2021年 7月17日~22日の観測
久々の観測ブログです。
「夏至」は地球から見て太陽高度がもっとも高くなるとき。
金山巨石群では、夏至から30日が経過したことを、線刻石のある巨石群へ射しこむ太陽スポット光でわかるしくみがあります。ここでは、月サイクルの30日ではなく、太陽サイクルの30日です。
この巨大な石が「線刻石」で、この写真は南の道側から撮ったもの。
高さ約7mあります。観測場所は奥の北側洞くつ内です。
下の写真が、東側から撮ったもので、幅11mあります。
右端が北、その上部に「線刻(2本の線刻と3つの楕円形の痕跡)」が彫りこまれています。
1997年、この線刻の発見以降、調査は始まりました。
▼線刻(2本の線刻と3つの楕円形の痕跡)
そして線刻の下には洞くつがあり、夏至から30日後の太陽観測 は、ここで行われます。
この洞くつは、元々は土砂で埋まっていたところで、2003年から2005年、小林と徳田の発掘によって出現した空間です。
毎年 5月21日頃(夏至30日前)と 7月22日頃(夏至30日後)の昼になると、ここで繰り広げられる 石面に点線が映りこむ瞬間 を見ようと、常連客や観光客が集まってきます。
せまい空間のため、順番に場所を譲りあいますが、洞くつ内の 三角状の石面 に、遠くからでもはっきりとわかる 点線の光 が浮かび上がります。
下の写真中央下が約30cm辺の 三角状の石面 です。まだ光は当たっていません。
点線の光が 4つ射しこんでいるところ。 7月19日13時13分。
左の線刻石の北側に隙間がつくられているため、洞くつ内へ太陽光が落ちるしくみです。
そして太陽の光は、小さな三角状の石面を通り、下の床に落ちます。
日ごとに点線の横幅が細くなっていくのを見てください。
2021年 7月17日(土)13:05
点の数は、三角状の石面の左上から中央下まで全部で 6つ。上からひとつづつ当たりはじめ、6つ当たった後は、今後は下からひとつづつ消えていきます。
2021年 7月19日(月)13:06
2021年 7月20日(火)13:07
2021年 7月22日(木)13:07
22日の点の数は上から 5つのみ。石面を下から撮影したところ。
点線とみなせるのは今日までです。
翌日の写真はありませんが、これまでの観測結果から、翌日23日は、点線とはみなすことのできないくらい細い線が 3つか 4つ入ります。この数は、1年ごとに 6時間ずつのずれを生じることにより変動します。
これで太陽観測による夏の60日間は終了しましたが、二十四節気でいう大暑はまさに今です。そしてこのあと30日が経過すると、夏の120日間が終了したことを知らせる光の観測時期がやってきます。
今回の夏至30日後を知らせる点線の光の観測は、この数千年の間、地震にも耐え、暦として機能し続けています。これは設計図にしたがい構築していったというよりは、現場で観測可能な手法を立体的に生み出していった結果に因るものだと思います。しかしながらこの巨大な石組みの中に、三角状の石面ような小さな、しかも精度の高い機能を組み込んだ技術には逞しさを感じます。
巨石をあつかう技術的な謎はあるものの、太陽運行による暦のサイクルというものは、人間だれもが自らの力で読みとることが可能であるということを、縄文人たちは私たちに教えてくれているのだと思います。与えられた暦ではなく、自ら手に入れることのできる普遍的な暦です。それを今私たちは追体験しこの時間を共有しているのです。
金山巨石群リサーチセンター 徳田紫穂
☞ 夏至約30日前と60日後の観測 ガイドブック P.8, 48, 49
久々の観測ブログです。
「夏至」は地球から見て太陽高度がもっとも高くなるとき。
金山巨石群では、夏至から30日が経過したことを、線刻石のある巨石群へ射しこむ太陽スポット光でわかるしくみがあります。ここでは、月サイクルの30日ではなく、太陽サイクルの30日です。
この巨大な石が「線刻石」で、この写真は南の道側から撮ったもの。
高さ約7mあります。観測場所は奥の北側洞くつ内です。
下の写真が、東側から撮ったもので、幅11mあります。
右端が北、その上部に「線刻(2本の線刻と3つの楕円形の痕跡)」が彫りこまれています。
1997年、この線刻の発見以降、調査は始まりました。
▼線刻(2本の線刻と3つの楕円形の痕跡)
そして線刻の下には洞くつがあり、夏至から30日後の太陽観測 は、ここで行われます。
この洞くつは、元々は土砂で埋まっていたところで、2003年から2005年、小林と徳田の発掘によって出現した空間です。
毎年 5月21日頃(夏至30日前)と 7月22日頃(夏至30日後)の昼になると、ここで繰り広げられる 石面に点線が映りこむ瞬間 を見ようと、常連客や観光客が集まってきます。
せまい空間のため、順番に場所を譲りあいますが、洞くつ内の 三角状の石面 に、遠くからでもはっきりとわかる 点線の光 が浮かび上がります。
下の写真中央下が約30cm辺の 三角状の石面 です。まだ光は当たっていません。
点線の光が 4つ射しこんでいるところ。 7月19日13時13分。
左の線刻石の北側に隙間がつくられているため、洞くつ内へ太陽光が落ちるしくみです。
そして太陽の光は、小さな三角状の石面を通り、下の床に落ちます。
日ごとに点線の横幅が細くなっていくのを見てください。
2021年 7月17日(土)13:05
点の数は、三角状の石面の左上から中央下まで全部で 6つ。上からひとつづつ当たりはじめ、6つ当たった後は、今後は下からひとつづつ消えていきます。
2021年 7月19日(月)13:06
2021年 7月20日(火)13:07
2021年 7月22日(木)13:07
22日の点の数は上から 5つのみ。石面を下から撮影したところ。
点線とみなせるのは今日までです。
翌日の写真はありませんが、これまでの観測結果から、翌日23日は、点線とはみなすことのできないくらい細い線が 3つか 4つ入ります。この数は、1年ごとに 6時間ずつのずれを生じることにより変動します。
これで太陽観測による夏の60日間は終了しましたが、二十四節気でいう大暑はまさに今です。そしてこのあと30日が経過すると、夏の120日間が終了したことを知らせる光の観測時期がやってきます。
今回の夏至30日後を知らせる点線の光の観測は、この数千年の間、地震にも耐え、暦として機能し続けています。これは設計図にしたがい構築していったというよりは、現場で観測可能な手法を立体的に生み出していった結果に因るものだと思います。しかしながらこの巨大な石組みの中に、三角状の石面ような小さな、しかも精度の高い機能を組み込んだ技術には逞しさを感じます。
巨石をあつかう技術的な謎はあるものの、太陽運行による暦のサイクルというものは、人間だれもが自らの力で読みとることが可能であるということを、縄文人たちは私たちに教えてくれているのだと思います。与えられた暦ではなく、自ら手に入れることのできる普遍的な暦です。それを今私たちは追体験しこの時間を共有しているのです。
金山巨石群リサーチセンター 徳田紫穂
☞ 夏至約30日前と60日後の観測 ガイドブック P.8, 48, 49
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