玉臺新詠 全十巻 訳注解説

漢文委員会kanbuniinkai紀頌之   唐五代詞詩・花間集・玉臺新詠 中国の韻文学には、古くは周代の詩があり、漢魏六朝には古詩と楽府かあり、唐代になって古詩に対して新しい近体の律詩、絶句がおこった。楽府がおとろえ新しく勃興したのが詞である。詞ははじめ、学詞ともよばれ、楽曲の歌詞をさしていうものであるが、それが流行するとともに、唐詩などと相ならんで、一つの韻文学として成立したのである。 5年以上のブログ連載。(魚玄機・薛濤・花間集)完掲載 現在《玉臺新詠》完全版連載中 予定(文選【詩篇】文選【賦篇 楚辞 詩經 ・・・・)

2012年12月

中国の韻文学には、古くは周代の詩があり、漢魏六朝には古詩と楽府かあり、唐代になって古詩に対して新しい近体の律詩、絶句がおこった。楽府がおとろえ新しく勃興したのが詞である。詞ははじめ、学詞ともよばれ、楽曲の歌詞をさしていうものであるが、それが流行するとともに、唐詩などと相ならんで、一つの韻文学として成立したのである。
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温庭筠の詞詩を約60首程度掲載の後、魚玄機50首程度連載し,薛濤約百首、韋莊五十首
森鴎外小説 『魚玄機』 彼女の詩を冷静に、客観的に分析 過去の女性蔑視の見方を排除して解釈 訳註解説
現在、『花間集』全詩500首、全首連載が終了した。いま、500首全首、見直し、改訂版Ver.2.1として、根本的に語訳、注釈をやり直して掲載しています。出来るだけ(改訂版Ver.2.1)と記している詩を読まれることを薦めます。
現在 玉臺新詠 訳注解説連載中
   玉臺新詠 概要 目録・目次 http://kanbunkenkyu.web.fc2.com/list1.html

『南歌子七首』(二)温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-31-5-#9 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1740

『南歌子七首』(二)温庭筠


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『南歌子七首』(二) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-31-5-#9  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1740


南歌子 七首
(一)
手裏金鹦鹉,胸前繡鳳凰。偷眼暗形相。不如從嫁與,作鴛鴦。

(二)
似帶如絲柳,團酥握雪花。簾卷玉鈎斜。九衢塵欲暮,逐香車。

(三)
鬓垂低梳髻,連娟細掃眉。終日兩相思。爲君憔悴盡,百花時。
 南歌子(四)
臉上金霞細,眉間翠钿深。倚枕覆鴛衾。隔簾莺百啭,感君心。

(五)
撲蕊添黃子,呵花滿翠鬟。鴛枕映屏山。月明三五夜,對芳顔。

(六)
轉盼如波眼,娉婷似柳腰。花裏暗相招,憶君腸欲斷,恨春宵。

(七)
懶拂鴛鴦枕,休縫翡翠裙。羅帳罷爐熏。近來心更切,爲思君。



南歌子(一)
手裏金鹦鹉,胸前繡鳳凰。
嫁ぐかもしれないそのひとの手の中には、黄金製の鸚鵡杯があり、衣服の胸元には、ホウオウの刺繍がしてあります。
偷眼暗形相。不如從嫁與,作鴛鴦。
わたしはこっそりとその人お顔と姿をうかがい見るのです。もう嫁いでいった方がいいかもしれない。きっと鴛鴦のような夫婦となります。 


2. 南歌子(二)
似帶如絲柳,團酥握雪花。
その人は帯のようにしなやかであり、糸柳のような腰つきであり、その肌はきよく滑らかなまるみをもっていて雪の白さと艶やかな花の白さの指さきで握ってくれる。
簾卷玉鈎斜。
車の簾を巻き上げも、宝玉で輝く簾を掛ける鉤金具もうまく途中で止めている。
九衢塵欲暮,逐香車。

大通りはいくつにも別れその上この人ごみに紛れて暮れていこうとしている。その人の香りの車の後を追っていくのである。

南歌子 
帶に似て絲柳【しりゅう】の如し,團く酥【そ】にして雪花【せっか】を握る。
簾卷【れんかん】玉鈎【ぎょくこう】斜なり。
九衢【きゅうく】塵 暮れなんと欲す,香車【こうしゃ】を逐う。

終南山06

『南歌子』七首二 現代語訳と訳註
(本文)

似帶如絲柳,團酥握雪花。
簾卷玉鈎斜。
九衢塵欲暮,逐香車。


(下し文) 南歌子 
帶に似て絲柳【しりゅう】の如し,團く酥【そ】にして雪花【せっか】を握る。
簾卷【れんかん】玉鈎【ぎょくこう】斜なり。
九衢【きゅうく】塵 暮れなんと欲す,香車【こうしゃ】を逐う。


(現代語訳)
その人は帯のようにしなやかであり、糸柳のような腰つきであり、その肌はきよく滑らかなまるみをもっていて雪の白さと艶やかな花の白さの指さきで握ってくれる。
車の簾を巻き上げも、宝玉で輝く簾を掛ける鉤金具もうまく途中で止めている。
大通りはいくつにも別れその上この人ごみに紛れて暮れていこうとしている。その人の香りの車の後を追っていくのである。


(訳注)
2. 南歌子(二)

『花間集』巻一にある。男性の目から見た好ましい、しなやかな細腰、白い肌、良い香りの女性の姿である。
唐教坊曲名。単調二十三字、五句三平韻(詞譜一)。唐以降の中国王朝における宮廷に仕える楽人や妓女たちに宮廷音楽を教習させるための機関をさす。楽曲や歌舞の習得を主な目的とするが、官妓にあたる妓女を統括する役割もあった。その後の王朝に引き継がれ、清代まで続いたが、雍正帝の時に廃止された。
『更漏子』『定西番』は宮廷で歌われたこの教坊曲である。


似帶如絲柳,團酥握雪花。
その人は帯のようにしなやかであり、糸柳のような腰つきであり、その肌はきよく滑らかなまるみをもっていて雪の白さと艶やかな花の白さの指さきで握ってくれる。
團酥 きよく滑らかなまるみをもったもの。酥:牛や羊の乳を発行させた乳酸飲料。酒の別名。きよく滑らかなたとえ。
・雪花 雪の白さと艶やかな花の白さ。


簾卷玉鈎斜。
車の簾を巻き上げも、宝玉で輝く簾を掛ける鉤金具もうまく途中で止めている。


九衢塵欲暮,逐香車。
大通りはいくつにも別れその上この人ごみに紛れて暮れていこうとしている。その人の香りの車の後を追っていくのである。
・九衢 枝の多く別れたもの。山海経「宣山の上に桑有り。その枝を衢という也。枝交互に四出るなり。」衢:ちまた。四方に通じる大通り。分かれ道。


『南歌子七首』(一) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-30-5-#8 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1736

『南歌子七首』(一) 温庭筠
◆◆◆2012年12月26日紀頌之の5つの漢文ブログ◆◆◆

Ⅰ.李白と李白に影響を与えた詩集
古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩
至廣陵於馬上作 曹丕(魏文帝) 魏詩<8-#2>古詩源 巻五 女性詩629 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1733
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67765496.html

Ⅱ.中唐詩・晩唐詩
 唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
秋懐詩十一首(7) 韓愈 韓退之(韓愈)詩<107>Ⅱ中唐詩542 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1734
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6162341.html

Ⅲ.杜甫詩1000詩集
"●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 
●理想の地を求めて旅をする
●全詩1/3を掲載済。"
成都(1)浣花渓の草堂(4) 蕭八明府實處覓桃栽 杜甫 <355>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1735 杜甫詩 700- 533
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-tohoshi/archives/67764563.html

Ⅳ.漢詩・唐詩・宋詞詩詩集
元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#15> (12/30) http://kanshi100x100.blog.fc2.com/blog-entry-583.html

Ⅴ.晩唐五代詞詩・宋詞詩
 森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”彼女の詩の先生として登場する 晩唐期の詩人 温庭筠(おんていいん)の作品を訳註解説する。
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謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html
謝靈運詩 六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。

孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html
盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html
華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html
古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。

孟郊詩  http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html
「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。

李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首

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『南歌子七首』(一) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-30-5-#8  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1736


南歌子七首

(一)
手裏金鹦鹉,胸前繡鳳凰。偷眼暗形相。不如從嫁與,作鴛鴦。

(二)
似帶如絲柳,團酥握雪花。簾卷玉鈎斜。九衢塵欲暮,逐香車。

(三)
鬓垂低梳髻,連娟細掃眉。終日兩相思。爲君憔悴盡,百花時。
南歌子(四)
臉上金霞細,眉間翠钿深。倚枕覆鴛衾。隔簾莺百啭,感君心。

(五)
撲蕊添黃子,呵花滿翠鬟。鴛枕映屏山。月明三五夜,對芳顔。

(六)
轉盼如波眼,娉婷似柳腰。花裏暗相招,憶君腸欲斷,恨春宵。

(七)
懶拂鴛鴦枕,休縫翡翠裙。羅帳罷爐熏。近來心更切,爲思君。



南歌子(一)
手裏金鹦鹉,胸前繡鳳凰。
嫁ぐかもしれないそのひとの手の中には、黄金製の鸚鵡杯があり、衣服の胸元には、ホウオウの刺繍がしてあります。
偷眼暗形相。不如從嫁與,作鴛鴦。
わたしはこっそりとその人お顔と姿をうかがい見るのです。もう嫁いでいった方がいいかもしれない。きっと鴛鴦のような夫婦となります。 

南歌子
手の裏に金の鸚鵡,胸前に鳳凰を綉【ぬひと】る。
偸【ぬす】み眼【み】て暗【ひそ】かに 形相し,嫁ぐに 如【し】かず,鴛鴦と作【な】らん。

haqro02
現代語訳と訳註
(本文)
南歌子(一)
手裏金鹦鹉,胸前繡鳳凰。
偷眼暗形相。不如從嫁與,作鴛鴦。


(下し文)
手の裏に金の鸚鵡,胸前に鳳凰を綉【ぬひと】る。
偸【ぬす】み眼【み】て暗【ひそ】かに 形相し,嫁ぐに 如【し】かず,鴛鴦と作【な】らん。


(現代語訳)
嫁ぐかもしれないそのひとの手の中には、黄金製の鸚鵡杯があり、衣服の胸元には、ホウオウの刺繍がしてあります。
わたしはこっそりとその人お顔と姿をうかがい見るのです。もう嫁いでいった方がいいかもしれない。きっと鴛鴦のような夫婦となります。 


(訳注)
南歌子

『花間集』巻一にある。女性の目から見た好ましい男性の姿である。
唐教坊曲名。単調二十三字。唐以降の中国王朝における宮廷に仕える楽人や妓女たちに宮廷音楽を教習させるための機関をさす。楽曲や歌舞の習得を主な目的とするが、官妓にあたる妓女を統括する役割もあった。その後の王朝に引き継がれ、清代まで続いたが、雍正帝の時に廃止された。
『更漏子』『定西番』は宮廷で歌われたこの教坊曲である。


手裏金鹦鹉,胸前繡鳳凰。
嫁ぐかもしれないそのひとの手の中には、黄金製の鸚鵡杯があり、衣服の胸元には、ホウオウの刺繍がしてあります。
・手裏 手の中に。 
・金鸚鵡 杯。黄金製の酒器、「鸚鵡杯」のこと。李白の『襄陽歌』「落日欲沒峴山西。倒著接籬花下迷。襄陽小兒齊拍手。攔街爭唱白銅鞮。旁人借問笑何事。笑殺山翁醉似泥。鸕鶿杓。鸚鵡杯。百年三萬六千日。一日須傾三百杯。」
・胸前 衣服の前面に。
・綉 刺繍がしてある。縫いとりがしてある。 
 
偷眼暗形相。不如從嫁與,作鴛鴦。
わたしはこっそりとその人お顔と姿をうかがい見るのです。もう嫁いでいった方がいいかもしれない。きっと鴛鴦のような夫婦となります。 
・偸眼 盗み見る。 
・暗 ひそかに。こっそりと。 
・形相 みつもる。目算する。 人相。顔かたち。姿。ここは、前者、動詞の意。
・不如 もう…た方がいい。…に及ばない。しかず。 
・從嫁與 …に嫁ぐ。・從 …にしたがう。…につく。従軍、従父の従。 ・嫁 とつぐ。・與 …に。
・作 …となる。
・鴛鴦 鴛鴦の夫婦。

『定西番三首』(三) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-29-4-#7 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1732

『定西番三首』(三) 温庭筠

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 Ⅲ杜甫詩1000詩集成都(1)浣花渓の草堂(3) 王十五司馬弟出郭相訪兼遺營草堂資 杜甫 <355>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1731 杜甫詩 700- 532 
 Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#14> (12/29) 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩『定西番三首』(三) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-29-4-#7 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1732 
      
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『定西番三首』(三) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-29-4-#7  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1732


定西番 一
漢使昔年離別,攀弱柳,折寒梅,上高台。
千裏玉關春雪,雁來人不來。
羌笛一聲愁絕,月徘徊。

定西番 二
海燕欲飛調羽,萱草綠,杏花紅,隔簾櫳。
雙鬓翠霞金縷,一枝春豔濃。
樓上月明三五,瑣窗中。

定西番 三
細雨曉莺春晚,人似玉,柳如眉,正相思。
羅幕翠簾初卷,鏡中花一枝。
腸斷寒門消息,雁來稀。


定西番 一
漢使昔年離別,攀弱柳,折寒梅,上高台。
漢の武帝が使者まで出して西王母を待ったがいったん別れたら二度と会えなかったという。わたしは若々しく柳のようにしなやかに挙げて過ごしし、折楊柳の変わりに寒梅を折って旅の健康を祈り、高台に上って見送るのです。
千裏玉關春雪,雁來人不來。
遙か千里先の玉門関に春が訪れても雪が残るという、私の所には雁が来ても、あの人は来てくれない。
羌笛一聲愁絕,月徘徊。
羌笛が一声響いてくるとその憂えを含んだ響きに気持ちも絶え絶えになる、今日もまた月の輝く庭を徘徊するのです

定西番 一
漢使 昔年の離別,弱【わか】い柳を攀ぐ,寒梅を折り,高台に上る。
千裏玉關の春雪,雁來るも 人來らず。
羌笛一聲して 愁絕し,月に 徘徊す。


定西番 二
海燕欲飛調羽,萱草綠,杏花紅,隔簾櫳。
海ツバメは翅を整えてとぼうとしている。勿忘草は緑の葉を茂らせている。杏の花は赤く咲いている。宮女の部屋の格子窓の向こうの簾越しに見えてたのしむ。
雙鬓翠霞金縷,一枝春豔濃。
宮女の左右の鬢には翡翠の髪飾りに覆われ金の細糸で飾られている。
樓上月明三五,瑣窗中。

高楼の上に月影が照らし輝き花を愛でる人影が三々五々と歩いている。宮女は小さな窓から眺めている。

定西番 二
海燕 羽を調【ととの】えて飛ばんと欲するも,萱草 【かんそう】綠なり,杏花は紅たり,簾櫳を隔てしなり。
雙鬓【そうびん】翠霞の金縷,一枝春豔濃【えんのう】。
樓上 月明にして三五たり,瑣窗【そうそう】の中。

定西番 三
細雨曉鶯春晚,人似玉,柳如眉,正相思。
小ぬか雨が降り、やがて暁に啼くのうぐいすの声も強く響き、もう春も終わろうとしている。愛しき人は玉のように輝いてうつくしい、引き締まった顔に柳の葉の眉が似合う、本当にあの人を心からいとしくおもっている。
羅幕翠簾初卷,鏡中花一枝。
この部屋の薄絹のとばりに、翡翠のすだれをいまはじめてかかげたばかりのこの日の部屋の仕度を整える。そして鏡にうつる愛しき人は一枝の花のように麗しい。
腸斷寒門消息,雁來稀

そんなに愛し合っていたのに今腸が裂ける思いでいるし、北方国境の塞からの消息もとだえている。
そしてこのごろは季節が変われば雁は帰って來るけれど季節が変わっても来ることも稀になっている。

細雨 曉鶯【ぎょうおう】春晚,人玉に似る,柳 眉の如し,正に相い思う。
羅幕【らばく】翠簾【すいれん】初めて卷き,鏡中 花一枝。
腸斷【ちょうだん】寒門 消息す,雁 稀に來る。

曉鶯005
『定西番』 三 現代語訳と訳註
(本文)

定西番 三
細雨曉鶯春晚,人似玉,柳如眉,正相思。
羅幕翠簾初卷,鏡中花一枝。
腸斷寒門消息,雁來稀。


(下し文)
定西番 三
細雨 曉鶯【ぎょうおう】春晚,人玉に似る,柳 眉の如し,正に相い思う。
羅幕【らばく】翠簾【すいれん】初めて卷き,鏡中 花一枝。
腸斷【ちょうだん】寒門 消息す,雁 稀に來る。


(現代語訳)
小ぬか雨が降り、やがて暁に啼くのうぐいすの声も強く響き、もう春も終わろうとしている。愛しき人は玉のように輝いてうつくしい、引き締まった顔に柳の葉の眉が似合う、本当にあの人を心からいとしくおもっている。
この部屋の薄絹のとばりに、翡翠のすだれをいまはじめてかかげたばかりのこの日の部屋の仕度を整える。そして鏡にうつる愛しき人は一枝の花のように麗しい。

そんなに愛し合っていたのに今腸が裂ける思いでいるし、北方国境の塞からの消息もとだえている。そしてこのごろは季節が変われば雁は帰って來るけれど季節が変わっても来ることも稀になっている。


(訳注)
定西番 三

唐以降の中国王朝における宮廷に仕える楽人や妓女たちに宮廷音楽を教習させるための機関をさす。楽曲や歌舞の習得を主な目的とするが、官妓にあたる妓女を統括する役割もあった。その後の王朝に引き継がれ、清代まで続いたが、雍正帝の時に廃止された。
『定西番』は宮廷で歌われたこの教坊曲である。


細雨曉鶯春晚,人似玉,柳如眉,正相思。
小ぬか雨が降り、やがて暁に啼くのうぐいすの声も強く響き、もう春も終わろうとしている。愛しき人は玉のように輝いてうつくしい、引き締まった顔に柳の葉の眉が似合う、本当にあの人を心からいとしくおもっている。
細雨曉鶯春晚 早春から晩春への季節の移り変わりを云う。
・人似玉,柳如眉,正相思 人の美しさと感情と表現する。


羅幕翠簾初卷,鏡中花一枝。
この部屋の薄絹のとばりに、翡翠のすだれをいまはじめてかかげたばかりのこの日の部屋の仕度を整える。そして鏡にうつる愛しき人は一枝の花のように麗しい。
・羅幕二句 女性が最高に美しく男性か通い詰めていたころのことを表現している。


腸斷寒門消息,雁來稀。
そんなに愛し合っていたのに今腸が裂ける思いでいるし、北方国境の塞からの消息もとだえている。そしてこのごろは季節が変われば雁は帰って來るけれど季節が変わっても来ることも稀になっている。
腸斷 男女の性交渉を意味する。
寒門 北方国境の関門、塞。
消息 女の年齢が増えてきたこと、この頃は十代がピークで二十代後半から三十代の女性の事を題材にしている。
雁來稀 帰ってきてもほかの女の所に行っているというほどの意味である。。


『定西番三首』(二) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-28-4-#6 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1728

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 Ⅲ杜甫詩1000詩集成都(1)浣花渓の草堂(2) 卜居 杜甫 <354>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1727 杜甫詩 700- 531 
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『定西番三首』(二) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-28-4-#6  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1728



定西番 一
漢使昔年離別,攀弱柳,折寒梅,上高台。
千裏玉關春雪,雁來人不來。
羌笛一聲愁絕,月徘徊。


定西番 二
海燕欲飛調羽,萱草綠,杏花紅,隔簾櫳。
雙鬓翠霞金縷,一枝春豔濃。
樓上月明三五,瑣窗中。


定西番 三
細雨曉莺春晚,人似玉,柳如眉,正相思。
羅幕翠簾初卷,鏡中花一枝。
腸斷寒門消息,雁來稀。



定西番 一
漢使昔年離別,攀弱柳,折寒梅,上高台。
漢の武帝が使者まで出して西王母を待ったがいったん別れたら二度と会えなかったという。わたしは若々しく柳のようにしなやかに挙げて過ごしし、折楊柳の変わりに寒梅を折って旅の健康を祈り、高台に上って見送るのです。
千裏玉關春雪,雁來人不來。
遙か千里先の玉門関に春が訪れても雪が残るという、私の所には雁が来ても、あの人は来てくれない。
羌笛一聲愁絕,月徘徊。

羌笛が一声響いてくるとその憂えを含んだ響きに気持ちも絶え絶えになる、今日もまた月の輝く庭を徘徊するのです。

定西番 一
漢使 昔年の離別,弱【わか】い柳を攀ぐ,寒梅を折り,高台に上る。
千裏玉關の春雪,雁來るも 人來らず。
羌笛一聲して 愁絕し,月に 徘徊す。


定西番 二
海燕欲飛調羽,萱草綠,杏花紅,隔簾櫳。
海ツバメは翅を整えてとぼうとしている。勿忘草は緑の葉を茂らせている。杏の花は赤く咲いている。宮女の部屋の格子窓の向こうの簾越しに見えてたのしむ。
雙鬓翠霞金縷,一枝春豔濃。
宮女の左右の鬢には翡翠の髪飾りに覆われ金の細糸で飾られている。
樓上月明三五,瑣窗中。
高楼の上に月影が照らし輝き花を愛でる人影が三々五々と歩いている。宮女は小さな窓から眺めている。


定西番 二
海燕 羽を調【ととの】えて飛ばんと欲するも,萱草 【かんそう】綠なり,杏花は紅たり,簾櫳を隔てしなり。
雙鬓【そうびん】翠霞の金縷,一枝春豔濃【えんのう】。
樓上 月明にして三五たり,瑣窗【そうそう】の中。
萱草002














『定西番』 二 現代語訳と訳註
(本文)
海燕欲飛調羽,萱草綠,杏花紅,隔簾櫳。
雙鬓翠霞金縷,一枝春豔濃。
樓上月明三五,瑣窗中。

(下し文)
定西番 二

海燕 羽を調【ととの】えて飛ばんと欲するも,萱草 【かんそう】綠なり,杏花は紅たり,簾櫳を隔てしなり。
雙鬓【そうびん】翠霞の金縷,一枝春豔濃【えんのう】。
樓上 月明にして三五たり,瑣窗【そうそう】の中。


(現代語訳)
海ツバメは翅を整えてとぼうとしている。勿忘草は緑の葉を茂らせている。杏の花は赤く咲いている。宮女の部屋の格子窓の向こうの簾越しに見えてたのしむ。
宮女の左右の鬢には翡翠の髪飾りに覆われ金の細糸で飾られている。
高楼の上に月影が照らし輝き花を愛でる人影が三々五々と歩いている。宮女は小さな窓から眺めている。


(訳注)
定西番
 二
教坊曲名。 雙調三十五字,前段四句一仄韻、兩平韻,後段四句兩仄韻、兩平韻
教坊とは、唐以降の中国王朝における宮廷に仕える楽人や妓女たちに宮廷音楽を教習させるための機関をさす。楽曲や歌舞の習得を主な目的とするが、官妓にあたる妓女を統括する役割もあった。五弦・琵琶・箜篌・箏を学んだ。また、宜春院や教坊の見習いを「雑婦女」といった。


海燕欲飛調羽,萱草綠,杏花紅,隔簾櫳。
海ツバメは翅を整えてとぼうとしている。勿忘草は緑の葉を茂らせている。杏の花は赤く咲いている。宮女の部屋の格子窓の向こうの簾越しに見えてたのしむ。
・萱草 「忘れ草」と詠まれているのは、ユリ科の萱草。藪萱草(ヤブカンゾウ)・野萱草(ノカンゾウ)など幾種類かある。夏、百合に似た橙色の花を咲かせる。一重の野萱草や浜萱草は涼やかで、見入るうちに本当に憂いも忘れてしまいそうだ。若葉は美味で食され、根は生薬となる。歌に詠まれたのは花でなくもっぱら草葉である。
「忘憂草」すなわち「憂いを忘れさせる草」と呼ばれたのは、食用とされる若葉に栄養分が多かった故か、あるいは根から採った生薬の効用か。それはともかく、万葉人たちは身につければ恋しさを忘れさせてくれる草として歌に詠んでいる。紐に付けるとは、いわば魂に結びつける擬態だろう。
・櫳 部屋の格子戸。



雙鬓翠霞金縷,一枝春豔濃。
宮女の左右の鬢には翡翠の髪飾りに覆われ金の細糸で飾られている。
・金縷 細々と連なる金の糸筋。かぼそい腕は春のなまめかしさを色濃くしている。
・豔 豔は艶。〔春秋左氏伝・文公十六年〕から「公子鮑、美にして豔なり」(美男で色男という意味)。艶・艷は 豔の俗字。



樓上月明三五,瑣窗中。
高楼の上に月影が照らし輝き花を愛でる人影が三々五々と歩いている。宮女は小さな窓から眺めている。
・瑣 小さい。細かい。取るに足りない。


『定西番三首(一)』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-27-4-#5 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1724


『定西番三首(一)』温庭筠

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『定西番三首(一)』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-27-4-#5  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1724


定西番 一
漢使昔年離別,攀弱柳,折寒梅,上高台。
千裏玉關春雪,雁來人不來。
羌笛一聲愁絕,月徘徊。


定西番 二
海燕欲飛調羽,萱草綠,杏花紅,隔簾櫳。
雙鬓翠霞金縷,一枝春豔濃。
樓上月明三五,瑣窗中。


定西番 三
細雨曉莺春晚,人似玉,柳如眉,正相思。
羅幕翠簾初卷,鏡中花一枝。
腸斷寒門消息,雁來稀。


定西番 一
漢使昔年離別,攀弱柳,折寒梅,上高台。
漢の武帝が使者まで出して西王母を待ったがいったん別れたら二度と会えなかったという。わたしは若々しく柳のようにしなやかに挙げて過ごしし、折楊柳の変わりに寒梅を折って旅の健康を祈り、高台に上って見送るのです。
千裏玉關春雪,雁來人不來。
遙か千里先の玉門関に春が訪れても雪が残るという、私の所には雁が来ても、あの人は来てくれない。
羌笛一聲愁絕,月徘徊。

