玉臺新詠 全十巻 訳注解説

漢文委員会kanbuniinkai紀頌之   唐五代詞詩・花間集・玉臺新詠 中国の韻文学には、古くは周代の詩があり、漢魏六朝には古詩と楽府かあり、唐代になって古詩に対して新しい近体の律詩、絶句がおこった。楽府がおとろえ新しく勃興したのが詞である。詞ははじめ、学詞ともよばれ、楽曲の歌詞をさしていうものであるが、それが流行するとともに、唐詩などと相ならんで、一つの韻文学として成立したのである。 5年以上のブログ連載。(魚玄機・薛濤・花間集)完掲載 現在《玉臺新詠》完全版連載中 予定(文選【詩篇】文選【賦篇 楚辞 詩經 ・・・・)

中国の韻文学には、古くは周代の詩があり、漢魏六朝には古詩と楽府かあり、唐代になって古詩に対して新しい近体の律詩、絶句がおこった。楽府がおとろえ新しく勃興したのが詞である。詞ははじめ、学詞ともよばれ、楽曲の歌詞をさしていうものであるが、それが流行するとともに、唐詩などと相ならんで、一つの韻文学として成立したのである。
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温庭筠の詞詩を約60首程度掲載の後、魚玄機50首程度連載し,薛濤約百首、韋莊五十首
森鴎外小説 『魚玄機』 彼女の詩を冷静に、客観的に分析 過去の女性蔑視の見方を排除して解釈 訳註解説
現在、『花間集』全詩500首、全首連載が終了した。いま、500首全首、見直し、改訂版Ver.2.1として、根本的に語訳、注釈をやり直して掲載しています。出来るだけ(改訂版Ver.2.1)と記している詩を読まれることを薦めます。
現在 玉臺新詠 訳注解説連載中
   玉臺新詠 概要 目録・目次 http://kanbunkenkyu.web.fc2.com/list1.html

2013年10月

菩薩蠻七首 其六 牛嶠【ぎゅうきょう】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-335-6-#22  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3222

牛嶠《菩薩蠻七首 其六》 香が焚かれたままの高閣は芙蓉の美女たちがあふれている。そこにはきれいな絵が画かれっている屏風のうちに美女がよこたわり、それが幾重にも重なっている。秋も深まり窓に寒くなると空に日が早く昇ってほしいと思うのです。そして、今もなお、心を一つにして固く結ばれたいのです。

  
唐五代詞・ 「花間集」 Gs-335-6-#22   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3222
 


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菩薩蠻七首 其六 牛嶠【ぎゅうきょう】  Ⅹ

 

菩薩蠻七首 其一

(辺境に出かけて帰らぬ男を思う女の情を詠う。)

舞裙香暖金泥鳳,畫梁語鷰驚殘夢。

舞いに着るのスカートは香しく金泥の鳳模様がきれい、塗りの梁の上の燕が鳴き交わすと名残りの夢は破られる思いになってしまう。

門外柳花飛,玉郎猶未歸。

門の外は春もさかり、柳の架は舞い飛ぶのに、あのひとは未だに帰って来ることはないのです。

愁勻紅粉淚,眉剪春山翠。

待つ身の侘しさで愁いは涙をさそい、くずれた化粧を直します。眉は春山の翠のように整えるのです。

何處是遼陽,錦屏春晝長。

あの人がいるという遼陽は何処なのでしょう、ここの錦屏風の閨の内には春の昼はただ長くなってゆくのです。

(菩薩蠻七首 其の一)

舞裙 香 暖かく 金泥の鳳,畫梁【がりょう】語る鷰 殘夢を驚く。

門外 柳花 飛,玉郎 猶お未だ歸らず。

愁いて紅粉の淚を勻え,眉は春山の翠を剪る。

何處か 是れ遼陽なる,錦屏 春晝 長し。

 

其二

(旅に出かけて帰らぬ男を思う女の情を詠う。)その二

柳花飛處鶯聲急,暗街春色香車立。

柳絮が飛びが飛び交うところには春を告げる鶯も行く春を惜しんで急いでいる。夕方の薄暗さが暗くなっていく春の景色もすっかり進んだ日に香をたきこめた御車が旅立っていく。

金鳳小簾開,臉波和恨來。

金の鳳凰の刺繍の小窓のカーテンを開いて見送る。まぶたに溢れる涙の後には少しづつ怨みの気持ちがやってくる。

今宵求夢想,難到青樓上。

今宵からは夢の中であの人のことを思い浮かべる。もうあの人を見送った東の楼閣に昇って過ごすことなどできないのだ、

贏得一場愁,鴛衾誰並頭。

ここの場所では愁いが追加されてくるばかり、鴛鴦の布団に誰が並んで頭を並べてくれるのでしょう。

(其の二)

柳花 飛ぶ處 鶯聲急なり,暗き街 春色 香車立つ。

金鳳 小簾開き,臉波 和みて恨み來る。

今宵 夢想を求め,青樓の上に到れ難し。

贏得【えいとく】 一場愁い,鴛衾【おうきん】 誰ぞ頭を並べん。

 

其三

(どこにいるかわからない人のことは忘れて新たな気持ちになろうと女の情を詠う。)その三

玉釵風動春幡急,交枝紅杏籠煙泣。

奇麗に輝く簪が蚊座に揺れていて、春の季節の旗が大きくなびく。杏の花がいっぱいの木の枝が交差していて、これからもっと草木が生繁し、匂いがひろがり、春の緑の煙霞に包まれた風景の中で涙するのです。

樓上望卿卿,寒新雨晴。

高樓の上に上がって「卿卿(キョウキョウ)」としたあの人のいる方を望んでみるのです。でも実際には、この窓辺にはもう秋も深まり、雨から晴れに変わり気持ちも新たになるのです。

薰爐蒙翠被,繡帳鴛鴦睡。

夕刻から香炉で薫じて閨に広がり、翡翠の扇がかぶさるようにあり、刺繍のとばりには、鴛鴦が眠っている。

何處有相知,羨他初畫眉。

女は青の人がどこに行っているのかはわからないのです。ほかの女の人には彼氏が来ているのがとてもうらやましいと思っているばかりではどうしようもないので、初めての形の眉を書いてみるのです。

 

(其の三)

玉釵 風動き春幡急なり,交枝 紅杏 籠煙り泣く。

樓上 望み卿卿,寒 新らたに雨晴る。

薰爐 蒙翠被り,繡帳 鴛鴦の睡。

何處にか 相い知る有る,他を羨む初めて眉を畫く。

 

 

其四

(雲が流れると「巫山の雲雨」を思われ、さびしくなる女の情を詠う。)その四

畫屏重疊巫陽翠,楚神尚有行雲意。

奇麗に書かれた屏風が幾重に重ねられた向こうには巫陽の翡翠の扇がある。巫陽を愛した楚王は雲が流れていくと巫女が雨となって來るというのが思い出される。

朝暮幾般心,向他情漫深。

特にそれが「朝雲暮雨」ということで朝が来て、夕方になるとどれだけ女の思いをかき立てるのかどうかなのです。ほかの人と接するたびにあの人のことがさらに深く思われるのです。

風流今古隔,虛作瞿塘客。

月日が過ぎ、風が流れ、此のことも昔のこととなってしまったのです。だから、いまは空しくこの詩を作るのです瞿塘峡を下って云ったあの人の事を思って。

山月照山花,夢迴燈影斜。

山影より月がのぼって、山も花も照らしている。女の夢はいろいろと廻り回り、燈火も付けたままで影を斜めにしている。

(其の四)

畫屏 重疊 巫陽の翠,楚神 尚お行雲の意有り。

朝暮 幾か般心す,他に向う 情 漫深す。

風流 今古と隔り,虛作すは瞿塘の客を。

山月 山花を照し,夢は迴る 燈影斜なり。

 

其五

(どこにいるかわからない人のことは忘れて新たな気持ちになろうと女の情を詠う。)その五

風簾鷰舞鶯啼柳,粧臺約鬢低纖手。

風が簾を通り抜け、つばめが舞い飛び交い、鶯が柳いて春を告げると、もうやなぎの別れをしている。化粧台に向かい、髪を整えかぼそい手を低くする。

釵重髻盤珊,一枝紅牡丹。

簪が重く下がり、髷を丸くし珊瑚も飾りをつける。庭に一枝、紅い牡丹が咲いている。

門前行樂客,白馬嘶春色。

この屋の門前には春の野へ行楽に向かう男女がいるでも私には及びの声はかからない。でも高官のあの人の騎る白馬がこの男女の春景色を前にして高く嘶いて、行こうとしている。

故故墜金鞭,迴頭應眼穿。

それなのに、これなのか、金で飾られた鞭が堕ちている。頭を廻してみるとそこには目を丸くすることばかりなのです。

 

菩薩蠻七首其五

風簾 鷰舞い鶯柳に啼く,粧臺 鬢を約し纖手を低くす。

釵重く髻の盤珊,一枝 紅牡丹。

門前 行樂の客,白馬 春色に嘶く。

故故にして 金鞭墜ち,頭を迴して應に眼穿つ。

 

其六

(どこにいるかわからない人のことは忘れて新たな気持ちになろうと女の情を詠う。)その六

綠雲鬢上飛金雀,愁眉斂翠春煙薄。

雲型の黒髪の上に金雀が飛んでるように飾られている。愁いおびた眉に、翡翠の羽があつまって、春霞は薄く漂う。

香閣掩芙蓉,畫屏山幾重。

香が焚かれたままの高閣は芙蓉の美女たちがあふれている。そこにはきれいな絵が画かれっている屏風のうちに美女がよこたわり、それが幾重にも重なっている。

寒天欲曙,猶結同心苣。

秋も深まり窓に寒くなると空に日が早く昇ってほしいと思うのです。そして、今もなお、心を一つにして固く結ばれたいのです。

啼粉羅衣,問郎何日歸。

でもあの人は来ない今日も涙で化粧は落ち閨に着る上着も涙で化粧が落ちて汚してしまったのです。どうしてもあの人に聞いてみたい「いつ帰って來るのですか」と。

(其六)

綠雲 鬢上 金雀飛び,愁眉 斂翠 春煙薄し。

香閣 芙蓉に掩れ,畫屏 山幾重なり。

寒 天欲曙,猶お心苣を同じうするを結ぶ。

啼き粉れ 羅衣を,郎に問う 何れの日にか歸らん。

 

其七

玉樓冰簟鴛鴦錦,粉融香汗流山枕。

簾外轆轤聲,斂眉含笑驚。

柳陰煙漠漠,低鬢蟬釵落。

須作一生拚,盡君今日歡。

 蓮00

 

『菩薩蠻七首其六』 現代語訳と訳註

(本文)

其六

綠雲鬢上飛金雀,愁眉斂翠春煙薄。

香閣掩芙蓉,畫屏山幾重。

寒天欲曙,猶結同心苣。

啼粉羅衣,問郎何日歸。

 

 

(下し文)

(其六)

綠雲 鬢上 金雀飛び,愁眉 斂翠 春煙薄し。

香閣 芙蓉に掩れ,畫屏 山幾重なり。

寒 天欲曙,猶お心苣を同じうするを結ぶ。

啼き粉れ 羅衣を,郎に問う 何れの日にか歸らん。

 

 

(現代語訳)

(どこにいるかわからない人のことは忘れて新たな気持ちになろうと女の情を詠う。)その六

雲型の黒髪の上に金雀が飛んでるように飾られている。愁いおびた眉に、翡翠の羽があつまって、春霞は薄く漂う。

香が焚かれたままの高閣は芙蓉の美女たちがあふれている。そこにはきれいな絵が画かれっている屏風のうちに美女がよこたわり、それが幾重にも重なっている。

秋も深まり窓に寒くなると空に日が早く昇ってほしいと思うのです。そして、今もなお、心を一つにして固く結ばれたいのです。

でもあの人は来ない今日も涙で化粧は落ち閨に着る上着も涙で化粧が落ちて汚してしまったのです。どうしてもあの人に聞いてみたい「いつ帰って來るのですか」と。

 

 

(訳注)

菩薩蠻七首其六

(どこにいるかわからない人のことは忘れて新たな気持ちになろうと女の情を詠う。)その六

唐教坊の曲名。『花間集』41首、温庭筠14首、韋荘5首、牛嶠7首収められている。双調四十四字、前段二十四字四句二仄韻二平韻、後段二十字四句二仄韻二平韻で、❼❼⑤⑤/❺❺⑤⑤の詞形をとる。

楽しい、うれしい春を過ごし、夏を過ごし、秋もそうであったのに、秋が深まると突然来なくなったのだ。秋の夜長を悲しく過ごす女の気持ちを詠う。この時代、一夫多妻制で、富裕者は家に囲い、外にも妻を置いた。

 

 

綠雲鬢上飛金雀,愁眉斂翠春煙薄。

雲型の黒髪の上に金雀が飛んでるように飾られている。愁いおびた眉に、翡翠の羽があつまって、春霞は薄く漂う。

・この二句 春の季節には男女はとても仲が良かったことを云う

 

 

香閣掩芙蓉,畫屏山幾重。

香が焚かれたままの高閣は芙蓉の美女たちがあふれている。そこにはきれいな絵が画かれっている屏風のうちに美女がよこたわり、それが幾重にも重なっている。

・芙蓉 古くは往々にして蓮(ハス)の花を指した。美女の形容としても多用された表現である。フヨウと区別するために「水芙蓉」とも。ここでははっきりと高閣の中にたくさんの美女がいることを云っている。

・この二句 芙蓉は夏、秋を意味していて、ここまで仲が良かったことを示す。

 

 

寒天欲曙,猶結同心苣。

秋も深まり窓に寒くなると空に日が早く昇ってほしいと思うのです。そして、今もなお、心を一つにして固く結ばれたいのです。

・この二句 ここでは秋も深まり、夜長を一人さびしく過ごしたいと思っていた波悲しい秋になってしまったことを云っている。でもまた身も心も一体化したいと思っている。

 

 

啼粉羅衣,問郎何日歸。

でもあの人は来ない今日も涙で化粧は落ち閨に着る上着も涙で化粧が落ちて汚してしまったのです。どうしてもあの人に聞いてみたい「いつ帰って來るのですか」と。

・この二句  閨の着物にきかえて待っているもののその夜も来なかった。その深い悲しを詠ったものである。
魚玄機が宮島に
 

菩薩蠻七首 其五 牛嶠【ぎゅうきょう】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-334-6-#21  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3217

牛嶠《菩薩蠻七首 其五》 風が簾を通り抜け、つばめが舞い飛び交い、鶯が柳いて春を告げると、もうやなぎの別れをしている。化粧台に向かい、髪を整えかぼそい手を低くする。簪が重く下がり、髷を丸くし珊瑚も飾りをつける。庭に一枝、紅い牡丹が咲いている。


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唐五代詞・ 「花間集」 Gs-334-6-#21   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3217

 

 

菩薩蠻七首 其一

(辺境に出かけて帰らぬ男を思う女の情を詠う。)

舞裙香暖金泥鳳,畫梁語鷰驚殘夢。

舞いに着るのスカートは香しく金泥の鳳模様がきれい、塗りの梁の上の燕が鳴き交わすと名残りの夢は破られる思いになってしまう。

門外柳花飛,玉郎猶未歸。

門の外は春もさかり、柳の架は舞い飛ぶのに、あのひとは未だに帰って来ることはないのです。

愁勻紅粉淚,眉剪春山翠。

待つ身の侘しさで愁いは涙をさそい、くずれた化粧を直します。眉は春山の翠のように整えるのです。

何處是遼陽,錦屏春晝長。

あの人がいるという遼陽は何処なのでしょう、ここの錦屏風の閨の内には春の昼はただ長くなってゆくのです。

(菩薩蠻七首 其の一)

舞裙 香 暖かく 金泥の鳳,畫梁【がりょう】語る鷰 殘夢を驚く。

門外 柳花 飛,玉郎 猶お未だ歸らず。

愁いて紅粉の淚を勻え,眉は春山の翠を剪る。

何處か 是れ遼陽なる,錦屏 春晝 長し。

 

其二

(旅に出かけて帰らぬ男を思う女の情を詠う。)その二

柳花飛處鶯聲急,暗街春色香車立。

柳絮が飛びが飛び交うところには春を告げる鶯も行く春を惜しんで急いでいる。夕方の薄暗さが暗くなっていく春の景色もすっかり進んだ日に香をたきこめた御車が旅立っていく。

金鳳小簾開,臉波和恨來。

金の鳳凰の刺繍の小窓のカーテンを開いて見送る。まぶたに溢れる涙の後には少しづつ怨みの気持ちがやってくる。

今宵求夢想,難到青樓上。

今宵からは夢の中であの人のことを思い浮かべる。もうあの人を見送った東の楼閣に昇って過ごすことなどできないのだ、

贏得一場愁,鴛衾誰並頭。

ここの場所では愁いが追加されてくるばかり、鴛鴦の布団に誰が並んで頭を並べてくれるのでしょう。

(其の二)

柳花 飛ぶ處 鶯聲急なり,暗き街 春色 香車立つ。

金鳳 小簾開き,臉波 和みて恨み來る。

今宵 夢想を求め,青樓の上に到れ難し。

贏得【えいとく】 一場愁い,鴛衾【おうきん】 誰ぞ頭を並べん。

 

其三

(どこにいるかわからない人のことは忘れて新たな気持ちになろうと女の情を詠う。)その三

玉釵風動春幡急,交枝紅杏籠煙泣。

奇麗に輝く簪が蚊座に揺れていて、春の季節の旗が大きくなびく。杏の花がいっぱいの木の枝が交差していて、これからもっと草木が生繁し、匂いがひろがり、春の緑の煙霞に包まれた風景の中で涙するのです。

樓上望卿卿,寒新雨晴。

高樓の上に上がって「卿卿(キョウキョウ)」としたあの人のいる方を望んでみるのです。でも実際には、この窓辺にはもう秋も深まり、雨から晴れに変わり気持ちも新たになるのです。

薰爐蒙翠被,繡帳鴛鴦睡。

夕刻から香炉で薫じて閨に広がり、翡翠の扇がかぶさるようにあり、刺繍のとばりには、鴛鴦が眠っている。

何處有相知,羨他初畫眉。

女は青の人がどこに行っているのかはわからないのです。ほかの女の人には彼氏が来ているのがとてもうらやましいと思っているばかりではどうしようもないので、初めての形の眉を書いてみるのです。

 

(其の三)

玉釵 風動き春幡急なり,交枝 紅杏 籠煙り泣く。

樓上 望み卿卿,寒 新らたに雨晴る。

薰爐 蒙翠被り,繡帳 鴛鴦の睡。

何處にか 相い知る有る,他を羨む初めて眉を畫く。

 

 

其四

(雲が流れると「巫山の雲雨」を思われ、さびしくなる女の情を詠う。)その四

畫屏重疊巫陽翠,楚神尚有行雲意。

奇麗に書かれた屏風が幾重に重ねられた向こうには巫陽の翡翠の扇がある。巫陽を愛した楚王は雲が流れていくと巫女が雨となって來るというのが思い出される。

朝暮幾般心,向他情漫深。

特にそれが「朝雲暮雨」ということで朝が来て、夕方になるとどれだけ女の思いをかき立てるのかどうかなのです。ほかの人と接するたびにあの人のことがさらに深く思われるのです。

風流今古隔,虛作瞿塘客。

月日が過ぎ、風が流れ、此のことも昔のこととなってしまったのです。だから、いまは空しくこの詩を作るのです瞿塘峡を下って云ったあの人の事を思って。

山月照山花,夢迴燈影斜。

山影より月がのぼって、山も花も照らしている。女の夢はいろいろと廻り回り、燈火も付けたままで影を斜めにしている。

(其の四)

畫屏 重疊 巫陽の翠,楚神 尚お行雲の意有り。

朝暮 幾か般心す,他に向う 情 漫深す。

風流 今古と隔り,虛作すは瞿塘の客を。

山月 山花を照し,夢は迴る 燈影斜なり。

 

其五

(どこにいるかわからない人のことは忘れて新たな気持ちになろうと女の情を詠う。)その五

風簾鷰舞鶯啼柳,粧臺約鬢低纖手。

風が簾を通り抜け、つばめが舞い飛び交い、鶯が柳いて春を告げると、もうやなぎの別れをしている。化粧台に向かい、髪を整えかぼそい手を低くする。

釵重髻盤珊,一枝紅牡丹。

簪が重く下がり、髷を丸くし珊瑚も飾りをつける。庭に一枝、紅い牡丹が咲いている。

門前行樂客,白馬嘶春色。

この屋の門前には春の野へ行楽に向かう男女がいるでも私には及びの声はかからない。でも高官のあの人の騎る白馬がこの男女の春景色を前にして高く嘶いて、行こうとしている。

故故墜金鞭,迴頭應眼穿。

それなのに、これなのか、金で飾られた鞭が堕ちている。頭を廻してみるとそこには目を丸くすることばかりなのです。

 

菩薩蠻七首其五

風簾 鷰舞い鶯柳に啼く,粧臺 鬢を約し纖手を低くす。

釵重く髻の盤珊,一枝 紅牡丹。

門前 行樂の客,白馬 春色に嘶く。

故故にして 金鞭墜ち,頭を迴して應に眼穿つ。

 

其六

綠雲鬢上飛金雀,愁眉斂翠春煙薄。

香閣掩芙蓉,畫屏山幾重。

寒天欲曙,猶結同心苣。

啼粉羅衣,問郎何日歸。

 

其七

玉樓冰簟鴛鴦錦,粉融香汗流山枕。

簾外轆轤聲,斂眉含笑驚。

柳陰煙漠漠,低鬢蟬釵落。

須作一生拚,盡君今日歡。

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『菩薩蠻七首』 現代語訳と訳註

(本文)

菩薩蠻七首其五

風簾鷰舞鶯啼柳,粧臺約鬢低纖手。

釵重髻盤珊,一枝紅牡丹。

門前行樂客,白馬嘶春色。

故故墜金鞭,迴頭應眼穿。

 

 

(下し文)

菩薩蠻七首其五

風簾 鷰舞い鶯柳に啼く,粧臺 鬢を約し纖手を低くす。

釵重く髻の盤珊,一枝 紅牡丹。

門前 行樂の客,白馬 春色に嘶く。

故故にして 金鞭墜ち,頭を迴して應に眼穿つ。

 

 

(現代語訳)

(どこにいるかわからない人のことは忘れて新たな気持ちになろうと女の情を詠う。)その五

風が簾を通り抜け、つばめが舞い飛び交い、鶯が柳いて春を告げると、もうやなぎの別れをしている。化粧台に向かい、髪を整えかぼそい手を低くする。

簪が重く下がり、髷を丸くし珊瑚も飾りをつける。庭に一枝、紅い牡丹が咲いている。

この屋の門前には春の野へ行楽に向かう男女がいるでも私には及びの声はかからない。でも高官のあの人の騎る白馬がこの男女の春景色を前にして高く嘶いて、行こうとしている。

それなのに、これなのか、金で飾られた鞭が堕ちている。頭を廻してみるとそこには目を丸くすることばかりなのです。

 

 

(訳注)

菩薩蠻七首其五

(どこにいるかわからない人のことは忘れて新たな気持ちになろうと女の情を詠う。)その五

唐教坊の曲名。『花間集』41首、温庭筠14首、韋荘5首、牛嶠7首収められている。双調四十四字、前段二十四字四句二仄韻二平韻、後段二十字四句二仄韻二平韻で、❼❼⑤⑤/❺❺⑤⑤の詞形をとる。

春が訪れて、春景色の中で、あの人は来ないと思っていたら、見たくもない光景を見にする。男目線で、よくある光景を詠った女の情を詠う。

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風簾鷰舞鶯啼柳,粧臺約鬢低纖手。

風が簾を通り抜け、つばめが舞い飛び交い、鶯が柳いて春を告げると、もうやなぎの別れをしている。化粧台に向かい、髪を整えかぼそい手を低くする。

・この二句は待ち遠しい春が来たことを春のアイテムを鏤めている。しかしその中に嬉しさ、楽しさというのは見いだせないのも特徴である。

 

釵重髻盤珊,一枝紅牡丹。

簪が重く下がり、髷を丸くし珊瑚も飾りをつける。庭に一枝、紅い牡丹が咲いている。

・釵重 この二句は上句は閨の状況。下句は庭のようすを云う。カンザシを挿したままで落ち欠けている。

・髻盤珊 化粧台に向かっても何もしたくないという恩南パリ様を云う。

・一枝紅牡丹 庭に一本の赤いボタンの花を看る。ここは、若い女を指す。

 

門前行樂客,白馬嘶春色。

この屋の門前には春の野へ行楽に向かう男女がいるでも私には及びの声はかからない。でも高官のあの人の騎る白馬がこの男女の春景色を前にして高く嘶いて、行こうとしている。

・行楽 当時は野山に出かけ酒を呑むことを万幕を張って楽しんだ。当時は春には靑姦というのは通常のことであったようだ。

 

故故墜金鞭,迴頭應眼穿。

それなのに、これなのか、金で飾られた鞭が堕ちている。頭を廻してみるとそこには目を丸くすることばかりなのです。

・應眼穿 行楽に向かうはずが、ここの座敷の中に入っていった。だから見たくも無い光景を目の当たりにしたというのがこの詩の意味である。

菩薩蠻七首 其四 牛嶠【ぎゅうきょう】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-333-6-#20  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3212

牛嶠《菩薩蠻七首 其四》奇麗に書かれた屏風が幾重に重ねられた向こうには巫陽の翡翠の扇がある。巫陽を愛した楚王は雲が流れていくと巫女が雨となって來るというのが思い出される。

 

 唐五代詞・ 「花間集」 Gs-333-6-#20   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3212

2013年10月29日 の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
   
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Ⅱ中唐詩・晩唐詩
 
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《次潼關上都統相公》韓愈(韓退之) Ⅱ中唐詩 <845>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3209韓愈詩-217
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●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集 Fc257  曹植(曹子建) 《妾薄命二首 其二》 魏詩  kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞 fc2ブログ 3211 (10/29)
●●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
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登池上樓 #1 謝霊運<25>#1  ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67502196.html
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牛嶠  20首 女冠子四首 其一 牛嶠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-312-5-#66  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3107
『花間集』継続中 
杜甫全詩 韓愈全詩 花間集 古詩源 玉台新詠
菩薩蠻七首 其四 牛嶠【ぎゅうきょう】  Ⅹ

 

 

菩薩蠻七首 其一

(辺境に出かけて帰らぬ男を思う女の情を詠う。)

舞裙香暖金泥鳳,畫梁語鷰驚殘夢。

舞いに着るのスカートは香しく金泥の鳳模様がきれい、塗りの梁の上の燕が鳴き交わすと名残りの夢は破られる思いになってしまう。

門外柳花飛,玉郎猶未歸。

門の外は春もさかり、柳の架は舞い飛ぶのに、あのひとは未だに帰って来ることはないのです。

愁勻紅粉淚,眉剪春山翠。

待つ身の侘しさで愁いは涙をさそい、くずれた化粧を直します。眉は春山の翠のように整えるのです。

何處是遼陽,錦屏春晝長。

あの人がいるという遼陽は何処なのでしょう、ここの錦屏風の閨の内には春の昼はただ長くなってゆくのです。

(菩薩蠻七首 其の一)

舞裙 香 暖かく 金泥の鳳,畫梁【がりょう】語る鷰 殘夢を驚く。

門外 柳花 飛,玉郎 猶お未だ歸らず。

愁いて紅粉の淚を勻え,眉は春山の翠を剪る。

何處か 是れ遼陽なる,錦屏 春晝 長し。

 

其二

(旅に出かけて帰らぬ男を思う女の情を詠う。)その二

柳花飛處鶯聲急,暗街春色香車立。

柳絮が飛びが飛び交うところには春を告げる鶯も行く春を惜しんで急いでいる。夕方の薄暗さが暗くなっていく春の景色もすっかり進んだ日に香をたきこめた御車が旅立っていく。

金鳳小簾開,臉波和恨來。

金の鳳凰の刺繍の小窓のカーテンを開いて見送る。まぶたに溢れる涙の後には少しづつ怨みの気持ちがやってくる。

今宵求夢想,難到青樓上。

今宵からは夢の中であの人のことを思い浮かべる。もうあの人を見送った東の楼閣に昇って過ごすことなどできないのだ、

贏得一場愁,鴛衾誰並頭。

ここの場所では愁いが追加されてくるばかり、鴛鴦の布団に誰が並んで頭を並べてくれるのでしょう。

(其の二)

柳花 飛ぶ處 鶯聲急なり,暗き街 春色 香車立つ。

金鳳 小簾開き,臉波 和みて恨み來る。

今宵 夢想を求め,青樓の上に到れ難し。

贏得【えいとく】 一場愁い,鴛衾【おうきん】 誰ぞ頭を並べん。

 

