玉臺新詠 全十巻 訳注解説

漢文委員会kanbuniinkai紀頌之   唐五代詞詩・花間集・玉臺新詠 中国の韻文学には、古くは周代の詩があり、漢魏六朝には古詩と楽府かあり、唐代になって古詩に対して新しい近体の律詩、絶句がおこった。楽府がおとろえ新しく勃興したのが詞である。詞ははじめ、学詞ともよばれ、楽曲の歌詞をさしていうものであるが、それが流行するとともに、唐詩などと相ならんで、一つの韻文学として成立したのである。 5年以上のブログ連載。(魚玄機・薛濤・花間集)完掲載 現在《玉臺新詠》完全版連載中 予定(文選【詩篇】文選【賦篇 楚辞 詩經 ・・・・)

中国の韻文学には、古くは周代の詩があり、漢魏六朝には古詩と楽府かあり、唐代になって古詩に対して新しい近体の律詩、絶句がおこった。楽府がおとろえ新しく勃興したのが詞である。詞ははじめ、学詞ともよばれ、楽曲の歌詞をさしていうものであるが、それが流行するとともに、唐詩などと相ならんで、一つの韻文学として成立したのである。
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温庭筠の詞詩を約60首程度掲載の後、魚玄機50首程度連載し,薛濤約百首、韋莊五十首
森鴎外小説 『魚玄機』 彼女の詩を冷静に、客観的に分析 過去の女性蔑視の見方を排除して解釈 訳註解説
現在、『花間集』全詩500首、全首連載が終了した。いま、500首全首、見直し、改訂版Ver.2.1として、根本的に語訳、注釈をやり直して掲載しています。出来るだけ(改訂版Ver.2.1)と記している詩を読まれることを薦めます。
現在 玉臺新詠 訳注解説連載中
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2014年09月

19-486《更漏子二首其一》巻九 毛熙震Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-669-19-(486) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4892

春に垂らす碧き絹の帳もそのままに、夏の紅の錦の掛け布団、博山の香炉の香も既に灰となったままなのだ。この夜も眠れず、漏刻のおとに咽び泣き、蟋蟀の声に心をせつなくし、いつしか奥の宮殿の庭一面に雪のような霜の時期になっていることを知る。

 
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花間集 教坊曲『更漏子』十六首

 

 

溫庭筠

巻一

『更漏子六首 一』 

柳絲長,春雨細,

 

 

巻一

『更漏子 二』

星斗稀,鐘鼓歇,

 

 

巻一

『更漏子 三』

金雀釵,紅粉面,

 

 

巻一

『更漏子 四』

相見稀,相憶久,

 

 

巻一

『更漏子六首 五』

背江樓,臨海月,

 

 

巻一

『更漏子首 六』

玉鑪香,紅蠟淚,

 

 

韋相莊

巻三

更漏子一首

鐘鼓寒,樓閣暝

 

 

牛嶠

巻四

更漏子三首 其一

星漸稀,漏頻轉

 

 

巻四

更漏子三首 其二

南浦情,紅粉淚

 

 

巻四

更漏子三首 其三 

春夜闌,更漏促

 

 

毛文錫

巻五

更漏子一首

春夜闌,春恨切

 

 


巻七

更漏子一首

舊歡,新悵望,

 

 

孫光憲

巻八

更漏子二首其一

聽寒更,聞遠鴈,

 

 

巻八

更漏子二首其二

今夜期,來日別,

 

 

毛熙震

巻九

更漏子二首其一

秋色清,河影澹

 

 

巻九

更漏子二首其二

煙月寒,秋夜靜

 

 

 

 

 

 

 

 

毛熙震 更漏子二首

 

更漏子二首其一

(寵愛の無くなった妃賓の深まる秋の夜の宮殿閏の内外の様子を詠う。)

秋色清,河影澹,深燭寒光暗。

初秋の景色、気配は清々しいものになるが。天の川の影は日に日に淡くなってゆく、後宮の奥深き宮殿には誰も訪れず、灯火が寒々と暗い。

綃幌碧,錦衾紅,博山香炷融。

春に垂らす碧き絹の帳もそのままに、夏の紅の錦の掛け布団、博山の香炉の香も既に灰となったままなのだ。

更漏咽,蛩鳴切,滿院霜華如雪。

この夜も眠れず、漏刻のおとに咽び泣き、蟋蟀の声に心をせつなくし、いつしか奥の宮殿の庭一面に雪のような霜の時期になっていることを知る。

新月上,薄雲收,映簾懸玉鉤。

それでも希望を以て新月が上るのを見る、すると薄雲消えて晴になると、垂れ下がる簾に映えて、輝く鉤と新月の鉤型がかさなった。(あのお方は来てはくれないが希望を棄てずに生きて行こう)

(更漏子二首其の一)

秋色は清なり,河影は澹なり,深の燭は寒く 光は暗なり。

綃幌は碧く,錦衾は紅に,博山香炷は融なり。

更漏に咽び,蛩鳴 切なり,院に霜華滿つるは雪の如し。

新月 上り,薄雲 收まり,簾に映える 玉鉤 懸かるを。

 

更漏子二首其二

煙月寒,秋夜靜,漏轉金壺初永。

羅幕下,繡屏空,燈花結碎紅。

人悄悄,愁無了,思夢不成難曉。

長憶得,與郎期,竊香私語時。

 

kairo10681
 

『更漏子二首』 現代語訳と訳註

(本文)

更漏子二首其一

秋色清,河影澹,深燭寒光暗。

綃幌碧,錦衾紅,博山香炷融。

更漏咽,蛩鳴切,滿院霜華如雪。

新月上,薄雲收,映簾懸玉鉤。

 

(下し文)

(更漏子二首其の一)

秋色は清なり,河影は澹なり,深燭は寒く 光は暗なり。

綃幌は碧く,錦衾は紅に,博山香炷は融なり。

更漏に咽び,蛩鳴 切なり,院に霜華滿つるは雪の如し。

新月 上り,薄雲 收まり,簾に映える 玉鉤 懸かるを。

 

(現代語訳)

(寵愛の無くなった妃賓の深まる秋の夜の宮殿閏の内外の様子を詠う。)

初秋の景色、気配は清々しいものになるが。天の川の影は日に日に淡くなってゆく、後宮の奥深き宮殿には誰も訪れず、灯火が寒々と暗い。

春に垂らす碧き絹の帳もそのままに、夏の紅の錦の掛け布団、博山の香炉の香も既に灰となったままなのだ。

この夜も眠れず、漏刻のおとに咽び泣き、蟋蟀の声に心をせつなくし、いつしか奥の宮殿の庭一面に雪のような霜の時期になっていることを知る。

それでも希望を以て新月が上るのを見る、すると薄雲消えて晴になると、垂れ下がる簾に映えて、輝く鉤と新月の鉤型がかさなった。(あのお方は来てはくれないが希望を棄てずに生きて行こう)

DCF00212
 

(訳注)

更漏子二首其一

(寵愛の無くなった妃賓の深まる秋の夜の宮殿閏の内外の様子を詠う。)

一首全体が叙景であり、直接に愛艶、情を語る言葉は用いられてはいないが、暗く寒々とした灯火の光や、燃え尽きて灰となった香、泣き咽ぶような水時計の音、心に迫る蟋蟀の声などから、妃賓の宮殿の独り秋の夜を送る辛い心情が読み取れる。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - 

古来、宮中にはいわゆる「内職」という制度があった。『礼記』「昏義」 に、「古、天子は、后に六宮、三夫人、九嬪、二十七世婦、八十一御妻を立て、以て天下の内治を聴く」とある。唐初の武徳年間(618626)に、唐は隋の制度を参照して完壁で精密な「内官」制度をつくった。その規定では、皇后一人、その下に四人の妃(貴妃、淑妃、徳妃、賢妃各一人)、以下順位を追って、九嬪(昭儀、昭容、昭媛、修儀、修容、修媛、充儀、充容、充媛各一人)、捷好九人美人九人、才人九人、宝林二十七人、御女二十七人、采女二十七人が配置される。上記のそれぞれの女性は官品をもち、合計で122人の多きに達した。皇后だけが正妻であり、その他は名義上はみな「妃嬪」-皇帝の妾とされた。

また、皇太子の東宮にも「内官」があり、太子妃一人、その下に良娣、良媛、承徽、昭訓、奉儀などの品級があった。諸親王の王妃の下にも孺人【じゅじん】等の媵妾【ようしょう】の身分があった。

 

皇后を立てることに比べて、妃嬪を立てることはわりあい簡単であり、家柄はそれほど厳格に問題にされることはなかった。彼女たちの大半は皇子を生むか、あるいは寵愛を受けたために妃嬪の品階を賜った者であったから、その中には身分の低い者もいくらか含まれていた。たとえば、玄宗の趙麗妃は歌妓の出身であった。そうした例もあるが、しかし妃賓でも出身、家柄はやはり大切であった。太宗の楊妃は隋の場帝の娘であったから、「地位と名望が高く、内外の人々が皆注目した」(『新唐書』太宗諸子伝)。玄宗の柳捷好は名門大族の娘であり、玄宗は「その名家を重んじて」(『新唐書』十一宗諸子伝)特別な礼遇を与えた。

 

美人が雲のごとく集まっている後宮において、家柄は一頭地を抜くために必要な第一の跳躍台であった。

 

古代、一貫して国の大小にかかわらず、後宮は国の威信をかけて運営された。国の予算の30%以上も浪費していた。その構図は、貴族社会、富貴社会の一個の家、家系、一族、すべて収入の3050%が、奥方の消費に当てられていたのであるから、消費生活の中で、一部の女性の権限は相当なものであった。また、中国は、収賄贈賄をうまく利用運用するものが富を得る社会制という見方もできる。

 

花間集の多くの詩は、白居易の詞詩の流れをくむもので、後宮の寵愛を失った多くの妃嬪たちを題材にしたものである。少なくとも数十人、多ければ数百人の妃嬪たちの中には短期間の寵愛のものが大半であり、ほとんどの妃嬪が寂しい生涯であったのである。この史実を理解して詞詩を読まないとただの艶詞になってしまう。この時代の女性が男に対して媚を売らなければ生きてゆけなかったというのは、貴族制と生産性、倫理観、であり、男社会がすべてであるかのような基盤の下には、女性がたくましく我慢し、族を実際に動かす制度ががっちりとしたものがあったのである。

 

『花間集』には毛照票の作が二首収められている。双調四十六字、前段二十三字六句二灰韻二平韻、後段二十三字六句三灰韻二平韻で、3❸❻3③⑤/3❸❻❸③⑤ の詞形をとる。宮人の室には漏刻が置かれていた、そういった身分の女性を詠ったもの、何時までも眠りに着けず更漏の時を迎える女性を詠ったものである。

秋色清,河影,深燭寒光

綃幌碧,錦衾,博山香炷

更漏咽,蛩鳴,滿院霜華如

新月,薄雲,映簾懸玉

○●○  ○●△ △●●○△●

○●● ●○○  ●○○●○

△●△  ○○● ●△○△△●

○●● ●○△  ●○○●○

 

秋色清,河影澹,深燭寒光暗。

初秋の景色、気配は清々しいものになるが。天の川の影は日に日に淡くなってゆく、後宮の奥深き宮殿には誰も訪れず、灯火が寒々と暗い。

○秋色 秋の様子、秋気。

○河 天の川。今年もあのお方は来てくれなかったことを連想させる。天の川を鵲が橋を作ってあの方と合わせてくれるのはたった一日、今はそれもかなわない。天の川は所収はっきりと見え、秋が深まるにつれ、次第に薄れて行く。

○深戸 奥深い閏。

 

綃幌碧,錦衾紅,博山香炷融。

春に垂らす碧き絹の帳もそのままに、夏の紅の錦の掛け布団、博山の香炉の香も既に灰となったままなのだ。

○綃幌 寝牀を囲う絹の幌。五行思想によって綃幌を季節の色に変える。この詩は秋で、白色であるはずが、春の緑のままになっていることで、次の「紅」は夏のものであることで、わびしさをいう。

博山香蛙融 博山香炉は、大変高価で、高貴な閨にしかない。その香が燃え尽きて灰となってくずれたこと。融は融解、灰の形が崩れてしまって形をなくすこと。

 

更漏咽,蛩鳴切,滿院霜華如雪。

この夜も眠れず、漏刻のおとに咽び泣き、蟋蟀の声に心をせつなくし、いつしか奥の宮殿の庭一面に雪のような霜の時期になっていることを知る。

更漏 水時計、女官五品以上で執務室に設置された。ここでは水時計から滴る水の音を聞くことが出来るほどの地位であったこと。後宮以外では富貴の者以外は、漏刻は役人の鳴らす鐘の音を聞いて知った。

 

新月上,薄雲收,映簾懸玉鉤。

それでも希望を以て新月が上るのを見る、すると薄雲消えて晴になると、垂れ下がる簾に映えて、輝く鉤と新月の鉤型がかさなった。(あのお方は来てはくれないが希望を棄てずに生きて行こう)

新月 新月、三日月は希望を持つ意味につかわれる。この新月の釣り針の形と簾を止める「玉鉤」の形によって、希望を失わないということの意味になる。

映簾懸玉鉤 玉製の鈎から垂れ下がった簾に(新月の影が)映る。玉鉤は簾を巻いて掛けるカギ。簾をかかげるのは希望を持つための意味となる。前聯の「霜華如雪」が簾をかかげることにつながる。
三日月01
 

19-485《臨江仙二首其二》巻九 毛熙震Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-668-19-(485) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4887

余りに静かで、春の良き風にはらはらと散る花の音がきこえる。離れて足れる帳に残灯のかげがさびしく映る、それでもなおもいつでも寝牀の準備をして、屏風と琴に残灯に照らされている。

 
 2014年9月29日の紀頌之5つのブログ 
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 毛文錫31首 花間集5巻牛希濟11首 花間集5巻欧陽烱17首 花間集5・6巻和凝20首 花間集6巻顧夐56首 花間集6・7巻孫光憲47首 花間集7・8巻 
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毛熙震  臨江仙二首其二

幽閨欲曙聞鶯囀,紅月影微明。好風頻謝落花聲,隔幃殘燭,猶照綺屏箏。

繡被錦茵眠玉暖,炷香斜裊煙輕。澹蛾羞斂不勝情,暗思閑夢,何處逐雲行。

(愛されることのなくなった女性は与えられた宮殿・蘭房で思い出に生きるだけであることを詠う。)  独りで寂しく眠れぬ夜を過ごす閏に夜明けがちかづくと、鶯の囀りが聞こえてくる、南側の紅塗りの窓に月影淡くみえる。(又、夜が明けようとし、春がまた来た。)余りに静かで、春の良き風にはらはらと散る花の音がきこえる。離れて足れる帳に残灯のかげがさびしく映る、それでもなおもいつでも寝牀の準備をして、屏風と琴に残灯に照らされている。

寝牀にはお迎えの為、刺繍の掛け布団と錦を用意をして、玉のような美しき女体が暖かに横たわるだけ、香の煙はなよなよ立ち上る、侘しい夜を過ごす。もう若い時のような眉ではなく淡き眉をかく、眉間にしわを寄せればそれも恥じらうことであり、思い続けることはつらい、誰にも言えずただ寂しく夢を見るだけ、もう靑の人の思いは、行方定めない雲のようで、いくらおもってもあの人のこころはどこかに行ってしまった。

《花間集》

443巻九42

臨江仙二首其二

全詩訳注解説-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-7484

(改訂版Ver.2.1

17 毛熙震

前蜀の詞人

938年前後に在世

 

 

 

 

 

臨江仙二首

臨江仙二首其一

(南斉の後宮で為されていた頽廃文化は、国を傾けることになる。詠懐の詩である。)

南齊天子寵嬋娟,六宮羅綺三千。

六朝南斉の天子は、容姿端麗の若い美女を囲っていた。後宮には、華やかな宮女が三千人も仕えていた。

潘妃嬌豔獨芳妍,椒房蘭洞,雲雨降神仙。

また同時期の梁でも潘妃は妖艶で優しさがあり、ひとり美しく、優美な女で芳しい香りを発した。東昏侯の乳母となって寵愛をうけ、その即位とともに貴妃に拝された。潘妃は放恣で東昏侯の乱行を助長することが大であり、後宮はどこも椒房となり、蘭洞となった。楚の懐王と巫女のように朝雲暮雨のように神仙の世界そのままになった。

縱態迷歡心不足,風流可惜當年。

宮女たちの心は歓楽の心は迷いつづけ、道徳の心は不足していった、風流というものをこの時、もっと大切にしなければいけなかった

纖腰婉約步金蓮,妖君傾國,猶自至今傳。

それでも、繊細に指、細腰に艶やかな者たちが集められ、金製の蓮華の上を歩かせた故事「蓮歩」が当たり前であり、天子と後宮は頽廃して、国の危機でも頽廃に耽り、国を傾けることとなった、いなに語られる後宮の事は、今の高級にもあることと伝えられている。

(臨江仙二首其の一)

南齊の天子 嬋娟を寵う,六宮 羅綺三千。

潘妃 嬌豔 獨り芳妍,椒房 蘭洞,雲雨 神仙に降る。

態を縱ままにす 迷いて歡心 足らず,風流 當年にり惜む可し。

纖腰 婉約 金蓮に步み,妖君は傾國なり,猶お 自より今に至って傳う。

 

臨江仙二首其二

(愛されることのなくなった女性は与えられた宮殿・蘭房で思い出に生きるだけであることを詠う。)

幽閨欲曙聞鶯囀,紅月影微明。

独りで寂しく眠れぬ夜を過ごす閏に夜明けがちかづくと、鶯の囀りが聞こえてくる、南側の紅塗りの窓に月影淡くみえる。(又、夜が明けようとし、春がまた来た。)

好風頻謝落花聲,隔幃殘燭,猶照綺屏箏。

余りに静かで、春の良き風にはらはらと散る花の音がきこえる。離れて足れる帳に残灯のかげがさびしく映る、それでもなおもいつでも寝牀の準備をして、屏風と琴に残灯に照らされている。

繡被錦茵眠玉暖,炷香斜裊煙輕。

寝牀にはお迎えの為、刺繍の掛け布団と錦を用意をして、玉のような美しき女体が暖かに横たわるだけ、香の煙はなよなよ立ち上る、侘しい夜を過ごす。

澹蛾羞斂不勝情,暗思閑夢,何處逐雲行。

もう若い時のような眉ではなく淡き眉をかく、眉間にしわを寄せればそれも恥じらうことであり、思い続けることはつらい、誰にも言えずただ寂しく夢を見るだけ、もう靑の人の思いは、行方定めない雲のようで、いくらおもってもあの人のこころはどこかに行ってしまった。

 

(臨江仙二首其の二)

幽閨 曙けんと欲し 鶯の囀ずるを聞く,紅 月影 微かに明らかなり。

好風 頻りに謝らす 落花の聲,幃を隔て 燭を殘し,猶お綺屏の箏を照らす。

繡被 錦茵 玉 暖かに眠り,炷香 斜めに 裊煙 輕し。

澹蛾 羞じらい斂め 情に勝えず,暗くして閑夢を思い,何處にか雲を逐う行かん。

 

興慶宮の位置関係00
海棠花1050
 

『臨江仙二首其二』 現代語訳と訳註

(本文)

臨江仙二首其二

幽閨欲曙聞鶯囀,紅月影微明。

好風頻謝落花聲,隔幃殘燭,猶照綺屏箏。

繡被錦茵眠玉暖,炷香斜裊煙輕。

澹蛾羞斂不勝情,暗思閑夢,何處逐雲行。

 

(下し文)

(臨江仙二首其の二)

幽閨 曙けんと欲し 鶯の囀ずるを聞く,紅 月影 微かに明らかなり。

好風 頻りに謝らす 落花の聲,幃を隔て 燭を殘し,猶お綺屏の箏を照らす。

繡被 錦茵 玉 暖かに眠り,炷香 斜めに 裊煙 輕し。

澹蛾 羞じらい斂め 情に勝えず,暗くして閑夢を思い,何處にか雲を逐う行かん。

 

(現代語訳)

(愛されることのなくなった女性は与えられた宮殿・蘭房で思い出に生きるだけであることを詠う。)

独りで寂しく眠れぬ夜を過ごす閏に夜明けがちかづくと、鶯の囀りが聞こえてくる、南側の紅塗りの窓に月影淡くみえる。(又、夜が明けようとし、春がまた来た。)

余りに静かで、春の良き風にはらはらと散る花の音がきこえる。離れて足れる帳に残灯のかげがさびしく映る、それでもなおもいつでも寝牀の準備をして、屏風と琴に残灯に照らされている。

寝牀にはお迎えの為、刺繍の掛け布団と錦を用意をして、玉のような美しき女体が暖かに横たわるだけ、香の煙はなよなよ立ち上る、侘しい夜を過ごす。

もう若い時のような眉ではなく淡き眉をかく、眉間にしわを寄せればそれも恥じらうことであり、思い続けることはつらい、誰にも言えずただ寂しく夢を見るだけ、もう靑の人の思いは、行方定めない雲のようで、いくらおもってもあの人のこころはどこかに行ってしまった。

 

 

(訳注)

臨江仙二首其二

(愛されることのなくなった女性は与えられた宮殿・蘭房で思い出に生きるだけであることを詠う。)

12 この時代の女性は、それぞれ異なった階層に属し、およそ次の十種に分けることができる。①后妃、②宮人、③公主(附郡主・県主)、④貴族・宦門婦人、⑤平民労働婦人、⑥商家の婦人、⑦妓優、⑧姫妾・家妓、⑨奴碑、⑩女尼・女冠(女道士)・女巫 - 以上である。花間集に登場するのは、太字の女性であるがその中でも、特に①②⑦⑧⑩が多い。

②宮官は宮人の最上層にある人々であり、後宮のさまざまな部局に属する職員であった。唐朝の後宮には六局(尚宮局、尚儀局、尚服局、尚食局、尚寝局、尚功局)があり、宮中のすべての事務を管理していた。六局の各首席女官の尚宮、尚儀、尚服、尚食、尚寝、尚功が六部の尚書(長官)になった。六局の下に二十四司を統括し、各司の女官はそれぞれ別に司記、司言、司簿、司闈、司籍、司楽、司賓、司賛、司宝、司衣、司飾、司使、司膳、司醞、司薬、司饎、司設、司輿、司苑、司灯、司制、司珍、司森、司計に分けられていた。またその他に二十四典、二十四掌、及び宮正、阿監、形史、女史など各級の女官もあった。これらの女官には品級・給与が与えられており、彼女たちは礼儀、人事、法規、財務、衣食住行(行は旅行、出張等の手配)などの宮廷事務を担当した(『旧唐書』職官志三)。

「三千宮女胭脂面,幾個春來無淚痕。」(三千の宮女 胭脂の面、幾箇か春来りて涙の痕無からん)《白居易「後宮詞」》。古来、宮人は女性のなかで最も人間性を踏みにじられた人々であり、宦官とともに君主専制制度の直接の犠牲者であった。一方は生殖器をとられ身体を傷つけられた者、一方は人間性を踏みにじられた者である。宮人は奥深い後宮の中に幽閉されて永遠に肉親と別れ、青春と紅顔は葬り去られ、愛情と人生の楽しみは奪われ、生きている時は孤独の苦しみに、また死んだ後は訪れる人もない寂しさの中に置かれた。それで多くの知識人が、彼女たちの境遇に心を痛め嘆息してやまなかったのである。

彼女たちの痛苦の生活と心情を理解しょうとすれば、白居易の「上陽の白髪の人」ほど真実に迫り、生々と彼女たちの人生を描写したものはない。この詩もそういった女性を違った視点で詠ったものである。

 

13 唐の教坊の曲名。『花間集』には初めに示した表のとおり、二十六首所収。毛熙震の作は二首収められている。双調五十八字、前後段二十九字五句三平韻で、7⑥⑦4⑤/7⑥⑦4⑤の詞形をとる

幽閨欲曙聞鶯囀  月影
好風頻謝落花  隔幃殘燭 猶照綺屏 

繡被錦茵眠玉暖 炷香斜裊煙

澹蛾羞斂不勝情 暗思閑夢  何處逐雲

○○●●△○●  ○?●●○○

●△○●●○○  ●○○● △●●△○

●●●○○●● ●○○?○△

△△○●△△○ ●△○△  △●●○△

 

幽閨欲曙聞鶯囀,紅月影微明。

独りで寂しく眠れぬ夜を過ごす閏に夜明けがちかづくと、鶯の囀りが聞こえてくる、南側の紅塗りの窓に月影淡くみえる。(又、夜が明けようとし、春がまた来た。)

14 欲曙 夜が明けようとする。欲は今にも〜しそうだ、の意。

 

好風頻謝落花聲,隔幃殘燭,猶照綺屏箏。

余りに静かで、春の良き風にはらはらと散る花の音がきこえる。離れて足れる帳に残灯のかげがさびしく映る、それでもなおもいつでも寝牀の準備をして、屏風と琴に残灯に照らされている。

