百段公園の桜1



















本通りから元町側へ折れる汐汲坂と少し角度を持って分かれる高田坂という緩やかな坂があります。ここを入って100メートルほど、昔ここに横浜八景の一つで「浅間山薄雪」と呼ばれていた浅間神社があり、元町から急峻な百段余りの階段で直接つながっていました。いまの霧笛楼の西側、駐車場裏あたりの崖です。今見ると急峻で、ここに階段があったとは信じられませんが、古い写真がいくつか残されています。

しかし、その階段は関東大震災で崩れ落ち、その後は直登する階段は作られず、代官坂の歯科医院のところから緩やかに登る道があるのみです。百段公園として整備されるに当たっては古代ローマの劇場の柱のようなものが建造され、廃墟のムードを漂わせています。

百段公園の桜2



















戦後「港の見える丘」という歌が流行りました。私は子供心に大人っぽい歌だなーと思っていました。平野愛子という歌手が唄っていたということはだいぶ後になって知りました。けだるい、やや退廃的な感じのする歌ですよね。

♪あなたと来た丘 あの丘は 港の見える丘ー 色褪せーた サクーラただひとつ 静かに咲いていたー♪

色褪せた桜 ただひとつ・・・・のところはこの歌のけだるさというか、アンニュイな雰囲気を象徴しています。ところであの丘とはどこでしょう。

港の見える丘公園という名前をこの歌からもらった関係上、一応、横浜市としては港の見える丘公園をその歌の舞台としているようですが、どうも私はそれが百段公園であるような気がしてなりません。主な理由は次のとおりです。

1.港の見える高台はあちこちにありますが、ここからはかつて山下公園が間近に見通せました。今の港の見える丘公園はベイブリッジや小港方面はよく見えますが、本来の港であった山下公園方面はやや見にくい地形になっています。

2.百段公園は芸能人などが遊びに来たクラブ、「クリフサイド」から至近の距離にあります。

3.「色褪せた桜、ただひとつ」の、ただひとつがこの公園の一本の桜に符合しています。当時、今から60年近く前となるとこの桜も相当小さく、歌詞の雰囲気から感じられる頼りない感じの桜に近いものだったのではないかと思います。


百段公園の桜3



















ま、時代考証は専門家に任せますが、この公園は観光ルートから外れているのでいつも静かで、私の好きな散歩コースに入っています。元町の信濃屋や喜久屋のビルが眼下に見え港のほうにはマリンタワー、冬は遠くに富士山を望みます。

下の写真は港の見える丘公園にある歌碑です。 百段公園ではありません、念のため。この歌碑のとなりに、この歌の舞台は不明である、と書いた看板があります。

港の見える丘・歌碑