眉村 卓
2005年11月18日
怪しい人びと
眉村卓のショート・ショート32編。
50代ぐらいの男性の憂愁が
コミカルに、
リリカルに、
描かれる作品群。
空腹になると機嫌が悪くなり、人相まで変わってしまう男の話を書いた「空腹」
生活に欠かせない自分しか知らないはずの暗証番号。それらが差出人の記載のないハガキに書かれて送られてくる。「暗証番号」
夫婦の結びつきをシニカルに描いた「階上と階下」
読了後は、ルネ・マグリットの絵の世界に迷い込んだかのようです。
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2005年10月24日
C席の客
実社会に生きる人々に向けて書かれたショート・ショートです。
この本を読んで、ひと時のセンチメンタルな旅に出てみませんか?
タイトル作「C席の客」は、
出張で上司とともに乗った車中、脇のC席に座った奇妙な男。
男に目が吸い寄せられてしまう入社半年のサラリーマンの目で描く絶品。
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2005年10月21日
ぼくの砂時計
ショート・ショートと言えば星新一の名前がまずあげられますね。
この、『ぼくの砂時計』を読んだ後も
同様に一番目に星新一をあげられるかどうかは疑問なのです。
古本屋でしか買えないこの本を持っている事は至福としか言いようのないものです。
眉村卓、昭和51年の本、
250ページほどの講談社文庫の本の中に、なんと66篇のショート・ショート。
1ページ強の作品や2ページの作品が多いです。
何回も何回も読んだ本なのですが、現代人の孤独と倦怠を浮き彫りにするペーソスにあふれたもので、詩的ですらあります。たぶん読了後、今までに味わった事のない食べ物を食べたような気分になるのではないでしょうか?
実社会のなかで、実務をやっている人に、読ませるSF。
『インサイダーSF論』の提唱者。
眉村卓のショート・ショートは私にとって人生のバイブルと言えるのかもしれません。
なお、TBさせていただいた各BLOGサイトの管理人の方々にあつく御礼申し上げます。今回のTBは、『眉村卓のショート・ショートの世界を、おススメしたい方つながり』です。