15 綺屏箏 美しい屏風の傍らに置かれた琴。

 

繡被錦茵眠玉暖,炷香斜裊煙輕。

寝牀にはお迎えの為、刺繍の掛け布団と錦を用意をして、玉のような美しき女体が暖かに横たわるだけ、香の煙はなよなよ立ち上る、侘しい夜を過ごす。

16  ここでは玉のように白く艶やかな肌をした美女を指す。

17 衰煙 燻る香。

 

澹蛾羞斂不勝情,暗思閑夢,何處逐雲行。

もう若い時のような眉ではなく淡き眉をかく、眉間にしわを寄せればそれも恥じらうことであり、思い続けることはつらい、誰にも言えずただ寂しく夢を見るだけ、もう靑の人の思いは、行方定めない雲のようで、いくらおもってもあの人のこころはどこかに行ってしまった。

18 澹蛾 淡い眉。

19 不勝情 思いに堪えかねる。

20 閑夢 ここでは男と会っていた夢を指す。

21 逐雲行 ここでは男と会っていた夢から覚めて、もう一度、夢を見ようとしても叶わぬことを言う。行雲は行方定めず空を流れ行く雲を指すと同時に、巫山の神女の故事による男女の出会いを暗示し、さすらいの旅を続ける男が旅先で女と情を交わしているのではないかという意を含ませている。巫山の神女の故事については、韋莊『望遠行』の「出門芳草路萋萋、雲雨別來易東西。」 (この門を出てしまえば旅路の道に若草茂るし、女の人もいるというものです。巫山の神女と夢の中で情を交わしたように睦まじくした仲も別れてはたちまち東と西にはなれてしまうのです。)

100 望遠行 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-285-5-#39  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2972

白貯舞005
 

 

 

臨江仙二首其一 【字解】

(南斉の後宮で為されていた頽廃文化は、国を傾けることになる。詠懐の詩である。)

1 李商隠《南 朝》 

玄武湖中玉漏催、鶏鳴埭口繍襦廻。

誰言瓊樹朝朝見、不及金蓮歩歩來。

敵国軍營漂木柹、前朝神廟鎖煙煤。

満宮学土皆顔色、江令當年只費才。

(南 朝)

玄武湖中 玉漏催し、鶏鳴壊口 繍襦廻る。

誰か言う 瓊樹 朝朝に見わるるは、金蓮 歩歩に来たるに及はずと

敵国の軍営 木柹を漂わし、前朝の神廟 煙煤に鎖さる

満宮の学士 皆な顔色あり、江令 当年只だ才を費す

南 朝 (南斉の武帝と陳の後主)李商隠 :kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集 46

唐の教坊の曲名。『花間集』には初めに示した表のとおり、二十六首所収。毛熙震の作は二首収められている。双調五十八字、前後段二十九字五句三平韻で、7⑥⑦4⑤/7⑥⑦4⑤の詞形をとる

南齊天子寵嬋  六宮羅綺三
潘妃嬌豔獨芳  椒房蘭洞 雲雨降神

縱態迷歡心不足 風流可惜當  

纖腰婉約步金蓮 妖君傾國 猶自至今

○△○●●○○  ●○○●△○

○△△●●○○ ○○○△ ○●△○○

△●○○○△● △○●●△○

○○●●●○△ ○○○●  △●●○△

 

2 南斉 中国,南北朝時代の南朝の一(479502)。宋の蕭道成(しようどうせい)が順帝の禅譲を得て建国。都は建康(今の南京)。七代で蕭衍(しようえん)(梁の武帝)に国を奪われた

3 嬋娟 容姿のあでやかで美しいさま。

4 六宮 中国で、皇后と五人の夫人が住む六つの宮殿。皇后と五人の夫人。後宮。

綺羅 《「綺」は綾織りの絹布、「羅」は薄い絹布の意》美しい衣服。羅綺。「―をまとう」外見が華やかなこと。また、うわべを装い飾ること。「―を張る」「―を競う」栄華をきわめること。権勢の盛んなこと。

5 三千 宮女三千人。

杜甫はかつて《20-99 観公孫大娘弟子舞剣器行井序》「先帝の侍女八千人」(「公孫大娘が弟子の剣器を舞うを観る行」)と詠い、白居易もまた《長恨歌》」「後宮の佳麗三千人」と言った。これらは決して詩人の誇張ではなく、唐代の宮廷女性は、実際はこの数字をはるかに越えていた。

767年-23幷序⑶ 杜少陵集 《20-99 觀公孫大娘弟子舞劍器行 幷序⑶》 杜甫詩index-15-1145 <1595> 767年大暦2年56-23幷序⑶

古来、宮中にはいわゆる「内職」という制度があった。『礼記』「昏義」 に、「古、天子は、后に六宮、三夫人、九嬪、二十七世婦、八十一御妻を立て、以て天下の内治を聴く」とある。100人くらいもいる妃賓に100人の宮女が使えていたとするから、後宮には一万人くらいがいたとされる。

7 潘妃 (生没年不明)東昏侯の妃。本名は兪尼子、のちに、潘玉児といった。もと王敬則の妓で、東昏侯の乳母となって寵愛をうけ、その即位とともに貴妃に拝された。潘妃は放恣で東昏侯の乱行を助長する ことが大であった。かつて東昏侯は、金の蓮華を地に敷いて潘妃にその上を歩かせ、「歩歩蓮華を生ず」といった。梁の武帝の革命が起こると、東昏侯は殺され、潘妃は捕えられたが、部 将の妾となることを拒んで自殺した。

8 芳妍【ほうけん】美しく、優美な女たちがあつまれば芳しい香りでこと。

9 椒房 ①皇后の御所。②皇后・皇妃の別名。「椒」は山椒(さんしよう)、「房」は室の意。中国で皇后の御所の壁に邪気を払うためと、実の多いことにあやかり、皇子が多く生まれるようにと、山椒を塗り込めたり、庭に植えたりしたところからこの名があるという。

10 蘭洞 妃賓の宮殿。

11 金蓮 南斉の末期の帝、東昏侯蕭宝巻(483501)は黄金で蓮の花をこしらえて地面に敷き、その上を愛姫の潘妃に歩ませて、「此れ歩歩に蓮華を生ずるなり」といった(『南史』斉本紀)にある。

〔「南史斉本紀」より。中国南朝の東昏侯(とうこんこう)が潘妃(ばんき)に金製の蓮華の上を歩かせた故事による〕美人のあでやかな歩み。蓮歩。

19-484《臨江仙二首其一》巻九 毛熙震Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-667-19-(484) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4882

毛熙震  臨江仙二首其一

南齊天子寵嬋娟,六宮羅綺三千。潘妃嬌豔獨芳妍,椒房蘭洞,雲雨降神仙。

縱態迷歡心不足,風流可惜當年。纖腰婉約步金蓮,妖君傾國,猶自至今傳。

(南斉の後宮で為されていた頽廃文化は、国を傾けることになる。詠懐の詩である。)

六朝南斉の天子は、容姿端麗の若い美女を囲っていた。後宮には、華やかな宮女が三千人も仕えていた。

また同時期の梁でも潘妃は妖艶で優しさがあり、ひとり美しく、優美な女で芳しい香りを発した。東昏侯の乳母となって寵愛をうけ、その即位とともに貴妃に拝された。潘妃は放恣で東昏侯の乱行を助長することが大であり、後宮はどこも椒房となり、蘭洞となった。楚の懐王と巫女のように朝雲暮雨のように神仙の世界そのままになった。

宮女たちの心は歓楽の心は迷いつづけ、道徳の心は不足していった、風流というものをこの時、もっと大切にしなければいけなかった

それでも、繊細に指、細腰に艶やかな者たちが集められ、金製の蓮華の上を歩かせた故事「蓮歩」が当たり前であり、天子と後宮は頽廃して、国の危機でも頽廃に耽り、国を傾けることとなった、いなに語られる後宮の事は、今の高級にもあることと伝えられている

《花間集》

443巻九41

臨江仙二首其一

全詩訳注解説-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-7479

(改訂版Ver.2.1

17 毛熙震

前蜀の詞人

938年前後に在世

 


 
 2014年9月28日の紀頌之5つのブログ 
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臨江仙二首

 

臨江仙二首其一

(南斉の後宮で為されていた頽廃文化は、国を傾けることになる。詠懐の詩である。)

南齊天子寵嬋娟,六宮羅綺三千。

六朝南斉の天子は、容姿端麗の若い美女を囲っていた。後宮には、華やかな宮女が三千人も仕えていた。

潘妃嬌豔獨芳妍,椒房蘭洞,雲雨降神仙。

また同時期の梁でも潘妃は妖艶で優しさがあり、ひとり美しく、優美な女で芳しい香りを発した。東昏侯の乳母となって寵愛をうけ、その即位とともに貴妃に拝された。潘妃は放恣で東昏侯の乱行を助長することが大であり、後宮はどこも椒房となり、蘭洞となった。楚の懐王と巫女のように朝雲暮雨のように神仙の世界そのままになった。

縱態迷歡心不足,風流可惜當年。

宮女たちの心は歓楽の心は迷いつづけ、道徳の心は不足していった、風流というものをこの時、もっと大切にしなければいけなかった

纖腰婉約步金蓮,妖君傾國,猶自至今傳。

それでも、繊細に指、細腰に艶やかな者たちが集められ、金製の蓮華の上を歩かせた故事「蓮歩」が当たり前であり、天子と後宮は頽廃して、国の危機でも頽廃に耽り、国を傾けることとなった、いなに語られる後宮の事は、今の高級にもあることと伝えられている。

(臨江仙二首其の一)

南齊の天子 嬋娟を寵う,六宮 羅綺三千。

潘妃 嬌豔 獨り芳妍,椒房 蘭洞,雲雨 神仙に降る。

態を縱ままにす 迷いて歡心 足らず,風流 當年にり惜む可し。

纖腰 婉約 金蓮に步み,妖君は傾國なり,猶お 自より今に至って傳う。

 

臨江仙二首其二

幽閨欲曙聞鶯囀,紅月影微明。

好風頻謝落花聲,隔幃殘燭,猶照綺屏箏。

繡被錦茵眠玉暖,炷香斜裊煙輕。

澹蛾羞斂不勝情,暗思閑夢,何處逐雲行。

 

興慶宮沈香亭
 

『臨江仙二首其一』 現代語訳と訳註

(本文)

臨江仙二首其一

南齊天子寵嬋娟,六宮羅綺三千。

潘妃嬌豔獨芳妍,椒房蘭洞,雲雨降神仙。

縱態迷歡心不足,風流可惜當年。

纖腰婉約步金蓮,妖君傾國,猶自至今傳。

 

(下し文)

(臨江仙二首其の一)

南齊の天子 嬋娟を寵う,六宮 羅綺三千。

潘妃 嬌豔 獨り芳妍,椒房 蘭洞,雲雨 神仙に降る。

態を縱ままにす 迷いて歡心 足らず,風流 當年にり惜む可し。

纖腰 婉約 金蓮に步み,妖君は傾國なり,猶お 自より今に至って傳う。

 

(現代語訳)

(南斉の後宮で為されていた頽廃文化は、国を傾けることになる。詠懐の詩である。)

六朝南斉の天子は、容姿端麗の若い美女を囲っていた。後宮には、華やかな宮女が三千人も仕えていた。

また同時期の梁でも潘妃は妖艶で優しさがあり、ひとり美しく、優美な女で芳しい香りを発した。東昏侯の乳母となって寵愛をうけ、その即位とともに貴妃に拝された。潘妃は放恣で東昏侯の乱行を助長することが大であり、後宮はどこも椒房となり、蘭洞となった。楚の懐王と巫女のように朝雲暮雨のように神仙の世界そのままになった。

宮女たちの心は歓楽の心は迷いつづけ、道徳の心は不足していった、風流というものをこの時、もっと大切にしなければいけなかった

それでも、繊細に指、細腰に艶やかな者たちが集められ、金製の蓮華の上を歩かせた故事「蓮歩」が当たり前であり、天子と後宮は頽廃して、国の危機でも頽廃に耽り、国を傾けることとなった、いなに語られる後宮の事は、今の高級にもあることと伝えられている。

花間集 白梅


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浣溪沙七首


浣溪沙七首其一

春暮黃鶯下砌前,水精簾影露珠懸,綺霞低映晚晴天。

弱柳萬條垂翠帶,殘紅滿地碎香鈿,蕙風飄蕩散輕煙。

(后妃もいつしか、水精の宮殿に移ってからは、春が音連れても、あのお方は尋ねてくることはない、この春も何時しか過ぎようとしている。)

春暮れて高樓の砌の前に高麗鶯が止まっている、水精宮の閨には、水珠の簾に日が射しこんで、露の珠の影がうつる。沈みかけた夕日は空低く夕焼けを映している。

華奢な細腰は、柔らかき柳のえだであり、翠の糸を万条と垂れている、春も盛りを過ぎて、地一面の花びらは花鈿、額の飾りの砕けたようであり、香しき風は流れさり、花曇りの薄靄も、もう散りさってしまう。

(浣溪沙七首 其の一)

春暮 黃鶯 砌前に下る,水精の簾影 露珠 懸かり,綺霞 低く 晚晴の天に映ゆ。

弱柳 萬條 翠帶を垂れ,殘紅 地に滿ち 香鈿碎ける,蕙風 飄蕩して 輕煙 散る。

 

2

浣溪沙七首其二

花榭香紅煙景迷,滿庭芳艸綠萋萋,金鋪閑掩繡簾低。

紫鷰一雙嬌語碎,翠屏十二晚峯齊,夢魂銷散醉空閨。

(若く綺麗な妓優夏、巫女か高貴なお方に見初められ、優雅な時を過しても、何時かは一人さびしく過ごさねばなくなると詠う。)

花に囲まれた水際の四阿には春の盛りの紅色の香りが漂い春霞の景色はその行く先を迷う、庭園には、薫り高い若草がさかんに茂り、それなのに、黄金で飾った閨には静けさに覆われ、鳳凰の刺繍の簾のとばりも低く垂れたままになっている。

この仙郷に飛ぶつばめがたった一ツガイだけで、やさしくささやいている、翡翠の飾りの屏風には楚の懐王の故事の巫山十二峰の等しく描かれているものが寝牀のまわりに立てられている。それなのに、夢には出て來るけれど現実には消え去ってしまう、今は、誰もいないこの閨に一人お酒に酔うだけである。

(浣溪沙七首其の二)

花榭 紅に香り 煙景迷う,庭 芳艸に滿ち 綠萋萋たり,金鋪 閑かに掩い 繡簾低る。

紫鷰 一雙 嬌語碎う,翠屏 十二 晚峯齊し,夢魂 銷散 空閨に醉う。

 

3

浣溪沙七首其三

晚起紅房醉欲銷,綠鬟雲散裊金翹,雪香花語不勝嬌。

好是向人柔弱處,玉纖時急繡裙腰,春心牽惹轉無憀。

(若く綺麗なときには、高貴なお方に見初められ、どんな時でもその容姿によってすくわれるものであり、おとこのこころにある「春心」は何にもしないでもその魅力にひかれるものだと詠う。)

夕方、昼寝から起きると、窓に挿した夕日で紅く染まった閨にいるけれど酒に寄ったのを醒まそうとしている。黒髪を髷に結い雲型に編みこんだ髪型乱れ、金細工のカンザシは緩やかに揺れている。雪のような牡丹の花のお香がただよい、花のような愛の言葉は、どんな艶めかしい言葉に勝るものである。

それが人にとって良いことであるのは、生まれながらにして一番弱い所なのだ、そして、輝くほどに繊細な時には湽州に飾られたうす絹のスカートを着て艶めかしさを出し、葉になると誰もが思う「春心」はその姿にひかれるものだから、何にも考えず、ボーっと過ごしていればいいのである

(浣溪沙七首其の三)

晚 紅房に起き 醉い銷さんと欲し,綠鬟 雲散 金翹を裊にし,雪香 花語 嬌勝てず。

好是は 人に向うて 柔弱の處,玉纖 急な時に 繡裙の腰,春心 牽惹すは 轉た無憀たり。

 


浣溪沙七首其四

一隻橫釵墜髻叢,靜眠珍簟起來慵,繡羅紅嫩抹酥胸。

羞斂細蛾魂暗斷,困迷無語思猶濃,小屏香靄碧山重。

(目覚めれば、簟のシーツは冷たく、この閨には、気だるい美人の姿と愁いだけがのこると詠う。)

今夜もまた訪れてくれず、后妃の高く結われた髪から抜け落ちた簪が一つ横たわっている、独り静かに眠るのも、この時期には簟は冷たく、その竹筵より物憂く起き上がるけれど、寝化粧は崩れてはいないし、艶やかな白い胸に紅色の刺繍のある薄絹の胸当てを当てて愁いを残す。

細い眉を寄せてしわが残るのを恥ずかしいこととであり、魂は既に消え失せてしまったし、来てくれないことは、困った事であり、思いは迷うことであるけれど、それを話す人もいない、それなのに情はますます募る、屏風には女性の横たわった影が映って、香の煙はたたよう、屏風には描かれた青き山に影が重なる。

(浣溪沙七首其の四)

一隻の橫釵 髻叢より墜つ、静かに珍簟に眠り 起き来たるに慵く、繍羅 紅 嫩らかに 酥胸に抹く。

酥じらい細き蛾を斂め 魂 暗に断え、困迷して 語無く 思い猶お濃く、小屏 香靄 碧山 重なる。

5

浣溪沙七首其五

雲薄羅裙綬帶長,滿身新裛瑞龍香,翠鈿斜映豔梅粧。

佯不覷人空婉約,笑和嬌語太倡狂,忍教牽恨暗形相。

(音楽を演奏する妓優たちはその演奏する姿を見初められる、そして「太倡狂」といわれる男性であっても、もう一度結ばれたいと詠う。)

妓優の雲型の髪は両鬢で薄く梳かれていて、薄絹のスカートを着て、佩び玉の着いた帯は長い。新たに袋に入れて全身の装束に瑞龍香を焚きしめている、翡翠の花鈿は顔を斜めに映して、艶めかしい梅の香料の化粧でうつくしい。

あの人を覗い見ることもできず、素振りだけするし、その素直で美しく控えめであるこの女の存在は空しいものでしかない。閨で語られ、笑い和むことは、それが甚だしくあちこちの楽女にうつつを抜かす遊び人であってもいいのだ、その後に、耐え忍ぶこと、恨みの心になってゆくこと、暗い顔形になったとしてもたったひと時でもあのお方と過ごしたいのだ。

(浣溪沙七首其の五)

雲薄く 羅裙 綬帶長し,滿身 新裛 瑞龍の香,翠鈿 斜映して 梅粧を豔す。

人を覷ず佯し 空しく婉約す,笑和し 嬌語す 太倡狂と,忍ぶこと教えられ 恨むことを牽きても 暗き形相するも。

6

浣溪沙七首其六

碧玉冠輕裊鷰釵,捧心無語步香堦,緩移弓底繡羅鞋。

暗想歡何計好,豈堪期約有時乖,日高深院正忘懷。

(後宮において、寵愛を受けていた后妃が年と共に疎遠になってゆくのを詠う。)

緑色の玉と冠も軽く揺れるツバメの簪もゆるく揺れる。あの人を憶う心はかわらないまま、閨のお香の届く外のきざはしをひとり歩く、靴底が弓になっている纏足の刺繍で飾られた絹の靴でゆっくりと歩いて移動する。

こんなに暗い思いをしていて、その日その場が良ければと歓娯に吹けることなどどうしてすることが出来ようか、それでなくとも、逢瀬の約束の日も、守ってくれないことばかりなのだ、昨日も来てくれず夜が明け、もう太陽が真上にあがってきて、この奥深い宮殿にはまさにあの人のことを思うことを忘れるようにするだけなのだ。(こういう生活も仕方ないと生きてゆくのだ。)

(浣溪沙 七首 其の六)

碧玉 冠輕うして 鷰釵を裊し,捧心 語ること無く 香堦を步む,弓底 繡羅の鞋に緩移す。

暗想にして 歡するは何んぞ好を計らん,豈に 期約 乖く有る時を堪えん,日高く 深院 正に懷うを忘ん。

 

浣溪沙七首其七

半醉凝情臥繡茵,睡容無力卸羅裙,玉籠鸚鵡猒聽聞。

慵整落釵金翡翠,象梳欹鬢月生雲,錦屏綃幌麝煙薰。

髪をとかすも煩わしく、抜け落ちた簪、金の鳳冠、翡翠の飾りをしなおして、象牙の櫛を斜めに鬢をなおせば、雲より出た月のようにしっかりとした顔立ちである。それでも錦の屏風をまわりに立て、絹の帳に香の煙の漂い薫らせて、ただ待ち続ける。

(浣溪沙七首其の七)

半ば酔い情を凝らして繍菌に臥せ、睡容 力無く 羅布を卸す、玉寵の鶴鵡を聴聞するを敵う。

傭く落敦を整う 金の薪翠、象琉 贅に歌て 月 雲に生ず、錦屏 給幌 靡煙 薫る。

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緑色の玉と冠も軽く揺れるツバメの簪もゆるく揺れる。あの人を憶う心はかわらないまま、閨のお香の届く外のきざはしをひとり歩く、靴底が弓になっている纏足の刺繍で飾られた絹の靴でゆっくりと歩いて移動する。

 
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浣溪沙七首


浣溪沙七首其一

春暮黃鶯下砌前,水精簾影露珠懸,綺霞低映晚晴天。

弱柳萬條垂翠帶,殘紅滿地碎香鈿,蕙風飄蕩散輕煙。

(后妃もいつしか、水精の宮殿に移ってからは、春が音連れても、あのお方は尋ねてくることはない、この春も何時しか過ぎようとしている。)

春暮れて高樓の砌の前に高麗鶯が止まっている、水精宮の閨には、水珠の簾に日が射しこんで、露の珠の影がうつる。沈みかけた夕日は空低く夕焼けを映している。

華奢な細腰は、柔らかき柳のえだであり、翠の糸を万条と垂れている、春も盛りを過ぎて、地一面の花びらは花鈿、額の飾りの砕けたようであり、香しき風は流れさり、花曇りの薄靄も、もう散りさってしまう。

(浣溪沙七首 其の一)

春暮 黃鶯 砌前に下る,水精の簾影 露珠 懸かり,綺霞 低く 晚晴の天に映ゆ。

弱柳 萬條 翠帶を垂れ,殘紅 地に滿ち 香鈿碎ける,蕙風 飄蕩して 輕煙 散る。

 

2

浣溪沙七首其二

花榭香紅煙景迷,滿庭芳艸綠萋萋,金鋪閑掩繡簾低。

紫鷰一雙嬌語碎,翠屏十二晚峯齊,夢魂銷散醉空閨。

(若く綺麗な妓優夏、巫女か高貴なお方に見初められ、優雅な時を過しても、何時かは一人さびしく過ごさねばなくなると詠う。)

花に囲まれた水際の四阿には春の盛りの紅色の香りが漂い春霞の景色はその行く先を迷う、庭園には、薫り高い若草がさかんに茂り、それなのに、黄金で飾った閨には静けさに覆われ、鳳凰の刺繍の簾のとばりも低く垂れたままになっている。

この仙郷に飛ぶつばめがたった一ツガイだけで、やさしくささやいている、翡翠の飾りの屏風には楚の懐王の故事の巫山十二峰の等しく描かれているものが寝牀のまわりに立てられている。それなのに、夢には出て來るけれど現実には消え去ってしまう、今は、誰もいないこの閨に一人お酒に酔うだけである。

(浣溪沙七首其の二)

花榭 紅に香り 煙景迷う,庭 芳艸に滿ち 綠萋萋たり,金鋪 閑かに掩い 繡簾低る。

紫鷰 一雙 嬌語碎う,翠屏 十二 晚峯齊し,夢魂 銷散 空閨に醉う。

 

3

浣溪沙七首其三

晚起紅房醉欲銷,綠鬟雲散裊金翹,雪香花語不勝嬌。

好是向人柔弱處,玉纖時急繡裙腰,春心牽惹轉無憀。

(若く綺麗なときには、高貴なお方に見初められ、どんな時でもその容姿によってすくわれるものであり、おとこのこころにある「春心」は何にもしないでもその魅力にひかれるものだと詠う。)

夕方、昼寝から起きると、窓に挿した夕日で紅く染まった閨にいるけれど酒に寄ったのを醒まそうとしている。黒髪を髷に結い雲型に編みこんだ髪型乱れ、金細工のカンザシは緩やかに揺れている。雪のような牡丹の花のお香がただよい、花のような愛の言葉は、どんな艶めかしい言葉に勝るものである。

それが人にとって良いことであるのは、生まれながらにして一番弱い所なのだ、そして、輝くほどに繊細な時には湽州に飾られたうす絹のスカートを着て艶めかしさを出し、葉になると誰もが思う「春心」はその姿にひかれるものだから、何にも考えず、ボーっと過ごしていればいいのである

