貝殻坂遠望



















貝殻坂からは真下にカトリック教会の墓地、その向こうに横浜の港が遠望されます。今日も三島由紀夫「午後の曳航」から引用します。
「ここから見ると、二三段の段丘に立ち並んだ石の十字架や墓石は、みんなこちらへ背を向けている。墓のあいだには蘇鉄の黒っぽい緑がある。温室物の切花が供えられていて、十字架のかげに時ならぬ鮮やかな赤や黄がある。
 この丘からは、右方にその異人墓、正面に谷底の人家の屋根々々の上にマリン・タワーが望まれ、プールは左方の谷間になっている。オフ・シーズンのプールの観覧席は、たびたび彼らのうってつけの議場になった。
 六人は巨樹の根が土からあらわれて、太い真黒な血管のように遠くまでうねりひろがっている斜面を、ばらばらに跳び渉って、谷間のプールへ枯れ草の小径を駆け下りた。」
長くなりましたが、最後の巨樹の根というのが観察されるのもがけの多いこの辺りの特徴かと思います。

貝殻坂