司法試験用語集

2014年12月11日

*赤字が更新部分

【あ】
●IRAC(あいらっく)
問題提起(issue)、規範定立(rule)、あてはめ(application)、結論(conclusion)のこと。論理的思考の基本構造であり、受験界では「法律文書の作法」として叩き込まれる。所謂「法的三段論法」をより一般化し、問題提起を付け加えたものということが出来るだろう。
昔から受験界にあった概念では無く、ロースクール構想ができたときにアメリカのロースクールで言われていたことが輸入されたようである。ただ、判例法であるアメリカにおいては、Aはapplicationではなくanalysis(解析)であり、色んな判例からの射程を検討する段階らしい。


●赤本(あかほん)
伊藤塾の出している論文問題集。別名塾赤本。
予備校の出している問題集の中では頭一つ抜けていると評されることが多い。より赤くなった第2版では、新司法試験に対応して長文の「ケース」と呼ばれる問題が加わり、パワーアップした。

●青本(あおほん)
①有斐閣の出している、青い基本書。
②特に良く使われる山口厚先生の「刑法」を指して単に「青本」ということもある。高橋先生の「立憲主義と日本国憲法」も時々見かけるが、「青本」と聞いてそちらを思い浮かべる人は少ないだろう。

●肢(あし)
択一問題における、個々の選択肢のこと。肢を「あし」と呼んで選択肢の一つ、という意味として捉える語法は司法試験界以外ではまず見つからず、これは明らかな業界用語である。

●肢別(あしべつ)
辰巳が出版している、択一問題を分解し、肢一つ一つのマルバツで答えられるようにした短答問題集。
書籍名が「短答肢別本」になったり「肢別本」になったりと、ブレがある。また、類似の本としてWセミナーの「考える肢」や伊藤塾の「マコタン」があるが、これらも肢別本ということがある。つまり、固有名詞としての「肢別」と普通名詞としての「肢別」という二通りの使い方があるということになる。

見開きで左側に問題、右側に解答が乗っており、隙間時間にどんどん解いていけること、択一式問題集と違って必ず全ての「問いかけ」にこたえることになるため、穴なく演習できることが強みとされている。
他方で、肢別本を解くことは単純作業になりがちで精神的につらいこと、本試験の形式とは異なること、択一問題とことなり複数の知識を有機的に関連させて記憶する・分野横断的な理解を養うといった勉強はし辛いといったデメリットもある。メリット・デメリットはそれぞれ否定しがたいが、大事なことは、メリット・デメリットを理解したうえで自分に合ったものを選択することであるように思う。ただ、肢別本の売りの一つは「隙間時間にできること」であるため、机の前でまとまった時間が取れるときに1時間2時間肢別本をやり続けるというのは本来予定された使い方ではないようには思う。

●アマゾン次郎
Amazonの法律関係書のレビューを多く書いている人。レビューを見る限り、弁護士らしい。基本的に辛口の評価とコメントで、他の人が星4~5にしている本であっても、星1にしていることも多い。

【い】
●一行問題
 問題文が一行しかない問題のこと。「一行で回答する問題」(簡易記述)ではない。「~について論ぜよ。」という問題形式をとることが多い。
 きわめて高い構成力と正確な知識、横断的理解を問うことができる問題であり、少なくとも、「法律がわかっているか」を問う試験としては、事例問題よりもむしろ一行問題の方が適しているといえるだろう。確かに実務家登用試験としては一行問題は不適なのかもしれないが、法律の勉強という観点からは、初学者が解いてみる意義は大きいし、また、解くたびに新しい発見が見える問題形式でもある。


●伊藤真(いとうまこと)
司法試験界の名物講師。伊藤塾塾長。身長187センチ。
キャラ漬けが強すぎて特徴的なエピソードが多く、それらを書きだすだけで数万字のレポートになってしまう。用語辞典の趣旨に反するため、詳述は避ける。


●イトシン
民事訴訟法学者である伊藤眞先生の略称。→伊藤眞
「眞」の読みはもちろん「まこと」であるが、同姓同名の伊藤真との混同を避けるためこの様に呼ばれることがある。

●井上治典(いのうえはるのり)
法学界の名門・井上一族の一人。父は刑事法を専攻する井上正治。
井上治典自身は民事訴訟法専攻。所謂「手続保障の第三の波」の中心人物の一人であり、基本書を書いていないため学部生にはあまり知られていないが、ロー生にとっては割と有名な学者の一人。ロースクール民訴や重点講義でよく名前が出てくるからである。
存命していれば民訴界の重鎮になっていく可能性もあったが、2005年に息子に刺されて死亡した。息子は心神喪失であったとして不起訴処分。享年64歳。

【う】
●上三(うえさん)
 憲法・民法・刑法のこと。試験との関係では、旧司法試験において択一試験が課されていた科目として、この括りに意味があった。平成二七年から択一が三科目になるため、再びこの括りをする意義は大きくなったと言える。

●内民(うちみん)
内田貴先生の「民法」Ⅰ~Ⅳのこと。
初学者がとっつきやすい口語で書かれていることと、何より、同じ著者で民法全体を学べることから、一気に広まったものだと考えられる。初学者がわかりやすい順序で勉強できるよう、敢えて体系を崩して書いている。逆にそれは中上級者にとっては使いづらく感じることがあるようである。また、通説の説明を短くし、独自説を展開しているところも少なくない。