(浣溪沙七首其の三)

晚 紅房に起き 醉い銷さんと欲し,綠鬟 雲散 金翹を裊にし,雪香 花語 嬌勝てず。

好是は 人に向うて 柔弱の處,玉纖 急な時に 繡裙の腰,春心 牽惹すは 轉た無憀たり。

 


浣溪沙七首其四

一隻橫釵墜髻叢,靜眠珍簟起來慵,繡羅紅嫩抹酥胸。

羞斂細蛾魂暗斷,困迷無語思猶濃,小屏香靄碧山重。

(目覚めれば、簟のシーツは冷たく、この閨には、気だるい美人の姿と愁いだけがのこると詠う。)

今夜もまた訪れてくれず、后妃の高く結われた髪から抜け落ちた簪が一つ横たわっている、独り静かに眠るのも、この時期には簟は冷たく、その竹筵より物憂く起き上がるけれど、寝化粧は崩れてはいないし、艶やかな白い胸に紅色の刺繍のある薄絹の胸当てを当てて愁いを残す。

細い眉を寄せてしわが残るのを恥ずかしいこととであり、魂は既に消え失せてしまったし、来てくれないことは、困った事であり、思いは迷うことであるけれど、それを話す人もいない、それなのに情はますます募る、屏風には女性の横たわった影が映って、香の煙はたたよう、屏風には描かれた青き山に影が重なる。

(浣溪沙七首其の四)

一隻の橫釵 髻叢より墜つ、静かに珍簟に眠り 起き来たるに慵く、繍羅 紅 嫩らかに 酥胸に抹く。

酥じらい細き蛾を斂め 魂 暗に断え、困迷して 語無く 思い猶お濃く、小屏 香靄 碧山 重なる。
5

浣溪沙七首其五

雲薄羅裙綬帶長,滿身新裛瑞龍香,翠鈿斜映豔梅粧。

佯不覷人空婉約,笑和嬌語太倡狂,忍教牽恨暗形相。

(音楽を演奏する妓優たちはその演奏する姿を見初められる、そして「太倡狂」といわれる男性であっても、もう一度結ばれたいと詠う。)

妓優の雲型の髪は両鬢で薄く梳かれていて、薄絹のスカートを着て、佩び玉の着いた帯は長い。新たに袋に入れて全身の装束に瑞龍香を焚きしめている、翡翠の花鈿は顔を斜めに映して、艶めかしい梅の香料の化粧でうつくしい。

あの人を覗い見ることもできず、素振りだけするし、その素直で美しく控えめであるこの女の存在は空しいものでしかない。閨で語られ、笑い和むことは、それが甚だしくあちこちの楽女にうつつを抜かす遊び人であってもいいのだ、その後に、耐え忍ぶこと、恨みの心になってゆくこと、暗い顔形になったとしてもたったひと時でもあのお方と過ごしたいのだ。

(浣溪沙七首其の五)

雲薄く 羅裙 綬帶長し,滿身 新裛 瑞龍の香,翠鈿 斜映して 梅粧を豔す。

人を覷ず佯し 空しく婉約す,笑和し 嬌語す 太倡狂と,忍ぶこと教えられ 恨むことを牽きても 暗き形相するも。

6

浣溪沙七首其六

碧玉冠輕裊鷰釵,捧心無語步香堦,緩移弓底繡羅鞋。

暗想歡何計好,豈堪期約有時乖,日高深院正忘懷

(後宮において、寵愛を受けていた后妃が年と共に疎遠になってゆくのを詠う。)

緑色の玉と冠も軽く揺れるツバメの簪もゆるく揺れる。あの人を憶う心はかわらないまま、閨のお香の届く外のきざはしをひとり歩く、靴底が弓になっている纏足の刺繍で飾られた絹の靴でゆっくりと歩いて移動する。

こんなに暗い思いをしていて、その日その場が良ければと歓娯に吹けることなどどうしてすることが出来ようか、それでなくとも、逢瀬の約束の日も、守ってくれないことばかりなのだ、昨日も来てくれず夜が明け、もう太陽が真上にあがってきて、この奥深い宮殿にはまさにあの人のことを思うことを忘れるようにするだけなのだ。(こういう生活も仕方ないと生きてゆくのだ。)

(浣溪沙 七首 其の六)

碧玉 冠輕うして 鷰釵を裊し,捧心 語ること無く 香堦を步む,弓底 繡羅の鞋に緩移す。

暗想にして 歡するは何んぞ好を計らん,豈に 期約 乖く有る時を堪えん,日高く 深院 正に懷うを忘ん。

 

浣溪沙七首其七

半醉凝情臥繡茵,睡容無力卸羅裙,玉籠鸚鵡猒聽聞。

慵整落釵金翡翠,象梳欹鬢月生雲,錦屏綃幌麝煙薰。

 

閶闔門001
 

『浣溪沙七首其六』 現代語訳と訳註

(本文)

浣溪沙七首其六

碧玉冠輕裊鷰釵,捧心無語步香堦,緩移弓底繡羅鞋。

暗想歡何計好,豈堪期約有時乖,日高深院正忘懷。

 

 

(下し文)

(浣溪沙 七首 其の六)

碧玉 冠輕うして 鷰釵を裊し,捧心 語ること無く 香堦を步む,弓底 繡羅の鞋に緩移す。

暗想にして 歡するは何んぞ好を計らん,豈に 期約 乖く有る時を堪えん,日高く 深院 正に懷うを忘ん。

 

 

(現代語訳)

(後宮において、寵愛を受けていた后妃が年と共に疎遠になってゆくのを詠う。)

緑色の玉と冠も軽く揺れるツバメの簪もゆるく揺れる。あの人を憶う心はかわらないまま、閨のお香の届く外のきざはしをひとり歩く、靴底が弓になっている纏足の刺繍で飾られた絹の靴でゆっくりと歩いて移動する。

こんなに暗い思いをしていて、その日その場が良ければと歓娯に吹けることなどどうしてすることが出来ようか、それでなくとも、逢瀬の約束の日も、守ってくれないことばかりなのだ、昨日も来てくれず夜が明け、もう太陽が真上にあがってきて、この奥深い宮殿にはまさにあの人のことを思うことを忘れるようにするだけなのだ。(こういう生活も仕方ないと生きてゆくのだ。)

 

花蕊夫人006
 

(訳注)

浣溪沙七首其六

(後宮において、寵愛を受けていた后妃が年と共に疎遠になってゆくのを詠う。)

『花間集』には毛照震の作が七首収められている。双調四十二字、前段二十一字三句三平韻、後段二十一字三句二平韻で、⑦⑦⑦/7⑦⑦の詞形をとる。花間集他の56作品の浣渓沙の解説参照。

碧玉冠輕裊鷰釵 捧心無語步香堦 緩移弓底繡羅

暗想歡何計好 豈堪期約有時乖 日高深院正忘

●●△△?●○  ●○○●●○○ ●○○●●○○

●●○△△●● ●○○●●○○  ●○△△△●○

 

碧玉冠輕裊鷰釵,捧心無語步香堦,緩移弓底繡羅鞋。

緑色の玉と冠も軽く揺れるツバメの簪もゆるく揺れる。あの人を憶う心はかわらないまま、閨のお香の届く外のきざはしをひとり歩く、靴底が弓になっている纏足の刺繍で飾られた絹の靴でゆっくりと歩いて移動する。

碧玉 ① 青色または緑色の玉。 玉髄の一。酸化鉄からなる不純物を含む不透明な石英。紅色・緑色・黄色・褐色などを呈する。碧玉(へきぎよく)と通称する緑色凝灰岩の類を材料とし,内径56cmの環状に作っている。円形の断面をもったものなどの,表裏の区別のない石釧もまれにあるが,大多数は裏面がたいらで,表面の上半部を斜面とし,ここに放射状のこまかい線を刻んでいる。

 階(きざはし)杜甫《蜀相》「映堦碧草自春色, 隔葉黄鸝空好音。」美しい緑色をした若草の色が階(きざはし)に照り映えて、自然と春の季節の気配を漂わせている。葉の繁みの向こう側で、高麗ウグイスが(聴く人もいないのに)空しく鳴いている。

 1 締め方がきつくないさま。ゆるいさま。「(髪ヲ)いと―にひき結はせ給ひて」〈栄花・楚王の夢〉2 ゆっくりとしたさま。

弓底 古代 纏足 女性が履いている靴。婦人纏足で足が 弓形 ので、その靴はこの名。婦人纏足説から 南朝 一説、から5世代。明、清王朝のスタイルが平、高底多種で、そして飾 刺繍 珠玉などと。

 鞋(わらじ) - 草鞋; 鞋(くつ)。絹に刺繍をほどこした履。

 

暗想歡何計好,豈堪期約有時乖,日高深院正忘懷。

こんなに暗い思いをしていて、その日その場が良ければと歓娯に吹けることなどどうしてすることが出来ようか、それでなくとも、逢瀬の約束の日も、守ってくれないことばかりなのだ、昨日も来てくれず夜が明け、もう太陽が真上にあがってきて、この奥深い宮殿にはまさにあの人のことを思うことを忘れるようにするだけなのだ。(こういう生活も仕方ないと生きてゆくのだ。)

 よろこび楽しむこと。

期約 逢瀬の約束の日。

 (1) (子供が)おとなしい,素直な孩子真乖この子は本当に素直だ.(2) 賢い,利口な乖機敏で賢い.(1) 非常識な,道にもとる乖舛間違った.(2) ひねくれた.

 

 

杜甫はかつて《観公孫大娘弟子舞剣器行井序》「先帝の侍女八千人」(「公孫大娘が弟子の剣器を舞うを観る行」)と詠い、白居易もまた《長恨歌》」「後宮の佳麗三千人」と言った。これらは決して詩人の誇張ではなく、唐代の宮廷女性は、実際はこの数字をはるかに越えていた。唐の太宗の時、李百薬は上奏して「無用の宮人は、ややもすれば数万に達する」(『全唐文』巻一四二、李百薬「宮人を放つを請うの封事」)といった。『新唐書』の「官者伝」上に、「開元、天宝中、宮嬪はおおよそ四万に至る」と記されている。後者は唐代の宮廷女性の人数に関する最高の具体的な数字であり、まさに盛唐の風流天子玄宗皇帝時代のものである。宋代の人洪邁は、この時期は漢代以来、帝王の妃妾の数が最も多かった時代であるといっている(『容斎五筆』巻三「開元宮嬪」)。うまい具合に、この時期の女性の総人口は先に紹介した数字 - およそ二千六百余万であるから、四万余人とすれば、じつに全女性人口の六百分の一を占める。つまり、女性六百人ごとに一人が宮廷に入ったことになる。唐末になり、国土は荒れ、国勢は衰えたが、いぜんとして「六宮(後宮)の貴・賤の女性は一万人を減らない」(『資治通鑑』巻二七三、後唐の荘宗同光三年)という状態だった。この驚くべき数字の陰で、どのくらい多くの「曠夫怨女」(男やもめと未婚の老女)を造り出したことか計り知れない。唐末の詩人曹鄴が慨嘆して「天子 美女を好み、夫婦 双を成さず」(「捕漁謡」)と詠ったのも怪しむに足りない

 

古来、宮中にはいわゆる「内職」という制度があった。『礼記』「昏義」 に、「古、天子は、后に六宮、三夫人、九嬪、二十七世婦、八十一御妻を立て、以て天下の内治を聴く」とある。唐初の武徳年間(618626)に、唐は隋の制度を参照して完壁で精密な「内官」制度をつくった。その規定では、皇后一人、その下に四人の妃(貴妃、淑妃、徳妃、賢妃各一人)、以下順位を追って、九嬪(昭儀、昭容、昭媛、修儀、修容、修媛、充儀、充容、充媛各一人)、捷好九人美人九人、才人九人、宝林二十七人、御女二十七人、采女二十七人が配置される。上記のそれぞれの女性は官品をもち、合計で122人の多きに達した。皇后だけが正妻であり、その他は名義上はみな「妃嬪」-皇帝の妾とされた。

また、皇太子の東宮にも「内官」があり、太子妃一人、その下に良娣、良媛、承徽、昭訓、奉儀などの品級があった。諸親王の王妃の下にも孺人【じゅじん】等の媵妾【ようしょう】の身分があった。

 

后妃たちの生活は富貴であり、また賛沢でもあった。彼女たちは衣食の心配の必要はなく、内庫(宮中の資材課)が必要なもの一切を支給した。「唐の法は北周、隋の法を踏襲し、妃嬢、女官には地位に尊卑があったから、その品階によって衣服、化粧の費用を支給した」。唐初以来、国庫が日に日に豊かになると、后妃たちの生活もそれに応じて賛沢になった。

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(音楽を演奏する妓優たちはその演奏する姿を見初められる、そして「太倡狂」といわれる男性であっても、もう一度結ばれたいと詠う。)

 
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19-481《浣溪紗七首其五》巻九 毛熙震唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-664-19-(481)  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4867

 

 

浣溪沙七首


浣溪沙七首其一

春暮黃鶯下砌前,水精簾影露珠懸,綺霞低映晚晴天。

弱柳萬條垂翠帶,殘紅滿地碎香鈿,蕙風飄蕩散輕煙。

(后妃もいつしか、水精の宮殿に移ってからは、春が音連れても、あのお方は尋ねてくることはない、この春も何時しか過ぎようとしている。)

春暮れて高樓の砌の前に高麗鶯が止まっている、水精宮の閨には、水珠の簾に日が射しこんで、露の珠の影がうつる。沈みかけた夕日は空低く夕焼けを映している。

華奢な細腰は、柔らかき柳のえだであり、翠の糸を万条と垂れている、春も盛りを過ぎて、地一面の花びらは花鈿、額の飾りの砕けたようであり、香しき風は流れさり、花曇りの薄靄も、もう散りさってしまう。

(浣溪沙七首 其の一)

春暮 黃鶯 砌前に下る,水精の簾影 露珠 懸かり,綺霞 低く 晚晴の天に映ゆ。

弱柳 萬條 翠帶を垂れ,殘紅 地に滿ち 香鈿碎ける,蕙風 飄蕩して 輕煙 散る。

 

2

浣溪沙七首其二

花榭香紅煙景迷,滿庭芳艸綠萋萋,金鋪閑掩繡簾低。

紫鷰一雙嬌語碎,翠屏十二晚峯齊,夢魂銷散醉空閨。

(若く綺麗な妓優夏、巫女か高貴なお方に見初められ、優雅な時を過しても、何時かは一人さびしく過ごさねばなくなると詠う。)

花に囲まれた水際の四阿には春の盛りの紅色の香りが漂い春霞の景色はその行く先を迷う、庭園には、薫り高い若草がさかんに茂り、それなのに、黄金で飾った閨には静けさに覆われ、鳳凰の刺繍の簾のとばりも低く垂れたままになっている。

この仙郷に飛ぶつばめがたった一ツガイだけで、やさしくささやいている、翡翠の飾りの屏風には楚の懐王の故事の巫山十二峰の等しく描かれているものが寝牀のまわりに立てられている。それなのに、夢には出て來るけれど現実には消え去ってしまう、今は、誰もいないこの閨に一人お酒に酔うだけである。

(浣溪沙七首其の二)

花榭 紅に香り 煙景迷う,庭 芳艸に滿ち 綠萋萋たり,金鋪 閑かに掩い 繡簾低る。

紫鷰 一雙 嬌語碎う,翠屏 十二 晚峯齊し,夢魂 銷散 空閨に醉う。

 

3

浣溪沙七首其三

晚起紅房醉欲銷,綠鬟雲散裊金翹,雪香花語不勝嬌。

好是向人柔弱處,玉纖時急繡裙腰,春心牽惹轉無憀。

(若く綺麗なときには、高貴なお方に見初められ、どんな時でもその容姿によってすくわれるものであり、おとこのこころにある「春心」は何にもしないでもその魅力にひかれるものだと詠う。)

夕方、昼寝から起きると、窓に挿した夕日で紅く染まった閨にいるけれど酒に寄ったのを醒まそうとしている。黒髪を髷に結い雲型に編みこんだ髪型乱れ、金細工のカンザシは緩やかに揺れている。雪のような牡丹の花のお香がただよい、花のような愛の言葉は、どんな艶めかしい言葉に勝るものである。

それが人にとって良いことであるのは、生まれながらにして一番弱い所なのだ、そして、輝くほどに繊細な時には湽州に飾られたうす絹のスカートを着て艶めかしさを出し、葉になると誰もが思う「春心」はその姿にひかれるものだから、何にも考えず、ボーっと過ごしていればいいのである

(浣溪沙七首其の三)

晚 紅房に起き 醉い銷さんと欲し,綠鬟 雲散 金翹を裊にし,雪香 花語 嬌勝てず。

好是は 人に向うて 柔弱の處,玉纖 急な時に 繡裙の腰,春心 牽惹すは 轉た無憀たり。

 


浣溪沙七首其四

一隻橫釵墜髻叢,靜眠珍簟起來慵,繡羅紅嫩抹酥胸。

羞斂細蛾魂暗斷,困迷無語思猶濃,小屏香靄碧山重。

(目覚めれば、簟のシーツは冷たく、この閨には、気だるい美人の姿と愁いだけがのこると詠う。)

今夜もまた訪れてくれず、后妃の高く結われた髪から抜け落ちた簪が一つ横たわっている、独り静かに眠るのも、この時期には簟は冷たく、その竹筵より物憂く起き上がるけれど、寝化粧は崩れてはいないし、艶やかな白い胸に紅色の刺繍のある薄絹の胸当てを当てて愁いを残す。

細い眉を寄せてしわが残るのを恥ずかしいこととであり、魂は既に消え失せてしまったし、来てくれないことは、困った事であり、思いは迷うことであるけれど、それを話す人もいない、それなのに情はますます募る、屏風には女性の横たわった影が映って、香の煙はたたよう、屏風には描かれた青き山に影が重なる。

(浣溪沙七首其の四)

一隻の橫釵 髻叢より墜つ、静かに珍簟に眠り 起き来たるに慵く、繍羅 紅 嫩らかに 酥胸に抹く。

酥じらい細き蛾を斂め 魂 暗に断え、困迷して 語無く 思い猶お濃く、小屏 香靄 碧山 重なる。
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浣溪沙七首其五

雲薄羅裙綬帶長,滿身新裛瑞龍香,翠鈿斜映豔梅粧。

佯不覷人空婉約,笑和嬌語太倡狂,忍教牽恨暗形相。

(音楽を演奏する妓優たちはその演奏する姿を見初められる、そして「太倡狂」といわれる男性であっても、もう一度結ばれたいと詠う。)

妓優の雲型の髪は両鬢で薄く梳かれていて、薄絹のスカートを着て、佩び玉の着いた帯は長い。新たに袋に入れて全身の装束に瑞龍香を焚きしめている、翡翠の花鈿は顔を斜めに映して、艶めかしい梅の香料の化粧でうつくしい。

あの人を覗い見ることもできず、素振りだけするし、その素直で美しく控えめであるこの女の存在は空しいものでしかない。閨で語られ、笑い和むことは、それが甚だしくあちこちの楽女にうつつを抜かす遊び人であってもいいのだ、その後に、耐え忍ぶこと、恨みの心になってゆくこと、暗い顔形になったとしてもたったひと時でもあのお方と過ごしたいのだ。

(浣溪沙七首其の五)

雲薄く 羅裙 綬帶長し,滿身 新裛 瑞龍の香,翠鈿 斜映して 梅粧を豔す。

人を覷ず佯し 空しく婉約す,笑和し 嬌語す 太倡狂と,忍ぶこと教えられ 恨むことを牽きても 暗き形相するも。

6

浣溪沙七首其六

碧玉冠輕裊鷰釵,捧心無語步香堦,緩移弓底繡羅鞋。

暗想歡何計好,豈堪期約有時乖,日高深院正忘懷。

 

浣溪沙七首其七

半醉凝情臥繡茵,睡容無力卸羅裙,玉籠鸚鵡猒聽聞。

慵整落釵金翡翠,象梳欹鬢月生雲,錦屏綃幌麝煙薰。

 

雲髻001
 

『浣溪沙七首其五』 現代語訳と訳註

(本文)

浣溪沙七首其五

雲薄羅裙綬帶長,滿身新裛瑞龍香,翠鈿斜映豔梅粧。

佯不覷人空婉約,笑和嬌語太倡狂,忍教牽恨暗形相。

 

 

(下し文)

(浣溪沙七首其の五)

雲薄く 羅裙 綬帶長し,滿身 新裛 瑞龍の香,翠鈿 斜映して 梅粧を豔す。

人を覷ず佯し 空しく婉約す,笑和し 嬌語す 太倡狂と,忍ぶこと教えられ 恨むことを牽きても 暗き形相するも。

 

 

(現代語訳)

(音楽を演奏する妓優たちはその演奏する姿を見初められる、そして「太倡狂」といわれる男性であっても、もう一度結ばれたいと詠う。)

妓優の雲型の髪は両鬢で薄く梳かれていて、薄絹のスカートを着て、佩び玉の着いた帯は長い。新たに袋に入れて全身の装束に瑞龍香を焚きしめている、翡翠の花鈿は顔を斜めに映して、艶めかしい梅の香料の化粧でうつくしい。

あの人を覗い見ることもできず、素振りだけするし、その素直で美しく控えめであるこの女の存在は空しいものでしかない。閨で語られ、笑い和むことは、それが甚だしくあちこちの楽女にうつつを抜かす遊び人であってもいいのだ、その後に、耐え忍ぶこと、恨みの心になってゆくこと、暗い顔形になったとしてもたったひと時でもあのお方と過ごしたいのだ。

花鈿02
 

 

(訳注)

浣溪沙七首其五

(音楽を演奏する妓優たちはその演奏する姿を見初められる、そして「太倡狂」といわれる男性であっても、もう一度結ばれたいと詠う。)

『花間集』には毛照震の作が七首収められている。双調四十二字、前段二十一字三句三平韻、後段二十一字三句二平韻で、⑦⑦⑦/7⑦⑦の詞形をとる。花間集他の56作品の浣渓沙の解説参照。

雲薄羅裙綬帶 滿身新裛瑞龍香 翠鈿斜映豔梅

佯不覷人空婉約 笑和嬌語太倡 忍教牽恨暗形

○●○○●●△  ●○○●●○○ ●△○●●○○

○△●○△●● ●△△●●△△  ●△△●●○△

 

雲薄羅裙綬帶長,滿身新裛瑞龍香,翠鈿斜映豔梅粧。

妓優の雲型の髪は両鬢で薄く梳かれていて、薄絹のスカートを着て、佩び玉の着いた帯は長い。新たに袋に入れて全身の装束に瑞龍香を焚きしめている、翡翠の花鈿は顔を斜めに映して、艶めかしい梅の香料の化粧でうつくしい。

雲薄 妓優、宮女、女官の髪型。ここは、妓優である楽女の髪型。

羅裙 うす絹のスカート。

綬帶 官印を帯びるための組紐の帯。佩び玉の着いた帯。

新裛 新たに装束に香をたきしめるための袋。また、その材料。栴檀(せんだん)の葉や樹皮から作るという。

瑞龍香 高貴なお香の名。

翠鈿 翡翠の花鈿。

豔梅粧 艶めかしい梅の香料の化粧。

 

佯不覷人空婉約,笑和嬌語太倡狂,忍教牽恨暗形相。

あの人を覗い見ることもできず、素振りだけするし、その素直で美しく控えめであるこの女の存在は空しいものでしかない。閨で語られ、笑い和むことは、それが甚だしくあちこちの楽女にうつつを抜かす遊び人であってもいいのだ、その後に、耐え忍ぶこと、恨みの心になってゆくこと、暗い顔形になったとしてもたったひと時でもあのお方と過ごしたいのだ。

 振りをする,見せ掛ける佯死死んだ振りをする.佯装…の振りをする.佯攻陽動作戦をとる,偽装攻撃をする.佯狂(阳狂)狂人を装う,気のふれた振りをする.佯言

覷人 人をうかがうい みる。

婉約 すなおでうつくしくひかえめである。

太倡狂 甚だしく楽女にうつつを抜かす遊び人。

19-480《浣溪紗七首其四》巻九 毛熙震Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-663-19-(480) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4862

今夜もまた訪れてくれず、后妃の高く結われた髪から抜け落ちた簪が一つ横たわっている、独り静かに眠るのも、この時期には簟は冷たく、その竹筵より物憂く起き上がるけれど、寝化粧は崩れてはいないし、艶やかな白い胸に紅色の刺繍のある薄絹の胸当てを当てて愁いを残す。

 
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19-479《浣溪紗七首其三》巻九 毛熙震Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-662-19-(479) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4857

(若く綺麗なときには、高貴なお方に見初められ、どんな時でもその容姿によってすくわれるものであり、おとこのこころにある「春心」は何にもしないでもその魅力にひかれるものだと詠う。)