羌笛が一声響いてくるとその憂えを含んだ響きに気持ちも絶え絶えになる、今日もまた月の輝く庭を徘徊するのです。
定西番 一
漢使 昔年の離別,弱【わか】い柳を攀ぐ,寒梅を折り,高台に上る。
千裏玉關の春雪,雁來るも 人來らず。
羌笛一聲して 愁絕し,月に 徘徊す。

寒梅002


















『定西番』 一 現代語訳と訳註
(本文)
定西番 一
漢使昔年離別,攀弱柳,折寒梅,上高台。
千裏玉關春雪,雁來人不來。
羌笛一聲愁絕,月徘徊。


(下し文)
漢使 昔年の離別,弱【わか】い柳を攀ぐ,寒梅を折り,高台に上る。
千裏玉關の春雪,雁 人來りて來らず。
羌笛一聲して 愁絕し,月に 徘徊す。


(現代語訳)
漢の武帝が使者まで出して西王母を待ったがいったん別れたら二度と会えなかったという。わたしは若々しく柳のようにしなやかに挙げて過ごしし、折楊柳の変わりに寒梅を折って旅の健康を祈り、高台に上って見送るのです。
遙か千里先の玉門関に春が訪れても雪が残るという、私の所には雁が来ても、あの人は来てくれない。
羌笛が一声響いてくるとその憂えを含んだ響きに気持ちも絶え絶えになる、今日もまた月の輝く庭を徘徊するのです。

(訳注) 定西番 一
唐教坊曲名。 雙調三十五字,前段四句一仄韻、兩平韻,後段四句兩仄韻、兩平韻.
唐以降の中国王朝における宮廷に仕える楽人や妓女たちに宮廷音楽を教習させるための機関をさす。楽曲や歌舞の習得を主な目的とするが、官妓にあたる妓女を統括する役割もあった。その後の王朝に引き継がれ、清代まで続いたが、雍正帝の時に廃止された。
『定西番』は宮廷で歌われたこの教坊曲である。


漢使昔年離別,攀弱柳,折寒梅,上高台。

漢の武帝が使者まで出して西王母を待ったがいったん別れたら二度と会えなかったという。わたしは若々しく柳のようにしなやかに挙げて過ごしし、折楊柳の変わりに寒梅を折って旅の健康を祈り、高台に上って見送るのです。
・漢使 青雀、仙界との通信を媒介するという鳥。この句は漢の武帝の故事をふまえる。六朝時代の小説「漢武故事」と「漢武帝内伝」の記事を折衷すると以下の如くである。漢の武帝が承華殿で禊をしていたところ、突然、青い鳥が西方から飛んで来た。武帝が侍従文人の東方朔に尋ねた所、仙女西王母の使者に相違ないとの答えだった。事実、間もなく聖母がやって来た。武帝は長命の術をたずね、西母は守るべき訓戒を与えた。三年後に再訪するという約束を得たので、その後、武帝は彼女を迎える楼閣は建てたが、訓戒の養生訓を守らなかったので、西王母は二度とやって来なかったという。なお「漢武帝内伝」では、使者は青衣の女子となっている。○集霊台 漢の武帝が道教に執心し、西王母を迎える為に建てた宮殿の一つ。集霊宮中の通天台のこと。陝西省華山の北の山麓にあったという。


千裏玉關春雪,雁來人不來。
遙か千里先の玉門関に春が訪れても雪が残るという、私の所には雁が来ても、あの人は来てくれない。
玉關 玉門関に出征している夫の悲痛なる気持ち。唐代の玉門関は漢代のそれより、約100km西方へ移動している。
李白『子夜呉歌其三 秋』「長安一片月、万戸擣衣声。秋風吹不尽、総是玉関情。何日平胡虜、良人罷遠征。」(長安 一片の月、万戸衣を擣つの声。秋風 吹いて尽きず、総て是れ玉関【ぎょくかん】の情。何【いず】れの日か胡虜【こりょ】を平らげ、良人 遠征を罷【や】めん。)

李白24 子夜呉歌其三 秋 25 冬


羌笛一聲愁絕,月徘徊。
羌笛が一声響いてくるとその憂えを含んだ響きに気持ちも絶え絶えになる、今日もまた月の輝く庭を徘徊するのです。
 ・羌笛 青海地方にいた西方異民族(チベツト系)の吹く笛。ここでは城郭の傍の参軍の角笛を聞くこと。
『清溪半夜聞笛』李白
羌笛梅花引、吳溪隴水情。
寒山秋浦月、腸斷玉關聲。

李白70清溪半夜聞笛 71秋浦歌十七首 其二 72清溪行 73 宿清溪主人

『酒泉子』四首(四) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-24-3-#4 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1720

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『酒泉子』四首(四) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-24-3-#4  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1720


酒泉子 (一)
羅帶惹香,猶系別時紅豆。
淚痕新,金縷舊,斷離腸。
一雙嬌燕語雕梁,還是去年時節。
綠陰濃,芳草歇,柳花狂。

酒泉子 (二)
花映柳條,閑嚮綠萍池上。
憑欄杆,窺細浪,兩蕭蕭。
近來音信兩疏索,洞房空寂寞。
掩銀屏,垂翠箔,度春宵。

酒泉子 (三)
日映紗窗,金鴨小屏山碧。
故鄉春,煙霭隔,背蘭釭。
宿妝惆悵倚高閣,千裏雲影薄。
草初齊,花又落,燕雙雙。

酒泉子 (四)
楚女不歸,樓枕小河春水。
月孤明,風又起,杏花稀。
玉釵斜簪雲鬟重,裙上金縷鳳。
八行書,千裏夢,雁南飛。


酒泉子 (一)
羅帶 香に惹かれ,猶お別れ時に紅豆に系かる。
淚痕 新たにし,金縷 舊く,離れ腸を斷つ。
一雙 燕を嬌して雕梁を語り,是に去る年 時節を還える。
綠陰 濃く,芳草 歇むは,柳花の狂なり。

酒泉子 (二)
花 柳條を映え,閑にして嚮うは 綠萍 池の上り。
欄杆を憑し,細浪を窺うは,兩 蕭蕭たり。
近來 音信 兩 疏索にす,洞房 空しく寂寞たり。
銀屏を掩い,翠箔を垂して,春宵を度る。

酒泉子 (三)
日 紗窗に映し,金鴨 小屏 山の碧。
故鄉の春,煙霭の隔,蘭釭を背す。
宿妝 惆怅して高閣に倚るは,千裏 雲影薄し。
草 初めて齊し,花又落つるは,燕 雙雙たり。

酒泉子 (四)
楚女 歸らず,樓枕 小河の春水。
月 孤り明るくし,風又起きるは,杏花 稀れなり。
玉钗 斜簪 雲鬟 重り,裙上 金縷の鳳。
八行の書,千裏の夢,雁 南飛す。


酒泉子 (四)
・酒泉子 唐教坊曲名。雙調四十字、前段五句両平韻
両仄韻、後段五句三仄韻一平韻(詞譜三)。
唐以降の中国王朝における宮廷に仕える楽人や妓女たちに宮廷音楽を教習させるための機関をさす。楽曲や歌舞の習得を主な目的とするが、官妓にあたる妓女を統括する役割もあった。その後の王朝に引き継がれ、清代まで続いたが、雍正帝の時に廃止された。
『酒泉子』は宮廷で歌われたこの教坊曲である。


楚女不歸,樓枕小河春水。
美人の多い楚の国の女は帰ることはない、樓閣で枕する生活で春の小川のくねり曲りを感じ、雪解けの水嵩が増える思いをしている。
月孤明,風又起,杏花稀。
中秋の明月はただ独りの部屋をで明るく照らし、北風もまた吹きすさび起き上がる。そしてまた女はあんずの花が稀に咲くおもいをするのである。
玉釵斜簪雲鬟重,裙上金縷鳳。
かがやく宝飾に飾られた簪は斜めに傾き雲型の鬢の髪に重なる、うす手の上着を掛けられた金の刺繍の鳳凰がある。
八行書,千裏夢,雁南飛。

八行の詩詞の手紙、千里先に夢をはせる。雁が夢を乗せて南に飛んでゆく。


白鬚草01



『酒泉子』 (四) 現代語訳と訳註
(本文)
酒泉子 (四)
楚女不歸,樓枕小河春水。
月孤明,風又起,杏花稀。
玉钗斜簪雲鬟重,裙上金縷鳳。
八行書,千裏夢,雁南飛。


(下し文)
酒泉子 (四)
楚女 歸らず,樓枕 小河の春水。
月 孤り明るくし,風又起きるは,杏花 稀れなり。
玉钗 斜簪 雲鬟 重り,裙上 金縷の鳳。
八行の書,千裏の夢,雁 南飛す。


(現代語訳)
美人の多い楚の国の女は帰ることはない、樓閣で枕する生活で春の小川のくねり曲りを感じ、雪解けの水嵩が増える思いをしている。
中秋の明月はただ独りの部屋をで明るく照らし、北風もまた吹きすさび起き上がる。そしてまた女はあんずの花が稀に咲くおもいをするのである。
かがやく宝飾に飾られた簪は斜めに傾き雲型の鬢の髪に重なる、うす手の上着を掛けられた金の刺繍の鳳凰がある。
八行の詩詞の手紙、千里先に夢をはせる。雁が夢を乗せて南に飛んでゆく。


(訳注) 酒泉子 (四)
楚女不歸,樓枕小河春水。
美人の多い楚の国の女は帰ることはない、樓閣で枕する生活で春の小川のくねり曲りを感じ、雪解けの水嵩が増える思いをしている。
菩薩蠻 十三
竹風輕動庭除冷,珠簾月上玲珑影。
山枕隱濃妝,綠檀金鳳凰。
兩蛾愁黛淺,故國吳宮遠。
春恨正關情,畫樓殘點聲。


月孤明,風又起,杏花稀。
中秋の明月はただ独りの部屋をで明るく照らし、北風もまた吹きすさび起き上がる。そしてまた女はあんずの花が稀に咲くおもいをするのである。
・杏花 杏の花は春の花であり、秋に稀に咲くわけではなく男女関係をもとにした語と思われる。
菩薩蠻 十一
南園滿地堆輕絮,愁聞一霎清明雨。
雨後卻斜陽,杏花零落香。
無言勻睡臉,枕上屏山掩。
時節欲黃昏,無聊獨倚門。


玉釵斜簪雲鬟重,裙上金縷鳳。
かがやく宝飾に飾られた簪は斜めに傾き雲型の鬢の髪に重なる、うす手の上着を掛けられた金の刺繍の鳳凰がある。
菩薩蠻 十四
水精簾裏頗黎枕,暖香惹夢鴛鴦錦。
江上柳如煙,雁飛殘月天。
藕絲秋色淺,人勝參差剪。
雙鬂隔香紅,玉钗頭上風。


八行書,千裏夢,雁南飛。
八行の詩詞の手紙、千里先に夢をはせる。雁が夢を乗せて南に飛んでゆく。
菩薩蠻 十
滿宮明月梨花白,故人萬裏關山隔。
金雁一雙飛,淚痕沾繡衣。
小園芳草綠,家住越溪曲。
楊柳色依依,燕歸君不歸。

『酒泉子』 四首(三) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-23-3-#3 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1716


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酒泉子四首 温庭筠

酒泉子 (一)
羅帶惹香,猶系別時紅豆。
淚痕新,金縷舊,斷離腸。
一雙嬌燕語雕梁,還是去年時節。
綠陰濃,芳草歇,柳花狂。

酒泉子 (二)
花映柳條,閑嚮綠萍池上。
憑欄杆,窺細浪,兩蕭蕭。
近來音信兩疏索,洞房空寂寞。
掩銀屏,垂翠箔,度春宵。

酒泉子 (三)
日映紗窗,金鴨小屏山碧。
故鄉春,煙霭隔,背蘭釭。
宿妝惆悵倚高閣,千裏雲影薄。
草初齊,花又落,燕雙雙。

酒泉子 (四)
楚女不歸,樓枕小河春水。
月孤明,風又起,杏花稀。
玉钗斜簪雲鬟重,裙上金縷鳳。
八行書,千裏夢,雁南飛。


酒泉子 (一)
羅帶 香に惹かれ,猶お別れ時に紅豆に系かる。
淚痕 新たにし,金縷 舊く,離れ腸を斷つ。
一雙 燕を嬌して雕梁を語り,是に去る年 時節を還える。
綠陰 濃く,芳草 歇むは,柳花の狂なり。

酒泉子 (二)
花 柳條を映え,閑にして嚮うは 綠萍 池の上り。
欄杆を憑し,細浪を窺うは,兩 蕭蕭たり。
近來 音信 兩 疏索にす,洞房 空しく寂寞たり。
銀屏を掩い,翠箔を垂して,春宵を度る。

酒泉子 (三)
日 紗窗に映し,金鴨 小屏 山の碧。
故鄉の春,煙霭の隔,蘭釭を背す。
宿妝 惆悵して高閣に倚るは,千裏 雲影薄し。
草 初めて齊し,花又落つるは,燕 雙雙たり。

酒泉子 (四)
楚女 歸らず,樓枕 小河の春水。
月 孤り明るくし,風又起きるは,杏花 稀れなり。
玉钗 斜簪 雲鬟 重り,裙上 金縷の鳳。
八行の書,千裏の夢,雁 南飛す。

酒泉子 (三)
日映紗窗,金鴨小屏山碧。
昼下がりの日陰が薄絹を張った女の部屋の窓に映えている。女が横たわりそのそばに金の鴨の絵が屏風に書かれている山の葉の緑もえがかれている。
故鄉春,煙霭隔,背蘭釭。
故郷にも春が来ているだろう、春霞に遠く隔たっている。蘭の火灯し皿にともしたままで背を向けている。
宿妝惆悵倚高閣,千裏雲影薄。
宵越しの化粧で多くはいつ来るのかと待ちわびて憂愁のためにくずれてしまったままで歎き悲しんで高楼の手摺に寄りかかる。眺め遣る千里の先にいるあの人も雲の影も薄くなる。
草初齊,花又落,燕雙雙。

春が来て初めての「斉眉之礼」をしたかった、時は過ぎまた花が落ちて、ツバメは梁の上でツガイ、飛び交うのもツガイ。

酒泉子 (三)
日 紗窗に映し,金鴨 小屏 山の碧。
故鄉の春,煙霭の隔,蘭釭を背す。
宿妝 惆悵して高閣に倚るは,千裏 雲影薄し。
草 初めて齊し,花又落つるは,燕 雙雙たり。

趙飛燕Hienso002



























『酒泉子四首』(三) 現代語訳と訳註
(本文)
酒泉子 (三)
日映紗窗,金鴨小屏山碧。
故鄉春,煙霭隔,背蘭釭。
宿妝惆悵倚高閣,千裏雲影薄。
草初齊,花又落,燕雙雙。


(下し文)
酒泉子 (三)
日 紗窗に映し,金鴨 小屏 山の碧。
故鄉の春,煙霭の隔,蘭釭を背す。
宿妝 惆悵して高閣に倚るは,千裏 雲影薄し。
草 初めて齊し,花又落つるは,燕 雙雙たり。

(現代語訳)
昼下がりの日陰が薄絹を張った女の部屋の窓に映えている。女が横たわりそのそばに金の鴨の絵が屏風に書かれている山の葉の緑もえがかれている。
故郷にも春が来ているだろう、春霞に遠く隔たっている。蘭の火灯し皿にともしたままで背を向けている。
宵越しの化粧で多くはいつ来るのかと待ちわびて憂愁のためにくずれてしまったままで歎き悲しんで高楼の手摺に寄りかかる。眺め遣る千里の先にいるあの人も雲の影も薄くなる。
春が来て初めての「斉眉之礼」をしたかった、時は過ぎまた花が落ちて、ツバメは梁の上でツガイ、飛び交うのもツガイ。


(訳注) 酒泉子 (三)
・酒泉子 唐教坊曲名。雙調四十字、前段五句両平韻
両仄韻、後段五句三仄韻一平韻(詞譜三)。
唐以降の中国王朝における宮廷に仕える楽人や妓女たちに宮廷音楽を教習させるための機関をさす。楽曲や歌舞の習得を主な目的とするが、官妓にあたる妓女を統括する役割もあった。その後の王朝に引き継がれ、清代まで続いたが、雍正帝の時に廃止された。
『酒泉子』は宮廷で歌われたこの教坊曲である。


日映紗窗,金鴨小屏山碧。

昼下がりの日陰が薄絹を張った女の部屋の窓に映えている。女が横たわりそのそばに金の鴨の絵が屏風に書かれている山の葉の緑もえがかれている。
・紗窗 薄絹を張った窓。
李白『宮中行樂詞八首 其五』「繡戶香風暖。 紗窗曙色新。 宮花爭笑日。 池草暗生春。 綠樹聞歌鳥。 青樓見舞人。 昭陽桃李月。 羅綺自相親。」
・鴨 カモ科の鳥類のうち、雁(カリ)に比べて体が小さく、首があまり長くなく、冬羽(繁殖羽)では雄と雌で色彩が異なるものをいう。カルガモのようにほとんど差がないものもある。
『菩薩蠻』 (一) 
小山重疊金明滅,鬢雲欲度香顋雪。
懶起畫蛾眉。弄妝梳洗遲。
照花前後鏡。花面交相映。
新帖繡羅襦。雙雙金鷓鴣。


故鄉春,煙霭隔,背蘭釭。
故郷にも春が来ているだろう、春霞に遠く隔たっている。蘭の火灯し皿にともしたままで背を向けている。


宿妝惆悵倚高閣,千裏雲影薄。
宵越しの化粧で多くはいつ来るのかと待ちわびて憂愁のためにくずれてしまったままで歎き悲しんで高楼の手摺に寄りかかる。眺め遣る千里の先にいるあの人も雲の影も薄くなる。
・宿粧 宵越しの化粧で多くはいつ来るのかと待ちわびて憂愁のためにくずれているものをいう。
温庭筠『菩薩蠻 三』
蕊黃無限當山額,宿妝隱笑紗窗隔。
相見牡丹時,暫來還別離。
翠钗金作股,钗上蝶雙舞。
心事竟誰知?月明花滿枝。
・惆悵 歎き悲しむさま


草初齊,花又落,燕雙雙。
春が来て初めての「斉眉之礼」をしたかった、時は過ぎまた花が落ちて、ツバメは梁の上でツガイ、飛び交うのもツガイ。
・斉眉  《後漢の梁鴻の妻の孟光が食膳を捧げるとき、その高さを眉(まゆ)と斉(ひと)しくしたという「後漢書」梁鴻伝の故事から》妻が夫を深く尊敬して仕えること。

『酒泉子』四首(二) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-22-3-#2 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1704

『酒泉子』四首(二) 温庭筠

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『酒泉子』四首(二) 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-22-3-#2  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1704


酒泉子 (二)
花映柳條,閑嚮綠萍池上。
花は柳の枝を背に照り映えている。ひまに任せてみどりの浮草のただよう池のほとりにむかう。
憑欄杆,窺細浪,兩蕭蕭。

欄干にもたれてみる、そしてさざ波の行方をよくのぞいてみていると、しとしとと雨がふってくるのである。
近來音信兩疏索,洞房空寂寞。
ちかごろになって、あの人との手紙のやりとりも来訪のどちらもなくなり疎遠になっている。私のねやはひっそりとさびしいいままなのです。
掩銀屏,垂翠箔,度春宵。

銀の屏風でかこいをし、翡翠のみどりのすだれを垂れたままにして、またわびしく春の宵をすごすことになるのです。

花は 柳條に 映じ,閑にして郷【むか】うは 綠萍【りょくびょう】池の上り。
欄干に憑【よ】り,細浪を窺【のぞ】けば,雨 蕭蕭たり。

近來 音信 兩 疏索にす,洞房 空しく寂寞たり。
銀屏を掩い,翠箔【すいはく】を垂して,春宵を度る。


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『酒泉子四首(二)』 現代語訳と訳註
(本文)
酒泉子
花映柳條,閑嚮綠萍池上。
憑欄杆,窺細浪,兩蕭蕭。

近來音信兩疏索,洞房空寂寞。
掩銀屏,垂翠箔,度春宵。


(下し文)
花は 柳條に 映じ,閑に向ふ綠萍の 池上。
欄干に凭(よ)り,細浪を窺へば,雨 蕭蕭たり。

近來 音信 兩(ふた)つながら疏索(まれ)に,洞房空しく寂寂たり。
銀屏にて 掩ひ,翠箔を 垂らし,春宵を 度(わた)る。


(現代語訳)
花は柳の枝を背に照り映えている。ひまに任せてみどりの浮草のただよう池のほとりにむかう。
欄干にもたれてみる、そしてさざ波の行方をよくのぞいてみていると、しとしとと雨がふってくるのである。
ちかごろになって、あの人との手紙のやりとりも来訪のどちらもなくなり疎遠になっている。私のねやはひっそりとさびしいいままなのです。
銀の屏風でかこいをし、翡翠のみどりのすだれを垂れたままにして、またわびしく春の宵をすごすことになるのです。


(訳注)
酒泉子

・酒泉子 唐教坊曲名。雙調四十字、前段五句両平韻
両仄韻、後段五句三仄韻一平韻(詞譜三)。
唐以降の中国王朝における宮廷に仕える楽人や妓女たちに宮廷音楽を教習させるための機関をさす。楽曲や歌舞の習得を主な目的とするが、官妓にあたる妓女を統括する役割もあった。その後の王朝に引き継がれ、清代まで続いたが、雍正帝の時に廃止された。
『酒泉子』は宮廷で歌われたこの教坊曲である。


花映柳條,閑向綠萍池上。
花は柳の枝を背に照り映えている。ひまに任せてみどりの浮草のただよう池のほとりにむかう。
・映 照り映える。ここでは、花の(紅い)色が緑の柳に映えていること。
・柳條 柳の枝。 ・條:長い枝。しなやかな女性の様子を云う。
・閑 ひま。ぶらぶらと。つれづれなるままに。ひまにまかせて。
・郷 ~に向かう。
・綠萍 綠色の浮き草。
・池上 池のほとり。


憑欄杆,窺細浪,兩蕭蕭。
欄干にもたれてみる、そしてさざ波の行方をよくのぞいてみていると、しとしとと雨がふってくるのである。
・憑欄杆 欄干によりかかる。このしぐさは、人を待ったり、思索したりするときの表現。
・窺 うかがう。様子を見る。
・細浪 さざ波。
・蕭蕭 ものさびしいさま。


近來音信兩疏索,洞房空寂寂。
ちかごろになって、あの人との手紙のやりとりも来訪のどちらもなくなり疎遠になっている。私のねやはひっそりとさびしいいままなのです。
近來 ちかごろ。
・音信 文字やしるしによるおとずれ。手紙。たより。来訪。
・兩 来訪と手紙のどちらも。
・疏索 まれである。
・房 へや。
・空寂寂 空寂。ひっそりとして寂しい。
・洞房空寂寂 奥深い婦人の部屋はひっそりとして寂しい。


掩銀屏,垂翠箔,度春宵。
銀の屏風でかこいをし、翡翠のみどりのすだれを垂れたままにして、またわびしく春の宵をすごすことになるのです。
掩銀屏 銀の屏風でおおう。
・翠箔 翡翠の簾。緑色のカーテン。緑色のカーテンは女性の部屋をいう。
 過ごす。
度春宵 春のよいをすごす。

『酒泉子』四首(一)温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-21-3-#1 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1700

酒泉子四首温庭筠


酒泉子 (一)
羅帶惹香,猶系別時紅豆。
淚痕新,金縷舊,斷離腸。
一雙嬌燕語雕梁,還是去年時節。
綠陰濃,芳草歇,柳花狂。


酒泉子 (二)
花映柳條,閑嚮綠萍池上。
憑欄杆,窺細浪,兩蕭蕭。
近來音信兩疏索,洞房空寂寞。
掩銀屏,垂翠箔(一作幕),度春宵。


酒泉子 (三)
日映紗窗,金鴨小屏山碧。
故鄉春,煙霭隔,背蘭釭。
宿妝惆怅倚高閣,千裏雲影薄。
草初齊,花又落,燕雙雙。


酒泉子 (四)
楚女不歸,樓枕小河春水。
月孤明,風又起,杏花稀。
玉钗斜簪雲鬟重,裙上金縷鳳。
八行書,千裏夢,雁南飛。


酒泉子 (一)
羅帶 香に惹かれ,猶お別れ時に紅豆に系かる。
淚痕 新たにし,金縷 舊く,離れ腸を斷つ。
一雙 燕を嬌して雕梁を語り,是に去る年 時節を還える。
綠陰 濃く,芳草 歇むは,柳花の狂なり。


酒泉子 (二)
花 柳條を映し,閑にして嚮うは 綠萍 池の上り。
欄杆を憑し,細浪を窺すは,兩 蕭蕭たり。
近來 音信 兩 疏索にす,洞房 空しく寂寞たり。
銀屏を掩い,翠箔を垂して,春宵を度る。


酒泉子 (三)
日 紗窗に映し,金鴨 小屏 山の碧。
故鄉の春,煙霭の隔,蘭釭を背す。
宿妝 惆怅して高閣に倚るは,千裏 雲影薄し。
草 初めて齊し,花又落つるは,燕 雙雙たり。


酒泉子 (四)
楚女 歸らず,樓枕 小河の春水。
月 孤り明るくし,風又起きるは,杏花 稀れなり。
玉钗 斜簪 雲鬟 重り,裙上 金縷の鳳。
八行の書,千裏の夢,雁 南飛す。



『酒泉子』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-21-3-#  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1700


酒泉子 (一)
羅帶惹香,猶系別時紅豆。
薄絹の肌着に帯に香が漂うと惹かれる、ふたりの別れの時は苦しくて悲しくて小豆のような涙が数珠のように繋がって流れ落ちる。
淚痕新,金縷舊,斷離腸。
そして、涙があふれおちる、その涙の後を新しくする涙が又落ちる、あの男にもらった金の刺繍のうす絹は古くなる。思い焦がれ離れてしまったまま、この体を持て余し下腹を斬る痛みを感じる。
一雙嬌燕語雕梁,還是去年時節。
一ツガイのつばめが艶めかしく鷲の彫刻の梁の上で語り合っている。これで今年も去って行き又その時節が来ると帰っていく。
綠陰濃,芳草歇,柳花狂。
みどりの木陰はその色を濃くし、若草の香りもしなくなってくる頃、季節外れの柳の花は狂い咲く。

酒泉子 (一)
羅帶 香に惹かれ,猶お別れ時に紅豆に系かる。
淚痕 新たにし,金縷 舊く,離れ腸を斷つ。
一雙 燕を嬌して雕梁を語り,是に去る年 時節を還える。
綠陰 濃く,芳草 歇むは,柳花の狂なり。