最近は各分野でわかりやすい「教科書」も増えたが、逆に、同じ著者で民法全体を学べるという本は出なくなった。内田民法以降だと、平野先生のコアテキストぐらいしか無いのではないか?そのため、内民にとって代わるシリーズ本は原状あまり無い状況である。まあ、揃えたければ一世を風靡した近江民法講義や、川井民法もあるが・・・。

【え】
●A(えー)
被疑者、あるいは被告人の略語。The accusedから。被告人質問をAQということもある。

【お】
●オウム返し(おうむがえし)
主として、問題文の問いかけなどを答案冒頭に引用すること。古い予備校答案に多い。
「点数は入らない」「書くだけ無駄」と嫌う人も多い。とは言え、オウム返しを書いている人も恐らくそこで点数を稼ぐつもりはあるまい。答案の書き出しでオウム返しをすることで流れを作りやすくしたり、あるいは、問いからズレないことを自分自身に意識づけることで、間接的に答案の質を上げるためのテクニックである。これを使うかどうかはまあ、その人の能力や好みの問題である。

●岡崎敬(おかざき けい)
伊藤塾講師。元々は、「丹野博行」という偽名で講師をしていたが、数年前に実名を公表した。熱血系弁護士で、憲法・刑訴では複数の百選・重版判例を手掛けている。大分年齢が行っているように見えるが、実は伊藤真より少し年下である。東大学部時代は、民訴の新堂ゼミに所属していた。

他の伊藤塾講師と異なり、司法試験予備校出身者では無いため、他の伊藤塾講師とは講義スタイルが異なる。実務話が多かったり、いわゆる予備校的な「マーキング箇所の指定」を嫌がる。



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2014年12月03日

*赤字が更新部分

【あ】
●赤本(あかほん)
伊藤塾の出している論文問題集。別名塾赤本。
予備校の出している問題集の中では頭一つ抜けていると評されることが多い。より赤くなった第2版では、新司法試験に対応して長文の「ケース」と呼ばれる問題が加わり、パワーアップした。

●肢(あし)
択一問題における、個々の選択肢のこと。肢を「あし」と呼んで選択肢の一つ、という意味として捉える語法は司法試験界以外ではまず見つからず、これは明らかな業界用語である。

●肢別(あしべつ)
辰巳が出版している、択一問題を分解し、肢一つ一つのマルバツで答えられるようにした短答問題集。
書籍名が「短答肢別本」になったり「肢別本」になったりと、ブレがある。また、類似の本としてWセミナーの「考える肢」や伊藤塾の「マコタン」があるが、これらも肢別本ということがある。つまり、固有名詞としての「肢別」と普通名詞としての「肢別」という二通りの使い方があるということになる。

見開きで左側に問題、右側に解答が乗っており、隙間時間にどんどん解いていけること、択一式問題集と違って必ず全ての「問いかけ」にこたえることになるため、穴なく演習できることが強みとされている。
他方で、肢別本を解くことは単純作業になりがちで精神的につらいこと、本試験の形式とは異なること、択一問題とことなり複数の知識を有機的に関連させて記憶する・分野横断的な理解を養うといった勉強はし辛いといったデメリットもある。メリット・デメリットはそれぞれ否定しがたいが、大事なことは、メリット・デメリットを理解したうえで自分に合ったものを選択することであるように思う。ただ、肢別本の売りの一つは「隙間時間にできること」であるため、机の前でまとまった時間が取れるときに1時間2時間肢別本をやり続けるというのは本来予定された使い方ではないようには思う。

●アマゾン次郎
Amazonの法律関係書のレビューを多く書いている人。レビューを見る限り、弁護士らしい。基本的に辛口の評価とコメントで、他の人が星4~5にしている本であっても、星1にしていることも多い。

【い】
●一行問題
 問題文が一行しかない問題のこと。「一行で回答する問題」(簡易記述)ではない。「~について論ぜよ。」という問題形式をとることが多い。
 きわめて高い構成力と正確な知識、横断的理解を問うことができる問題であり、少なくとも、「法律がわかっているか」を問う試験としては、事例問題よりもむしろ一行問題の方が適しているといえるだろう。確かに実務家登用試験としては一行問題は不適なのかもしれないが、法律の勉強という観点からは、初学者が解いてみる意義は大きいし、また、解くたびに新しい発見が見える問題形式でもある。

●イトシン
民事訴訟法学者である伊藤眞先生の略称。→伊藤眞
「眞」の読みはもちろん「まこと」であるが、同姓同名の伊藤真との混同を避けるためこの様に呼ばれることがある。

【う】
●上三(うえさん)
 憲法・民法・刑法のこと。試験との関係では、旧司法試験において択一試験が課されていた科目として、この括りに意味があった。平成二七年から択一が三科目になるため、再びこの括りをする意義は大きくなったと言える。

●内民(うちみん)
内田貴先生の「民法」Ⅰ~Ⅳのこと。
初学者がとっつきやすい口語で書かれていることと、何より、同じ著者で民法全体を学べることから、一気に広まったものだと考えられる。初学者がわかりやすい順序で勉強できるよう、敢えて体系を崩して書いている。逆にそれは中上級者にとっては使いづらく感じることがあるようである。また、通説の説明を短くし、独自説を展開しているところも少なくない。

最近は各分野でわかりやすい「教科書」も増えたが、逆に、同じ著者で民法全体を学べるという本は出なくなった。内田民法以降だと、平野先生のコアテキストぐらいしか無いのではないか?そのため、内民にとって代わるシリーズ本は原状あまり無い状況である。まあ、揃えたければ一世を風靡した近江民法講義や、川井民法もあるが・・・。

