「レトロな街並み」民泊で金山町の魅力発信 都内から移住、事業化
民泊「つむぎ」を切り盛りする佐藤文さん=下呂市金山町金山
岐阜県下呂市金山町金山の民泊「つむぎ」に、県外から多くの宿泊客が訪れ、人気を集めている。切り盛りするのは、民泊を経営する佐藤文(あや)さん(39)。2年前に東京都から同町に引っ越してきた。今年5月には同町田島にある築150年を超える古民家を借りて2店目の体験型民泊「樹々庵(じゅじゅあん)」をオープンし、民泊事業を通じて地域の魅力を伝えている。佐藤さんは、山形県出身。英ロンドンの大学で現代美術や、国同士をつなぐ仕組みグローバルガバナンスを学んだ。帰国後は、国防や政策に関する都内のシンクタンクに勤めるも、過労で体調を崩しがちに。「このまま上を目指すことが、豊かな人生につながるのだろうか」と疑問を抱き、退職した。
「自分が求める価値は何だろう」と自問自答したところ、「自然、人とのつながり、土着の文化」がキーワードとして思い浮かんだ。空き家バンクで条件に当てはまる地域を探し、築約90年木造2階建ての古民家、現在の「つむぎ」を見つけた。視察旅行で眺めた国道41号沿いの渓流の景色や、金山のレトロな街並みを気に入り、購入を決めた。
移住当初は近隣住民からの総菜や野菜のお裾分けなど、都会にはなかった日常風景に驚いたという。「地域の人にも自分の責任が及ぶという考え方に、人の豊かなあり方を感じた」と振り返る。
民泊は近隣住民との雑談から始めた。移住から半年ほど経った時、「若い人の流出が止まらない」との嘆きを聞き、「自分のように地方に目を向けたいと考えている人も多いはず」と直感した。2022年度には民泊の営業日数の上限に迫る、約140日を営業し、180組ほどが宿泊した。
昨年、佐藤さんは地域住民と「金山みらい協議会」を立ち上げ、移住促進に向けた相談事業、情報発信にも取り組んでいる。「ここでは、人同士の関わりを大切にして、支え合って生きている。少しでもその価値を伝えられたら」と力を込める。
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