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『酒泉子』(一) 現代語訳と訳註
(本文)
酒泉子 (一)
羅帶惹香,猶系別時紅豆。
淚痕新,金縷舊,斷離腸。
一雙嬌燕語雕梁,還是去年時節。
綠陰濃,芳草歇,柳花狂。


(下し文) 酒泉子 (一)
羅帶 香に惹かれ,猶お別れ時に紅豆に系かる。
淚痕 新たにし,金縷 舊く,離れ腸を斷つ。
一雙 燕を嬌して雕梁を語り,是に去る年 時節を還える。
綠陰 濃く,芳草 歇むは,柳花の狂なり。


(現代語訳)
薄絹の肌着に帯に香が漂うと惹かれる、ふたりの別れの時は苦しくて悲しくて小豆のような涙が数珠のように繋がって流れ落ちる。
そして、涙があふれおちる、その涙の後を新しくする涙が又落ちる、あの男にもらった金の刺繍のうす絹は古くなる。思い焦がれ離れてしまったまま、この体を持て余し下腹を斬る痛みを感じる。
一ツガイのつばめが艶めかしく鷲の彫刻の梁の上で語り合っている。これで今年も去って行き又その時節が来ると帰っていく。
みどりの木陰はその色を濃くし、若草の香りもしなくなってくる頃、季節外れの柳の花は狂い咲く。


(訳注)
酒泉子
 (一)
・酒泉子 唐教坊曲名。雙調四十字、前段五句両平韻
両仄韻、後段五句三仄韻一平韻(詞譜三)。
唐以降の中国王朝における宮廷に仕える楽人や妓女たちに宮廷音楽を教習させるための機関をさす。楽曲や歌舞の習得を主な目的とするが、官妓にあたる妓女を統括する役割もあった。その後の王朝に引き継がれ、清代まで続いたが、雍正帝の時に廃止された。
『酒泉子』は宮廷で歌われたこの教坊曲である。


羅帶惹香,猶系別時紅豆。
薄絹の肌着に帯に香が漂うと惹かれる、ふたりの別れの時は苦しくて悲しくて小豆のような涙が数珠のように繋がって流れ落ちる。
・この二句はふたりの別れの時の模様である
・紅豆 あずき。血の涙。小豆のような涙が数珠のように繋がる。


淚痕新,金縷舊,斷離腸。
そして、涙があふれおちる、その涙の後を新しくする涙が又落ちる、あの男にもらった金の刺繍のうす絹は古くなる。思い焦がれ離れてしまったまま、この体を持て余し下腹を斬る痛みを感じる。
断腸 男女のいとなみのなさからくる苦しみ、痛みを云う。


一雙嬌燕語雕梁,還是去年時節。
一ツガイのつばめが艶めかしく鷲の彫刻の梁の上で語り合っている。これで今年も去って行き又その時節が来ると帰っていく。
嬌燕 燕の艶めかしくする姿は、当然他の男女のことを謂う。
雕梁 奥座敷の飾り彫りの梁をいうが、寝床から上を向いていることを意識させる語句である。


綠陰濃,芳草歇,柳花狂。
みどりの木陰はその色を濃くし、若草の香りもしなくなってくる頃、季節外れの柳の花は狂い咲く。
・この聯は時節、歳月の移り変わりを云う。

温庭筠 菩薩蛮 十四首 index(2) まとめ-2

温庭筠 菩薩蛮 十四首 index(2)


◆◆◆2012年12月22日紀頌之の5つの漢文ブログ◆◆◆
 

Ⅰ.李白と李白に影響を与えた詩集 
古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩 
又清河作一首 曹丕(魏文帝) 魏詩<4> 女性詩621 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1701 
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67759532.html


Ⅱ.中唐詩・晩唐詩 
 唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ 
誰氏子 韓愈 韓退之(韓愈)詩<99-#2>Ⅱ中唐詩534 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1702 
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6145724.html


Ⅲ.杜甫詩1000詩集 
"●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説するブログ 
●詩人として生きていくことを決めた杜甫が理想の地を求めてっ旅をする
●人生としては4/5前で、全詩1/3を掲載済。" 
”成都紀行(11)”  鹿頭山 杜甫詩1000 <351>#3 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1703 杜甫1500- 525
 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-tohoshi/archives/67759454.html


Ⅳ.漢詩・唐詩・宋詞詩詩集 
元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩 (12/22) 
http://kanshi100x100.blog.fc2.com/blog-entry-575.html
 

Ⅴ.晩唐五代詞詩・宋詞詩 
 森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”彼女の詩の先生として登場する 晩唐期の詩人 温庭筠(おんていいん)の作品を訳註解説する。 
温庭筠 菩薩蛮 14首index(2) まとめ-2
 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-godaisoui/archives/21300775.html
 

謝靈運詩   http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html
李商隠詩  http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html
女性詩人  http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html

温庭筠 菩薩蛮 14首index(2)
森鴎外『魚玄機』より温庭筠について


温庭筠は大中元年に、三十歳で太原から出て、始て進士の試に応じた。自己の詩文は燭一寸を燃さぬうちに成ったので、隣席のものが呻吟するのを見て、これに手を仮して遣った。その後挙場に入る毎に七八人のために詩文を作る。その中には及第するものがある。ただ温庭筠のみはいつまでも及第しない。
これに反して場外の名は京師に騒いで、大中四年に宰相になった令狐綯も、温庭筠を引見して度々筵席に列せしめた。ある日席上で綯が一の故事を問うた。それは荘子に出ている事であった。温庭筠が直ちに答えたのは好いが、その詞は頗る不謹慎であった。「それは南華に出ております。余り僻書ではございません。相公も爕理の暇には、時々読書をもなさるが宜しゅうございましょう」と云ったのである。
また宣宗が菩薩蛮の詞を愛するので、令狐綯が塡詞して上った。実は温に代作させて口止をして置いたのである。然るに温庭筠は酔ってその事を人に漏した。その上かつて「中書堂内坐将軍をざせしむ」と云ったことがある。令狐綯が無学なのを譏ったのである。
温庭筠の名は遂に宣宗にも聞えた。それはある時宣宗が一句を得て対を挙人中に求めると、温庭筠は宣宗の「金歩揺」に対するに「玉条脱」を以てして、帝に激賞せられたのである。然るに宣宗は微行をする癖があって、温庭筠の名を識ってから間もなく、旗亭で温庭筠に邂逅した。温庭筠は帝の顔を識らぬので、暫く語を交えているうちに傲慢無礼の言をなした。
既にして挙場では、沈詢が知挙になってから、温庭筠を別席に居らせて、隣に空席を置くことになった。詩名はいよいよ高く、帝も宰相もその才を愛しながら、その人を鄙んだ。趙顓【ちょうせん】の妻になっている温庭筠の姉などは、弟のために要路に懇請したが、何の甲斐もなかった。

菩薩蠻0(8)











『菩薩蠻 八』

鳳凰相對盤金縷,牡丹一夜經微雨。
明鏡照新妝,鬓輕雙臉長。
畫樓相望久,欄外垂絲柳。
音信不歸來,社前雙燕回。


鳳凰 相對して金縷を盤す,牡丹 一夜にして微雨に經る。
明鏡 新妝を照らし,鬓輕 雙びて臉 長し。
畫樓 相望久,欄外 絲柳を垂るる。
音信 歸えり來らず,社前 雙燕 回える。


今朝もさびしい朝化粧、鳳凰のむかいあい、金糸をぬいとりが尾のからみ渦巻く紋様がある。昨日一夜の春の小糠雨に、庭の牡丹の花が濡れ潤いうつくしい。(この女も少し前は若くてうつくしさは小雨に潤う牡丹の花であったのだ。)
部屋に日がさしこみ、鏡にうつすお化粧したてのすがたに日に照らされる、さびしさにおとろえたせいか、頬もうすくなり、そして鬢にかかる雲形の髪も薄くなり、二つの頬はやつれて精彩がなくなっている。
飾られた高楼にのぼって、今日もまた久しくあの人の帰りをまちわびる。欄干のかなたには、しだれ柳が芽をふき、風にふかれてゆれている。
音も沙汰もかえってこないで、今年もまた社日にさきだって交尾する仲むつまじそうな燕がでたりはいったりしている。


菩薩蠻0(9)












『菩薩蠻 九』

牡丹花謝莺聲歇,綠楊滿院中庭月。
相憶夢難成,背窗燈半明。
翠鈿金壓臉,寂寞香閨掩。
人遠淚闌幹,燕飛春又殘。


牡丹 花謝【お】ち 鶯聲歇【や】む,綠楊【りょくよう】院に滿ち 中庭の月。
相憶【そうおく】の夢 成し難く,窗を背に燈び明りを半ばにする。
翠鈿【すいてん】の金 臉【ほほ】に壓【くず】す,寂寞【せきばく】として香 閨に掩う。
人遠く淚 闌幹【らんかん】し,燕飛 春 又殘る。


晩春になり牡丹の花がちりはじめ、うぐいすのこえもなきやむ初夏のころとなった。青柳のみどりはもはや中庭一面に繁り、月かげがさしている。
女の部屋のうちにあって、帰ってこない夫をせめて夢の中にでも逢いたいと思うのである、その夢をむすぶ高窓に背を向けて「知らない!」といってみる、燃やし続ける蝋燭の芯は半ばの明かりとなっている。
その顔に化粧を施し、頬に金の翠の鈿をつけている、いかにもうつくしいお化粧ではあるがひとりの閨は寂寞としたうれいにしずんでいる。
かこわれた部屋はひっそりとして人かげもなく、涙を流し続けて頬には、くっきりと涙の後がついている。また今年も燕が飛び交う、そして春はまたその名残を残していくだけなのだ。


菩薩蠻0(10)











『菩薩蠻 十』

滿宮明月梨花白,故人萬裏關山隔。
金雁一雙飛,淚痕沾繡衣。
小園芳草綠,家住越溪曲。
楊柳色依依,燕歸君不歸。


宮に滿つ月明り 梨花の白,故人 萬裏 關山の隔。
金雁 一雙飛,淚痕 繡衣に沾う。
小園 芳草の綠,家住 越溪の曲。
楊柳 色 依依なり,燕歸 君 歸らず。


後宮の庭に月は明るく照らし、梨の花がまっ白に咲き満ちている。あのお方はこないのはまるでとおいとおい国境の山のかなたに行ってしまったままかえってこないことと同じである。
季節は廻って金星が流れて空の上をつがいの雁が渡ってゆく、宮女の部屋にお渡りがなくなって随分経つながれる涙は刺繍の衣服をうるおしている。
又季節が廻り、宮殿の中庭の園にはもう春の草がみどりに萌えでている。そう、わたしもむかし越の国の美人西施が住んでいた若耶渓の「詞曲」のように出会ったのです。
わたしはまだまだ楊柳色のようの若々しくそしてなまめかしい体なのです。そしてまた燕は愛の巢に帰ってきます。愛する君は若い宮女に行っていて私の所に帰ってくれないのです。


菩薩蠻0(11)











『菩薩蠻 十一』 

南園滿地堆輕絮,愁聞一霎清明雨。
雨後卻斜陽,杏花零落香。
無言勻睡臉,枕上屏山掩。
時節欲黃昏,無聊獨倚門。


南園は地に滿つ輕絮堆るを,愁 清明の雨一霎するを聞く。
雨後 卻て斜陽なり,杏花 零落して香る。
言無くて睡臉を勻し,枕上に屏山掩う。
時節 黃昏にならんと欲す,無聊 獨り門に倚る。


いつのまにかことしも春の盛りを過ぎて行く、南園には初夏の兆しが、地面いっぱいに雪のように柳絮の花がつもる。愁いの気持ちで、ふりしきりる清明の小雨の音をきいている。
雨がふりすぎたあとには、傾いた日差しが照りかえして、杏の花が一面に散り落ち、良いにおいをあたりにただよわせる。
日暮れになり、寝所に入ろうとして、一言も言わないで、寝覚めのための顔、頬にお化粧をつくろう。枕の上には屏風のように女の体がおおっている。
今年の春も過ぎてしまう。時も季節も、私も黄昏になる。ただひとりでわびしく門にもたれて、あの方が私の所にかえってくることを待ちわびるのである。


菩薩蠻0(12)











『菩薩蠻』 十二 

雨晴夜台玲珑日,萬枝香袅紅絲拂。
閑夢憶金堂,滿庭萱草長。
繡簾垂箓簌,眉黛遠山綠。
春水渡溪橋,憑欄魂欲消。


雨晴れ夜合 玲瓏の日,萬枝 香裊【こうじょう】 紅絲拂う。
閑夢は金堂を憶う,庭に滿つ萱草長し。
繡簾 箓簌【ろくそく】を垂し,眉黛【びたい】遠山の綠。
春水 溪橋を渡り,欄に憑【もた】れて魂消さんと欲す。


雨が晴れあがり、潤ったねむの花にうららかな日の光がさしこむ。庭中の枝という枝にいっぱいにさいている紅い糸の匂い袋のようなうつくしい花が、ゆらゆらとゆれうごく。
寂しくしずかな夢だけしかなく、あの人と過ごした奇麗な座敷のことを憶いだすだけしかないのです。かなしいのは庭にいっぱい「忘れの花」が生えているのです。
刺繍をした簾には美しい総が垂れ下っている。そのすだれをかかげて、遠い山々をながめるとみどりのまゆずみを掃いたかのようにうすくかすんで、この体を持て余したまま、季節は夏の装いになってくる。
そしてまた、谷川にかかる橋の下を春の雪解け水がながれてゆく。欄干にもたれて、あの人を思うこころをきしてしまいたいとおもうのです。



菩薩蠻0(13)











『菩薩蠻』十三 
竹風輕動庭除冷,珠簾月上玲瓏影。
山枕隱濃妝,綠檀金鳳凰。
兩蛾愁黛淺,故國吳宮遠。
春恨正關情,畫樓殘點聲。


竹風 輕動して 庭除の冷,珠簾 月上りて瓏影するも玲なり。
山枕は濃妝を隱し,綠檀には金の鳳凰あり。
兩蛾は愁いて黛淺し,故國 吳宮の遠。
春恨 正に關情し,畫樓 點聲を殘す。


初夏のさわやかな風が竹の林を抜けて庭先から、軽やかに簾を動かして房に付いている風鈴がすきとおったように美しく鳴りつめたく響く。玉のすだれに月がさしのぼってあかるくすみわたった影をおとす。
閨に横向きで寝枕する女は今宵も待ち侘びて宵の濃い化粧のままある。綠壇でつられた枕には金の鳳風の紋様が彫描されている。
二つの眉はさびしそうにまゆずみがうすれている。むかし呉宮に送られた西施は、はるかにへだたった故国をなつかしくおもった。(今、ひとり待ち侘びる女は西施と同じ思いなのだ。)。
廻り廻って春は男女の交わりが始まるものであるのに待ち侘びる春の恨みはほんとに愛情に関連するものだ。夜明けが近くなったのか、飾られた高楼のうえで時をつげる太鼓の音の名残のようにがとぎれとぎれにきこえてくる。


菩薩蠻0(14)











『菩薩蠻十四』 

水精簾裏頗黎枕,暖香惹夢鴛鴦錦。
江上柳如煙,雁飛殘月天。
藕絲秋色淺,人勝參差剪。
雙鬂隔香紅,玉钗頭上風。


水精の簾の裏 頗黎【はり】の枕,香を暖め夢に惹れ鴛鴦【えんおう】の錦。
江上 柳如の煙,雁飛 月天に殘る。
藕絲【ぐうし】秋色淺く,人勝【じんしょう】參差【さんさ】の剪。
雙鬂【そうびん】香紅を隔ち,玉钗【ぎょくさ】頭上の風。


もう晩秋になろうというのに水晶のすだれの内側に、あの人ための玻璃の枕を用意している、あたたかくする香を焚いて、夢にしか現れない鴛鴦の錦のふすまに横になり、あの人のことを思う。
春になり大江のほとりには、煙と見まごうばかりに柳絮が飛ぶ、雁が有明けの月が残る空をわたってゆく。
おんなは、秋には藕絲のうすいた秋の色の衣服をきていて、人日には髪かざりの人勝をふそろいに飾ってまっていた。
左右の鬢にはうつくしい花のかんざしをへだて挿している。玉のかんざしは風に吹かれてゆらゆらゆれている。

温庭筠 菩薩蛮 十四首 index(1)

温庭筠詩集 菩薩蛮 十四首

◆◆◆2012年12月21日紀頌之の5つの漢文ブログ◆◆◆

Ⅰ.李白と李白に影響を与えた詩集
古代中国の結婚感、女性感について述べる三国時代の三曹の一人、曹丕魏文帝の詩

於凊河見輓船士新婚別妻一首 曹丕(魏文帝) 魏詩<3>玉台新詠集 女性詩620 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1697
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67759129.html


Ⅱ.中唐詩・晩唐詩
 唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ

誰氏子 韓愈 韓退之(韓愈)詩<99-#1>Ⅱ中唐詩534 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1702
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-rihakujoseishi/archives/6144076.html


Ⅲ.杜甫詩1000詩集
●杜甫の全作品1141首のほとんどを取り上げて訳注解説するブログ 
●詩人として生きていくことを決めた杜甫が理想の地を求めてっ旅をする
●人生としては4/5前で、詩としては1/3を過ぎたあたり。 "

”成都紀行(11)”  鹿頭山 杜甫詩1000 <351>#2 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1699 杜甫1500- 524
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Ⅳ.漢詩・唐詩・宋詞詩詩集
元和聖徳詩 韓退之(韓愈)詩<80-#6> (12/21)
http://kanshi100x100.blog.fc2.com/blog-entry-574.html

Ⅴ.晩唐五代詞詩・宋詞詩
 森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”彼女の詩の先生として登場する 晩唐期の詩人 温庭筠(おんていいん)の作品を訳註解説する。
温庭筠 菩薩蛮 14首index(1)
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10-godaisoui/archives/21204898.html

謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html
李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html
温庭筠 菩薩蛮 14首index(1)
森鴎外『魚玄機』より温庭筠について


温庭筠は大中元年に、三十歳で太原から出て、始て進士の試に応じた。自己の詩文は燭一寸を燃さぬうちに成ったので、隣席のものが呻吟するのを見て、これに手を仮して遣った。その後挙場に入る毎に七八人のために詩文を作る。その中には及第するものがある。ただ温庭筠のみはいつまでも及第しない。
これに反して場外の名は京師に騒いで、大中四年に宰相になった令狐綯も、温庭筠を引見して度々筵席に列せしめた。ある日席上で綯が一の故事を問うた。それは荘子に出ている事であった。温庭筠が直ちに答えたのは好いが、その詞は頗る不謹慎であった。「それは南華に出ております。余り僻書ではございません。相公も爕理の暇には、時々読書をもなさるが宜しゅうございましょう」と云ったのである。
また宣宗が菩薩蛮の詞を愛するので、令狐綯が塡詞して上った。実は温に代作させて口止をして置いたのである。然るに温庭筠は酔ってその事を人に漏した。その上かつて「中書堂内坐将軍をざせしむ」と云ったことがある。令狐綯が無学なのを譏ったのである。
温庭筠の名は遂に宣宗にも聞えた。それはある時宣宗が一句を得て対を挙人中に求めると、温庭筠は宣宗の「金歩揺」に対するに「玉条脱」を以てして、帝に激賞せられたのである。然るに宣宗は微行をする癖があって、温庭筠の名を識ってから間もなく、旗亭で温庭筠に邂逅した。温庭筠は帝の顔を識らぬので、暫く語を交えているうちに傲慢無礼の言をなした。
既にして挙場では、沈詢が知挙になってから、温庭筠を別席に居らせて、隣に空席を置くことになった。詩名はいよいよ高く、帝も宰相もその才を愛しながら、その人を鄙んだ。趙顓【ちょうせん】の妻になっている温庭筠の姉などは、弟のために要路に懇請したが、何の甲斐もなかった。

『菩薩蠻 一』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-1-1-#1 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1620

菩薩蠻(1)
菩薩蛮 (一) 
小山重疊金明滅,鬢雲欲度香顋雪。
懶起畫蛾眉。弄妝梳洗遲。
照花前後鏡。花面交相映。
新帖繡羅襦。雙雙金鷓鴣。

菩薩蠻 (一)
小山 重疊して 金 明滅,鬢の雲 度(わた)らんと欲(す)香顋の雪に。
懶げに起き 蛾眉を 畫く。妝を弄び 梳洗 遲し。
花を照らす 前後の 鏡。花面 交(こもご)も 相(あ)ひ映ず。
新たに帖りて 羅襦に綉りするは、雙雙 金の鷓鴣。

小山の屏風のような重なった髪型に金の簪がキラキラ輝いている。雲のような鬢は雪のように真っ白な頬の上にかかり渡っている。
ものうげに起きいでて眉をかき、お化粧をしながらも、髪をくしけずる手はゆっくりとしてすすまない。
花のようなすがたを、前とうしろからあわせ鏡で照らす。うつくしい顔がこもごも鏡にうつる。
新しく閨に張る薄いとばりがあり、刺繍のうすぎぬの襦袢がかけてある。一ツガイずつ向かい合わせになった金の鷓鴣の紋様がぬいとりされている。


『菩薩蠻 二』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-2-2-# 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1624
菩薩蠻(2)
 菩薩蠻 二
夜來皓月才當午,重簾悄悄無人語。
深處麝煙長,臥時留薄妝。
當年還自惜,往事那堪憶。
花露月明殘,錦衾知曉寒。

夜來 皓月【こうげつ】才【はじめ】て午に當る,簾を重ねうは悄悄として人語るを無し。
處を深くする麝煙【じゃえん】長く,臥せし時 薄妝【はくしょう】を留む。
年に當るは還りて自ら惜みしを,往事 那んぞ憶うを堪んや。
花露 月の明り殘【あま】り,錦の衾【ふすま】 曉寒【ぎょうかん】を知る。

あの人が来るのをまちわびて、眠られぬままにすごしていると、あかるくさえわたった月が、ちょうど中空にかかっている。幾重にもたれるすだれのうちは、ひっそりとしずまりかえり人声もいっさいない。
おくふかい後宮部屋のなかには、麝香の香煙がながくしずかにただよっている。臥所に入るときには、うす化粧の香りがあとにひろがりのこる。
かつては若いころはすぎ去ってゆく時を惜しむように愛し合う月日をすごしたものなのだ。今ひと年取ってしまうと以前のように愛してくれない、どうしてこんなせつない思いにたえることができようか。



『菩薩蠻 三』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-3-3-# 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1628
菩薩蠻(3)
菩薩蠻 三
蕊黃無限當山額,宿妝隱笑紗窗隔。
相見牡丹時,暫來還別離。
翠钗金作股,钗上蝶雙舞。
心事竟誰知?月明花滿枝。


蕊黃【ずいおう】すれど當に山額に限り無く,宿妝【しゅくしょう】紗窗の隔を隱笑す。
相見 牡丹の時,暫來 還って別離す。
翠钗【すいさ】金作の股,钗上 雙にす蝶の舞。
心事 竟に誰か知る?月明 花 枝に滿つ。


ひたいにお化粧した蕊黄はこのうえもなくうつくしいものだ、うすぎぬの窓をへだてて、昨夜から待ち侘びて崩れかけた化粧の宮女が、諦めの隠し笑いをしている。
あのお方と互い見合ったのは、牡丹の花のさく春であったが、しばらくのあいだやってきてくれたが、帰ったら別れてしまったままなのだ。
宮女がさしているのは、金の柄のついた翡翠のかんざしである。皮肉にもカンザシのうえには一つがいの蝶がむつまじく舞っている。
宮女のさびしいこころのうちにあるのは、けっきょくだれにもわかりはしないのだ。月明りのなかに枝いっぱいに咲いている花だけがそれを知っているのだ。



『菩薩蠻 四』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-4-4-# 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1632
菩薩蠻(4)
『菩薩蠻 四』

翠翹金縷雙鸂鵣,水紋細起春池碧。
池上海棠梨,雨晴紅滿枝。
繡衫遮笑靥,煙草粘飛蝶。
青瑣對芳菲,玉關音信稀。


翠翹【すいぎょう】金縷【まと】う雙【つがい】の鸂鵣【けいせき】,水紋 細に起き春池の碧。
池上 海棠【かいどう】梨【り】,雨晴れて紅枝に滿つ。
繡衫にて笑靥【えくぼ】を遮い,煙草粘りて飛ぶ蝶。
青瑣【せいき】芳菲に對す,玉關 音信稀れなり。


みどりの羽に金糸をまとった美しいつがいのおしどりが、池のうえに睦まじく戯れている。水紋がこまかくたちおこる春の池は深くみどり水を湛えている。
池のほとりには海棠の花がさき、雨あがりに紅の花が枝いっぱいにさきみちて、春のこころをただよわせている。
刺繍をした衫の袖でわかれたままの愁いに沈んでえくぼをおおいかくす。ぼんやりとした春かすみのなか春草にふれたり離れたり蝶がたわむれ飛ぶのである。
青漆で塗った東の門のほとりにはかぐわしい春の草が花をさかせるころとなったが、とおい西域の国境のかなた玉門関へいった人からの便りもまれにしかやってこない。

菩薩蠻(5)
『菩薩蠻 五』現代語訳と訳註

杏花含露團香雪,綠楊陌上多離別。
燈在月朧明,覺來聞曉鶯。
玉鈎褰翠幕,妝淺舊眉薄。
春夢正關情,鏡中蟬鬓輕。


杏花は露を含み香雪を團くす,綠楊 陌上には離別を多くする。
燈在りて月 明を朧【おぼろげ】にす,覺來りて曉の鶯を聞く。
玉鈎 翠幕を褰【かかげ】る,妝淺 舊眉の薄。
春夢 正に情を關わる,鏡中 蟬鬓【ぜんびょう】 輕くする。


中庭の杏の花は朝露を含んでまっしろな雪をまるくかためたようにうつくしい。すももの花がさくころには、青柳の大道のほとりに別離をする人が多いものだ。
閨で一人待つ部屋の燭燈は灯し続け、月はおぼろにかすんでいる。うとうとして目をさますと、暁にうぐいすの啼く声を聴くのである。
簾幕をひっかける玉製のかぎでみどりのとばりの幕をかかげた部屋があり、お化粧もくずれて浅くなっており、昨日の画き眉も薄く消えかかり、何もかも薄れて行っている。
春の夢はほんとうに別れの心情にかかわるものばかり、鏡の中にうつる蝉の羽のような鬢も、愁いのために薄くほつれてみえる。



『菩薩蠻 六』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-6-6 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1640
菩薩蠻(6)
『菩薩蠻 六』