其三

(どこにいるかわからない人のことは忘れて新たな気持ちになろうと女の情を詠う。)その三

玉釵風動春幡急,交枝紅杏籠煙泣。

奇麗に輝く簪が蚊座に揺れていて、春の季節の旗が大きくなびく。杏の花がいっぱいの木の枝が交差していて、これからもっと草木が生繁し、匂いがひろがり、春の緑の煙霞に包まれた風景の中で涙するのです。

樓上望卿卿,寒新雨晴。

高樓の上に上がって「卿卿(キョウキョウ)」としたあの人のいる方を望んでみるのです。でも実際には、この窓辺にはもう秋も深まり、雨から晴れに変わり気持ちも新たになるのです。

薰爐蒙翠被,繡帳鴛鴦睡。

夕刻から香炉で薫じて閨に広がり、翡翠の扇がかぶさるようにあり、刺繍のとばりには、鴛鴦が眠っている。

何處有相知,羨他初畫眉。

女は青の人がどこに行っているのかはわからないのです。ほかの女の人には彼氏が来ているのがとてもうらやましいと思っているばかりではどうしようもないので、初めての形の眉を書いてみるのです。

 

(其の三)

玉釵 風動き春幡急なり,交枝 紅杏 籠煙り泣く。

樓上 望み卿卿,寒 新らたに雨晴る。

薰爐 蒙翠被り,繡帳 鴛鴦の睡。

何處にか 相い知る有る,他を羨む初めて眉を畫く。

 

 

其四

(雲が流れると「巫山の雲雨」を思われ、さびしくなる女の情を詠う。)その四

畫屏重疊巫陽翠,楚神尚有行雲意。

奇麗に書かれた屏風が幾重に重ねられた向こうには巫陽の翡翠の扇がある。巫陽を愛した楚王は雲が流れていくと巫女が雨となって來るというのが思い出される。

朝暮幾般心,向他情漫深。

特にそれが「朝雲暮雨」ということで朝が来て、夕方になるとどれだけ女の思いをかき立てるのかどうかなのです。ほかの人と接するたびにあの人のことがさらに深く思われるのです。

風流今古隔,虛作瞿塘客。

月日が過ぎ、風が流れ、此のことも昔のこととなってしまったのです。だから、いまは空しくこの詩を作るのです瞿塘峡を下って云ったあの人の事を思って。

山月照山花,夢迴燈影斜。

山影より月がのぼって、山も花も照らしている。女の夢はいろいろと廻り回り、燈火も付けたままで影を斜めにしている。

(其の四)

畫屏 重疊 巫陽の翠,楚神 尚お行雲の意有り。

朝暮 幾か般心す,他に向う 情 漫深す。

風流 今古と隔り,虛作すは瞿塘の客を。

山月 山花を照し,夢は迴る 燈影斜なり。

 

其五

風簾鷰舞鶯啼柳,粧臺約鬢低纖手。

釵重髻盤珊,一枝紅牡丹。

門前行樂客,白馬嘶春色。

故故墜金鞭,迴頭應眼穿。

 

其六

綠雲鬢上飛金雀,愁眉斂翠春煙薄。

香閣掩芙蓉,畫屏山幾重。

寒天欲曙,猶結同心苣。

啼粉羅衣,問郎何日歸。

 

其七

玉樓冰簟鴛鴦錦,粉融香汗流山枕。

簾外轆轤聲,斂眉含笑驚。

柳陰煙漠漠,低鬢蟬釵落。

須作一生拚,盡君今日歡。

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『菩薩蠻七首 其四』 現代語訳と訳註

(本文)

菩薩蠻七首 其四

畫屏重疊巫陽翠,楚神尚有行雲意。

朝暮幾般心,向他情漫深。

風流今古隔,虛作瞿塘客。

山月照山花,夢迴燈影斜。

 

 

(下し文)

(其の四)

畫屏 重疊 巫陽の翠,楚神 尚お行雲の意有り。

朝暮 幾か般心す,他に向う 情 漫深す。

風流 今古と隔り,虛作すは瞿塘の客を。

山月 山花を照し,夢は迴る 燈影斜なり。

 

 

(現代語訳)

(雲が流れると「巫山の雲雨」を思われ、さびしくなる女の情を詠う。)その四

奇麗に書かれた屏風が幾重に重ねられた向こうには巫陽の翡翠の扇がある。巫陽を愛した楚王は雲が流れていくと巫女が雨となって來るというのが思い出される。

特にそれが「朝雲暮雨」ということで朝が来て、夕方になるとどれだけ女の思いをかき立てるのかどうかなのです。ほかの人と接するたびにあの人のことがさらに深く思われるのです。

月日が過ぎ、風が流れ、此のことも昔のこととなってしまったのです。だから、いまは空しくこの詩を作るのです瞿塘峡を下って云ったあの人の事を思って。

山影より月がのぼって、山も花も照らしている。女の夢はいろいろと廻り回り、燈火も付けたままで影を斜めにしている。

 

 

(訳注)

菩薩蠻七首 其四

(雲が流れると「巫山の雲雨」を思われ、さびしくなる女の情を詠う。)その四

唐教坊の曲名。『花間集』41首、温庭筠14首、韋荘5首、牛嶠7首収められている。双調四十四字、前段二十四字四句二仄韻二平韻、後段二十字四句二仄韻二平韻で、❼❼⑤⑤/❺❺⑤⑤の詞形をとる。

閨には思い出のものがあるだけ、この春にはあの人は来てくれなかった。何処に行っているかわからない人のことは忘れて新たな気持ちになろうと女の情を詠う。

 

 

畫屏重疊巫陽翠,楚神尚有行雲意。

奇麗に書かれた屏風が幾重に重ねられた向こうには巫陽の翡翠の扇がある。巫陽を愛した楚王は雲が流れていくと巫女が雨となって來るというのが思い出される。

・巫陽 『楚辭』「招魂」に出てくるみこの名。巫女。ただし性別不詳。蘇軾『歴代絶句類選』二 第八葉 『澄邁驛通潮閣二首 其二』「 餘生欲老海南村, 帝遣巫陽招我魂。 杳杳天低鶻沒處, 青山一髮是中原。」(澄邁驛の通潮閣   餘生老いんと欲す海南の村,帝巫陽をして  我が魂を招か遣【し】む。 杳杳たる天低【た】れて鶻沒するの處,青山一髮是れ中原。)

宋玉の「神女賦」に、「且に朝雲となり、碁に行雨となる」「朝雲暮雨。」の句がある。結句の「雲雨」に応じている。神女と雲雨は、雨が宋玉「高唐の賦」にある巫山神女の故事によるもので、懷王と交わった後、神女が「暮には行雨とならん」とどんな時でも一緒にいるといった意味を持つ雨である。楚の懐王が巫山の神女と夢のなかで交わった故事を連想させる。

 

 

朝暮幾般心,向他情漫深。

特にそれが「朝雲暮雨」ということで朝が来て、夕方になるとどれだけ女の思いをかき立てるのかどうかなのです。ほかの人と接するたびにあの人のことがさらに深く思われるのです。

・朝暮 巫山の雲雨【ふざん‐の‐うんう】

《宋玉の「高唐賦」の、楚の懐王が昼寝の夢の中で巫山の神女と契ったという故事から》男女が夢の中で結ばれること。また、男女が情を交わすこと。巫山の雲。巫山の雨。巫山の夢。朝雲暮雨。

・漫 [訓]すずろそぞろ1 一面に満ちて覆うさま。「漫漫/瀰漫(びまん)・爛漫(らんまん)2 むやみに広がって締まりがない。「漫然/散漫・冗漫・放漫」3 何とはなしに。気のむくまま

 

風流今古隔,虛作瞿塘客。

月日が過ぎ、風が流れ、此のことも昔のこととなってしまったのです。だから、いまは空しくこの詩を作るのです瞿塘峡を下って云ったあの人の事を思って。

・瞿塘 瞿塘峡のこと。 瞿塘峡は三峡のもっとも上流にあり、西は重慶市奉節県の白帝城から、東は重慶市巫山県の大溪鎮までの区間である。四川盆地の東部では、東西方向に伸びる細長い褶曲山脈が多数平行に走っているが、その山脈のうち高さ1,000mを超える一本を長江本流が北西から東南へ貫通するところが瞿塘峡である。巫峡(ふきょう)、西陵峡(せいりょうきょう)と並び、三峡を構成する。別名は夔峡(ききょう)。

 

山月照山花,夢迴燈影斜。

山影より月がのぼって、山も花も照らしている。女の夢はいろいろと廻り回り、燈火も付けたままで影を斜めにしている。
花蕊夫人006
 

菩薩蠻七首 其三 牛嶠【ぎゅうきょう】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-332-6-#19  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3207

牛嶠《菩薩蠻七首 其三》 高樓の上に上がって「卿卿(キョウキョウ)」としたあの人のいる方を望んでみるのです。でも実際には、この窓辺にはもう秋も深まり、雨から晴れに変わり気持ちも新たになるのです。

 

2013年10月28日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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朔風 (一章) 曹植 魏詩<25-#1>文選雑詩 上 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67780868.html
謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html 謝靈運詩六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。
謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386ーhttp://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67474554.html
登池上樓 #1 謝霊運<25>#1  ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67502196.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。
李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html 
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首
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『花間集』継続中 
杜甫全詩 韓愈全詩 花間集 古詩源 玉台新詠
菩薩蠻七首 其三 牛嶠【ぎゅうきょう】  Ⅹ

唐五代詞・ 「花間集」 Gs-332-6-#19   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3207

 

 

菩薩蠻七首 其一

(辺境に出かけて帰らぬ男を思う女の情を詠う。)

舞裙香暖金泥鳳,畫梁語鷰驚殘夢。

舞いに着るのスカートは香しく金泥の鳳模様がきれい、塗りの梁の上の燕が鳴き交わすと名残りの夢は破られる思いになってしまう。

門外柳花飛,玉郎猶未歸。

門の外は春もさかり、柳の架は舞い飛ぶのに、あのひとは未だに帰って来ることはないのです。

愁勻紅粉淚,眉剪春山翠。

待つ身の侘しさで愁いは涙をさそい、くずれた化粧を直します。眉は春山の翠のように整えるのです。

何處是遼陽,錦屏春晝長。

あの人がいるという遼陽は何処なのでしょう、ここの錦屏風の閨の内には春の昼はただ長くなってゆくのです。

(菩薩蠻七首 其の一)

舞裙 香 暖かく 金泥の鳳,畫梁【がりょう】語る鷰 殘夢を驚く。

門外 柳花 飛,玉郎 猶お未だ歸らず。

愁いて紅粉の淚を勻え,眉は春山の翠を剪る。

何處か 是れ遼陽なる,錦屏 春晝 長し。

 

其二

(旅に出かけて帰らぬ男を思う女の情を詠う。)その二

柳花飛處鶯聲急,暗街春色香車立。

柳絮が飛びが飛び交うところには春を告げる鶯も行く春を惜しんで急いでいる。夕方の薄暗さが暗くなっていく春の景色もすっかり進んだ日に香をたきこめた御車が旅立っていく。

金鳳小簾開,臉波和恨來。

金の鳳凰の刺繍の小窓のカーテンを開いて見送る。まぶたに溢れる涙の後には少しづつ怨みの気持ちがやってくる。

今宵求夢想,難到青樓上。

今宵からは夢の中であの人のことを思い浮かべる。もうあの人を見送った東の楼閣に昇って過ごすことなどできないのだ、

贏得一場愁,鴛衾誰並頭。

ここの場所では愁いが追加されてくるばかり、鴛鴦の布団に誰が並んで頭を並べてくれるのでしょう。

(其の二)

柳花 飛ぶ處 鶯聲急なり,暗き街 春色 香車立つ。

金鳳 小簾開き,臉波 和みて恨み來る。

今宵 夢想を求め,青樓の上に到れ難し。

贏得【えいとく】 一場愁い,鴛衾【おうきん】 誰ぞ頭を並べん。

 

其三

(どこにいるかわからない人のことは忘れて新たな気持ちになろうと女の情を詠う。)その三

玉釵風動春幡急,交枝紅杏籠煙泣。

奇麗に輝く簪が蚊座に揺れていて、春の季節の旗が大きくなびく。杏の花がいっぱいの木の枝が交差していて、これからもっと草木が生繁し、匂いがひろがり、春の緑の煙霞に包まれた風景の中で涙するのです。

樓上望卿卿,寒新雨晴。

高樓の上に上がって「卿卿(キョウキョウ)」としたあの人のいる方を望んでみるのです。でも実際には、この窓辺にはもう秋も深まり、雨から晴れに変わり気持ちも新たになるのです。

薰爐蒙翠被,繡帳鴛鴦睡。

夕刻から香炉で薫じて閨に広がり、翡翠の扇がかぶさるようにあり、刺繍のとばりには、鴛鴦が眠っている。

何處有相知,羨他初畫眉。

女は青の人がどこに行っているのかはわからないのです。ほかの女の人には彼氏が来ているのがとてもうらやましいと思っているばかりではどうしようもないので、初めての形の眉を書いてみるのです。

 

(其の三)

玉釵 風動き春幡急なり,交枝 紅杏 籠煙り泣く。

樓上 望み卿卿,寒 新らたに雨晴る。

薰爐 蒙翠被り,繡帳 鴛鴦の睡。

何處にか 相い知る有る,他を羨む初めて眉を畫く。

 

其四

畫屏重疊巫陽翠,楚神尚有行雲意。

朝暮幾般心,向他情漫深。

風流今古隔,虛作瞿塘客。

山月照山花,夢迴燈影斜。

 

其五

風簾鷰舞鶯啼柳,粧臺約鬢低纖手。

釵重髻盤珊,一枝紅牡丹。

門前行樂客,白馬嘶春色。

故故墜金鞭,迴頭應眼穿。

 

其六

綠雲鬢上飛金雀,愁眉斂翠春煙薄。

香閣掩芙蓉,畫屏山幾重。

寒天欲曙,猶結同心苣。

啼粉羅衣,問郎何日歸。

 

其七

玉樓冰簟鴛鴦錦,粉融香汗流山枕。

簾外轆轤聲,斂眉含笑驚。

柳陰煙漠漠,低鬢蟬釵落。

須作一生拚,盡君今日歡。

杏00紅白花00
 

 

『菩薩蠻七首 其二』 現代語訳と訳註

(本文)

菩薩蠻七首 其三

玉釵風動春幡急,交枝紅杏籠煙泣。

樓上望卿卿,寒新雨晴。

薰爐蒙翠被,繡帳鴛鴦睡。

何處有相知,羨他初畫眉。

 

 

 

(下し文)

(其の三)

玉釵 風動き春幡急なり,交枝 紅杏 籠煙り泣く。

樓上 望み卿卿,寒 新らたに雨晴る。

薰爐 蒙翠被り,繡帳 鴛鴦の睡。

何處にか 相い知る有る,他を羨む初めて眉を畫く。

 

 

(現代語訳)

(どこにいるかわからない人のことは忘れて新たな気持ちになろうと女の情を詠う。)その三

奇麗に輝く簪が蚊座に揺れていて、春の季節の旗が大きくなびく。杏の花がいっぱいの木の枝が交差していて、これからもっと草木が生繁し、匂いがひろがり、春の緑の煙霞に包まれた風景の中で涙するのです。

高樓の上に上がって「卿卿(キョウキョウ)」としたあの人のいる方を望んでみるのです。でも実際には、この窓辺にはもう秋も深まり、雨から晴れに変わり気持ちも新たになるのです。

夕刻から香炉で薫じて閨に広がり、翡翠の扇がかぶさるようにあり、刺繍のとばりには、鴛鴦が眠っている。

女は青の人がどこに行っているのかはわからないのです。ほかの女の人には彼氏が来ているのがとてもうらやましいと思っているばかりではどうしようもないので、初めての形の眉を書いてみるのです。

 

 

(訳注)

菩薩蠻七首 其三

(どこにいるかわからない人のことは忘れて新たな気持ちになろうと女の情を詠う。)その三

唐教坊の曲名。『花間集』41首、温庭筠14首、韋荘5首、牛嶠7首収められている。双調四十四字、前段二十四字四句二仄韻二平韻、後段二十字四句二仄韻二平韻で、❼❼⑤⑤/❺❺⑤⑤の詞形をとる。

閨には思い出のものがあるだけ、この春にはあの人は来てくれなかった。何処に行っているかわからない人のことは忘れて新たな気持ちになろうと女の情を詠う。

 

玉釵風動春幡急,交枝紅杏籠煙泣。

奇麗に輝く簪が蚊座に揺れていて、春の季節の旗が大きくなびく。杏の花がいっぱいの木の枝が交差していて、これからもっと草木が生繁し、匂いがひろがり、春の緑の煙霞に包まれた風景の中で涙するのです。

・籠煙 歓楽街の周囲に柳が植えてあり、冬の間に枝の実のようすを籠と表現する。それが、これから草木が生繁る頃がすなわち匂うがごとき春の緑の煙霞に包まれた風景なのだろう。そこには陰陽判じがたい中に宿る生命の気配を感じることができる。

*春になっても男が来てくれない、簪を揺らした風が春の旗を揺らし、杏の花籠

 

樓上望卿卿,寒新雨晴。

高樓の上に上がって「卿卿(キョウキョウ)」としたあの人のいる方を望んでみるのです。でも実際には、この窓辺にはもう秋も深まり、雨から晴れに変わり気持ちも新たになるのです。

・卿卿 貴人と逢ってうれしい状況を云う。男女の情事の際の声を意味する。

 は窗、窓で晩秋の窓を云う。窓を寒いと感じ愧じるころの窓を云う。

 

薰爐蒙翠被,繡帳鴛鴦睡。

夕刻から香炉で薫じて閨に広がり、翡翠の扇がかぶさるようにあり、刺繍のとばりには、鴛鴦が眠っている。

・蒙 1 おおう。かぶさる。こうむる。「蒙塵(もうじん)・蒙霧」2 くらい。物知らずで道理が わからない。「

 

何處有相知,羨他初畫眉。

女は青の人がどこに行っているのかはわからないのです。ほかの女の人には彼氏が来ているのがとてもうらやましいと思っているばかりではどうしようもないので、初めての形の眉を書いてみるのです。
杏の花001
 

菩薩蠻七首 其二 牛嶠【ぎゅうきょう】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-331-6-#18  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3202

牛嶠《菩薩蠻七首 其二》 金の鳳凰の刺繍の小窓のカーテンを開いて見送る。まぶたに溢れる涙の後には少しづつ怨みの気持ちがやってくる。今宵からは夢の中であの人のことを思い浮かべる。もうあの人を見送った東の楼閣に昇って過ごすことなどできないのだ、

 

2013年10月27日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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司馬相如 《上林賦 》(25)―#9-3  文選 賦<110-#9-3>13分割38回 Ⅱ李白に影響を与えた詩930 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3198
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《和李司勳過連昌宮》韓愈(韓退之) Ⅱ中唐詩 <843>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3199韓愈詩-215
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孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。
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女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首
魚玄機 詩 全首130回賦得江邊柳 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-65-1-#五言律詩  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1876
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温庭筠 70首『菩薩蠻 一』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-1-1-#1 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1620
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菩薩蠻七首 其二 牛嶠【ぎゅうきょう】  Ⅹ

唐五代詞・ 「花間集」 Gs-331-6-#18   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3202

 

 

菩薩蠻七首 其一

(辺境に出かけて帰らぬ男を思う女の情を詠う。)その一

舞裙香暖金泥鳳,畫梁語鷰驚殘夢。

舞いに着るのスカートは香しく金泥の鳳模様がきれい、塗りの梁の上の燕が鳴き交わすと名残りの夢は破られる思いになってしまう。

門外柳花飛,玉郎猶未歸。

門の外は春もさかり、柳の架は舞い飛ぶのに、あのひとは未だに帰って来ることはないのです。

愁勻紅粉淚,眉剪春山翠。

待つ身の侘しさで愁いは涙をさそい、くずれた化粧を直します。眉は春山の翠のように整えるのです。

何處是遼陽,錦屏春晝長。

あの人がいるという遼陽は何処なのでしょう、ここの錦屏風の閨の内には春の昼はただ長くなってゆくのです。

(菩薩蠻七首 其の一)

舞裙 香 暖かく 金泥の鳳,畫梁【がりょう】語る鷰 殘夢を驚く。

門外 柳花 飛,玉郎 猶お未だ歸らず。

愁いて紅粉の淚を勻え,眉は春山の翠を剪る。

何處か 是れ遼陽なる,錦屏 春晝 長し。

 

其二

(旅に出かけて帰らぬ男を思う女の情を詠う。)その二

柳花飛處鶯聲急,暗街春色香車立。

柳絮が飛びが飛び交うところには春を告げる鶯も行く春を惜しんで急いでいる。夕方の薄暗さが暗くなっていく春の景色もすっかり進んだ日に香をたきこめた御車が旅立っていく。

金鳳小簾開,臉波和恨來。

金の鳳凰の刺繍の小窓のカーテンを開いて見送る。まぶたに溢れる涙の後には少しづつ怨みの気持ちがやってくる。

今宵求夢想,難到青樓上。

今宵からは夢の中であの人のことを思い浮かべる。もうあの人を見送った東の楼閣に昇って過ごすことなどできないのだ、

贏得一場愁,鴛衾誰並頭。

ここの場所では愁いが追加されてくるばかり、鴛鴦の布団に誰が並んで頭を並べてくれるのでしょう。

(其の二)

柳花 飛ぶ處 鶯聲急なり,暗き街 春色 香車立つ。

金鳳 小簾開き,臉波 和みて恨み來る。

今宵 夢想を求め,青樓の上に到れ難し。

贏得【えいとく】 一場愁い,鴛衾【おうきん】 誰ぞ頭を並べん。

 

其三

玉釵風動春幡急,交枝紅杏籠煙泣。

樓上望卿卿,寒新雨晴。

薰爐蒙翠被,繡帳鴛鴦睡。

何處有相知,羨他初畫眉。

 

其四

畫屏重疊巫陽翠,楚神尚有行雲意。

朝暮幾般心,向他情漫深。

風流今古隔,虛作瞿塘客。

山月照山花,夢迴燈影斜。

 

其五

風簾鷰舞鶯啼柳,粧臺約鬢低纖手。

釵重髻盤珊,一枝紅牡丹。

門前行樂客,白馬嘶春色。

故故墜金鞭,迴頭應眼穿。

 

其六

綠雲鬢上飛金雀,愁眉斂翠春煙薄。

香閣掩芙蓉,畫屏山幾重。

寒天欲曙,猶結同心苣。

啼粉羅衣,問郎何日歸。

 

其七

玉樓冰簟鴛鴦錦,粉融香汗流山枕。

簾外轆轤聲,斂眉含笑驚。

柳陰煙漠漠,低鬢蟬釵落。

須作一生拚,盡君今日歡。

隋堤01
 

 

『菩薩蠻七首 其二』 現代語訳と訳註

(本文)

菩薩蠻七首 其二

柳花飛處鶯聲急,暗街春色香車立。

金鳳小簾開,臉波和恨來。

今宵求夢想,難到青樓上。

贏得一場愁,鴛衾誰並頭。

 

 

(下し文)

(其の二)

柳花 飛ぶ處 鶯聲急なり,暗き街 春色 香車立つ。

金鳳 小簾開き,臉波 和みて恨み來る。

今宵 夢想を求め,青樓の上に到れ難し。

贏得【えいとく】 一場愁い,鴛衾【おうきん】 誰ぞ頭を並べん。

 

 

(現代語訳)

(旅に出かけて帰らぬ男を思う女の情を詠う。)その二

柳絮が飛びが飛び交うところには春を告げる鶯も行く春を惜しんで急いでいる。夕方の薄暗さが暗くなっていく春の景色もすっかり進んだ日に香をたきこめた御車が旅立っていく。

金の鳳凰の刺繍の小窓のカーテンを開いて見送る。まぶたに溢れる涙の後には少しづつ怨みの気持ちがやってくる。

今宵からは夢の中であの人のことを思い浮かべる。もうあの人を見送った東の楼閣に昇って過ごすことなどできないのだ、

ここの場所では愁いが追加されてくるばかり、鴛鴦の布団に誰が並んで頭を並べてくれるのでしょう。

 

 

(訳注)

菩薩蠻七首 其二

(旅に出かけて帰らぬ男を思う女の情を詠う。)その二

唐教坊の曲名。『花間集』41首、温庭筠14首、韋荘5首、牛嶠7首収められている。双調四十四字、前段二十四字四句二仄韻二平韻、後段二十字四句二仄韻二平韻で、❼❼⑤⑤/❺❺⑤⑤の詞形をとる。

東門から旅出つ高官の男をみおくる女の情を詠う。末句は、遙かな男を忘れ、いっそほかの男に抱かれてしまおうかという思いを詠う。一夫多妻制のころである旅立つ男に、「早く帰ってくれなければ別の男に抱かれてしまいますよ」と云っているもの。

 

 

柳花飛處鶯聲急,暗街春色香車立。

柳絮が飛びが飛び交うところには春を告げる鶯も行く春を惜しんで急いでいる。夕方の薄暗さが暗くなっていく春の景色もすっかり進んだ日に香をたきこめた御車が旅立っていく。

・香車立 朝廷の高官の旅立ちの御車を云う。

 

金鳳小簾開,臉波和恨來。

金の鳳凰の刺繍の小窓のカーテンを開いて見送る。まぶたに溢れる涙の後には少しづつ怨みの気持ちがやってくる。

 

今宵求夢想,難到青樓上。

今宵からは夢の中であの人のことを思い浮かべる。もうあの人を見送った東の楼閣に昇って過ごすことなどできないのだ、

・青樓 旅立つ人は東、青の門から出る。見送りはその門からさらに東にある高楼で最後の夜を過ごすのである。

 

贏得一場愁,鴛衾誰並頭。

ここの場所では愁いが追加されてくるばかり、鴛鴦の布団に誰が並んで頭を並べてくれるのでしょう。

・贏得 利益を得ること。獲得すること。

・鴛衾 鴛鴦の模様の布団は一緒に過ごすベットに架けられている。鴛鴦おしどり0022

菩薩蠻七首 其一 牛嶠【ぎゅうきょう】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-330-6-#57-(21)  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3197

牛嶠《菩薩蠻七首 其一》 門の外は春もさかり、柳の架は舞い飛ぶのに、あのひとは未だに帰って来ることはないのです。待つ身の侘しさで愁いは涙をさそい、くずれた化粧を直します。眉は春山の翠のように整えるのです。

 

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菩薩蠻七首 其一 牛嶠【ぎゅうきょう】Ⅹ
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溫助教庭筠       菩薩蠻十四首

韋荘(韋相莊)              菩薩蠻五首

牛嶠(牛給事嶠)           菩薩蠻七首

歐陽舍人炯       菩薩蠻一首

孫少監光憲       菩薩蠻五首

             

閻處士選           菩薩蠻一首

毛秘書熙震       菩薩蠻三首

李秀才珣           菩薩蠻三首

 

菩薩蠻七首 其一

(辺境に出かけて帰らぬ男を思う女の情を詠う。)

舞裙香暖金泥鳳,畫梁語鷰驚殘夢。

舞いに着るのスカートは香しく金泥の鳳模様がきれい、塗りの梁の上の燕が鳴き交わすと名残りの夢は破られる思いになってしまう。

門外柳花飛,玉郎猶未歸。

門の外は春もさかり、柳の架は舞い飛ぶのに、あのひとは未だに帰って来ることはないのです。

愁勻紅粉淚,眉剪春山翠。

待つ身の侘しさで愁いは涙をさそい、くずれた化粧を直します。眉は春山の翠のように整えるのです。

何處是遼陽,錦屏春晝長。

あの人がいるという遼陽は何処なのでしょう、ここの錦屏風の閨の内には春の昼はただ長くなってゆくのです。

 

其二

柳花飛處鶯聲急,暗街春色香車立。

金鳳小簾開,臉波和恨來。

今宵求夢想,難到青樓上。

贏得一場愁,鴛衾誰並頭。

 

其三

玉釵風動春幡急,交枝紅杏籠煙泣。

樓上望卿卿,寒新雨晴。

薰爐蒙翠被,繡帳鴛鴦睡。

何處有相知,羨他初畫眉。

 

其四

畫屏重疊巫陽翠,楚神尚有行雲意。

朝暮幾般心,向他情漫深。

風流今古隔,虛作瞿塘客。

山月照山花,夢迴燈影斜。

 

其五

風簾鷰舞鶯啼柳,粧臺約鬢低纖手。

釵重髻盤珊,一枝紅牡丹。

門前行樂客,白馬嘶春色。

故故墜金鞭,迴頭應眼穿。

 

其六

綠雲鬢上飛金雀,愁眉斂翠春煙薄。

香閣掩芙蓉,畫屏山幾重。

寒天欲曙,猶結同心苣。

啼粉羅衣,問郎何日歸。

 

其七

玉樓冰簟鴛鴦錦,粉融香汗流山枕。

簾外轆轤聲,斂眉含笑驚。

柳陰煙漠漠,低鬢蟬釵落。

須作一生拚,盡君今日歡。

haqro04
 

 