【え】
●A(えー)
被疑者、あるいは被告人の略語。The accusedから。被告人質問をAQということもある。

【お】
●オウム返し(おうむがえし)
主として、問題文の問いかけなどを答案冒頭に引用すること。古い予備校答案に多い。
「点数は入らない」「書くだけ無駄」と嫌う人も多い。とは言え、オウム返しを書いている人も恐らくそこで点数を稼ぐつもりはあるまい。答案の書き出しでオウム返しをすることで流れを作りやすくしたり、あるいは、問いからズレないことを自分自身に意識づけることで、間接的に答案の質を上げるためのテクニックである。これを使うかどうかはまあ、その人の能力や好みの問題である。

●岡崎敬(おかざき けい)
伊藤塾講師。元々は、「丹野博行」という偽名で講師をしていたが、数年前に実名を公表した。熱血系弁護士で、憲法・刑訴では複数の百選・重版判例を手掛けている。大分年齢が行っているように見えるが、実は伊藤真より少し年下である。東大学部時代は、民訴の新堂ゼミに所属していた。

他の伊藤塾講師と異なり、司法試験予備校出身者では無いため、他の伊藤塾講師とは講義スタイルが異なる。実務話が多かったり、いわゆる予備校的な「マーキング箇所の指定」を嫌がる。

【か】
●学圧(がくあつ)
 勉強量、学力の差により感じる心理的圧力。とある司法試験受験生が提唱した。強い学圧を感じたときには動機、眩暈に始まりその他心身に重大な影響を及ぼすことがあり、これを急性学圧中毒という。

【き】
●緊逮(きんたい)
刑事訴訟法における緊急逮捕のこと。

●議論結界(ぎろんけっかい)
ロースクールの廊下などでみられる。学生同士の議論が白熱しており、他の人が会話に入り込めない・議論している人自身がその場から離れられなくなっている状態。

使用例:「自習室の前で議論結界張ってる人達が居て入りづらいんだけど。」

●金獅子の一族(きんじしのいちぞく)
行政法界に君臨する、行政法力の強い一族。日本人とは思えない金髪が目印。一族の中には、世界を滅ぼす力を持った者も居る。・・・という、「行政法ガール」における設定。

●銀狼の一族(ぎんろうのいちぞく)
憲法界に君臨する、憲法力の高い一族。日本人とは思えない銀髪が目印。・・・という、「憲法ガール」「行政法ガール」における設定。


【く】
●具錯(ぐさく)
「具体的事実の錯誤」のこと。

●グレイズ(ぐれいず)
grazeとは、「かする」こと。司法試験においては、「長々と書くことでは無いが、一言触れておけば加点になりそうなところ」に触れていくこと。一つ一つは点数は大きくないため、グレイズができること自体は恐らく合格要件では無い。しかし、特に民事系において、上位再現答案は概してグレイズが極めて上手い。


【け】
●計画(けいかく)
 目標、あるいは自分への嫌味。達成不可能という点に目を瞑れば完璧な計画が立てられることは多い。


●現逮(げんたい)
「現行犯逮捕」の略称。

●原自行為(げんじこうい)
「原因において自由な行為」の略称。


【こ】
【さ】
●最後の墓場(さいごのはかば)
新訴訟物理論開祖・三ヶ月章が放った、実体法説(旧訴訟物理論)に対する勝利宣言。

「訴えの選択的併合は、旧訴訟物理論がたどり着いたその最後の墓場である。」

理論的な面を、ごくかいつまんで言えば…新訴訟物理論においては、選択的併合というのは観念できない。選択的併合は、旧訴訟物理論をとった上で、結論の妥当性を保つために出てくる考えである。しかし、審判対象である「訴訟物」について、原告は選択的に併合できるというのは原告にあまりに便宜を与えるものである。また、裁判所が裁量で一方の訴訟物につき審判するというのも、処分権主義の観点から言えば裁判所にあまりに権限を与えすぎている。要するに、選択的併合は、訴訟物を攻撃防御方法のように扱う、奇妙な考えと言わざるを得ない。
これはもう、苦し紛れに出した理論なのが見え見え。ほら、もう理論が崩壊していることが露呈してきているな?訴えの選択的併合は、旧訴訟物理論がたどり着いたその最後の墓場である。

まあ、大体こんな感じの内容である。
その何とも言えないおしゃれな言い回しは法学徒の間でも流行し、様々な場面で使われることになった。

使用例:「法科大学院共通到達度試験は、法科大学院制度がたどり着いたその最後の墓場である。」

●佐藤幸治
 日本を代表する憲法学者。アメリカ流・行間のある芦部憲法に対して、ドイツ流・論理的な基本書を書いたことで、旧司法試験時代には佐藤憲法は一時代を築いた。
 司法制度改革の中心となった「三傑」の一人で、三傑の中では唯一の学者出身者。予備校教育に対する怨恨が深く、国会答弁における枝野VS佐藤では、「予備校教育については直接調べたことはない」が「おそらく良くない」し、「法科大学院ならよい教育ができる」という旨のことを述べた。

【し】
●辞書(じしょ) 
 わからないことがあったときだけ参考にする本。分厚いため通読しがたいが、情報量は多い本をいう。典型的には、江頭先生の「株式会社法」、高橋宏先生の「重点講義民事訴訟法」等を言う。

●資料収集生
 膨大な量のレジュメや資料、参考書を集めている人の事。どちらかというと、「資料ばかり集めてあんまり勉強していない」というマイナスの意味を込めて呼ばれることが多い。