寶函钿雀金鸂鵣,沈香閣上吳山碧。
楊柳又如絲,驛橋春雨時。
畫樓音信斷,芳草江南岸。
鸞鏡與花枝,此情誰得知。


寶函【ほうかん】鈿雀【てんじゃく】金の鸂鵣【けいちょく】,沈香【ちんこう】の閣上 吳山の碧【みどり】。
楊柳 又 絲の如し,驛橋 春雨【はるさめ】の時なり。
畫樓から音信 斷つ,芳草 江南の岸のあり。
鸞鏡と花枝とあり,此の情は誰か知るを得る。


あの人をまちわびている女妓が、目をさまし、うつくしい匣枕、鈿雀のかんざしと、金のおしどりにかざられたかんざしがそばにおちている。起き出すのも物憂い女妓は、朝のお化粧をして沈香のただよう樓閣のうえにのぼって、呉山のみどりの彼方をながめやる。
健康と無事を祈って折った青柳は又芽をふいて、糸のようにほそい枝を風になびかせている。驛亭にしっとりと春雨がふって、あの日ここであの人と別れを告げた。あれからどれほど月日がたったのか。
美しい高楼あの人を待ち侘びているけれど音信はとぎれたままなのだ。かんばしい春の草が江南の岸にはまたさきだした。
このさびしいこころは、鸞鳥を背に彫んだ鏡と花が咲き誇る枝だけがいつもみている。この心情はだれが察っしてくれるのだろうか。



『菩薩蠻 七』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-7-7-# 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1644
菩薩蠻(7)
『菩薩蠻 七』

玉樓明月長相憶,柳絲裊娜春無力。
門外草萋萋,送君聞馬嘶。
畫羅金翡翠,香燭銷成淚。
花落子規啼,綠窗殘夢迷。


玉樓明月長へに相ひ憶ふ、柳絲裊娜【じょうや】春力無し。
門外草萋萋たり、君を送れば馬の嘶くを聞けり。
畫【いろうつくしき】羅【うすぎぬ】金の翡翠、香【かぐはしき】燭消【とけ】て涙を成す。
花落ちて子規啼けば、綠窗【ろくそう】に殘夢迷ふ。


春の装いにかがやく高楼にのぼり、あかるい月かげがさしこむ、もうずいぶんな歳月になる、私のもとにかえってこないあの人を恋しく思う。柳のいとの様な腰つき、もっと魅力的にしているが、一人過ごす春の日、片思いのままは気力も失せて來る。
門外にでて春の行楽に幔幕を春草がまた青々としげる中に有る。あの人を見送ったときには、乗ってゆく馬のいななくのを聞いたものだった。(いまも馬が嘶いてもあの人は来てくれない。)
うすものの衾に金と翡翠で描かれているのを見るばかり、今宵も更けゆくままに、蝋燭も溶けて流れ、涙もとめどがない。
若い花はちりさり、ほととぎすは逢いたい一心で啼いて血を吐くのだ、部屋のみどり絹の上窓から思いを送るがどこかあの人のもとへ夢はまようのだろう。





『菩薩蠻 五』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-5-5-#5 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1636

『更漏子 六』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-20-2-#6 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1696

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『更漏子 六』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-20-2-#6  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1696


更漏子
玉爐香、紅蝋涙。偏照畫堂秋思。
眉翠薄、鬢雲殘。夜長衾枕寒。

梧桐樹。三更雨。不道離情正苦。
一葉葉、一聲聲。空階滴到明。

玉の爐 香り、紅の蝋 涙す、偏【ひたす】らに畫堂を照らす秋の思い。
眉の翠 薄れ、鬢の雲 殘【ほつ】る。夜 長くして  衾枕 寒し。

梧桐【ことう】の樹に、三更の雨し、道【い】わず 離情正に苦なるを。
ひと葉ひと葉、ひと聲ひと聲。空しく階【きざはし】に滴りて明【あけ】に到る。


更漏子
玉爐香、紅蝋涙。偏照畫堂秋思。
宝玉のように輝いている香炉に焚いた香のよいかおりが部屋内にただよう。夜もふけ、紅い蝋燭の蝋がとけ、かなしみの涙をながす。ひたすらさびしい悲愁にとざされた座敷を、ろうそくのひかりだけがじっと照らしている。
眉翠薄、鬢雲殘。夜長衾枕寒。
待ち侘びた思いに沈んだ緑の眉は薄れてきている、鬢の雲型はうすくほつれてきて、季節も秋になり夜が長い、眠られないままにそぞろにかけ布をかずいても寒さをおぼえる。
梧桐樹。三更雨。不道離情正苦。
中庭の思いでのあおぎりの樹に、真夜中の雨がふりそそぐ音をきく、別れの愁いが、ほんとうに辛い苦しいものであることを決して口に出さない心に思った。
一葉葉、一聲聲。空階滴到明。

一葉一葉にしたたる雨の音、一声一声するたびにさびしさがつのる。だれもいない階段にしたたりおちる雨の音は夜明けまでもつづいてたえないのだ。

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『更漏子』 (六)  現代語訳と訳註
(本文)

玉爐香、紅蝋涙。偏照畫堂秋思。
眉翠薄、鬢雲殘。夜長衾枕寒。
梧桐樹。三更雨。不道離情正苦。
一葉葉、一聲聲。空階滴到明。


(下し文)
玉の爐 香り、紅の蝋 涙す、偏【ひたす】らに畫堂を照らす秋の思い。
眉の翠 薄れ、鬢の雲 殘【ほつ】る。夜 長くして  衾枕 寒し。
梧桐【ことう】の樹に、三更の雨し、道【い】わず 離情正に苦なるを。
ひと葉ひと葉、ひと聲ひと聲。空しく階【きざはし】に滴りて明【あけ】に到る。


(現代語訳)
宝玉のように輝いている香炉に焚いた香のよいかおりが部屋内にただよう。夜もふけ、紅い蝋燭の蝋がとけ、かなしみの涙をながす。ひたすらさびしい悲愁にとざされた座敷を、ろうそくのひかりだけがじっと照らしている。
待ち侘びた思いに沈んだ緑の眉は薄れてきている、鬢の雲型はうすくほつれてきて、季節も秋になり夜が長い、眠られないままにそぞろにかけ布をかずいても寒さをおぼえる。
中庭の思いでのあおぎりの樹に、真夜中の雨がふりそそぐ音をきく、別れの愁いが、ほんとうに辛い苦しいものであることを決して口に出さない心に思った。
一葉一葉にしたたる雨の音、一声一声するたびにさびしさがつのる。だれもいない階段にしたたりおちる雨の音は夜明けまでもつづいてたえないのだ。


(訳注)更漏子:詞牌の一。詞の形式名。双調 四十六字。換韻。詳しくは 「構成について」を参照。この詞は花間集の温庭の更漏子 其六。



玉爐香、紅蝋涙。偏照畫堂秋思。
宝玉のように輝いている香炉に焚いた香のよいかおりが部屋内にただよう。夜もふけ、紅い蝋燭の蝋がとけ、かなしみの涙をながす。ひたすらさびしい悲愁にとざされた座敷を、ろうそくのひかりだけがじっと照らしている。
・偏照畫堂秋思 偏はひとえに。かたよってそればかりする意。照らしてばかりいる。蟻燭のひかりが画堂をじっと照らしてばかりいる。画堂は彩色されたうつくしい座敷。



眉翠薄、鬢雲殘。夜長衾枕寒。
待ち侘びた思いに沈んだ緑の眉は薄れてきている、鬢の雲型はうすくほつれてきて、季節も秋になり夜が長い、眠られないままにそぞろにかけ布をかずいても寒さをおぼえる。
眉翠薄 黛がおちて、薄らいできて。
鬢雲殘 鬢の雲型の髪が乱れてきた。
・衾枕寒 蒲団や枕辺が寒い、寒々しい。独り寝を暗示している。



梧桐樹。三更雨。不道離情正苦。
中庭の思いでのあおぎりの樹に、真夜中の雨がふりそそぐ音をきく、別れの愁いが、ほんとうに辛い苦しいものであることを決して口に出さない心に思った。
梧桐樹 アオギリやキリの木。夫唱婦随の木の象徴であることをのべることで、一人寝の寂しさを強調する。
・三更雨  夜を五更に分けた第三の時刻をいう。十二時から二時ごろまでの真夜半。
・不道 いわない。だまっている。
離情 別れる気持ち。
正苦 別れていることはとても辛いことだ。



一葉葉、一聲聲。空階滴到明。
一葉一葉にしたたる雨の音、一声一声するたびにさびしさがつのる。だれもいない階段にしたたりおちる雨の音は夜明けまでもつづいてたえないのだ。

『更漏子 五』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-19-2-#5 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1692

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5.更漏子 其五
背江樓,臨海月,城上角聲嗚咽。
漢江の畔にある樓閣に背を向けて、入り江からのぼる月を眺める女がいる。城郭の傍の軍営から羌笛の悲しい笛の音がすすり女の泣く声とともに聞こえる。
堤柳動,島煙昏,兩行征雁分。
大堤の柳も芽を吹き風に揺れる季節も変わり、向いの島に霞がかかる夕暮れ時に二列で飛んでいた雁が女と同じように別れて飛んでいる。
京口路,歸帆渡,正是芳菲欲度。
又春が来て京口の別れ道に女がいる、わたしは長安に帰る舟の渡し場に立つ、まさにこれでもって春の盛りに情交を重ねた女と別れて旅立つのだ。
銀燭盡,玉繩低,一聲村落雞。

そこに残した座敷に一人、銀燭台の蝋燭をつけたまま女が横たわる、輝くその蝋燭の芯はもうすでに短くなっている。いつしか夜明けを告げる鶏が一番の時を知らせてくる。
其の五
江樓を背にし,海月に臨む,城の上【ほと】り角聲【かくせい】嗚咽【めいいん】す。
堤の柳は動めき,島の煙【えん】は昏【くら】し,兩行して征雁は分かる。
京口の路,歸帆の渡,正に是れ芳菲【ほうひ】度らんと欲す。
銀燭 盡き,玉繩 低す,一聲するは村落の雞。

botan00

『更漏子』 (五) 現代語訳と訳註
(本文)

更漏子 (五)
背江樓,臨海月,城上角聲嗚咽。
堤柳動,島煙昏,兩行征雁分。
京口路,歸帆渡,正是芳菲欲度。
銀燭盡,玉繩低,一聲村落雞。


(下し文)
其の五
江樓を背にし,海月に臨む,城の上【ほと】り角聲【かくせい】嗚咽【めいいん】す。
堤の柳は動めき,島の煙【えん】は昏【くら】し,兩行して征雁は分かる。
京口の路,歸帆の渡,正に是れ芳菲【ほうひ】度らんと欲す。
銀燭 盡き,玉繩 低す,一聲するは村落の雞。


(現代語訳)
漢江の畔にある樓閣に背を向けて、入り江からのぼる月を眺める女がいる。城郭の傍の軍営から羌笛の悲しい笛の音がすすり女の泣く声とともに聞こえる。
大堤の柳も芽を吹き風に揺れる季節も変わり、向いの島に霞がかかる夕暮れ時に二列で飛んでいた雁が女と同じように別れて飛んでいる。
又春が来て京口の別れ道に女がいる、わたしは長安に帰る舟の渡し場に立つ、まさにこれでもって春の盛りに情交を重ねた女と別れて旅立つのだ。
そこに残した座敷に一人、銀燭台の蝋燭をつけたまま女が横たわる、輝くその蝋燭の芯はもうすでに短くなっている。いつしか夜明けを告げる鶏が一番の時を知らせてくる。


(訳注)
更漏子 (五) 双調 四十六字。換韻。
花間集卷一温庭筠 更漏子 其五。


背江樓,臨海月,城上角聲嗚咽。
漢江の畔にある樓閣に背を向けて、入り江からのぼる月を眺める女がいる。城郭の傍の軍営から羌笛の悲しい笛の音がすすり女の泣く声とともに聞こえる。
・背 背を向ける。隠す。名詞で背中。背負う。
・江樓 大江沿いの高楼男が帰って來るの待ち侘びる状景。
・海月 渡し場の入り江に上る月。
・城上 じょうかくのほとりにある塞。
角聲 角笛の音が響いてくる。軍営で用いる夜のときをしらせるもの。
・嗚咽 むせび泣く。すすり泣く。また、寂しく悲しい笛の音の形容。


堤柳動,島煙昏,兩行征雁分。
大堤の柳も芽を吹き風に揺れる季節も変わり、向いの島に霞がかかる夕暮れ時に二列で飛んでいた雁が女と同じように別れて飛んでいる。
堤柳動 柳が芽を吹き葉を茂らせ、風に揺れ動く春から夏をあらわす語である。
・島煙昏 この詩は温庭筠が襄陽にいた時の詩であろう。大堤から見える魚梁洲の事ではなかろうか。春の霞のかかった夕暮れ時のこと。
 嚢陽一帯00

兩行 二列で飛ぶ雁、時節が秋に変わる。
征雁分 雁が分かれ離れて飛ぶ。妓女が待ち侘びるその胸の内で男と別れた時の事を連想させる語である。襄陽は漢水と白水の別れの街。


京口路,歸帆渡,正是芳菲欲度。
又春が来て京口の別れ道に女がいる、わたしは長安に帰る舟の渡し場に立つ、まさにこれでもって春の盛りに情交を重ねた女と別れて旅立つのだ。
・京口 江蘇省丹徒県。南徐州晋陵郡丹徒県京口里。現、鎭江市。北岸の揚州、瓜州と船で結ばれた、旅路のターミナルの都市でもある。ここから長江を離れ徐州長安に向かう運河に入る別れの港町でもある。
・歸帆渡 長安に向かう帰り舟の渡し。
・芳菲 花や草。ここでは、春の情況をいうのであるが、この街の色町における遊びを意味するもの。


銀燭盡,玉繩低,一聲村落雞。
そこに残した座敷に一人、銀燭台の蝋燭をつけたまま女が横たわる、輝くその蝋燭の芯はもうすでに短くなっている。いつしか夜明けを告げる鶏が一番の時を知らせてくる。
玉繩 二つからなる星の名というが玉衡星は動かないので沈んでいかないし、低くならない。銀の燭台の蝋燭の芯が燃え尽きて低くなる方が分かり易い。

『更漏子 四』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-18-2-#4 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1688

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『更漏子 四』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-18-2-#4  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1688


4.更漏子
相見稀,相憶久,眉淺淡煙如柳。
あの人と逢うことはめったになくなりました。そしてあの人のことはもう久しい思いだけとなったのです。この頃はうっすらと靄のかかった柳葉のような眉で、憂愁にくれているのです。
垂翠幕,結同心,侍郎熏繡衾。
春には閨の緑のとばりをたれこめて、あなたとかたいちぎりを結びました。侍郎のあなたと刺繍をしたかけ布に香がしみいる時を過ごしたのです。
城上月,白如雪,蟬鬓美人愁絕。
秋も深く、城のうえの月かげは、雪のように白くさえわたっているようになると、蝉の羽のように鬂のうすれたうつくしい美人の私だけが眠りもしないで、あの人をまちわびて、愁いもたえかねて沈んでいるのです。
宮樹暗,鵲橋橫,玉簽初報明

宮居の樹々さえもほの暗くなり、月も西にかたむいてきた。カササギの渡し橋だけは横たわっているのはみえ、あの人とのことはまだつながっている。だけど玉簽のひびきではじめて時をしらされる、もう明け方になったのです
(四)
相ひ見ゆること稀に、相ひ憶ふこと久し、眉淺く  淡く烟【かす】むこと柳の如し。
翠幕を垂らし、同心を結ぶ、侍郎 繡衾を燻ず。
城 月上り、白きは雪の如し、蝉の鬢 美人は愁い絶す。
宮の樹は暗く、鵲橋 橫たはる、玉籤初めて明を報ず。


『更漏子』 現代語訳と訳註
(本文)
更漏子
相見稀,相憶久,眉淺淡煙如柳。
垂翠幕,結同心,侍郎熏繡衾。
城上月,白如雪,蟬鬓美人愁絕。
宮樹暗,鵲橋橫,玉簽初報明。


(下し文) 更漏子
相ひ見ゆること稀に、相ひ憶ふこと久し、眉淺く  淡く烟【かす】むこと柳の如し。
翠幕を垂らし、同心を結ぶ、侍郎 繡衾を燻ず。
城 月上り、白きは雪の如し、蝉の鬢 美人は愁い絶す。
宮の樹は暗く、鵲橋 橫たはる、玉籤初めて明を報ず。


(現代語訳)
あの人と逢うことはめったになくなりました。そしてあの人のことはもう久しい思いだけとなったのです。この頃はうっすらと靄のかかった柳葉のような眉で、憂愁にくれているのです。
春には閨の緑のとばりをたれこめて、あなたとかたいちぎりを結びました。侍郎のあなたと刺繍をしたかけ布に香がしみいる時を過ごしたのです。
秋も深く、城のうえの月かげは、雪のように白くさえわたっているようになると、蝉の羽のように鬂のうすれたうつくしい美人の私だけが眠りもしないで、あの人をまちわびて、愁いもたえかねて沈んでいるのです。
宮居の樹々さえもほの暗くなり、月も西にかたむいてきた。カササギの渡し橋だけは横たわっているのはみえ、あの人とのことはまだつながっている。だけど玉簽のひびきではじめて時をしらされる、もう明け方になったのです。


(訳注)
更漏子 詞牌の一。詞の形式名。双調 四十六字。換韻。詳しくは 「構成について」を参照。
・この詞は花間集の温庭筠の更漏子 其四。この詞は、前半は、独りになった女性が男の人の帰るのを待っており、下片は、月を見るに付けても、共に暮らしていたときが思い出され、いつの間にか明け方になってきたことをうたった詞である。温庭筠の詩はどの詩も実際には異なるが魚玄機(温庭筠を約50首若掲載の後魚玄機50首)を念頭にして読むと面白く理解が深まる


相見稀,相憶久,眉淺淡煙如柳。
あの人と逢うことはめったになくなりました。そしてあの人のことはもう久しい思いだけとなったのです。この頃はうっすらと靄のかかった柳葉のような眉で、憂愁にくれているのです。
・相見 逢うこと。
・稀 まれ。殆ど逢っていないこと。
・相憶 思いをつのらせていること。ここでの相は、お互いに、という意味はない。
・久 時間的にながいこと。
眉淺 眉の化粧があわい。大切な男の人が、いなくなり、やるせなく、物憂げな感じをいっている。
・淡烟如柳 柳のように淡くかすんでいる。柳は韻字でもあり、柳葉は女性の美しい眉の形容でもある。「柳眉」「柳葉眉」。


垂翠幕,結同心,侍郎熏繡衾。
春には閨の緑のとばりをたれこめて、あなたとかたいちぎりを結びました。侍郎のあなたと刺繍をしたかけ布に香がしみいる時を過ごしたのです。
・垂翠幕 閨房の緑のカーテンをすること。春のことをいう。
結同心 同心結を結うこと。連環回文様式の結び方。また、同心結は、(男女の)ちぎりを結ぶことと。錢唐 蘇小(蘇小小)『西陵歌』「妾乘油壁車,郞乘靑踪馬。何處結同心、西陵松柏下。」(妾(わたくし)は 油壁の車に乘り,郞(あなた)は 靑の馬に 乘る。何處(いづこ)にか 同心を 結ばん、西陵の 松柏の下(もと)。)とみえる。蘇小小『西陵歌』
・侍郎 通常官名で、皇帝の側に仕える役で、現代風に言えば次官。「侍郎(きみ)のため」となる。ただし、下片に、美人、宮樹と官職名や宮中関係の語が出てくるので、繋がりから見るとこれも官職名で男は、高級官僚である。焦がれる気持ちを表現している、一夫多妻制の時代で富貴の身分では、簡単に女を捨てた。ただし嫡子を産むと立場は全く異なった。
・燻綉衾 うすぎぬの掛け布団に香を焚く。愛しい人の帰りを待った寝床の設え。


57moon
城上月,白如雪,蟬鬓美人愁絕。
秋も深く、城のうえの月かげは、雪のように白くさえわたっているようになると、蝉の羽のように鬂のうすれたうつくしい美人の私だけが眠りもしないで、あの人をまちわびて、愁いもたえかねて沈んでいるのです。
・城上月 街の上の月。月は、圓く家族団らん(団円)を表し、男の人と共にいたころの回憶。目の前の月の情景から思いを派生させている。城は都市のこと。城市。街が城郭で囲まれていたことからこういう。秋になったことを云う。
・蝉鬢 当時の女性の髪型の一。両横の鬢が薄くセミの羽のようになっていることから付いた名称。また、セミの羽のようにつややかで美しい髪の形容。
美人 宮女、芸妓。役職を云う場合もある。
愁絶 哀しみが、際だって大きいこと。絶は、前の字(語)の様子が際だっている時に使われる。愁殺。ここは絶で押韻するため愁絶になった。壮絶、隔絶、卓絶、冠絶の類。


宮樹暗,鵲橋橫,玉簽初報明。
宮居の樹々さえもほの暗くなり、月も西にかたむいてきた。カササギの渡し橋だけは横たわっているのはみえ、あの人とのことはまだつながっている。だけど玉簽のひびきではじめて時をしらされる、もう明け方になったのです。
宮樹暗 夜目に、宮中の樹木の生い茂っているさまをいう。月の後半だと西に傾かないので、月の初めのころと考えられる。つまり、本当の別れが来たと思っていないことをあらわしている。。月の後半の月20日の月、名残り月を別れの月という。
鵲橋 天の川のこと。カササギが七夕に橋を架けて、牽牛と織女を会わせるという。わが邦では、転じて宮中の階(みはし。きざはし)を謂う(かささぎの渡せる橋に…)。つまりあの人とはまだ切れてはいない。
・玉籤 籤は、水時計に浮かべている竹などでできたもので、時間を計る。玉は、美称。
報明 夜明けを告げる。五更の時のこと

『更漏子 三』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-17-2-#3 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1684

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『更漏子 三』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-17-2-#3  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1684


3.更漏子 三
金雀釵,紅粉面,花裏暫時相見。
賢い男を得たいと思っていたころ、金雀のかんざしをさし、白粉に紅をさし化粧を整えて、春の盛りに花のなかで、出逢って語りあい、しばらくの時を過ごした。
知我意,感君憐,此情須問天。
あの人はわたしのこころをよく理解してくれたし、わたしもあの人がわたしに愛しいと思ってくれ、憐をかけていることをよく感じ取ったものだった。愛しあっているこころは疑う余地のないもので、どんなに天の神様に尋ねるとしても間違いないことであった。
香作穗,蠟成淚,還似兩人心意。
時が過ぎて、今宵も香が穂のようにもえただようだけ、蝋燭はとけて落ち、私も涙したのです。香が思うままただようのと、蝋燭が流れるように涙をながしているのは、二人のこころのうちによく似ているのです。
山枕膩,錦衾寒,覺來更漏殘。
今宵ももしかしてと身支度をしたまま閨にすべすべにしても横になり、錦の薄いかけ布でそぞろに寒さをおぼえるほどになる。ふとては、時をしらせる水時計の音に目をさますとあけがた近くなっている。

更漏子 三
金雀の釵【さ】,紅粉の面,花の裏に暫時こそ相い見。
我が意を知り,君の憐を感じ,此の情 須らく天に問う。
香は穗を作し,蠟は淚を成すは,還って兩人の心意に似る。
山が枕して膩【じ】し,錦の衾 寒するは,覺めて更漏の殘【なご】りを來る。


『更漏子』 現代語訳と訳註
(本文)
更漏子 三
金雀釵,紅粉面,花裏暫時相見。
知我意,感君憐,此情須問天。
香作穗,蠟成淚,還似兩人心意。
山枕膩,錦衾寒,覺來更漏殘。


(下し文) 更漏子 三
金雀の釵【さ】,紅粉の面,花の裏に暫時こそ相い見。
我が意を知り,君の憐を感じ,此の情 須らく天に問う。
香は穗を作し,蠟は淚を成すは,還って兩人の心意に似る。
山が枕して膩【じ】し,錦の衾 寒するは,覺めて更漏の殘【なご】りを來る。


(現代語訳)
賢い男を得たいと思っていたころ、金雀のかんざしをさし、白粉に紅をさし化粧を整えて、春の盛りに花のなかで、出逢って語りあい、しばらくの時を過ごした。
あの人はわたしのこころをよく理解してくれたし、わたしもあの人がわたしに愛しいと思ってくれ、憐をかけていることをよく感じ取ったものだった。愛しあっているこころは疑う余地のないもので、どんなに天の神様に尋ねるとしても間違いないことであった。
時が過ぎて、今宵も香が穂のようにもえただようだけ、蝋燭はとけて落ち、私も涙したのです。香が思うままただようのと、蝋燭が流れるように涙をながしているのは、二人のこころのうちによく似ているのです。
今宵ももしかしてと身支度をしたまま閨にすべすべにしても横になり、錦の薄いかけ布でそぞろに寒さをおぼえるほどになる。ふとては、時をしらせる水時計の音に目をさますとあけがた近くなっている。

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(訳注) 更漏子 三
金雀釵,紅粉面,花裏暫時相見。
賢い男を得たいと思っていたころ、金雀のかんざしをさし、白粉に紅をさし化粧を整えて、春の盛りに花のなかで、出逢って語りあい、しばらくの時を過ごした。
・金雀 雀をかたどった金のかんざし。曹植『美女篇』「攘袖見素手,皓腕約金環。
頭上金爵釵,腰佩翠琅玕。」(袖を攘げて素手を見(あらは)せば、皓腕 金環を約す。頭上には金爵の釵、  腰には佩びる翠琅干。)美女が賢い男を得たいと思う気持ちを詠ったもので、若い女性である。
・紅粉 紅と白粉。うら若い女性を詠う。


知我意,感君憐,此情須問天。
あの人はわたしのこころをよく理解してくれたし、わたしもあの人がわたしに愛しいと思ってくれ、憐をかけていることをよく感じ取ったものだった。愛しあっているこころは疑う余地のないもので、どんなに天の神様に尋ねるとしても間違いないことであった。


香作穗,蠟成淚,還似兩人心意。
時が過ぎて、今宵も香が穂のようにもえただようだけ、蝋燭はとけて落ち、私も涙したのです。香が思うままただようのと、蝋燭が流れるように涙をながしているのは、二人のこころのうちによく似ているのです。


山枕膩,錦衾寒,覺來更漏殘。
今宵ももしかしてと身支度をしたまま閨にすべすべにしても横になり、錦の薄いかけ布でそぞろに寒さをおぼえるほどになる。ふとては、時をしらせる水時計の音に目をさますとあけがた近くなっているのです。
・山 妓女が横になることをあらわす言葉である。
・膩 皮膚からにじみ出たあぶら。あか。すべすべする。
・衾 薄いかけ布。初めの三言二句は女の横になった艶の雰囲気をあらわしている。