『菩薩蠻七首 其一』 現代語訳と訳註

(本文)

菩薩蠻七首

其一

舞裙香暖金泥鳳,畫梁語鷰驚殘夢。

門外柳花飛,玉郎猶未歸。

愁勻紅粉淚,眉剪春山翠。

何處是遼陽,錦屏春晝長。

 

(下し文)

(菩薩蠻七首 其の一)

舞裙 香 暖かく 金泥の鳳,畫梁【がりょう】語る鷰 殘夢を驚く。

門外 柳花 飛,玉郎 猶お未だ歸らず。

愁いて紅粉の淚を勻え,眉は春山の翠を剪る。

何處か 是れ遼陽なる,錦屏 春晝 長し。

 

 

(現代語訳)

(辺境に出かけて帰らぬ男を思う女の情を詠う。)

舞いに着るのスカートは香しく金泥の鳳模様がきれい、塗りの梁の上の燕が鳴き交わすと名残りの夢は破られる思いになってしまう。

門の外は春もさかり、柳の架は舞い飛ぶのに、あのひとは未だに帰って来ることはないのです。

待つ身の侘しさで愁いは涙をさそい、くずれた化粧を直します。眉は春山の翠のように整えるのです。

あの人がいるという遼陽は何処なのでしょう、ここの錦屏風の閨の内には春の昼はただ長くなってゆくのです。

 

 

(訳注)

菩薩蠻七首 其一

(辺境に出かけて帰らぬ男を思う女の情を詠う。)

唐教坊の曲名。『花間集』41首、温庭筠14首、韋荘5首、牛嶠7首収められている。双調四十四字、前段二十四字四句二仄韻二平韻、後段二十字四句二仄韻二平韻で、❼❼⑤⑤/❺❺⑤⑤の詞形をとる。

辺境に出かけて帰らぬ男を思う女の情を詠う。末旬は、遙かな男へ思いを馳せ、屏風の陰に引き籠もり、遅々として進まぬ春の日長の所在なさについて語る。

 

舞裙香暖金泥鳳,畫梁語鷰驚殘夢。

舞いに着るのスカートは香しく金泥の鳳模様がきれい、塗りの梁の上の燕が鳴き交わすと名残りの夢は破られる思いになってしまう。

○春暖 薫きしめた香の香りが暖かく感じられる。

 

門外柳花飛,玉郎猶未歸。

門の外は春もさかり、柳の架は舞い飛ぶのに、あのひとは未だに帰って来ることはないのです。

○柳花 綿毛の生えた柳の種。

○玉郎 美男。ここでは愛しい男の意。

 

愁勻紅粉淚,眉剪春山翠。

待つ身の侘しさで愁いは涙をさそい、くずれた化粧を直します。眉は春山の翠のように整えるのです。

○春山 女件の美しい眉を言う。皿 「菩薩蛮」 の 「眉黛遠山緑」 の注参照。

 

何處是遼陽,錦屏春晝長。

あの人がいるという遼陽は何処なのでしょう、ここの錦屏風の閨の内には春の昼はただ長くなってゆくのです。

○遼陽 遼寧省南部遼陽。古代より軍事上の重要都市でああった。
李清照0055
 

江城子二首 其二 牛嶠【ぎゅうきょう】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-329-6-#57-(20)  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3192

牛嶠《江城子二首 其二》 地の果てほどの遠くにある水辺にたちこめていた靄が消えると水鳥は飛びたつのだ。別離の宴があり、別れは迫っている。そこでさらに金杯の酒を勧める。渡し場の柳絮の花は、風吹くままに吹雪のように狂い散っている。

 

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孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。
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江城子二首 其二 牛嶠【ぎゅうきょう】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-329-6-#57-20   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3192

 

 

江城子二首

其一

(睦まじかった鷺も飛び立って戻ってこない大江のほとりの高楼の女を詠う。)

鵁鶄飛起郡城東,碧江空,半灘風。

ごいさぎ.は起き上がって群れをなして、城東の方へ飛んでゆく、そこは大江と天空は碧く一体化しているし、なかば航海が困難な急流があり風がある。

王宮殿,蘋葉藕花中。

「会稽の恥」で臥薪嘗胆して呉を破った越の宮殿には浮草であっても気っても繋がっているレンコンのような花が集まっている。

簾捲水樓魚浪起,千片雪,雨濛濛。

簾を巻き上げ 水辺の高樓から 河を見ると波野真美間に魚が躍っている。山に積もった沢山の雪は春の出水となって流れ、そこに春の長雨でもうもうとした雨霧の中、流れている。

(江城子 二首 其の一)

鵁鶄【こうせい】 起きて郡て城東に飛び,江空を碧とし,半灘の風。

越王の宮殿,蘋葉 藕花 中【あつま】る。

簾捲 水樓 魚浪 起き,千片の雪,雨 濛濛たり。

 

 

江城子二首其二

(旅立ちの船着き場で別離を詠う。)

極浦煙消水鳥飛,離筵分首時,送金巵。

地の果てほどの遠くにある水辺にたちこめていた靄が消えると水鳥は飛びたつのだ。別離の宴があり、別れは迫っている。そこでさらに金杯の酒を勧める。

渡口楊花,狂雪任風吹。

渡し場の柳絮の花は、風吹くままに吹雪のように狂い散っている。

日暮天空波浪急,芳艸岸,雨如絲。

今日も人けもない日暮れのこの港のある川は春水の波が荒れて、芳しい春草の岸には、糸のような雨が降っている。

(江城子二首其の二)

極浦 煙 消えて水鳥 飛び,離筵 分首の時,金巵【きんし】を送る。

渡口の楊花,狂雪 風吹に任かす。

日暮 天空 波浪 急に,芳艸の岸,雨 絲如し。

 柳絮01

 

江城子二首 其二』 現代語訳と訳註

(本文)

江城子二首 其二

極浦煙消水鳥飛,離筵分首時,送金巵。

渡口楊花,狂雪任風吹。

日暮天空波浪急,芳艸岸,雨如絲。

 

 

(下し文)

(其の二)

極浦 煙 消えて水鳥 飛び,離筵 分首の時,金巵【きんし】を送る。

渡口の楊花,狂雪 風吹に任かす。

日暮 天空 波浪 急に,芳艸の岸,雨 絲如し。

 

 

(現代語訳)

(旅立ちの船着き場で別離を詠う。)

地の果てほどの遠くにある水辺にたちこめていた靄が消えると水鳥は飛びたつのだ。別離の宴があり、別れは迫っている。そこでさらに金杯の酒を勧める。

渡し場の柳絮の花は、風吹くままに吹雪のように狂い散っている。

今日も人けもない日暮れのこの港のある川は春水の波が荒れて、芳しい春草の岸には、糸のような雨が降っている。

 

 

(訳注)

江城子二首 其二

(旅立ちの船着き場で別離を詠う。)

荒れる川面も、糸のように降る雨も実景であると同時に、人を見送った後の心の中の風景でもある。また岸辺の芳草も旅立った人の帰りの遅くなることを暗に予期させる。

 

 

極浦煙消水鳥飛,離筵分首時,送金巵。

地の果てほどの遠くにある水辺にたちこめていた靄が消えると水鳥は飛びたつのだ。別離の宴があり、別れは迫っている。そこでさらに金杯の酒を勧める。

○極浦 果ての遙か遠くの水辺。

○離筵 別離の宴席。

〇分首時 いよいよの別れの時。分常は別れる。

〇金巵 金の杯。金属製の杯を飾って言ったもの。

 

渡口楊花,狂雪任風吹。

渡し場の柳絮の花は、風吹くままに吹雪のように狂い散っている。

 

日暮天空波浪急,芳艸岸,雨如絲。

今日も人けもない日暮れのこの港のある川は春水の波が荒れて、芳しい春草の岸には、糸のような雨が降っている。

○芳草 芳しい草。旅立った男が旅先で春草(女)に心奪われて帰って来ないことを。『楚辞』招隠士第十二「王孫遊兮不歸、春草生兮萋萋。」(王孫 遊びて歸らず、春草 生じて萋萋たり。) 

韋荘『望遠行』

欲別無言倚畫屏、含恨暗傷情。

謝家庭樹錦鶏鳴、残月落邊城。

人欲別、馬頻噺、綠槐千里長堤。

出門芳草路萋萋、雲雨別來易東西。

不忍別君後、却入旧香閏。

100 望遠行 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-285-5-#39  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2972

 美女画557

江城子二首 其一 牛嶠【ぎゅうきょう】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-328-6-#15  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3187

牛嶠《江城子二首 其一》 ごいさぎ.は起き上がって群れをなして、城東の方へ飛んでゆく、そこは大江と天空は碧く一体化しているし、なかば航海が困難な急流があり風がある。

 

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女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
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江城子二首 其一 牛嶠【ぎゅうきょう】  Ⅹ

唐五代詞・ 「花間集」 Gs-328-6-#15   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3187

 

 

江城子二首

其一

(睦まじかった鷺も飛び立って戻ってこない大江のほとりの高楼の女を詠う。)

鵁鶄飛起郡城東,碧江空,半灘風。

ごいさぎ.は起き上がって群れをなして、城東の方へ飛んでゆく、そこは大江と天空は碧く一体化しているし、なかば航海が困難な急流があり風がある。

越王宮殿,蘋葉藕花中。

「会稽の恥」で臥薪嘗胆して呉を破った越の宮殿には浮草であっても気っても繋がっているレンコンのような花が集まっている。

簾捲水樓魚浪起,千片雪,雨濛濛。

簾を巻き上げ 水辺の高樓から 河を見ると波野真美間に魚が躍っている。山に積もった沢山の雪は春の出水となって流れ、そこに春の長雨でもうもうとした雨霧の中、流れている。

(江城子 二首 其の一)

鵁鶄【こうせい】 起きて郡て城東に飛び,江空を碧とし,半灘の風。

越王の宮殿,蘋葉 藕花 中【あつま】る。

簾捲 水樓 魚浪 起き,千片の雪,雨 濛濛たり。

 

 

其二

極浦煙消水鳥飛,離筵分首時,送金巵。

渡口楊花,狂雪任風吹。

日暮天空波浪急,芳艸岸,雨如絲。

(其の二)

極浦 煙 消えて水鳥 飛び,離筵 分首の時,金巵【きんし】を送る。

渡口の楊花,狂雪 風吹に任かす。

日暮 天空 波浪 急に,芳艸の岸,雨 絲如し。

 

蘋葉001
 

『江城子二首 其一』 現代語訳と訳註

(本文)

江城子二首

其一

鵁鶄飛起郡城東,碧江空,半灘風。

越王宮殿,蘋葉藕花中。

簾捲水樓魚浪起,千片雪,雨濛濛。

 

 

(下し文)

(江城子 二首 其の一)

鵁鶄【こうせい】 起きて郡て城東に飛び,江空を碧とし,半灘の風。

越王の宮殿,蘋葉 藕花 中【あつま】る。

簾捲 水樓 魚浪 起き,千片の雪,雨 濛濛たり。

 

(現代語訳)

(睦まじかった鷺も飛び立って戻ってこない大江のほとりの高楼の女を詠う。)

ごいさぎ.は起き上がって群れをなして、城東の方へ飛んでゆく、そこは大江と天空は碧く一体化しているし、なかば航海が困難な急流があり風がある。

「会稽の恥」で臥薪嘗胆して呉を破った越の宮殿には浮草であっても気っても繋がっているレンコンのような花が集まっている。

簾を巻き上げ 水辺の高樓から 河を見ると波野真美間に魚が躍っている。山に積もった沢山の雪は春の出水となって流れ、そこに春の長雨でもうもうとした雨霧の中、流れている。

haqro04
 

 

(訳注)

江城子二首 其一

(睦まじかった鷺も飛び立って戻ってこない大江のほとりの高楼の女を詠う。)

『花間集』には七首所収。牛嶠二首、韋荘の作二首(掲載済み)が二首収められ、張泌、欧陽炯らも所収されている。単調二十七字、八句五平韻 7③③/4⑤/73③の詞形をとる。

 

またの名を江神子、春意遠、水晶簾と言う。「花間集』 には韋荘の作は二首収められている。

女が愛する男と床をともにするさまを詠う。ここには差恥に顔を赤らめるような初心な女の姿は全く見られず、積極的で、愛一途に生きる女の姿が描かれている。

103 江城子 其一 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-295-5-#49  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3022

江城子二首 其一

恩重嬌多情易傷,漏更長,解鴛鴦。

朱唇未動,先覺口脂香。

緩揭繡衾抽皓腕,移鳳枕,枕潘郎。

104 江城子 其二 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-296-5-#50  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3027

江城子二首 其二

髻鬟狼藉黛眉長,出蘭房,別檀郎。

角聲嗚咽,星斗漸微茫。

露冷月殘人未起,留不住,淚千行。

 

 

鵁鶄飛起郡城東,碧江空,半灘風。

ごいさぎ.は起き上がって群れをなして、城東の方へ飛んでゆく、そこは大江と天空は碧く一体化しているし、なかば航海が困難な急流があり風がある。

・鵁鶄 ごいさぎ. 水鳥の一種。即ち「池鷺」。頭は細く身は長い,身には花紋を披い,頸は白毛で有り,頭には紅冠が有り,能く水に入って魚を捕り,分佈は中國南方である。鳬に似て脚高く毛冠あり、高木に巣くひ、子を穴中に生む。子其の母の翅を銜へ飛びて上下す。

*この三句は、鷺のように仲睦まじく過ごしたのに、鷺のように南に飛んで行ってしまった。船で降ったあの人の旅路は航路困難な場所があってとても心配だということをいう。

 

越王宮殿,蘋葉藕花中。

「会稽の恥」で臥薪嘗胆して呉を破った越の宮殿には浮草であっても気っても繋がっているレンコンのような花が集まっている。

・蘋葉 浮草の一種で柏餅の葉のように使う。

・藕 レンコン (レンコンはちぎっても糸がつながっている>)(男女が)別れたのになお関係を断ち切れずにいる.藕粉 レンコンの澱粉.

⋆この二句は仲睦まじくしていたころのことをいう。別れてもなお関係を断ち切れずにいることをいう。

 

簾捲水樓魚浪起,千片雪,雨濛濛。

簾を巻き上げ 水辺の高樓から 河を見ると波野真美間に魚が躍っている。山に積もった沢山の雪は春の出水となって流れ、そこに春の長雨でもうもうとした雨霧の中、流れている。

⋆春水の増水のころになっても帰ってこない。そんな大江のほとりの女のいる高楼の有様を云う。
嘉陵江111111
 

更漏子三首 其三 牛嶠【ぎゅうきょう】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-327-6-#14  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3182

更漏子三首 其三 牛嶠 招いていた手でそのまま別れ、少しの間ではあったものの結ばれたのです。またここを去って、歳を重ねこの季節になる。書簡を雁に託してみた。夢ではこの家に帰ってきた。でも夢が覚めると、月は傾きかけているけれど大江に來てしまう。

 

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孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
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魚玄機 詩 全首130回賦得江邊柳 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-65-1-#五言律詩  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1876
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杜甫全詩 韓愈全詩 花間集 古詩源 玉台新詠


更漏子三首 其三 牛嶠【ぎゅうきょう】  Ⅹ 唐五代詞・ 「花間集」 Gs-327-6-#14   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3182


 

更漏子三首

其一

(秋の夜長に時を告げる、女の侘しさを詠う。)その一

星漸稀,漏頻轉,何處輪臺聲怨。

星屑の空もようやく疎らになってきて、時を告げるのもしきりに転じてきた。あの人はどこの高楼に通っているのか、車輪の声が怨みに思うのです。

香閣掩,杏花紅,月明楊柳風。

もう、お香をたいていて楼閣を被っている、杏の花はこんな夜でも紅を保っていたものです。月は明るく照らし、男と女は楊柳となったのです。そして、そこに風が通り抜けたのです。

挑錦字,記情事,惟願兩心相似。

すぐれて美しい詩句をかかげて示され、そして、心の思いを書き記してくれたものです。ただこの二人の心が互いに似ていることを願ったのです。

收淚語,背燈眠,玉釵橫枕邊。

涕とあの人への言葉を収め、一人で燈火を背に横になるのです。あの人にもらった耀く簪も枕の傍においてしまっている。

更漏子【こうろうし】三首 其の一

星 漸【ようや】く稀れにして,漏 頻に轉じ,何處にか輪臺 聲怨す。

香 閣掩い,杏花の紅,月明く 楊柳 風す。

錦字を挑げ,情事を記し,惟だ願う 兩つながらの心 相い似る。

淚 語を收め,燈を背にして眠り,玉釵 枕邊に橫わる。

 

其二

(秋の夜長に時を告げる、女の侘しさを詠う。)その二

春夜闌,更漏促,金燼暗挑殘燭。

春の短い夜も半ば過ぎ、時の流れは急いで過ぎてゆく、金で飾った燭台の灯芯の燃えさしをかき立てるだけだ。

驚夢斷,錦屏深,兩明月心。

彼男との夢めみることから覚めおどろく、錦のきれいな屏風のおくの閏にも、同じ月明かりが照らしているはずなのに、離れ離れに暮らす二人の心は別々になってしまった。

閨艸碧,望歸客,還是不知消息。

春も進み、閏の外青草が茂り、青の人の帰りを望んでいるけれど、今もなお消息は知れない。

辜負我,悔憐君,告天天不聞。

私を裏切ったあの人に、情を捧げたことが悔やまれてならない。天に告げてみたけれど天は答えてくれなくてなにも聞えない。

其二

春夜 闌【たけなわ】,更漏 促し,金燼【きんじん】暗く 殘燭を挑【かか】ぐ。

驚夢 斷え,錦屏 深く,兩 明月の心。

閨艸 碧に,歸客を望み,還お 是れ消息を知らず。

我に辜負【こふ】す,君を憐れみしを悔い,天に告ぐるも天は聞かず。

 

 

更漏子三首 其三

(春の短い夜に夢からさめ、女の侘しさを詠う。)その三

南浦情,紅粉淚,爭柰兩人深意。

別れは南の港で思いが残っている、赤い頬に白粉に涙がつたう、争い鵜は何だったのだろうか、この二人の意識が深まるばかりである。

低翠黛,卷征衣,馬嘶霜葉飛。

女は憂いでみどりの眉を深くし、男は旅装を身に着け、馬が嘶き朝未だ来ない別れに春一番に霜と葉が飛ぶ。

招手別,寸腸結,還是去年時節。

招いていた手でそのまま別れ、少しの間ではあったものの結ばれた。またここを去って、歳を重ねこの季節になる。

書托鴈,夢歸家,覺來江月斜。

書簡を雁に託してみた。夢ではこの家に帰ってきた。でも夢が覚めると、月は傾きかけているけれど大江に來てしまう。

 

(更漏子 三首 其の三)

南浦 情あり,紅粉 淚し,柰を爭うて 兩人 意を深くす。

翠黛を低くして,征衣を卷き,馬は嘶き 霜葉 飛ぶ。

手を招いて別れ,寸腸 結び,還た是こ去りて年も時節なり。

書 鴈に托し,夢 家に歸り,覺めて 月斜めになるも江に來る。

木蓮001
 

『更漏子三首 其三』 現代語訳と訳註

(本文)


更漏子三首 其三

南浦情,紅粉淚,爭柰兩人深意。

低翠黛,卷征衣,馬嘶霜葉飛。

招手別,寸腸結,還是去年時節。

書托鴈,夢歸家,覺來江月斜。

 

 

(下し文)

(更漏子 三首 其の三)

南浦 情あり,紅粉 淚し,柰を爭うて 兩人 意を深くす。

翠黛を低くして,征衣を卷き,馬は嘶き 霜葉 飛ぶ。

手を招いて別れ,寸腸 結び,還た是こ去りて年も時節なり。

書 鴈に托し,夢 家に歸り,覺めて 月斜めになるも江に來る。

 

美女004

 

 

(現代語訳)

(春の短い夜に夢からさめ、女の侘しさを詠う。)その三

別れは南の港で思いが残っている、赤い頬に白粉に涙がつたう、争い鵜は何だったのだろうか、この二人の意識が深まるばかりである。

女は憂いでみどりの眉を深くし、男は旅装を身に着け、馬が嘶き朝未だ来ない別れに春一番に霜と葉が飛ぶ。

招いていた手でそのまま別れ、少しの間ではあったものの結ばれた。またここを去って、歳を重ねこの季節になる。

書簡を雁に託してみた。夢ではこの家に帰ってきた。でも夢が覚めると、月は傾きかけているけれど大江に來てしまう。

 

 

(訳注)

更漏子三首 其三

(春の短い夜に夢からさめ、女の侘しさを詠う。)その三

旅だった男を恨む詞。前段は春の夜半過ぎに目が覚めた時の様子を詠じる。

 

 

南浦情,紅粉淚,爭柰兩人深意。

別れは南の港で思いが残っている、赤い頬に白粉に涙がつたう、争い鵜は何だったのだろうか、この二人の意識が深まるばかりである。

○南浦 南の入り江の津。船で行く男を見送る別離の場を象徴する。長江下流域の江南の港、浙江省、会稽、紹興をいう。春から初夏への経過を感じさせ、女盛りを過ぎようとする時間経過も感じさせる。下句の「西風」で完全に別れてしまったことを感じさせるものである。

牛嶠『感恩多二首』其二

自從南浦別,愁見丁香結。

近來情轉深,憶鴛衾。

幾度將書托煙鴈,淚盈襟。

淚盈襟,禮月求天,願君知我心。

温庭筠『荷葉杯』其三 

楚女欲歸南浦,朝雨,濕愁紅。

小船搖漾入花裏,波起,隔西風。・南浦 

荷葉盃 三首 其三 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-306-5-#60  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3077

 

 

低翠黛,卷征衣,馬嘶霜葉飛。

女は憂いでみどりの眉を深くし、男は旅装を身に着け、馬が嘶き朝未だ来ない別れに春一番に霜と葉が飛ぶ。

○征衣 1 旅に出るときの服装。旅装。2 兵士が戦争に行くときの服装。

 

招手別,寸腸結,還是去年時節。

招いていた手でそのまま別れ、少しの間ではあったものの結ばれた。またここを去って、歳を重ねこの季節になる。

 

書托鴈,夢歸家,覺來江月斜。

書簡を雁に託してみた。夢ではこの家に帰ってきた。でも夢が覚めると、月は傾きかけているけれど大江に來てしまう。
nrika01

更漏子三首 其三 牛嶠【ぎゅうきょう】  Ⅹ

更漏子三首 其二 牛嶠【ぎゅうきょう】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-326-6-#13  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3177

牛嶠《更漏子三首 其二》彼男との夢めみることから覚めおどろく、錦のきれいな屏風のおくの閏にも、同じ月明かりが照らしているはずなのに、離れ離れに暮らす二人の心は別々になってしまった。春も進み、閏の外青草が茂り、青の人の帰りを望んでいるけれど、今もなお消息は知れない。

 

2013年10月22日 同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
   
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司馬相如 《上林賦 》(20)#7-4 文選 賦<110-#7-4>13分割38回 Ⅱ李白に影響を与えた詩925 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3173
●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
Ⅱ中唐詩・晩唐詩
 
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●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
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●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集 Fc2
●●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
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謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
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孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。
李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html 
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首
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更漏子三首 其二 牛嶠【ぎゅうきょう】  Ⅹ

唐五代詞・ 「花間集」 Gs-326-6-#13   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3177

 

 

更漏子三首

其一

(秋の夜長に時を告げる、女の侘しさを詠う。)その一

星漸稀,漏頻轉,何處輪臺聲怨。

星屑の空もようやく疎らになってきて、時を告げるのもしきりに転じてきた。あの人はどこの高楼に通っているのか、車輪の声が怨みに思うのです。

香閣掩,杏花紅,月明楊柳風。

もう、お香をたいていて楼閣を被っている、杏の花はこんな夜でも紅を保っていたものです。月は明るく照らし、男と女は楊柳となったのです。そして、そこに風が通り抜けたのです。

挑錦字,記情事,惟願兩心相似。

すぐれて美しい詩句をかかげて示され、そして、心の思いを書き記してくれたものです。ただこの二人の心が互いに似ていることを願ったのです。

收淚語,背燈眠,玉釵橫枕邊。

涕とあの人への言葉を収め、一人で燈火を背に横になるのです。あの人にもらった耀く簪も枕の傍においてしまっている。

更漏子【こうろうし】三首 其の一

星 漸【ようや】く稀れにして,漏 頻に轉じ,何處にか輪臺 聲怨す。

香 閣掩い,杏花の紅,月明く 楊柳 風す。

錦字を挑げ,情事を記し,惟だ願う 兩つながらの心 相い似る。

淚 語を收め,燈を背にして眠り,玉釵 枕邊に橫わる。

 

其二

(秋の夜長に時を告げる、女の侘しさを詠う。)その二

春夜闌,更漏促,金燼暗挑殘燭。

春の短い夜も半ば過ぎ、時の流れは急いで過ぎてゆく、金で飾った燭台の灯芯の燃えさしをかき立てるだけだ。

驚夢斷,錦屏深,兩明月心。

彼男との夢めみることから覚めおどろく、錦のきれいな屏風のおくの閏にも、同じ月明かりが照らしているはずなのに、離れ離れに暮らす二人の心は別々になってしまった。

閨艸碧,望歸客,還是不知消息。

春も進み、閏の外青草が茂り、青の人の帰りを望んでいるけれど、今もなお消息は知れない。

辜負我,悔憐君,告天天不聞。

私を裏切ったあの人に、情を捧げたことが悔やまれてならない。天に告げてみたけれど天は答えてくれなくてなにも聞えない。

其二

春夜 闌【たけなわ】,更漏 促し,金燼【きんじん】暗く 殘燭を挑【かか】ぐ。

驚夢 斷え,錦屏 深く,兩 明月の心。

閨艸 碧に,歸客を望み,還お 是れ消息を知らず。

我に辜負【こふ】す,君を憐れみしを悔い,天に告ぐるも天は聞かず。

 

 

其三

南浦情,紅粉淚,爭柰兩人深意。

低翠黛,卷征衣,馬嘶霜葉飛。

招手別,寸腸結,還是去年時節。

書托鴈,夢歸家,覺來江月斜。

美女画55101道観

 

『更漏子三首 其二』 現代語訳と訳註

(本文)

更漏子三首 其二

春夜闌,更漏促,金燼暗挑殘燭。

驚夢斷,錦屏深,兩明月心。

閨艸碧,望歸客,還是不知消息。

辜負我,悔憐君,告天天不聞。

 

 

(下し文)

其二

春夜 闌【たけなわ】,更漏 促し,金燼【きんじん】暗く 殘燭を挑【かか】ぐ。

驚夢 斷え,錦屏 深く,兩 明月の心。

閨艸 碧に,歸客を望み,還お 是れ消息を知らず。

我に辜負【こふ】す,君を憐れみしを悔い,天に告ぐるも天は聞かず。

 

 

(現代語訳)

(秋の夜長に時を告げる、女の侘しさを詠う。)その二

春の短い夜も半ば過ぎ、時の流れは急いで過ぎてゆく、金で飾った燭台の灯芯の燃えさしをかき立てるだけだ。

彼男との夢めみることから覚めおどろく、錦のきれいな屏風のおくの閏にも、同じ月明かりが照らしているはずなのに、離れ離れに暮らす二人の心は別々になってしまった。

春も進み、閏の外青草が茂り、青の人の帰りを望んでいるけれど、今もなお消息は知れない。

私を裏切ったあの人に、情を捧げたことが悔やまれてならない。天に告げてみたけれど天は答えてくれなくてなにも聞えない。

 

 

(訳注)

更漏子三首 其二

(春の短い夜に夢からさめ、女の侘しさを詠う。)その二

約束を破った男を恨む詞。前段は春の夜半過ぎに目が覚めた時の様子を詠じる。後段は夜明けの後、高殿から男の帰りを待ち望んでも消息知れずで、不安な男を愛したことを後悔し、天に男の不実を訴えるが、天は耳を傾けてくれぬと、天に対する恨みを述べる。

 

春夜闌,更漏促,金燼暗挑殘燭。

春の短い夜も半ば過ぎ、時の流れは急いで過ぎてゆく、金で飾った燭台の灯芯の燃えさしをかき立てるだけだ。

○春夜闌 春の真夜中過ぎ。春の一番良い時期を過ぎてしまうこと。闌は盛りを過ぎるの意。

○更漏促 春の夜は短く、その上時間が早く経過すること。更漏は水時計。ここでは時間、春が過ぎ去ることを意味する。

○金燼暗挑殘燭 暗くなった灯火の芯の燃えさしをかき立てる。女の若さをかき立てること。挑はかき立てる。

 

