をするのに時間がかかる。

 

結果として、
 「知っている人に聴いた方が早い」
となってしまっては本末転倒です。

 

せっかくマニュアルがあるのにも関わらず、

聴かれることによって自分の仕事の時間を奪われるわけです。

何とももったいない話ですね。

 

では、これらの問題を解消するためにはどうしたらよいのでしょうか?

ポイントは、次の4点です。

 

①ひとつのゴールに対して、最も効果的・効率的な方法を抜粋する

(複数の方法を認めない)

 

②初めての人がやってもできる状態にするために極力文字を減らし、

画像を多用する

 

③初めてやる人が指示を受けながら作る。

 

④マニュアルに基づいて実施し、

わからないところを聴きながらメンテナンスしていく。

 

マニュアルに従って仕事をすることによって、
仕事の内容がわからないまま仕事をすることになるのではないか、

といった疑問を感じられる方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

でも大丈夫です。

人間には“知的欲求”というものがあります。

「知りたい」という欲求です。

 

訳も分からずに仕事をしていると、

「何でこんなことするんだろう?」

「これはどういう意味なんだろう?」

という疑問が生じます。

 

そしてその疑問がどんどん膨らんでいき、

「どうしても知りたい!」

という強い願望に変化します。

 

そのとき初めて人間は心から

「教えてください!」

という気持ちになるものです。

 

その感情が芽生えたとき、

乾いたスポンジが水をスーッと吸い込むように、

人は知識を吸収していきます。

 

これから何をやるかわからない状態で知識を与えても、

「何をするんだろう」という意識に満たされたコップの中に、

さらに水を入れようとするようなものです。

 

「知りたい!知りたい!知り尽くしたい!」

 

という“知的欲求”を引き釣り出すようなマニュアルを、

ぜひ作っていただきたいと思います。