『更漏子 二』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-16-2-#2 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1680

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『更漏子 二』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-16-2-#2  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1680


2.更漏子
星鬥稀,鍾鼓歇,簾外曉莺殘月。
あけがた近くなり、北斗七星のかげもまばらにみえる、時を告げる鐘鼓の音も終わった。女の部屋のすだれのそとに、もう暁の鶯がないている、そして昔あの人と別れた時に見たありあけの月がかかっている。
蘭露重,柳風斜,滿庭堆落花。
女も蘭の花のようにはしっとりと露にぬれ、柳が風に吹かれてなびくように逢瀬を重ねたものだった。庭を満開に咲いていた花が散って一面に敷いている。
虛閣上,倚欄望,還似去年惆怅。
空虚な思いでひとけのない楼閣にのぼる、欄干にもたれてなんとなくかなたを眺める。去年も、情けなくかなしみを抱えて過ごしたが同じようにまた今年も悲しい思いをしている。
春欲暮,思無窮,舊歡如夢中。

もう春は暮れて行こうとするのに、悲しい思いは尽き果てることもなく。あの日あの頃、あの人とのたのしい夜は、いまは夢の中の出来事のようになってしまった。

星鬥は稀に,鍾鼓は歇む,簾外 曉鶯【ぎょうおう】月殘る。
蘭露は重り,柳風は斜す,庭に滿つるは落花の堆。
虛閣の上,欄に倚りて望み,似る去年の惆悵なるを還るをや。
春暮なんと欲し,思いに窮まること無く,舊歡は夢に中【あた】るが如し。

pla014

『更漏子』 現代語訳と訳註
(本文)

星鬥稀,鍾鼓歇,簾外曉莺殘月。
蘭露重,柳風斜,滿庭堆落花。
虛閣上,倚欄望,還似去年惆怅。
春欲暮,思無窮,舊歡如夢中。


(下し文)
星鬥は稀に,鍾鼓は歇む,簾外 曉鶯【ぎょうおう】月殘る。
蘭露は重り,柳風は斜す,庭に滿つるは落花の堆。
虛閣の上,欄に倚りて望み,似る去年の惆悵なるを還るをや。
春暮なんと欲し,思いに窮まること無く,舊歡は夢に中【あた】るが如し。


(現代語訳)
あけがた近くなり、北斗七星のかげもまばらにみえる、時を告げる鐘鼓の音も終わった。女の部屋のすだれのそとに、もう暁の鶯がないている、そして昔あの人と別れた時に見たありあけの月がかかっている。
女も蘭の花のようにはしっとりと露にぬれ、柳が風に吹かれてなびくように逢瀬を重ねたものだった。庭を満開に咲いていた花が散って一面に敷いている。
空虚な思いでひとけのない楼閣にのぼる、欄干にもたれてなんとなくかなたを眺める。去年も、情けなくかなしみを抱えて過ごしたが同じようにまた今年も悲しい思いをしている。
もう春は暮れて行こうとするのに、悲しい思いは尽き果てることもなく。あの日あの頃、あの人とのたのしい夜は、いまは夢の中の出来事のようになってしまった。


(訳注)
星鬥稀,鍾鼓歇,簾外曉莺殘月。
あけがた近くなり、北斗七星のかげもまばらにみえる、時を告げる鐘鼓の音も終わった。女の部屋のすだれのそとに、もう暁の鶯がないている、そして昔あの人と別れた時に見たありあけの月がかかっている。
・星斗 北斗星、または南斗星をもいう。星。星辰(せいしん)。
・鍾鼓  歇時を知らせるかねと太鼓。
・殘月 十五夜までにはなく陰暦十六日以降、一般的には二十日頃の夜明けに残る月を云う。このような月を詩に詠うは芸妓との別れる場合、人目を忍んで逢瀬を重ねた男女の別れを云う。


蘭露重,柳風斜,滿庭堆落花。
女も蘭の花のようにはしっとりと露にぬれ、柳が風に吹かれてなびくように逢瀬を重ねたものだった。庭を満開に咲いていた花が散って一面に敷いている。
・蘭 香草の一種、古くは沢蘭をさす。菊科に属するもの。ふじはかま。蘭の種類は多くてこの時代のものが果たしてどのようなものであったかは決め難い。ここでは女性自身を示していると思われる。
・柳風斜 柳も女性を示す。
・落花 女の年齢を重ねた様子を云う。


虛閣上,倚欄望,還似去年惆悵。
空虚な思いでひとけのない楼閣にのぼる、欄干にもたれてなんとなくかなたを眺める。去年も、情けなくかなしみを抱えて過ごしたが同じようにまた今年も悲しい思いをしている。
倚欄望 見る目的がなくなんとなく眺めている様子を云う。
還似去年惆悵 去年「惆悵」の思いをした、今年もまた同じ思いだ。この表現では毎年同じ思いをしているのであろう。抜群の言い回しといえる。


春欲暮,思無窮,舊歡如夢中。
もう春は暮れて行こうとするのに、悲しい思いは尽き果てることもなく。あの日あの頃、あの人とのたのしい夜は、いまは夢の中の出来事のようになってしまった。

『更漏子 一』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-15-2-#1 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1676

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『更漏子 一』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-15-2-#1  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1676


1.更漏子
柳絲長,春雨細,花外漏聲迢遞。
ここにいる女は柳絲のようにほそくながいよるを、枝をたれる。春の雨はこぬかのあめである。ひとりさびしさをだきながら待つ、花のかなたから水時計のしたたる音が耳を澄ませばきこえてくる。
驚寒雁,起城烏,畫屏金遮鸪。
季節も変わり北に向かう雁も目をさまし、城の烏もおきだす、枕のほとりの絵屏風にはむつまじいすがたの金の鷓鸪がえがかれている。
香霧薄,透簾幕,惆悵謝家池閣。
香のたちこめた薄霧が、花のかおりをただよわせて、すだれをとおしてしのびこんでくる。ただひとりでかなしみのうちにとざされている女にも謝安の妓女のように池のほとり春草の萌えはじめる頃に座敷で過ごしたものだった。
紅燭背,繡簾垂,夢長君不知。
また女は独り紅い蝋燭を背にする、刺繍のすだれをたらしたまま、夢の中では一緒で長くして思い続けていることを、あの人は知らない。
柳絲【りゅうし】は長く,春雨は細【こまやか】く,花外は漏聲【ろうせい】迢遞【しょうてい】なり。
寒雁を驚かし,城烏を起し,畫屏 金の遮鸪。
香霧は薄し,簾幕【れんまく】は透け,惆悵して謝家の池閣。
紅燭の背,繡簾【しゅうれん】垂れ,夢長じて君 知らず。

youryuu02

『更漏子』 現代語訳と訳註
(本文)
更漏子
柳絲長,春雨細,花外漏聲迢遞。
驚寒雁,起城烏,畫屏金遮鸪。
香霧薄,透簾幕,惆悵謝家池閣。
紅燭背,繡簾垂,夢長君不知。


(下し文)
柳絲【りゅうし】は長く,春雨は細【こまやか】く,花外は漏聲【ろうせい】迢遞【しょうてい】なり。
寒雁を驚かし,城烏を起し,畫屏 金の遮鸪。
香霧は薄し,簾幕【れんまく】は透け,惆悵して謝家の池閣。
紅燭の背,繡簾【しゅうれん】垂れ,夢長じて君 知らず。


(現代語訳)
ここにいる女は柳絲のようにほそくながいよるを、枝をたれる。春の雨はこぬかのあめである。ひとりさびしさをだきながら待つ、花のかなたから水時計のしたたる音が耳を澄ませばきこえてくる。
季節も変わり北に向かう雁も目をさまし、城の烏もおきだす、枕のほとりの絵屏風にはむつまじいすがたの金の鷓鸪がえがかれている。
香のたちこめた薄霧が、花のかおりをただよわせて、すだれをとおしてしのびこんでくる。ただひとりでかなしみのうちにとざされている女にも謝安の妓女のように池のほとり春草の萌えはじめる頃に座敷で過ごしたものだった。
また女は独り紅い蝋燭を背にする、刺繍のすだれをたらしたまま、夢の中では一緒で長くして思い続けていることを、あの人は知らない。


(訳注)
更漏子
・更漏子
 雙調四十六字、前段六句両仄韻両平韻、後段六句三仄韻両平韻(詞譜六)。
・更漏(夜の時を知らせる漏刻)を取材している。詞には詞詞の本意を詠ずるもの(初期の詞詞には比較的そういうものが多い)、およびただ詞調を借るものがある。


柳絲長,春雨細,花外漏聲迢遞。
ここにいる女は柳絲のようにほそくながいよるを、枝をたれる。春の雨はこぬかのあめである。ひとりさびしさをだきながら待つ、花のかなたから水時計のしたたる音が耳を澄ませばきこえてくる。
・花 妓女のいる高楼の庭の花。
・漏声 漏は漏刻、水時計。更は夜五分割された時で、夜明けが五更。漏声は水時計の水のしたたる音。したがって、女性が夜を過ごす情景をあらわすもの。
・迢遞 はるかなさま。


驚寒雁,起城烏,畫屏金遮鸪。
季節も変わり北に向かう雁も目をさまし、城の烏もおきだす、枕のほとりの絵屏風にはむつまじいすがたの金の鷓鸪がえがかれている。
・塞雁 塞辺の雁。ここは塞辺から渡ってくる隋というほどの意。雁は書信を伝える鳥、塞辺は夫の行っているところという連想をおこさせるもの。鷲は目を覚
ますこと。
・城 古城に巣くう烏。塞雁に対して対句として用いて、後宮のなかで讒言や、謀を陰湿に企てる宦官を意味するものと思われる。
・畫屏金遮鸪 画屏風に金の鴨鍋が画かれている。夫の帰りを待つ閏婦が画屏風の金の据鶴(多くは雌雄一つがいもの)を見て寂しくおもう無限の意を象徴的に表現
したものであろう。
・以上三句はそれぞれ相違した鳥、本人が來る意志がないという意味をあらわす「寒雁」、恋事の邪魔をする「城烏」、そして座敷に待つ身の女「金遮鸪」と三つ並べて閏情を表現している。


香霧薄,透簾幕,惆悵謝家池閣。
香のたちこめた薄霧が、花のかおりをただよわせて、すだれをとおしてしのびこんでくる。ただひとりでかなしみのうちにとざされている女にも謝安の妓女のように池のほとり春草の萌えはじめる頃に座敷で過ごしたものだった。
・香霧 かぐわしい霧、ここは前段の花外を承けて、花の香のただよう気分を含めているのではないかとおもう。香幕には焚香の煩霧の意もあるが、ここは前段の春雨細から考えて雲霧の意のようである。
・惆悵謝家池閣 憫帳は憂え悲しむこと。謝女というのは晋の謝安が東山の彼を愛した故事から出たもの。過去女もそういう時期もあった。李白『送侄良攜二妓赴會稽戲有此贈』「攜妓東山去。 春光半道催。遙看若桃李。 雙入鏡中開。」
池閣は、謝霊運の「池塘生春草」にかけて、池堀に春草の生ずるようになったという春情にかける意がある。


紅燭背,繡簾垂,夢長君不知。
また女は独り紅い蝋燭を背にする、刺繍のすだれをたらしたまま、夢の中では一緒で長くして思い続けていることを、あの人は知らない。
・紅燭背 紅蝋の燭をむこう向きにして暗くする。眠りに就くときにするさま。

『菩薩蠻十四』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-14-1-#14 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1672

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『菩薩蠻十四』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-14-1-#14  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1672


2. 温庭筠 菩薩蠻
水精簾裏頗黎枕,暖香惹夢鴛鴦錦。
もう晩秋になろうというのに水晶のすだれの内側に、あの人ための玻璃の枕を用意している、あたたかくする香を焚いて、夢にしか現れない鴛鴦の錦のふすまに横になり、あの人のことを思う。
江上柳如煙,雁飛殘月天。
春になり大江のほとりには、煙と見まごうばかりに柳絮が飛ぶ、雁が有明けの月が残る空をわたってゆく。
藕絲秋色淺,人勝參差剪。
おんなは、秋には藕絲のうすいた秋の色の衣服をきていて、人日には髪かざりの人勝をふそろいに飾ってまっていた。
雙鬂隔香紅,玉钗頭上風。
左右の鬢にはうつくしい花のかんざしをへだて挿している。玉のかんざしは風に吹かれてゆらゆらゆれている。
水精の簾の裏 頗黎【はり】の枕,香を暖め夢に惹れ鴛鴦【えんおう】の錦。
江上 柳如の煙,雁飛 月天に殘る。
藕絲【ぐうし】秋色淺く,人勝【じんしょう】參差【さんさ】の剪。
雙鬂【そうびん】香紅を隔ち,玉钗【ぎょくさ】頭上の風。

miyajima593


『菩薩蠻十四』 現代語訳と訳註
(本文)
菩薩蠻
水精簾裏頗黎枕,暖香惹夢鴛鴦錦。
江上柳如煙,雁飛殘月天。
藕絲秋色淺,人勝參差剪。
雙鬂隔香紅,玉钗頭上風。

(下し文)
水精の簾の裏 頗黎【はり】の枕,香を暖め夢に惹れ鴛鴦【えんおう】の錦。
江上 柳如の煙,雁飛 月天に殘る。
藕絲【ぐうし】秋色淺く,人勝【じんしょう】參差【さんさ】の剪。
雙鬂【そうびん】香紅を隔ち,玉钗【ぎょくさ】頭上の風。


(現代語訳)
もう晩秋になろうというのに水晶のすだれの内側に、あの人ための玻璃の枕を用意している、あたたかくする香を焚いて、夢にしか現れない鴛鴦の錦のふすまに横になり、あの人のことを思う。
春になり大江のほとりには、煙と見まごうばかりに柳絮が飛ぶ、雁が有明けの月が残る空をわたってゆく。
おんなは、秋には藕絲のうすいた秋の色の衣服をきていて、人日には髪かざりの人勝をふそろいに飾ってまっていた。
左右の鬢にはうつくしい花のかんざしをへだて挿している。玉のかんざしは風に吹かれてゆらゆらゆれている。


(訳注)
水精簾裏頗黎枕,暖香惹夢鴛鴦錦。
もう晩秋になろうというのに水晶のすだれの内側に、あの人ための玻璃の枕を用意している、あたたかくする香を焚いて、夢にしか現れない鴛鴦の錦のふすまに横になり、あの人のことを思う。
・水精簾 水精は水晶。李白の『玉階怨』「玉階生白露、 夜久侵羅襪。却下水晶簾、 玲瓏望秋月。」(白玉の階きざはしに白い露が珠のように結露し、 夜は更けて羅(うすぎぬ)の襪(くつした)につめたさが侵みてくる。露に潤った水晶の簾をさっとおろした、透き通った水精の簾を通り抜けてきた秋の澄んだ月光が玉の光り輝くのを眺めているだけ。)李白39玉階怨 満たされぬ思いの詩。
・頗黎枕 頗黎は玻璃/頗梨【はり】1 仏教で、七宝の一。水晶のこと。2 ガラスの異称。3 火山岩中に含まれる非結晶質の物質。
・暖香 それをたくと部屋のあたたかくなるたきもの。香名に暖香というのもあるがここは一般的なことばであろう。
・惹夢 夢をさそうこと。
・鴛鴦錦 鴛駕の紋様のある錦の被(懸けふとん)。


江上柳如煙,雁飛殘月天。
春になり大江のほとりには、煙と見まごうばかりに柳絮が飛ぶ、雁が有明けの月が残る空をわたってゆく。
・柳如 柳絮が飛び交うのはカスミではなく煙のようなじょうたいせある。


藕絲秋色淺,人勝參差剪。
おんなは、秋には藕絲のうすいた秋の色の衣服をきていて、人日には髪かざりの人勝をふそろいに飾ってまっていた。
・藕絲秋色淺 藕絲は蓮根からとれる糸。そのよぅな細くて軽い繊維の衣服をいう。体の線がよく出て、宮女が閨に着る。
・人勝 正月七日「人勝節」という。正月7日の人日に用いられた飾り。人や動植物の形に切り抜いて彩色したあしぎぬ、金箔の縁飾り等の残片を一枚に貼り込んでいる。
参差は大小ふそろいのさま。
 

雙鬂隔香紅,玉钗頭上風。
左右の鬢にはうつくしい花のかんざしをへだて挿している。玉のかんざしは風に吹かれてゆらゆらゆれている。
・香紅 花をいう言葉であるが、ここは花のかんざしを意味するとおもう。
・玉钗頭上風 王叙頭は玉のかんざし。男と交わって揺れるのではなく、風に揺れるのである。憐れに感じさせるほどせつない女の状況を詠うのである。

『菩薩蠻十三』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-13-1-#13 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1668

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『菩薩蠻十三』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-13-1-#13  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1668


此の詩は西施をイメージして作ったもの。


14温庭筠 .菩薩蠻
竹風輕動庭除冷,珠簾月上玲珑影。
初夏のさわやかな風が竹の林を抜けて庭先から、軽やかに簾を動かして房に付いている風鈴がすきとおったように美しく鳴りつめたく響く。玉のすだれに月がさしのぼってあかるくすみわたった影をおとす。
山枕隱濃妝,綠檀金鳳凰。
閨に横向きで寝枕する女は今宵も待ち侘びて宵の濃い化粧のままある。綠壇でつられた枕には金の鳳風の紋様が彫描されている。
兩蛾愁黛淺,故國吳宮遠。
二つの眉はさびしそうにまゆずみがうすれている。むかし呉宮に送られた西施は、はるかにへだたった故国をなつかしくおもった。(今、ひとり待ち侘びる女は西施と同じ思いなのだ。)。
春恨正關情,畫樓殘點聲。

廻り廻って春は男女の交わりが始まるものであるのに待ち侘びる春の恨みはほんとに愛情に関連するものだ。夜明けが近くなったのか、飾られた高楼のうえで時をつげる太鼓の音の名残のようにがとぎれとぎれにきこえてくる。


『菩薩蠻』十三 現代語訳と訳註
(本文)

竹風輕動庭除冷,珠簾月上玲瓏影。
山枕隱濃妝,綠檀金鳳凰。
兩蛾愁黛淺,故國吳宮遠。
春恨正關情,畫樓殘點聲。


(下し文)
竹風 輕動して 庭除の冷,珠簾 月上りて瓏影するも玲なり。
山枕は濃妝を隱し,綠檀には金の鳳凰あり。
兩蛾は愁いて黛淺し,故國 吳宮の遠。
春恨 正に關情し,畫樓 點聲を殘す。

(現代語訳)
初夏のさわやかな風が竹の林を抜けて庭先から、軽やかに簾を動かして房に付いている風鈴がすきとおったように美しく鳴りつめたく響く。玉のすだれに月がさしのぼってあかるくすみわたった影をおとす。
閨に横向きで寝枕する女は今宵も待ち侘びて宵の濃い化粧のままある。綠壇でつられた枕には金の鳳風の紋様が彫描されている。
二つの眉はさびしそうにまゆずみがうすれている。むかし呉宮に送られた西施は、はるかにへだたった故国をなつかしくおもった。(今、ひとり待ち侘びる女は西施と同じ思いなのだ。)。
廻り廻って春は男女の交わりが始まるものであるのに待ち侘びる春の恨みはほんとに愛情に関連するものだ。夜明けが近くなったのか、飾られた高楼のうえで時をつげる太鼓の音の名残のようにがとぎれとぎれにきこえてくる。


(訳注)
竹風輕動庭除冷,珠簾月上玲瓏影。

初夏のさわやかな風が竹の林を抜けて庭先から、軽やかに簾を動かして房に付いている風鈴がすきとおったように美しく鳴りつめたく響く。玉のすだれに月がさしのぼってあかるくすみわたった影をおとす。
・庭除 庭の階段のあるところ。風除室のような意味を持つ場所。
・玲瓏影 玲の瓏も同じ意味で、1 玉などが透き通るように美しいさま。また、玉のように輝くさま。2 玉などの触れ合って美しく鳴るさま。また、音声の澄んで響くさま。


山枕隱濃妝,綠檀金鳳凰。
閨に横向きで寝枕する女は今宵も待ち侘びて宵の濃い化粧のままある。綠壇でつられた枕には金の鳳風の紋様が彫描されている。
・山枕 枕のこと。温庭篤の更漏子詞に「山枕蹴、錦余寒」、顧鼻の甘州子詞に山枕上、長是怯農鐘」とある。
・隠 臥=隠と同じ、もたれること。よりかかること。或は向こう向きに寢る。
・濃妝 こってりとあついお化粧をした年増女。宵の口に化粧をするのは濃い化粧で、寝る前には寝化粧に帰る。つまり、今日も来なかったということ。西施の事も意味する語である。
・綠檀 黒檀、紫檀と綠壇は枕をつくる木材をいう。緑壇は緑色の枕檀(まくら)ということで、寝るという意味になる。緑檀は後宮でつかわれるもの。
・金鳳凰 枕にはどこされた紋様で、つがいを描いているので、空しさを引き立てる。


兩蛾愁黛淺,故國吳宮遠。
二つの眉はさびしそうにまゆずみがうすれている。むかし呉宮に送られた西施は、はるかにへだたった故国をなつかしくおもった。(今、ひとり待ち侘びる女は西施と同じ思いなのだ。)。
・故国呉宮遠 呉宮は西施をかりていう。呉は江蘇一帯をいう。西施;沉魚落雁 西施
水光瀲艷晴方好,山色空濛雨亦奇。
若把西湖比西子,濃妝淡抹總相宜。


春恨正關情,畫樓殘點聲。
廻り廻って春は男女の交わりが始まるものであるのに待ち侘びる春の恨みはほんとに愛情に関連するものだ。夜明けが近くなったのか、飾られた高楼のうえで時をつげる太鼓の音の名残のようにがとぎれとぎれにきこえてくる。
・残点声 鍾鼓を鳴らして時を告げる音が、明方近くなって、眠い中ほとんどきこえなくなること。夜通し待っている様子、せつなさをあらわすもの。


『菩薩蠻十二』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-12-1-#12 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1664

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『菩薩蠻十二』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-12-1-#12  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1664


13.温庭筠 菩薩蠻 十二
雨晴夜合玲瓏日,萬枝香裊紅絲拂。
雨が晴れあがり、潤ったねむの花にうららかな日の光がさしこむ。庭中の枝という枝にいっぱいにさいている紅い糸の匂い袋のようなうつくしい花が、ゆらゆらとゆれうごく。
閑夢憶金堂,滿庭萱草長。
寂しくしずかな夢だけしかなく、あの人と過ごした奇麗な座敷のことを憶いだすだけしかないのです。かなしいのは庭にいっぱい「忘れの花」が生えているのです。
繡簾垂箓簌,眉黛遠山綠。
刺繍をした簾には美しい総が垂れ下っている。そのすだれをかかげて、遠い山々をながめるとみどりのまゆずみを掃いたかのようにうすくかすんで、この体を持て余したまま、季節は夏の装いになってくる。
春水渡溪橋,憑欄魂欲消。
そしてまた、谷川にかかる橋の下を春の雪解け水がながれてゆく。欄干にもたれて、あの人を思うこころをきしてしまいたいとおもうのです。


菩薩蠻 十二
雨晴れ夜合 玲瓏の日,萬枝 香裊【こうじょう】 紅絲拂う。
閑夢は金堂を憶う,庭に滿つ萱草【かんぞう】長し。
繡簾 箓簌【ろくそく】を垂し,眉黛【びたい】遠山の綠。
春水 溪橋を渡り,欄に憑【もた】れて魂消さんと欲す。



『菩薩蠻』 十二 現代語訳と訳註
(本文)
菩薩蠻 十二
雨晴夜台玲珑日,萬枝香袅紅絲拂。
閑夢憶金堂,滿庭萱草長。
繡簾垂箓簌,眉黛遠山綠。
春水渡溪橋,憑欄魂欲消。


(下し文)
雨晴れ夜合 玲瓏の日,萬枝 香裊【こうじょう】 紅絲拂う。
閑夢は金堂を憶う,庭に滿つ萱草長し。
繡簾 箓簌【ろくそく】を垂し,眉黛【びたい】遠山の綠。
春水 溪橋を渡り,欄に憑【もた】れて魂消さんと欲す。


(現代語訳)
雨が晴れあがり、潤ったねむの花にうららかな日の光がさしこむ。庭中の枝という枝にいっぱいにさいている紅い糸の匂い袋のようなうつくしい花が、ゆらゆらとゆれうごく。
寂しくしずかな夢だけしかなく、あの人と過ごした奇麗な座敷のことを憶いだすだけしかないのです。かなしいのは庭にいっぱい「忘れの花」が生えているのです。
刺繍をした簾には美しい総が垂れ下っている。そのすだれをかかげて、遠い山々をながめるとみどりのまゆずみを掃いたかのようにうすくかすんで、この体を持て余したまま、季節は夏の装いになってくる。
そしてまた、谷川にかかる橋の下を春の雪解け水がながれてゆく。欄干にもたれて、あの人を思うこころをきしてしまいたいとおもうのです。


(訳注) 菩薩蠻 十二
雨晴夜台玲珑日,萬枝香袅紅絲拂。
雨が晴れあがり、潤ったねむの花にうららかな日の光がさしこむ。庭中の枝という枝にいっぱいにさいている紅い糸の匂い袋のようなうつくしい花が、ゆらゆらとゆれうごく。
夜合 一名合歓木、ねむのき。夜中になると葉が合するので夜合といわれる。明刊草本花詩譜で夜合花というのはこれとは別種のもの。ここは次の句に紅糸払とあるからねむの木の花をいう。
合歓の花

玲耗日 雨にねれたねむの花が日に映えてくっきりとうつくしく見えること。
万枝句 庭中の枝という枝に紅いふさのような花がさいてうつくしくしなやかに見えること。紅糸私は紅い色の糸払。糸私は払子のことであるが、ここはねむの花のふさのような形を形容して用いる。