驚夢斷,錦屏深,兩明月心。

彼男との夢めみることから覚めおどろく、錦のきれいな屏風のおくの閏にも、同じ月明かりが照らしているはずなのに、離れ離れに暮らす二人の心は別々になってしまった。

○驚夢断 男との良かったころを夢見ることから、はっと夢が覚め、おどろくこと。

〇両郷明月心 同じ月明かりが照らしているはずなのに、離れ離れに暮らす二人の心は別々になってしまったこと。

 

閨艸碧,望歸客,還是不知消息。

春も進み、閏の外青草が茂り、青の人の帰りを望んでいるけれど、今もなお消息は知れない。

○帰客 帰り来る旅人。ここでは女が帰りを待ちち望んでいる男を指す。

○還是 相変わらず、今もなお。

 

辜負我,悔憐君,告天天不聞。

私を裏切ったあの人に、情を捧げたことが悔やまれてならない。天に告げてみたけれど天は答えてくれなくてなにも聞えない。

○辜負 背く、裏切る。

○憐 愛惜を注ぐ。
杏の花001
 

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牛嶠《更漏子三首 其一》もう、お香をたいていて楼閣を被っている、杏の花はこんな夜でも紅を保っていたものです。月は明るく照らし、男と女は楊柳となったのです。そして、そこに風が通り抜けたのです。すぐれて美しい詩句をかかげて示され、そして、心の思いを書き記してくれたものです。ただこの二人の心が互いに似ていることを願ったのです。

 



2013年10月21日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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●●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性 LiveDoor更漏子三首 其一 牛嶠【ぎゅうきょう】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-325-6-#12  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3172
 
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為焦仲卿妻作 序 漢詩<143>古詩源 巻三 女性詩http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67729401.html
於凊河見輓船士新婚別妻一首 曹丕(魏文帝) 魏詩http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67759129.html
朔風 (一章) 曹植 魏詩<25-#1>文選雑詩 上 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67780868.html
謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html 謝靈運詩六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。
謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386ーhttp://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67474554.html
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孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。
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李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首
魚玄機 詩 全首130回賦得江邊柳 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-65-1-#五言律詩  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1876
薛濤 詩詞全首100 井梧吟 薛濤 唐五代詞・宋詩 薛濤-136-8-#1  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2227
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杜甫全詩 韓愈全詩 花間集 古詩源 玉台新詠
更漏子三首 其一 牛嶠【ぎゅうきょう】  Ⅹ Ⅻ 唐五代詞・ 「花間集」 Gs-325-6-#12   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3172

 

更漏子三首

其一

(秋の夜長に時を告げる、女の侘しさを詠う。)その一

星漸稀,漏頻轉,何處輪臺聲怨。

星屑の空もようやく疎らになってきて、時を告げるのもしきりに転じてきた。あの人はどこの高楼に通っているのか、車輪の声が怨みに思うのです。

香閣掩,杏花紅,月明楊柳風。

もう、お香をたいていて楼閣を被っている、杏の花はこんな夜でも紅を保っていたものです。月は明るく照らし、男と女は楊柳となったのです。そして、そこに風が通り抜けたのです。

挑錦字,記情事,惟願兩心相似。

すぐれて美しい詩句をかかげて示され、そして、心の思いを書き記してくれたものです。ただこの二人の心が互いに似ていることを願ったのです。

收淚語,背燈眠,玉釵橫枕邊。

涕とあの人への言葉を収め、一人で燈火を背に横になるのです。あの人にもらった耀く簪も枕の傍においてしまっている。

更漏子【こうろうし】三首 其の一

星 漸【ようや】く稀れにして,漏 頻に轉じ,何處にか輪臺 聲怨す。

香 閣掩い,杏花の紅,月明く 楊柳 風す。

錦字を挑げ,情事を記し,惟だ願う 兩つながらの心 相い似る。

淚 語を收め,燈を背にして眠り,玉釵 枕邊に橫わる。

 

其二

春夜闌,更漏促,金燼暗挑殘燭。

驚夢斷,錦屏深,兩明月心。

閨艸碧,望歸客,還是不知消息。

辜負我,悔憐君,告天天不聞。

 

其三

南浦情,紅粉淚,爭柰兩人深意。

低翠黛,卷征衣,馬嘶霜葉飛。

招手別,寸腸結,還是去年時節。

書托鴈,夢歸家,覺來江月斜。

美女004

 

『更漏子三首 其一』 現代語訳と訳註

(本文)

更漏子三首 其一

星漸稀,漏頻轉,何處輪臺聲怨。

香閣掩,杏花紅,月明楊柳風。

挑錦字,記情事,惟願兩心相似。

收淚語,背燈眠,玉釵橫枕邊。

 

 

(下し文)

更漏子【こうろうし】三首 其の一

星 漸【ようや】く稀れにして,漏 頻に轉じ,何處にか輪臺 聲怨す。

香 閣掩い,杏花の紅,月明く 楊柳 風す。

錦字を挑げ,情事を記し,惟だ願う 兩つながらの心 相い似る。

淚 語を收め,燈を背にして眠り,玉釵 枕邊に橫わる。

 

 

(現代語訳)

(秋の夜長に時を告げる、女の侘しさを詠う。)その一

星屑の空もようやく疎らになってきて、時を告げるのもしきりに転じてきた。あの人はどこの高楼に通っているのか、車輪の声が怨みに思うのです。

もう、お香をたいていて楼閣を被っている、杏の花はこんな夜でも紅を保っていたものです。月は明るく照らし、男と女は楊柳となったのです。そして、そこに風が通り抜けたのです。

すぐれて美しい詩句をかかげて示され、そして、心の思いを書き記してくれたものです。ただこの二人の心が互いに似ていることを願ったのです。

涕とあの人への言葉を収め、一人で燈火を背に横になるのです。あの人にもらった耀く簪も枕の傍においてしまっている。

 

 

(訳注)

更漏子三首 其一

(秋の夜長に時を告げる、女の侘しさを詠う。)更は五更、夕方から、夜明けまで時を告げることを示す。特に秋以降、待ち侘びる夜が長いことを強調するシチュエーションのものをいう。

『花間集』には牛嶠の作が二首収められている。双調四十六字、前段二十三字六句二仄韻二平韻、後段二十三字六句三仄韻二平韻で、3❸❻3③⑤/❸❸❻3③⑤の詞形をとる。更漏子という題で、花間集には温庭筠、韋莊、牛嶠、毛文錫、孫光憲、毛熙震などの作が収録されている。

123 更漏子 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-282-5-#36  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2957

『更漏子 一』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-15-2-#1 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1676

『更漏子 二』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-16-2-#2 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1680

『更漏子 三』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-17-2-#3 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1684

『更漏子 四』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-18-2-#4 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1688

『更漏子 五』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-19-2-#5 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1692

『更漏子 六』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-20-2-#6 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1696

 

 

星漸稀,漏頻轉,何處輪臺聲怨。

星屑の空もようやく疎らになってきて、時を告げるのもしきりに転じてきた。あの人はどこの高楼に通っているのか、車輪の声が怨みに思うのです。

・星漸稀 深夜の満点の星屑から時間経過し空が少し明るくなってきた様子を云う。一人で過ごす夜を表現する句である。

・漏頻轉 漏水の水時計がひたひたと過ぎていく様子を云う。

・輪臺聲怨 夜が明ける前から人々が動き始めることを云うもので、この夜も来てくれなかったことで、車輪の音が怨めしく思うのである。又別の意味で、他の高楼で男女の情事の声を怨みに思うということでもある。

 

香閣掩,杏花紅,月明楊柳風。

もう、お香をたいていて楼閣を被っている、杏の花はこんな夜でも紅を保っていたものです。月は明るく照らし、男と女は楊柳となったのです。そして、そこに風が通り抜けたのです。

・香閣掩 お香が夜中中焚かれて高閣に広がっていること、時間経過を示す言葉と、侘しさを示すものである。

・杏花紅 杏の花は女盛りをあらわすものである。こんなに一人で居てもまだ女盛り、女としてそのままであるということ。

・月明楊柳風 月は女性を示し、楊柳は楊が男、柳が女をあらわし、情事が終わった後に汗ばんだところに微風が吹いてきたことを云うのである。ここの三句は楽しかった日々のことをいうものである。

 

挑錦字,記情事,惟願兩心相似。

すぐれて美しい詩句をかかげて示され、そして、心の思いを書き記してくれたものです。ただこの二人の心が互いに似ていることを願ったのです。

・挑錦字 ・錦字 すぐれて美しい詩句。錦字をかかげるというのは、この女性に対して美辞麗句をしめされていたということ。

・記情事 心が動かされる言葉を書き記した。

 

 

收淚語,背燈眠,玉釵橫枕邊。

涕とあの人への言葉を収め、一人で燈火を背に横になるのです。あの人にもらった耀く簪も枕の傍においてしまっている。

・背燈 燈火を後ろに離れて淋しい様子を云う。一人で居るので明るくなくてもよいことをいう。韋荘『更漏子』.

鐘鼓寒,樓閣暝,月照古銅金井。

深院閉,小樓空,落花香露紅。

煙柳重,春霧薄,燈背水窗高閣。

閑倚,暗沾衣,待郎郎不歸。

123 更漏子 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-282-5-#36  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2957

botan00
 


望江怨 牛嶠【ぎゅうきょう】 ⅩⅫ唐五代詞・「花間集」 Gs-324-6-#11 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3167

望江怨 牛嶠【ぎゅうきょう】 東風は春を知らせる強い風(春一番)、別れを惜んだのは花の時で、繰り返し手を握り交わしたものでした。

 

2013年10月20日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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望江怨 牛嶠【ぎゅうきょう】 Ⅹ

唐五代詞・「花間集」 Gs-324-6-#11 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3167

 

 

望江怨

東風急,惜別花時手頻執。

東風は春を知らせる強い風(春一番)、別れを惜んだのは花の時で、繰り返し手を握り交わしたものでした。

羅幃愁獨入,馬嘶殘雨春蕪

薄い肌襦袢にとばりは愁いを誘い、独り閨にはいるのです、あの人の乗る馬は嘶き、行ってしまうと名残りの雨に春草は濡れるのです。

倚門立,寄語薄情郎,粉香和淚泣。

きっと帰って来てくれると門口に佇んで、薄情もののあの人に言葉を寄せるのですが、涙が頬を濡らし、頬の白粉が溶ける日々が続くのです。

 

望江怨【ぼうこうえん】

東風 急なり,惜別 花の時 手頻に執る。

羅幃 愁いて獨り入れば,馬殘雨に嘶きて 春蕪 【うるお】う

門に倚りて立ち,語を薄情の郎に寄せれども,粉香 淚に和して泣くなり。

 

美女画55101道観
 

 

『望江怨』 現代語訳と訳註

(本文)

望江怨

東風急,惜別花時手頻執。

羅幃愁獨入,馬嘶殘雨春蕪

倚門立,寄語薄情郎,粉香和淚泣。

 

 

(下し文)

望江怨【ぼうこうえん】

東風 急なり,惜別 花の時 手頻に執る。

羅幃 愁いて獨り入れば,馬殘雨に嘶きて 春蕪 【うるお】う

門に倚りて立ち,語を薄情の郎に寄せれども,粉香 淚に和して泣くなり。

 

 

(現代語訳)

東風は春を知らせる強い風(春一番)、別れを惜んだのは花の時で、繰り返し手を握り交わしたものでした。

薄い肌襦袢にとばりは愁いを誘い、独り閨にはいるのです、あの人の乗る馬は嘶き、行ってしまうと名残りの雨に春草は濡れるのです。

きっと帰って来てくれると門口に佇んで、薄情もののあの人に言葉を寄せるのですが、涙が頬を濡らし、頬の白粉が溶ける日々が続くのです。

 

 

(訳注)

望江怨

大江の傍の花街のおんな

花間集には牛嶠一首のみ所収。単調三十五字、七句六仄韻で、❸❼❺❼❸5❺の詞形をとる。

旅立ったまま帰らぬ男を恨む女の情を詠う。第一句から第四句までは、男の旅立ちを見送った時の回想をのべ、第五句から末句までは、男の帰りを待ちわびる女の心情を述べる。すべて男目線の女の情をのべるものである。

 

東風急,惜別花時手頻執。

東風は春を知らせる強い風(春一番)、別れを惜んだのは花の時で、繰り返し手を握り交わしたものでした。

 

 

羅幃愁獨入,馬嘶殘雨春蕪

薄い肌襦袢にとばりは愁いを誘い、独り閨にはいるのです、あの人の乗る馬は嘶き、行ってしまうと名残りの雨に春草は濡れるのです。

○羅幃 ここでは薄絹の肌襦袢、帳を垂れた閏を指す。

 

倚門立,寄語薄情郎,粉香和淚泣。

きっと帰って来てくれると門口に佇んで、薄情もののあの人に言葉を寄せるのですが、涙が頬を濡らし、頬の白粉が溶ける日々が続くのです。

○粉香和涙泣 流す涙に頬の白粉が溶けること。
菜の花001
 

應天長二首 其二 牛嶠【ぎゅうきょう】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-323-6-#10  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3162

牛嶠《應天長二首 其二》別れて以来、時は流れ去り、もう、うらむ思いさえなくなってくるのです。手紙には言い訳の心にもないことをあなたは言ってくる、「私はあなたを思い続けてやつれてしまうほどだ」と。もう信じることはない手紙の中の、人たぶらかす「断腸」の文字。

 

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女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首
魚玄機 詩 全首130回賦得江邊柳 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-65-1-#五言律詩  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1876
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應天長二首 其二 牛嶠【ぎゅうきょう】  Ⅹ

 

 

應天長二首

其一

(思いを寄せたころから、愛情あふれる生活を詠う詩)

玉樓春望晴煙滅,舞衫斜卷金調

耀くような高楼に上って、あの人と一緒に過ごし、春の景色を眺めるのです、薄い肌着で踊り、斜卷の首輪をつけ、金細工の塗り物を付けていたものをすべて外して本物に変わったのです。

黃鸝嬌囀聲初歇,杏花飄盡攏山雪。

高麗鶯は色よく囀っていたのをはじめてその声を一息入れたのです。そして杏の花が咲き、その花も舞い散りつくす頃、雪のような肌を横たえたのです。

鳳釵低赴節,筵上王孫愁

女として最高位の鳳凰の簪をいただき、腰を低くして礼節につとめたものです。宴席に出席して、皇帝の子孫の褄としてうれうことなどまったくなかったのです。

鴛鴦對㘅羅結,兩情深夜月。

オシドリはそのことに対して感謝し、女としての役割を果たしたのです。二人の心は夜も更けて真上にある月のように誠意ある物なのです。

應天長【おうてんちょう】二首

其一

玉樓 春望 晴れて煙滅し,舞衫 斜卷 金調

黃鸝 嬌囀し聲初めて歇み,杏花 飄盡 攏山の雪。

鳳釵 低く節に赴し,筵上 王孫 愁

鴛鴦 㘅に對し羅結し,兩情 深夜の月。

 

其二

(あれほど愛いをそそいでくれたのに、送ってくれる手紙には人を欺く言葉しかない)

雙眉澹薄藏心事,清夜背燈嬌又醉。

淡く描いた眉、思いを寄せたあの人、秘めたる胸のうちはたかなり、初めて清き夜に灯に背を向けて艶やかにまそして酔いしれたのです。

玉釵橫,山枕膩,寶帳鴛鴦春睡美。

そして、宝飾で飾る簪が閨の枕元に横たわり、羅衣を着て横になる顔は火照り、テカっています、オシドリ絵の帳はあのひととの春の印影のうちにあったものです。

別經時,無恨意,虛道相思憔悴。

別れて以来、時は流れ去り、もう、うらむ思いさえなくなってくるのです。手紙には言い訳の心にもないことをあなたは言ってくる、「私はあなたを思い続けてやつれてしまうほどだ」と。

莫信綵牋書裏,賺人腸斷字。

もう信じることはない手紙の中の、人たぶらかす「断腸」の文字。

 

應天長【おうてんちょう】二首 其の二

雙眉 澹薄【たんはく】にして心事を藏す,清夜 燈を背に 嬌として又た醉う。

玉釵 橫たわり,山枕 膩【てか】る,寶帳の鴛鴦 春睡 美【うま】し。

別れて時を經て,無恨の意,虛しく道【い】う相い思うて憔悴【しょうすい】すと。

信ずること莫れ 綵牋【さいせん】書裏,人を賺【たかぶ】らす腸斷の字。

 

 

『應天長二首』 現代語訳と訳註

(本文)

應天長二首 其二

雙眉澹薄藏心事,清夜背燈嬌又醉。

玉釵橫,山枕膩,寶帳鴛鴦春睡美。

別經時,無恨意,虛道相思憔悴。

莫信綵牋書裏,賺人腸斷字。

 

 

(下し文)

應天長【おうてんちょう】二首 其の二

雙眉 澹薄【たんはく】にして心事を藏す,清夜 燈を背に 嬌として又た醉う。

玉釵 橫たわり,山枕 膩【てか】る,寶帳の鴛鴦 春睡 美【うま】し。

別れて時を經て,無恨の意,虛しく道【い】う相い思うて憔悴【しょうすい】すと。

信ずること莫れ 綵牋【さいせん】書裏,人を賺【たかぶ】らす腸斷の字。

 

 

(現代語訳)

(あれほど愛いをそそいでくれたのに、送ってくれる手紙には人を欺く言葉しかない)

淡く描いた眉、思いを寄せたあの人、秘めたる胸のうちはたかなり、初めて清き夜に灯に背を向けて艶やかにまそして酔いしれたのです。

そして、宝飾で飾る簪が閨の枕元に横たわり、羅衣を着て横になる顔は火照り、テカっています、オシドリ絵の帳はあのひととの春の印影のうちにあったものです。

別れて以来、時は流れ去り、もう、うらむ思いさえなくなってくるのです。手紙には言い訳の心にもないことをあなたは言ってくる、「私はあなたを思い続けてやつれてしまうほどだ」と。

もう信じることはない手紙の中の、人たぶらかす「断腸」の文字。

嘉陵江111111
 

 

(訳注)

應天長二首 其二

『花間集』 には牛嶠の作が二首収められている。双調五十字、前段二十七字五句四仄韻、後段二十三字五句四仄韻で、❼❼3❸❼/3❸❻❻❺の詞形をとる。花間集に韋荘二首、顧夐一首の『応天長』がある。

其二

(あれほど愛いをそそいでくれたのに、送ってくれる手紙には人を欺く言葉しかない)

別離の後、手紙では、口先だけのうまいことを言うだけで、誠実さに欠けた男に対する女の恨みを詠う。前段は、男がまだ女と別れ去る前の逢瀬の女の喜びについて述べる。「寶帳の鴛駕」ほ帳の賀意(オシドリ)模様であると同時に、鴛駕のように過した日々のことをいい、「春睡美」は、交歓の後の幸せに満ちあふれた眠りを指す。後段は、男が去った後の悲しみの日々を詠う。男は手紙に心にもない「相い思うて憮俸す」「腸断」といった言葉を書き送って来るけれど、もうそんな人を欺く言葉は信じないと、男の不実をなじる。

 

雙眉澹薄藏心事,清夜背燈嬌又醉。

淡く描いた眉、思いを寄せたあの人、秘めたる胸のうちはたかなり、初めて清き夜に灯に背を向けて艶やかにまそして酔いしれたのです。

○背灯 灯火に背を向ける。就寝の時、人に顔の表情を読み取られまいとしたり、薫じらいを隠そうとする際、明かりを避けるために行う。

 

玉釵橫,山枕膩,寶帳鴛鴦春睡美。

そして、宝飾で飾る簪が閨の枕元に横たわり、羅衣を着て横になる顔は火照り、テカっています、オシドリ絵の帳はあのひととの春の印影のうちにあったものです。

○玉釵横 玉飾りの簪が枕の傍らに抜け落ちているさま。男女の交わりを云う。

○山枕 山形の枕。枕のこと。温庭筠の更漏子詞に「山枕蹴、錦余寒」、顧鼻の甘州子詞に山枕上、長是怯農鐘」とある。ただ、「山」羅衣を着て横になる女性の姿という意味もある。。

○鴛駕 オシドリ。

 

別經時,無恨意,虛道相思憔悴。

別れて以来、時は流れ去り、もう、うらむ思いさえなくなってくるのです。手紙には言い訳の心にもないことをあなたは言ってくる、「私はあなたを思い続けてやつれてしまうほどだ」と。

○虚道 心にもないことを言う。道は言う。心にもないことは「相思憔悴」

 

莫信綵牋書裏,賺人腸斷字。

もう信じることはない手紙の中の、人たぶらかす「断腸」の文字。

○綵牋 色付きの書簡箋。花街や芸妓が使うもので他に女がいることを示すもの。男の側からすれば、一夫多妻制の時代であるから、必ずしも浮気を隠す必要はないのである。ただこの時代の女は、男が通ってくることが妻という地位を作ったのである。

○賺 たぶらかす、欺く。
鸕鶿001
 

唐五代詞・ 「花間集」 Gs-323-6-#10   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3162

應天長二首 其一 牛嶠 ⅩⅫ唐五代詞・「花間集」 Gs-322-6-#9 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3157

牛嶠《應天長二首 其一》高麗鶯は色よく囀っていたのをはじめてその声を一息入れたのです。そして杏の花が咲き、その花も舞い散りつくす頃、雪のような肌を横たえたのです。女として最高位の鳳凰の簪をいただき、腰を低くして礼節につとめたものです。宴席に出席して、皇帝の子孫の褄としてうれうことなどまったくなかったのです。

 

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謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
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女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
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 應天長二首 其一 牛嶠 Ⅹ

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應天長二首

其一

(思いを寄せたころから、愛情あふれる生活を詠う詩)

玉樓春望晴煙滅,舞衫斜卷金調

耀くような高楼に上って、あの人と一緒に過ごし、春の景色を眺めるのです、薄い肌着で踊り、斜卷の首輪をつけ、金細工の塗り物を付けていたものをすべて外して本物に変わったのです。

黃鸝嬌囀聲初歇,杏花飄盡攏山雪。

高麗鶯は色よく囀っていたのをはじめてその声を一息入れたのです。そして杏の花が咲き、その花も舞い散りつくす頃、雪のような肌を横たえたのです。

鳳釵低赴節,筵上王孫愁

女として最高位の鳳凰の簪をいただき、腰を低くして礼節につとめたものです。宴席に出席して、皇帝の子孫の褄としてうれうことなどまったくなかったのです。

鴛鴦對㘅羅結,兩情深夜月。

オシドリはそのことに対して感謝し、女としての役割を果たしたのです。二人の心は夜も更けて真上にある月のように誠意ある物なのです。

應天長【おうてんちょう】二首

其一

玉樓 春望 晴れて煙滅し,舞衫 斜卷 金調

黃鸝 嬌囀し聲初めて歇み,杏花 飄盡 攏山の雪。

鳳釵 低く節に赴し,筵上 王孫 愁

鴛鴦 㘅に對し羅結し,兩情 深夜の月。

 

 

其二

雙眉澹薄藏心事,清夜背燈嬌又醉。

玉釵橫,山枕膩,寶帳鴛鴦春睡美。

別經時,無恨意,虛道相思憔悴。

莫信綵牋書裏,賺人腸斷字。

(あれほど愛いをそそいでくれたのに、送ってくれる手紙には人を欺く言葉しかない)

淡く描いた眉、思いを寄せたあの人、秘めたる胸のうちはたかなり、初めて清き夜に灯に背を向けて艶やかにまそして酔いしれたのです。

そして、宝飾で飾る簪が閨の枕元に横たわり、羅衣を着て横になる顔は火照り、テカっています、オシドリ絵の帳はあのひととの春の印影のうちにあったものです。

別れて以来、時は流れ去り、もう、うらむ思いさえなくなってくるのです。手紙には言い訳の心にもないことをあなたは言ってくる、「私はあなたを思い続けてやつれてしまうほどだ」と。

もう信じることはない手紙の中の、人たぶらかす「断腸」の文字。

 

應天長【おうてんちょう】二首 其の二

雙眉 澹薄【たんはく】にして心事を藏す,清夜 燈を背に 嬌として又た醉う。

玉釵 橫たわり,山枕 膩【てか】る,寶帳の鴛鴦 春睡 美【うま】し。

別れて時を經て,無恨の意,虛しく道【い】う相い思うて憔悴【しょうすい】すと。

信ずること莫れ 綵牋【さいせん】書裏,人を賺【たかぶ】らす腸斷の字。

 

 

 

『應天長二首 其一』 現代語訳と訳註

(本文)

應天長二首

其一

玉樓春望晴煙滅,舞衫斜卷金調

黃鸝嬌囀聲初歇,杏花飄盡攏山雪。

鳳釵低赴節,筵上王孫愁

鴛鴦對㘅羅結,兩情深夜月。

 

 

(下し文)

應天長【おうてんちょう】二首

其一

玉樓 春望 晴れて煙滅し,舞衫 斜卷 金調

黃鸝 嬌囀し聲初めて歇み,杏花 飄盡 攏山の雪。

鳳釵 低く節に赴し,筵上 王孫 愁

鴛鴦 㘅に對し羅結し,兩情 深夜の月。

 

 

(現代語訳)

(思いを寄せたころから、愛情あふれる生活を詠う詩)

耀くような高楼に上って、あの人と一緒に過ごし、春の景色を眺めるのです、薄い肌着で踊り、斜卷の首輪をつけ、金細工の塗り物を付けていたものをすべて外して本物に変わったのです。

高麗鶯は色よく囀っていたのをはじめてその声を一息入れたのです。そして杏の花が咲き、その花も舞い散りつくす頃、雪のような肌を横たえたのです。

女として最高位の鳳凰の簪をいただき、腰を低くして礼節につとめたものです。宴席に出席して、皇帝の子孫の褄としてうれうことなどまったくなかったのです。

オシドリはそのことに対して感謝し、女としての役割を果たしたのです。二人の心は夜も更けて真上にある月のように誠意ある物なのです。

鴛鴦おしどり0022
 

 

(訳注)

應天長二首 其一

『花間集』 には牛嶠の作が二首収められている。双調五十字、前段二十七字五句四仄韻、後段二十三字五句四仄韻で、❼❼3❸❼/3❸❻❻❺の詞形をとる。花間集に韋荘二首、顧夐一首の『応天長』がある。

應天長 一 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-256-5-#10  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2662

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其一

(思いを寄せたころから、愛情あふれる生活を詠う詩)

 

玉樓春望晴煙滅,舞衫斜卷金調

耀くような高楼に上って、あの人と一緒に過ごし、春の景色を眺めるのです、薄い肌着で踊り、斜卷の首輪をつけ、金細工の塗り物を付けていたものをすべて外して本物に変わったのです。

 

黃鸝嬌囀聲初歇,杏花飄盡攏山雪。

高麗鶯は色よく囀っていたのをはじめてその声を一息入れたのです。そして杏の花が咲き、その花も舞い散りつくす頃、雪のような肌を横たえたのです。

・黃鸝 コウライウグイスは、動物界脊索動物門鳥綱スズメ目コウライウグイス科に分類される鳥。

・歇 1) 休息する歇一会儿ひと息入れる.(2) 停止する,中止する.(3) 《方》寝る,眠る.《方》短い時間,しばらくの間一歇ごく短い時間.

・攏 (1) 合わせる,まとめる笑得不上嘴笑いで口がしまらない.拢账帳簿をしめる.(2) 離れぬようにする,一つに集める柴火薪を束ねる.(3) (髪を)とかす拢头发髪をとかす.(4) 到着する,近づく.

