(南の素晴らしい美人も、最も美しい時には最高のくらしをしたものだが、奇麗なもの、美味しいものも飽きてしまえばその美味しい味実もどうしようもないと詠う。)南国の常緑樹にも一杯の花が咲き誇り、春霞がそこには広がっている。あの人もために、丁子のように貞操を守り、丁子の様にあの人を思い続けてやっと身も心も一心同体になることが出来た。
9-425《中興樂一首》毛文錫Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-608-9-(425) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4587
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| 花間集 教坊曲『中興樂』二首 | | |||||
| 作者 | 巻 | 題 | 初句7字 | | ||
| 毛文錫(毛司徒文錫) | 巻五 | 中興樂一首 | 豆蔻花繁煙豔深, | | ||
| 牛學士希濟 | 巻五 | 中興樂一首 | 池塘暖碧浸晴暉, | | ||
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毛文錫 中興樂
豆蔻花繁煙豔深,丁香軟結同心。
翠鬟女,相與共淘金。
紅蕉葉裏猩猩語,鴛鴦浦,鏡中鸞舞。
絲雨隔,荔枝陰。
(南の素晴らしい美人も、最も美しい時には最高のくらしをしたものだが、奇麗なもの、美味しいものも飽きてしまえばその美味しい味実もどうしようもないと詠う。)
南国の常緑樹にも一杯の花が咲き誇り、春霞がそこには広がっている。あの人もために、丁子のように貞操を守り、丁子の様にあの人を思い続けてやっと身も心も一心同体になることが出来た。
髪を結った髻に翡翠の飾りを付けた妓女は互いに結ばれ、その閨の中で、砂金を掬いより分ける簀子の中の金のように一緒になってゆれうごいた。
この美女の姫芭蕉は葉を裏にしたり、顔を赤らめて、酔っ払いが言うような言葉を発している。それは鴛鴦が暮らす入り江の奥まった安定的な暮らしであったし、鏡に描かれた仲睦まじい鳳凰鸞の舞のようであった。
雨の化身の妓女のもとに雲の化身の男が来るのが次第に雨も糸の様に隔絶するようになってしまい、彼女の熟れた荔枝はそっと陰におかれたようになってしまう。
毛文錫 (中興樂)
豆蔻 花繁り 煙豔深し,丁香 軟らかく同心を結す。
翠鬟の女,相いに共に淘金を與う。
紅蕉 葉裏 猩猩の語,鴛鴦の浦,鏡中 鸞舞う。
絲雨隔とし,荔枝の陰。
牛希濟 中興樂
池塘暖碧浸晴暉,濛濛柳絮輕飛。
紅蘂凋來,醉夢還稀。
春雲空有鴈歸,珠簾垂。
東風寂寞,恨郎拋擲,淚溼羅衣。
毛文錫『中興樂』 現代語訳と訳註
(本文)
中興樂
豆蔻花繁煙豔深,丁香軟結同心。
翠鬟女,相與共淘金。
紅蕉葉裏猩猩語,鴛鴦浦,鏡中鸞舞。
絲雨隔,荔枝陰。
(下し文)
(中興樂)
豆蔻 花繁り 煙豔深し,丁香 軟らかく同心を結す。
翠鬟の女,相いに共に淘金を與う。
紅蕉 葉裏 猩猩の語,鴛鴦の浦,鏡中 鸞舞う。
絲雨隔とし,荔枝の陰。
(現代語訳)
(南の素晴らしい美人も、最も美しい時には最高のくらしをしたものだが、奇麗なもの、美味しいものも飽きてしまえばその美味しい味実もどうしようもないと詠う。)
南国の常緑樹にも一杯の花が咲き誇り、春霞がそこには広がっている。あの人もために、丁子のように貞操を守り、丁子の様にあの人を思い続けてやっと身も心も一心同体になることが出来た。
髪を結った髻に翡翠の飾りを付けた妓女は互いに結ばれ、その閨の中で、砂金を掬いより分ける簀子の中の金のように一緒になってゆれうごいた。
この美女の姫芭蕉は葉を裏にしたり、顔を赤らめて、酔っ払いが言うような言葉を発している。それは鴛鴦が暮らす入り江の奥まった安定的な暮らしであったし、鏡に描かれた仲睦まじい鳳凰鸞の舞のようであった。
雨の化身の妓女のもとに雲の化身の男が来るのが次第に雨も糸の様に隔絶するようになってしまい、彼女の熟れた荔枝はそっと陰におかれたようになってしまう。
(訳注)
毛文錫
毛文錫(生卒年未詳)、字を平珪と言い、南陽(今の河南省南陽)の人。十四歳で進士に及第し、前蜀の王建に仕え、司徒に任じられ、毛司徒と呼ばれた。その後、前覇が亡びると、後主の王衍に従って後唐に降り、さらに後蜀に仕え、欧陽烱、閻選、鹿虔扆、韓琮らと詞をもって後蜀の孟昶に奉仕し「五鬼」と称された。著書に『前局紀事』二巻、『茶譜』一巻がある。毛文錫の詞は大多数が男女の離別の情や傷惜春の情を詠ったものであるが、中には功名富貴を主張したものや、辺境の戦を詠ったものもある。『花間集』には三十一首の詞が収められている。
中興樂
(南の素晴らしい美人も、最も美しい時には最高のくらしをしたものだが、奇麗なもの、美味しいものも飽きてしまえばその美味しい味実もどうしようもないと詠う。)