閑夢憶金堂,滿庭萱草長。
寂しくしずかな夢だけしかなく、あの人と過ごした奇麗な座敷のことを憶いだすだけしかないのです。かなしいのは庭にいっぱい「忘れの花」が生えているのです。
金堂 うつくしい座敷。
・萱草一に吾輩という。かんぞう。わすれぐさ。詩経、衛風伯兮篇に「焉諼得草、言樹之背。願言伯思、使我心痗。」(焉くんぞ諼草を得ん。言に背に樹えん。願いて言に伯を思い、我が心をして痗ましむ)とある。
“我憂いを忘れるために、何処かで、もの忘れする草をみつけ、それを裏座敷に植えたい。“というもの。 謝惠連『西陵遇風獻康楽』にみえる。西陵遇風獻康楽 その5 謝惠運 謝霊運(康楽) 詩<54>Ⅱ李白に影響を与えた詩441 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1140
・閑夢二句 雨上がりのねむの花を見て」萱草の庭いっぱいに生えた座敷をおもいだす。閏情の詞と見てよく、男が来てくれない、(捨てられた)のなら忘れてしまうことしかないというもの。


繡簾垂箓簌,眉黛遠山綠。
刺繍をした簾には美しい総が垂れ下っている。そのすだれをかかげて、遠い山々をながめるとみどりのまゆずみを掃いたかのようにうすくかすんで、この体を持て余したまま、季節は夏の装いになってくる。
・箓簌 策のふさをいう。屡窮も同じであろう。流蘇(五采の羽の垂飾)も同じとおもう。沢庵筍の帰国浩詞に「翠鳳宝鈍重義軍」とあり、鋏にたれるふさかざ
りをいう。なお李梨の春妨正字剣子歌の「採糸田金懸碍星」も犀貫を懸くと訓じ、ふさの意と解すべきであろう。
・遠山綠 みどりの山は、晩春の山、遠い山の稜線は女の体であり、一人その体を持て余すことを云う。


春水渡溪橋,憑欄魂欲消。
そしてまた、谷川にかかる橋の下を春の雪解け水がながれてゆく。欄干にもたれて、あの人を思うこころをきしてしまいたいとおもうのです。
魂欲消 あの人を思う心、待ちつぃぢけるたましいもう消し去ってしまいたい。思うから消し去りたい。つのる思いをより強いものにする。李商隠か温庭筠でないとこうした表現はない。

『菩薩蠻十一』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-11-1-#11 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1660


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『菩薩蠻十一』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-11-1-#11  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1660

11.温庭筠 菩薩蠻
南園滿地堆輕絮,愁聞一霎清明雨。
いつのまにかことしも春の盛りを過ぎて行く、南園には初夏の兆しが、地面いっぱいに雪のように柳絮の花がつもる。愁いの気持ちで、ふりしきりる清明の小雨の音をきいている。
雨後卻斜陽,杏花零落香。
雨がふりすぎたあとには、傾いた日差しが照りかえして、杏の花が一面に散り落ち、良いにおいをあたりにただよわせる。
無言勻睡臉,枕上屏山掩。
日暮れになり、寝所に入ろうとして、一言も言わないで、寝覚めのための顔、頬にお化粧をつくろう。枕の上には屏風のように女の体がおおっている。
時節欲黃昏,無聊獨倚門。
今年の春も過ぎてしまう。時も季節も、私も黄昏になる。ただひとりでわびしく門にもたれて、あの方が私の所にかえってくることを待ちわびるのである。

菩薩蠻 十一
南園は地に滿つ輕絮堆るを,愁 清明の雨一霎するを聞く。
雨後 卻て斜陽なり,杏花 零落して香る。
言無くて睡臉を勻し,枕上に屏山掩う。
時節 黃昏にならんと欲す,無聊 獨り門に倚る。


宮島(11)

『菩薩蠻 十一』 現代語訳と訳註
(本文)
南園滿地堆輕絮,愁聞一霎清明雨。
雨後卻斜陽,杏花零落香。
無言勻睡臉,枕上屏山掩。
時節欲黃昏,無聊獨倚門。


(下し文)
南園は地に滿つ輕絮堆るを,愁 清明の雨一霎するを聞く。
雨後 卻て斜陽なり,杏花 零落して香る。
言無くて睡臉を勻し,枕上に屏山掩う。
時節 黃昏にならんと欲す,無聊 獨り門に倚る。


(現代語訳)
いつのまにかことしも春の盛りを過ぎて行く、南園には初夏の兆しが、地面いっぱいに雪のように柳絮の花がつもる。愁いの気持ちで、ふりしきりる清明の小雨の音をきいている。
雨がふりすぎたあとには、傾いた日差しが照りかえして、杏の花が一面に散り落ち、良いにおいをあたりにただよわせる。
日暮れになり、寝所に入ろうとして、一言も言わないで、寝覚めのための顔、頬にお化粧をつくろう。枕の上には屏風のように女の体がおおっている。
今年の春も過ぎてしまう。時も季節も、私も黄昏になる。ただひとりでわびしく門にもたれて、あの方が私の所にかえってくることを待ちわびるのである。


(訳注) 菩薩蠻 十一
南園滿地堆輕絮,愁聞一霎清明雨。
いつのまにかことしも春の盛りを過ぎて行く、南園には初夏の兆しが、地面いっぱいに雪のように柳絮の花がつもる。愁いの気持ちで、ふりしきりる清明の小雨の音をきいている。
・南園 特定の庭園をさすのではないであろう。
・絮 柳絮。(1)白い綿毛をもった柳の種子。また、それが雪のように散るさま。[季]春。 (2)雪の形容。
・一霎 しばらくの時間。
・清明 二十四気の一。冬至ののち百五日、春分から十五日目。陽暦の四月五、六日ごろ。


雨後卻斜陽,杏花零落香。
雨がふりすぎたあとには、傾いた日差しが照りかえして、杏の花が一面に散り落ち、良いにおいをあたりにただよわせる。
・雨後卻斜陽 妓女の人生を示す。
・零落 ここは杏花の散ってゆくさま。何年か前のこの季節から女のところへ来なくなったもの。


無言勻睡臉,枕上屏山掩。
日暮れになり、寝所に入ろうとして、一言も言わないで、寝覚めのための顔、頬にお化粧をつくろう。枕の上には屏風のように女の体がおおっている。
・屏山 妓女の横向きの寝姿をいう。作者はこの二句にエロチックなことを連想させることを意図している。


時節欲黃昏,無聊獨倚門。
また今年の春も過ぎてしまう。時も季節も、私も黄昏になる。ただひとりでわびしく門にもたれて、あの方が私の所にかえってくることを待ちわびるのである。
時節欲黃昏 時節の変わり、妓女の年齢の変化、若さ、新鮮さのなくなってきていることを表現する。


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『菩薩蠻 十』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-10-1-#10  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1656


9.温庭筠 菩薩蠻
滿宮明月梨花白,故人萬裏關山隔。
後宮の庭に月は明るく照らし、梨の花がまっ白に咲き満ちている。あのお方はこないのはまるでとおいとおい国境の山のかなたに行ってしまったままかえってこないことと同じである。(春)
金雁一雙飛,淚痕沾繡衣。
季節は廻って金星が流れて空の上をつがいの雁が渡ってゆく、宮女の部屋にお渡りがなくなって随分経つながれる涙は刺繍の衣服をうるおしている。(秋)
小園芳草綠,家住越溪曲。
又季節が廻り、宮殿の中庭の園にはもう春の草がみどりに萌えでている。そう、わたしもむかし越の国の美人西施が住んでいた若耶渓の「詞曲」のように出会ったのです。(春)
楊柳色依依,燕歸君不歸。

わたしはまだまだ楊柳色のようの若々しくそしてなまめかしい体なのです。そしてまた燕は愛の巢に帰ってきます。愛する君は若い宮女に行っていて私の所に帰ってくれないのです。

宮に滿つ月明り 梨花の白,故人 萬裏 關山の隔。
金雁 一雙飛,淚痕 繡衣に沾う。
小園 芳草の綠,家住 越溪の曲。
楊柳 色 依依なり,燕歸 君 歸らず。

宮島(10)

『菩薩蠻 十』現代語訳と訳註
(本文)

滿宮明月梨花白,故人萬裏關山隔。
金雁一雙飛,淚痕沾繡衣。
小園芳草綠,家住越溪曲。
楊柳色依依,燕歸君不歸。


(下し文)
宮に滿つ月明り 梨花の白,故人 萬裏 關山の隔。
金雁 一雙飛,淚痕 繡衣に沾う。
小園 芳草の綠,家住 越溪の曲。
楊柳 色 依依なり,燕歸 君 歸らず。


(現代語訳)
後宮の庭に月は明るく照らし、梨の花がまっ白に咲き満ちている。あのお方はこないのはまるでとおいとおい国境の山のかなたに行ってしまったままかえってこないことと同じである。
季節は廻って金星が流れて空の上をつがいの雁が渡ってゆく、宮女の部屋にお渡りがなくなって随分経つながれる涙は刺繍の衣服をうるおしている。
又季節が廻り、宮殿の中庭の園にはもう春の草がみどりに萌えでている。そう、わたしもむかし越の国の美人西施が住んでいた若耶渓の「詞曲」のように出会ったのです。
わたしはまだまだ楊柳色のようの若々しくそしてなまめかしい体なのです。そしてまた燕は愛の巢に帰ってきます。愛する君は若い宮女に行っていて私の所に帰ってくれないのです。


 (訳注)
滿宮明月梨花白,故人萬裏關山隔。

後宮の庭に月は明るく照らし、梨の花がまっ白に咲き満ちている。あのお方はこないのはまるでとおいとおい国境の山のかなたに行ってしまったままかえってこないことと同じである。
滿宮明月梨花白 宮は王者の官室をいう。この場合宮女の詩である。王宮に限らず、単に満楼というのと変わらないという説もあるが、この語はそんなアバウトな感じでは使えない語である。温庭筠の舞衣曲「不逐秦王巻象株、満楼明月梨花白」。とは異なる。
・關山 辺境の塞・関所をいう。杜甫『洗兵行(洗兵馬)』「三年笛裡關山月,萬國兵前草木風。」洗兵行 #1 杜甫詩kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ992 杜甫特集700- 295杜甫『登岳陽樓』「昔聞洞庭水,今上岳陽樓。呉楚東南坼,乾坤日夜浮。親朋無一字,老病有孤舟。戎馬關山北,憑軒涕泗流。」、李白31 『関山月「明月出天山、蒼茫雲海間。長風幾萬里、吹度玉門關。漢下白登道、胡窺青海灣。由來征戰地、不見有人還。戍客望邊色、思歸多苦顏。高樓當此夜、歎息未應閑。」高適『塞上聞吹笛』「借問梅花何處落,風吹一夜滿關山。」とある。関所となるべき要害の山。また、ふるさとの四方をとりまく山。故郷。などの意味がある。高適の詩(2 塞上聞吹笛  田家春望 (1)除夜作

金雁一雙飛,淚痕沾繡衣。
季節は廻って金星が流れて空の上をつがいの雁が渡ってゆく、宮女の部屋にお渡りがなくなって随分経つながれる涙は刺繍の衣服をうるおしている。
金雁 金星が流れて秋が来て雁が帰る季節になったという意。秋は五行で金に配せられる。雁は書信を伝える。
・涙痕 なみだのながれたあと。単になみだをいうときもある。


小園芳草綠,家住越溪曲。
又季節が廻り、宮殿の中庭の園にはもう春の草がみどりに萌えでている。そう、わたしもむかし越の国の美人西施が住んでいた若耶渓の「詞曲」のように出会ったのです。
・越溪曲 越溪は若耶渓。若耶渓は会稽の南から北流して鏡湖に流れ入る。浙江省紹興県南にあり、昔、西施が素足を洗ったところ。ここは美女を西施に比喩していう。李白越女詞五首越女詞 五首 其四淥水曲  李白 11白10  採蓮曲(この採連曲のブログで西施について解説している。)。この地方は美人の多い子で有名。素足の女は、楚の国の王を籠絡した女性西施が其ふっくらとした艶的の魅力により語の句に警告させその出発殿のすあしのおんなであったことから、そのエピソードを歌にされたもの。家住は晏幾道の清平楽詞など、詩詞によく見られることば。
晏幾道(清平樂)蓮開欲遍。
一夜秋聲轉。殘綠斷紅香片片。長是西風堪怨。莫愁家住溪邊。采蓮心事年年。誰管水流花謝,月明昨夜蘭船。


色依依,燕歸君不歸。
わたしはまだまだ楊柳色のようの若々しくそしてなまめかしい体なのです。そしてまた燕は愛の巢に帰ってきます。愛する君は若い宮女に行っていて私の所に帰ってくれないのです。
・楊柳句 詩経采薇に「楊柳依依」とある。依依は柳の枝のしなやかなさまをいう。



10<参考>漢詩大系24 中田勇次郎 下し文
 滿宮明月梨花白,くまもなく官居をてらす月かげに梨の花白く
故人萬裏關山隔。わがおもふひとはちさとのくにべにへだたりぬ
金雁一雙飛,つれとぶ雁をながめては
淚痕沾繡衣。涙に染むるぬひごろも
小園芳草綠,さにはべの春のわか草もえいづるに
家住越溪曲。ただひとり越渓の曲にすみわびぬ
楊柳色依依,あをやぎのいろいたづらにふかくして
燕歸君不歸。燕はかへりきたるに君はかへらず


1 温庭筠 おんていいん
(812頃―870以後)本名は岐、字は飛卿、幷州(山西省大原)の人。初唐の宰相温彦博の子孫にあたるといわれる。年少のころから詩をよくしたが、素行がわるく頽廃遊蕩生活に耽り、歌樓妓館のところに出入して、艶麗な歌曲ばかりつくっていた。進士の試験にも落第をつづけ、官途につくこともできなかった。徐商が裏陽(湖北)の地方長官をしていたとき、採用されて巡官となり、ついで徐商が中央の高官(成通のはじめ尚書省に入る)になったので、さらに任用されようとしたが成らなかった。859年頃に詩名によって特に召されて登用され、国子(大学)助教となった。たが、叙任前に微行中の宣宗に無礼があって罷免され、晩年は流落して終わった。そのため、生歿が未詳である。

集に撞蘭集三巻、金墨集十巻、漢南其稿十巻があったという。かれは晩唐の詩人として李商隠と相並び、「温李」として名を知られている。音楽に精しく、鼓琴吹笛などを善くし、当時流行しつつあった詞の作家としても韋荘と相並んで「温韋」の称があった。その詞の大部分は超崇祚の編した花間集に収載されている。洗練された綺麗な辞句をもちいた、桃李の花を見るような艶美な作風は花間集一派の詞人を代表するもので、「深美閎約」と批評されているその印象的なうつくしさにおいてほ花間集中、及ぶものがないといってよく、韋荘の綺麗さとよい対照をなしている。王国維が花間集に収載する六十六首のほか他書に散見するものを合せて輯した金荃詞一巻があり、七十首を伝えている。

『菩薩蠻 九』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-9-1-#9 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1652

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『菩薩蠻 九』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-9-1-#9  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1652


菩薩蠻:双調 四十四字。前後段各四句兩仄韻兩平韻。
・富貴の家妓が春になり、庭に咲くボタンを見て、捨て置かれている身を詠う。
・花間集に掲載。
・温庭:晩唐の大詞人。詩人でもある。花間集では彼の作品が一番多く、六十六首も採用されており、このことから花間鼻祖とも称されている。


8.菩薩蠻
牡丹花謝鶯聲歇,綠楊滿院中庭月。
晩春になり牡丹の花がちりはじめ、うぐいすのこえもなきやむ初夏のころとなった。青柳のみどりはもはや中庭一面に繁り、月かげがさしている。
相憶夢難成,背窗燈半明。
女の部屋のうちにあって、帰ってこない夫をせめて夢の中にでも逢いたいと思うのである、その夢をむすぶ高窓に背を向けて「知らない!」といってみる、燃やし続ける蝋燭の芯は半ばの明かりとなっている。
翠鈿金壓臉,寂寞香閨掩。
その顔に化粧を施し、頬に金の翠の鈿をつけている、いかにもうつくしいお化粧ではあるがひとりの閨は寂寞としたうれいにしずんでいる。
人遠淚闌幹,燕飛春又殘。
かこわれた部屋はひっそりとして人かげもなく、涙を流し続けて頬には、くっきりと涙の後がついている。また今年も燕が飛び交う、そして春はまたその名残を残していくだけなのだ。

牡丹 花謝【お】ち 鶯聲歇【や】む,綠楊【りょくよう】院に滿ち 中庭の月。
相憶【そうおく】の夢 成し難く,窗を背に燈び明りを半ばにする。
翠鈿【すいてん】の金 臉【ほほ】に壓【くず】す,寂寞【せきばく】として香 閨に掩う。
人遠く淚 闌幹【らんかん】し,燕飛 春 又殘る。

宮島(9)

『菩薩蠻 九』現代語訳と訳註
(本文)
牡丹花謝莺聲歇,綠楊滿院中庭月。
相憶夢難成,背窗燈半明。
翠鈿金壓臉,寂寞香閨掩。
人遠淚闌幹,燕飛春又殘。


(下し文)
牡丹 花謝【お】ち 鶯聲歇【や】む,綠楊【りょくよう】院に滿ち 中庭の月。
相憶【そうおく】の夢 成し難く,窗を背に燈び明りを半ばにする。
翠鈿【すいてん】の金 臉【ほほ】に壓【くず】す,寂寞【せきばく】として香 閨に掩う。
人遠く淚 闌幹【らんかん】し,燕飛 春 又殘る。


(現代語訳)
晩春になり牡丹の花がちりはじめ、うぐいすのこえもなきやむ初夏のころとなった。青柳のみどりはもはや中庭一面に繁り、月かげがさしている。
女の部屋のうちにあって、帰ってこない夫をせめて夢の中にでも逢いたいと思うのである、その夢をむすぶ高窓に背を向けて「知らない!」といってみる、燃やし続ける蝋燭の芯は半ばの明かりとなっている。
その顔に化粧を施し、頬に金の翠の鈿をつけている、いかにもうつくしいお化粧ではあるがひとりの閨は寂寞としたうれいにしずんでいる。
かこわれた部屋はひっそりとして人かげもなく、涙を流し続けて頬には、くっきりと涙の後がついている。また今年も燕が飛び交う、そして春はまたその名残を残していくだけなのだ。


(訳注)
牡丹花謝莺聲歇,綠楊滿院中庭月。
晩春になり牡丹の花がちりはじめ、うぐいすのこえもなきやむ初夏のころとなった。青柳のみどりはもはや中庭一面に繁り、月かげがさしている。
 花がしぼみおちること。
 止むこと。
・中庭 中心にある庭、なかにわ。


相憶夢難成,背窗燈半明。
女の部屋のうちにあって、帰ってこない夫をせめて夢の中にでも逢いたいと思うのである、その夢をむすぶ高窓に背を向けて「知らない!」といってみる、燃やし続ける蝋燭の芯は半ばの明かりとなっている。
・背窓句 窓のはるか向こう、旅の空に毎日思いを向けているが一向に届かないことに思いとは裏腹な態度を取るということの意味。


翠钿金壓臉,寂寞香閨掩。
その顔に化粧を施し、頬に金の翠の鈿をつけている、いかにもうつくしいお化粧ではあるがひとりの閨は寂寞としたうれいにしずんでいる。


人遠淚闌幹,燕飛春又殘。
かこわれた部屋はひっそりとして人かげもなく、涙を流し続けて頬には、くっきりと涙の後がついている。また今年も燕が飛び交う、そして春はまたその名残を残していくだけなのだ。
涙闌幹 闌幹は涙の流れるさまであるが、ここでは毎日泣き続けている状況を示しているので、涙か流し枯れてもそのあとは残っているといったほうが理解しやすいとおもう。





1 温庭筠 おんていいん
(812頃―870以後)本名は岐、字は飛卿、幷州(山西省大原)の人。初唐の宰相温彦博の子孫にあたるといわれる。年少のころから詩をよくしたが、素行がわるく頽廃遊蕩生活に耽り、歌樓妓館のところに出入して、艶麗な歌曲ばかりつくっていた。進士の試験にも落第をつづけ、官途につくこともできなかった。徐商が裏陽(湖北)の地方長官をしていたとき、採用されて巡官となり、ついで徐商が中央の高官(成通のはじめ尚書省に入る)になったので、さらに任用されようとしたが成らなかった。859年頃に詩名によって特に召されて登用され、国子(大学)助教となった。たが、叙任前に微行中の宣宗に無礼があって罷免され、晩年は流落して終わった。そのため、生歿が未詳である。

集に撞蘭集三巻、金墨集十巻、漢南其稿十巻があったという。かれは晩唐の詩人として李商隠と相並び、「温李」として名を知られている。音楽に精しく、鼓琴吹笛などを善くし、当時流行しつつあった詞の作家としても韋荘と相並んで「温韋」の称があった。その詞の大部分は超崇祚の編した花間集に収載されている。洗練された綺麗な辞句をもちいた、桃李の花を見るような艶美な作風は花間集一派の詞人を代表するもので、「深美閎約」と批評されているその印象的なうつくしさにおいてほ花間集中、及ぶものがないといってよく、韋荘の綺麗さとよい対照をなしている。王国維が花間集に収載する六十六首のほか他書に散見するものを合せて輯した金荃詞一巻があり、七十首を伝えている。

『菩薩蠻 八』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-8-1-#8 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1648

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.唐五代詞詩・宋詞詩

『菩薩蠻 八』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-8-8-# 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1648

『菩薩蠻 八』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-8-18-#8  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1648


菩薩蠻:双調 四十四字。前後段各四句兩仄韻兩平韻。
・富貴の家妓が春になり、庭に咲くボタンを見て、捨て置かれている身を詠う。
・花間集に掲載。
・温庭:晩唐の大詞人。詩人でもある。花間集では彼の作品が一番多く、六十六首も採用されており、このことから花間鼻祖とも称されている。


7.温庭筠 菩薩蠻
鳳凰相對盤金縷,牡丹一夜經微雨。
今朝もさびしい朝化粧、鳳凰のむかいあい、金糸をぬいとりが尾のからみ渦巻く紋様がある。昨日一夜の春の小糠雨に、庭の牡丹の花が濡れ潤いうつくしい。(この女も少し前は若くてうつくしさは小雨に潤う牡丹の花であったのだ。)
明鏡照新妝,鬓輕雙臉長。
部屋に日がさしこみ、鏡にうつすお化粧したてのすがたに日に照らされる、さびしさにおとろえたせいか、頬もうすくなり、そして鬢にかかる雲形の髪も薄くなり、二つの頬はやつれて精彩がなくなっている。
畫樓相望久,欄外垂絲柳。
飾られた高楼にのぼって、今日もまた久しくあの人の帰りをまちわびる。欄干のかなたには、しだれ柳が芽をふき、風にふかれてゆれている。
音信不歸來,社前雙燕回。

音も沙汰もかえってこないで、今年もまた社日にさきだって交尾する仲むつまじそうな燕がでたりはいったりしている。


鳳凰 相對して金縷を盤す,牡丹 一夜にして微雨に經る。
明鏡 新妝を照らし,鬓輕 雙びて臉 長し。
畫樓 相望久,欄外 絲柳を垂るる。
音信 歸えり來らず,社前 雙燕 回える。

宮島(8)

『菩薩蠻 八』現代語訳と訳註
(本文)

鳳凰相對盤金縷,牡丹一夜經微雨。
明鏡照新妝,鬓輕雙臉長。
畫樓相望久,欄外垂絲柳。
音信不歸來,社前雙燕回。


(下し文)
鳳凰 相對して金縷を盤す,牡丹 一夜にして微雨に經る。
明鏡 新妝を照らし,鬓輕 雙びて臉 長し。
畫樓 相望久,欄外 絲柳を垂るる。
音信 歸えり來らず,社前 雙燕 回える。


(現代語訳)
今朝もさびしい朝化粧、鳳凰のむかいあい、金糸をぬいとりが尾のからみ渦巻く紋様がある。昨日一夜の春の小糠雨に、庭の牡丹の花が濡れ潤いうつくしい。(この女も少し前は若くてうつくしさは小雨に潤う牡丹の花であったのだ。)
部屋に日がさしこみ、鏡にうつすお化粧したてのすがたに日に照らされる、さびしさにおとろえたせいか、頬もうすくなり、そして鬢にかかる雲形の髪も薄くなり、二つの頬はやつれて精彩がなくなっている。
飾られた高楼にのぼって、今日もまた久しくあの人の帰りをまちわびる。欄干のかなたには、しだれ柳が芽をふき、風にふかれてゆれている。
音も沙汰もかえってこないで、今年もまた社日にさきだって交尾する仲むつまじそうな燕がでたりはいったりしている。


(訳注)
鳳凰相對盤金縷,牡丹一夜經微雨。
今朝もさびしい朝化粧、鳳凰のむかいあい、金糸をぬいとりが尾のからみ渦巻く紋様がある。昨日一夜の春の小糠雨に、庭の牡丹の花が濡れ潤いうつくしい。(この女も少し前は若くてうつくしさは小雨に潤う牡丹の花であったのだ。)


明鏡照新妝,鬢輕雙臉長。
部屋に日がさしこみ、鏡にうつすお化粧したてのすがたに日に照らされる、さびしさにおとろえたせいか、頬もうすくなり、そして鬢にかかる雲形の髪も薄くなり、二つの頬はやつれて精彩がなくなっている。
・雙臉長 右左の頬がやせたこと。寂しさに心痛めてやつれた様子を云う。晏殊の訴衷情詞に「露蓮雙臉遠山眉」とある。


畫樓相望久,欄外垂絲柳。
飾られた高楼にのぼって、今日もまた久しくあの人の帰りをまちわびる。欄干のかなたには、しだれ柳が芽をふき、風にふかれてゆれている。 


音信不歸來,社前雙燕回。
音も沙汰もかえってこないで、今年もまた社日にさきだって交尾する仲むつまじそうな燕がでたりはいったりしている。
社前雙燕回 この詩全体艶閨の雰囲気を持った語でちりばめられており、しかし、少し年を取ってきた富貴の家に囲われた妓女にとってただ寂しさだけがのころ。ここに言う燕は、この時期、子作りをするため雌雄が一緒にいる晩春のころのことである。

8<参考>漢詩大系24 中田勇次郎 下し文
 鳳凰相對盤金縷,鳳皇のさしむかひたる金縷のころも
牡丹一夜經微雨。ふかみぐさ一夜のこさめにほころびぬ
明鏡照新妝,かがみにてらすあたらしきよそはひなれど
輕雙臉長。鬢のうすきと臉のやつれをいかにせむ
畫樓相望久,樓によりてひさしくもながめわぶるに
欄外垂絲柳。おばしまのかなたにはしだり柳のかたなびく
音信不歸來,またるるきみがおとづれはくるともみえず
社前雙燕回。春のなかばのちかづきて雙燕また歸りきたれり