・山雪 女として雪のような肌を横たえた。

 

鳳釵低赴節,筵上王孫愁

女として最高位の鳳凰の簪をいただき、腰を低くして礼節につとめたものです。宴席に出席して、皇帝の子孫の褄としてうれうことなどまったくなかったのです。

・鳳釵 鳳凰の簪

 

鴛鴦對㘅羅結,兩情深夜月。

オシドリはそのことに対して感謝し、女としての役割を果たしたのです。二人の心は夜も更けて真上にある月のように誠意ある物なのです。

・㘅 馬嚼子。橫在馬口裡駕馭馬的金屬小棒。 2. 含,口含物。3. 接受;擔任。 4. 感謝;感激。 5. 恨,懷恨在心。 6. 互相連接。 7. 官階。官位銜接晉陞的名稱。

・羅結 古代の女性の主な仕事は機を織ることで女としての役割を果たしたという意味。羅(ら、うすもの)は絡み織を用いた、目の粗い絹織物の一種。もともと羅とは鳥や小動物などを捕獲するための網を意味する言葉だったが、絹で織った網のような薄物を指す言葉にもなった。紗や絽と同じく生糸や半練糸を用いる捩織(もじりおり)と言って、経糸を絡み合わせた間に緯糸を通す織り方をする薄く透き通った織物の一種。紗や絽が経糸2本を絡み合わせるのに対して、羅は3本以上の経糸を絡ませて織り目が網のような見た目になるのが特徴。
満月003
 

感恩多二首 二 牛嶠【ぎゅうきょう】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-321-6-#8  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3152

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2013年10月17日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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感恩多二首 二 牛嶠【ぎゅうきょう】  Ⅹ

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感恩多二首

其一

(来ないぬ男を待ちわびる女の心情を詠う。)

兩條紅粉淚,多少香閨意。

まだうら若い赤い頬、おしろいにふた筋の涕が流れる。香の残りが濃く、薄く匂うこの閨には思いは残ったままなのです。

強攀桃李枝,斂愁眉。

無理やりに心をひきたて桃やスモモの花の枝を折り取り、自ら愁いを慰めるのです。ただ眉をひそめて愁いているだけなのです。

陌上鶯啼蝶舞,柳花飛。

男が通ってくるはずの大通りに春を告げる鶯が啼き、蝶は花に飛び舞い交うのです。そして、柳絮が飛んでいて、柳絮と男のうわさも一緒に飛んでくるのです。

柳花飛,願得郎心,憶家還早歸。

浮気者のあのひとの心に「わたしの家のことを思い、またすぐに帰ろうとしてくれる」と、そんな気持ちになってほしいのです。

 

感恩多 二首の一

兩條の紅粉の淚,多少 香閨【こうけい】の意。

強いて桃李の枝を攀【よ】じ,愁眉を斂【お】さむ。

陌上 鶯啼き蝶舞い,柳花飛び、柳花飛ぶ。

願わくば郎の心「家を憶いて還た早に歸らん。」を得ん。

 

其二

其の二(帰って来ないばかりか、連絡もない男を待ちわびる女の心情を詠う。)

自從南浦別,愁見丁香結。

南の入り江の津で舟を送り、別れをつげてからは、丁字の花の結ぶのを見ても心は悲しくうれうのです。

近來情轉深,憶鴛衾。

近頃ではあの人への思いが揺れ動き、いよいよ深まるばかり、あの人と過ごしたあの鴛鴦の掛け布団をおもうのです。 

幾度將書托煙鴈,淚盈襟。

これまで何度もあの人に手紙を送り、空を飛ぶ雁に託したものです。何の返事もないので、涙はしとどに襟を濡らしているのです。

淚盈襟,禮月求天,願君知我心。

涙はあふれ襟を濡らしてます。月にねがい天に祈って、わたしの思いを「君」に知ってほしいと願うのです。

 

感恩多 二首の二

南浦にて別れて自從【より】,丁香の結ぶを愁い見る。

近來 情 轉【うた】た深く,鴛衾【えんきん】を憶う。

幾度 將に書を煙鴈【えんがん】に托せる,淚 襟に盈ち,淚 襟に盈つ。

月に禮し 天に求む,願わくば 君が我が心を知れと。

嘉陵江111111
 

 

『感恩多二首』 現代語訳と訳註


(
本文)

牛嶠『感恩多二首』其二

自從南浦別,愁見丁香結。

近來情轉深,憶鴛衾。

幾度將書托煙鴈,淚盈襟。

淚盈襟,禮月求天,願君知我心。

 

 

(下し文)

感恩多 二首の二

南浦にて別れて自從【より】,丁香の結ぶを愁い見る。

近來 情 轉【うた】た深く,鴛衾【えんきん】を憶う。

幾度 將に書を煙鴈【えんがん】に托せる,淚 襟に盈ち,淚 襟に盈つ。

月に禮し 天に求む,願わくば 君が我が心を知れと。

 

 

(現代語訳)

其の二(帰って来ないばかりか、連絡もない男を待ちわびる女の心情を詠う。)

南の入り江の津で舟を送り、別れをつげてからは、丁字の花の結ぶのを見ても心は悲しくうれうのです。

近頃ではあの人への思いが揺れ動き、いよいよ深まるばかり、あの人と過ごしたあの鴛鴦の掛け布団をおもうのです。 

これまで何度もあの人に手紙を送り、空を飛ぶ雁に託したものです。何の返事もないので、涙はしとどに襟を濡らしているのです。

涙はあふれ襟を濡らしてます。月にねがい天に祈って、わたしの思いを「君」に知ってほしいと願うのです。

 

 

(訳注)

感恩多 二首之一

唐の教坊の曲名。『花間集』には牛嶠の二首のみ所収。㈱ほ、双調三十九字、前段十八字四旬二灰韻二平韻、後段二十一字五句三平韻で、❺❺⑤③/6③③4

 

其二

(帰って来ないばかりか、連絡もない男を待ちわびる女の心情を詠う。)

男と南の入り江で別れたとある、春の東から初夏の南と時間の経過を感じさせる。その時間経過は、女の蕾を女盛りを過ぎようとする時間経過も感じさせる。そして、その後の女の情を詠う。後段、これまで何度も手紙を出して釆たが、効果はなく、ただ涙に明け暮れる日々、どうか神様、あの人がこの私の思いを知ってくれますようにと、月や天に祈るほかはない苦しみを訴える。

 

 

自從南浦別,愁見丁香結。

南の入り江の津で舟を送り、別れをつげてからは、丁字の花の結ぶのを見ても心は悲しくうれうのです。

〇自從 〜から。

○南浦 南の入り江の津。船で行く男を見送る別離の場を象徴する。

『荷葉杯』其三 

楚女欲歸南浦,朝雨,濕愁紅。

小船搖漾入花裏,波起,隔西風。

・南浦 長江下流域の江南の港、浙江省、会稽、紹興をいう。

春から初夏への経過を感じさせ、女盛りを過ぎようとする時間経過も感じさせる。下句の「西風」で完全に別れてしまったことを感じさせるものである。

荷葉盃 三首 其三 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-306-5-#60  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3077

○丁香結 チョウジの花が開花の崎でも花びらが閉じたようになっていること。愁いに心が結ばれて解けぬ比喩。香の字を用いているのほ、チョウジの花を乾燥させたものが薬剤や香辛料として用いられたことによるもの

 

 

近來情轉深,憶鴛衾。

近頃ではあの人への思いが揺れ動き、いよいよ深まるばかり、あの人と過ごしたあの鴛鴦の掛け布団をおもうのです。 

○憶鴛衾 オシドリ模様の掛け布団を偲ぶ。かつて男と同衾した時のことを追想した語である。

 

 

幾度將書托煙鴈,淚盈襟。

これまで何度もあの人に手紙を送り、空を飛ぶ雁に託したものです。何の返事もないので、涙はしとどに襟を濡らしているのです。

○幾度將書托煙鴈 何度も手紙を送ったが、手紙にはなしのつぶてであったこと。将は〜を。雁は手紙を運ぶ使者。これと同じものは温庭筠にもある

温庭筠『酒泉子 (四)』

楚女不歸,樓枕小河春水。

月孤明,風又起,杏花稀。

斜簪雲鬟重,裙上金縷鳳。

八行書,千裏夢,雁南飛。

 

 

淚盈襟,禮月求天,願君知我心。

涙はあふれ襟を濡らしてます。月にねがい天に祈って、わたしの思いを「君」に知ってほしいと願うのです。
鸕鶿001
 

感恩多 一 牛嶠【ぎゅうきょう】ⅩⅫ唐五代詞・「花間集」Gs-320-6-#7 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3147

牛嶠《感恩多 二首之一》浮気者のあのひとの心に「わたしの家のことを思い、またすぐに帰ろうとしてくれる」と、そんな気持ちになってほしいのです。

 

2013年10月16日  同じ日の紀頌之5つのブログ
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謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
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李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人 
http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 
http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 
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『花間集』継続中

 

感恩多 一 牛嶠【ぎゅうきょう】Ⅹ唐五代詞・「花間集」Gs-320-6-#7 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3147

 

 

感恩多二首

其一

兩條紅粉淚,多少香閨意。

強攀桃李枝,斂愁眉。

陌上鶯啼蝶舞,柳花飛。

柳花飛,願得郎心,憶家還早歸。

(来ないぬ男を待ちわびる女の心情を詠う。)

まだうら若い赤い頬、おしろいにふた筋の涕が流れる。香の残りが濃く、薄く匂うこの閨には思いは残ったままなのです。

無理やりに心をひきたて桃やスモモの花の枝を折り取り、自ら愁いを慰めるのです。ただ眉をひそめて愁いているだけなのです。

男が通ってくるはずの大通りに春を告げる鶯が啼き、蝶は花に飛び舞い交うのです。そして、柳絮が飛んでいて、柳絮と男のうわさも一緒に飛んでくるのです。

浮気者のあのひとの心に「わたしの家のことを思い、またすぐに帰ろうとしてくれる」と、そんな気持ちになってほしいのです。

 

感恩多 二首の一

兩條の紅粉の淚,多少 香閨【こうけい】の意。

強いて桃李の枝を攀【よ】じ,愁眉を斂【お】さむ。

陌上 鶯啼き蝶舞い,柳花飛び、柳花飛ぶ。

願わくば郎の心「家を憶いて還た早に歸らん。」を得ん。

 

其二

自從南浦別,愁見丁香結。

近來情轉深,憶鴛衾。

幾度將書托煙鴈,淚盈襟。

淚盈襟,禮月求天,願君知我心。

 

感恩多 二首の二

南浦にて別れて自從【より】,丁香の結ぶを愁い見る。

近來 情 轉【うた】た深く,鴛衾【えんきん】を憶う。

幾度 將に書を煙鴈【えんがん】に托せる,淚 襟に盈ち,淚 襟に盈つ。

月に禮し 天に求む,願わくば 君が我が心を知れと。

 DCF00110

 

『感恩多二首』 現代語訳と訳註

(本文) 感恩多二首

其一

兩條紅粉淚,多少香閨意。

強攀桃李枝,斂愁眉。

陌上鶯啼蝶舞,柳花飛。柳花飛,

願得郎心,憶家還早歸。

 

 

(下し文)

感恩多 二首の一

兩條の紅粉の淚,多少 香閨【こうけい】の意。

強いて桃李の枝を攀【よ】じ,愁眉を斂【お】さむ。

陌上 鶯啼き蝶舞い,柳花飛び。柳花飛ぶ,

願わくば郎の心「家を憶いて還た早に歸らん。」を得ん。

 

 

(現代語訳)

(来ないぬ男を待ちわびる女の心情を詠う。)

まだうら若い赤い頬、おしろいにふた筋の涕が流れる。香の残りが濃く、薄く匂うこの閨には思いは残ったままなのです。

無理やりに心をひきたて桃やスモモの花の枝を折り取り、自ら愁いを慰めるのです。ただ眉をひそめて愁いているだけなのです。

男が通ってくるはずの大通りに春を告げる鶯が啼き、蝶は花に飛び舞い交うのです。そして、柳絮が飛んでいて、柳絮と男のうわさも一緒に飛んでくるのです。

浮気者のあのひとの心に「わたしの家のことを思い、またすぐに帰ろうとしてくれる」と、そんな気持ちになってほしいのです。

 

 

(訳注)

感恩多 二首之一

(来ないぬ男を待ちわびる女の心情を詠う。)

唐の教坊の曲名。『花間集』には牛嶠の二首のみ所収。㈱ほ、双調三十九字、前段十八字四旬二灰韻二平韻、後段二十一字五句三平韻で、❺❺⑤③/6③③4

前段は、頬を濡らす二筋の涙には、どれほどの愁いが込められているかと自問し、今が盛りの桃や李(スモモ)の花の枝を手折ってみたものの、愁いは依然として解けないことを言う。最後は、浮気男が女の家を思い起こして早く帰ってきてくるようにと、切ない願いを語る。

 

 

兩條紅粉淚,多少香閨意。

まだうら若い赤い頬、おしろいにふた筋の涕が流れる。香の残りが濃く、薄く匂うこの閨には思いは残ったままなのです。

○多少 いかばかり、どれほど。

○香閏意 孤閏の思い。

 

 

強攀桃李枝,斂愁眉。

無理やりに心をひきたて桃やスモモの花の枝を折り取り、自ら愁いを慰めるのです。ただ眉をひそめて愁いているだけなのです。

○強攀桃李枝 無理やりに心をひきたて桃やスモモの花の枝を折り取る。美しい花を折り取って自ら愁いを慰めることを言う。

○斂愁眉 「斂眉 愁」、斂眉:まゆをひそめる。

 

 

陌上鶯啼蝶舞,柳花飛。柳花飛,

男が通ってくるはずの大通りに春を告げる鶯が啼き、蝶は花に飛び舞い交うのです。そして、柳絮が飛んでいて、柳絮と男のうわさも一緒に飛んでくるのです。

○柳花 綿毛の生えた柳の種。柳絮というのは浮気男を示す言葉であり、春の盛りに他の女のもとに行っていることのうわさが飛んでくる。一夫多妻制の時代、女はただまっていることしか方法はない。

 

願得郎心,憶家還早歸。

浮気者のあのひとの心に「わたしの家のことを思い、またすぐに帰ろうとしてくれる」と、そんな気持ちになってほしいのです。

○郎心 郎心:「憶家、還早歸」浮気者の男の心に「女の家のことを思い、またすぐに帰ろうとしてくれる」

○還 やはり帰ってきてほしいという気持ちをいう。
DCF00104
 

夢江南二首 其一 牛嶠【ぎゅうきょう】 ⅩⅫ唐五代詞、「花間集」 Gs-319-6-#6  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3142

牛嶠《夢江南二首其二ここのおしどりの中にはあの人はここにいない、でもあの人を思い愛し続けている。縁を結んだのは鴛鴦が首をまじりあわせるように南の池の端で眠ったのです。いまは、すべてのことはあの情が薄い劉郎のことに堪えることなのです。

 

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謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386
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登池上樓 #1 謝霊運<25>#1  ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67502196.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html 
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
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魚玄機 詩 全首130賦得江邊柳 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-65-1-#五言律詩  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1876

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皇甫松 10首 採蓮子二首  其一 皇甫松  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-307-5-#61  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3082

牛嶠  20首 女冠子四首 其一 牛嶠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-312-5-#66  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3107

 

『花間集』継続中

 
夢江南二首

 其一 牛嶠【ぎゅうきょう】 Ⅹ唐五代詞、「花間集」 Gs-319-6-#6   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3142

 

 

夢江南二首

其一

(春の盛りツバメの巣作りを見てまだ若い家妓の思いを詠う)

㘅泥鷰,飛到畫堂前。

春も盛り、泥くわえ燕はすをつくる。絵塗りの座敷の先に飛んで来る。

占得杏梁安穩處,體輕唯有主人憐,堪羨好因緣。

杏の花、杏の実を彫刻した立派な梁の上に安らかな住処を作る。元気良い身の軽さが家の主に愛でられている。良き因縁の結ばれるのは羨やましいかぎり。

 

夢江南【ぼうこうなん】二首

其の一

泥を㘅【ふく】む鷰【つばめ】,飛びて畫堂の前に到る。

占め得たり 杏梁【きょうりょう】の安穩【あんのん】の處,體 輕くして唯だ主人の憐れむ有り,羨やむに堪えたり 好き因緣を。
 


其二

(鴛鴦の仲睦まじくしているのを見て、自分の気持ちは今も変わらずあの人を愛し続けていることを詠う。)

紅繡被,兩兩間鴛鴦。

女盛りの頬を赤く染めて、刺繍の肩掛けを被う、二つ、ふたつ間をあけておしどりがいる。

不是鳥中偏愛爾,為緣交頸睡南塘,全勝薄情郎。

ここのおしどりの中にはあの人はここにいない、でもあの人を思い愛し続けている。縁を結んだのは鴛鴦が首をまじりあわせるように南の池の端で眠ったのです。いまは、すべてのことはあの情が薄い劉郎のことに堪えることなのです。 

 夢江南【ぼうこうなん】二首

其の二

紅 繡 被い,兩兩にして 鴛鴦を間にす。

鳥 中【あた】る是れならず 爾を偏愛し,交頸するを緣と為し 南塘に睡り,全ては薄き情郎に勝【たえ】ることなり 。
DCF00004
 

『夢江南二首』 現代語訳と訳註

(本文) 夢江南二首

其二

紅繡被,兩兩間鴛鴦。

不是鳥中偏愛爾,為緣交頸睡南塘,全勝薄情郎。

 

 

(下し文)

夢江南【ぼうこうなん】二首

其の二

紅 繡 被い,兩兩にして 鴛鴦を間にす。

鳥 中【あた】る是れならず 爾を偏愛し,交頸するを緣と為し 南塘に睡り,全ては薄き情郎に勝【たえ】ることなり。

 

 

(現代語訳)

(鴛鴦の仲睦まじくしているのを見て、自分の気持ちは今も変わらずあの人を愛し続けていることを詠う。)

女盛りの頬を赤く染めて、刺繍の肩掛けを被う、二つ、ふたつ間をあけておしどりがいる。

ここのおしどりの中にはあの人はここにいない、でもあの人を思い愛し続けている。縁を結んだのは鴛鴦が首をまじりあわせるように南の池の端で眠ったのです。いまは、すべてのことはあの情が薄い劉郎のことに堪えることなのです。

 

 

夢江南二首

『花間集』には牛嶠の作が二首収められている。単調二十七字、五句三平韻で、37⑦⑤の詞形をとる。

<家妓>高官や貴族、商人の家に置かれ、家長の妾姫となった。主人だけではなく、客を歓待する席でも技芸により、これをもてなす役目があった。官妓から、臣下に下賜されて家妓になるものもいた。始皇帝の母にあたる呂不韋の愛人や、西晋の石崇の愛妾である緑珠が有名。

其二

(鴛鴦の仲睦まじくしているのを見て、自分の気持ちは今も変わらずあの人を愛し続けていることを詠う。)

一夫多妻制のころの男女の心の持ち方は理解するのがむつかしい。

 

紅繡被,兩兩間鴛鴦。

女盛りの頬を赤く染めて、刺繍の肩掛けを被う、二つ、ふたつ間をあけておしどりがいる。

・紅 女盛りの女妓をいう。

 

不是鳥中偏愛爾,為緣交頸睡南塘,全勝薄情郎。

ここのおしどりの中にはあの人はここにいない、でもあの人を思い愛し続けている。縁を結んだのは鴛鴦が首をまじりあわせるように南の池の端で眠ったのです。いまは、すべてのことはあの情が薄い劉郎のことに堪えることなのです。

・偏愛 ある物や人だけをかたよって愛すること。また、その愛情。

・薄情郎 夢のような付き合いをしたのにもう心変わりをした情けの薄い男を云う。この時代の情けの強い男を「潘郎」といい、劉郞、阮郎、檀郎、安仁など色町の女が男をそう呼んだ。

 

劉郞 仙桃を味わった浦島太郎のような人物である劉晨=劉郎である夢心地の状態にある男、何年も訪れてくれなくなっているのでこのようにいう。12年もたっていることと、全く景色が変わって、ここにいる女を含めみんなが全く変わっていたというものだ。 

○阮郎 別れ去って久しく帰らぬ愛しい男。後漢の劉展、阮肇は天台山に薬草を採りに入り、道に迷って仙女に出合い、しばらくともに暮らした。しかし家のことが思い起こされ、帰ってみると、既に数世が過ぎ、見知った人は誰もいなかった。そこで再び山に尋ね入ったが、仙女を探し当てられなかったと言う。以来、阮郎、劉部は、別れ去る男や別れ去って久しく帰らぬ愛しい男を指すようになった。・檀郎/安仁/潘郎 晋の潘岳のあざな。彼は美男子であり、詩人であったが、妻の死にあい「悼亡」の詩三首を作った。後世、妻の死をなげいた模擬作が多く作られた。潘岳の幼名が檀奴だったので、「檀郎」は夫や恋い慕う男を意味する。・潘岳:安仁。滎陽(けいよう)中牟(河南省)の人。陸機と並ぶ美文の文学の大家で,錦を敷きのべたような絢爛(けんらん)たる趣をたたえられた。ことに人の死を悼む哀傷の詩文を得意とし,亡妻への尽きぬ思いをうたった〈悼亡詩(とうぼうし)〉3首はよく知られる。絶世の美男として,また権門の間を巧みに泳ぎまわる軽薄才子として,とかく話題にこと欠かなかった。八王の乱の渦中で悲劇的な刑死を遂げた。
鴛鴦おしどり0022
 

夢江南二首其一 牛嶠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-318-5-#57-(9)  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3137

牛嶠夢江南二首其一杏の花、杏の実を彫刻した立派な梁の上に安らかな住処を作る。元気良い身の軽さが家の主に愛でられている。良き因縁の結ばれるのは羨やましいかぎり。

 

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李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
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http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 
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李商隠詩 
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『花間集』継続中

 
夢江南二首其一 牛嶠  Ⅹ

唐五代詞・宋詩Gs-318-5-#57-9   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3137

 

 

夢江南二首

其一

(春の盛りツバメの巣作りを見てまだ若い家妓の思いを詠う)

㘅泥鷰,飛到畫堂前。

春も盛り、泥くわえ燕はすをつくる。絵塗りの座敷の先に飛んで来る。

占得杏梁安穩處,體輕唯有主人憐,堪羨好因緣。

杏の花、杏の実を彫刻した立派な梁の上に安らかな住処を作る。元気良い身の軽さが家の主に愛でられている。良き因縁の結ばれるのは羨やましいかぎり。

 

夢江南【ぼうこうなん】二首

其の一

泥を㘅【ふく】む鷰【つばめ】,飛びて畫堂の前に到る。

占め得たり 杏梁【きょうりょう】の安穩【あんのん】の處,體 輕くして唯だ主人の憐れむ有り,羨やむに堪えたり 好き因緣を。

 

其二

紅繡被,兩兩間鴛鴦。

不是鳥中偏愛爾,為緣交頸睡南塘,全勝薄情郎。

くちなしの花

 

『夢江南二首』 現代語訳と訳註

(本文) 夢江南二首

其一

㘅泥鷰,飛到畫堂前。

占得杏梁安穩處,體輕唯有主人憐,堪羨好因緣。

 

 

(下し文)

 夢江南【ぼうこうなん】二首

其の一

泥を㘅【ふく】む鷰【つばめ】,飛びて畫堂の前に到る。

占め得たり 杏梁【きょうりょう】の安穩【あんのん】の處,體 輕くして唯だ主人の憐れむ有り,羨やむに堪えたり 好き因緣を。

 

 

(現代語訳)

(春の盛りツバメの巣作りを見てまだ若い家妓の思いを詠う)

春も盛り、泥くわえ燕はすをつくる。絵塗りの座敷の先に飛んで来る。

杏の花、杏の実を彫刻した立派な梁の上に安らかな住処を作る。元気良い身の軽さが家の主に愛でられている。良き因縁の結ばれるのは羨やましいかぎり。

 

 

(訳注)

夢江南二首

『花間集』には牛嶠の作が二首収められている。単調二十七字、五句三平韻で、37⑦⑤の詞形をとる。

<家妓>高官や貴族、商人の家に置かれ、家長の妾姫となった。主人だけではなく、客を歓待する席でも技芸により、これをもてなす役目があった。官妓から、臣下に下賜されて家妓になるものもいた。始皇帝の母にあたる呂不韋の愛人や、西晋の石崇の愛妾である緑珠が有名。

其一

(春の盛りツバメの巣作りを見てまだ若い家妓の思いを詠う)

家の主のいとしみを得て巣作りにいそしむ燕を見ている女の感懐を詠う。作中の女手人公は、番の燕を見て、自分も燕にあやかって、良き連れ合いを得たことを語る。そして、家の主が、燕が立派な梁を泥で汚すのを見ても、燕を愛するあまりそのままにしておくのを見て、羨ましく思い、自分も家の主のような愛情豊かな男に愛されてみんなから羨ましく思われることと思う。ここに登場する女性は若いので寵愛を受けるものという家妓の思いを述べる。

 

 

㘅泥鷰,飛到畫堂前。

春も盛り、泥くわえ燕はすをつくる。絵塗りの座敷の先に飛んで来る。

 

 

占得杏梁安穩處,體輕唯有主人憐,堪羨好因緣。

杏の花、杏の実を彫刻した立派な梁の上に安らかな住処を作る。元気良い身の軽さが家の主に愛でられている。良き因縁の結ばれるのは羨やましいかぎり。

○杏梁 杏の花、杏の実を彫刻した立派な梁。

○安穏処 落ち着いて身の置ける安全な場所。

○体軽唯有主人憐 燕の軽やかな身のこなしは館の主の愛情を独り占めにしていること。

○好因縁 良い巡り合わせ。
DCF00109
 

女冠子四首 其四 牛嶠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-317-5-#57-(8)  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3132

牛嶠《女冠子四首 其四》あのころは燕のように二つ並んで飛び、二つ並んで舞ったものです、春の日中には奥の中庭に鶯のように語り合いましたそして薄い衣にまかれたのです。すぐれて美しい詩句、書もすべて終わってしまう、銀河を隔てて、あの雁さえも遅く過ぎ去っていくのです。

 

2013年10月13日 同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
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魚玄機 詩 全首130賦得江邊柳 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-65-1-#五言律詩  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1876

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皇甫松 10首 採蓮子二首  其一 皇甫松  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-307-5-#61  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3082

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女冠子四首 其四 牛嶠  Ⅹ
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花間集に収める『女冠子』

Ⅴ-ID

詩人

首数

掲載

1

溫助教庭筠

女冠子二首

5

韋相莊

女冠子二首

9

薛侍郎昭蘊

女冠子二首

6

牛嶠(牛給事嶠)

女冠子四首

7

張舍人泌

女冠子一首

12

孫少監光憲

女冠子二首

15

魏太尉承班

女冠子二首

18

毛秘書熙震

女冠子二首

22

李秀才珣

女冠子二首

  

 

女冠子四首

其一

(奇麗で華やかだった女冠が年増になって少しさびしい様子を詠う。)其の一

綠雲高髻,點翠勻紅時世。月如眉。

黒髪が輝き両鬢の雲型に高くした髷のもとどり姿、翡翠の髪飾り、時代が移り変わっても赤くきれいな頬なのです。それは月に新月の眉を書いたようです。

淺笑含雙靨,低聲唱小詞。

心から笑うことがないけれど微笑めば両の頬にえくぼがあるし、聞いてくれる人がいないので低い声で詞譜をうたっているのです。

眼看唯恐化,魂蕩欲相隨。

鏡を見るとただ変わっていくのが怖ろしいけれど、あの人を思う気持ちはまだ湧き上がるものがあるだから一緒に連れ立って歩きたいと思うのです。

玉趾迴嬌步,約佳期。

耀く歌を謡って庭をいっしょに歩いてまわるのが大好きで、逢瀬の約束の期日をしてたのです。

其の一

綠雲の高髻,點翠 勻紅しく 時世なり。月 眉の如し。

淺笑 雙靨を含み,低聲 小詞を唱う。

眼看 唯だ化を恐れ,魂蕩 相い隨わんと欲す。

玉趾して嬌步迴り,佳期を約す。

 

其二

(女の立場に立ち、男に寄せる思いを描く。)

錦江煙水,卓女燒春濃美。小檀霞。

錦江の水面は煙りにかすむ、ここには卓文君をおもわせる女が温む燒春の新酒の美酒。それは薄紅色。

繡帶芙蓉帳,金釵芍藥花。

帯状の飾りある芙蓉の帳、金の簪、芍薬の花。

額黃侵膩髮,臂釧透紅紗。

生え際までの黄色の額に化粧をして、紅色の紗の袖に腕輪が透けて見える。

柳暗鶯啼處,認郎家。

緑濃き柳の木陰に鶯が囀るあたり、愛しき君の邸宅が見える。

 

其の二

錦江の煙水,卓女の燒春 濃美なり。小檀霞【しょうだんか】。

繡帶【しゅうたい】芙蓉の帳,金釵 芍藥の花。

額黃【がくこう】膩髮【じはつ】を侵し,臂釧【ひせん】紅紗【こうさ】に透ける。

柳 暗く 鶯 啼く處,郎が家を認む。

 

其三

(もう何年も来てくれない劉郎のようなあの人を思って詠う)その三

星冠霞帔,住在蘂珠宮裏。佩叮

星の如く宝玉を鏤めて薄い刺繍の肩掛けを付けていて、額の中心に黄色い化粧をぬり、その中心に真珠を付けていて宮殿の内に住んでいる。そこには佩びの音がなりひびく。

明翠搖蟬翼,纖珪理宿粧。

翡翠のとばりを明るく照らされ蝉の翼が揺れる、きまのこまかい白粉の粉を寝化粧をする。

醮壇春艸綠,藥院杏花香。

災厄を消除する祭祀の祭壇に春になり草が一斉に伸びて一面緑に変わっている。中庭には花でいっぱいで杏の花の香りがいっぱいに広がる。

青鳥傳心事,寄劉郎。

恋の使者である青鳥がわたしの心にあるあの人への思いを伝えてくれ、この詩をあの人に渡してほしい。

其の三

星の冠 霞の帔,住むは蘂珠【ずいしゅ】宮裏に在る。佩し、叮し、す。

翠を明し 蟬翼搖れ,纖珪 宿粧を理す。

醮壇【しょうだん】 春艸【しゅんそう】の綠,藥院【やくいん】 杏花の香。

青鳥 心事を傳へ,劉郎に寄す。

 