【す】
●スーパードライ
 憲法学者・長谷部恭男先生のこと。そのクールなテンションは、長谷部スーパードライ。

【せ】
●選択科目(せんたくかもく)
 新司法試験においては、労働法、倒産法、知的財産法、租税法、経済法、環境法、国際私法、国際公法の8科目のこと。先端科目とも呼ばれる。労働法は3割の受験者が選択するのにたいして、国際公法は1%しか選択しないなど、一口に選択科目と言っても格差がある。基本的に特定科目選択者の合格率に差は無い(大体平均合格率付近に収束する)が、国際公法選択者だけは合格率10%前後と極端に低いというのが特徴的である。
 基本7科目が2時間の論文式+短答式であるのに対して、選択科目は3時間の論文式試験のみが課される。問題のレベルは基本7科目に比べれば低く、書く量も時間の割には少ない(答案用紙が、2時間試験の基本7科目と同じく8ページ)ため、試験委員が求めているものに応えるための勉強は、当然基本7科目に比べれば少なくて済む。ただし、試験のトップバッターであるため、選択科目で失敗しないというのは単に1科目失敗しないという以上の意味があるという考え、あるいは、どこかで1桁を取るとしたら選択科目が一番取りやすいという考えから、戦略的に選択科目に力を入れる人も居る。
 どこのロースクールにもまんべんなく各選択科目の教授がいるといわけではなく、明らかに、ロースクール毎に特定の選択科目に強い、弱いというのは存在する。将来やりたい分野とは関係ないが、試験戦略上有利な選択科目を選択するという考えをする考えもあり得る。とりわけ、国際私法はその範囲の狭さから、「選択科目の負担を減らすために」選択する受験生も多い。国際私法は、徐々に人気が出始め、平成26年には遂に選択者1000人を突破した。
 法曹養成制度審議会においては、平成25年、「論文式試験の科目数削減については、選択科目の廃止も含めて検討する」という指針が示され、選択科目がなくなる可能性が示唆された。ただ、「廃止も含めて検討」という表現にとどまる現段階では、しばらくは廃止されないのであろうと推測される。

 旧司法試験においても、選択科目性がとられていた時代がある。1992年までは、上三法+商法が必修科目であり、第5科目として訴訟法どちらか、第6科目として法律選択科目(民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法・破産法・労働法・国際公法・国際私法・刑事政策の8科目)、第7科目として教養選択科目(政治学・経済原論・財政学・会計学・心理学・経済政策・社会政策の7科目)が存在した。この時代、最も楽なコンボは刑事訴訟法→刑事政策→社会政策と考えられた。
 その後、1992年に教養科目廃止、2000年に両訴必修・法律選択科目が廃止された。


●占離(せんり)
「占有離脱物」の略称。占有離脱物横領を「センリ横領」と言ったりする。


【そ】
【た】
●択一逃切戦法(たくいつにげきりせんぽう)
 択一:論文が1:4だったころ、辰巳が提唱した司法試験合格戦略。
 努力すれば確実に点数が伸びる択一を重点的に勉強することで択一で高得点を取り、論文はひたすら守りきることで確実な合格を目指すという戦法。択一が論文二科目分あったこともありこの戦法は一定程度受験生の間に受け入れられ、択一戦争がデッドヒートした。

●短パ(たんぱ)
辰巳出版の「短答過去問パーフェクト」のこと。一般的には、「たんぱ」は誕生日パーティの事を指すが、寂しい受験生にそんなものは無い。
「規模」の辰巳らしく、各問題ごとに正答率が載っているのが特徴的である。市販の問題集の中では、解説が最も長く、それを嫌う人も居る。ただ、あてはめ型の問題において、解説が必ず問題提起→規範定立→あてはめ→結論の形を必ず守っているのは、辰巳の流儀を感じさせる。

【ち】
●チャージ(ちゃーじ)
答案上で、より時間と紙面を割いて答えること。配点が多いであろうと見ぬいた部分や、そうでなくとも他の設問であまり点数は取れそうにないと感じたときに使う。答案のメリハリ付けにおける、「ハリ」の部分を書くことである。

使用例:「図利加害目的のところは使える事情も多かったしチャージかけたわ。」


●抽錯(ちゅうさく)
「抽象的事実の錯誤」のこと。

【つ】

●漬物石(つけものいし)
→辞書 のこと。


【て】
●天丼(てんどん)
 同じキーワードを何度も繰り返すこと。元々は、お笑い用語。
 理論問題、特に一行問題においては、一つのキーワードで複数の分野にまたいだ説明をすることは体系的理解を示すことができるとされ、受験テクニックとして広まった。伊藤塾では、「リフレイン」という名称で教えている(赤本はしがき参照)。

【と】
【な】
【に】
●入院(にゅういん)
精神病棟であるロースクールに入学すること。


【ぬ】
【ね】
【の】
●脳筋問題(のうきんもんだい)
理論面はわかりやすいが、問題文に使う事情が沢山あるためひたすら事実引用・評価・あてはめをしなければならない問題。こういった問題で相対上位を得るためには、まず8ページ書ききることが前提になる。ハイレベルな戦いになりやすく、主観的にはできたと思っても順位は伸び悩むことも多い。

 →パワープレイ

【は】
●パー論
LECの司法試験答練「論文パーフェクト答練」のこと。「論パ(論証パターン)」との混同を避けるため、「論パー」という呼び方が避けられる。

●パワープレイ
筆記力・速記力に任せ、書こうと思ったものをひたすら書いていくスタイル。こういったプレイをする場合、意図的に「余事記載になるかもしれないが、それも構わない」ぐらいの感覚で試験に臨む人も居る。