『花間集』には二首所収で、毛文錫の作は一首収められている。双調四十五字、前段二十一字四句三平韻(一仄韻)、後段二十字五句一平韻三仄韻で、⑦⑥3⑤/❼❸❹3③の詞形をとる。この詩は牛希濟の作と若干詞形に変化がある。
●●○○○●△ ○○●●○○
●○● △△△○○
○○●●○○● ○○● ●△○●
○●● ●○○
豆蔻花繁煙豔深,丁香軟結同心。
南国の常緑樹にも一杯の花が咲き誇り、春霞がそこには広がっている。あの人もために、丁子のように貞操を守り、丁子の様にあの人を思い続けてやっと身も心も一心同体になることが出来た。
豆蔻 ニクズク属は、ニクズク科の1属。学名Myristica。ミリスティカ属とも。属名はギリシャ語で香油を意味するミュリスティコスから。 熱帯性の常緑高木。東南アジア、オーストラリアに自生。 種子から、スパイスのナツメグ とメース 、生薬の肉荳蔲が作られる。皇甫松《浪淘沙二首其二》「蠻歌豆蔻北人愁,蒲雨杉風野艇秋。」4-417《浪濤沙二首其二》皇甫松Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-600-4-(417) 四巻漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4547
丁香 クローブの花蕾は釘に似た形をしているため、中国では「釘」と同義の「丁」の字を使って「丁香」、「丁子」の名があてられる。 生薬としての花蕾を丁子(ちょうじ)または丁香(ちょうこう)ということもあり、芳香健胃剤である(日本薬局方にも収録されている)。孫光憲《八拍蠻》「孔雀尾拖金線長,怕人飛起入丁香。越女沙頭爭拾翠,相呼歸去背斜陽。」孔雀の尾 金線の長きを抱き、人を怕れて 飛び起ちて丁香に入る。
越女 沙頭に 争いて翠を拾い、相い呼びて 帰り去りて斜陽を背にす。14-386《八拍蠻一首》孫光憲(46)Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-569-14-(386) 花間集 巻第八 (四十八首)漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4392
牛嶠『感恩多二首其二』「自從南浦別,愁見丁香結。」杜甫『江頭四詠。丁香』にもある。
結同心
牛嶠《柳枝五首其二》
吳王宮裡色偏深,一簇纖條萬縷金。
不憤錢塘蘇小小,引郎松下結同心。
(柳枝五首其の二)
吳王 宮裡 色偏に深し,一簇 纖條 萬縷の金。
憤せず 錢塘の蘇小小,郎を引いては 松の下 同心を結ぶ。
7-405《柳枝五首其二》牛給事嶠(牛嶠)Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-588-7-(405) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4487
翠鬟女,相與共淘金。
髪を結った髻に翡翠の飾りを付けた妓女は互いに結ばれ、その閨の中で、砂金を掬いより分ける簀子の中の金のように一緒になってゆれうごいた。
淘金 土砂にまじっている砂金を水中で揺すって選び分けること。また、その砂金。
紅蕉葉裏猩猩語,鴛鴦浦,鏡中鸞舞。
この美女の姫芭蕉は葉を裏にしたり、顔を赤らめて、酔っ払いが言うような言葉を発している。それは鴛鴦が暮らす入り江の奥まった安定的な暮らしであったし、鏡に描かれた仲睦まじい鳳凰鸞の舞のようであった。
紅蕉(こうしょう) 姫芭蕉。バショウ科の多年草。バショウに似るが小形で、高さ1~2メートル。赤色の苞(ほう)をもつ花をつける。中国南部の原産。美人蕉(びじんしょう)。
猩猩 1 オランウータンの別名。2 想像上の動物。オランウータンに似るが、顔と足は人に似て髪は赤く長く垂れ、よく酒を飲むという。3 酒の好きな人。大酒飲み。4 能面の一。童子の顔を赤く彩色した面。「猩猩」などに用いる。
絲雨隔,荔枝陰。
雨の化身の妓女のもとに雲の化身の男が来るのが次第に雨も糸の様に隔絶するようになってしまい、彼女の熟れた荔枝はそっと陰におかれたようになってしまう。
荔枝 嶺南地方原産で、熱帯・亜熱帯地方で栽培される。 常緑高木で、葉は偶数羽状複葉で互生する。花は黄緑色で春に咲く。果実は夏に熟し、表面は赤くうろこ状、果皮をむくと食用になる白色半透明で多汁の果肉があり、その中に大きい種子が1個ある。楊貴妃は「荔枝」がとても好きだったが、都には「荔枝」がなかった。彼女を満足させるためにわざわざ最南部から「速い馬」で運んで行ったという。ここは「陰」と共に女性の性器をいう。





















































