地蔵坂上公園



















桜道は山手が外国人居留地であった頃、遊歩道として整備された道です。山手町1番の横浜女学院のテニスコート裏から始まり、山手の南を下って山手公園の下、麦田町に抜ける道です。かつては桜並木があり、お茶屋も出ていた道であったと思われますが、今は一本の桜もありません。下を通る国道や京浜東北線などのトンネル工事や宅地造成で大きな木はすべて伐採されました。

上の写真は桜道の始まり辺りの地蔵坂上公園ですが、数本の桜があります。途中、桜道橋などがあり、橋から鷺山を望むことができます。明治の開港期の様子は大仏次郎の小説「霧笛」にも描写されています。

桜道



















「外へ出た時は、もう、すっかり夜になっていた、桜道のあたりにこの頃幾軒もできた麦湯の茶屋の前を通ると、縁台に腰掛けていた団扇(うちわ)をつかっていた女が、白粉(おしろい)の濃い顔を向けていやらしい笑いを投げかけた。『兄ちゃん、寄ってらっしゃいよ』千代吉は帰りに寄るかもしれないと思って見た。」

千代吉が鷺山に住む恋人の「はな」のところへ通う場面です。帰りの描写もあります。

「帰り途には、往きと同じように桜道を通った。夜も更けていたし、女たちはそれぞれに客が出来たのか、麦湯の茶屋は行燈を消して真夜中のように店を閉めていた。道路は、桜の青葉がうっとうしく枝をたれているばかりで、人通りもなくさびしい。」


桜道橋から鷺山を望む



















桜道の南端近くに一本桜がありますが、山手公園の崖から生えているものです。というわけで桜道の両端にほのかに往時の片鱗があるものの、基本的には名前と現実は一致していません。せっかく桜道というロマンチックな名前がついているのですから、沿道に桜を植樹してほしいですね。

桜道と山手公園