【ひ】
●人型対司法試験兵器(ひとがたたいしほうしけんへいき)
「司法試験の問題を解く」ということに特化した法学徒。受験生のあるべき姿と言えばあるべき姿とも言える。法科ロイドであることも多い。→【人型対司法試験「最終」兵器】

●人型対司法試験最終兵器(ひとがたたいしほうしけんさいしゅうへいき)
目の前に生きた問題が存在する限り回答(こうげき)を辞めない、文字通り究極の司法試験兵器。制御できないのが璧にキズ。

【ふ】
【へ】
●ベテラン
 司法試験受験生の期間が長い人のこと。ヴェテ。ベテ。
 熟練者として尊敬されるというよりは、「いくら勉強しても受からない」という憐れみの意味が込められることが多い。一般に、ヴェテは知識量は多く、それでも落ちるのは何故かという理由は、ヴェテでない受験生にとっても重要な情報になるだろう。

●ペー論
 伊藤塾の司法試験答練「ペースメーカー論文答練」のこと。

【ほ】
●法科ロイド(ほうかろいど)
法学ネタでしかコミュニケーションがとれなくなってしまった人のこと。元ネタはボーカロイド(特に初音ミク)の設定。初音ミクは、「音楽を通してしかコミュニケーションがとれない」という設定である。

【ま】
【み】
【む】
【め】
【も】
【や】
【ゆ】
【よ】
【ら】
【り】
●力戦憲法(りきせんけんぽう)
 憲法学者・木村草太先生が書いているblog。

●両訴(りょうそ)
 民事訴訟法・刑事訴訟法のこと。
  →上三、下三、上四、下四、商訴
【る】
【れ】
●冷蔵庫問題(れいぞうこもんだい)
受験生の共通言語を生む「過去問」の中でも著名問題の一つ、平成7年民法第1問。民法全体を見渡し、基本からじっくり考えていくタイプの問題であり、旧司法試験の中でも難度は高め。

【ろ】
●法働者(ろーどうしゃ)
「法」に従事し、労働をささげる人々のこと。受験生も広い意味ではこれに含まれる。

●論証パターン
 法律解釈をする際の「論証」をあらかじめ「答案に書く形」にしておいたもの。
 伊藤真が受験時代に作り、LEC講師時代に受験界に広めた試験対策技術であり、道具である。試験は時間と体力の戦いであるため、あらかじめ用意しておける部分は用意しておき、止まらず、頭を使わず、正確に論証できるようにしておく、というのが目的である。
 もともとは、伊藤真が大学受験使い、そして効を奏した数学の「解法パターン」に由来がある。少なくとも受験数学は、多くの解法をパターンとして正確に記憶することが最も得点を伸ばすコツであり(時間内に、自力で先人の残した「解法」に辿り着くことは、常人には難しい)、それは現在も変わらない。
 その後、伊藤真はこの受験技術を司法試験に転用する。伊藤真が学生時代、そういった勉強をしている者は周りにおらず、「基本書を読んだ回数」が戦闘能力の基準となっていたため、伊藤真は不安になることもあったらしい。ただ、先輩から「お前そんな勉強してるのか。それじゃあ受からないぞ。基本書読まなきゃ。俺はもう25回読んだ。」と言われて5つの「正」の字が書かれた基本書を見せられたが、それに対しては「でもこの先輩も受かってないしなぁ。」と思ったらしい。

 自己の合格体験から論証パターンが有効であることを確信した伊藤は、受験界に論証パターンという技術を紹介し、これを広める。それに対して司法試験委員・学者は反発した。自分の頭で考えていない答案・受験生が増えた。論証パターンが、法学徒の思考力を奪っている、という理由からくる反発だと思われる。
 これが、予備校と(殆どの学者が所属している)大学との、深い溝を生み出した。司法試験界におけるもっとも大きな対立構造である予備校VS大学教授という構造は、論証パターンを契機に明確化し、激化していく。繰り返される予備校批判の末辿り着いたのが「法科大学院制度」「新司法試験」なのだとすれば、論証パターンの発明と普及は、司法試験界においてきわめて重要なターニングポイントだったということができるだろう。

【わ】
【を】
【ん】





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2014年11月19日

*赤字が更新部分

【あ】
●赤本(あかほん)
伊藤塾の出している論文問題集。別名塾赤本。
予備校の出している問題集の中では頭一つ抜けていると評されることが多い。より赤くなった第2版では、新司法試験に対応して長文の「ケース」と呼ばれる問題が加わり、パワーアップした。

●肢(あし)
択一問題における、個々の選択肢のこと。肢を「あし」と呼んで選択肢の一つ、という意味として捉える語法は司法試験界以外ではまず見つからず、これは明らかな業界用語である。

●肢別(あしべつ)
辰巳が出版している、択一問題を分解し、肢一つ一つのマルバツで答えられるようにした短答問題集。
書籍名が「短答肢別本」になったり「肢別本」になったりと、ブレがある。また、類似の本としてWセミナーの「考える肢」や伊藤塾の「マコタン」があるが、これらも肢別本ということがある。つまり、固有名詞としての「肢別」と普通名詞としての「肢別」という二通りの使い方があるということになる。