 

其四

(花の盛りを過ぎ、春も終わる。それは、ここにいる女冠の身の上を云うのである。)

雙飛雙舞,春晝後園鶯語。卷羅幃。

あのころは燕のように二つ並んで飛び、二つ並んで舞ったものです、春の日中には奥の中庭に鶯のように語り合いましたそして薄い衣にまかれたのです。

錦字書封了,銀河鴈過遲。

すぐれて美しい詩句、書もすべて終わってしまう、銀河を隔てて、あの雁さえも遅く過ぎ去っていくのです。

鴛鴦排寶帳,荳繡連枝。

鴛鴦は宝の幃の中から出て行きました。ナツメグの実は固く閉ざして、刺繍の枝につらねるだけなのです。

不語勻珠淚,落花時。

語る人もなく真珠の玉のような涙がとめどなく落ちます。そしてそれは花が散る時の事になるのです。

(其の四)

雙ながら飛び 雙ながら舞い,春の晝 後園 鶯 語る。羅幃を卷く。

錦字 書 封じ了し,銀河 鴈 遲れて過る。

鴛鴦 寶帳に排し,荳 繡 枝を連る。

語らずして珠淚に勻し,落花の時。

鴛鴦おしどり0022
 

 

『女冠子』 現代語訳と訳註

(本文)

其四

雙飛雙舞,春晝後園鶯語。卷羅幃。

錦字書封了,銀河鴈過遲。

鴛鴦排寶帳,荳繡連枝。

不語勻珠淚,落花時。

 

 

(下し文)

(其の四)

雙ながら飛び 雙ながら舞い,春の晝 後園 鶯 語る。羅幃を卷く。

錦字 書 封じ了し,銀河 鴈 遲れて過る。

鴛鴦 寶帳に排し,荳 繡 枝を連る。

語らずして珠淚に勻し,落花の時。

 

 

(現代語訳)

(花の盛りを過ぎ、春も終わる。それは、ここにいる女冠の身の上を云うのである。)

あのころは燕のように二つ並んで飛び、二つ並んで舞ったものです、春の日中には奥の中庭に鶯のように語り合いましたそして薄い衣にまかれたのです。

すぐれて美しい詩句、書もすべて終わってしまう、銀河を隔てて、あの雁さえも遅く過ぎ去っていくのです。

鴛鴦は宝の幃の中から出て行きました。ナツメグの実は固く閉ざして、刺繍の枝につらねるだけなのです。

語る人もなく真珠の玉のような涙がとめどなく落ちます。そしてそれは花が散る時の事になるのです。

 

 

(訳注)

女冠子四首

『花間集』には牛嶠の作が四首収められている。

温庭筠、韋荘、女冠子参照。

女冠子 一 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-254-5-#8  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2652

女冠子 二 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-255-5-#9 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2657

女冠子二首 其一 温庭筠  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-312-5-#66   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3107

女冠子二首 其二 温庭筠  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-313-5-#57-4   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3112

其四

(花の盛りを過ぎ、春も終わる。それは、ここにいる女冠の身の上を云うのである。)

双調四十一字、前段二十二字五句二灰韻二平韻、後段十八宇四句一平韻で、❹❻③5⑤/55③の詞形をとる。

 

 

雙飛雙舞,春晝後園鶯語。卷羅幃。

あのころは燕のように二つ並んで飛び、二つ並んで舞ったものです、春の日中には奥の中庭に鶯のように語り合いましたそして薄い衣にまかれたのです。

 

 

錦字書封了,銀河鴈過遲。

すぐれて美しい詩句、書もすべて終わってしまう、銀河を隔てて、あの雁さえも遅く過ぎ去っていくのです。

・錦字 すぐれて美しい詩句。

・封【ふう】あるものを空間的に閉じこめ,内外の空間の間の相互干渉を遮断するためのしるし。この空間は,文書の封のように物理的に設定されたものもあれば,たとえば地震鯰を封じこめるために鹿島神宮の要石によって作られたそれのように,呪術的に設定されたものもあった。文書の場合,現在の封筒のようにして作られた空間の封じ目に,〆や封などのしるしを印判や手書きで加えることによって封が完成するが,このしるし自体に空間を守る呪力がそなわっており,したがって封印で守られる空間も単なる物理的なそれではないと意識されていたところに,前近代の封の特質がある。

 

鴛鴦排寶帳,荳繡連枝。

鴛鴦は宝の幃の中から出て行きました。ナツメグの実は固く閉ざして、刺繍の枝につらねるだけなのです。

・荳 ナツメグ。ニクズク科の常緑高木の一種である。またはその種子中の仁から作られる香辛料。和名はニクズク。アンズに似た卵形の黄色い果実をつける。果実は成熟すると果皮が割れ、網目状の赤い仮種皮につつまれた暗褐色の種子が現れる。 この仮種皮を乾燥させたものが香辛料の1つ、メースである。

種子全体または種子の仁を取り出し、石灰液に浸してから乾燥させ、粉砕したものを香辛料のナツメグとする。種子を直接、おろし金で挽いて用いる場合もある。種子は肉荳蔲という生薬名で、収斂、止瀉、健胃作用がある。

 

不語勻珠淚,落花時。

語る人もなく真珠の玉のような涙がとめどなく落ちます。そしてそれは花が散る時の事になるのです。

 蓮00

女冠子四首 其三 牛嶠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-316-5-#57-(7)  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3127

牛嶠《女冠子四首 其三》 災厄を消除する祭祀の祭壇に春になり草が一斉に伸びて一面緑に変わっている。中庭には花でいっぱいで杏の花の香りがいっぱいに広がる。恋の使者である青鳥がわたしの心にあるあの人への思いを伝えてくれ、この詩をあの人に渡してほしい。

 

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●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
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謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html 謝靈運詩六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。
謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386
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孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html 
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人 
http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 
http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 
http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150

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『花間集』継続中

 
女冠子四首 其三 牛嶠  Ⅹ
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 花間集に収める『女冠子』

Ⅴ-ID

詩人

首数

掲載

1

溫助教庭筠

女冠子二首

5

韋相莊

女冠子二首

9

薛侍郎昭蘊

女冠子二首

6

牛嶠(牛給事嶠)

女冠子四首

7

張舍人泌

女冠子一首

12

孫少監光憲

女冠子二首

15

魏太尉承班

女冠子二首

18

毛秘書熙震

女冠子二首

22

李秀才珣

女冠子二首

 

 

女冠子四首

其一

(奇麗で華やかだった女冠が年増になって少しさびしい様子を詠う。)其の一

綠雲高髻,點翠勻紅時世。月如眉。

黒髪が輝き両鬢の雲型に高くした髷のもとどり姿、翡翠の髪飾り、時代が移り変わっても赤くきれいな頬なのです。それは月に新月の眉を書いたようです。

淺笑含雙靨,低聲唱小詞。

心から笑うことがないけれど微笑めば両の頬にえくぼがあるし、聞いてくれる人がいないので低い声で詞譜をうたっているのです。

眼看唯恐化,魂蕩欲相隨。

鏡を見るとただ変わっていくのが怖ろしいけれど、あの人を思う気持ちはまだ湧き上がるものがあるだから一緒に連れ立って歩きたいと思うのです。

玉趾迴嬌步,約佳期。

耀く歌を謡って庭をいっしょに歩いてまわるのが大好きで、逢瀬の約束の期日をしてたのです。

其の一

綠雲の高髻,點翠 勻紅しく 時世なり。月 眉の如し。

淺笑 雙靨を含み,低聲 小詞を唱う。

眼看 唯だ化を恐れ,魂蕩 相い隨わんと欲す。

玉趾して嬌步迴り,佳期を約す。

 

其二

(女の立場に立ち、男に寄せる思いを描く。)

錦江煙水,卓女燒春濃美。小檀霞。

錦江の水面は煙りにかすむ、ここには卓文君をおもわせる女が温む燒春の新酒の美酒。それは薄紅色。

繡帶芙蓉帳,金釵芍藥花。

帯状の飾りある芙蓉の帳、金の簪、芍薬の花。

額黃侵膩髮,臂釧透紅紗。

生え際までの黄色の額に化粧をして、紅色の紗の袖に腕輪が透けて見える。

柳暗鶯啼處,認郎家。

緑濃き柳の木陰に鶯が囀るあたり、愛しき君の邸宅が見える。

 

其の二

錦江の煙水,卓女の燒春 濃美なり。小檀霞【しょうだんか】。

繡帶【しゅうたい】芙蓉の帳,金釵 芍藥の花。

額黃【がくこう】膩髮【じはつ】を侵し,臂釧【ひせん】紅紗【こうさ】に透ける。

柳 暗く 鶯 啼く處,郎が家を認む。

 

其三

(もう何年も来てくれない劉郎のようなあの人を思って詠う)その三

星冠霞帔,住在蘂珠宮裏。佩叮

星の如く宝玉を鏤めて薄い刺繍の肩掛けを付けていて、額の中心に黄色い化粧をぬり、その中心に真珠を付けていて宮殿の内に住んでいる。そこには佩びの音がなりひびく。

明翠搖蟬翼,纖珪理宿粧。

翡翠のとばりを明るく照らされ蝉の翼が揺れる、きまのこまかい白粉の粉を寝化粧をする。

醮壇春艸綠,藥院杏花香。

災厄を消除する祭祀の祭壇に春になり草が一斉に伸びて一面緑に変わっている。中庭には花でいっぱいで杏の花の香りがいっぱいに広がる。

青鳥傳心事,寄劉郎。

恋の使者である青鳥がわたしの心にあるあの人への思いを伝えてくれ、この詩をあの人に渡してほしい。

其の三

星の冠 霞の帔,住むは蘂珠【ずいしゅ】宮裏に在る。佩し、叮し、す。

翠を明し 蟬翼搖れ,纖珪 宿粧を理す。

醮壇【しょうだん】 春艸【しゅんそう】の綠,藥院【やくいん】 杏花の香。

青鳥 心事を傳へ,劉郎に寄す。

 

其四

雙飛雙舞,春晝後園鶯語。卷羅幃。

錦字書封了,銀河鴈過遲。

鴛鴦排寶帳,荳繡連枝。

不語勻珠淚,落花時。

 美女004

 

『女冠子』 現代語訳と訳註

(本文)

女冠子 其三

星冠霞帔,住在蘂珠宮裏。佩叮

明翠搖蟬翼,纖珪理宿粧。

醮壇春艸綠,藥院杏花香。

青鳥傳心事,寄劉郎。

 

 

(下し文)

其の三

星の冠 霞の帔,住むは蘂珠【ずいしゅ】宮裏に在る。佩し、叮し、

翠を明し 蟬翼搖れ,纖珪 宿粧を理す。

醮壇【しょうだん】 春艸【しゅんそう】の綠,藥院【やくいん】 杏花の香。

青鳥 心事を傳へ,劉郎に寄す。

 

 

(現代語訳)

(もう何年も来てくれない劉郎のようなあの人を思って詠う)その三

星の如く宝玉を鏤めて薄い刺繍の肩掛けを付けていて、額の中心に黄色い化粧をぬり、その中心に真珠を付けていて宮殿の内に住んでいる。そこには佩びの音がなりひびく。

翡翠のとばりを明るく照らされ蝉の翼が揺れる、きまのこまかい白粉の粉を寝化粧をする。

災厄を消除する祭祀の祭壇に春になり草が一斉に伸びて一面緑に変わっている。中庭には花でいっぱいで杏の花の香りがいっぱいに広がる。

恋の使者である青鳥がわたしの心にあるあの人への思いを伝えてくれ、この詩をあの人に渡してほしい。

 木蓮001

 

(訳注)

女冠子四首

『花間集』には牛嶠の作が四首収められている。

温庭筠、韋荘、女冠子参照。

女冠子 一 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-254-5-#8  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2652

女冠子 二 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-255-5-#9 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2657

女冠子二首 其一 温庭筠  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-312-5-#66   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3107

女冠子二首 其二 温庭筠  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-313-5-#57-4   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3112

其三

(もう何年も来てくれない劉郎のようなあの人を思って詠う)その三

双調四十一字、前段二十二字五句二灰韻二平韻、後段十八宇四句一平韻で、❹❻③5⑤/55③の詞形をとる。

 

星冠霞帔,住在蘂珠宮裏。佩叮

星の如く宝玉を鏤めて薄い刺繍の肩掛けを付けていて、額の中心に黄色い化粧をぬり、その中心に真珠を付けていて宮殿の内に住んでいる。そこには佩びの音がなりひびく。

・帔 とは。意味や日本語訳。古代の女性の刺繍(し/しゆう)つきの肩掛け. 

蘂珠 粉心黃蘂は額の中心に黄色い化粧をぬること。その中心の真珠を付ける。

 1 身に帯びる。「佩剣・佩刀・佩用/帯佩」2 腰につける飾り。「玉佩」3 心にとどめて忘れない。

・叮 (1) (蚊やノミが)刺す,かむ被蚊子叮了一下蚊に刺された.(2) 問い詰める,しつこく尋ねる叮了她一句念を押すように彼女に尋ねた.

 鐘の音を表す擬声語。

 

明翠搖蟬翼,纖珪理宿粧。

翡翠のとばりを明るく照らされ蝉の翼が揺れる、きまのこまかい白粉の粉を寝化粧をする。

・纖〔繊〕【せん】1 ほそい。こまかい。「繊維・繊細・繊繊・繊毛」2 繊維。

・珪  主に石英粒からなる砂。花崗岩(かこうがん)などの風化で生じる。珪石を粉砕した人工珪砂もある。ガラスの原料、鋳物砂、研磨材に使用。石英砂。

 

醮壇春艸綠,藥院杏花香。

災厄を消除する祭祀の祭壇に春になり草が一斉に伸びて一面緑に変わっている。中庭には花でいっぱいで杏の花の香りがいっぱいに広がる。

・醮 中国における道教の祭祀の一つ。《隋書》経籍志の道経序録によれば,醮とは災厄を消除する方法の一つで,夜中,星空の下で酒や乾肉などの供物を並べ,天皇太一や五星列宿を祭り,文書を上奏する儀礼をいう。

 

青鳥傳心事,寄劉郎。

恋の使者である青鳥がわたしの心にあるあの人への思いを伝えてくれ、この詩をあの人に渡してほしい。
ホトトギス
 

・青鳥 青色は五行思想方位で東に当たる。春の神を青帝ともいう。また靑鳥は天上の女神西王母の侍女でもある。そこでここは、青い鳥が春の使者として訪れたことをいうのであろう。恋の使者(青鳥 仙界とのなかだちをするという青い鳥、恋の使者である。この島に棲む青い鳥が使者である。仙女西王母の使いの鳥。杜甫「麗人行」にもある。お誘いの手紙を届けるものを指す。)

・劉郞 仙桃を味わった浦島太郎のような人物である劉晨=劉郎である夢心地の状態にある男、何年も訪れてくれなくなっているのでこのようにいう。12年もたっていることと、全く景色が変わって、ここにいる女を含めみんなが全く変わっていたというものだ。 

女冠子四首 其二 牛嶠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-315-5-#57-(6)  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3122

牛嶠女冠子四首 其二春を告げる鶯が鳴くが女の所に、いとしい男が訪れることはない。実際に女の棲むところから男の家が見えるわけではない。男が他の女の所へ行っているということであろう。


2013年10月11日 同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
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謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html 謝靈運詩六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。
謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
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孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html 
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150

魚玄機 詩 全首130賦得江邊柳 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-65-1-#五言律詩  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1876

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女冠子四首 其二 牛嶠  Ⅹ
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花間集に収める『女冠子』

Ⅴ-ID

詩人

首数

掲載

1

溫助教庭筠

女冠子二首

5

韋相莊

女冠子二首

9

薛侍郎昭蘊

女冠子二首

6

牛嶠(牛給事嶠)

女冠子四首

7

張舍人泌

女冠子一首

12

孫少監光憲

女冠子二首

15

魏太尉承班

女冠子二首

18

毛秘書熙震

女冠子二首

22

李秀才珣

女冠子二首

  

牛嶠(生卒年不詳),字を松卿といい,また延峰ともいった。隴西(今の甘肅省西部)の人,唐の宰相、牛僧孺の孫である。唐の僖宗、878年乾符元年の進士,拾遺,補尚書郎を歷任した。王建が蜀の鎮守になると,牛嶠は判官に任じられ、王建が建国して帝を称えると給事中等職に任じられ,故に後の人は “牛給事”と稱した。牛嶠博學、文才有り,詩は李賀に學んだ,尤も其の詞を以って世に聞く,現在《歌詩集》三捲あったことは知られているが今日うしなわれていて傳わらない。花間集に三十二首収められている。

 

 

女冠子四首

其一

(奇麗で華やかだった女冠が年増になって少しさびしい様子を詠う。)其の一

綠雲高髻,點翠勻紅時世。月如眉。

黒髪が輝き両鬢の雲型に高くした髷のもとどり姿、翡翠の髪飾り、時代が移り変わっても赤くきれいな頬なのです。それは月に新月の眉を書いたようです。

淺笑含雙靨,低聲唱小詞。

心から笑うことがないけれど微笑めば両の頬にえくぼがあるし、聞いてくれる人がいないので低い声で詞譜をうたっているのです。

眼看唯恐化,魂蕩欲相隨。

鏡を見るとただ変わっていくのが怖ろしいけれど、あの人を思う気持ちはまだ湧き上がるものがあるだから一緒に連れ立って歩きたいと思うのです。

玉趾迴嬌步,約佳期。

耀く歌を謡って庭をいっしょに歩いてまわるのが大好きで、逢瀬の約束の期日をしてたのです。

其一

綠雲の高髻,點翠 勻紅しく 時世なり。月 眉の如し。

淺笑 雙靨を含み,低聲 小詞を唱う。

眼看 唯だ化を恐れ,魂蕩 相い隨わんと欲す。

玉趾して嬌步迴り,佳期を約す。

 

其二

(女の立場に立ち、男に寄せる思いを描く。)

錦江煙水,卓女燒春濃美。小檀霞。

錦江の水面は煙りにかすむ、ここには卓文君をおもわせる女が温む燒春の新酒の美酒。それは薄紅色。

繡帶芙蓉帳,金釵芍藥花。

帯状の飾りある芙蓉の帳、金の簪、芍薬の花。

額黃侵膩髮,臂釧透紅紗。

生え際までの黄色の額に化粧をして、紅色の紗の袖に腕輪が透けて見える。

柳暗鶯啼處,認郎家。

緑濃き柳の木陰に鶯が囀るあたり、愛しき君の邸宅が見える。

 

其二

錦江の煙水,卓女の燒春 濃美なり。小檀霞【しょうだんか】。

繡帶【しゅうたい】芙蓉の帳,金釵 芍藥の花。

額黃【がくこう】膩髮【じはつ】を侵し,臂釧【ひせん】紅紗【こうさ】に透ける。

柳 暗く 鶯 啼く處,郎が家を認む。

 

其三

星冠霞帔,住在蘂珠宮裏。佩叮

明翠搖蟬翼,纖珪理宿粧。

醮壇春艸綠,藥院杏花香。

青鳥傳心事,寄劉郎。

 

其四

雙飛雙舞,春晝後園鶯語。卷羅幃。

錦字書封了,銀河鴈過遲。

鴛鴦排寶帳,荳繡連枝。

不語勻珠淚,落花時。

蓮00
 

 

『女冠子四首』 現代語訳と訳註

(本文)

其二

錦江煙水,卓女燒春濃美。小檀霞。

繡帶芙蓉帳,金釵芍藥花。

額黃侵膩髮,臂釧透紅紗。

柳暗鶯啼處,認郎家。

 

 

(下し文)

其二

錦江の煙水,卓女の燒春 濃美なり。小檀霞【しょうだんか】。

繡帶【しゅうたい】芙蓉の帳,金釵 芍藥の花。

額黃【がくこう】膩髮【じはつ】を侵し,臂釧【ひせん】紅紗【こうさ】に透ける。

柳 暗く 鶯 啼く處,郎が家を認む。

 

 

(現代語訳)

(女の立場に立ち、男に寄せる思いを描く。)

錦江の水面は煙りにかすむ、ここには卓文君をおもわせる女が温む燒春の新酒の美酒。それは薄紅色。

帯状の飾りある芙蓉の帳、金の簪、芍薬の花。

生え際までの黄色の額に化粧をして、紅色の紗の袖に腕輪が透けて見える。

緑濃き柳の木陰に鶯が囀るあたり、愛しき君の邸宅が見える。

 

 

(訳注)

女冠子四首

『花間集』には牛嶠の作が四首収められている。

温庭筠、韋荘、女冠子参照。

女冠子 一 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-254-5-#8  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2652

女冠子 二 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-255-5-#9 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2657

女冠子二首 其一 温庭筠  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-312-5-#66   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3107

女冠子二首 其二 温庭筠  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-313-5-#57-4   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3112

 

其二

(女の立場に立ち、男に寄せる思いを描く。)

双調四十一字、前段二十二字五句二灰韻二平韻、後段十八宇四句一平韻で、❹❻③5⑤/55③の詞形をとる。

蜀の都、成都の酒舗の女性を詠う。冒顔、舞台は蜀の都の成都、女がお燗する酒は蜀の名酒の燒春であることを言う。続いて、女は薄紅色の蓮の花模様の帳を垂れた部屋に住み、髪には芍薬の花飾りの金簪を挿していることを述べる。後段は、女性の額の黄色い塗り化粧と、紅色の紗の袖から透けて見える腕輪を描く。最後の二句は女の立場に立ち、男に寄せる思いを描く。

 

錦江煙水,卓女燒春濃美。小檀霞。

錦江の水面は煙りにかすむ、ここには卓文君をおもわせる女が温む燒春の新酒の美酒。それは薄紅色。

○錦江 成郡を流れる川。織り上げた錦をこの川で濯ぐと色が鮮やかになることから、この名がついた。

○卓女 前漢の卓王孫の娘、卓文君。司馬相如と駆け落ちして酒屋を開き酒のお燗に当たった。ここでは卓文君を借りて成都の洒舗の女を言う。

○燒春 蜀の名酒の名。

○濃美 味の濃く美味しいこと。芳醇。

○小煙霞 薄赤色。

 

繡帶芙蓉帳,金釵芍藥花。

帯状の飾りある芙蓉の帳、金の簪、芍薬の花。

○繡帶 帳に付けられた帯状の飾りを言う。

 

額黃侵膩髮,臂釧透紅紗。

生え際までの黄色の額に化粧をして、紅色の紗の袖に腕輪が透けて見える。

○額黃 化粧法の一つ。女の額にほどこす黄色の化粧法。額黄ともいい、古く漢代からあったといい、六朝時代をへて唐代までずっと行なわれていた。

『菩薩蠻 三』

蕊黃無限當山額,宿妝隱笑紗窗隔。

相見牡丹時,暫來還別離。

金作股,上蝶雙舞。

心事竟誰知?月明花滿枝。

『菩薩蠻 三』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-3-3-# 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1628

○臂釧 腕輪。

 

柳暗鶯啼處,認郎家。

緑濃き柳の木陰に鶯が囀るあたり、愛しき君の邸宅が見える。

・春を告げる鶯が鳴くが女の所に、いとしい男が訪れることはない。実際に女の棲むところから男の家が見えるわけではない。男が他の女の所へ行っているということであろう。
雲髻001
 

女冠子四首 其一 牛嶠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-312-5-#66  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3107

牛嶠女冠子四首 其一鏡を見るとただ変わっていくのが怖ろしいけれど、あの人を思う気持ちはまだ湧き上がるものがあるだから一緒に連れ立って歩きたいと思うのです。耀く歌を謡って庭をいっしょに歩いてまわるのが大好きで、逢瀬の約束の期日をしてたのです。

 

2013年10月10日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
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唐五代詞・宋詩Gs-312-5-#66   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3107

花間集に収める『女冠子』

Ⅴ-ID

詩人

首数

掲載

1

溫助教庭筠

女冠子二首

5

韋相莊

女冠子二首

9

薛侍郎昭蘊

女冠子二首

6

牛嶠(牛給事嶠)

女冠子四首

7

張舍人泌

女冠子一首

12

孫少監光憲

女冠子二首

15

魏太尉承班

女冠子二首

18

毛秘書熙震

女冠子二首

22

李秀才珣

女冠子二首

 

 

牛嶠(生卒年不詳),字を松卿といい,また延峰ともいった。隴西(今の甘肅省西部)の人,唐の宰相、牛僧孺の孫である。唐の僖宗、878年乾符元年の進士,拾遺,補尚書郎を歷任した。王建が蜀の鎮守になると,牛嶠は判官に任じられ、王建が建国して帝を称えると給事中等職に任じられ,故に後の人は “牛給事”と稱した。牛嶠博學、文才有り,詩は李賀に學んだ,尤も其の詞を以って世に聞く,現在《歌詩集》三捲あったことは知られているが今日うしなわれていて傳わらない。花間集に三十二首収められている。

 

 

女冠子四首

其一

(奇麗で華やかだった女冠が年増になって少しさびしい様子を詠う。)其の一

綠雲高髻,點翠勻紅時世。月如眉。

黒髪が輝き両鬢の雲型に高くした髷のもとどり姿、翡翠の髪飾り、時代が移り変わっても赤くきれいな頬なのです。それは月に新月の眉を書いたようです。

淺笑含雙靨,低聲唱小詞。

心から笑うことがないけれど微笑めば両の頬にえくぼがあるし、聞いてくれる人がいないので低い声で詞譜をうたっているのです。

看唯恐化,魂蕩欲相隨。

鏡を見るとただ変わっていくのが怖ろしいけれど、あの人を思う気持ちはまだ湧き上がるものがあるだから一緒に連れ立って歩きたいと思うのです。

玉趾迴嬌步,約佳期。

耀く歌を謡って庭をいっしょに歩いてまわるのが大好きで、逢瀬の約束の期日をしてたのです。

其一

綠雲の高髻,點翠 勻紅しく 時世なり。月 眉の如し。

淺笑 雙靨を含み,低聲 小詞を唱う。

眼看 唯だ化を恐れ,魂蕩 相い隨わんと欲す。

玉趾して嬌步迴り,佳期を約す。

 

其二

錦江煙水,卓女燒春濃美。小檀霞。

繡帶芙蓉帳,金釵芍藥花。

額黃侵膩髮,臂釧透紅紗。

柳暗鶯啼處,認郎家。

 

其三

星冠霞帔,住在蘂珠宮裏。佩叮

明翠搖蟬翼,纖珪理宿粧。

醮壇春艸綠,藥院杏花香。

青鳥傳心事,寄劉郎。

 

其四

雙飛雙舞,春晝後園鶯語。卷羅幃。

錦字書封了,銀河鴈過遲。

鴛鴦排寶帳,荳繡連枝。

不語勻珠淚,落花時。

 

美女画55101道観

『女冠子四首』 現代語訳と訳註

(本文) 女冠子四首

其一

綠雲高髻,點翠勻紅時世。月如眉。

淺笑含雙靨,低聲唱小詞。

眼看唯恐化,魂蕩欲相隨。

玉趾迴嬌步,約佳期。

 

 

 

(下し文)

女冠子四首

其一

綠雲の高髻,點翠 勻紅しく 時世なり。月 眉の如し。

淺笑 雙靨を含み,低聲 小詞を唱う。

眼看 唯だ化を恐れ,魂蕩 相い隨わんと欲す。

玉趾して嬌步迴り,佳期を約す。

 

 

(現代語訳)

(奇麗で華やかだった女冠が年増になって少しさびしい様子を詠う。)其の一

黒髪が輝き両鬢の雲型に高くした髷のもとどり姿、翡翠の髪飾り、時代が移り変わっても赤くきれいな頬なのです。それは月に新月の眉を書いたようです。

心から笑うことがないけれど微笑めば両の頬にえくぼがあるし、聞いてくれる人がいないので低い声で詞譜をうたっているのです。

鏡を見るとただ変わっていくのが怖ろしいけれど、あの人を思う気持ちはまだ湧き上がるものがあるだから一緒に連れ立って歩きたいと思うのです。

耀く歌を謡って庭をいっしょに歩いてまわるのが大好きで、逢瀬の約束の期日をしてたのです。

 

 

(訳注)

女冠子四首

唐の教坊の曲名。女冠は女道士の意。『花間集』 には牛嶠の作が四首収められている。双調四十一字、前段二十二字五句二灰韻二平韻、後段十八宇四句二平韻で、❹❻③5/55③の詞形をとる。

温庭筠、韋荘、女冠子参照。

女冠子 一 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-254-5-#8  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2652

女冠子 二 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-255-5-#9 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2657

女冠子二首 其一 温庭筠  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-312-5-#66   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3107

女冠子二首 其二 温庭筠  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-313-5-#57-4   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3112

 

其一

(奇麗で華やかだった女冠が年増になって少しさびしい様子を詠う。)

 

