縄文巨石天文学の復活プロジェクト2022
Project for Reviving Jomon Megalithic Astronomy
北緯35度31分40秒ライン調査
金山巨石群リサーチセンター
北緯35度31分40秒ライン調査
金山巨石群リサーチセンター
岐阜県関市
”下日立(しもひたち)の巨石”
【 N35°31'40.59", E136°59'03.81", ALT.148m】
調査日:2021年 2/5, 2/12, 2/24, 3/19, 3/23
2022年 3/21, 4/1, 5/17
今年に入り、下日立の巨石調査は先日 5月17日で 3回目。
今回はその 下日立の巨石 をご紹介します。
『北緯35度31分40秒ライン調査』の詳細内容は
以下のジャーナル紙(リンク先)で読むことができます。
下の図は今年発行された 日本天文考古学会ジャーナル J-AASJ Vol.3 掲載の図7 。

補足:上のマップ、昨年12月 3日の調査を加えると、現時点で関市約 3km の東西ライン上に、8か所の春分・秋分観測の巨石を確認しています。マップの『1.八神(やかい)下のたんす岩』の左端にマークされているのが 8つ目の巨石です。
下日立の巨石
巨石の発見 2021年 2月 5日
その巨石は、標高160mの山の尾根から東の急斜面に10mほど降りた位置にあります。山の尾根づたいを歩いてもまったくといっていいほど石はない中、ちょうど40秒ラインに近づき小さな石(1m角以内)が現れ、やがて目に留まったのがこの巨石。当初は上からずり落ちた石が木で止まっているのかと思いましたが、近づくとそうではありませんでした。


下の写真は東側から見たところ。山の傾斜に沿うかのように石は 2段構え。
その脇上段に、四角柱の突き出た石がバランスよく座っています。

この突き出た石は、正確に真東を向いています。

石の下から東の正面を見ると、山との隙間があります。


何度も通っていると、この石はエジプト・ギザの三大ピラミッド、カフラー王ピラミッドの参道脇に座る東の空を見つめるスフィンクスのように見えてなりません。正面の山は見通しよく一直線で、夏至から冬至までの朝日が観測できます。
この巨石が指し示す真正面から、春分と秋分の朝日が昇ります。
春分頃の朝日 2021年 3月23日
この日は、小林氏が下日立 担当。
計測とおり、巨石が示す方向の山から昇った直後の写真です。
朝 6時16分(太陽方位 E1°42'S , 高度 +4°05') 。
巨石の水平な天部との高さも一致しています。

このアングルは、太陽位置から見た巨石です。
突出している観測の石は右上。

さらに上空からの巨石。人が立っている方向が東の正面です。

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そして2021年 3月23日、私徳田は たんす岩 2か所を担当。
この詳細は次回の撮影時のレポートにすることとします。
(左)6時13分 (右)7時24分


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関市の巨石群 東西ラインの地質について
下の 3つのマップは、上段が東西ライン上に並ぶ巨石の位置を示し、中段は同位置の地層、下段はそれらの合成です。

地質のデータは 岐阜県博物館WEB 岐阜県地質図〔ジオランドぎふ〕 を参考にしました。
かなり詳細に把握できるのでこれはとても便利です。
ちょうど巨石の東西ラインに花崗斑岩が 3か所重なっています。
地質赤色で示された場所の地質が 花崗斑岩(岩種記号 Gp)となっています。
下記の参考サイトの説明によると、1~2行目に書かれているように、「平行岩脈群をつくる」とあります。それが調査により確認されている東西ライン上の巨石を重なっていることになります。
濃飛流紋岩のほぼ岩体全域および岩体周辺の美濃帯堆積岩類の分布地域にわたり小規模な岩脈として分布し、しばしば平行岩脈群をつくる。岐阜県内に分布する代表的なものだけを挙げてると、上之保(かみのほ)-鹿山(かやま)平行岩脈群・東沓部(ひがしくつべ)岩脈群・初納(しょのう)岩脈群・日出雲(ひずも)岩脈群・中之宿岩脈・青屋弧状岩脈のほかに釜戸・大洞谷・門坂(かどさか)・三間山(さんげんやま)・宇津江(うつえ)・黒内の各岩体がある。全体として濃飛流紋岩のどの層準よりも新しい時期に貫入し、濃飛流紋岩を貫く苗木花崗岩などの花崗岩類中にはまったく分布しないことから、花崗岩類の定置以前に貫入したと考えられている。岩相は全体を通じてほとんど一定しており、灰白色の石基中に石英・カリ長石・斜長石・黒雲母およびまれに角閃石の自形斑晶を含む。カリ長石や斜長石の斑晶は長径1~3㎝である。周縁相として斑晶がやや小型化し、石基が隠微晶質となる石英斑岩質を示すものがみられる。
都合よくこれらの岩石を利用したのかもしれません。
下日立の巨石 もちょうど 花崗斑岩 地帯にあります。
4月 1日に歩いた西側の山の斜面に点在していた石もおそらく同じ石と思います。
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2021年 3月21日 春分の日

今年の春分 3月21日の前夜、夜中に眠れなくなってしまい、天気予報の晴れマークをみたら余計に目が覚めたので準備をして朝 4時半に下日立に出かけました。まだ暗い 5時頃到着し、少し明るくなるまで待って山に登りましたが、残念ながら朝日は見ることができませんでした。
その足で金山巨石群の観測会へ向かう途中に晴れてきたので、金山ではいい観測日となりましたが、今年の秋分は下日立、動画の撮影も含め、再チャレンジしたいと思います。
金山巨石群リサーチセンター
徳田紫穂