見開きで左側に問題、右側に解答が乗っており、隙間時間にどんどん解いていけること、択一式問題集と違って必ず全ての「問いかけ」にこたえることになるため、穴なく演習できることが強みとされている。
他方で、肢別本を解くことは単純作業になりがちで精神的につらいこと、本試験の形式とは異なること、択一問題とことなり複数の知識を有機的に関連させて記憶する・分野横断的な理解を養うといった勉強はし辛いといったデメリットもある。メリット・デメリットはそれぞれ否定しがたいが、大事なことは、メリット・デメリットを理解したうえで自分に合ったものを選択することであるように思う。ただ、肢別本の売りの一つは「隙間時間にできること」であるため、机の前でまとまった時間が取れるときに1時間2時間肢別本をやり続けるというのは本来予定された使い方ではないようには思う。

●アマゾン次郎
Amazonの法律関係書のレビューを多く書いている人。レビューを見る限り、弁護士らしい。基本的に辛口の評価とコメントで、他の人が星4~5にしている本であっても、星1にしていることも多い。

【い】
●一行問題
 問題文が一行しかない問題のこと。「一行で回答する問題」(簡易記述)ではない。「~について論ぜよ。」という問題形式をとることが多い。
 きわめて高い構成力と正確な知識、横断的理解を問うことができる問題であり、少なくとも、「法律がわかっているか」を問う試験としては、事例問題よりもむしろ一行問題の方が適しているといえるだろう。確かに実務家登用試験としては一行問題は不適なのかもしれないが、法律の勉強という観点からは、初学者が解いてみる意義は大きいし、また、解くたびに新しい発見が見える問題形式でもある。

●イトシン
民事訴訟法学者である伊藤眞先生の略称。→伊藤眞
「眞」の読みはもちろん「まこと」であるが、同姓同名の伊藤真との混同を避けるためこの様に呼ばれることがある。

【う】
●上三(うえさん)
 憲法・民法・刑法のこと。試験との関係では、旧司法試験において択一試験が課されていた科目として、この括りに意味があった。平成二七年から択一が三科目になるため、再びこの括りをする意義は大きくなったと言える。

●内民(うちみん)
内田貴先生の「民法」Ⅰ~Ⅳのこと。
初学者がとっつきやすい口語で書かれていることと、何より、同じ著者で民法全体を学べることから、一気に広まったものだと考えられる。初学者がわかりやすい順序で勉強できるよう、敢えて体系を崩して書いている。逆にそれは中上級者にとっては使いづらく感じることがあるようである。また、通説の説明を短くし、独自説を展開しているところも少なくない。

最近は各分野でわかりやすい「教科書」も増えたが、逆に、同じ著者で民法全体を学べるという本は出なくなった。内田民法以降だと、平野先生のコアテキストぐらいしか無いのではないか?そのため、内民にとって代わるシリーズ本は原状あまり無い状況である。まあ、揃えたければ一世を風靡した近江民法講義や、川井民法もあるが・・・。

【え】
●A(えー)
被疑者、あるいは被告人の略語。The accusedから。被告人質問をAQということもある。

【お】
●オウム返し(おうむがえし)
主として、問題文の問いかけなどを答案冒頭に引用すること。古い予備校答案に多い。
「点数は入らない」「書くだけ無駄」と嫌う人も多い。とは言え、オウム返しを書いている人も恐らくそこで点数を稼ぐつもりはあるまい。答案の書き出しでオウム返しをすることで流れを作りやすくしたり、あるいは、問いからズレないことを自分自身に意識づけることで、間接的に答案の質を上げるためのテクニックである。これを使うかどうかはまあ、その人の能力や好みの問題である。


●岡崎敬(おかざき けい)
伊藤塾講師。元々は、「丹野博行」という偽名で講師をしていたが、数年前に実名を公表した。熱血系弁護士で、憲法・刑訴では複数の百選・重版判例を手掛けている。大分年齢が行っているように見えるが、実は伊藤真より少し年下である。東大学部時代は、民訴の新堂ゼミに所属していた。

他の伊藤塾講師と異なり、司法試験予備校出身者では無いため、他の伊藤塾講師とは講義スタイルが異なる。実務話が多かったり、いわゆる予備校的な「マーキング箇所の指定」を嫌がる。

【か】
●学圧(がくあつ)
 勉強量、学力の差により感じる心理的圧力。とある司法試験受験生が提唱した。強い学圧を感じたときには動機、眩暈に始まりその他心身に重大な影響を及ぼすことがあり、これを急性学圧中毒という。

【き】
●緊逮(きんたい)
刑事訴訟法における緊急逮捕のこと。

【く】
●具錯(ぐさく)
「具体的事実の錯誤」のこと。


●グレイズ(ぐれいず)
grazeとは、「かする」こと。司法試験においては、「長々と書くことでは無いが、一言触れておけば加点になりそうなところ」に触れていくこと。一つ一つは点数は大きくないため、グレイズができること自体は恐らく合格要件では無い。しかし、特に民事系において、上位再現答案は概してグレイズが極めて上手い。