綠雲高髻,點翠勻紅時世。月如眉。

黒髪が輝き両鬢の雲型に高くした髷のもとどり姿、翡翠の髪飾り、時代が移り変わっても赤くきれいな頬なのです。それは月に新月の眉を書いたようです。

・時世 時とともに移り変わる、世の中。時代。ときよ。

 

淺笑含雙靨,低聲唱小詞。

心から笑うことがないけれど微笑めば両の頬にえくぼがあるし、聞いてくれる人がいないので低い声で詞譜をうたっているのです。

・靨 笑()(くぼ) (1)笑うと、頬にできる小さなくぼみ。 (2)ほくろ。

 

眼看唯恐化,魂蕩欲相隨。

鏡を見るとただ変わっていくのが怖ろしいけれど、あの人を思う気持ちはまだ湧き上がるものがあるだから一緒に連れ立って歩きたいと思うのです。

 

玉趾迴嬌步,約佳期。

耀く歌を謡って庭をいっしょに歩いてまわるのが大好きで、逢瀬の約束の期日をしてたのです。

・玉趾 足跡が輝いている。ここでは歌声が余韻として残るというほどの意味である。

・佳期 逢瀬の約束の期日。
 芙蓉33302


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女冠子二首 其二 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-313-5-#57-(4)  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3112

温庭筠《女冠子二首 其二》 半透明の絹の肩掛け、両鬢の雲型の髪を梳く、金細工の鏡には女冠の顔が映り、雪のような肌である。でも、遠山の形の眉は愁いに溢れ、言葉も語るのをやめて、軽い團扇をめぐらせて、今日も来てくれない少し恥ずかしい気持ちを遺して、刺繍に飾られたとばりを降ろしている。

 

2013109

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司馬相如 《上林賦 》(7)#3-1 文選 賦<110-#3-1>9分割26回 Ⅱ李白に影響を与えた詩912 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3108

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Ⅱ中唐詩・晩唐詩
 
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●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている

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●●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩

.唐五代詞詩・宋詞詩・女性 LiveDoor

女冠子二首 其二 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-313-5-#57-(4  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3112

 

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朔風 (一章) 曹植 魏詩<25-1>文選 雑詩 上 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67780868.html
謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html 謝靈運詩六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。
謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67474554.html
登池上樓 #1 謝霊運<25>#1  ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67502196.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html 
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150

 

女冠子二首 其二 温庭筠  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-313-5-#57-4   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3112

 

 

女冠子二首

其一

含嬌含笑,宿翠殘紅窈窕。

一夜経ても、艶やかな動き、笑みを浮かべる、一夜すごして眉の墨は色褪せ、頬紅の色も薄れたけれどたおやかにせっしてくれる。

鬢如蟬,寒玉簪秋水,輕紗捲碧煙。

雲型の鬢の髪が透けて蝉の羽のようであり、澄んだ秋の水のように冷たく冴える玉の簪がゆれる、翻る薄絹の衣は碧の霞のようで艶めかしい。 

鸞鏡裡,琪樹鳳樓前。

雪のように白い胸が鸞鏡に映る、美しき高樓の前に仙界の琪樹のように立ち、麗しき鳳凰のお伴の前に進む、

寄語青娥伴,早求仙。

そして、嫦娥のような女はお伴の者に次のように言った、「あなたも早く道士におなりなさいな」と。

 

其二

(女冠子二首の二 女道士の風俗を描く。)

霞帔雲髮,鈿鏡仙容似雪。

半透明の絹の肩掛け、両鬢の雲型の髪を梳く、金細工の鏡には女冠の顔が映り、雪のような肌である。

畫愁眉,遮語迴輕扇,含羞下繡帷。

でも、遠山の形の眉は愁いに溢れ、言葉も語るのをやめて、軽い團扇をめぐらせて、今日も来てくれない少し恥ずかしい気持ちを遺して、刺繍に飾られたとばりを降ろしている。

玉樓相望久,花洞恨來遲。

きらびやかに飾られた高楼からはあの人のいる方向を眺めるもの久しいし、花が満開のトンネルには恨みが来るのが遅れてくる。
早晚乘鸞去,莫相遺。

でも、もう春も過ぎようとして鸞鳥に乗って去ろうとしているし、あの人への思いを食いとして残してはならないのに。
 

女冠子二首

其一

嬌を含み笑を含む,宿翠 殘紅 窈窕たり。

鬢は蟬の如く,寒玉 秋水を簪し,輕紗 碧煙を捲く。

雪の 鸞鏡の裡,琪樹 鳳樓の前。

語を寄せ 青娥の伴とし,早に仙を求めよ。

 

其二

霞帔 雲髮,鈿鏡 仙容 雪に似たり。

畫は眉に愁い,語を遮って輕扇を迴らし,羞を含み繡帷を下る。

玉樓 相い望み久しく,花洞 恨み來る遲れる。

早晚 鸞に乘り去り,相いに遺すこと莫れ。

雲髻001
 

 

『女冠子二首』 現代語訳と訳註

(本文)

女冠子二首

其二

霞帔雲髮,鈿鏡仙容似雪。

畫愁眉,遮語迴輕扇,含羞下繡帷。

玉樓相望久,花洞恨來遲。

早晚乘鸞去,莫相遺。

 

 

(下し文)

其二

霞帔 雲髮,鈿鏡 仙容 雪に似たり。

畫は眉に愁い,語を遮って輕扇を迴らし,羞を含み繡帷を下る。

玉樓 相い望み久しく,花洞 恨み來る遲れる。

早晚 鸞に乘り去り,相いに遺すこと莫れ。

 

 

(現代語訳)

(女冠子二首の二 女道士の風俗を描く。)

半透明の絹の肩掛け、両鬢の雲型の髪を梳く、金細工の鏡には女冠の顔が映り、雪のような肌である。

でも、遠山の形の眉は愁いに溢れ、言葉も語るのをやめて、軽い團扇をめぐらせて、今日も来てくれない少し恥ずかしい気持ちを遺して、刺繍に飾られたとばりを降ろしている。

きらびやかに飾られた高楼からはあの人のいる方向を眺めるもの久しいし、花が満開のトンネルには恨みが来るのが遅れてくる。

 でも、もう春も過ぎようとして鸞鳥に乗って去ろうとしているし、あの人への思いを食いとして残してはならないのに。

 

(訳注)

女冠子二首

唐の教坊の曲名。女冠は女道士の意。『花間集』には十九首所収。温庭第の作は二首収められている。双調四十一字、前段二十二字五句二灰韻二乎韻、後段卜八字四句二平韻で、❹.❻.③.5.⑤./5.⑤.5.③の詞形をとる。

 

其二

女道士の風俗を描く。

前段は女道士が愛する人を待っている姿を詠い、後段は過ぎゆく春にこの春も逢えないままに過ぎていくことを描く。一定のお金をもらって女道士になり、そこでおとこをまっている。この詩は、魚玄機が道観に入って過ごしたシーンがかぶってくるようである、あまりにも艶めかしい姿態で措かれているが、この期の女道士や尼僧の住む祠、通観や寺院は、風俗を乱す場として、しばしば取りつぶしにあっている。一歳とると囲われていても捨てられたり、親、兄弟と死別すると多くの女性が駆け込んだのである。(後段に「妓女」について述べる。)

 美女004

 

霞帔雲髮,鈿鏡仙容似雪。

半透明の絹の肩掛け、両鬢の雲型の髪を梳く、金細工の鏡には女冠の顔が映り、雪のような肌である。

・古代の女性の刺繍(し/しゆう)つきの肩掛け.

・鈿鏡 黄金のかざりのある鏡。

 

畫愁眉,遮語迴輕扇,含羞下繡帷。

でも、遠山の形の眉は愁いに溢れ、言葉も語るのをやめて、軽い團扇をめぐらせて、今日も来てくれない少し恥ずかしい気持ちを遺して、刺繍に飾られたとばりを降ろしている。

 

玉樓相望久,花洞恨來遲。

きらびやかに飾られた高楼からはあの人のいる方向を眺めるもの久しいし、花が満開のトンネルには恨みが来るのが遅れてくる。

・玉樓 きらびやかに飾られた高楼。女子専用の祠ということ。

・花洞 満開の花トンネル。

 

早晚乘鸞去,莫相遺。

でも、もう春も過ぎようとして鸞鳥に乗って去ろうとしているし、あの人への思いを食いとして残してはならないのに。

・乘鸞去 春も過ぎようとして鸞鳥に乗って去ろうとしている

・莫相遺 あの人への思いを食いとして残してはならないのに。
木蓮001
 

女冠子二首 其一 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-312-5-#66  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3107

女冠子二首 其一 一夜経ても、艶やかな動き、笑みを浮かべる、一夜すごして眉の墨は色褪せ、頬紅の色も薄れたけれどたおやかにせっしてくれる。雲型の鬢の髪が透けて蝉の羽のようであり、澄んだ秋の水のように冷たく冴える玉の簪がゆれる、翻る薄絹の衣は碧の霞のようで艶めかしい。 


2013年10月8日  同じ日の紀頌之5つのブログ
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司馬相如 《上林賦 》(6)#2-4 文選 賦<110-#2-4>9分割26回 Ⅱ李白に影響を与えた詩911 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3103
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謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html 謝靈運詩六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。
謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67474554.html
登池上樓 #1 謝霊運<25>#1  ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67502196.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html 
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150

 

女冠子二首 其一 温庭筠  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-312-5-#66   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3107

  

花間集に収める『女冠子』

Ⅴ-ID

詩人

首数

掲載

1

溫助教庭筠

女冠子二首

5

韋相莊

女冠子二首

9

薛侍郎昭蘊

女冠子二首

6

牛嶠(牛給事嶠)

女冠子四首

7

張舍人泌

女冠子一首

12

孫少監光憲

女冠子二首

15

魏太尉承班

女冠子二首

18

毛秘書熙震

女冠子二首

22

李秀才珣

女冠子二首

  

女冠子二首

其一

含嬌含笑,宿翠殘紅窈窕。

一夜経ても、艶やかな動き、笑みを浮かべる、一夜すごして眉の墨は色褪せ、頬紅の色も薄れたけれどたおやかにせっしてくれる。

鬢如蟬,寒玉簪秋水,輕紗捲碧煙。

雲型の鬢の髪が透けて蝉の羽のようであり、澄んだ秋の水のように冷たく冴える玉の簪がゆれる、翻る薄絹の衣は碧の霞のようで艶めかしい。 

鸞鏡裡,琪樹鳳樓前。

雪のように白い胸が鸞鏡に映る、美しき高樓の前に仙界の琪樹のように立ち、麗しき鳳凰のお伴の前に進む、

寄語青娥伴,早求仙。

そして、嫦娥のような女はお伴の者に次のように言った、「あなたも早く道士におなりなさいな」と。

 

其二

霞帔雲髮,鈿鏡仙容似雪。

畫愁眉,遮語迴輕扇,含羞下繡帷。

玉樓相望久,花洞恨來遲。

早晚乘鸞去,莫相遺。

 

 

女冠子二首

其一

嬌を含み笑を含む,宿翠 殘紅 窈窕たり。

鬢は蟬の如く,寒玉 秋水を簪し,輕紗 碧煙を捲く。

雪の 鸞鏡の裡,琪樹 鳳樓の前。

語を寄せ 青娥の伴とし,早に仙を求めよ。

 

其二

霞帔 雲髮,鈿鏡 仙容 雪に似たり。

畫は眉に愁い,語を遮って輕扇を迴らし,羞を含み繡帷を下る。

玉樓 相い望み久しく,花洞 恨み來る遲れる。

早晚 鸞に乘り去り,相いに遺すこと莫れ。

botan00
 

 

『女冠子二首』 現代語訳と訳註

(本文)

女冠子二首

其一

含嬌含笑,宿翠殘紅窈窕。

鬢如蟬,寒玉簪秋水,輕紗捲碧煙。

鸞鏡裡,琪樹鳳樓前。

寄語青娥伴,早求仙。

 

 

(下し文)

女冠子二首

其一

嬌を含み笑を含む,宿翠 殘紅 窈窕たり。

鬢は蟬の如く,寒玉 秋水を簪し,輕紗 碧煙を捲く。

雪の 鸞鏡の裡,琪樹 鳳樓の前。

語を寄せ 青娥の伴とし,早に仙を求めよ。

 

 

(現代語訳)

一夜経ても、艶やかな動き、笑みを浮かべる、一夜すごして眉の墨は色褪せ、頬紅の色も薄れたけれどたおやかにせっしてくれる。

雲型の鬢の髪が透けて蝉の羽のようであり、澄んだ秋の水のように冷たく冴える玉の簪がゆれる、翻る薄絹の衣は碧の霞のようで艶めかしい。 

雪のように白い胸が鸞鏡に映る、美しき高樓の前に仙界の琪樹のように立ち、麗しき鳳凰のお伴の前に進む、

そして、嫦娥のような女はお伴の者に次のように言った、「あなたも早く道士におなりなさいな」と。

 

 

(訳注)

女冠子二首

唐の教坊の曲名。女冠は女道士の意。『花間集』には十九首所収。温庭第の作は二首収められている。双調四十一字、前段二十二字五句二灰韻二乎韻、後段卜八字四句二平韻で、❹.❻.③.5.⑤./5.⑤.5.③の詞形をとる。

 

其一

女道士の風俗を描く。前段は女道士の姿を詠い、後段は伴の女にあなたも早く道士になりなさいと勧めるさまを描く。脱俗の女道士にしては、あまりにも艶めかしい姿態で措かれているが、この期の女道士や尼僧の住む祠、通観や寺院は、風俗を乱す場として、しばしば取りつぶしにあっている。一歳とると囲われていても捨てられたり、親、兄弟と死別すると多くの女性が駆け込んだのである。(後段に「妓女」について述べる。)

 

含嬌含笑,宿翠殘紅窈窕。

一夜経ても、艶やかな動き、笑みを浮かべる、一夜すごして眉の墨は色褪せ、頬紅の色も薄れたけれどたおやかにせっしてくれる。

○含嬌含笑 艶めかしい眼差しと微笑みを帯びる。

○宿翠殘紅窈窕 一夜経て、化粧はくずれたが、依然としてたおやかな姿態を保っている、の意。宿翠は一夜経て色あせた眉。残紅は色薄れた頬紅。窈窕はたおやかなさま。

 

 

鬢如蟬,寒玉簪秋水,輕紗捲碧煙。

雲型の鬢の髪が透けて蝉の羽のようであり、澄んだ秋の水のように冷たく冴える玉の簪がゆれる、翻る薄絹の衣は碧の霞のようで艶めかしい。 

○鬢如蟬 透明で黒い超脈の入った蝉の羽のような髪。雲型の両鬢の薄く梳いた女性の髪の毛をいう。

○寒玉簪秋水 秋の水のように冷たく澄んだ.玉の智が髪にささっていること。なお轡の字は、本句と次句とが対をなし、抱の字と対応することから動詞と見なされる。

○軽妙捲碧煙 風にひらめく薄衣が碧の霞のように透けて見えること。

 

鸞鏡裡,琪樹鳳樓前。

雪のように白い胸が鸞鏡に映る、美しき高樓の前に仙界の琪樹のように立ち、麗しき鳳凰のお伴の前に進む、

○鸞鏡 鸞鳥の鋳込まれた鋼製の鏡。温庭筠「菩薩蛮」の「鸞鏡」。鏡中鸞 金属製の鏡の背面に彫られた鸞の模様が「双鳳文鏡」であり、離ればなれのつがいの鸞がお互いを求め合う姿を彫刻しているものが多い。「鸞鏡」は、愛し合う(時にはなれねばならない)男女の思いを映し出す鏡をしめす。鸞は理想郷に棲む想像上の鳥。羽の色は赤色に五色を交え声は五音に合うという。白楽天「太行路」に鏡中鸞を引き合いにし男女について詠っている。代人悼亡 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-108-43  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2087温庭筠『遐方怨』之一「花半坼,雨初晴。未卷珠簾,夢殘,惆悵聞曉鶯。宿妝眉淺粉山橫。約鬟鸞鏡裏,繡羅輕。」『遐方怨 二首之一』(花半坼)温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-46-15-#  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1800

『菩薩蠻』「寶函雀金鸂鵣,沈香閣上山碧。楊柳又如絲,驛橋春雨時。畫樓音信斷,芳草江南岸。鸞鏡與花枝,此情誰得知。」『菩薩蠻 六』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-6-6 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1640

・鸞鏡 鸞鳥を背に彫んだ鏡。ケイ賓(カシミ-ル地方にあった国の名)の王が鷲を飼っていたが三年たっても鳴かなかった。夫人が「鸞はその姿を見たらなく」というので鏡をかけてこれをうつさせたら夜中に鳴き出して死絶したという。よって後世鏡のことを鸞鏡というという。
李商隠『無題』
含情春晼晩、暫見夜蘭干。
樓響將登怯、簾烘欲過難。
多羞釵上燕、眞愧鏡中鸞。
歸去横塘暁、華星送寶鞍。
・鏡中鸞 金属製の鏡の背面に彫られた鸞の模様が「双鳳文鏡」であり、離ればなれのつがいの鸞がお互いを求め合う姿を彫刻しているものが多い。「鸞鏡」は、愛し合う(時にはなれねばならない)男女の思いを映し出す鏡をしめす。鸞は理想郷に棲む想像上の鳥。羽の色は赤色に五色を交え声は五音に合うという。白楽天「太行路」に鏡中鸞を引き合いにし男女について詠っている。

無題 (含情春晼晩) 李商隠 16

○琪樹 もともとは仙界の樹木を言うが、ここでは女道士のすっくと立った美しい姿を形容する。

 

 

寄語青娥伴,早求仙。

そして、嫦娥のような女はお伴の者に次のように言った、「あなたも早く道士におなりなさいな」と。

○靑蛾 美しい女性。靑は五行思想で春を意味する。女を売る意味の女性。

○早求仙 早く女道士になりなさい、の意。仙は仙界の人のこと。ここでは道士を指す。

 
 

美女004

 

芸妓について

妓女(ぎじょ)は、中国における遊女もしくは芸妓のこと。娼妓、娼女という呼称もある。歌や舞、数々の技芸で人々を喜ばせ、時には宴席の接待を取り持つこともあった。娼婦を指すこともある。また、道教の寺観にも娼婦に近い巫女がいた。この時代において、女性が男性と対等にできる唯一の場所であった。

もともとは国家による強制的な徴発と戦時獲得奴隷が主な供給源だったと考えられるが、罪人の一族を籍没(身分を落とし、官の所有とする制度)する方法が加わった。また、民間では人身売買による供給が一般的であった。区分すると以下の通り。

1.宮妓 2.家妓 3.営妓、4.官妓、5.民妓、6.道妓)

 

1 宮妓

皇帝の後宮に所属。籍没された女性や外国や諸侯、民間から献上された女性。后妃とは別に、後宮に置かれ、後宮での業務をし、技芸を学び、皇帝を楽しませた。道教坊で技芸を習得した女性もこれに含まれる。班婕妤・趙飛燕や上官婉児などのように后妃に取り立てられるものもいた。

 

2 家妓

高官や貴族、商人の家に置かれ、家長の妾姫となった。主人だけではなく、客を歓待する席でも技芸により、これをもてなす役目があった。官妓から、臣下に下賜されて家妓になるものもいた。始皇帝の母にあたる呂不韋の愛人や、西晋の石崇の愛妾である緑珠が有名。

 

3営妓

軍隊の管轄に置かれ、軍営に所属する官人や将兵をその技芸で楽しませた。蘇小小。唐代女流詩人の薛濤が有名。

 

4官妓

中央政府の道教観や州府の管轄に置かれた。実際は、妓楼や酒楼は個別に運営されており、唐代・長安の北里、明代・南京の旧院は、その代表的な色町である。唐代の天宝年間以降に彼女らを題材にして、多くの士大夫が詩文にうたい、妓女となじんだという記録が盛んになる。唐代はその活動は最大なものであった。

唐代女流詩人の魚玄機、明代の陳円円、李香君、柳如是が有名。

 

5民妓

民営の妓楼に所属した。売春だけを目的とした女性も含まれる。明代以降、官妓が衰退した後、大きな役割を果たすようになった。清代は上海に多くの民妓がいた。宋代の李師師が有名。
 

6.道妓

道教の祠に学問等していない娼婦に近いものが多かった。

 

妓館には、花や植物が植えられ、狆や鸚鵡が飼われ、香炉が置かれ、また、雲母屏風、山水画や骨董が飾られているところが多く、庭園風になっているものもあった。妓館は、互いに奇をてらい合い、提供される様々な香りが数里先まで漂ったと伝えられる。さらに、厨女(女料理人)が働いており、彼女らが料理する山海の珍味がすぐに作れるように準備されていた。旧院には商店もあり、客が妓女に贈るための高級品が置かれていた。また、茶を専門とする茶坊もあった。夜には、妓女による音楽が奏でられ、芝居が上演された。妓館の額もまた、名人の手になるものがいくつもあった。妓館には、他に下働きの下女と男衆が別にいた。

 

摘得新 皇甫松  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-311-5-#65  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3102

皇甫松《摘得新》行楽には錦の筵、蝋燭ともされたその下で、この時は再びは来ないものだからこの時を逃すな。盛りの花も一夜嵐の襲い来たならば、空しきただの枝となるではないのか。

 

2013年10月7日  同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場
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李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html 
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人 古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
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摘得新 皇甫松  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-311-5-#65   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3102

 

摘得新二首

 

摘得新二首 其一

(時を逃すことなく、今宵の歓を尽くすべきことを詠む。)その一

酌一巵,須教玉笛吹。

大盃一杯の酒を酌みかわす、そうすれば、玉笛を吹き鳴らすしかないのだよ。

錦筵紅燭,莫來遲。

行楽には錦の筵、蝋燭ともされたその下で、この時は再びは来ないものだからこの時を逃すな。

繁紅一夜經風雨,是空枝。

盛りの花も一夜嵐の襲い来たならば、空しきただの枝となるではないのか。

 

(摘得新【てきとくしん】二首 其の一)

一巵【し】を酌み、須く玉笛を吹かしむべし。

 

錦筵【きんえん】 紅の蝋燭、来たり遅るること莫かれ。

繁紅 一夜 風雨を経れば、是れ空枝。

 

摘得新二首 其二

摘得新,枝枝葉葉春。

管弦兼美酒,最關人。

平生都得幾十度,展香茵。

 

1781180
 

『摘得新二首 其一』 現代語訳と訳註

(本文)

摘得新二首 其一

酌一巵,須教玉笛吹。

錦筵紅燭,莫來遲。

繁紅一夜經風雨,是空枝。

 

 

(下し文)

(摘得新【てきとく】二首 其の一)

一巵を酌み、須く玉笛を吹かしむべし。

錦筵 紅の蝋燭、来たり遅るること莫かれ。

繁紅 一夜 風雨を経れば、是れ空枝。

 

 

(現代語訳)

(時を逃すことなく、今宵の歓を尽くすべきことを詠む。)その一

大盃一杯の酒を酌みかわす、そうすれば、玉笛を吹き鳴らすしかないのだよ。

行楽には錦の筵、蝋燭ともされたその下で、この時は再びは来ないものだだからこの時を逃すな。

盛りの花も一夜嵐の襲い来たならば、空しきただの枝となるではないのか。

 

 

(訳注)

摘得新二首 其一

(時を逃すことなく、今宵の歓を尽くすべきことを詠む。)その一

 

唐の教坊の曲名。『花間集』には皇甫松の二首のみ所収。単調二十六字、六句四平韻で、③⑤/5③/7③の詞形をとる。

 

酌一巵,須教玉笛吹。

大盃一杯の酒を酌みかわす、そうすれば、玉笛を吹き鳴らすしかないのだよ。

○巵 四升 〔約7.2リットル〕 入りの大盃。

○教 ここでは使役を表す。

 

 

錦筵紅燭,莫來遲。

行楽には錦の筵、蝋燭ともされたその下で、この時は再びは来ないものだだからこの時を逃すな。

○莫来遅 時を逃すな、の意。

 

 

繁紅一夜經風雨,是空枝。

盛りの花も一夜嵐の襲い来たならば、空しきただの枝となるではないのか。

○繁紅 今が盛りと咲き誇る花。紅はここでは花のこと。
pla030
 

夢江南二首 其二 皇甫松  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-310-5-#64  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3097

皇甫松夢江南二首 其二でも、夢に見るのは金陵の高楼で別れた恨み嘆き事ばかりなのです、あのときは、桃が花を咲かせ、柳絮が長江のほとりに立つ城郭に一杯に飛んでいました。

 

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李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。  
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。  
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。  
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html 

 

夢江南二首 其二 皇甫松  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-310-5-#64   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3097

 

 

夢江南 其一

(江南で過ごした日、愛する女との別離の思い出)

蘭燼落,屏上暗紅蕉。

香油の入った蝋燭の燈芯が燃え尽きるのか蝋のしずくが落ち、屏風絵の紅蕉(カンナ)の花も薄暗い。

閒夢江南梅熟日,夜船吹笛雨蕭蕭。

夢路に辿るのは江南の初夏、梅の実が熟すころのこと、夜の船にでいると笛の音がひびく、雨はしとしとと降って、雨だれが鼓のように合わせて伝わってくる。

人語驛邊橋。

人の話し声が駅舎近くの橋から聞こえる。

 

(夢江南)

 蘭燼【らんじん】落ち, 屏上【へいじょう】紅蕉【こうしょう】暗し。

 閒夢【かんむ】江南 梅 熟す日, 夜船の吹笛 雨 蕭蕭たり。

人は語る 驛邊の橋。

 

 

夢江南二首 其二

(江南で過ごした日、愛する女との別離の思い出、女の身になって歌う)その二

樓上寢,殘月下簾旌。

金陵の高楼に上り愛するあのひとと寝たのです。傾きかけた月を見て簾をおろし、羽飾り旗出して出発の準備をしました。

夢見秣陵惆悵事,桃花柳絮滿江城

でも、夢に見るのは金陵の高楼で別れた恨み嘆き事ばかりなのです、あのときは、桃が花を咲かせ、柳絮が長江のほとりに立つ城郭に一杯に飛んでいました。

雙髻坐吹笙。

そして、雲型の兩の鬢をととのえて、坐して、笙をふいたのです。

夢江南二首 其二

樓 上りて 寢,殘月 下りて 簾旌す。

夢 秣陵 惆悵の事を見て,桃花 柳絮 江城に滿つ,

雙髻 坐して 笙を吹く。

 

 

『夢江南二首 其二』 現代語訳と訳註

(本文)

夢江南二首 其二

樓上寢,殘月下簾旌。

夢見秣陵惆悵事,桃花柳絮滿江城,

雙髻坐吹笙。

 

 

(下し文)

夢江南二首 其二

樓 上りて 寢,殘月 下りて 簾旌す。

夢 秣陵 惆悵の事を見て,桃花 柳絮 江城に滿つ,

雙髻 坐して 笙を吹く。

 

 

(現代語訳)

(江南で過ごした日、愛する女との別離の思い出、女の身になって歌う)その二

金陵の高楼に上り愛するあのひとと寝たのです。傾きかけた月を見て簾をおろし、羽飾り旗出して出発の準備をしました。

でも、夢に見るのは金陵の高楼で別れた恨み嘆き事ばかりなのです、あのときは、桃が花を咲かせ、柳絮が長江のほとりに立つ城郭に一杯に飛んでいました。

そして、雲型の兩の鬢をととのえて、坐して、笙をふいたのです。

 

 

(訳注)

夢江南二首 其二

(江南で過ごした日、愛する女との別離の思い出、女の身になって歌う)その二

 

 

樓上寢,殘月下簾旌。

金陵の高楼に上り愛するあのひとと寝たのです。傾きかけた月を見て簾をおろし、羽飾り旗出して出発の準備をしました。

・旌 旗竿(はたざお)のさきに旄(ぼう)という旗飾りをつけ、これに鳥の羽などを垂らした旗。天子が士気を鼓舞するのに用いる。また、旗の総称。

 

夢見秣陵惆悵事,桃花柳絮滿江城,

でも、夢に見るのは金陵の高楼で別れた恨み嘆き事ばかりなのです、あのときは、桃が花を咲かせ、柳絮が長江のほとりに立つ城郭に一杯に飛んでいました。

・秣陵 秣陵県 (江蘇省) - 江蘇省南京市の古称。 秣陵県 (河南省) - 河南省周口市沈丘県の古称。もともと金陵という名であったが、望気者が「王者の都たるべき地勢である」と言ったので、それを嫌った始皇帝は山を削って地形を変え、つまらない名を付けたのである。建安十六年(211)、孫権は張紘の進言を容れて治府を呉から秣陵に移し、翌年には石頭に築城して建業と改名した。