 
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18-#3§2-1 《應科目時與人書》韓愈(韓退之)ID 793年貞元9年 26歳<1174> Ⅱ唐宋八大家文読本 巻三 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4854韓愈詩-18-#3§2-1 
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19-478《浣溪紗七首其二》巻九 毛熙震Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-661-19-(478) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4852

この仙郷に飛ぶつばめがたった一ツガイだけで、やさしくささやいている、翡翠の飾りの屏風には楚の懐王の故事の巫山十二峰の等しく描かれているものが寝牀のまわりに立てられている。それなのに、夢には出て來るけれど現実には消え去ってしまう、今は、誰もいないこの閨に一人お酒に酔うだけである。

 
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19-478《浣溪紗七首其二》巻九 毛熙震唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-661-19-(478)  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4852

 

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19-477《浣溪紗七首其一》巻九 毛熙震Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-660-19-(477) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4847

(后妃もいつしか、水精の宮殿に移ってからは、春が音連れても、あのお方は尋ねてくることはない、この春も何時しか過ぎようとしている。)

 
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隴山にかかる雲が広がると暗く厚く重い雲が秋晴れの白く高い空に蔽い始める、下窓の前に一人座って大通りからの塵埃の砂煙をうかがう。西域からあの人が帰って来る。

 
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 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
 
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尹參卿鶚六首

 

 

 

 

 

 

 

ID


作品名

作者

 

 

■ 尹參卿鶚(尹鶚【いんがく】)六首

 

 

 

1

九巻

臨江仙二首,其一

尹鶚

 

 

2

九巻

臨江仙二首,其二

尹鶚

 

 

3

九巻

滿宮花一首,

尹鶚

 

 

4

九巻

杏園方一首

尹鶚

 

 

5

九巻

醉公子一首,

尹鶚

 

 

6

九巻

菩薩蠻一首

尹鶚

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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18-475《醉公子一首,》巻九 尹鶚Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-658-18-(475) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4837

一日じゅう、種々の趣きの庭に春の風流を尋ねて酒に酔う。夜になって、また同じところに帰ってきて、月が真上にあがるまで又、酒をのみ続ける。

 
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89 《望廬山瀑布水 二首其一#1》index-5 1-5 725年開元十三年25歳<89> Ⅰ李白詩1256 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4828 
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18-475《醉公子一首,》巻九 尹鶚唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-658-18-(475)  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4837

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花間集 教坊曲『醉公子』 四首

 

 

作者



初句7字

 

 

薛侍郎昭蘊

巻三

醉公子一首

慢綰青絲髮

 

 

(顧太尉

巻七

醉公子二首其一

漠漠秋雲澹

 

 

 

巻七

醉公子二首其二

岸柳垂金線

 

 

尹鶚

巻九

醉公子一首

暮煙籠蘚砌

 

 

 

 

 

 

 

 

 

醉公子

(春が訪れると公子は風流を求めて飲み明かし、愛妾と共に過ごすが、やがて、他の美人のもとに行ってしまったと詠う)

暮煙籠蘚砌,戟門猶未閉。

夕暮れの靄は囲われたこの庭の鮮やかな建物との砌に漂う。公子の邸宅の御門は未だに閉められたままだ。

盡日醉尋春,歸來月滿身。

一日じゅう、種々の趣きの庭に春の風流を尋ねて酒に酔う。夜になって、また同じところに帰ってきて、月が真上にあがるまで又、酒をのみ続ける。

離鞍隈繡袂,墜巾花亂綴。

馬を繋いでその場所から離れ、うす絹の刺繍のたもとの中に入ってゆく。来ていた着物はその場に脱ぎ捨て、女の花弁は乱れそしてつづられる。

何處惱佳人,檀痕衣上新。

それなのに、今は何処に行かれたのだろう、美人の元だろうけど頭を悩ます、寝牀に心の傷跡を残してしまったので今日からは気分一新するためにも着物を新しくしたようだ。

(醉公子)

暮煙 籠蘚の砌,戟門 猶お未だ閉ず。

盡日 春を尋ね醉い,月滿身に歸來す。

鞍を離れ 繡袂を隈れ,巾を墜す 花亂綴。

何の處にか佳人を惱し,檀痕 衣上新らたなり。

 

雲髻001
 

『醉公子一首』 現代語訳と訳註

(本文)

醉公子

暮煙籠蘚砌,戟門猶未閉。

盡日醉尋春,歸來月滿身。

離鞍隈繡袂,墜巾花亂綴。

何處惱佳人,檀痕衣上新。

 

(下し文)

(醉公子)

暮煙 籠蘚の砌,戟門 猶お未だ閉ず。

盡日 春を尋ね醉い,月滿身に歸來す。

鞍を離れ 繡袂を隈れ,巾を墜す 花亂綴。

何の處にか佳人を惱し,檀痕 衣上新らたなり。

 

 

(現代語訳)

(春が訪れると公子は風流を求めて飲み明かし、愛妾と共に過ごすが、やがて、他の美人のもとに行ってしまったと詠う)

夕暮れの靄は囲われたこの庭の鮮やかな建物との砌に漂う。公子の邸宅の御門は未だに閉められたままだ。

一日じゅう、種々の趣きの庭に春の風流を尋ねて酒に酔う。夜になって、また同じところに帰ってきて、月が真上にあがるまで又、酒をのみ続ける。

馬を繋いでその場所から離れ、うす絹の刺繍のたもとの中に入ってゆく。来ていた着物はその場に脱ぎ捨て、女の花弁は乱れそしてつづられる。

それなのに、今は何処に行かれたのだろう、美人の元だろうけど頭を悩ます、寝牀に心の傷跡を残してしまったので今日からは気分一新するためにも着物を新しくしたようだ。

 

(訳注)

醉公子

(春が訪れると公子は風流を求めて飲み明かし、愛妾と共に過ごすが、やがて、他の美人のもとに行ってしまったと詠う)

公子(こうし)は、中国の春秋戦国時代の各国の公族の子弟。君主(公)の子は公子と呼ばれ、公子の子は公孫と呼ばれた。実質上、諸侯は王族に等しく、その子弟も王子と呼んでもさしつかえはないが、建前上、列国は周王の家来であり、王は周王ただ一人であるので、諸侯は公を称し、その子弟は公子となった。ただし、楚に限っては周王の権威を認めておらず、歴代の君主は王と称したので、その子弟は当然王子であったはずだが、周の傘下にあった諸国の文献においては公子と記されている。戦国時代に入って周の権威が完全に失墜した後は、諸侯は次々に王を僭称したが、公式には公であったので、その子弟は相変わらず公子と呼ばれた。

 

醉公子は、唐の教坊の曲名。『花間集』には尹鶚の一首他三首の所収。双調四十字、前後段二十字四句二仄韻、韻二平韻で、❺❺⑤⑤/❺❺⑤⑤の詞形をとる。

暮煙籠蘚  戟門猶未
盡日醉尋  歸來月滿
離鞍隈繡  墜巾花亂
何處惱佳  檀痕衣上

●○△●●  ●○△●●

●●●○○  ○△●●○

△○△●●  ●○○●●

△●●○○  ○○△●○

 

暮煙籠蘚砌,戟門猶未閉。

夕暮れの靄は囲われたこの庭の鮮やかな建物との砌に漂う。公子の邸宅の御門は未だに閉められたままだ。

戟門 ホコなどの儀杖を門に立てて並べることから、大官の邸宅、あるいは、役所、顕貴の家。

 

盡日醉尋春,歸來月滿身。

一日じゅう、種々の趣きの庭に春の風流を尋ねて酒に酔う。夜になって、また同じところに帰ってきて、月が真上にあがるまで又、酒をのみ続ける。

盡日 ① 一日じゅう。終日。 -降雨」 各月または一年の最後の日。みそか。おおみそか。

尋春 春の風流をもとめ、そこで宴する。大官の邸宅であるから、種々の趣きの庭があるのをたずねあるく。

 

離鞍隈繡袂,墜巾花亂綴。

馬を繋いでその場所から離れ、うす絹の刺繍のたもとの中に入ってゆく。来ていた着物はその場に脱ぎ捨て、女の花弁は乱れそしてつづられる。

<!--[if !supportLists]-->  <!--[endif]-->この二句は、ベッドインしての描写。

 

何處惱佳人,檀痕衣上新。

それなのに、今は何処に行かれたのだろう、美人の元だろうけど頭を悩ます、寝牀に心の傷跡を残してしまったので今日からは気分一新するためにも着物を新しくしたようだ。

佳人 美しい女の人。

檀痕 檀は公子と共にすごした寝牀で、そこには公子の残した痕跡がたくさんあること。

 

 花鈿02

18-474《杏園方一首》巻九 尹鶚Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-657-18-(474) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4832

こんな美人を看た誰もが夢にまでつきまとうものだから、いつの日か寝牀のまわりに雲母の屏風を立てかけて、一緒に過ごしたいとおもっているのだ。

 
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89 《望廬山瀑布水 二首其一#1》index-5 1-5 725年開元十三年25歳<89> Ⅰ李白詩1256 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4828 
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443-#4 《送汴州監軍俱文珍 幷序》韓愈(韓退之)ID <1169> Ⅱ韓昌黎集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4829韓愈詩-443-#4 
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 杜甫詩(7)759年;乾元二年、48歳 秦州抒情詩 66首杜甫詩(8)作時759年、48歳 秦州発、同谷紀行、成都紀行 36首杜甫詩(9)760年;上元元年、49歳 成都浣花渓草堂 45首杜甫詩(10)761年;上元二年、50歳 成都浣花渓草堂 82首杜甫詩(11)762年寶應元年 杜甫51歳  浣花渓草堂~蜀中転々 43首杜甫詩(12)762年寶應元年 杜甫51歳 蜀中転々 49首 
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 毛文錫31首 花間集5巻牛希濟11首 花間集5巻欧陽烱17首 花間集5・6巻和凝20首 花間集6巻顧夐56首 花間集6・7巻孫光憲47首 花間集7・8巻 
 魏承班15首 花間集8・9巻鹿虔扆6首 花間集9巻閻選8首 花間集9巻尹鶚6首 花間集9巻毛熙震29首 花間集9・10巻李珣39首 花間集10巻 
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18-474《杏園方一首》巻九 尹鶚唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-657-18-(474)  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4832

 

  

 

 

 

 

 

 

 

ID


作品名

作者

 

 

■ 尹參卿鶚(尹鶚【いんがく】)六首

 

 

 

1

九巻

臨江仙二首,其一

尹鶚

 

 

2

九巻

臨江仙二首,其二

尹鶚

 

 

3

九巻

滿宮花一首,

尹鶚

 

 

4

九巻

杏園方一首

尹鶚

 

 

5

九巻

醉公子一首,

尹鶚

 

 

6

九巻

菩薩蠻一首

尹鶚

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色と芸を売って生業とする娼妓と女芸人とである。「妓」、この後世もっぱら肉体を売る女性を指すようになった呼称は、もとは「伎(技)」 の意味から来たもので、歌舞等の技芸を専門に学ぶ女芸人を指していた。唐代の「妓」はすでに専業娼妓の呼称になっていたが、しかし同時に「妓」は歌舞音曲に携わったり、縄・竿・球・馬などを操る女芸人を総称する言葉であって、決して肉体を売る女性だけを指すものではなかった。それで常に「聴妓」(音楽を聴く)とか、「観妓」(歌舞を観る)という言い方があったのである。「妓」は娼妓と女芸人を合せた呼称ということができる。事実、芸人は常に売笑を兼ね、娼妓もまた芸を提供せねばならなかった。両者には時として明確な区別というものがなかったので、合せて「妓」と呼んだのは怪しむに足りない。「娼」となると、唐代には多く娼妓を指した。そして「女優」とか、「女伶」などの類の言葉は当然芸人を指した。しかし、彼女たちの身分・地位・生活などは娼妓と非常に近かったので、両者を合せて「妓優」とか「娼優」とかよぶ呼称が常に存在した。それゆえ彼女たちも一括して論ずることにする。

 

 

 

杏園芳

嚴粧嫩臉花明,教人見了關情。

含羞舉步越羅輕,稱娉婷。

終朝咫尺窺香閣,迢遙似隔層城。

何時休遣夢相縈,入雲屏。

(高嶺の花である妓優と杏園とで夢を詠ったものである)

年に一度の発表の日で、念入りに粧いし柔肌の顔立ちは花のごとく明るく映えている、こんな感じで見る人はきっと心を虜にするだろう。

その素振りは何処か恥じらいを含んでいて、細腰を越羅のスカートで包み、軽やかに足を運べば、艶やかで美しく、えも言えぬほどだ。

終日ごく間近なところで、芸を磨くのをみているし、楼閣での宴で妓優の芸を窺いてみてはいるものの、実際には、高楼から望んで遙かに遠く高い城壁に隔たれているかのようである。

こんな美人を看た誰もが夢にまでつきまとうものだから、いつの日か寝牀のまわりに雲母の屏風を立てかけて、一緒に過ごしたいとおもっているのだ。

 

(杏園芳)

嚴粧の嫩臉【どうけん】花明るく,人 見了れば情に關わら教む。

羞らいを含み 越羅輕やかに步を舉げれば,娉婷【へいてい】に稱う。

朝から終まで 咫尺にて香閣を窺う,迢遙として層城を隔つに似たり。

何れの時にか 夢の相い縈い遣むるを休め,雲屏に入らん。

 

花蕊夫人006
 

『杏園芳』 現代語訳と訳註

(本文)

杏園芳

嚴粧嫩臉花明,教人見了關情。

含羞舉步越羅輕,稱娉婷。

終朝咫尺窺香閣,迢遙似隔層城。

何時休遣夢相縈,入雲屏。

 

(下し文)

(杏園芳)

嚴粧の嫩臉【どうけん】花明るく,人 見了れば情に關わら教む。

羞らいを含み 越羅輕やかに步を舉げれば,娉婷【へいてい】に稱う。

朝から終まで 咫尺にて香閣を窺う,迢遙として層城を隔つに似たり。

何れの時にか 夢の相い縈い遣むるを休め,雲屏に入らん。

 

(現代語訳)

(高嶺の花である妓優と杏園とで夢を詠ったものである)

年に一度の発表の日で、念入りに粧いし柔肌の顔立ちは花のごとく明るく映えている、こんな感じで見る人はきっと心を虜にするだろう。

その素振りは何処か恥じらいを含んでいて、細腰を越羅のスカートで包み、軽やかに足を運べば、艶やかで美しく、えも言えぬほどだ。

終日ごく間近なところで、芸を磨くのをみているし、楼閣での宴で妓優の芸を窺いてみてはいるものの、実際には、高楼から望んで遙かに遠く高い城壁に隔たれているかのようである。

こんな美人を看た誰もが夢にまでつきまとうものだから、いつの日か寝牀のまわりに雲母の屏風を立てかけて、一緒に過ごしたいとおもっているのだ。

 

 

(訳注)

 

『花間集』には尹鶚の一首のみ所収。今日伝わる杏園芳もまたこの一首だけである。教坊所属の妓優について詠ったものである。

 

杏園芳 杏園から春の科挙祝宴、饗宴での妓優や女妓とのその日の無礼講を連想する。

・杏園:官吏登用試験(科挙)に合格した進士たちの祝宴会場。科挙に合格した進士には、曲江の池の畔(ほとり)の杏園で、祝宴を賜り、長安の街で園遊し、咲き誇る牡丹などの花を観賞する慣わしがあった。 

・杏園人:科挙に合格し、新たに進士となった人たちを指す。

長安曲江 杏園 進士の試験は秋にあり、翌年の春の花が咲き誇る時期に結果発表がある。官吏登用試験(科挙)に合格した進士には、後出・長安の曲江の池の畔(ほとり)にあった杏園で、祝宴を賜り、長安の街を園遊し、咲き誇る牡丹などの花を観賞する慣わしがあった。また、貴族は自邸自慢のボタンを庭を開放して鑑賞させ、合格者の無礼を許した。

・長安:唐の首都。現・陝西省・西安。科挙の最終試験会場もここにあり、科挙合格者の祝宴もここで開かれる。

孟郊はそれに落第して、落胆のさまを『再下第』「一夕九起嗟,夢短不到家。兩度長安陌,空將涙見花。」とうたった。この詩もそれと似た感情を詠っていよう。

孟郊は『登科後』で「昔日齷齪不足誇,今朝放蕩思無涯。春風得意馬蹄疾,一日看盡長安花。」と、がらりと変わった詩を作っている。 唐宋詩236 登科後 Ⅶ孟郊(孟東野)<19>紀頌之の漢詩ブログ

○詞の構成について 双調四十五字、前段二十二字四句四平韻、後段二十三字四句三平韻で、⑥⑥⑦③/7⑥⑦③詞形をとる。

嚴粧嫩臉花  教人見了關
含羞舉步越羅  稱娉
終朝咫尺窺香閣  迢遙似隔層
何時休遣夢相  入雲

○?●△○○  △○●●○○

○○●●●○△  △●○

○○●●○○●  ○○●●○○

△○△●△△○  ●○△

 

嚴粧嫩臉花明,教人見了關情。

年に一度の発表の日で、念入りに粧いし柔肌の顔立ちは花のごとく明るく映えている、こんな感じで見る人はきっと心を虜にするだろう。

○厳粧 念入りな化粧。

○嫩臉 若くみずみずしい顔。

○教人見了関情 人が見たら心を捉えて離さないようにさせる。見た人の心を捉える、の意。交は使役を表す。了は〜したら。

 

含羞舉步越羅輕,稱娉婷。

その素振りは何処か恥じらいを含んでいて、細腰を越羅のスカートで包み、軽やかに足を運べば、艶やかで美しく、えも言えぬほどだ。

○越羅 越産の上等な薄絹。ここではそれで作ったスカートを言う。越は今の浙江省。

○称娉婷 美に適ぅ。娉婷は艶やかで美しいこと。

 

終朝咫尺窺香閣,迢遙似隔層城。

終日ごく間近なところで、芸を磨くのをみているし、楼閣での宴で妓優の芸を窺いてみてはいるものの、実際には、高楼から望んで遙かに遠く高い城壁に隔たれているかのようである。

○咫尺 ごく間近。咫は八寸、尺は十寸。

○香閣 香を焚く楼閣の講堂で妓優の芸を見る。

○層城 高い城壁。

 

何時休遣夢相縈,入雲屏。

こんな美人を看た誰もが夢にまでつきまとうものだから、いつの日か寝牀のまわりに雲母の屏風を立てかけて、一緒に過ごしたいとおもっているのだ。

() まといつく,絡む.気にかかる. (周りを)巡る,まつわる.まつわりつく,(周りを)巡る.

〇人雲屏 屏風の陰に入る。屏風は多く寒さを避けたり人目を遮るために寝台の脇に置かれるもの。したがって、入雲屏は床をともに(ベットイン)することを意味する。

 

pla880014
 

【解説】 女性に心惹かれる男の情を詠う。後段、一日中、女の芸の練習をまじかで窺っていても、まるではるか彼方の高い城壁に隔てられているかのようで、常に夢の内で恋い焦がれているが、一体いつになったら女の閏に入り、屏風の陰で時をともにすることができるのかと、女への熱い思いを語る。

妓優であるから間直に見る事もある男ではあるものの、実際には遠い存在で、近づくこともできない。

杏園での一大イベントは科挙の発表であり、唯一のチャンスの時ではある。詩はそうした高嶺の花である妓優と杏園とで夢を詠ったものである。

18-473《滿宮花一首,》巻九 尹鶚Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-656-18-(473) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4827

眠りにつけず、漏刻の音が清らかに響くのを聞いていると、宮殿の庭の大樹に杜鵑がなく夜明けになっている。時は廻り、愁いに満ちたこの蘭房にも東の窓にまた新しい春の暁が訪れている。(こんどの春こそきっと来てくれると希望をもって春を迎える。)

 
 2014年9月17日の紀頌之5つのブログ 
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 index-11 819年 52歳 ・『論佛骨表』左遷 38首index-12 820年 53歳 ・9月國子祭酒に。18首index-13 821年~822年 55歳 22首index-14 823年~824年 57歳・病気のため退職。没す。 14首韓愈 哲学・儒学「五原」賦・散文・上奏文・碑文など 
 孟郊張籍     
 ●杜甫の全作品1500首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。" 
 Ⅲ杜甫詩全1500首   LiveDoorブログ765年永泰元年54歲-18 《春日江村,五首之四》 杜甫index-15 杜甫<818> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4825 杜甫詩1500-818-1136/2500765年永泰元年54歲-18 
 杜甫詩(1)736~751年 青年期・李白と交遊期・就活の詩 53首杜甫詩(2)752年~754年、43歳 73首(青年期・就活の詩) 杜甫詩(3)755年~756年、45歳 安史の乱に彷徨う 26首杜甫詩(4)作時757年、46歳 安史軍捕縛、脱出、左拾遺 43首杜甫詩(5)758年;乾元元年、47歳 左拾遺、朝廷疎外、左遷 53首杜甫詩 (6)759年;乾元二年、48歳 三吏三別 官を辞す 44首 
 杜甫詩(7)759年;乾元二年、48歳 秦州抒情詩 66首杜甫詩(8)作時759年、48歳 秦州発、同谷紀行、成都紀行 36首杜甫詩(9)760年;上元元年、49歳 成都浣花渓草堂 45首杜甫詩(10)761年;上元二年、50歳 成都浣花渓草堂 82首杜甫詩(11)762年寶應元年 杜甫51歳  浣花渓草堂~蜀中転々 43首杜甫詩(12)762年寶應元年 杜甫51歳 蜀中転々 49首 
 ●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている 
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 ●花間集全詩●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩。唐から五代詩詞。花間集 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性 LiveDoor18-473《滿宮花一首,》巻九 尹鶚Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-656-18-(473) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4827 
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 温庭筠66首 花間集1・2巻皇甫松11首 花間集二巻韋莊47首 花間集二巻薛昭蘊19首 花間集三巻牛嶠31首 花間集三・四巻張泌27首 花間集四巻 
 毛文錫31首 花間集5巻牛希濟11首 花間集5巻欧陽烱17首 花間集5・6巻和凝20首 花間集6巻顧夐56首 花間集6・7巻孫光憲47首 花間集7・8巻 
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18-473《滿宮花一首,》巻九 尹鶚唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-656-18-(473)  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4827

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花間集 教坊曲『滿宮花』三首

 

 

作者



初句7字

 

 

張舍人泌

巻四

滿宮花一首

花正芳,樓似綺,

 

 

魏太尉承班

巻九

滿宮花一首

雪霏霏,風凜凜,

 

 

尹參卿鶚

巻九

滿宮花一首

月沉沉,人悄悄,

 

 

 

 

 

 

 

 

 

滿宮花

(年を重ねた、女妓が春には来ると男との約束を守って待つが、秋は過ぎ又春が来る、今度の春こそ来てくれると詠う)

月沉沉,人悄悄,一炷後庭香裊。

秋の月の光に照らされて森々と夜が更けてゆく、だれ一人いなくてひっそりとしている。香をひとたきくゆらせるとそれが裏庭の方までしなやかに漂い、ほのかな香りに包まれる。

風流帝子不歸來,滿地禁花慵掃。

春景色はこんなにも風流であるのに、高貴なお方は帰ってこない、だから、まわりの地の全てには、花が散り落ちた花弁で一杯なのに、それをすすんで掃き奇麗にする気になれないのだ。

離恨多,相見少,何處醉迷三島。

別離のままではこんなにも恨む気持ちは多くなり、あの人を見る事は無くなってしまった。何処へ行ったのだろうか、きっと、神仙の三山といわれる歓楽街を酒に酔い迷ってしまっているのだろう。

漏清宮樹子規啼,愁鏁碧春曉。

眠りにつけず、漏刻の音が清らかに響くのを聞いていると、宮殿の庭の大樹に杜鵑がなく夜明けになっている。時は廻り、愁いに満ちたこの蘭房にも東の窓にまた新しい春の暁が訪れている。(こんどの春こそきっと来てくれると希望をもって春を迎える。)

 

滿宮花

月 沉沉とし,人 悄悄たり,一炷は後庭にあり 裊香る。

風流 帝子 歸來せず,滿地 禁花 慵く掃く。

離は恨多く,相い見少くし,何處ぞ 醉いて三島を迷う。

漏清く 宮樹に 子規啼く,鏁を愁う 碧春曉。

 

 

『滿宮花』 現代語訳と訳註

(本文)

滿宮花

月沉沉,人悄悄,一炷後庭香裊。

風流帝子不歸來,滿地禁花慵掃。

離恨多,相見少,何處醉迷三島。

漏清宮樹子規啼,愁鏁碧春曉。

 

(下し文)

滿宮花

月 沉沉とし,人 悄悄たり,一炷は後庭にあり 裊香る。

風流 帝子 歸來せず,滿地 禁花 慵く掃く。

離は恨多く,相い見少くし,何處ぞ 醉いて三島を迷う。

漏清く 宮樹に 子規啼く,鏁を愁う 碧の春曉。

 

(現代語訳)

(年を重ねた、女妓が春には来ると男との約束を守って待つが、秋は過ぎ又春が来る、今度の春こそ来てくれると詠う)

秋の月の光に照らされて森々と夜が更けてゆく、だれ一人いなくてひっそりとしている。香をひとたきくゆらせるとそれが裏庭の方までしなやかに漂い、ほのかな香りに包まれる。

春景色はこんなにも風流であるのに、高貴なお方は帰ってこない、だから、まわりの地の全てには、花が散り落ちた花弁で一杯なのに、それをすすんで掃き奇麗にする気になれないのだ。

別離のままではこんなにも恨む気持ちは多くなり、あの人を見る事は無くなってしまった。何処へ行ったのだろうか、きっと、神仙の三山といわれる歓楽街を酒に酔い迷ってしまっているのだろう。

眠りにつけず、漏刻の音が清らかに響くのを聞いていると、宮殿の庭の大樹に杜鵑がなく夜明けになっている。時は廻り、愁いに満ちたこの蘭房にも東の窓にまた新しい春の暁が訪れている。(こんどの春こそきっと来てくれると希望をもって春を迎える。)

 

 

(訳注)

滿宮花

(年を重ねた、女妓が春には来ると男との約束を守って待つが、秋は過ぎ又春が来る、今度の春こそ来てくれると詠う)

『花間集』 には三首所収。魏承斑の作は一首収められている。双調五十一字、前段二十五字五句三仄韻、後段二十六字四句三仄韻で、3❸❻7❻/3❸❻7❻の詞形をとる。月沉沉 人悄  一炷後庭香
風流帝子不歸來  滿地禁花慵
離恨多 相見  何處醉迷三
漏清宮樹子規啼  愁鏁碧

●○○ ○●●  ●●●○○●

△○●●△○△  ●●△○○●

△●○ △●●  △●●○△●

●○○●●○○  ○?●?○●

 

月沉沉,人悄悄,一炷後庭香裊。

月の光に照らされて森々と夜が更けてゆく、だれ一人いなくてひっそりとしている。香をひとたきくゆらせるとそれが裏庭の方までしなやかに漂い、ほのかな香りに包まれる。

沉沉 (1) ずっしり重い,重量のある.(2) うち沈んだ,重苦しい.