【け】
●計画(けいかく)
 目標、あるいは自分への嫌味。達成不可能という点に目を瞑れば完璧な計画が立てられることは多い。


●現逮(げんたい)
「現行犯逮捕」のこと。


【こ】
【さ】
●最後の墓場(さいごのはかば)
新訴訟物理論開祖・三ヶ月章が放った、実体法説(旧訴訟物理論)に対する勝利宣言。

「訴えの選択的併合は、旧訴訟物理論がたどり着いたその最後の墓場である。」

理論的な面を、ごくかいつまんで言えば…新訴訟物理論においては、選択的併合というのは観念できない。選択的併合は、旧訴訟物理論をとった上で、結論の妥当性を保つために出てくる考えである。しかし、審判対象である「訴訟物」について、原告は選択的に併合できるというのは原告にあまりに便宜を与えるものである。また、裁判所が裁量で一方の訴訟物につき審判するというのも、処分権主義の観点から言えば裁判所にあまりに権限を与えすぎている。要するに、選択的併合は、訴訟物を攻撃防御方法のように扱う、奇妙な考えと言わざるを得ない。
これはもう、苦し紛れに出した理論なのが見え見え。ほら、もう理論が崩壊していることが露呈してきているな?訴えの選択的併合は、旧訴訟物理論がたどり着いたその最後の墓場である。

まあ、大体こんな感じの内容である。
その何とも言えないおしゃれな言い回しは法学徒の間でも流行し、様々な場面で使われることになった。

使用例:「法科大学院共通到達度試験は、法科大学院制度がたどり着いたその最後の墓場である。」



●佐藤幸治
 日本を代表する憲法学者。アメリカ流・行間のある芦部憲法に対して、ドイツ流・論理的な基本書を書いたことで、旧司法試験時代には佐藤憲法は一時代を築いた。
 司法制度改革の中心となった「三傑」の一人で、三傑の中では唯一の学者出身者。予備校教育に対する怨恨が深く、国会答弁における枝野VS佐藤では、「予備校教育については直接調べたことはない」が「おそらく良くない」し、「法科大学院ならよい教育ができる」という旨のことを述べた。

【し】
●辞書(じしょ) 
 わからないことがあったときだけ参考にする本。分厚いため通読しがたいが、情報量は多い本をいう。典型的には、江頭先生の「株式会社法」、高橋宏先生の「重点講義民事訴訟法」等を言う。

●資料収集生
 膨大な量のレジュメや資料、参考書を集めている人の事。どちらかというと、「資料ばかり集めてあんまり勉強していない」というマイナスの意味を込めて呼ばれることが多い。

【す】
●スーパードライ
 憲法学者・長谷部恭男先生のこと。そのクールなテンションは、長谷部スーパードライ。

【せ】
●選択科目(せんたくかもく)
 新司法試験においては、労働法、倒産法、知的財産法、租税法、経済法、環境法、国際私法、国際公法の8科目のこと。先端科目とも呼ばれる。労働法は3割の受験者が選択するのにたいして、国際公法は1%しか選択しないなど、一口に選択科目と言っても格差がある。基本的に特定科目選択者の合格率に差は無い(大体平均合格率付近に収束する)が、国際公法選択者だけは合格率10%前後と極端に低いというのが特徴的である。
 基本7科目が2時間の論文式+短答式であるのに対して、選択科目は3時間の論文式試験のみが課される。問題のレベルは基本7科目に比べれば低く、書く量も時間の割には少ない(答案用紙が、2時間試験の基本7科目と同じく8ページ)ため、試験委員が求めているものに応えるための勉強は、当然基本7科目に比べれば少なくて済む。ただし、試験のトップバッターであるため、選択科目で失敗しないというのは単に1科目失敗しないという以上の意味があるという考え、あるいは、どこかで1桁を取るとしたら選択科目が一番取りやすいという考えから、戦略的に選択科目に力を入れる人も居る。
 どこのロースクールにもまんべんなく各選択科目の教授がいるといわけではなく、明らかに、ロースクール毎に特定の選択科目に強い、弱いというのは存在する。将来やりたい分野とは関係ないが、試験戦略上有利な選択科目を選択するという考えをする考えもあり得る。とりわけ、国際私法はその範囲の狭さから、「選択科目の負担を減らすために」選択する受験生も多い。国際私法は、徐々に人気が出始め、平成26年には遂に選択者1000人を突破した。
 法曹養成制度審議会においては、平成25年、「論文式試験の科目数削減については、選択科目の廃止も含めて検討する」という指針が示され、選択科目がなくなる可能性が示唆された。ただ、「廃止も含めて検討」という表現にとどまる現段階では、しばらくは廃止されないのであろうと推測される。

 旧司法試験においても、選択科目性がとられていた時代がある。1992年までは、上三法+商法が必修科目であり、第5科目として訴訟法どちらか、第6科目として法律選択科目(民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法・破産法・労働法・国際公法・国際私法・刑事政策の8科目)、第7科目として教養選択科目(政治学・経済原論・財政学・会計学・心理学・経済政策・社会政策の7科目)が存在した。この時代、最も楽なコンボは刑事訴訟法→刑事政策→社会政策と考えられた。
 その後、1992年に教養科目廃止、2000年に両訴必修・法律選択科目が廃止された。

【そ】
【た】
●択一逃切戦法(たくいつにげきりせんぽう)
 択一:論文が1:4だったころ、辰巳が提唱した司法試験合格戦略。
 努力すれば確実に点数が伸びる択一を重点的に勉強することで択一で高得点を取り、論文はひたすら守りきることで確実な合格を目指すという戦法。択一が論文二科目分あったこともありこの戦法は一定程度受験生の間に受け入れられ、択一戦争がデッドヒートした。

●短パ(たんぱ)
辰巳出版の「短答過去問パーフェクト」のこと。一般的には、「たんぱ」は誕生日パーティの事を指すが、寂しい受験生にそんなものは無い。
「規模」の辰巳らしく、各問題ごとに正答率が載っているのが特徴的である。市販の問題集の中では、解説が最も長く、それを嫌う人も居る。ただ、あてはめ型の問題において、解説が必ず問題提起→規範定立→あてはめ→結論の形を必ず守っているのは、辰巳の流儀を感じさせる。