1 温庭筠 おんていいん
(812頃―870以後)本名は岐、字は飛卿、幷州(山西省大原)の人。初唐の宰相温彦博の子孫にあたるといわれる。年少のころから詩をよくしたが、素行がわるく頽廃遊蕩生活に耽り、歌樓妓館のところに出入して、艶麗な歌曲ばかりつくっていた。進士の試験にも落第をつづけ、官途につくこともできなかった。徐商が裏陽(湖北)の地方長官をしていたとき、採用されて巡官となり、ついで徐商が中央の高官(成通のはじめ尚書省に入る)になったので、さらに任用されようとしたが成らなかった。859年頃に詩名によって特に召されて登用され、国子(大学)助教となった。たが、叙任前に微行中の宣宗に無礼があって罷免され、晩年は流落して終わった。そのため、生歿が未詳である。

集に撞蘭集三巻、金墨集十巻、漢南其稿十巻があったという。かれは晩唐の詩人として李商隠と相並び、「温李」として名を知られている。音楽に精しく、鼓琴吹笛などを善くし、当時流行しつつあった詞の作家としても韋荘と相並んで「温韋」の称があった。その詞の大部分は超崇祚の編した花間集に収載されている。洗練された綺麗な辞句をもちいた、桃李の花を見るような艶美な作風は花間集一派の詞人を代表するもので、「深美閎約」と批評されているその印象的なうつくしさにおいてほ花間集中、及ぶものがないといってよく、韋荘の綺麗さとよい対照をなしている。王国維が花間集に収載する六十六首のほか他書に散見するものを合せて輯した金荃詞一巻があり、七十首を伝えている。

琴操十首 (9)別鵠操 商陵穆子,娶妻五年無子。父母欲其改娶,其妻聞之,中夜悲嘯,穆子感之而作 韓退之(韓愈)詩<75-(9)>Ⅱ中唐詩439 (12/08)


”成都紀行(5)”  飛仙閣 杜甫詩1000 <344>#1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1647 杜甫1500- 511


月蝕詩效玉川子作 韓愈 韓退之(韓愈)詩<96-#7>Ⅱ中唐詩520 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1646

『菩薩蠻 七』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-7-1-#7 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1644


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『菩薩蠻 七』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-7-1-#7  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1644


6.温庭筠 菩薩蠻
玉樓明月長相憶,柳絲袅娜春無力。
春の装いにかがやく高楼にのぼり、あかるい月かげがさしこむ、もうずいぶんな歳月になる、私のもとにかえってこないあの人を恋しく思う。柳のいとの様な腰つき、もっと魅力的にしているが、一人過ごす春の日、片思いのままは気力も失せて來る。
門外草萋萋,送君聞馬嘶。
門外にでて春の行楽に幔幕を春草がまた青々としげる中に有る。あの人を見送ったときには、乗ってゆく馬のいななくのを聞いたものだった。(いまも馬が嘶いてもあの人は来てくれない。)
畫羅金翡翠,香燭銷成淚。
うすものの衾に金と翡翠で描かれているのを見るばかり、今宵も更けゆくままに、蝋燭も溶けて流れ、涙もとめどがない。
花落子規啼,綠窗殘夢迷。
若い花はちりさり、ほととぎすは逢いたい一心で啼いて血を吐くのだ、部屋のみどり絹の上窓から思いを送るがどこかあの人のもとへ夢はまようのだろう。

菩薩蠻
玉樓明月長へに相ひ憶ふ、柳絲娜として春無力。
門外草萋萋たり、君を送れば馬の嘶くを聞けり。
畫【いろうつくしき】羅【うすぎぬ】金の翡翠、香【かぐはしき】燭消【とけ】て涙を成す。
花落ちて子規啼けば、綠窗【ろくそう】に殘夢迷ふ。

菩薩蠻:双調 四十四字。換韻。
年増になった妓女が、男と共に過ごした昔を思い起こしている情景を詠んでいる。

宮島(7)

『菩薩蠻 七』現代語訳と訳註
(本文)

玉樓明月長相憶,柳絲裊娜春無力。
門外草萋萋,送君聞馬嘶。
畫羅金翡翠,香燭銷成淚。
花落子規啼,綠窗殘夢迷。


(下し文)
玉樓明月長へに相ひ憶ふ、柳絲裊娜【じょうや】春力無し。
門外草萋萋たり、君を送れば馬の嘶くを聞けり。
畫【いろうつくしき】羅【うすぎぬ】金の翡翠、香【かぐはしき】燭消【とけ】て涙を成す。
花落ちて子規啼けば、綠窗【ろくそう】に殘夢迷ふ。


(現代語訳)
春の装いにかがやく高楼にのぼり、あかるい月かげがさしこむ、もうずいぶんな歳月になる、私のもとにかえってこないあの人を恋しく思う。柳のいとの様な腰つき、もっと魅力的にしているが、一人過ごす春の日、片思いのままは気力も失せて來る。
門外にでて春の行楽に幔幕を春草がまた青々としげる中に有る。あの人を見送ったときには、乗ってゆく馬のいななくのを聞いたものだった。(いまも馬が嘶いてもあの人は来てくれない。)
うすものの衾に金と翡翠で描かれているのを見るばかり、今宵も更けゆくままに、蝋燭も溶けて流れ、涙もとめどがない。
若い花はちりさり、ほととぎすは逢いたい一心で啼いて血を吐くのだ、部屋のみどり絹の上窓から思いを送るがどこかあの人のもとへ夢はまようのだろう。

 (訳注)
玉樓明月長相憶,柳絲裊娜春無力。
春の装いにかがやく高楼にのぼり、あかるい月かげがさしこむ、もうずいぶんな歳月になる、私のもとにかえってこないあの人を恋しく思う。柳のいとの様な腰つき、もっと魅力的にしているが、一人過ごす春の日、片思いのままは気力も失せて來る。
・玉樓 宝玉にかざられた立派な建物。春の装いにかがやく高楼は女妓のいる建物を指す。
・明月 明るい月。名月。仲秋の明月。美しい女。
・長  とこしえに。いつまでも。
・相憶 昔のことを思い起こす。憶は、あれこれと思いをはせること。
・柳絲 垂れ下がった柳の枝のこと。絲柳。女性の体の線のことを謂う。
・裊娜 しなやかなさま。なよなよとしているさま。は、嫋(たおやか、しなやか)に通ずる。
・春無力 春の様子は、力 無げである。春行楽で新しい出会いと結ばれるときに、男と別れたまま振り向いても暮れなくなって、さびしくうらぶれて無気力になっているということ。同時に女妓に歳を重ねて春に対する期待感がなくなっていることを云う。


門外草萋萋,送君聞馬嘶。
門外にでて春の行楽に幔幕を春草がまた青々としげる中に有る。あの人を見送ったときには、乗ってゆく馬のいななくのを聞いたものだった。(いまも馬が嘶いてもあの人は来てくれない。)
・萋萋 草が茂っているさま。
送君 恋人を送る。君とは男性を指す。
・聞馬嘶 馬のいななくのが 聞こえてきた。男と最後の別れの情景。


畫羅金翡翠,香燭銷成淚。
うすものの衾に金と翡翠で描かれているのを見るばかり、今宵も更けゆくままに、蝋燭も溶けて流れ、涙もとめどがない。
・畫羅 美しいうすぎぬのこと。畫は、動詞として、(絵を)えがく。形容詞として(建物などに色が塗られていたり、模様が画かれていたりして)美しい、(「畫船聽雨眠」の畫)になる。
・金翡翠 かわせみ。雌雄対になったカワセミのことで、翡は雄で翠は雌を謂う。
・香燭 香しき蝋燭。香はこの蝋燭がいい香りを放つかどうかということよりも、女性を暗示していることの方が大きい。
・消成涙 。蝋が溶けて涙を流したみたいになっていること。消を銷とする本が多い。銷の方が通りやすい。


花落子規啼,綠窗殘夢迷。
若い花はちりさり、ほととぎすは逢いたい一心で啼いて血を吐くのだ、部屋のみどり絹の上窓から思いを送るがどこかあの人のもとへ夢はまようのだろう。
花落 花が 散る。若い時の花は散る。
・子規 ホトトギス杜鵑。血を吐きながら、悲しげに、鳴くことから鳴き声が読み方と類似しているため不如歸とも書き表す。

宣城見杜鵑花 Kanbuniinkai紀頌之の漢詩 李白特集-244-350


法鏡寺 杜甫
洩雲蒙清晨,初日翳複吐。
朱甍半光炯,戸牖粲可數。
拄策忘前期,出蘿已亭午。
冥冥子規叫,微徑不複取。

“同谷紀行(6)” 法鏡寺 杜甫 <325>#1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1541 杜甫詩 700- 478

杜甫の鳥獸蟲魚類について整理してみると次のようにある。
五言律詩 
『鸚鵡』、『子規』、『百舌』、『歸鴈二首』、『歸鴈』、『孤鴈』、『鸂鶒』、『花鴨』『麂』、    

錦瑟
錦瑟無端五十弦、一弦一柱思華年。
莊生曉夢迷蝴蝶、望帝春心托杜鵑。
滄海月明珠有涙、藍田日暖玉生煙。
此情可待成追憶、只是當時已惘然。

錦瑟 李商隠 1 Ⅰ晩唐李商隠詩<1>漢文委員会kanbuniinkai紀頌之漢詩ブログ<64>


1 温庭筠 おんていいん
(812頃―870以後)本名は岐、字は飛卿、幷州(山西省大原)の人。初唐の宰相温彦博の子孫にあたるといわれる。年少のころから詩をよくしたが、素行がわるく頽廃遊蕩生活に耽り、歌樓妓館のところに出入して、艶麗な歌曲ばかりつくっていた。進士の試験にも落第をつづけ、官途につくこともできなかった。徐商が裏陽(湖北)の地方長官をしていたとき、採用されて巡官となり、ついで徐商が中央の高官(成通のはじめ尚書省に入る)になったので、さらに任用されようとしたが成らなかった。859年頃に詩名によって特に召されて登用され、国子(大学)助教となった。たが、叙任前に微行中の宣宗に無礼があって罷免され、晩年は流落して終わった。そのため、生歿が未詳である。

集に撞蘭集三巻、金墨集十巻、漢南其稿十巻があったという。かれは晩唐の詩人として李商隠と相並び、「温李」として名を知られている。音楽に精しく、鼓琴吹笛などを善くし、当時流行しつつあった詞の作家としても韋荘と相並んで「温韋」の称があった。その詞の大部分は超崇祚の編した花間集に収載されている。洗練された綺麗な辞句をもちいた、桃李の花を見るような艶美な作風は花間集一派の詞人を代表するもので、「深美閎約」と批評されているその印象的なうつくしさにおいてほ花間集中、及ぶものがないといってよく、韋荘の綺麗さとよい対照をなしている。王国維が花間集に収載する六十六首のほか他書に散見するものを合せて輯した金荃詞一巻があり、七十首を伝えている。


 (井泥四十韻 第四場面 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 144


井泥四十韻 第4場面
伊尹佐興王,不藉漢父資。
磻溪老釣叟,坐爲周之師。」
屠狗與販繒,突起定傾危。
長沙啟封土,豈是出程姬。」
帝問主人翁,有自賣珠兒。
武昌昔男子,老苦爲人妻。」
蜀王有遺魄,今在林中啼。
淮南雞舐藥,翻向雲中飛。』
○蜀王 蜀の開国伝説によると、周の末に蜀王の杜宇が帝位に即き、望帝と称した。望帝は部下のものに治水を命じておきながら、その妻と姦通し、その後その罪を恥じて隠遁した。旧暦二月、望帝が世を去ったとき、杜鵑(ホトトギス)が、哀鳴した。これを蜀王魂という。また、春心托杜鵑 相手と結ばれたいとを思う心は、血を吐きながら悲しげに鳴く杜鵑(ホトトギス)に托す。杜鵑:〔とけん〕ほととぎす。血を吐きながら悲しげに鳴くという。
燕臺詩四首 其二 夏#1 李商隠130 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 130-1
李商隠1錦瑟
韓愈 杏花

居鄰北郭古寺空,杏花兩株能白紅。
曲江滿園不可到,看此寧避雨與風 ?
二年流竄出嶺外,所見草木多異同。』

杏花 #1 Ⅱ韓退之(韓愈) 紀頌之の漢詩ブログ989 韓愈特集-37-#1

冬寒不嚴地恆泄,陽氣發亂無全功。
浮花浪蘂鎮長有,纔開還落瘴霧中。
山榴躑躅少意思,照耀黃紫徒為叢。』


杏花 #2 Ⅱ韓退之(韓愈) 紀頌之の漢詩ブログ992中唐305 韓愈特集-37-#2
鷓鴣鈎輈猿叫歇,杳杳深谷攢青楓。
豈如此樹一來翫,若在京國情何窮。
今旦胡為忽惆悵,萬片飄泊隨西東。
明年更發應更好,道人莫忘鄰家翁。』
杏花 #3 Ⅱ韓退之(韓愈) 紀頌之の漢詩ブログ995中唐306 韓愈特集-37-#3
○山榴
 「さつき(皐月)」の古名。山奥の岩肌などに自生する。盆栽などで親しまれている。サツキツツジ(皐月躑躅)などとも呼ばれており、他のツツジに比べ一ヶ月程度遅い、旧暦の五月(皐月)の頃に一斉に咲き揃うところからその名が付いたと言われる。○躑躅 ツツジ。おおむね常緑若しくは落葉性の低木から高木で、葉は常緑または落葉性で互生、果実は蒴花である。4月から5月の春先にかけて漏斗型の特徴的な形の花(先端が五裂している)を数個、枝先につける。杜鵑花(とけんか)、杜鵑はほととぎすの別名。

・綠窗
 緑のうすぎぬの窓。女性の部屋の窓のこと。
・殘夢 見果てぬ夢。見残した夢。男と過ごした日々の思いでを指している。
・迷 悩乱している。


7<参考>漢詩大系24 中田勇次郎 下し文
 玉樓明月長相憶,月あかき玉のうてなに恋ひわたりつつ
柳絲娜春無力。あをやぎの絲よりかけて春ちからなし
門外草萋萋,かどのとの草おひしげり
送君聞馬嘶。君がゆく馬のいななき聞きにしはいづこ
畫羅金翡翠,うすもののうへに畫けるほ金の翡翠
香燭銷成淚。ともしびのはかなくとけて涙となり
花落子規啼,花ちりてほととぎすなくしののめの
綠窗殘夢迷。まどべにまよふ夢のなごり


 

『菩薩蠻 六』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-6-1-#6 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1640

126日漢文委員会 紀頌之の5つの漢文ブログ

為焦仲卿妻作-其九(22) 漢詩<165>古詩源 巻三 女性詩605 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1637

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”成都紀行(4)” 水會渡 杜甫詩1000 <343>#1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1639 杜甫1500- 509

fc2琴操十首 (7)履霜操 尹吉甫子伯奇無罪,為後母譖而見逐,自傷作 韓退之(韓愈)詩<73-(7)>Ⅱ中唐詩437 (12/06)

『菩薩蠻 六』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-6-6 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1640

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『菩薩蠻 六』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-6-1-#6    花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1640


10.温庭筠 菩薩蠻
寶函鈿雀金鸂鵣,沈香閣上吳山碧。
あの人をまちわびている女妓が、目をさまし、うつくしい匣枕、鈿雀のかんざしと、金のおしどりにかざられたかんざしがそばにおちている。起き出すのも物憂い女妓は、朝のお化粧をして沈香のただよう樓閣のうえにのぼって、呉山のみどりの彼方をながめやる。
楊柳又如絲,驛橋春雨時。
健康と無事を祈って折った青柳は又芽をふいて、糸のようにほそい枝を風になびかせている。驛亭にしっとりと春雨がふって、あの日ここであの人と別れを告げた。あれからどれほど月日がたったのか。
畫樓音信斷,芳草江南岸。
美しい高楼あの人を待ち侘びているけれど音信はとぎれたままなのだ。かんばしい春の草が江南の岸にはまたさきだした。
鸞鏡與花枝,此情誰得知。

このさびしいこころは、鸞鳥を背に彫んだ鏡と花が咲き誇る枝だけがいつもみている。この心情はだれが察っしてくれるのだろうか。

寶函【ほうかん】鈿雀【てんじゃく】金の鸂鵣【けいちょく】,沈香【ちんこう】の閣上 吳山の碧【みどり】。
楊柳 又 絲の如し,驛橋 春雨【はるさめ】の時なり。
畫樓から音信 斷つ,芳草 江南の岸のあり。
鸞鏡と花枝とあり,此の情は誰か知るを得る。

宮島(5)

『菩薩蠻 六』 現代語訳と訳註
(本文)
菩薩蠻
寶函钿雀金鸂鵣,沈香閣上吳山碧。
楊柳又如絲,驛橋春雨時。
畫樓音信斷,芳草江南岸。
鸞鏡與花枝,此情誰得知。


(下し文)
寶函【ほうかん】鈿雀【てんじゃく】金の鸂鵣【けいちょく】,沈香【ちんこう】の閣上 吳山の碧【みどり】。
楊柳 又 絲の如し,驛橋 春雨【はるさめ】の時なり。
畫樓から音信 斷つ,芳草 江南の岸のあり。
鸞鏡と花枝とあり,此の情は誰か知るを得る。


 (現代語訳)
あの人をまちわびている女妓が、目をさまし、うつくしい匣枕、鈿雀のかんざしと、金のおしどりにかざられたかんざしがそばにおちている。起き出すのも物憂い女妓は、朝のお化粧をして沈香のただよう樓閣のうえにのぼって、呉山のみどりの彼方をながめやる。
健康と無事を祈って折った青柳は又芽をふいて、糸のようにほそい枝を風になびかせている。驛亭にしっとりと春雨がふって、あの日ここであの人と別れを告げた。あれからどれほど月日がたったのか。
美しい高楼あの人を待ち侘びているけれど音信はとぎれたままなのだ。かんばしい春の草が江南の岸にはまたさきだした。
このさびしいこころは、鸞鳥を背に彫んだ鏡と花が咲き誇る枝だけがいつもみている。この心情はだれが察っしてくれるのだろうか。


(訳注) 菩薩蠻
寶函鈿雀金鸂鵣,沈香閣上吳山碧。

あの人をまちわびている女妓が、目をさまし、うつくしい匣枕、鈿雀のかんざしと、金のおしどりにかざられたかんざしがそばにおちている。起き出すのも物憂い女妓は、朝のお化粧をして沈香のただよう樓閣のうえにのぼって、呉山のみどりの彼方をながめやる。山々はみどりいろにかすみ、夫のいっているかなたはとおくて見ることもできない。
・寶函鈿雀金鸂鵣 宝函はうつくしい匣の意であるが、枕函(まくら)とか、化粧箱をさす。鈿雀は花鈿(かんざし)雀釵のたぐいであろう。金鸂鵣、これも金のおしどりのかんざしである。枕のほとりに叙のおちているけしき。夫が居たら考えられない景色というところであろう。
・沈香閣上吳山碧 全唐詩により閣に改める。ここは美しい楼閣としておそらく陳後主の故事を借りているのであろう。・沈香:〔じんこう〕熱帯や広東省に産する香木の名で、水に沈むからこう呼ばれる。香の名。呉山は浙江省杭県にある山名。古来名勝の地として知られる。山上に伍子胥廟があるので青山とも呼ばれる。ここは呉の山々という意かもしれない。
李白『楊叛兒』
君歌楊叛兒、妾勸新豐酒。
何許最關人、烏啼白門柳。
烏啼隱楊花、君醉留妾家。
博山爐中沈香火、雙煙一氣凌紫霞。

漢詩ブログについて、と李白36 楊叛兒と蘇東坡-蘇軾 ⑪江城子 密州出猟

楊柳又如絲,驛橋春雨時。
健康と無事を祈って折った青柳は又芽をふいて、糸のようにほそい枝を風になびかせている。驛亭にしっとりと春雨がふって、あの日ここであの人と別れを告げた。あれからどれほど月日がたったのか。
・楊柳 楊柳はしなやかな女性を示す。大業元年(605年)煬帝は西苑から穀洛二水を引いて黄河へ。板渚から熒沢を経て汴水へ。また汴水を泗に入れ准河に到る運河。及び刊溝を開き山陽から揚子江に入る、大運河工事を起し、その堤に街道を作り、楊柳を一千三百里にわたって植えた。その柳を指す(「隋沓」本紀及び食貨志)。旅立ち別れる男に楊柳を折って健康と無事を祈るのである。


畫樓音信斷,芳草江南岸。
美しい高楼あの人を待ち侘びているけれど音信はとぎれたままなのだ。かんばしい春の草が江南の岸にはまたさきだした。


鸞鏡與花枝,此情誰得知。
このさびしいこころは、鸞鳥を背に彫んだ鏡と花が咲き誇る枝だけがいつもみている。この心情はだれが察っしてくれるのだろうか。
・鸞鏡 鸞鳥を背に彫んだ鏡。ケイ賓(カシミ-ル地方にあった国の名)の王が鷲を飼っていたが三年たっても鳴かなかった。夫人が「鸞はその姿を見たらなく」というので鏡をかけてこれをうつさせたら夜中に鳴き出して死絶したという。よって後世鏡のことを鸞鏡というという。
李商隠『無題』
含情春晼晩、暫見夜蘭干。
樓響將登怯、簾烘欲過難。
多羞釵上燕、眞愧鏡中鸞。
歸去横塘暁、華星送寶鞍。
・鏡中鸞 金属製の鏡の背面に彫られた鸞の模様が「双鳳文鏡」であり、離ればなれのつがいの鸞がお互いを求め合う姿を彫刻しているものが多い。「鸞鏡」は、愛し合う(時にはなれねばならない)男女の思いを映し出す鏡をしめす。鸞は理想郷に棲む想像上の鳥。羽の色は赤色に五色を交え声は五音に合うという。白楽天「太行路」に鏡中鸞を引き合いにし男女について詠っている。

無題 (含情春晼晩) 李商隠 16




1 温庭筠 おんていいん
(812頃―870以後)本名は岐、字は飛卿、幷州(山西省大原)の人。初唐の宰相温彦博の子孫にあたるといわれる。年少のころから詩をよくしたが、素行がわるく頽廃遊蕩生活に耽り、歌樓妓館のところに出入して、艶麗な歌曲ばかりつくっていた。進士の試験にも落第をつづけ、官途につくこともできなかった。徐商が裏陽(湖北)の地方長官をしていたとき、採用されて巡官となり、ついで徐商が中央の高官(成通のはじめ尚書省に入る)になったので、さらに任用されようとしたが成らなかった。859年頃に詩名によって特に召されて登用され、国子(大学)助教となった。たが、叙任前に微行中の宣宗に無礼があって罷免され、晩年は流落して終わった。そのため、生歿が未詳である。

集に撞蘭集三巻、金墨集十巻、漢南其稿十巻があったという。かれは晩唐の詩人として李商隠と相並び、「温李」として名を知られている。音楽に精しく、鼓琴吹笛などを善くし、当時流行しつつあった詞の作家としても韋荘と相並んで「温韋」の称があった。その詞の大部分は超崇祚の編した花間集に収載されている。洗練された綺麗な辞句をもちいた、桃李の花を見るような艶美な作風は花間集一派の詞人を代表するもので、「深美閎約」と批評されているその印象的なうつくしさにおいてほ花間集中、及ぶものがないといってよく、韋荘の綺麗さとよい対照をなしている。王国維が花間集に収載する六十六首のほか他書に散見するものを合せて輯した金荃詞一巻があり、七十首を伝えている。



 
1 温庭筠 おんていいん
(812頃―870以後)本名は岐、字は飛卿、幷州(山西省大原)の人。初唐の宰相温彦博の子孫にあたるといわれる。年少のころから詩をよくしたが、素行がわるく頽廃遊蕩生活に耽り、歌樓妓館のところに出入して、艶麗な歌曲ばかりつくっていた。進士の試験にも落第をつづけ、官途につくこともできなかった。徐商が裏陽(湖北)の地方長官をしていたとき、採用されて巡官となり、ついで徐商が中央の高官(成通のはじめ尚書省に入る)になったので、さらに任用されようとしたが成らなかった。859年頃に詩名によって特に召されて登用され、国子(大学)助教となった。たが、叙任前に微行中の宣宗に無礼があって罷免され、晩年は流落して終わった。そのため、生歿が未詳である。

集に撞蘭集三巻、金墨集十巻、漢南其稿十巻があったという。かれは晩唐の詩人として李商隠と相並び、「温李」として名を知られている。音楽に精しく、鼓琴吹笛などを善くし、当時流行しつつあった詞の作家としても韋荘と相並んで「温韋」の称があった。その詞の大部分は超崇祚の編した花間集に収載されている。洗練された綺麗な辞句をもちいた、桃李の花を見るような艶美な作風は花間集一派の詞人を代表するもので、「深美閎約」と批評されているその印象的なうつくしさにおいてほ花間集中、及ぶものがないといってよく、韋荘の綺麗さとよい対照をなしている。王国維が花間集に収載する六十六首のほか他書に散見するものを合せて輯した金荃詞一巻があり、七十首を伝えている。

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5.温庭筠 菩薩蠻
杏花含露團香雪,綠楊陌上多離別。
中庭の杏の花は朝露を含んでまっしろな雪をまるくかためたようにうつくしい。すももの花がさくころには、青柳の大道のほとりに別離をする人が多いものだ。
燈在月胧明,覺來聞曉莺。
閨で一人待つ部屋の燭燈は灯し続け、月はおぼろにかすんでいる。うとうとして目をさますと、暁にうぐいすの啼く声を聴くのである。
玉鈎褰翠幕,妝淺舊眉薄。
簾幕をひっかける玉製のかぎでみどりのとばりの幕をかかげた部屋があり、お化粧もくずれて浅くなっており、昨日の画き眉も薄く消えかかり、何もかも薄れて行っている。
春夢正關情,鏡中蟬鬓輕。

春の夢はほんとうに別れの心情にかかわるものばかり、鏡の中にうつる蝉の羽のような鬢も、愁いのために薄くほつれてみえる。
杏花は露を含み香雪を團くす,綠楊 陌上には離別を多くする。
燈在りて月 明を朧【おぼろげ】にす,覺來りて曉の鶯を聞く。
玉鈎 翠幕を褰【かかげ】る,妝淺 舊眉の薄。
春夢 正に情を關わる,鏡中 蟬鬓【ぜんびょう】 輕くする。

宮島(3)

『菩薩蠻 五』現代語訳と訳註
(本文)