悄悄 (1) ひっそりと,音もなく.(2) こっそりと,内密に悄悄内緒話

一炷 (1) 香をひとたきくゆらせること。また、その香。(2) 1本の灯心。

香裊 香がしなやかに漂う。

 

風流帝子不歸來,滿地禁花慵掃。

春景色はこんなにも風流であるのに、高貴なお方は帰ってこない、だから、まわりの地の全てには、花が散り落ちた花弁で一杯なのに、それをすすんで掃き奇麗にする気になれないのだ。

帝子 ここでは、神仙三島のある仙界(歓楽街)に来た高貴なお客。道教の最高神格のこと。「それぞれ道教における天上界の最高天「玉清境」「上清境」「太清境」に住し、この三天のことも「三清」と呼ぶ。

禁花 使ってはいけない花。嫌われる花。ここでは散り落ちた花弁。落ちてしまうと汚れ腐り嫌われる花になる。花落 花が 散る。若い時の花は散る。女妓が年老いたので嫌われるということ。

 

離恨多,相見少,何處醉迷三島。

別離のままではこんなにも恨む気持ちは多くなり、あの人を見る事は無くなってしまった。何処へ行ったのだろうか、きっと、神仙の三山といわれる歓楽街を酒に酔い迷ってしまっているのだろう。

宮中のみならず、富貴の家、歓楽街の池には、池中に、神仙の住む蓬莱(ほうらい)・瀛州(えいしゅう)・方丈(ほうじょう)になぞらえられた3島(三神島)造営する。 黄河が渤海へと注ぐ岸に立ち、遥か東の海上をのぞむと、忽然と浮かび上がる島影が浮かぶという設定である。

 

漏清宮樹子規啼,愁鏁碧春曉。

眠りにつけず、漏刻の音が清らかに響くのを聞いていると、宮殿の庭の大樹に杜鵑がなく夜明けになっている。愁いに満ちたこの蘭房にも東の窓にまた新しい春の暁が訪れている。(こんどの春こそきっと来てくれると希望をもって春を迎える。)

漏清 漏刻の音が清らかに響く。

子規啼 男を求めて泣くけれど、啼いて血を吐くホトトギス。ツツジの花は初夏であるから時間の経過も示している。

温庭筠『菩薩蠻 七』 

玉樓明月長相憶,柳絲裊娜春無力。

門外草萋萋,送君聞馬嘶。

畫羅金翡翠,香燭銷成淚。

花落子規啼,綠窗殘夢迷。

玉樓明月長へに相ひ憶ふ、柳絲裊娜【じょうや】春力無し。

門外草萋萋たり、君を送れば馬の嘶くを聞けり。

畫【いろうつくしき】羅【うすぎぬ】金の翡翠、香【かぐはしき】燭消【とけ】て涙を成す。

花落ちて子規啼けば、綠窗【ろくそう】に殘夢迷ふ。

『菩薩蠻 七』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-7-1-#7 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1644


・子規 ホトトギス杜鵑。血を吐きながら、悲しげに、鳴くことから鳴き声が読み方と類似しているため不如歸とも書き表す。

宣城見杜鵑花 Kanbuniinkai紀頌之の漢詩 李白特集-244-350


法鏡寺 杜甫
洩雲蒙清晨,初日翳複吐。
朱甍半光炯,戸牖粲可數。
拄策忘前期,出蘿已亭午。
冥冥子規叫,微徑不複取。

“同谷紀行(6)” 法鏡寺 杜甫 <325#1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1541 杜甫詩 700- 478


杜甫の鳥獸蟲魚類について整理してみると次のようにある。
五言律詩 
『鸚鵡』、『子規』、『百舌』、『歸鴈二首』、『歸鴈』、『孤鴈』、『鸂鶒』、『花鴨』『麂』、    

錦瑟
錦瑟無端五十弦、一弦一柱思華年。
莊生曉夢迷蝴蝶、望帝春心托杜鵑。
滄海月明珠有涙、藍田日暖玉生煙。
此情可待成追憶、只是當時已惘然。

錦瑟 李商隠 1 Ⅰ晩唐李商隠詩<1>漢文委員会kanbuniinkai紀頌之漢詩ブログ<64>

 

鏁 蘭房に他の者との接触を断つため、①. 0 戸・箱の蓋(ふた)などにつけて,自由に開閉できないようにする金具。 -をさす」 -をおろす」. . 1 錠剤。 《錠》

18-472《臨江仙二首,其二》巻九 尹鶚Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-655-18-(472) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4822

男用の枕の前に頭を横たえるけれど、この生活の最も心を傷ましむるできごとは、以前は、鳳凰の愛の巢である梧桐の葉に愛の雫を落していたのに、いまは、ぽとぽとと滴り落ちる涙の露でさえも枯れて少なくなってしまった。


 
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87 《送崔十二遊天竺寺》index-5 1-5 725年開元十三年25歳 蜀を離れ、襄陽・荊州・武昌と遊ぶ。<87> Ⅰ李白詩1255 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4823 
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443-#2 《送汴州監軍俱文珍 幷序》韓愈(韓退之)ID 798年貞元14年 31歳<1167> Ⅱ韓昌黎集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4819韓愈詩-443-#2 
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18-471《臨江仙二首,其一》巻九 尹鶚Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-654-18-(471) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4817

昔のことだけれど、蕭娘といわれた人はこの蓮の花さく池を美男子のお方と一緒に歩かれたという、互いに慕い、相佇んでこの花を見られた、そして心に強く印象付けられて悲しくも断腸の思いを詩につづられたという。


18-471《臨江仙二首,其一》巻九 尹鶚唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-654-18-(471)  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4817

 
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86 《渡荊門送別 李白 5》index-5 1-5 725年開元十三年25歳 蜀を離れ、襄陽・荊州・武昌と遊ぶ。 <86> Ⅰ李白詩1254 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4818 
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443-#1 《送汴州監軍俱文珍》韓愈(韓退之)ID 797年貞元13年 30歳<1166> Ⅱ韓昌黎集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4814韓愈詩-443 
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 Ⅲ杜甫詩全1500首   LiveDoorブログ765年永泰元年54歲-16 《春日江村,五首之二》 杜甫index-15 杜甫<816> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4815 杜甫詩1500-816-1134/2500765年永泰元年54歲-16 
 杜甫詩(1)736~751年 青年期・李白と交遊期・就活の詩 53首杜甫詩(2)752年~754年、43歳 73首(青年期・就活の詩) 杜甫詩(3)755年~756年、45歳 安史の乱に彷徨う 26首杜甫詩(4)作時757年、46歳 安史軍捕縛、脱出、左拾遺 43首杜甫詩(5)758年;乾元元年、47歳 左拾遺、朝廷疎外、左遷 53首杜甫詩 (6)759年;乾元二年、48歳 三吏三別 官を辞す 44首 
 杜甫詩(7)759年;乾元二年、48歳 秦州抒情詩 66首杜甫詩(8)作時759年、48歳 秦州発、同谷紀行、成都紀行 36首杜甫詩(9)760年;上元元年、49歳 成都浣花渓草堂 45首杜甫詩(10)761年;上元二年、50歳 成都浣花渓草堂 82首杜甫詩(11)762年寶應元年 杜甫51歳  浣花渓草堂~蜀中転々 43首杜甫詩(12)762年寶應元年 杜甫51歳 蜀中転々 49首 
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17-470《河傳》巻九 閻選Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-653-17-(470) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4812

今夜も遅くなってもただひとり、灯火暗いままに、竹筵のシーツもこの季節で一人寝では超冷ややかなので、別れたままというのは恨めしさがます、こんなにも美しき女であっても、男の浮気心には愁いに堪えることにくるしむ。 

 
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85 《江上寄巴東故人》index-5 1-5 725年開元十三年25歳 蜀を離れ、襄陽・荊州・武昌・漢口・洞庭湖・金陵・揚州と遊ぶ。 25歳 20 首 <85> Ⅰ李白詩1253 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4813 
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442 《苦寒歌【案:見《外集》。】》韓愈(韓退之)ID 795年貞元11年 28歳<1165> Ⅱ韓昌黎集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4809韓愈詩-442 
 ・李商隠詩 (1) 136首の75首・李商隠詩 (2) 135首の61首●韓愈index-1 ・孟郊、張籍と交遊・汴州乱41首●韓愈詩index-2[800年 33歳~804年 37歳]27首●韓愈詩index-3 805年 38歳・]陽山から江陵府 36首●韓愈詩index-4 806年 39歳 江陵府・権知国子博士 51首(1)25首 
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 杜甫詩(1)736~751年 青年期・李白と交遊期・就活の詩 53首杜甫詩(2)752年~754年、43歳 73首(青年期・就活の詩) 杜甫詩(3)755年~756年、45歳 安史の乱に彷徨う 26首杜甫詩(4)作時757年、46歳 安史軍捕縛、脱出、左拾遺 43首杜甫詩(5)758年;乾元元年、47歳 左拾遺、朝廷疎外、左遷 53首杜甫詩 (6)759年;乾元二年、48歳 三吏三別 官を辞す 44首 
 杜甫詩(7)759年;乾元二年、48歳 秦州抒情詩 66首杜甫詩(8)作時759年、48歳 秦州発、同谷紀行、成都紀行 36首杜甫詩(9)760年;上元元年、49歳 成都浣花渓草堂 45首杜甫詩(10)761年;上元二年、50歳 成都浣花渓草堂 82首杜甫詩(11)762年寶應元年 杜甫51歳  浣花渓草堂~蜀中転々 43首杜甫詩(12)762年寶應元年 杜甫51歳 蜀中転々 49首 
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17-470《河傳》巻九 閻選唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-653-17-(470)  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4812

 

  

 

 

 

 

 

 

 

花間集 教坊曲『河傳』十八首

 

 

溫助教庭筠

巻二

河傳三首其一

曉妝仙,仙景箇

 

 

巻二

『河傳』温庭筠  

雨蕭蕭,煙浦花

 

 

巻二

河傳三首其三

杏花稀,夢裡每

 

 

韋相莊

巻二

105 河 其一 

何處,煙雨,隋堤

 

 

巻二

106 河傳三首 其二 

春晚,風暖,錦城

 

 

巻二

107 河傳三首 其三 

錦浦,春女,繡衣

 

 

張舍人泌

巻五

河傳 二首之一 張泌

渺莽雲水,惆悵暮

 

 

巻五

河傳 二首之二 張泌

紅杏,交枝相映,

 

 

顧太尉

巻七

三首 其一 》顧

鷰颺,晴景。小

 

 

巻七

河傳三首 其二 》顧夐

曲檻,春晚。

 

 

巻七

河傳三首 其三 》顧夐

棹舉,舟去,波光

 

 

孫少監光憲

巻七

河傳四首(1)孫光憲

太平天子,等閑遊

 

 

巻七

河傳四首(2孫光憲

柳拖金縷,着煙籠

 

 

巻七

河傳四首(3)孫光憲(

花落,煙薄,謝家

 

 

巻七

四首(4)孫光憲

風颭,波斂。

 

 

閻處士選

巻九

河傳一首

秋雨,秋雨,

 

 

李秀才珣

巻十

河傳二首其一

朝雲暮雨,依舊

 

 

 

巻十

河傳二首其二

落花深處,啼鳥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

河傳 一首

秋雨,秋雨,無晝無夜,滴滴霏霏。

暗燈涼簟怨分離,妖,不勝悲。

西風稍急喧竹,停又續,膩臉懸雙玉。

幾迴邀約鴈來時,違期,鴈歸,人不歸。

(船商人の富貴の者に身請けされたか、買斷された女妓が約束の「雁が帰る時期」を楽しみに、簟をかたづけずにまっているが、又ことしも帰ってこない、帰って来ることを頼りに生きて行く女を詠う)

秋雨がふる、今年もまた秋雨がふる、約束の秋に昼となく夜となくふりつづく、あの人は来なくて雨は降りやまずはげしく降り注ぐ。

今夜も遅くなってもただひとり、灯火暗いままに、竹筵のシーツもこの季節で一人寝では超冷ややかなので、別れたままというのは恨めしさがます、こんなにも美しき女であっても、男の浮気心には愁いに堪えることにくるしむ。 

秋の西風はやや強く窓辺の竹ざわめき、静まったかと思えばまた続く。美しい女の艶やかな頬にかかる二筋の真珠の涙がおちる。

幾たびも約束した雁帰る時を迎えても、その約束は破られ、毎年雁は来るも人は帰ってこない。

 

(河傳)

秋の雨,秋の雨に,晝と無く夜と無く,滴滴として霏霏たり。

燈暗く簟涼かにして 分離を怨み,妖,悲に勝えず。

西風 稍や急に 喧【かまびす】し,停み 又た續き,膩臉【じけん】雙玉に懸かり。

幾たび迴るも 約せし 鴈來る時を邀うるも,期に違い,鴈歸るも,人歸えらず。

 

 

『河傳 一首』 現代語訳と訳註

(本文)

秋雨,秋雨,無晝無夜,滴滴霏霏。

暗燈涼簟怨分離,妖,不勝悲。

西風稍急喧竹,停又續,膩臉懸雙玉。

幾迴邀約鴈來時,違期,鴈歸,人不歸。

 

(下し文)

(河傳)

秋の雨,秋の雨に,晝と無く夜と無く,滴滴として霏霏たり。

燈暗く簟涼かにして 分離を怨み,妖,悲に勝えず。

西風 稍や急に 竹喧【かまびす】し,停み 又た續き,膩臉【じけん】雙玉に懸かり。

幾たび迴るも 約せし 鴈來る時を邀うるも,期に違い,鴈歸るも,人歸えらず。

 

(現代語訳)

(船商人の富貴の者に身請けされたか、買斷された女妓が約束の「雁が帰る時期」を楽しみに、簟をかたづけずにまっているが、又ことしも帰ってこない、帰って来ることを頼りに生きて行く女を詠う)

秋雨がふる、今年もまた秋雨がふる、約束の秋に昼となく夜となくふりつづく、あの人は来なくて雨は降りやまずはげしく降り注ぐ。

今夜も遅くなってもただひとり、灯火暗いままに、竹筵のシーツもこの季節で一人寝では超冷ややかなので、別れたままというのは恨めしさがます、こんなにも美しき女であっても、男の浮気心には愁いに堪えることにくるしむ。 

秋の西風はやや強く窓辺の竹ざわめき、静まったかと思えばまた続く。美しい女の艶やかな頬にかかる二筋の真珠の涙がおちる。

幾たびも約束した雁帰る時を迎えても、その約束は破られ、毎年雁は来るも人は帰ってこない。

 

(訳注)

河傳 一首

(船商人の富貴の者に身請けされたか、買斷された女妓が約束の「雁が帰る時期」を楽しみに、簟をかたづけずにまっているが、又ことしも帰ってこない、帰って来ることを頼りに生きて行く女を詠う)

【解説】雁が飛び帰る頃、秋雨の降ると船は航行されず、本当は浮気心の男なのに、雨や、風で帰れないと雨や風をを恨むことでまぎらわせる女性の心情を詠う。末尾、男は「雁が帰る頃旨分も戻って来る」と約束をしたが、何年も約束を破り、今年も雁は渡って来たが、あの人はまたも帰って来なかったと恨みを述べる。昼夜を分かたず降り続く雨、窓辺で風にざわめく竹は胸中の不安を示すと同時に、船が航行されないから帰ってこないと気持ちを雨と風に恨む気持ちを紛らわせる。でも帰ってきて肥満体の男は暑がりだから、簟のシーツを片付けることが出来ない女の思いやりをうたっている。

この時代に、若くして、愛妾とされ、身請けされ、買斷されるというのは女妓たちの憧れである。その憧れは同時に閨で、一人で過ごすということも意味している。李白の「江夏行」「長干行」などとこの詩は、シチュエーションが似ているということでより参考にすると味わいが深まる。

なおも夏用の竹筵を使っているのは、女が愁いと悲しみとのために何もする気になれず、竹筵をしまうのも面倒なためであるとする解説書もあるが、それでは意味が浅すぎる。

『花問集』には閣選の作が一首収められている。双調五十三字、前段二十四字七句二仄韻四平韻、後段二十九字六句三仄韻四平韻で、❷❷4④⑦②③/❼❸❺⑦②②③の詞形をとる。

   無晝無夜  滴滴霏
暗燈涼簟怨分   不勝

西風稍急喧 停又  膩臉懸雙
幾迴邀約鴈來  期   人不

○●  ○● ○●○●  ●●○○

●○△●△△△  ○○ △△○

○△●●○?● ○●●  ●△○○●

△△○●●△○  ○○ ●○  ○△○

 

秋雨,秋雨,無晝無夜,滴滴霏霏。

秋雨がふる、今年もまた秋雨がふる、約束の秋に昼となく夜となくふりつづく、あの人は来なくて雨は降りやまずはげしく降り注ぐ。

○秋雨,秋雨 雨の日には船の航行が出来ないので、雨を恨む様子をいう。

○霏霏 雨や雪の激しく降るさま。この四句は約束の時期に降る、秋の長雨を恨んでいる。

 

暗燈涼簟怨分離,妖,不勝悲。

今夜も遅くなってもただひとり、灯火暗いままに、竹筵のシーツもこの季節で一人寝では超冷ややかなので、別れたままというのは恨めしさがます、こんなにも美しき女であっても、男の浮気心には愁いに堪えることにくるしむ。 

○涼簟 冷たい竹筵の高級ベッドシーツ。筆は竹皮で編んだ夏用の敷物。既に雁渡る秋に入っているので涼簟と言う。ベッドの情交の際、汗でぼと着くことが無い。閨で待ち続ける女の侘しさをイメージさせる。簟は高級なので男は富貴の者であることを意味する。

○分離 ここでは男が別の女のもとに行っていることをイメージさせる、別れ別れになっていること。

○妖姫 魅惑的な美女。女の良さをいうことは、男はそれに飽きたということを感じさせる。この三句は、男を待つ閨の様子と待つことに堪えなければいけないことをいう。

 

西風稍急喧竹,停又續,膩臉懸雙玉。

秋の西風はやや強く窓辺の竹ざわめき、静まったかと思えばまた続く。美しい女の艶やかな頬にかかる二筋の真珠の涙がおちる。

○西風 西風が吹けば長江を遡上できなくて航行不能になる。

雙玉 二筋の真珠の涙がおちる双玉は双真珠の様な珠の涙がほほをつたう涙の玉。

 

幾迴邀約鴈來時,違期,鴈歸,人不歸。

幾たびも約束した雁帰る時を迎えても、その約束は破られ、毎年雁は来るも人は帰ってこない。

幾迴 何年も経過したこと。

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なぜにこんなに痩せてしまったのか、そのわけがわからない人から、そのわけを尋ねられる、人に出逢えば決まってこう答える、{春がからだにあわず、苦手なんです}と言い訳をする。

 
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間選(生卒年末詳〔約932年前後在世〕)は、後蜀の詞人。字、裡、出身地も未詳。生涯、平民で過ごしたので、人々は閣処士と呼んだ(処士とは無官の意)。『花間集』 には八首の詞が収められている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ID


作品名

作者

 

 

■ 閻處士選(閻選【えんせん】)八首

 

 

 

1

九巻

虞美人二首,其一

閻選

 

 

2

九巻

虞美人二首,其二

閻選

 

 

3

九巻

臨江仙二首,其一

閻選

 

 

4

九巻

臨江仙二首,其二

閻選

 

 

5

九巻

浣溪紗一首,

閻選

 

 

6

九巻

八拍蠻二首,其一

閻選

 

 

7

九巻

八拍蠻二首,其二

閻選

 

 

8

九巻

河傳

閻選

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花間集 教坊曲『八拍蠻』三首

 

 

孫少監光憲

巻八

八拍蠻一首

孔雀尾拖金線長

 

 

閻處士選

巻九

八拍蠻二首其一

雲鏁嫩黃煙柳細

 

 

巻九

八拍蠻二首其二

愁鏁黛眉煙易慘

 

 

 

 

 

 

 

 

孫光憲 《八拍蠻》

孔雀尾拖金線長,怕人飛起入丁香。

越女沙頭爭拾翠,相呼歸去背斜陽。

(八拍蠻)

孔雀の尾 金線の長きを抱き、人を怕れて 飛び起ちて丁香に入る。

越女 沙頭に 争いて翠を拾い、相い呼びて 帰り去りて斜陽を背にす。

(美人の中でも飛び切りの美女が次第に高貴な人に認められて行くが、初めは谷間の砂浜で翡翠の翅を競って取り合いをしていたのだと詠う。)

孔雀は金色の長い尾を引き、人に驚き飛び立ち丁香の茂みに隠れる。

美人が多い南国の女らは昼には競って岸辺に翡翠の羽を拾う、声を掛け合い、背に夕日を浴びて帰って行く。

 

 

 

閻選 八拍蠻二首 其一

雲鏁嫩黃煙柳細,風吹紅蒂雪梅殘。

光影不勝閨閣恨,行行坐坐黛眉攢。

(歓楽街の妓女は「買斷」により、他の客との接触はないままで、男を待つだけしか女妓は方法がなく心乱れた生活をっするだけだと詠う)

雲型に高く編み込み結った若く瑞々しい黒髪のようなくもに、若芽の葉を付けた柳の枝の様な細腰のおんなをおもわせる細柳の並木には霞が漂う、風が吹き抜けると柳の枝が払われ、紅の帯のように、雪の花のように梅の花が咲き残っている。

春の光は風光明媚にして行き、時は長閑に過ぎてゆくのだが、女の閨にも、樓閣にも男が訪れることが無く、あるのは恨みだけだし、行ったり戻ったり、立ったり座ったり、心に落ち着きがなく顔には、眉をしかめた顔になってしまっている。

(八拍蠻二首 其の一)

雲鏁 嫩黃【ぜんこう】 柳細に煙り,風吹 紅蒂 雪梅 殘る。

光影 閨閣の恨みを勝らず,行行と坐坐して黛眉攢す。

 

閻選 八拍蠻二首 其二

愁鏁黛眉煙易慘,淚飄紅臉粉難勻。

憔悴不知緣底事,遇人推道不宜春。

(春には逢えるはずと思って侘しく待つ女は、思い悩んで痩せてしまう女を詠う)

愁いは連鎖となってこの閨にあり、黛の緑が香の煙で暗く惨めな感じになる、涙が流れ、こぼれ落ちると紅の化粧はなおすのも難しい。

なぜにこんなに痩せてしまったのか、そのわけがわからない人から、そのわけを尋ねられる、人に出逢えば決まってこう答える、{春がからだにあわず、苦手なんです}と言い訳をする。

(八拍蠻二首 其二)

愁いは黛眉を鏁ざし 煙 慘み易く,淚は紅臉に飄り 粉 勻え難し。

憔悴 底事【なにごと】に緣るかを知らず,人に遇えば 推して道う 春に宜しからずと

 