・惆悵 恨めしく思うこと。恨み嘆くこと。うらめしい。うらみがましい。温庭筠『更漏子 一』「惆悵謝家池閣」  謝女というのは晋の謝安が東山の彼を愛した故事から出たもの。過去女もそういう時期もあった。李白『送侄良攜二妓赴會稽戲有此贈』「攜妓東山去。 春光半道催。遙看若桃李。 雙入鏡中開。」送姪良携二妓赴会稽戯有此贈  李白Kanbuniinkai紀頌之の漢詩李白特集350 -287
池閣は、謝霊運の「池塘生春草」
謝霊運の「池塘生春草」にかけて、池堀に春草の生ずるようになったという春情にかける意がある。

 

雙髻坐吹笙。

そして、雲型の兩の鬢をととのえて、坐して、笙をふいたのです。

夢江南二首 其一 皇甫松  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-309-5-#63  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3092

皇甫松夢江南二首 其一香油の入った蝋燭の燈芯が燃え尽きるのか蝋のしずくが落ち、屏風絵の紅蕉(カンナ)の花も薄暗い。夢路に辿るのは江南の初夏、梅の実が熟すころのこと、夜の船にでいると笛の音がひびく、雨はしとしとと降って、雨だれが鼓のように合わせて伝わってくる。

 

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《和席八〔夔〕十二韻 〔元和十一年,夔與愈同掌制誥。〕》韓愈(韓退之) Ⅱ中唐詩 <821>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3089韓愈詩-197-#3
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Ⅲ杜甫詩1000詩集 LiveDoor660 《山寺〔自注:得開字,章留後同遊。〕》 蜀中転々 杜甫 <566-#3>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3090 杜甫詩1000-566-#3-812/1500
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●●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性 LiveDoor夢江南二首 其一 皇甫松  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-309-5-#63  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3092
 
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『楚辞・九歌』東君 屈原詩<78-#1505 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1332 
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『楚辞』九辯 第九段―まとめ 宋玉  <00-#35> 664 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2304 
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安世房中歌十七首(1) 唐山夫人 漢詩 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67710265.html 
為焦仲卿妻作 序 漢詩<143>古詩源 巻三 女性詩http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67729401.html 
於凊河見輓船士新婚別妻一首 曹丕(魏文帝) 魏詩http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67759129.html 
朔風 (一章) 曹植 魏詩<25-1>文選 雑詩 上 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67780868.html 
謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html 謝靈運詩六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。 
謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
 
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386
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登池上樓 #1 謝霊運<25>#1  ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67502196.html 
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html 
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。 
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
 
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
 
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150

 

夢江南二首 其一 皇甫松  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-309-5-#63   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3092

 

 

夢江南

(江南で過ごした日、愛する女との別離の思い出)

蘭燼落,屏上暗紅蕉。

香油の入った蝋燭の燈芯が燃え尽きるのか蝋のしずくが落ち、屏風絵の紅蕉(カンナ)の花も薄暗い。

閒夢江南梅熟日,夜船吹笛雨蕭蕭。

夢路に辿るのは江南の初夏、梅の実が熟すころのこと、夜の船にでいると笛の音がひびく、雨はしとしとと降って、雨だれが鼓のように合わせて伝わってくる。

人語驛邊橋。

人の話し声が駅舎近くの橋から聞こえる。

 

(夢江南)

 蘭燼【らんじん】落ち, 屏上【へいじょう】紅蕉【こうしょう】暗し。

 閒夢【かんむ】江南 梅 熟す日, 夜船の吹笛 雨 蕭蕭たり。

人は語る 驛邊の橋。

 

 

『夢江南』 現代語訳と訳註

(本文)

夢江南

蘭燼落,屏上暗紅蕉。

閒夢江南梅熟日,夜船吹笛雨蕭蕭。

人語驛邊橋。

 

 

(下し文)

 

 

(現代語訳)

(江南で過ごした日、愛する女との別離の思い出)

香油の入った蝋燭の燈芯が燃え尽きるのか蝋のしずくが落ち、屏風絵の紅蕉(カンナ)の花も薄暗い。

夢路に辿るのは江南の初夏、梅の実が熟すころのこと、夜の船にでいると笛の音がひびく、雨はしとしとと降って、雨だれが鼓のように合わせて伝わってくる。いる。

人の話し声が駅舎近くの橋から聞こえる。

 

 

(訳注)

夢江南

(江南で過ごした日、愛する女との別離の思い出)

・夢江南:【ぼうこうなん】単調の望江南、憶江南と同調。「夢」の音は「ぼう」がふさわしい。「む」は慣用音。なお「望江南」は【ばうこうなん】と言う。詞の形式名。花間集二巻第所収。

この作品は単調。二十七字。五句三平韻。望江南、謝秋娘、憶江南ともいう。別体三種、双調あり。 押韻:蕉・蕭・橋37⑦⑤の詞形をとる。

かつて江南で過ごした日、愛する女との別離の思い出を詠う。第三句以下は、夢に見た、かつての別れの日を描く。梅の実の熟す頃の江南、しとしとと雨の降る夜、宿駅の橋、船の中で誰かが吹く笛、彼女は私との別れを惜しんで語りかけてくる、と。

 

 

蘭燼落,屏上暗紅蕉。

香油の入った蝋燭の燈芯が燃え尽きるのか蝋のしずくが落ち、屏風絵の紅蕉(カンナ)の花も薄暗い。

・蘭燼:香油の入った立派なロウソクの燃え残り。・蘭:蘭膏。香油。また、植物の蘭と、特に関係はない場合もある。李淸照の「獨上蘭舟」の蘭も木蘭の舟の意はあるが、結果としては、美称。

・屏上:屏風の。屏風に描かれている。

・暗:ロウソクが消えかかっているので、薄暗くなっている。

・紅蕉:紅いカンナ。カンナは美人蕉という。白居易の「憶江南」「江南好,風景舊曾諳。 日出江花紅勝火,春來江水綠如藍。 能不憶江南。」「夢江南」と「憶江南」は同一詞調。

 

 

閒夢江南梅熟日,夜船吹笛雨蕭蕭。

夢路に辿るのは江南の初夏、梅の実が熟すころのこと、夜の船にでいると笛の音がひびく、雨はしとしとと降って、雨だれが鼓のように合わせて伝わってくる。

・閒夢:のどかな夢。ここの「閒」は「閑」の意(音も)。

江南:中国南部。長江以南。

・梅熟日:梅の実が熟す晩春、初夏に。=黄梅季、黄梅天。梅雨どき。

・閒夢江南梅熟日:ひそやかな夢は江南の初夏を辿る。白居易の「江南好,風景舊曽諳。日出江花紅勝火,春來江水綠如藍。能不憶江南!」に応えているとも思える。

・夜船:作者との関係が不明。作者は韋荘のように、船にいるのか、それとも、夜船でだれかが笛を吹いているのか。韋荘の「菩薩蛮」「人人盡説江南好,遊人只合江南老。春水碧於天,畫船聽雨眠。」も参考になる。

・吹笛:笛を吹く。静かな宵、遙か彼方から笛の音が伝わってきた、ということ。音が聞こえるということは、静かだからなので、静かな夜、と解しても好かろう。

・蕭蕭:もの寂しいさま。ここでは雨が静かに降る様子をいう。

 

 

人語驛邊橋。

人の話し声が駅舎近くの橋から聞こえる。

・人語:人の話し声が聞こえる。上の読み下しでは「人は語る」と読んではいるが…。 女性の話し声がする、鳥のさえずり、美人の声が聞こえる、という感じの意味である。「人語」の場合、「語」は、日本語で「かたる」という重々しい感じよりも「声が聞こえる」という軽いものの方がふさわしい。

・驛:古代の駅舎。宿舎。

 

皇甫松 鬢毛01
 夢江南二首 其一
蘭燼落,屏上暗紅蕉。
閑夢江南梅熟日,夜舡吹笛雨蕭蕭,人語驛邊橋。
夢江南二首 其二
樓上寢,殘月下簾旌。
夢見秣陵惆悵事,桃花柳絮滿江城,雙髻坐吹笙。
温庭筠
 夢江南二首 其一
千萬恨,恨極在天涯。
山月不知心裏事,水風空落眼前花,搖曳碧雲斜。
其二
梳洗罷,獨倚望江樓。
過盡千帆皆不是,斜暉脉脉水悠悠,腸斷白蘋洲。
牛嶠
 夢江南
含泥燕,飛到畫堂前。
占得杏樑安穩處,體輕唯有主人憐,堪羨好因緣。


採蓮子二首  其二 皇甫松  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-308-5-#62  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3087

採蓮子二首其二舟が動いて月の光がきらきらと影を落とす秋の夜(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。乙女らは丘の上で見ている青年をじっと見つめるものだから船が流されるがままになっているのです。(ああ、そうだよ若いもの。)

 

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採蓮子二首  其二 皇甫松  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-308-5-#62   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3087

 

 

採蓮子二首 其一

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)

菡萏香蓮十頃陂(舉棹),小姑貪戲採蓮遲(年少)。

ハスの花、蓮の実、薫り高いハス、この十頃もあるこの池に、(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。乙女らは遊びに夢中になって蓮とり作業がはかどらないのです。(ああ、そうだよ若いもの。)

晚來弄水船頭濕(舉棹),更紅裙裹鴨兒(年少)。

送越してると薄暗くなってきたのにまだ水遊びをしている、舟の舳先までびしょぬれだ。(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。それにくわえて、紅いスカートをぬぎすてて、もうかわいいアヒルの子だよ、(ああ、そうだよ若いもの。)

 

採蓮子二首  其の一

蓮は香る 十頃の陂【つつみ】(棹を舉げよ)。

小姑 戲れて 貪【むさぼ】り 蓮を採ること遲し (年少なり)。

晩來 水を 弄びて 船頭 濕れる (棹を舉げよ),更に 紅裙を脱ぎ 鴨兒【おうじ】を裹【つつ】む (年少なり)。

 

 

採蓮子二首 其二

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)その二

舡動湖光灔灔秋(舉棹),貪看年少信舡流(年少)。

舟が動いて月の光がきらきらと影を落とす秋の夜(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。乙女らは丘の上で見ている青年をじっと見つめるものだから船が流されるがままになっているのです。(ああ、そうだよ若いもの。)

無端隔水蓮子(舉棹),遙被人知半日羞(年少)。

ただわけもなく船を岸に向けると、乙女は蓮の実を好きな青年に向けて投げるのです。(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。それをはるか離れている人に見られたので、半日も恥ずかしい思いをした。(ああ、そうだよ若いもの。)

 

採蓮子二首  其の二

船は 湖光を動かし 灔灔たる 秋 (棹を舉げよ)

年少を貪り看て 船の流るるに 信【まか】す (年少なり)

端 無くも水を隔てて 蓮子を抛【なげう】てば (棹を舉げよ),遙か人に知られて 半日羞づ (年少なり)。

采蓮004
 

 

『採蓮子二首 其二』現代語訳と訳註

(本文)

其二

舡動湖光灔灔秋(舉棹),貪看年少信舡流(年少)。

無端隔水蓮子(舉棹),遙被人知半日羞(年少)。

 

 

(下し文)

採蓮子 其の二

船は 湖光を動かし 灔灔たる 秋 (棹を舉げよ)。

年少を貪り看て 船の流るるに 信【まか】す (年少なり)。

端 無くも水を隔てて 蓮子を抛【なげう】てば (棹を舉げよ),遙か人に知られて 半日羞づ (年少なり)。

 

 

(現代語訳)

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)

舟が動いて月の光がきらきらと影を落とす秋の夜(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。乙女らは丘の上で見ている青年をじっと見つめるものだから船が流されるがままになっているのです。(ああ、そうだよ若いもの。)

ただわけもなく船を岸に向けると、乙女は蓮の実を好きな青年に向けて投げるのです。(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。それをはるか離れている人に見られたので、半日も恥ずかしい思いをした。(ああ、そうだよ若いもの。)

 

 

(訳注)

採蓮子二首 其二

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)

唐の教坊の曲名。「教坊記』は采蓮子と記す。『花問集』には皇甫松の二首のみ所収。

単調二十八字、四句・平韻で、各句末に二字の囃子詞が付く。この囃子詞を含めると三十六字になり、⑦❷、⑦❷。⑦❷、⑦❷。の詞形をとる。( )内は囃子詞。

 

皇甫松:皇甫が姓。睦州の人(現・浙江建徳)。皇甫湜の息子。生没年不詳。唐代の人。花間集では「皇甫先輩松」とある。唐代では、進士を先輩と呼ぶので、進士で、出仕しないで終わったのだろう。

 

 

舡動湖光灔灔秋(舉棹),貪看年少信舡流(年少)。

舟が動いて月の光がきらきらと影を落とす秋の夜(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。乙女らは丘の上で見ている青年をじっと見つめるものだから船が流されるがままになっているのです。(ああ、そうだよ若いもの。)

・船動湖光:船が湖面を波打たせたので、水面が動いて日の光がきらきらと反射しているさまをいう。

・灔灔:水の揺れ動くさま。(月光等が水に映って)美しく光るさま。

貪看:蓮の実を採っている少女が、岸辺にいる若者をうっとりとみつめていること。

・信船流:舟が流されるがまま。

 

無端隔水蓮子(舉棹),遙被人知半日羞(年少)。

ただわけもなく船を岸に向けると、乙女は蓮の実を好きな青年に向けて投げるのです。(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。それをはるか離れている人に見られたので、半日も恥ずかしい思いをした。(ああ、そうだよ若いもの。)

・無端:訳もなく。故無く。

・隔水:水を隔てて。舟から岸をめがけて。

・抛:放り投げる。

・蓮子:蓮の実。食用にする。蓮池の側でよく売っている。

・遙被人知:遙か離れている所の人に見られてしまい。

・半日:長時間。長い間。現代語での「半天」(はんにち)と同じで、「半日(はんにち)」の意とともに、「相当長時間」の意味がある。

・羞:はじらう。
采蓮004
 

採蓮子二首  其一 皇甫松  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-307-5-#61  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3082

皇甫松採蓮子二首  其一ハスの花、蓮の実、薫り高いハス、この十頃もあるこの池に、(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。乙女らは遊びに夢中になって蓮とり作業がはかどらないのです。(ああ、そうだよ若いもの。)

 

2013年10月3日  同じ日の紀頌之5つのブログ
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Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
   
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司馬相如 《上林賦 》(1)#1-1 文選 賦<110-#1-1>9分割26回 Ⅱ李白に影響を与えた詩906 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3078
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Ⅱ中唐詩・晩唐詩
 
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●●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性 LiveDoor 採蓮子二首  其一 皇甫松  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-307-5-#61  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3082
 
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朔風 (一章) 曹植 魏詩<25-1>文選 雑詩 上 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67780868.html 
謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html 謝靈運詩六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。 
謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
 
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67474554.html 
登池上樓 #1 謝霊運<25>#1  ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67502196.html 
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html 
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。 
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
 
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
 
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150

 

採蓮子二首  其一 皇甫松  Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-307-5-#61   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3082

 

 

採蓮子二首

其一

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)

菡萏香蓮十頃陂(舉棹),小姑貪戲採蓮遲(年少)。

ハスの花、蓮の実、薫り高いハス、この十頃もあるこの池に、(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。乙女らは遊びに夢中になって蓮とり作業がはかどらないのです。(ああ、そうだよ若いもの。)

晚來弄水船頭濕(舉棹),更紅裙裹鴨兒(年少)。

送越してると薄暗くなってきたのにまだ水遊びをしている、舟の舳先までびしょぬれだ。(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。それにくわえて、紅いスカートをぬぎすてて、もうかわいいアヒルの子だよ、(ああ、そうだよ若いもの。)

 

採蓮子二首  其の一

蓮は香る 十頃の陂【つつみ】(棹を舉げよ)。

小姑 戲れて 貪【むさぼ】り 蓮を採ること遲し (年少なり)。

晩來 水を 弄びて 船頭 濕れる (棹を舉げよ),更に 紅裙を脱ぎ 鴨兒【おうじ】を裹【つつ】む (年少なり)。

 

 

其二

舡動湖光灔灔秋(舉棹),貪看年少信舡流(年少)。

無端隔水蓮子(舉棹),遙被人知半日羞(年少)。

 

採蓮子二首  其の二

船は 湖光を動かし 灔灔たる 秋 (棹を舉げよ)。

年少を貪り看て 船の流るるに 信【まか】す (年少なり)。

端 無くも水を隔てて 蓮子を抛【なげう】てば (棹を舉げよ),遙か人に知られて 半日羞づ (年少なり)。

采蓮004
 

 

『採蓮子二首』 現代語訳と訳註

(本文)

採蓮子二首

其一

菡萏香蓮十頃陂(舉棹),小姑貪戲採蓮遲(年少)。

晚來弄水船頭濕(舉棹),更紅裙裹鴨兒(年少)。

 

(下し文)

採蓮子二首  其の一

蓮は香る 十頃の陂【つつみ】(棹を舉げよ)。

小姑 戲れて 貪【むさぼ】り 蓮を採ること遲し (年少なり)。

晩來 水を 弄びて 船頭 濕れる (棹を舉げよ),更に 紅裙を脱ぎ 鴨兒【おうじ】を裹【つつ】む (年少なり)。

 

 

(現代語訳)

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)

ハスの花、蓮の実、薫り高いハス、この十頃もあるこの池に、(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。乙女らは遊びに夢中になって蓮とり作業がはかどらないのです。(ああ、そうだよ若いもの。)

送越してると薄暗くなってきたのにまだ水遊びをしている、舟の舳先までびしょぬれだ。(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。それにくわえて、紅いスカートをぬぎすてて、もうかわいいアヒルの子だよ、(ああ、そうだよ若いもの。)

 

 

(訳注)

採蓮子二首 其一

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)

唐の教坊の曲名。「教坊記』は采蓮子と記す。『花問集』には皇甫松の二首のみ所収。

単調二十八字、四句・平韻で、各句末に二字の囃子詞が付く。この囃子詞を含めると三十六字になり、⑦❷、⑦❷。⑦❷、⑦❷。の詞形をとる。( )内は囃子詞。

 

皇甫松:皇甫が姓。睦州の人(現・浙江建徳)。皇甫湜の息子。生没年不詳。唐代の人。花間集では「皇甫先輩松」とある。唐代では、進士を先輩と呼ぶので、進士で、出仕しないで終わったのだろう。

 

菡萏香蓮十頃陂(舉棹),小姑貪戲採蓮遲(年少)。

ハスの花、蓮の実、薫り高いハス、この十頃もあるこの池に、(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。乙女らは遊びに夢中になって蓮とり作業がはかどらないのです。(ああ、そうだよ若いもの。)

・菡萏:ハスの花。はちす。

・香蓮:薫り高いハス。

・頃:面積の単位。一頃=百畝で、周代、古代では、1,82ヘクタール。碧波万頃(広い水面)という風に広さの表現となっている。

・陂/堤。ここでは、池。

・舉棹:第一句と三句の後に来るおはやしのことば。「(舟を漕ぐ)さおをあげて」止まってじっと見るという意味を含む。

・小姑:女の子。乙女。

・貪戲:遊びほうけている。

・採蓮遲:ハスを採るのがなかなか進まない。

・年少:第二句と四句の後に来るお囃子のことば。「年が若い(者)」

 

 

晚來弄水船頭濕(舉棹),更紅裙裹鴨兒(年少)。

送越してると薄暗くなってきたのにまだ水遊びをしている、舟の舳先までびしょぬれだ。(ああ、だったらここで棹を挙げよ)。それにくわえて、紅いスカートをぬぎすてて、もうかわいいアヒルの子だよ、(ああ、そうだよ若いもの。)

・晩來:薄暗くなってきて。

・弄水:水遊びをしている。

・船頭濕:船の上が濡れる。船頭:へさき。船首のこと。船頭さんのことではない。

・更:おまけに。

・脱:(衣服を)ぬぐ。

・紅裙:紅いスカート(状の着物)。

・裹:(くゎ;guo3)つつむ。

・鴨兒:アヒル。カモ。児は、名詞などに付く接尾辞。現代語では、可愛い感じを出す場合もあるが、特に意味はない。アヒルの子、ヒヨコという意味は普通ない。
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荷葉盃 三首 其三 温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-306-5-#60  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3077

(荷葉杯 其の三)楚の国の女が江南の港に帰ろうとしている。その朝、雨が降っている。女の紅い頬は憂いにあふれ涙にぬれている。

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李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首

 

 

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荷葉杯 其一

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)その一

一點露珠凝冷,波影,滿池塘。

鏡のような水面に映る秋の夜の月は、雪のように輝き庭を照らす。

綠莖紅艷兩相亂,腸斷,水風涼。

蓮を採る時、寒くなり始めた中、装いした乙女たちはその顔を冷たい水に差し向けている。

胸を痛め、怨みを思い、それでもまだ、あなたのことを思う。

荷葉杯【かようはい】 其一

一點 露珠 凝冷たり,波影あり,池塘に滿つ。

綠莖 紅艷にして 兩つながら相い亂れ,腸斷つ,水風の涼。

其二

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)その二

鏡水夜來秋月,如雪。採蓮時,

鏡のような水面に映る秋の夜の月は、雪のように輝き庭を照らす。

小娘紅粉對寒浪。惆悵,正思惟。

蓮を採る時、寒くなり始めた中、装いした乙女たちはその顔を冷たい水に差し向けている。

胸を痛め、怨みを思い、それでもまだ、あなたのことを思う。

荷葉杯【かようはい】 其の二

鏡水 夜來の秋月,雪の如し。採蓮の時,

小娘【しょうじょう】の紅粉 寒浪に對す。惆悵として,正に思惟す。

 

其三

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)その三

楚女欲歸南浦,朝雨,濕愁紅。

楚の国の女が江南の港に帰ろうとしている。その朝、雨が降っている。女の紅い頬は憂いにあふれ涙にぬれている。

小船搖漾入花裏,波起,隔西風。

旅立つ船はゆらゆら揺れながらこの街の船着き場に入って來る。波を起こして出向する。そして西風に乗って離れていく。

荷葉杯【かようはい】 其三

楚女 南浦に歸らんと欲す,朝 雨あり,愁紅を濕す。

小船 漾を搖らせ 花裏に入り,波 起し,西風を隔つ。

 蓮00

 

『荷葉杯』其三 現代語訳と訳註

(本文)

其三

楚女欲歸南浦,朝雨,濕愁紅。

小船搖漾入花裏,波起,隔西風。

 

 (下し文)

(荷葉杯 其の三)

楚女 南浦に歸らんと欲す,朝 雨あり,愁紅を濕す。

小船 漾を搖らせ 花裏に入り,波 起し,西風を隔つ。

 

(現代語訳)

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)その三

楚の国の女が江南の港に帰ろうとしている。その朝、雨が降っている。女の紅い頬は憂いにあふれ涙にぬれている。

旅立つ船はゆらゆら揺れながらこの街の船着き場に入って來る。波を起こして出向する。そして西風に乗って離れていく。

 

(訳注)

荷葉杯 其三

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)

唐の教坊の曲名。『花間集」一には十四首所収。温庭筠の作は三百収められている。単調二十三字、六句四仄韻二平韻で、❻❷/③❼/❷③の詞形をとる。

094荷葉杯 其一 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-279-5-#33  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2942

荷葉杯 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-258-5-#12  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2672

toujidaimapsoshu
 

楚女欲歸南浦,朝雨,濕愁紅。

楚の国の女が江南の港に帰ろうとしている。その朝、雨が降っている。女の紅い頬は憂いにあふれ涙にぬれている。

楚女 戦国時代、秦、燕、斉、趙、魏、韓、楚があり、楚の女性がきれいであったことでこういう。

・南浦 長江下流域の江南の港、浙江省、会稽、紹興をいう。

牛嶠『感恩多二首』其二

自從南浦別,愁見丁香結。

近來情轉深,憶鴛衾。

幾度將書托煙鴈,淚盈襟。

淚盈襟,禮月求天,願君知我心。

春の東から初夏の南と時間の経過を感じさせる。その時間経過は、女の蕾を女盛りを過ぎようとする時間経過も感じさせる。下句の「西風」で完全に別れてしまったことを感じさせる。
 

小船搖漾入花裏,波起,隔西風。

旅立つ船はゆらゆら揺れながらこの街の船着き場に入って來る。波を起こして出向する。そして西風に乗って離れていく。

・漾 笑顔がこぼれる.水がゆらゆら揺れる。

・花裏 花は花街、その街のことをいう。

・西風 1 西方から吹いてくる風。にしかぜ。 寂しい秋の風。秋風。

采蓮004
 

荷葉盃 三首 其二 温庭筠 ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-305-5-#59  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3072

《荷葉盃 三首 其二》蓮を採る時、寒くなり始めた中、装いした乙女たちはその顔を冷たい水に差し向けている。胸を痛め、怨みを思い、それでもまだ、あなたのことを思う。

 

2013年10月1日  同じ日の紀頌之5つのブログ
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孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩 盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

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李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。 
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人 古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。 
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。 
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首

 

荷葉盃 三首 其二 温庭筠 Ⅹ唐五代詞・宋詩Gs-305-5-#59   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3072

 

 

荷葉杯 其一

一點露珠凝冷,波影,滿池塘。

綠莖紅艷兩相亂,腸斷,水風涼。

其二

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)

鏡水夜來秋月,如雪。

鏡のような水面に映る秋の夜の月は、雪のように輝き庭を照らす。

採蓮時,小娘紅粉對寒浪。

蓮を採る時、寒くなり始めた中、装いした乙女たちはその顔を冷たい水に差し向けている。

惆悵,正思惟。

胸を痛め、怨みを思い、それでもまだ、あなたのことを思う。

其の二

鏡水 夜來の秋月,雪の如し。採蓮の時,

小娘【しょうじょう】の紅粉 寒浪に對す。惆悵として,正に思惟す。

 

其三

楚女欲歸南浦,朝雨,濕愁紅。

小船搖漾入花裏,波起,隔西風。

蓮00

『荷葉杯』其二 現代語訳と訳註

(本文)

其二

鏡水夜來秋月,如雪。

採蓮時,小娘紅粉對寒浪。

惆悵,正思惟。

 

 

(下し文)

其の二

鏡水 夜來の秋月,雪の如し。採蓮の時,

小娘【しょうじょう】の紅粉 寒浪に對す。惆悵として,正に思惟す。

 

 

(現代語訳)

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)

鏡のような水面に映る秋の夜の月は、雪のように輝き庭を照らす。

蓮を採る時、寒くなり始めた中、装いした乙女たちはその顔を冷たい水に差し向けている。

胸を痛め、怨みを思い、それでもまだ、あなたのことを思う。

 

 

(訳注)

其二

(秋になって夜の採蓮に出た乙女たちの恋しい男を思いやることを詠う)

 

鏡水夜來秋月,如雪。

鏡のような水面に映る秋の夜の月は、雪のように輝き庭を照らす。

・鏡水 鏡のような水面。風の吹かない静かな水面を云う。

・夜來 夕方の薄明かりがなくなったころ。

・秋月 秋の夜の月。

・如雪 夜も更けたころの月の照らした様子。

 

採蓮時,小娘紅粉對寒浪。

蓮を採る時、寒くなり始めた中、装いした乙女たちはその顔を冷たい水に差し向けている。

・採蓮 楽曲には採蓮曲がある。娘たちが詠う歌である。採蓮のことは、六朝時代から詩によまれて、李白が長江下流域、呉越を旅する時の多くの詩を残している。
李白『採蓮曲』
若耶渓傍採蓮女、笑隔荷花共人語。
日照新粧水底明、風飄香袖空中挙。
岸上誰家遊冶郎、三三五五映垂楊。
紫騮嘶入落花去、見此踟蹰空断腸。
李白10  採蓮曲

淥水曲  李白 11

越女詞 五首 其一 李白12

越女詞 五首 其二 李白13

越女詞五首其三 14其四 12-5其五

李白秋浦歌十七首其十三  
淥水淨素月。 月明白鷺飛。 
郎聽采菱女。 一道夜歌歸。
秋浦歌十七首 其三 李白Kanbuniinkai紀頌之の漢詩李白特集247/350

・小娘小娘の用語解説 - まだ、一人前に成長していない女。145歳くらいの少女。軽いあざけりの気持ちを含んでいうことが多い。

・紅粉 口紅と白粉。

・寒浪 冷たい水に差し向けていること。

 

惆悵,正思惟。

胸を痛め、怨みを思い、それでもまだ、あなたのことを思う。

・惆悵 恨めしく思うこと。恨み嘆くこと。うらめしい。うらみがましい。温庭筠『更漏子 一』「惆悵謝家池閣」  謝女というのは晋の謝安が東山の彼を愛した故事から出たもの。過去女もそういう時期もあった。李白『送侄良攜二妓赴會稽戲有此贈』「攜妓東山去。 春光半道催。遙看若桃李。 雙入鏡中開。」送姪良携二妓赴会稽戯有此贈  李白Kanbuniinkai紀頌之の漢詩李白特集350 -287
池閣は、謝霊運の「池塘生春草」
謝霊運の「池塘生春草」にかけて、池堀に春草の生ずるようになったという春情にかける意がある。

・思惟 ここでは恋しく思うこと。
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