【ち】
●チャージ(ちゃーじ)
答案上で、より時間と紙面を割いて答えること。配点が多いであろうと見ぬいた部分や、そうでなくとも他の設問であまり点数は取れそうにないと感じたときに使う。答案のメリハリ付けにおける、「ハリ」の部分を書くことである。

使用例:「図利加害目的のところは使える事情も多かったしチャージかけたわ。」


●抽錯(ちゅうさく)
「抽象的事実の錯誤」のこと。


【つ】


【て】
●天丼(てんどん)
 同じキーワードを何度も繰り返すこと。元々は、お笑い用語。
 理論問題、特に一行問題においては、一つのキーワードで複数の分野にまたいだ説明をすることは体系的理解を示すことができるとされ、受験テクニックとして広まった。伊藤塾では、「リフレイン」という名称で教えている(赤本はしがき参照)。

【と】
【な】
【に】
【ぬ】
【ね】
【の】
【は】
●パー論
LECの司法試験答練「論文パーフェクト答練」のこと。「論パ(論証パターン)」との混同を避けるため、「論パー」という呼び方が避けられる。

【ひ】
●人型対司法試験兵器(ひとがたたいしほうしけんへいき)
「司法試験の問題を解く」ということに特化した法学徒。受験生のあるべき姿と言えばあるべき姿とも言える。法科ロイドであることも多い。→【人型対司法試験「最終」兵器】

●人型対司法試験最終兵器(ひとがたたいしほうしけんさいしゅうへいき)
目の前に生きた問題が存在する限り回答(こうげき)を辞めない、文字通り究極の司法試験兵器。制御できないのが璧にキズ。


【ふ】
【へ】
●ベテラン
 司法試験受験生の期間が長い人のこと。ヴェテ。ベテ。
 熟練者として尊敬されるというよりは、「いくら勉強しても受からない」という憐れみの意味が込められることが多い。一般に、ヴェテは知識量は多く、それでも落ちるのは何故かという理由は、ヴェテでない受験生にとっても重要な情報になるだろう。

●ペー論
 伊藤塾の司法試験答練「ペースメーカー論文答練」のこと。

【ほ】
●法科ロイド(ほうかろいど)
法学ネタでしかコミュニケーションがとれなくなってしまった人のこと。元ネタはボーカロイド(特に初音ミク)の設定。初音ミクは、「音楽を通してしかコミュニケーションがとれない」という設定である。

【ま】
【み】
【む】
【め】
【も】
【や】
【ゆ】
【よ】
【ら】
【り】
●力戦憲法(りきせんけんぽう)
 憲法学者・木村草太先生が書いているblog。

●両訴(りょうそ)
 民事訴訟法・刑事訴訟法のこと。
  →上三、下三、上四、下四、商訴
【る】
【れ】
●冷蔵庫問題(れいぞうこもんだい)
受験生の共通言語を生む「過去問」の中でも著名問題の一つ、平成7年民法第1問。民法全体を見渡し、基本からじっくり考えていくタイプの問題であり、旧司法試験の中でも難度は高め。


【ろ】
●法働者(ろーどうしゃ)
「法」に従事し、労働をささげる人々のこと。受験生も広い意味ではこれに含まれる。


●論証パターン
 法律解釈をする際の「論証」をあらかじめ「答案に書く形」にしておいたもの。
 伊藤真が受験時代に作り、LEC講師時代に受験界に広めた試験対策技術であり、道具である。試験は時間と体力の戦いであるため、あらかじめ用意しておける部分は用意しておき、止まらず、頭を使わず、正確に論証できるようにしておく、というのが目的である。
 もともとは、伊藤真が大学受験使い、そして効を奏した数学の「解法パターン」に由来がある。少なくとも受験数学は、多くの解法をパターンとして正確に記憶することが最も得点を伸ばすコツであり(時間内に、自力で先人の残した「解法」に辿り着くことは、常人には難しい)、それは現在も変わらない。
 その後、伊藤真はこの受験技術を司法試験に転用する。伊藤真が学生時代、そういった勉強をしている者は周りにおらず、「基本書を読んだ回数」が戦闘能力の基準となっていたため、伊藤真は不安になることもあったらしい。ただ、先輩から「お前そんな勉強してるのか。それじゃあ受からないぞ。基本書読まなきゃ。俺はもう25回読んだ。」と言われて5つの「正」の字が書かれた基本書を見せられたが、それに対しては「でもこの先輩も受かってないしなぁ。」と思ったらしい。

 自己の合格体験から論証パターンが有効であることを確信した伊藤は、受験界に論証パターンという技術を紹介し、これを広める。それに対して司法試験委員・学者は反発した。自分の頭で考えていない答案・受験生が増えた。論証パターンが、法学徒の思考力を奪っている、という理由からくる反発だと思われる。
 これが、予備校と(殆どの学者が所属している)大学との、深い溝を生み出した。司法試験界におけるもっとも大きな対立構造である予備校VS大学教授という構造は、論証パターンを契機に明確化し、激化していく。繰り返される予備校批判の末辿り着いたのが「法科大学院制度」「新司法試験」なのだとすれば、論証パターンの発明と普及は、司法試験界においてきわめて重要なターニングポイントだったということができるだろう。

【わ】
【を】
【ん】




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2014年11月14日

 俺式司法試験用語集

編 

纂 

計 

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・毎週木曜更新予定

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・N番煎じ

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