『八拍蠻二首 其二』 現代語訳と訳註

(本文)

八拍蠻二首 其二

愁鏁黛眉煙易慘,淚飄紅臉粉難勻。

憔悴不知緣底事,遇人推道不宜春。

 

 

(下し文)

(八拍蠻二首 其二)

愁いは黛眉を鏁ざし 煙 慘み易く,淚は紅臉に飄り 粉 勻え難し。

憔悴 底事【なにごと】に緣るかを知らず,人に遇えば 推して道う 春に宜しからずと。

 

(現代語訳)

(春には逢えるはずと思って侘しく待つ女は、思い悩んで痩せてしまう女を詠う)

愁いは連鎖となってこの閨にあり、黛の緑が香の煙で暗く惨めな感じになる、涙が流れ、こぼれ落ちると紅の化粧はなおすのも難しい。

なぜにこんなに痩せてしまったのか、そのわけがわからない人から、そのわけを尋ねられる、人に出逢えば決まってこう答える、{春がからだにあわず、苦手なんです}と言い訳をする。

 

花鈿02
 

(訳注)

八拍蠻二首 其二

(春には逢えるはずと思って侘しく待つ女は、思い悩んで痩せてしまう女を詠う)

《八拍蛮》单调,二十八字,四句,二/三平韵。唐教坊曲名。白居易が始めた歌曲様式。本来は漢の鐃歌鼓吹曲で、唐の教坊曲。白居易は古い曲名を借りて新たな曲を作った、詩の形式は七言絶句体であるが、詞牌として数えられる。七言絶句の形式をした例外的な填詞。七言絶句形式や七言四句体をした填詞には他に《楊柳枝詞》《採蓮子》《陽関曲》《浪淘沙》《江南春》《阿那曲》《欸乃曲》《水調歌》《清平調》などがある。それぞれ七言絶句体と平仄や押韻が異なり、曲調も異なっている。

『花間集』にはこの詩題の閻選の作が二首収められている。単調二十八字、四句二平韻二仄韻で、7⑦7⑦の詞形をとる。

愁鏁黛眉煙易慘  淚飄紅臉粉難
憔悴不知緣底事  遇人推道不宜

○?●○○●●  ●○○△●△○

○●△○△●●  ●○○●△○○

【解説】 基本的に宮女・教坊の妓優に関する詞である。春には逢えるはずと思って侘しく待つ女の心の様子を女の身近な変化でそれを詠う。

 

 

愁鏁黛眉煙易慘,淚飄紅臉粉難勻。

愁いは連鎖となってこの閨にあり、黛の緑が香の煙で暗く惨めな感じになる、涙が流れ、こぼれ落ちると紅の化粧はなおすのも難しい。

鏁 ①金属製の輪をつないだひも状のもの。②物と物とを結び付けているもの。きずな。戸・箱の蓋(ふた)などにつけて,自由に開閉できないようにする金具。

○煙易惨 閨で準備のための香を焚き続け、煙でいぶされて黒ずんだこと。

○粉難勻 涙でくずれた化粧は繕うことができ

ないほどである。

 

憔悴不知緣底事,遇人推道不宜春。

なぜにこんなに痩せてしまったのか、そのわけがわからない人から、そのわけを尋ねられる、人に出逢えば決まってこう答える、{春がからだにあわず、苦手なんです}と言い訳をする。

○憔悴不知緣底事 人が女のやつれたのを見て、なぜやつれたのか理由が分からず、女にその訳を尋ねた、と解する。

○推道 言い逃れる、言い訳をする。

○不宜春 体が春にむいていない。
巫山十二峰002
 

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春の光は風光明媚にして行き、時は長閑に過ぎてゆくのだが、女の閨にも、樓閣にも男が訪れることが無く、あるのは恨みだけだし、行ったり戻ったり、立ったり座ったり、心に落ち着きがなく顔には、眉をしかめた顔になってしまっている。

 
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17-468《八拍蠻二首,其一》巻九 閻選唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-651-17-(468)  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4802

 

 

間選(生卒年末詳〔約932年前後在世〕)は、後蜀の詞人。字、裡、出身地も未詳。生涯、平民で過ごしたので、人々は閣処士と呼んだ(処士とは無官の意)。『花間集』 には八首の詞が収められている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ID


作品名

作者

 

 

■ 閻處士選(閻選【えんせん】)八首

 

 

 

1

九巻

虞美人二首,其一

閻選

 

 

2

九巻

虞美人二首,其二

閻選

 

 

3

九巻

臨江仙二首,其一

閻選

 

 

4

九巻

臨江仙二首,其二

閻選

 

 

5

九巻

浣溪紗一首,

閻選

 

 

6

九巻

八拍蠻二首,其一

閻選

 

 

7

九巻

八拍蠻二首,其二

閻選

 

 

8

九巻

河傳

閻選

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花間集 教坊曲『八拍蠻』三首

 

 

孫少監光憲

巻八

八拍蠻一首

孔雀尾拖金線長

 

 

閻處士選

巻九

八拍蠻二首其一

雲鏁嫩黃煙柳細

 

 

巻九

八拍蠻二首其二

愁鏁黛眉煙易慘

 

 

 

 

 

 

 

 

孫光憲 《八拍蠻》

孔雀尾拖金線長,怕人飛起入丁香。

越女沙頭爭拾翠,相呼歸去背斜陽。

(八拍蠻)

孔雀の尾 金線の長きを抱き、人を怕れて 飛び起ちて丁香に入る。

越女 沙頭に 争いて翠を拾い、相い呼びて 帰り去りて斜陽を背にす。

(美人の中でも飛び切りの美女が次第に高貴な人に認められて行くが、初めは谷間の砂浜で翡翠の翅を競って取り合いをしていたのだと詠う。)

孔雀は金色の長い尾を引き、人に驚き飛び立ち丁香の茂みに隠れる。

美人が多い南国の女らは昼には競って岸辺に翡翠の羽を拾う、声を掛け合い、背に夕日を浴びて帰って行く。

 

 

 

閻處士選(閻選,生卒年不詳。為前蜀布衣,時稱閻處士。)

 

八拍蠻二首 其一

雲鏁嫩黃煙柳細,風吹紅蒂雪梅殘。

光影不勝閨閣恨,行行坐坐黛眉攢。

(歓楽街の妓女は「買斷」により、他の客との接触はないままで、男を待つだけしか女妓は方法がなく心乱れた生活をっするだけだと詠う)

雲型に高く編み込み結った若く瑞々しい黒髪のようなくもに、若芽の葉を付けた柳の枝の様な細腰のおんなをおもわせる細柳の並木には霞が漂う、風が吹き抜けると柳の枝が払われ、紅の帯のように、雪の花のように梅の花が咲き残っている。

春の光は風光明媚にして行き、時は長閑に過ぎてゆくのだが、女の閨にも、樓閣にも男が訪れることが無く、あるのは恨みだけだし、行ったり戻ったり、立ったり座ったり、心に落ち着きがなく顔には、眉をしかめた顔になってしまっている。

(八拍蠻二首 其の一)

雲鏁 嫩黃【ぜんこう】 柳細に煙り,風吹 紅蒂 雪梅 殘る。

光影 閨閣の恨みを勝らず,行行と坐坐して黛眉攢す。

 

八拍蠻二首 其二

愁鏁黛眉煙易慘,淚飄紅臉粉難勻。

憔悴不知緣底事,遇人推道不宜春。

(八拍蠻二首 其二)

愁いは黛眉を鏁ざし 煙 慘み易く,淚は紅臉に飄り 粉 勻え難し。

憔悴 底事【なにごと】に緣るかを知らず,人に遇えば 推して道う 春に宜しからずと

紅梅00
 

『八拍蠻二首 其一』 現代語訳と訳註

(本文)

八拍蠻二首 其一

雲鏁嫩黃煙柳細,風吹紅蒂雪梅殘。

光影不勝閨閣恨,行行坐坐黛眉攢。

 

 

(下し文)

(八拍蠻二首 其の一)

雲鏁 嫩黃 柳細に煙り,風吹 紅蒂 雪梅 殘る。

光影 閨閣の恨みを勝らず,行行と坐坐して黛眉攢す。

 

(現代語訳)

(歓楽街の妓女は「買斷」により、他の客との接触はないままで、男を待つだけしか女妓は方法がなく心乱れた生活をっするだけだと詠う)

雲型に高く編み込み結った若く瑞々しい黒髪のようなくもに、若芽の葉を付けた柳の枝の様な細腰のおんなをおもわせる細柳の並木には霞が漂う、風が吹き抜けると柳の枝が払われ、紅の帯のように、雪の花のように梅の花が咲き残っている。

春の光は風光明媚にして行き、時は長閑に過ぎてゆくのだが、女の閨にも、樓閣にも男が訪れることが無く、あるのは恨みだけだし、行ったり戻ったり、立ったり座ったり、心に落ち着きがなく顔には、眉をしかめた顔になってしまっている。

 

 

(訳注)

八拍蠻二首 其一

(歓楽街の妓女は「買斷」により、他の客との接触はないままで、男を待つだけしか女妓は方法がなく心乱れた生活をっするだけだと詠う)

『花間集』にはこの詩題の閻選の作が二首収められている。単調二十八字、四句二平韻二仄韻で、❼⑦❼⑦の詞形をとる。

雲鏁嫩黃煙柳細,風吹紅蒂雪梅

光影不勝閨閣,行行坐坐黛眉

○?●○○●●  △△○●●○○

△●△△○●●  △△●●●○○

大毛蓼003
 

 

 

雲鏁嫩黃煙柳細,風吹紅蒂雪梅殘。

雲型に高く編み込み結った若く瑞々しい黒髪のようなくもに、若芽の葉を付けた柳の枝の様な細腰のおんなをおもわせる細柳の並木には霞が漂う、風が吹き抜けると柳の枝が払われ、紅の帯のように、雪の花のように梅の花が咲き残っている。

鏁・鎖・鏈【くさり】①. 金属製の輪をつないだひも状のもの。 「懐中時計の-」 -につながれた猛獣」. . 物と物とを結び付けているもの。きずな。

 1(植物の芽・果実や人の肌などが)若い,柔らかい,みずみずしい.3.用例个姑娘 niang 皮很嫩。〔述〕=この娘は肌がみずみずしい.又白又嫩的小手=色白で柔らかい小さいこと

 

光影不勝閨閣恨,行行坐坐黛眉攢。

春の光は風光明媚にして行き、時は長閑に過ぎてゆくのだが、女の閨にも、樓閣にも男が訪れることが無く、あるのは恨みだけだし、行ったり戻ったり、立ったり座ったり、心に落ち着きがなく顔には、眉をしかめた顔になってしまっている。

光影 春の光は馬物を成長させ、風光明媚にしていく。

李白《越女詞其五》

鏡湖水如月,耶溪女似雪。

新妝蕩新波,光影兩奇絶。

鏡湖 水 如月のごとく,耶溪 女 雪のごとし。

新妝 新波に蕩ゆらめき,光影 兩つながら奇絶。

鏡湖は水が月光のようにすみ,耶溪は女むすめが雪のように色白。

初々しい化粧姿はすがすがしい波間にうつる,その光影はどちらも比べがたく素晴らしい。

 ()とは。意味や日本語訳。[]集める,集めまとめる攒钱金を集める. zǎn cuánjù[]群がる,密集する.

行行坐坐 心に落ち着きがなく、立ったり座ったり、行ったり戻ったりすること。

三峡 巫山十二峰001
 

17-467《浣溪紗一首,》巻九 閻選Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-650-17-(467) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4797

(「買斷」の妓女は別れ去って久しく帰らぬ愛しい男を待つだけの暮らしをするしかないと詠う。)誰も来ない閨は寂寞として侘しさだけの房飾りの付いた戸帳りが垂れ、寝牀に敷かれたマットにも冷ややかなものになっている、屏風は傍らに立てかけたままだし。そのそばには、使わなくなった山形の枕があり、徴かな香りが残っている、閨から見える小さな庭の花は露に濡れていて、女は濡れることはない、色濃くなった春というのがまたすぎてゆくと思えば、なみだがあふれただ泣くだけである。
 
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巫山の十二の高峰がつらなる峰々は天地に寒気に覆われている、幽靜な竹林の梢を台座にした佛と仙人が佇んでいる。雲雨を待つ宝玉に飾られた着物をきた神女に行く雲と通り雨が降りかかり、思いが叶う、綺麗な絵が描かれた簾の奥に祠の宮殿がある、お香が霧がかかったように漂い、冷たい風景がそこには残っている。

 
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17-465《臨江仙二首,其一》巻九 閻選Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-648-17-(465) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4787

高殿にのぼって手すりに倚りかかって都の方を眺めるだけで、恨みは尽きはしない、あの糸を引く蓮根には花が咲き、葉の上に露の珠が綴られている、それは、あの人と過ごした時の装える顔にふきでた汗のように見えて、またあの頃のことをおもいだしてしまう。

 
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あの柳の一枝の艶めかしさが横になり、芙蓉の花は酒に酔い潰れ、こんなに素敵な夜が訪れてもあのおかたとはもういっしょでいることはない、憂い悲しむ生活を恨むことしかないのだ。

 
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17-464《虞美人二首,其二》巻九 閻選唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-647-17-(464)  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4782

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ID


作品名

作者

 

 

■ 閻處士選(閻選【えんせん】)八首

 

 

 

1

九巻

虞美人二首,其一

閻選

 

 

2

九巻

虞美人二首,其二

閻選

 

 

3

九巻

臨江仙二首,其一

閻選

 

 

4

九巻

臨江仙二首,其二

閻選

 

 

5

九巻

浣溪紗一首,

閻選

 

 

6

九巻

八拍蠻二首,其一

閻選

 

 

7

九巻

八拍蠻二首,其二

閻選

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              ID                     作品名    作者      

              ■ 閻處士選(閻選【えんせん】)八首                                                  

            1            九巻       虞美人二首,其一   閻選        

            2            九巻       虞美人二首,其二   閻選        

            3            九巻       臨江仙二首,其一   閻選        

            4            九巻       臨江仙二首,其二   閻選        

            5            九巻       浣溪紗一首,          閻選        

            6            九巻       八拍蠻二首,其一   閻選        

            7            九巻       八拍蠻二首,其二   閻選      

 

閻處士選 虞美人二首

間選(生卒年末詳〔約932年前後在世〕)は、後蜀の詞人。字、裡、出身地も未詳。生涯、平民で過ごしたので、人々は閣処士と呼んだ(処士とは無官の意)。『花間集』 には八首の詞が収められている。

 

 

虞美人二首其一

(寵愛を受ける期間というのは、わずかの間でしかない、その後は、その時の思い出で生きていくしかないと詠う)その一

粉融紅膩蓮房綻,臉動雙波慢。

二人がずっと愛し合って、白粉が崩れ始め、頬を赤くして顔にはあぶら汗でテカっている、蓮の花の花弁ははじめてほころびうけいれる。顏は動き、二つの体は波のようにゆっくりと動く。

小魚銜玉鬢釵橫,石榴裙染象紗輕,轉娉婷。

宮女は小魚の玉を口に含み、そして簪を髪につけて横たわっている、スカートが石榴の柄にそまって、薄絹が軽やかに、愛そのものに形作られている、ひたすら、宮女の姿や振舞いが優雅で美しい。

期錦浪荷深處,一夢雲兼雨。

一時のがれの約束事ではあるが、錦の波が続き、蓮は奥深い所に咲いたのだ、それは、一つの夢であった、それは《高唐賦》の「朝雲暮雨」のようであった。

臂留檀印齒痕香,深秋不寐漏初長,盡思量。

あの方の腕の中の温もりが残り、閨の寝牀にはお香の香りが残る、そして、キスマークにも香りが残るけれども、もう秋も深まるというのに、寵愛もなく、眠りにつけず、夜明けまえの漏刻を聞くながい夜を過ごしている。これからはなにごとも慮って生きていく。

(虞美人二首其の一)

粉融 紅膩 蓮房の綻,臉動き 雙の波慢す。

小魚玉を銜み 鬢釵橫わる,石榴 裙染 象 紗輕す,轉た娉婷【へいてい】。

期 錦浪 荷 深き處,一たびの夢 雲と雨とを兼ぬ。

臂留 檀印 齒痕の香,深秋 不寐し 漏 初めて長し,盡く思量す。

虞美人二首其二

(あれほどに美しいお方でも寵愛を受ける期間というのは、わずかの間でしかない、その後は、その時の思い出で生きていくしかないと詠う)その二

楚腰蠐領團香玉,鬢疊深深綠。

楚の国で美しい細腰の宮女はスクモ蟲のようにしろくてながく、ほっそりしている首筋で、薫り高く宝玉のような輝きを集めたようだ。髪型は高く重ねられ、緑の黒髪は深く深く黒い。

月蛾星眼笑微嚬,柳妖桃豔不勝春,晚粧勻。

月に棲む嫦娥の美しさはほしのかがやきをもつひとみで、ほんの少し微笑むだけで美しい、柳の枝のようにしなやかで、桃のみのように妖艶で春けしと雖もこの美しさに勝てるはずもない。晩になると夜の化粧を施せばここまで述べたすべての美しさに等しくなる。

水紋簟映青紗帳,霧罩秋波上。

それが秋になっても水紋模様の天の敷物はそのまま寝牀に牽かれたままであり、春に垂らされたうす絹のとばりもそのままで、霧が大地にかぶさるように秋の気配にここのすべてはおおい尽くされてしまう。

一枝嬌臥醉芙蓉,良宵不得與君同,恨忡忡。

あの柳の一枝の艶めかしさが横になり、芙蓉の花は酒に酔い潰れ、こんなに素敵な夜が訪れてもあのおかたとはもういっしょでいることはない、憂い悲しむ生活を恨むことしかないのだ。

 

(虞美人二首其の二)

楚腰 蠐領【せいりょう】香玉を團【まと】め,鬢疊 深深として綠なり。

月蛾 星眼 笑微 嚬【ひそ】め,柳妖 桃豔 春も勝らず,晚粧 勻し。

水紋の簟映し 青紗の帳,霧罩 秋波上【くわわ】る。

一枝 嬌臥し 芙蓉を醉わす,良宵 君と與に同じゅうするを得ず,忡忡を恨む。

 

雲髻001
 

『虞美人二首其二』 現代語訳と訳註

(本文)

虞美人二首其二

楚腰蠐領團香玉,鬢疊深深綠。

月蛾星眼笑微嚬,柳妖桃豔不勝春,晚粧勻。

水紋簟映青紗帳,霧罩秋波上。

一枝嬌臥醉芙蓉,良宵不得與君同,恨忡忡。

 

(下し文)

(虞美人二首其の二)

楚腰 蠐領【せいりょう】香玉を團【まと】め,鬢疊 深深として綠なり。

月蛾 星眼 笑微 嚬【ひそ】め,柳妖 桃豔 春も勝らず,晚粧 勻し。

水紋の簟映し 青紗の帳,霧罩 秋波上【くわわ】る。

一枝 嬌臥し 芙蓉を醉わす,良宵 君と與に同じゅうするを得ず,忡忡を恨む。

 

(現代語訳)

(あれほどに美しいお方でも寵愛を受ける期間というのは、わずかの間でしかない、その後は、その時の思い出で生きていくしかないと詠う)その二

楚の国で美しい細腰の宮女はスクモ蟲のようにしろくてながく、ほっそりしている首筋で、薫り高く宝玉のような輝きを集めたようだ。髪型は高く重ねられ、緑の黒髪は深く深く黒い。

月に棲む嫦娥の美しさはほしのかがやきをもつひとみで、ほんの少し微笑むだけで美しい、柳の枝のようにしなやかで、桃のみのように妖艶で春けしと雖もこの美しさに勝てるはずもない。晩になると夜の化粧を施せばここまで述べたすべての美しさに等しくなる。

それが秋になっても水紋模様の天の敷物はそのまま寝牀に牽かれたままであり、春に垂らされたうす絹のとばりもそのままで、霧が大地にかぶさるように秋の気配にここのすべてはおおい尽くされてしまう。

あの柳の一枝の艶めかしさが横になり、芙蓉の花は酒に酔い潰れ、こんなに素敵な夜が訪れてもあのおかたとはもういっしょでいることはない、憂い悲しむ生活を恨むことしかないのだ。

 

pla027
 

(訳注)

虞美人二首其二

唐の教坊の曲名。『花間集』には十四首所収。閻選の詩は二首収められている。双調五十八字、前後段五句二十九字二仄韻三平韻で、❼❺⑦⑦③/❼❺⑦⑦③の詞形をとる。

楚腰蠐領團香玉 鬢疊深深
月蛾星眼笑微 柳妖桃豔不勝 晚粧

水紋簟映青紗 霧罩秋波

 一枝嬌臥醉芙 良宵不得與君  恨忡

●○○●○○●  ●●△△●

●△○●●○○  ●○○●△△○ ●?○

●○●●○○● △●○○●

●○△●●○○ ○○△●△○○  ●○○

 

楚腰 蠐領 團香玉,鬢疊 深深綠。

楚の国で美しい細腰の宮女はスクモ蟲のようにしろくてながく、ほっそりしている首筋で、薫り高く宝玉のような輝きを集めたようだ。髪型は高く重ねられ、緑の黒髪は深く深く黒い。

楚腰 楚の細腰

蠐領 首はすく蟲のよう。木の中に巣食うスクモ蟲のようにしろくてながく、ほっそりしている首筋。《詩経衛風碩人》「手如柔荑,膚如凝脂,領如蝤蠐,齒如瓠犀,螓首蛾眉。」(領は蝤蠐【しゅうせい】の如し)手は初めて伸びた柔らかい荑のようで、しなやかである。肌は凝り固まった脂肪のように白くてこってりと引き締まって清く、首筋のしなやかであるのは、木の中に巣食うスクモ蟲のようにしろくてながく、ほっそりしている。

蠐螬  地中にいる昆虫。コガネムシ類の幼虫を主にいう。地虫(じむし)。せいそう。《季 秋》

團 1 まるい。まるくまとまる。「団扇(だんせん)・団団・団欒(だんらん)/大団円」2 ひとかたまりに集まったもの。「団塊・団結・団地/一団・星団・船団・寒気団・原子団」3 同類の人の集まり。人が集まってつくる組織。「団員・団体・団長/楽団・球団・教団・結団・公団・集団・退団・入団・兵団」4 「団体」の略。「団交/経団連」〈トン〉まるい。まるいもの。「団栗(どんぐり)/金団・水団・炭団(たどん)・蒲団(ふとん)」[名のり]あつ・まどか・まる

 

月蛾 星眼 笑微嚬,柳妖 桃豔 不勝春,晚粧勻。

月に棲む嫦娥の美しさはほしのかがやきをもつひとみで、ほんの少し微笑むだけで美しい、柳の枝のようにしなやかで、桃のみのように妖艶で春けしと雖もこの美しさに勝てるはずもない。晩になると夜の化粧を施せばここまで述べたすべての美しさに等しくなる。

月蛾 月に上った嫦娥のように美しい。嫦娥(じょうが、こうが)は、中国神話に登場する人物。后羿の妻。姮娥とも表記する。『淮南子』覧冥訓によれば、もとは仙女だったが地上に下りた際に不死でなくなったため、夫の后羿が西王母からもらい受けた不死の薬を盗んで飲み、月に逃げ、蝦蟇になったと伝えられる。別の話では、后羿が離れ離れになった嫦娥をより近くで見るために月に向かって供え物をしたのが、月見の由来だとも伝えている。道教では、嫦娥を月神とみなし、「太陰星君」さらに「月宮黄華素曜元精聖後太陰元君」「月宮太陰皇君孝道明王」と呼び、中秋節に祀っている。「嫦」は「姮」の異体字で同じ意味である。前漢の文帝の名が「恒」であるため、字形のよく似た「姮」を避諱して「嫦」を用いるようになった。日本では百姓読みにより旁の「常」から「じょう」と読まれるようになったが、本来の読み通りに「こう」と読む場合もある。

笑微 麗しの傾国の美女の微笑。美しすぎるとその美しさに一人だけ寵愛すると天下の平穏が乱され、国を傾けることになる。唐の宣宗の事例がある。穏健な抑制政策を採用するなどの社会の安定を図ったので聖帝とされたが、献上された美女を数日寵愛し、その後後宮から追放しても朕の思いが残るだけと「沈毒盃」により葬った。

 読み:イン訓読み:すくない、 ひとしい。

 

水紋 簟映 青紗帳,霧罩 秋波上。

それが秋になっても水紋模様の天の敷物はそのまま寝牀に牽かれたままであり、春に垂らされたうす絹のとばりもそのままで、霧が大地にかぶさるように秋の気配にここのすべてはおおい尽くされてしまう。

水紋簟 晩春から初秋まで寝牀のシーツとして敷かれる高価なもの。

青紗帳 春に垂らされたうす絹のとばり、夏を過ぎると、白絹に替えられるものである。

霧罩 霧が大地にかぶさる

<!--[if !supportLists]-->   <!--[endif]-->この二句は、宮女への寵愛は亡くなってしまった様子をいう。水紋簟・青紗帳・霧罩・秋波、一人の寂しさ、侘しさをいう語である。

 

一枝 嬌臥 醉芙蓉,良宵 不得與君同,恨忡忡。

あの柳の一枝の艶めかしさが横になり、芙蓉の花は酒に酔い潰れ、こんなに素敵な夜が訪れてもあのおかたとはもういっしょでいることはない、憂い悲しむ生活を恨むことしかないのだ。

忡忡 憂い悲しむさま。気が気でないさま.