杏花含露團香雪,綠楊陌上多離別。
燈在月朧明,覺來聞曉鶯。
玉鈎褰翠幕,妝淺舊眉薄。
春夢正關情,鏡中蟬鬓輕。


(下し文)
杏花は露を含み香雪を團くす,綠楊 陌上には離別を多くする。
燈在りて月 明を朧【おぼろげ】にす,覺來りて曉の鶯を聞く。
玉鈎 翠幕を褰【かかげ】る,妝淺 舊眉の薄。
春夢 正に情を關わる,鏡中 蟬鬓【ぜんびょう】 輕くする。


(現代語訳)
中庭の杏の花は朝露を含んでまっしろな雪をまるくかためたようにうつくしい。すももの花がさくころには、青柳の大道のほとりに別離をする人が多いものだ。
閨で一人待つ部屋の燭燈は灯し続け、月はおぼろにかすんでいる。うとうとして目をさますと、暁にうぐいすの啼く声を聴くのである。
簾幕をひっかける玉製のかぎでみどりのとばりの幕をかかげた部屋があり、お化粧もくずれて浅くなっており、昨日の画き眉も薄く消えかかり、何もかも薄れて行っている。
春の夢はほんとうに別れの心情にかかわるものばかり、鏡の中にうつる蝉の羽のような鬢も、愁いのために薄くほつれてみえる。


(訳注)
杏花含露團香雪,綠楊陌上多離別。

中庭の杏の花は朝露を含んでまっしろな雪をまるくかためたようにうつくしい。すももの花がさくころには、青柳の大道のほとりに別離をする人が多いものだ。(わたしもそうだった)
・団香雪 杏の花が白い雪のかたまりのようになってさいているさま。温庭欝の春江花月夜詞に「千里洒空照水魂、万枝破鼻団香雪」とある。
栢上 道のほとり。栢:大通り。上:ほとり。

杏の花002

燈在月朧明,覺來聞曉鶯。
閨で一人待つ部屋の燭燈は灯し続け、月はおぼろにかすんでいる。うとうとして目をさますと、暁にうぐいすの啼く声を聴くのである。


玉鈎褰翠幕,妝淺舊眉薄。
簾幕をひっかける玉製のかぎでみどりのとばりの幕をかかげた部屋があり、お化粧もくずれて浅くなっており、昨日の画き眉も薄く消えかかり、何もかも薄れて行っている。
・玉鈎褰翠幕 玉鈎は簾幕をひっかける玉製のかぎ。つりて。褰はかかげる。
粧浅 お化粧が浅く、さきにまゆずみでかいた眉もうすれている。憂愁の容貌をいう。


春夢正關情,鏡中蟬鬓輕。
春の夢はほんとうに別れの心情にかかわるものばかり、鏡の中にうつる蝉の羽のような鬢も、愁いのために薄くほつれてみえる。
・蟬鬓 蝉の羽のようなうすくてうつくしい鬢。魏文帝の宮人莫瓊樹がはじめて作りだしたといわれる。ここでは憂愁で憔悴した女のすがたとして、鬢髪も軽くうすくなったという意を含んでいる。






1 温庭筠 おんていいん
(812頃―870以後)本名は岐、字は飛卿、幷州(山西省大原)の人。初唐の宰相温彦博の子孫にあたるといわれる。年少のころから詩をよくしたが、素行がわるく頽廃遊蕩生活に耽り、歌樓妓館のところに出入して、艶麗な歌曲ばかりつくっていた。進士の試験にも落第をつづけ、官途につくこともできなかった。徐商が裏陽(湖北)の地方長官をしていたとき、採用されて巡官となり、ついで徐商が中央の高官(成通のはじめ尚書省に入る)になったので、さらに任用されようとしたが成らなかった。859年頃に詩名によって特に召されて登用され、国子(大学)助教となった。たが、叙任前に微行中の宣宗に無礼があって罷免され、晩年は流落して終わった。そのため、生歿が未詳である。

集に撞蘭集三巻、金墨集十巻、漢南其稿十巻があったという。かれは晩唐の詩人として李商隠と相並び、「温李」として名を知られている。音楽に精しく、鼓琴吹笛などを善くし、当時流行しつつあった詞の作家としても韋荘と相並んで「温韋」の称があった。その詞の大部分は超崇祚の編した花間集に収載されている。洗練された綺麗な辞句をもちいた、桃李の花を見るような艶美な作風は花間集一派の詞人を代表するもので、「深美閎約」と批評されているその印象的なうつくしさにおいてほ花間集中、及ぶものがないといってよく、韋荘の綺麗さとよい対照をなしている。王国維が花間集に収載する六十六首のほか他書に散見するものを合せて輯した金荃詞一巻があり、七十首を伝えている。

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4.温庭筠 菩薩蠻
翠翹金縷雙鸂鵣,水紋細起春池碧。
みどりの羽に金糸をまとった美しいつがいのおしどりが、池のうえに睦まじく戯れている。水紋がこまかくたちおこる春の池は深くみどり水を湛えている。
池上海棠梨,雨晴紅滿枝。
池のほとりには海棠の花がさき、雨あがりに紅の花が枝いっぱいにさきみちて、春のこころをただよわせている。
繡衫遮笑靥,煙草粘飛蝶。
刺繍をした衫の袖でわかれたままの愁いに沈んでえくぼをおおいかくす。ぼんやりとした春かすみのなか春草にふれたり離れたり蝶がたわむれ飛ぶのである。
青瑣對芳菲,玉關音信稀。

青漆で塗った東の門のほとりにはかぐわしい春の草が花をさかせるころとなったが、とおい西域の国境のかなた玉門関へいった人からの便りもまれにしかやってこない。

翠翹【すいぎょう】金縷【まと】う雙【つがい】の鸂鵣【けいせき】,水紋 細に起き春池の碧。
池上 海棠【かいどう】梨【り】,雨晴れて紅枝に滿つ。
繡衫にて笑靥【えくぼ】を遮い,煙草粘りて飛ぶ蝶。
青瑣【せいき】芳菲に對す,玉關 音信稀れなり。

宮島(1)


『菩薩蠻 四』 現代語訳と訳註
(本文)

翠翹金縷雙鸂鵣,水紋細起春池碧。
池上海棠梨,雨晴紅滿枝。
繡衫遮笑靥,煙草粘飛蝶。
青瑣對芳菲,玉關音信稀。


(下し文)
翠翹【すいぎょう】金縷【まと】う雙【つがい】の鸂鵣【けいせき】,水紋 細に起き春池の碧。
池上 海棠【かいどう】梨【り】,雨晴れて紅枝に滿つ。
繡衫にて笑靥【えくぼ】を遮い,煙草粘りて飛ぶ蝶。
青瑣【せいき】芳菲に對す,玉關 音信稀れなり。


(現代語訳)
みどりの羽に金糸をまとった美しいつがいのおしどりが、池のうえに睦まじく戯れている。水紋がこまかくたちおこる春の池は深くみどり水を湛えている。
池のほとりには海棠の花がさき、雨あがりに紅の花が枝いっぱいにさきみちて、春のこころをただよわせている。
刺繍をした衫の袖でわかれたままの愁いに沈んでえくぼをおおいかくす。ぼんやりとした春かすみのなか春草にふれたり離れたり蝶がたわむれ飛ぶのである。
青漆で塗った東の門のほとりにはかぐわしい春の草が花をさかせるころとなったが、とおい西域の国境のかなた玉門関へいった人からの便りもまれにしかやってこない。


(訳注)
翠翹金縷雙鸂鵣,水紋細起春池碧。

みどりの羽に金糸をまとった美しいつがいのおしどりが、池のうえに睦まじく戯れている。水紋がこまかくたちおこる春の池は深くみどり水を湛えている。
・翠翹金縷雙鸂鵣 翠翹はみどり色の羽。金縷は金糸。鸂鵣はおしどりの一種。翠翹金縷はおしどりの長い羽の美麗なことをいう。雙はおしどりがその習性として常に雌雄並んでいるのをいい、閨中の妓女が独居する寂蓼に対していう。


池上海棠梨,雨晴紅滿枝。
池のほとりには海棠の花がさき、雨あがりに紅の花が枝いっぱいにさきみちて、春のこころをただよわせている。
・海棠梨 海棠のこと。海は外国から渡来した植物の意。1 バラ科の落葉小高木。枝は紫色で垂れ下がり、葉は楕円形。4月ごろ、紅色の花が下向きに咲き、実は丸く、黄褐色に熟す。中国の原産で、庭木などにする。垂枝(すいし)海棠。花(はな)海棠。
薛濤『海棠渓』
春教風景駐仙霞、水面魚身総帯花。
人世不思霊卉異、競将紅纈染軽沙。

  薛濤(せつとう)の詩
 ・紅 花の意。詞では花のことを多く紅という。


繡衫遮笑靥,煙草粘飛蝶。
刺繍をした衫の袖でわかれたままの愁いに沈んでえくぼをおおいかくす。ぼんやりとした春かすみのなか春草にふれたり離れたり蝶がたわむれ飛ぶのである。
繍衫 刺繍をほどこした衫。衫はひとえの短い服。
遮笑靥 えくぼをおおいかくす。憂愁をあらわすようす。
煙草粘飛蝶 煙草は春霞の中につつまれた草。粘は粘着ねばりつく。草に蝶がくっついたり飛んだりしているさまをいう。男女の愛し合うさまを想像させる句である。


青瑣對芳菲,玉關音信稀。
青漆で塗った東の門のほとりにはかぐわしい春の草が花をさかせるころとなったが、とおい西域の国境のかなた玉門関へいった人からの便りもまれにしかやってこない。
繍衫 刺繍をほどこした衫。衫はひとえの短い服。
遮笑靥 えくはをおおいかくす。憂愁をあらわすようす。
青瑣 門の扉に瑣形の模様を彫刻して青漆で塗ったもの。ひいては宮門をいうがここは貴族の家の門の意。遊郭とか娼屋の門は西門を云う。
芳非 よいにおいのする草花。・玉関 玉門閑、甘粛省敦煙県にある。遠征している夫の行っている国境のかなたの意に用いる。 
李白 子夜呉歌 秋
長安一片月、万戸涛衣声。
秋風吹不尽、総是玉関情。

李白22 子夜呉歌 春と夏

李白24 子夜呉歌其三 秋 と25 冬



1 温庭筠 おんていいん
(812頃―870以後)本名は岐、字は飛卿、幷州(山西省大原)の人。初唐の宰相温彦博の子孫にあたるといわれる。年少のころから詩をよくしたが、素行がわるく頽廃遊蕩生活に耽り、歌樓妓館のところに出入して、艶麗な歌曲ばかりつくっていた。進士の試験にも落第をつづけ、官途につくこともできなかった。徐商が裏陽(湖北)の地方長官をしていたとき、採用されて巡官となり、ついで徐商が中央の高官(成通のはじめ尚書省に入る)になったので、さらに任用されようとしたが成らなかった。859年頃に詩名によって特に召されて登用され、国子(大学)助教となった。たが、叙任前に微行中の宣宗に無礼があって罷免され、晩年は流落して終わった。そのため、生歿が未詳である。

集に撞蘭集三巻、金墨集十巻、漢南其稿十巻があったという。かれは晩唐の詩人として李商隠と相並び、「温李」として名を知られている。音楽に精しく、鼓琴吹笛などを善くし、当時流行しつつあった詞の作家としても韋荘と相並んで「温韋」の称があった。その詞の大部分は超崇祚の編した花間集に収載されている。洗練された綺麗な辞句をもちいた、桃李の花を見るような艶美な作風は花間集一派の詞人を代表するもので、「深美閎約」と批評されているその印象的なうつくしさにおいてほ花間集中、及ぶものがないといってよく、韋荘の綺麗さとよい対照をなしている。王国維が花間集に収載する六十六首のほか他書に散見するものを合せて輯した金荃詞一巻があり、七十首を伝えている。

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3.温庭筠 菩薩蠻
蕊黃無限當山額,宿妝隱笑紗窗隔。
ひたいにお化粧した蕊黄はこのうえもなくうつくしいものだ、うすぎぬの窓をへだてて、昨夜から待ち侘びて崩れかけた化粧の宮女が、諦めの隠し笑いをしている。
相見牡丹時,暫來還別離。
あのお方と互い見合ったのは、牡丹の花のさく春であったが、しばらくのあいだやってきてくれたが、帰ったら別れてしまったままなのだ。
翠钗金作股,钗上蝶雙舞。
宮女がさしているのは、金の柄のついた翡翠のかんざしである。皮肉にもカンザシのうえには一つがいの蝶がむつまじく舞っている。
心事竟誰知?月明花滿枝。
宮女のさびしいこころのうちにあるのは、けっきょくだれにもわかりはしないのだ。月明りのなかに枝いっぱいに咲いている花だけがそれを知っているのだ。


蕊黃【ずいおう】すれど當に山額に限り無く,宿妝【しゅくしょう】紗窗の隔を隱笑す。
相見 牡丹の時,暫來 還って別離す。
翠钗【すいさ】金作の股,钗上 雙にす蝶の舞。
心事 竟に誰か知る?月明 花 枝に滿つ。

五重塔(1)

『菩薩蠻 三』現代語訳と訳註
(本文)
蕊黃無限當山額,宿妝隱笑紗窗隔。
相見牡丹時,暫來還別離。
翠钗金作股,钗上蝶雙舞。
心事竟誰知?月明花滿枝。


(下し文)
蕊黃【ずいおう】すれど當に山額に限り無く,宿妝【しゅくしょう】紗窗の隔を隱笑す。
相見 牡丹の時,暫來 還って別離す。
翠钗【すいさ】金作の股,钗上 雙にす蝶の舞。
心事 竟に誰か知る?月明 花 枝に滿つ。


(現代語訳)
ひたいにお化粧した蕊黄はこのうえもなくうつくしいものだ、うすぎぬの窓をへだてて、昨夜から待ち侘びて崩れかけた化粧の宮女が、諦めの隠し笑いをしている。
あのお方と互い見合ったのは、牡丹の花のさく春であったが、しばらくのあいだやってきてくれたが、帰ったら別れてしまったままなのだ。
宮女がさしているのは、金の柄のついた翡翠のかんざしである。皮肉にもカンザシのうえには一つがいの蝶がむつまじく舞っている。
宮女のさびしいこころのうちにあるのは、けっきょくだれにもわかりはしないのだ。月明りのなかに枝いっぱいに咲いている花だけがそれを知っているのだ。

蕊黄

(訳注)
蕊黃無限當山額,宿妝隱笑紗窗隔。

ひたいにお化粧した蕊黄はこのうえもなくうつくしいものだ、うすぎぬの窓をへだてて、昨夜から待ち侘びて崩れかけた化粧の宮女が、諦めの隠し笑いをしている。
・蕊黃無限當山額 蕊黃は女の額にほどこす黄色の化粧法。額黄ともいい、古く漢代からあったといい、六朝時代をへて唐代までずっと行なわれていた。温庭筠漢皇迎春詞(溫庭筠 唐詩)
春草芊芊晴掃煙,宮城大錦紅殷鮮。
海日初融照仙掌,淮王小隊纓鈴響。
獵獵東風焰赤旗,畫神金甲蔥龍網。
钜公步輦迎句芒,複道掃塵燕彗長。
豹尾竿前趙飛燕,柳風吹盡眉間黄。
碧草含情杏花喜,上林鶯囀游絲起。
寶馬搖環萬騎歸,恩光暗入簾櫳里。
とあり、宋 王安石《與微之同賦梅花得香字》之一「漢宮嬌額半塗黃,粉色凌寒透薄裝。」とある。額に花葵などの化粧をするので蕊黄という。また、温庭筠の帰国遙詞に「粉心黄蕊花靨、眉黛山両点」とある。高昌の壁画などでその実例が見られる。
高昌の壁画
温庭筠『偶遊詩』
曲巷斜臨一水間,小門終日不開關。
紅珠斗帳櫻桃熟,金尾屏風孔雀閑。
雲髻幾迷芳草蝶,額黃無限夕陽山。
與君便是鴛鴦侶,休嚮人間覓往還。
とあるのはちようどこの句と同様の例で、無限というのは山に見たてた額の景色に無限の情がある意であろう。山額は額の形を山に見たてて言った言葉。わが国で見る富士額というごとし。当はちょうど額の正面のところに蕊黄が施されている意。

・宿粧 宵越しの化粧で多くはいつ来るのかと待ちわびて憂愁のためにくずれているものをいう


相見牡丹時,暫來還別離。
あのお方と互い見合ったのは、牡丹の花のさく春であったが、しばらくのあいだやってきてくれたが、帰ったら別れてしまったままなのだ。
牡丹 春三月の花。牡丹は後宮か、貴族の庭に咲かせてあるものである。ここから、女性は、宮女か、貴族の家妓と思われる。


翠钗金作股,钗上蝶雙舞
宮女がさしているのは、金の柄のついた翡翠のかんざしである。皮肉にもカンザシのうえには一つがいの蝶がむつまじく舞っている。
・翠钗金作股 翠釵は翠の羽で飾ったかんざし。翠はかわせみ(翡翠)、またはみどりの色の羽をいう。股はかんざしの股形になった柄。
・蝶雙舞 釵の上に雌雄の蝶が舞うような形をしてついていること。嬰蝶というのは女の独居の寂寥に対していう。一に蝶雙舞に作る。


心事竟誰知?月明花滿枝。
宮女のさびしいこころのうちにあるのは、けっきょくだれにもわかりはしないのだ。月明りのなかに枝いっぱいに咲いている花だけがそれを知っているのだ。
・心事 心中のこと。ここでは女が夫または情人と別離している寂しい心の中をいう。


3<参考>漢詩大系24 中田勇次郎 下し文
 蕊黃無限當山額,額にかざる蕊黄のめづらしさこよもなく
 宿妝隱笑紗窗隔。うすぎぬの窓をへだててひそかにほほゑみしひと
 相見牡丹時,あひみしほ牡丹の花さくときなりし
 暫來還別離。かりそめにきてまたぅきわかれ
 金作股,こがねの股の翠のかざし
 上蝶雙舞。かざしに舞へるつがひ蝶
 心事竟誰知?うきこころたれかしるべき
 月明花滿枝。月かげに枝もとををにさく花ならで



1 温庭筠 おんていいん
(812頃―870以後)本名は岐、字は飛卿、幷州(山西省大原)の人。初唐の宰相温彦博の子孫にあたるといわれる。年少のころから詩をよくしたが、素行がわるく頽廃遊蕩生活に耽り、歌樓妓館のところに出入して、艶麗な歌曲ばかりつくっていた。進士の試験にも落第をつづけ、官途につくこともできなかった。徐商が裏陽(湖北)の地方長官をしていたとき、採用されて巡官となり、ついで徐商が中央の高官(成通のはじめ尚書省に入る)になったので、さらに任用されようとしたが成らなかった。859年頃に詩名によって特に召されて登用され、国子(大学)助教となった。たが、叙任前に微行中の宣宗に無礼があって罷免され、晩年は流落して終わった。そのため、生歿が未詳である。

集に撞蘭集三巻、金墨集十巻、漢南其稿十巻があったという。かれは晩唐の詩人として李商隠と相並び、「温李」として名を知られている。音楽に精しく、鼓琴吹笛などを善くし、当時流行しつつあった詞の作家としても韋荘と相並んで「温韋」の称があった。その詞の大部分は超崇祚の編した花間集に収載されている。洗練された綺麗な辞句をもちいた、桃李の花を見るような艶美な作風は花間集一派の詞人を代表するもので、「深美閎約」と批評されているその印象的なうつくしさにおいてほ花間集中、及ぶものがないといってよく、韋荘の綺麗さとよい対照をなしている。王国維が花間集に収載する六十六首のほか他書に散見するものを合せて輯した金荃詞一巻があり、七十首を伝えている。

 


 


 

『菩薩蠻 二』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-2-1-#2 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1624

 
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『菩薩蠻 二』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-2-1-#2  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1624


温庭筠 菩薩蠻 二
夜來皓月才當午,重簾悄悄無人語。
 あの人が来るのをまちわびて、眠られぬままにすごしていると、あかるくさえわたった月が、ちょうど中空にかかっている。幾重にも垂れるすだれの内は、ひっそりとしずまりかえり人声もいっさいしない。
深處麝煙長,臥時留薄妝。
おくふかい後宮部屋のなかには、麝香の香煙がながくしずかにただよっている。臥所に入るときには、うす化粧の香りがあとにひろがりのこる。
當年還自惜,往事那堪憶。
かつては若いころはすぎ去ってゆく時を惜しむように愛し合う月日をすごしたものなのだ。今ひと年取ってしまうと以前のように愛してくれない、どうしてこんなせつない思いにたえることができようか。
花露月明殘,錦衾知曉寒。

花の甘露はおち、月はおちかかるように女の盛りを過ぎたというのか、今日も一人待つ、にしきの薄絹の掛布に、あかつきのそぞろ寒さをおぼえる。

夜來 皓月【こうげつ】才【はじめ】て午に當る,簾を重ねうは悄悄として人語るを無し。
處を深くするは麝煙長く,臥せし時 薄妝を留む。
年に當るは還りて自ら惜む,往事 那んぞ憶うを堪んや。
花露 月明殘り,錦衾 曉寒を知る。


五重塔(2)


『菩薩蠻』(夜來皓月才當午) 現代語訳と訳註
(本文)
菩薩蠻 二
夜來皓月才當午,重簾悄悄無人語。
深處麝煙長,臥時留薄妝。
當年還自惜,往事那堪憶。
花露月明殘,錦衾知曉寒。


(下し文)
夜來 皓月【こうげつ】才【はじめ】て午に當る,簾を重ねうは悄悄として人語るを無し。
處を深くする麝煙【じゃえん】長く,臥せし時 薄妝【はくしょう】を留む。
年に當るは還りて自ら惜みしを,往事 那んぞ憶うを堪んや。
花露 月の明り殘【あま】り,錦の衾【ふすま】 曉寒【ぎょうかん】を知る。


(現代語訳)
あの人が来るのをまちわびて、眠られぬままにすごしていると、あかるくさえわたった月が、ちょうど中空にかかっている。幾重にも垂れるすだれの内は、ひっそりとしずまりかえり人声もいっさいしない。
おくふかい後宮部屋のなかには、麝香の香煙がながくしずかにただよっている。臥所に入るときには、うす化粧の香りがあとにひろがりのこる。
かつては若いころはすぎ去ってゆく時を惜しむように愛し合う月日をすごしたものなのだ。今ひと年取ってしまうと以前のように愛してくれない、どうしてこんなせつない思いにたえることができようか。
花の甘露はおち、月はおちかかるように女の盛りを過ぎたというのか、今日も一人待つ、にしきの薄絹の掛布に、あかつきのそぞろ寒さをおぼえる。


(訳注) 菩薩蠻 二
夜來皓月才當午,重簾悄悄無人語。
あの人が来るのをまちわびて、眠られぬままにすごしていると、あかるくさえわたった月が、ちょうど中空にかかっている。幾重にも垂れるすだれの内は、ひっそりとしずまりかえり人声もいっさいしない。
・夜来胎月 夜中にでていたまっしろな月。来は語助詞。夜来は「夜来風雨声・花落知多少」のように昨夜からの時間的経過をもったことば。
・才 いまちょうど。
・皓月才當午 あかるくさえわたった月がちょうど天の中心に来たこと。
・重簾 幾重にも垂れるすだれの内。
・悄悄 ひっそりとさびしいさま。ひっそりとしずまりかえること。


深處麝煙長,臥時留薄妝。
おくふかい後宮部屋のなかには、麝香の香煙がながくしずかにただよっている。臥所に入るときには、うす化粧の香りがあとにひろがりのこる。
・麝煙 爵香のけぶり。麝の腹部の靡番線にある香嚢から取った香料で、芳香はきわめて強い。


當年還自惜,往事那堪憶。
かつては若いころはすぎ去ってゆく時を惜しむように愛し合う月日をすごしたものなのだ。今ひと年取ってしまうと以前のように愛してくれない、どうしてこんなせつない思いにたえることができようか。
・当年 若いころはすぎ去ってゆく時を惜しむように愛し合う月日をすごしたことをいう。
・那堪 このような思いにどうして堪えられようか。今夜も若い女の人のところにいっている、ということ。


花露月明殘,錦衾知曉寒。
花の甘露はおち、月はおちかかるように女の盛りを過ぎたというのか、今日も一人待つ、にしきの薄絹の掛布に、あかつきのそぞろ寒さをおぼえる。
錦衾 にしきのふすま。身体をおおう夜具、薄絹のかけ布。
・曉寒 一人寝のさむさ。薄いかけ布でも二人で水根をしておれば寒くはなかった。


2<参考>漢詩大系24 中田勇次郎 下し文
 夜來皓月才當午,夜をこめて月はいましも中空にあり
 重簾悄悄無人語。たれこめてひそひそと人聾もなし
 深處麝煙長,靡香のくゆるねやおくふかく
 臥時留薄妝。ふしどに入るときあととめしうすきよそはひ
 當年還自惜,そのかみはなはひとりして惜しみしを
 往事那堪憶。すぎにしことのいかでかはおもひあへなむ
 花露月明殘,花は露にそぼち月かたぶきしありあけの
 錦衾知曉寒。錦のふすまにおばゆるあかつきの寒さ


1 温庭筠 おんていいん
(812頃―870以後)本名は岐、字は飛卿、幷州(山西省大原)の人。初唐の宰相温彦博の子孫にあたるといわれる。年少のころから詩をよくしたが、素行がわるく頽廃遊蕩生活に耽り、歌樓妓館のところに出入して、艶麗な歌曲ばかりつくっていた。進士の試験にも落第をつづけ、官途につくこともできなかった。徐商が裏陽(湖北)の地方長官をしていたとき、採用されて巡官となり、ついで徐商が中央の高官(成通のはじめ尚書省に入る)になったので、さらに任用されようとしたが成らなかった。859年頃に詩名によって特に召されて登用され、国子(大学)助教となった。たが、叙任前に微行中の宣宗に無礼があって罷免され、晩年は流落して終わった。そのため、生歿が未詳である。

集に撞蘭集三巻、金墨集十巻、漢南其稿十巻があったという。かれは晩唐の詩人として李商隠と相並び、「温李」として名を知られている。音楽に精しく、鼓琴吹笛などを善くし、当時流行しつつあった詞の作家としても韋荘と相並んで「温韋」の称があった。その詞の大部分は超崇祚の編した花間集に収載されている。洗練された綺麗な辞句をもちいた、桃李の花を見るような艶美な作風は花間集一派の詞人を代表するもので、「深美閎約」と批評されているその印象的なうつくしさにおいてほ花間集中、及ぶものがないといってよく、韋荘の綺麗さとよい対照をなしている。王国維が花間集に収載する六十六首のほか他書に散見するものを合せて輯した金荃詞一巻があり、七十首を伝えている。

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