薛昭蘊≪醉公子一首≫ 寝台の上に小型の香炉が置かれ、香の煙が香炉の網の所でくゆっている。韶州には軽らかな白い葛の新しかったかたびらが赤の染付も色あせる。何処に行くこともできずにいるこんな生活は我慢できない。こんなに心が捻じ曲がって来たけれど、何もはじめっから心が汚れようとしたわけではない。
9 19 醉公子一首 (薛昭蘊)薛侍郎昭蘊ⅩⅫ唐五代詞・「花間集」 Gs-396-9-#19 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3527
花間集には同じ題の詩は以下のようにある
薛侍郎昭蘊 | 醉公子一首 |
顧敻(顧太尉敻) | 醉公子二首 |
閻處士選 | 醉公子一首 |
醉公子一首
(貴公子に棄てられ、心が捻じ曲がり、汚れていく女を詠う。)
慢綰青絲髮,光砑吳綾襪。
かき上げて束ねている髪がゆるくなっている、若い黒髪が春の日にひかる。布につや出しをする,滑らかにした吳綾織物が鮮やかに光る。
床上小燻籠,韶州新退紅。
寝台の上に小型の香炉が置かれ、香の煙が香炉の網の所でくゆっている。韶州には軽らかな白い葛の新しかったかたびらが赤の染付も色あせる。
叵耐無端處,捻得從頭汚。
何処に行くこともできずにいるこんな生活は我慢できない。こんなに心が捻じ曲がって来たけれど、何もはじめっから心が汚れようとしたわけではない。
惱得眼慵開,問人閑事來。
もう悩んでしまって何もしたくなくなって目もトロンとした開け方になってしまう。世の人に問いかけてみてもこの後静かな何にもないことしか来はしない。
醉公子
綰も慢んだ青絲の髮,砑も光る 吳綾の襪【しとうず】。
床上 小さく籠に燻じて,韶州 新らたな紅も退す。
叵耐すは端無き處,捻くれて從頭の汚れを得ん。
惱んで眼慵き開くを得ん,人に問う閑事來るらん。
『醉公子一首』 現代語訳と訳註
(本文)
醉公子一首
慢綰青絲髮,光砑吳綾襪。
床上小燻籠,韶州新退紅。
叵耐無端處,捻得從頭汚。
惱得眼慵開,問人閑事來。
(下し文)
醉公子
綰も慢んだ青絲の髮,砑も光る 吳綾の襪【しとうず】。
床上 小さく籠に燻じて,韶州 新らたな紅も退す。
叵耐すは端無き處,捻くれて從頭の汚れを得ん。
惱んで眼慵き開くを得ん,人に問う閑事來るらん。
(現代語訳)
(貴公子に棄てられ、心が捻じ曲がり、汚れていく女を詠う。)
かき上げて束ねている髪がゆるくなっている、若い黒髪が春の日にひかる。布につや出しをする,滑らかにした吳綾織物が鮮やかに光る。
寝台の上に小型の香炉が置かれ、香の煙が香炉の網の所でくゆっている。韶州には軽らかな白い葛の新しかったかたびらが赤の染付も色あせる。何処に行くこともできずにいるこんな生活は我慢できない。こんなに心が捻じ曲がって来たけれど、何もはじめっから心が汚れようとしたわけではない。
もう悩んでしまって何もしたくなくなって目もトロンとした開け方になってしまう。世の人に問いかけてみてもこの後静かな何にもないことしか来はしない。
(訳注)
醉公子一首
唐の教坊の曲名。『花間集』には薛昭蘊の一首他三首の所収。双調四十字、前後段二十字四句二仄韻、韻二平韻で、❺❺⑤⑤/❺❺⑤⑤の詞形をとる。
(貴公子に棄てられ、心が捻じ曲がり、汚れていく女を詠う。)
前段、好きな貴公子と過ごした楽しい日々をあらわし、後段、プレゼントされた良いものも色あせていき、何時しか一人きりの生活が続くと心も捻じ曲がった人間に変わっていくという女のようすを詠う。
慢綰青絲髮,光砑吳綾襪。
かき上げて束ねている髪がゆるくなっている、若い黒髪が春の日にひかる。布につや出しをする,滑らかにした吳綾織物が鮮やかに光る。
○綰1 髪をかき上げて束ねる。「人皆は今は長しと―・けと言へど」〈万・一二四〉2 舟をあやつる。「大舟を荒海(あるみ)に漕ぎ出で八(や)舟―・け我が見し児らがまみは著(しる)しも」〈万・一二六六〉3 《「だく」とも》手綱をあやつる。
○光砑 (皮や布に)つや出しをする,滑らかにする砑光つや出ししてひかっている。
○吳綾 綾(あや)はななめに交差する織物のあり方の総称(これに関しては綾織りを参照)。いろいろな模様を浮き出すように織った織物の紋織物をさす(呉の国の綾織物)。
○襪/下沓【しとうず】《「したぐつ」の音変化》古代以来、沓(くつ)をはくときに用いる布帛(ふはく)製の履物。礼服(らいふく)には錦(にしき)、朝服には平絹を用いた。
床上小燻籠,韶州新退紅。
寝台の上に小型の香炉が置かれ、香の煙が香炉の網の所でくゆっている。韶州には軽らかな白い葛の新しかったかたびらが赤の染付も色あせる。。
○韶州(しょうしゅう)は中華人民共和国広東省にかつて設置された州。現在の韶関市一帯に相当する。 南北朝時代、梁により設置された東衡州を前身とする。589年(開皇9年)、隋朝により韶州と改称された。翌年には廃止され管轄区域は広州に統合された。
・広州へいったなら交址には貴重すべき丹砂があるし、韶州には軽らかな白い葛のかたびらがある。
杜甫『送段功曹歸廣州』
南海春天外,功曹幾月程。
峽雲籠樹小,湖日落船明。
交趾丹砂重,韶州白葛輕。
幸君因旅客,時寄錦官城。
送段功曹歸廣州 蜀中転々 杜甫 <509> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2740 杜甫詩1000-509-742/1500
叵耐無端處,捻得從頭汚。
何処に行くこともできずにいるこんな生活は我慢できない。こんなに心が捻じ曲がって来たけれど、何もはじめっから心が汚れようとしたわけではない。
○叵耐 …し難い,…できない叵耐我慢ならない.叵测 pǒcè[動]《貶》はかり難い,窺(うかが)い知れない居心叵测腹の中で何を企んでいるのかわからぬ.
○捻得 人の心が素直でなく曲がった状態になること根性がねじ曲がる ・ 心が捻くれる ・ 悪堕ちする ・ ダークサイドに堕ちる ・ 捻くれる ・ ねじける ・ いじける ・ 根性が捻じ曲がる
○從頭 はじめから。
惱得眼慵開,問人閑事來。
もう悩んでしまって何もしたくなくなって目もトロンとした開け方になってしまう。世の人に問いかけてみてもこの後静かな何にもないことしか来はしない。
○眼慵開 眼をものうげにひらく。







































