17-463《虞美人二首,其一》巻九 閻選Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-646-17-(463) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4777

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花間集 教坊曲『虞美人』十四首

 

 

作者



初句7字

 

 

(毛司徒文錫)

巻五

虞美人二首 其一

鴛鴦對浴銀塘暖,

 

 

 

巻五

虞美人二首 其二

寶檀金縷鴛鴦枕,

 

 

顧太尉

巻六

虞美人六首 其一

曉鶯啼破相思夢,

 

 

 

巻六

虞美人六首 其二

觸簾風送景陽鐘,

 

 

 

巻六

虞美人六首 其三

翠屏閑掩垂珠箔,

 

 

 

巻六

 虞美人六首 其四

碧梧桐映紗晚,

 

 

 

巻六

虞美人六首 其五

深閨春色勞思想,

 

 

 

巻六

虞美人六首 其六

少年豔質勝瓊英,

 

 

孫少監光憲

巻八

虞美人二首(虞每人二首)其一

寂寂無人語

 

 

 

巻八

虞美人二首(虞每人二首)其二

好風微揭簾旌起,

 

 

鹿太保虔扆

巻九

虞美人一首

卷荷香澹浮煙渚

 

 

閻處士選

巻九

虞美人二首其一

粉融紅膩蓮房綻,

 

 

 

巻九

虞美人二首其二

楚腰蠐領團香玉,

 

 

李秀才珣

巻十

虞美人一首

金籠鶯報天將曙

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閻處士選 虞美人二首

間選(生卒年末詳〔約932年前後在世〕)は、後蜀の詞人。字、裡、出身地も未詳。生涯、平民で過ごしたので、人々は閣処士と呼んだ(処士とは無官の意)。『花間集』 には八首の詞が収められている。


ID 作品名 作者
■ 閻處士選(閻選【えんせん】)八首
  1 九巻 虞美人二首,其一 閻選  
  2 九巻 虞美人二首,其二 閻選  
  3 九巻 臨江仙二首,其一 閻選  
  4 九巻 臨江仙二首,其二 閻選  
  5 九巻 浣溪紗一首, 閻選  
  6 九巻 八拍蠻二首,其一 閻選  
  7 九巻 八拍蠻二首,其二 閻選


虞美人二首其一

(寵愛を受ける期間というのは、わずかの間でしかない、その後は、その時の思い出で生きていくしかないと詠う)

粉融紅膩蓮房綻,臉動雙波慢。

二人がずっと愛し合って、白粉が崩れ始め、頬を赤くして顔にはあぶら汗でテカっている、蓮の花の花弁ははじめてほころびうけいれる。顏は動き、二つの体は波のようにゆっくりと動く。

小魚銜玉鬢釵橫,石榴裙染象紗輕,轉娉婷。

宮女は小魚の玉を口に含み、そして簪を髪につけて横たわっている、スカートが石榴の柄にそまって、薄絹が軽やかに、愛そのものに形作られている、ひたすら、宮女の姿や振舞いが優雅で美しい。

期錦浪荷深處,一夢雲兼雨。

一時のがれの約束事ではあるが、錦の波が続き、蓮は奥深い所に咲いたのだ、それは、一つの夢であった、それは《高唐賦》の「朝雲暮雨」のようであった。

臂留檀印齒痕香,深秋不寐漏初長,盡思量。

あの方の腕の中の温もりが残り、閨の寝牀にはお香の香りが残る、そして、キスマークにも香りが残るけれども、もう秋も深まるというのに、寵愛もなく、眠りにつけず、夜明けまえの漏刻を聞くながい夜を過ごしている。これからはなにごとも慮って生きていく。

(虞美人二首其の一)

粉融 紅膩 蓮房の綻,臉動き 雙の波慢す。

小魚玉を銜み 鬢釵橫わる,石榴 裙染 象 紗輕す,轉た娉婷【へいてい】。

期 錦浪 荷 深き處,一たびの夢 雲と雨とを兼ぬ。

臂留 檀印 齒痕の香,深秋 不寐し 漏 初めて長し,盡く思量す。 

虞美人二首其二

楚腰蠐領團香玉,鬢疊深深綠。

月蛾星眼笑微嚬,柳妖桃豔不勝春,晚粧勻。

水紋簟映青紗帳,霧罩秋波上。

一枝嬌臥醉芙蓉,良宵不得與君同,恨忡忡。

蓮00
 

 

『虞美人二首其一』 現代語訳と訳註

(本文)

虞美人二首其一

粉融紅膩蓮房綻,臉動雙波慢。

小魚銜玉鬢釵橫,石榴裙染象紗輕,轉娉婷。

期錦浪荷深處,一夢雲兼雨。

臂留檀印齒痕香,深秋不寐漏初長,盡思量。

 

(下し文)

(虞美人二首其の一)

粉融 紅膩 蓮房の綻,臉動き 雙の波慢す。

小魚玉を銜み 鬢釵橫わる,石榴 裙染 象 紗輕す,轉た娉婷【へいてい】。

期 錦浪 荷 深き處,一たびの夢 雲と雨とを兼ぬ。

臂留 檀印 齒痕の香,深秋 不寐し 漏 初めて長し,盡く思量す。

 

(現代語訳)

(寵愛を受ける期間というのは、わずかの間でしかない、その後は、その時の思い出で生きていくしかないと詠う)

二人がずっと愛し合って、白粉が崩れ始め、頬を赤くして顔にはあぶら汗でテカっている、蓮の花の花弁ははじめてほころびうけいれる。顏は動き、二つの体は波のようにゆっくりと動く。

宮女は小魚の玉を口に含み、そして簪を髪につけて横たわっている、スカートが石榴の柄にそまって、薄絹が軽やかに、愛そのものに形作られている、ひたすら、宮女の姿や振舞いが優雅で美しい。

一時のがれの約束事ではあるが、錦の波が続き、蓮は奥深い所に咲いたのだ、それは、一つの夢であった、それは《高唐賦》の「朝雲暮雨」のようであった。

あの方の腕の中の温もりが残り、閨の寝牀にはお香の香りが残る、そして、キスマークにも香りが残るけれども、もう秋も深まるというのに、寵愛もなく、眠りにつけず、夜明けまえの漏刻を聞くながい夜を過ごしている。これからはなにごとも慮って生きていく。

 花鈿02

(訳注)

虞美人二首其一

(寵愛を受ける期間というのは、わずかの間でしかない、その後は、その時の思い出で生きていくしかないと詠う)

唐の教坊の曲名。『花間集』には十四首所収。閻選の詩は二首収められている。双調五十八字、前後段五句二十九字三平韻で、75⑦⑦③/75⑦⑦③の詞形をとる。

粉融紅膩蓮房  臉動雙波
小魚銜玉鬢釵  石榴裙染象紗 轉娉

期錦浪荷深處 一夢雲兼雨 

臂留檀印齒痕香 深秋不寐漏初  盡思

●○○●△○●  △●○○●

●○○●●○△  ●○○●●○△ ●●○

○○●△△△● ●△○△●

●△○●●○○ △○△●●○△  ●△△

 

粉融紅膩蓮房綻,臉動雙波慢。

二人がずっと愛し合って、白粉が崩れ始め、頬を赤くして顔にはあぶら汗でテカっている、蓮の花の花弁ははじめてほころびうけいれる。顏は動き、二つの体は波のようにゆっくりと動く。

粉融 おしろいがとけてくずれる。

蓮房綻 蓮の花の花弁はほころびる、縫い目がほどける。破れる。

紅膩 頬を赤くし顔が油出て驅。

蓮房綻 宮女の閨に鍵をかける。

臉動 顔が動く。

雙波慢 二つの波がゆっくりと動く。慢【まん】[常用漢字][音]マン(呉)1 心がゆるんで締まりがない。「怠慢」2 速度や進行がだらだらと遅い。「慢性/緩慢」3 他をみくびっておごる。

 

小魚銜玉鬢釵橫,石榴裙染象紗輕,轉娉婷。

宮女は小魚の玉を口に含み、そして簪を髪につけて横たわっている、スカートが石榴の柄にそまって、薄絹が軽やかに、愛そのものに形作られている、ひたすら、宮女の姿や振舞いが優雅で美しい。

小魚 この句は情事の性描写で訳しにくいこと。

鬢釵橫 簪を髪につけて横たわっている

石榴 赤身ザクロのほかに、白い水晶ザクロや果肉が黒いザクロなどがあり、アメリカ合衆国ではワンダフル、ルビーレッドなど、中国では水晶石榴、剛石榴、大紅石榴などの品種が多く栽培されている。

轉娉婷 【へいてい】.ひたすら、婦人の姿や振舞いが優雅な,美しい.

 

期錦浪荷深處,一夢雲兼雨。

一時のがれの約束事ではあるが、錦の波が続き、蓮は奥深い所に咲いたのだ、それは、一つの夢であった、それは《高唐賦》の「朝雲暮雨」のようであった。

期 なおざりの時期。一時のがれを約束する。

夢雲兼雨 雲霧は情交、

 

臂留檀印齒痕香,深秋不寐漏初長,盡思量。

あの方の腕の中の温もりが残り、閨の寝牀にはお香の香りが残る、そして、キスマークにも香りが残るけれども、もう秋も深まるというのに、寵愛もなく、眠りにつけず、夜明けまえの漏刻を聞くながい夜を過ごしている。これからはなにごとも慮って生きていく。

臂留 あの方の腕の中の温もりが残る。

檀印 閨の寝牀にはお香の香りが残る。檀:寝牀。檀香。 前蜀休《桐江居》之三:「静室焚檀印,深炉烧铁瓶。...

齒痕香 キスマークにも香りが残る。
雲髻001
 

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もう、この生活には耐えられず、いっそ病気になってしまいたいと思う、花鈿が薄れて消えかけているし、お化粧の頬には縦横に涙の痕がついている、何百人の入る宮女の中で女の思いが勝ることはなく、このまま年老いてゆく。

 

 
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それでも、いましがた、新しい夢に愛しい阮郎が出てきて、一緒に過ごす夢を見たところなのだ、だから、この夢で、情事ができるというなら、どうして千々に腸断しているということではないのではないのか。

 
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16-461《思越人一首,》九巻 鹿虔扆Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-644-16-(461)  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4767

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花間集 教坊曲『思越人』四首

 

 

張舍人泌

巻四

思越人一首

鷰雙飛,鶯百囀,

 

 

孫少監光憲

巻八

思越人二首其一

古臺平,芳艸遠

 

 

巻八

思越人二首其一

渚蓮枯,宮樹老,

 

 

鹿太保虔扆

巻九

思越人一首

翠屏欹,銀燭背,

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ID


作品名

作者

 

 

■ 鹿太保虔(鹿虔【ろくけんい】)六

 

 

 

1

九巻

臨江仙二首,其一

鹿虔扆

 

 

2

九巻

臨江仙二首,其二

鹿虔扆

 

 

3

九巻

女冠子二首,其一

鹿虔扆

 

 

4

九巻

女冠子二首,其二

鹿虔扆

 

 

5

九巻

思越人一首,

鹿虔扆

 

 

6

九巻

虞美人一首,

鹿虔扆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鹿虔扆(生卒年未詳、およそ938年前後に在世)は、後蜀の詞人。呼び名や原籍も不詳。広政年間(938965)に、永泰軍節度使となり、検校大尉に昇進、太保の官を加えられた。そのため鹿太保と呼ばれた。

欧陽烱、毛文錫、韓琮、閻選らとともに詞に巧みで、後主の孟昶に奉仕した。これを嫌った人々は、この五人を五鬼と呼んだ。後蜀滅亡後は仕えることはなかった。『花間集』には六首の詞が収められている。

 

 

思越人

(呉越に行ったきりの阮郎を思ってもだえる女妓を詠う)

翠屏欹,銀燭背,漏殘清夜迢迢。

高貴な方からの贈り物の翡翠の屏風は使うこともなく壁に斜めに立てている、銀の灯火は背にして、遠くに置いたまま、寝付けず、漏刻の音はすべて聞いた、何にもしない清らかな長き夜も尽きかける。

雙帶繡窠盤錦薦,淚浸花暗香銷。

錦の敷物にドグロを巻いたように置かれた刺繍帯の二本もどれも使うことない、悶々とした夜は、涙が花模様を濡らして薫きしめすお香のほのかな香りも消えて久しい。

珊瑚枕膩鴉鬟亂,玉纖慵整雲散。

妓女の珊瑚の枕の方には油脂に光り、鴉黒髪も乱れたままだし、するとしても、白玉のようなか細い指で物憂く整えているくらいだ。

若是適來新夢見,離腸爭不千斷。

それでも、いましがた、新しい夢に愛しい阮郎が出てきて、一緒に過ごす夢を見たところなのだ、だから、この夢で、情事ができるというなら、どうして千々に腸断しているということではないのではないのか。

 

(越人を思う)

翠屏 欹せ,銀燭 背にし,漏殘り 清夜 迢迢たり。

雙帶 繡窠にして 錦薦を盤にす,淚 花を浸し 暗く香銷ゆ。

珊瑚の枕は膩り 鴉鬟も亂れ,玉纖 雲散を慵く整う。

若し是に 適來すれば 新夢 見ることなり,離腸 爭【いか】で 千斷せざらん。

 

 杏の花0055

『思越人』 現代語訳と訳註

(本文)

思越人

翠屏欹,銀燭背,漏殘清夜迢迢。

雙帶繡窠盤錦薦,淚浸花暗香銷。

珊瑚枕膩鴉鬟亂,玉纖慵整雲散。

若是適來新夢見,離腸爭不千斷。

 

(下し文)

(越人を思う)

翠屏 欹せ,銀燭 背にし,漏殘り 清夜 迢迢たり。

雙帶 繡窠にして 錦薦を盤にす,淚 花を浸し 暗く香銷ゆ。

珊瑚の枕は膩り 鴉鬟も亂れ,玉纖 雲散を慵く整う。

若し是に 適來すれば 新夢 見ることなり,離腸 爭【いか】で 千斷せざらん。

 

(現代語訳)

(呉越に行ったきりの阮郎を思ってもだえる女妓を詠う)

高貴な方からの贈り物の翡翠の屏風は使うこともなく壁に斜めに立てている、銀の灯火は背にして、遠くに置いたまま、寝付けず、漏刻の音はすべて聞いた、何にもしない清らかな長き夜も尽きかける。

錦の敷物にドグロを巻いたように置かれた刺繍帯の二本もどれも使うことない、悶々とした夜は、涙が花模様を濡らして薫きしめすお香のほのかな香りも消えて久しい。

妓女の珊瑚の枕の方には油脂に光り、鴉黒髪も乱れたままだし、するとしても、白玉のようなか細い指で物憂く整えているくらいだ。

それでも、いましがた、新しい夢に愛しい阮郎が出てきて、一緒に過ごす夢を見たところなのだ、だから、この夢で、情事ができるというなら、どうして千々に腸断しているということではないのではないのか。

春爛漫の美女007
 

(訳注)

思越人

(呉越に行ったきりの阮郎を思ってもだえる女妓を詠う)

【解説】詩題の意味は江南に去って行った阮郎を恨むということである。李白の《巴女詞》と同じように、蜀の女妓について詠ったものである。鹿虔扆の役職からすれば、官妓についてのものである。蜀には、成都の西側とには、南津の渡し場には、民妓が、南から東側に官妓がいた。表向きには漢魏が圧倒していた。其処にいる女たちの歌である。もっとも花間集における「恨む」は男目線のものである。当時の倫理観には、棄てられた女が男を恨むということはなく、民から近代にかけての儒教思想による倫理観に変化したことで、詩の解釈も儒教的解釈が当たり前となったことで、男目線の「恨む」という解釈に変わったのである。この事については花間集の訳註解説として別の機会に発表する予定である。 女性の孤閏の侘しさを詠う。前段は、独り寝の夜の閏の様子を通じて、女の侘しさを述べ、後段は、前半の二句で、枕を覆う乱れた髪と、それを物憂く整えるさまを、後半の二句で、男との出会いの夢から覚めた後の悲痛な思いを語る。

『花間集』には鹿慶辰の作が二首収められている。双調五十一字、前段二十五字五句二平韻、後段二十六字四句四仄韻で、33⑥7⑥/❼❻❼❻の詞形をとる。

翠屏欹 銀燭背  漏殘清夜迢
雙帶繡窠盤錦薦  淚浸花暗香
珊瑚枕膩鴉鬟  玉纖慵整雲
若是適來新夢  離腸爭不千

●△○ ○●●  ●○○●○○

○●●○○●●  ●△○●○○

○○△●○○●  ●○○●○●

△●●△○△●  △○○△○●

 

翠屏欹,銀燭背,漏殘清夜迢迢。

高貴な方からの贈り物の翡翠の屏風は使うこともなく壁に斜めに立てている、銀の灯火は背にして、遠くに置いたまま、寝付けず、漏刻の音はすべて聞いた、何にもしない清らかな長き夜も尽きかける。

○銀燭背 灯火に背を向ける。銀燭は明るく燃える灯燭。一人で居て悶々としていることを強調する語。

○漏殘清夜迢迢 長い夜が明けそぅになることを言う。漏は水時計。ここでは時間の意。残は損なわれる、さびれる。迢迢は遙かなさま。

 

雙帶繡窠盤錦薦,淚浸花暗香銷。

錦の敷物にドグロを巻いたように置かれた刺繍帯の二本もどれも使うことない、悶々とした夜は、涙が花模様を濡らして薫きしめすお香のほのかな香りも消えて久しい。

○双帯繍窠盤錦薦 刺繍のある帯の両端が錦の敷物の上に垂れ、蛇がとぐろを巻いたように円くなっていることを言う。葉は刺繍模様。薦ほ敷物。

○涙侵花暗香銷 敷物の上に置かれた帯の模様の上に涙がこぼれ落ちて薫きしめた香の香りも消えた、ということ。花は帯の刺繍模様。暗香は徴かな香り。

 

珊瑚枕膩鴉鬟亂,玉纖慵整雲散。

妓女の珊瑚の枕の方には油脂に光り、鴉黒髪も乱れたままだし、するとしても、白玉のようなか細い指で物憂く整えているくらいだ。

○珊瑚枕膩 珊瑚の飾りの付いた枕が髪油、皮脂の染みで光っていること。一人寝をひたすらしているということ。この時代の女性は自らの意思で外に出ることはできない。

○鴉鬟 結い上げた黒髪の髷。鴉はいわゆる「烏の濡羽色」。

○雲散 髪の乱れを言う。雲は女性の大きく膨らませた豊かな髪を形容する言葉、で、鬢を蝉の羽のように梳いた髪型を両雲鬢。この髪型が乱れたままというのは見せる人がいないこと。寝崩れしても気にしないことをいう。

 

若是適來新夢見,離腸爭不千斷。

それでも、いましがた、新しい夢に愛しい阮郎が出てきて、一緒に過ごす夢を見たところなのだ、だから、この夢で、情事ができるというなら、どうして千々に腸断しているということではないのではないのか。

○適来 今しがた。

○若是適來新夢見 もし、いまここで、夢で情交できるというのなら、という意味。

 

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唐宋時代の貞操観、倫理観

唐代の女性は一般に早婚であり、大半が十五歳前後で嫁に行った。早い人は十三、四歳であり、遅い人は十七、八歳であった。これくらいが正常な結婚年齢であった。「媒無ければ選ぶを得ず、年は忽三六(十八歳)を過ぐ」(自居易「続古詩」)。女子は十八歳を過ぎれば婚期を逸したと思われていたようである。唐初より以来、人口増殖のために、国家は結婚適齢期に遅れないように結婚せよとずっと強調してきた。貞観年間には十五歳以上の女子に対して、開元年間には十三歳以上の女子に対して、婚期に遅れないように結婚すべしと命じた(『唐会要』巻三八「嫁要」

当然花街における妓女も15歳から23・4までがピークである。性的成長と婚姻が驚くほど低年齢であった。結婚感は、前世から定められているもので、本人の気持ちで決まるものではない。その一方で貞操感が全くないので、父母、媒酌人、天意できめられた。

唐代の結婚について、もう一つ注目すべき現象がある。それは男が女の家に行って婚礼をあげるケースがひじょうに多いということである。これについては、敦燈で発見された唐代の書儀(諸種の公文・書簡等の書式)の写本が確かな証拠を提供してくれる。それに「最近の人の多くは妻を自分の家に迎えない。つまり妻の実家で結婚式をあげ、何年たっても夫の実家に行かない。自分の実家でそのまま子供を出産することが、一度や二度にとどまらない者もいる。道が遠くて日返りで舅姑に挨拶に行けないからでもない。……婦人は婚礼が終っても夫の一族を全く知らないのである」という。

この文書からみると、夫は妻の実家で結婚式をあげ、また妻は何年も夫の家に行かないのみならず、甚だしい場合には、何人か子どもを生んだ後でも妻は夫の実家の人々と知りあうことがないのである(以上の観点と材料は超和平先生より提供いただいた。併せて周一良先生の「敦煙写本書儀の中に見る

 

唐代の人々は貞操観念が稀薄だったので、離婚、再婚はきわめて一般的な風潮となり、古代社会史上注目すべき現象となった。ところで離婚は、もちろん男女双方に平等というわけではなかった。

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唐代の法律は、まず男が女を離婚して家から出す権利を保証している。唐律は、妻が次の「七出」を犯せば、夫は離婚してもよいと規定している。「七出」とは古い時代からの礼法により、Ⅲ男児を生まない、榔淫乱である、㈲舅姑によく仕えない、㈲他人の悪口を言いふらす、㈲盗みを行う、㈱嫉妬心が強い、仰悪い病気にかかる、以上の七項目とされている。しかし、「七出」に該当するものでも、追い出せない三つの条件があった。それは、Ⅲ舅姑の葬式を主催した者、榔嫁に来た時は下品であったが後に立派な女性になった者、㈱離婚されても行くところのない者、以上の三つの場合は妻を離縁すべきでないとした(『唐律疏議』巻一四)。こうした一定の制限があったにせよ、妻を離縁することはやはりきわめで簡単であった。離婚の理由はたいへん多く、たとえば、厳澄夫の妻慎氏は十余年たっても子供が出来なかったので離縁された(『雲渓友議』巻一)、李過秀の母は微賎の生れであったが、嫁が家の奴婦を叱る声を聴き不愉快になった。息子の過秀はそれを知るとすぐ妻を離縁した(『雲渓友議』巻一、『旧唐書』李大亮伝附李過秀伝)。自居易の判決文にも、妻を離縁することを許した例が少なからずある。たとえば、父母が嫁を女性たちの乱行や道徳に反した現象が、じつは少なくなかった。敦煌変文の 「齢酎書」 の中に、次のような女性たちの情況が記されている。

 

彼女たちは「児を欺り婿を踏みつけにし、大声で罵り、舅や姑が話してもまったく耳を貸さず、台所に入って怒り出したら、粥も汁もひっくり返し、鉢や髄をたたき、釜や鍋を打ち、怒ると水牛の飼葉桶のように大きくふくれ、笑うと轍櫨が廻るようにうるさい」、「村で自由気ままにやってきたのに慣れて、礼儀を学ばず、女仕事も好まない」(『敦塩変文集』巻七)等々。ある唐代の民歌に、「家がだんだん貧しくなるが、これは全くものぐさな妻のせい、酒を飲めば夫も顔負け、衣服を縫ったりほどくこともできない。よい衣裳を着てはすぐ外出し、男の同伴を求めないが、心の中ではいつも男を欲しがっている。東の家ではデマを飛ばし、西の家では相槌を打ち、……」(『唐代民歌考釈及変文考論』)などとある。これらは行儀の悪い婦人を皮肉ったものである。封建道徳の模範となった少数の女性の他に、唐代の女性、とりわけ下層の働く女性の中には、女道徳を守らず、甚だしくは「風を傷つけ俗を敗る」現象さえあったことを、これらの描写は反映している。

 

このような倫理道徳に惇る状況は、夫婦の間の関係と家庭における女性の地位の上に、より集中的に反映していた。礼教の「三綱」(君臣、夫婦、父子の三つの綱)の一つが、夫は妻の綱というものであり、女性の「三従」 の一つが妻は夫に従うぺしというものであった。しかしながら、唐代の少なからざる家庭の中には、逆に「婦は強く夫は弱し、内(妻)は剛く外(夫)は柔なり」(『朝野愈載』巻四)という情況があり、妻が家の主人、夫はただの操り人形でしかない家も多かった。

 

こうした現象は、決して唐代だけに存在したわけではなく、南北朝時代の北朝以来の遺風を受け継ぐものであった。北斉(五五〇1五七七)の顔之推が書いた『顔氏家訓』 の中に、「鄴(北朝の都、現在の河北省臨港県)下の風俗では、もっぱら家は女で維持されている。彼女らは訴訟をおこして是非を争ったり、頼みごとに行ったり、人を接待したりするので、彼女らの乗る車で街路はふさがれ、彼女らの着飾った姿は役所に溢れている。息子に代って官職を求め、夫のために無罪を訴えているのである。これは恒、代(鮮卑族の建てた北魂王朝が最初に都を置いた現在の大同一帯の古地名)の遺風であろうか」とある。北朝の伝統と、封建道徳の不振とが、この 「夫は柔で妻が剛、夫が妻に従う」という現象を日常化したのである。とりわけ唐代の初期は、上は皇帝から下は貴族、士大夫に至るまで、「内(妻)を倶れる」 ことが風習になっていた。しかも、君臣、上下、誰もが妻の恐ろしさを公然と口にして恥とも思わなかったのである。万乗の君ともなった中宗も恐妻家として有名であったから、宮中の伶人(宮中の楽人)が中宗に面と向って「振り返って見ますと、皇帝様は柳の枝で編んだ寵のよう(ぶくぶく肥っているが骨がなく柔かい)、御婦人を恐れることは結構じゃ。宮廷外では蓑談が恐妻家として第一番、宮廷内では李老(中宗)に勝る者はおりません」(『本事詩』嘲戯)などと戯れ歌を唱ったところ、その場ですぐ中宗の妻の葦后から褒美を賜った。また、粛宗は張皇后を大いに恐れていたので、ある詩人は「張后 楽しまざれば 上(皇帝) 忙と為す(心が落ちつかない)」(杜甫「憶昔」)と誘った。

 

士大夫の恐妻家としては、太宗の時代の任壊、中宗の時代の襲談などが有名であった。裳談などは「かかあ天下」 であることを正統化する一式の理屈さえ持っていて、「妻を恐れる理由は三つある。一つは、若くて美しい時に彼女を見れば生菩薩のように見える。どうして生菩薩を畏れない人があろうか。息子や娘が成人する前に彼女を見れば九子魔母(インド渡来の女神で、鬼子母神と同じ)のようである。どうして九子魔母を畏れない人があろうか。五十、六十になって、薄化粧を施し顔が黒くなった彼女を見れば鳩盤茶(インド渡来の神で、人の精気と血を吸う魔神)のようである。どうして鳩盤茶を

畏れない人があろうか」(『本草詩』嘲戯)と言った。高宗はかつて朝臣の楊弘武にどうして某人に官職を与えたのかと問うた。すると場はこともあろうに「臣の妻の毒氏は強くで猛々しい女でございます。昨日この妻が私に頼んだからなのでして、もし従わなければおそらくひどい目に遭うのでございます」と答えた(『太平広記』巻二七二)。次の唐末の宰相王鐸の話はもっと滑稽である。彼は姫妾を連れて黄巣の進撃を防ぎに出陣した。妻は嫉妬して後を追い、とつぜん彼のところに妻が都を離れてこちらに向っているという知らせがとどいた。彼は幕僚たちに「黄巣は南から、妻は北から向って来る。どう対処すればいいだろう」と聞いた。幕僚たちは冗談に「黄巣に降伏する方がマシで

す」と言った(『太平広記』巻二五二)。

 

下級官吏や一般庶民の家にも同じ情況があった。紆州(安徽省懐寧県)の兵士李廷壁は軍内で連日宴会を開き、三日間家に帰らなかった。その妻は恨んで「帰って来たら切り殺してやる」と伝えた。李は驚き恐れて泣きくらし、寺に移り住んで家に帰ろうとしなかった(『太平広記』巻二七二)。自居易は、妻が夫を殴った事件を受理したことがある。この事件は県令がすでに彼女を三年の懲役刑に処した案件であった。

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お慕いするあのお方が来られるというので、化粧をきちんと施すとゆったりと落ち着いた顔つきになっている、お慕いする檀郎の心をおもうことの一点で語ることなどない、寝牀の準備を整えて横になって待つ。

 
 2014年9月4日の紀頌之5つのブログ 
 ●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場 
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16-460《女冠子二首,其二》九巻 鹿虔扆唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-643-16-(460)  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4762

 

 

 【女尼、女冠、女巫】 (2

 

 

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家族あるいは自分が仏教、道教を篤く信じて出家した人々である。しかし、こうした人は少数で圧倒的多数はやはり各種の境遇に迫られ、あるいは世の辛酸をなめ尽して浮世に見切りをつけ、寺院や通観に入って落ち着き先を求めた人々であった。その中には、夫の死後再婚を求めず入信して余生を送ろうとした寡婦もいる。また、家族が罪にふれて生きる道がなく、寺院や通観に入らざるをえなかった者もいる。

また妓女、姫妾が寺院や通観を最後の拠り所にすることもあった。有名な女道士魚玄機はもともとある家の侍妾であったが、正妻が容認しなかったので道観に入った(『太平広記』巻二二〇)。妓女は年をとり容色が衰えると出家するのが一般的だった。唐詩の中には「妓が出家するのを送る」 ことを題材とした作品がたいへん多い。

宮人・宮妓が通観に入る例も少なからぬ割合を占める。彼女たちは年をとり宮中を出でも頼るべき場所とてなく、大多数が寺院・通観を最後の安住の地とした。長安の政平坊にあった安国観の女道士の大半は上陽宮の宮人であった(『唐語林』巻七)。詩人たちは女尼,女冠,女巫かつて、「斎素と白髪にて宮門を酢で、羽服・星冠に道意(修行心)存す」(戴叔倫「宮人の入道するを送る」)、「君看よ白髪にて経を詞する者を、半ばは走れ宮中にて歌舞せし人なり」(慮輪「玉真公主の影殿を過ぎる」)などと詠んで嘆いた。最後になったが、他に貧民の家の大量の少女たちがいる。彼女たちはただ家が貧しく親に養う力がないという理由だけで、衣食に迫られて寺院や道観に食を求めざるを得なかった人々である。総じて言えば、出家は女性たちが他に生きる道がない状況下における、最後の出路、最後の落ち着き先になったのである。

彼女たちは女道士になっても公主としての富貴と栄誉を失わなかった。朝廷は旧来のごとく彼女たちに生活資財を支給したから、生活はかえって公主の時より自由になり、束縛を受けなくなった。また女道士の生活は尼僧のそれに比べていくらか自由であったからこそ、公主たちの大半は仏寺に入らず通観に入ったのである。

 

出家した女性の生活は、きわめで特色のあるものだった。まず第一に、彼女たちは人に頼って生きる階層であり、一般には生業に従事しなかった。国家あるいは施主から衣食がすべて供給された。

 

 

鹿虔扆 女冠子二首

鹿虔扆(生卒年未詳、およそ938年前後に在世)は、後蜀の詞人。呼び名や原籍も不詳。広政年間(938965)に、永泰軍節度使となり、検校大尉に昇進、太保の官を加えられた。そのため鹿太保と呼ばれた。

欧陽烱、毛文錫、韓琮、閻選らとともに詞に巧みで、後主の孟昶に奉仕した。これを嫌った人々は、この五人を五鬼と呼んだ。後蜀滅亡後は仕えることはなかった。『花間集』には六首の詞が収められている。
 

女冠子二首 其一

(王子喬の「笙鶴」伝説、蕭史と弄玉の伝説のように仲が良かったのに、笛を吹いても、琴を弾いても、風と合奏をするだけだ。)

碧桃紅杏,遲日媚籠光影,彩霞深。

桃の実は緑に、杏の花は紅にはえる、日が長くなり、女冠の居る辺りには光が影を成している、夕刻の霞は彩を成して色濃くなってゆく。

香暖薰鶯語,風清引鶴音。

香炉には香が焚かれ暖かな煙が立ち、外に鶯が啼き、女冠達のささやきが混じる、清々しい風が流れ、鶴に乗った仙人の笙の音色が響き渡る。

翠鬟冠玉葉,霓袖捧瑤琴。

長い黒髪を翡翠で飾った鬟に束ね冠には宝玉とはっぱに飾られている、虹色の袖で宝玉で飾った琴を両手で奉げている。

應共吹簫侶,暗相尋。

まさに琴の音に乗せて共に笙の笛を吹くあの人と一緒に吹くと響きわたる、それは暗に互いを尋ね、求め合うかのようである。

 

女冠子二首 其二

(花の盛りの様な女冠子と高貴な檀郎を迎え、もだえるのを詠う)

脩蛾慢臉,不語檀心一點,小山粧。

お慕いするあのお方が来られるというので、化粧をきちんと施すとゆったりと落ち着いた顔つきになっている、お慕いする檀郎の心をおもうことの一点で語ることなどない、寝牀の準備を整えて横になって待つ。

鬢低含綠,羅衣澹拂黃。

蝉の羽のように両鬢の髪型にして緑の飾りを低く垂らしている、寝牀用のうす絹の上衣をつけ、女黄冠を波のように揺れ払うように愛撫する。

悶來深院裏,閑步落花傍。

小楼の奥深い座敷の内ではもだえ苦しんでいるようだ、花弁が散り敷かれたところを静かに歩く。

纖手輕輕整,玉鑪香。

か細い手で着物の乱れを軽く優しく整える、また女自身から愛液の香りがしてくる。

 

(女冠子二首 其の一)

碧の桃 紅の杏,遲日 媚籠 光影あり,彩霞 深し。

香暖く 鶯語に薰る,風清 鶴音を引く。

翠鬟 冠玉葉,霓袖 瑤琴を捧ぐ。

應に共に簫侶をき,暗に相い尋ねん。

 

(女冠子二首 其の二)

蛾を脩め 臉を慢す,語らず 檀心の一點に,小山の粧。

蟬鬢 綠を含み低る,羅衣 黃を澹拂す。。

悶し來って院裏に深し,閑かに步む 落花の傍。

纖手 輕輕しく整え,玉鑪の香。

DCF00207
 

『女冠子二首 』 現代語訳と訳註

(本文)

女冠子二首 其二

脩蛾慢臉,不語檀心一點,小山粧。

蟬鬢低含綠,羅衣澹拂黃。

悶來深院裏,閑步落花傍。

纖手輕輕整,玉鑪香。

 

 

(下し文)

(女冠子二首 其の二)

脩蛾し 慢臉して,語らず檀心一點にし,小山の粧。

蟬鬢 含綠をむを低れ,羅衣 黃を澹拂す。

悶え來りて 深く院の裏,閑かに步む 落花の傍。

纖手 輕輕しく整え,玉鑪の香。

 

(現代語訳)

(花の盛りの様な女冠子と高貴な檀郎を迎え、もだえるのを詠う)

お慕いするあのお方が来られるというので、化粧をきちんと施すとゆったりと落ち着いた顔つきになっている、お慕いする檀郎の心をおもうことの一点で語ることなどない、寝牀の準備を整えて横になって待つ。

蝉の羽のように両鬢の髪型にして緑の飾りを低く垂らしている、寝牀用のうす絹の上衣をつけ、女黄冠を波のように揺れ払うように愛撫する。

小楼の奥深い座敷の内ではもだえ苦しんでいるようだ、花弁が散り敷かれたところを静かに歩く。

か細い手で着物の乱れを軽く優しく整える、また女自身から愛液の香りがしてくる。

 

(訳注)

女冠子二首 其二

(花の盛りの様な女冠子と高貴な檀郎を迎え、もだえるのを詠う)

唐の教坊の曲名。女冠は女黄冠”、女道士、道姑。唐代において女道士は皆、黄冠を戴いた。『花間集』 には牛嶠の作が四首収められている。双調四十一字、前段二十四字五句韻三平韻、後段十八宇四句二平韻で、③5⑤/55③の詞形をとる。

脩蛾慢臉  不語檀心一點小山
蟬鬢低含綠  羅衣澹拂
悶來深院裏  閑步落花
纖手輕輕整  玉鑪

○△●△  △●○○●●●○○

○●○○●  ○△△●○

●△△△●  ○●●○△

○●△△●  ●○○

 

 

脩蛾慢臉,不語檀心一點,小山粧。

お慕いするあのお方が来られるというので、化粧をきちんと施すとゆったりと落ち着いた顔つきになっている、お慕いする檀郎の心をおもうことの一点で語ることなどない、寝牀の準備を整えて横になって待つ。

○脩蛾 化粧をきちんと施すこと。蛾は眉をかくこと。

○慢臉 ゆったりと落ち着いた顔つき。

《後庭花二首其二》孫光憲(24) 「脩蛾慢臉陪雕輦,後庭新宴。」(脩蛾し 慢臉して 雕輦に陪すれば,後庭 新らたに宴す。)宮女たちは化粧をきれいにし、ゆったりと落ち着いた顔つきで、天子の彫刻の輦に付き従っている、亦今夜もここの後宮の庭では新しい宴がひらかれるのだ。 14-364後庭花二首其二》孫光憲(24)Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-547-14-(364) 花間集 巻第八 (四十八首)漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4282

○檀心 檀郎の心根、思い。「檀郎」は夫や恋い慕う男を意味する。「佯弄紅絲蠅拂子,打檀郎。」(佯弄【ようろう】 紅絲【こうし】 蠅の拂子【ほっす】,檀郎を打つ。)あの別れた日の約束は私をもてあそぶもので素振りだけ、紅い糸で結ばれているといった、その赤い糸で蠅を打ち拂う「払子」を作って、あの恋しい「檀郎」を打ちたたいてやりたいものです。

・檀郎/安仁/潘郎 晋の潘岳のあざな。彼は美男子であり、詩人であったが、妻の死にあい「悼亡」の詩三首を作った。後世、妻の死をなげいた模擬作が多く作られた。潘岳の幼名が檀奴だったので、「檀郎」は夫や恋い慕う男を意味する。・潘岳:安仁。滎陽(けいよう)中牟(河南省)の人。陸機と並ぶ美文の文学の大家で,錦を敷きのべたような絢爛(けんらん)たる趣をたたえられた。ことに人の死を悼む哀傷の詩文を得意とし,亡妻への尽きぬ思いをうたった〈悼亡詩(とうぼうし)〉3首はよく知られる。絶世の美男として,また権門の間を巧みに泳ぎまわる軽薄才子として,とかく話題にこと欠かなかった。八王の乱の渦中で悲劇的な刑死を遂げた。

小山粧 寝牀の化粧。小山は女性が情交の準備をして横になって待つこと。

 

蟬鬢低含綠,羅衣澹拂黃。

蝉の羽のように両鬢の髪型にして緑の飾りを低く垂らしている、寝牀用のうす絹の上衣をつけ、女黄冠を波のように揺れ払うように愛撫する。

綠 みどり色、暗い、緑色のもの、刈安、二番目、二回、双方、という意味がある。

澹拂黃 女黄冠を波のように揺れ払うように愛撫する。孫光憲《酒泉子三首其三》「玉纖澹拂眉山小,鏡中嗔共照。」(玉纖 澹拂し眉山 小さくし,鏡中 嗔 共に照す。)繊細で奇麗な白い肌は輝いて幾度となく波のように揺れ払うように動く、この時にはきれいだった眉も色薄く小さくなっている。それに気がついて鏡を取り出し、見ようとするとあの人が顔を乗り出して鏡の中に伴に移されてしまい見えないから怒ったりする。

 

悶來深院裏,閑步落花傍。

小楼の奥深い座敷の内ではもだえ苦しんでいるようだ、花弁が散り敷かれたところを静かに歩く。

悶 1 もだえ苦しむ。「悶死・悶絶・悶悶/苦悶・煩悶」2 もつれる。「悶着」

 

纖手輕輕整,玉鑪香。

か細い手で着物の乱れを軽く優しく整える、また女自身から愛液の香りがしてくる。

 豆蔻 なつめぐ01

16-459《女冠子二首,其一》九巻 鹿虔扆Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-642-16-(459) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4757

長い黒髪を翡翠で飾った鬟に束ね冠には宝玉とはっぱに飾られている、虹色の袖で宝玉で飾った琴を両手で奉げている。まさに琴の音に乗せて共に笙の笛を吹くあの人と一緒に吹くと響きわたる、それは暗に互いを尋ね、求め合うかのようである。

 
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16-459《女冠子二首,其一》九巻 鹿虔扆唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-642-16-(459)  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4757 

 

 

 

 

 

 

 

 

花間集 教坊曲『女冠子』十九首

 

 

溫助教庭筠

巻一

女冠子二首其一

含嬌含笑

 

 

 

巻一

女冠子二首其二

霞帔雲髮,

 

 

韋相莊

巻三

女冠子二首其一

四月十七,

 

 

 

巻三

女冠子二首其二

昨夜夜半,

 

 

薛侍郎昭蘊

巻三

女冠子二首其一

求仙去也,

 

 

 

巻三

女冠子二首其二

雲羅霧縠,

 

 

牛嶠(牛給事嶠)

巻四

女冠子四首 其一

綠雲高髻,

 

 

 

巻四

女冠子四首 其二

錦江煙水,

 

 

 

巻四

女冠子四首 其三

星冠霞帔,

 

 

 

巻四

女冠子四首 其四

雙飛雙舞,

 

 

張舍人泌

巻四

女冠子一首

露花煙草,

 

 

孫少監光憲

巻八

女冠二首其一

蕙風芝露,

 

 

 

巻八

女冠子二首其二

澹花瘦玉,

 

 

鹿太保虔扆

巻九

女冠子二首其一

鳳樓琪樹,

 

 

 

巻九

女冠子二首其二

步虛壇上,

 

 

毛秘書熙震

巻九

女冠子二首其一

碧桃紅杏,

 

 

 

巻九

女冠子二首其二

脩蛾慢臉,

 

 

李秀才珣

巻十

女冠子二首其一

星高月午,

 

 

 

巻十

女冠子二首其二

春山夜靜,

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鹿虔扆 女冠子二首

 

女冠子二首 其一

(王子喬の「笙鶴」伝説、蕭史と弄玉の伝説のように仲が良かったのに、笛を吹いても、琴を弾いても、風と合奏をするだけだ。)

碧桃紅杏,遲日媚籠光影,彩霞深。

桃の実は緑に、杏の花は紅にはえる、日が長くなり、女冠の居る辺りには光が影を成している、夕刻の霞は彩を成して色濃くなってゆく。

香暖薰鶯語,風清引鶴音。

香炉には香が焚かれ暖かな煙が立ち、外に鶯が啼き、女冠達のささやきが混じる、清々しい風が流れ、鶴に乗った仙人の笙の音色が響き渡る。

翠鬟冠玉葉,霓袖捧瑤琴。

長い黒髪を翡翠で飾った鬟に束ね冠には宝玉とはっぱに飾られている、虹色の袖で宝玉で飾った琴を両手で奉げている。

應共吹簫侶,暗相尋。

まさに琴の音に乗せて共に笙の笛を吹くあの人と一緒に吹くと響きわたる、それは暗に互いを尋ね、求め合うかのようである。

 

 bijo02 女冠子二首 其二

脩蛾慢臉,不語檀心一點,小山粧。

蟬鬢低含綠,羅衣澹拂黃。

悶來深院裏,閑步落花傍。

纖手輕輕整,玉鑪香。

 

(女冠子二首 其の一)

碧の桃 紅の杏,遲日 媚籠 光影あり,彩霞 深し。

香暖く 鶯語に薰る,風清 鶴音を引く。

翠鬟 冠玉葉,霓袖 瑤琴を捧ぐ。

應に共に簫侶をき,暗に相い尋ねん。

 

(女冠子二首 其の二)

蛾を脩め 臉を慢す,語らず 檀心の一點に,小山の粧。

蟬鬢 綠を含み低る,羅衣 黃を拂い澹す。

悶し來って院裏に深し,閑し步みて花傍に落つ。

纖手 輕輕して整い,玉鑪 香す。

  

 

『女冠子二首 』 現代語訳と訳註

(本文)

女冠子二首 其一

碧桃紅杏,遲日媚籠光影,彩霞深。

香暖薰鶯語,風清引鶴音。

翠鬟冠玉葉,霓袖捧瑤琴。

應共吹簫侶,暗相尋。

 

(下し文)

(女冠子二首 其の一)

碧の桃 紅の杏,遲日 媚籠 光影あり,彩霞 深し。

香暖く 鶯語に薰る,風清 鶴音を引く。

翠鬟 冠玉葉,霓袖 瑤琴を捧ぐ。

應に共に簫侶をき,暗に相い尋ねん。

 

(現代語訳)

(王子喬の「笙鶴」伝説、蕭史と弄玉の伝説のように仲が良かったのに、笛を吹いても、琴を弾いても、風と合奏をするだけだ。)

桃の実は緑に、杏の花は紅にはえる、日が長くなり、女冠の居る辺りには光が影を成している、夕刻の霞は彩を成して色濃くなってゆく。

香炉には香が焚かれ暖かな煙が立ち、外に鶯が啼き、女冠達のささやきが混じる、清々しい風が流れ、鶴に乗った仙人の笙の音色が響き渡る。

長い黒髪を翡翠で飾った鬟に束ね冠には宝玉とはっぱに飾られている、虹色の袖で宝玉で飾った琴を両手で奉げている。

まさに琴の音に乗せて共に笙の笛を吹くあの人と一緒に吹くと響きわたる、それは暗に互いを尋ね、求め合うかのようである。

大雁寺02
 

(訳注)

女冠子二首 其一

(王子喬の「笙鶴」伝説、蕭史と弄玉の伝説のように仲が良かったのに、笛を吹いても、琴を弾いても、風と合奏をするだけだ。)


鹿虔扆(生卒年未詳、およそ938年前後に在世)は、後蜀の詞人。呼び名や原籍も不詳。広政年間(938965)に、永泰軍節度使となり、検校大尉に昇進、太保の官を加えられた。そのため鹿太保と呼ばれた。

欧陽烱、毛文錫、韓琮、閻選らとともに詞に巧みで、後主の孟昶に奉仕した。これを嫌った人々は、この五人を五鬼と呼んだ。後蜀滅亡後は仕えることはなかった。『花間集』には六首の詞が収められている。


唐の教坊の曲名。女冠は女黄冠”、女道士、道姑。唐代において女道士は皆、黄冠を戴いた。『花間集』 には牛嶠の作が四首収められている。双調四十一字、前段二十四字五句韻三平韻、後段十八宇四句二平韻で、
③5⑤/55③の詞形をとる。

碧桃紅  遲日媚籠光影 彩霞 

香暖薰鶯語 風清引鶴

翠鬟冠玉葉 霓袖捧瑤

應共吹簫侶 暗相

●○○●  ○●●△△● ●○△

○●△○●  △○●●○

●○△●●  △●●○○

△△△○●  ●△○

 美女004

○女冠

宗教や迷信に携わる専業の女性である。彼女たちは唐代の女性の中ではきわめで特殊な階層であった。彼女たちは基本的には生産に携わらない寄生的階層であり、同時にまたいささか独立性と開放性をもった階層であった。

唐代には仏教、道教の両宗教がきわめて盛んであり、寺院、道観は林立し、膨大な数の尼と女道士(女冠)の集団を生み出していた。数万もの尼や女道士には、出家以前は高貴な身分であった妃嬢・公主や、衣食に何の心配もない貴婦人・令嬢もいたし、また貧と窮がこもごも重なった貧民の女性、身分の餞しい娼妓などもいた。

出家の動機は、次のようないくつかの情況に分けることができる。

① 家族あるいは自分が仏教、道教を篤く信じて出家した人々である。

   病気のため仏にすがり、治癒した後に仏稗と名を改め、自ら剃髪して尼となることを願った。長安にあった成宜観の女道士は、大多数が士大夫の家の出身であった。しかし、こうした人は少数であり、

   圧倒的多数はやはり各種の境遇に迫られ、あるいは世の辛酸をなめ尽して浮世に見切りをつけ、寺院や通観に入って落ち着き先を求めた人々であった。その中には、夫の死後再婚を求めず入信して余生を送ろうとした寡婦もいる。

  家族が罪にふれて生きる道がなく、寺院や通観にたよらざるをえなかった者もいる。

   妓女、姫妾が寺院や通観を最後の拠り所にすることもあった。有名な女道士魚玄機はもともとある家の侍妾であったが、正妻が容認しなかったので道観に入った(『太平広記』巻二二〇)。妓女は年をとり容色が衰えると出家するのが一般的だった。

  貧民の家の大量の少女たちがいる。彼女たちはただ家が貧しく親に養う力がないという理由だけで、衣食に迫られて寺院や道観に食を求めざるを得なかった人々である。

 

碧桃紅杏,遲日媚籠光影,彩霞深。

桃の実は緑に、杏の花は紅にはえる、日が長くなり、女冠の居る辺りには光が影を成している、夕刻の霞は彩を成して色濃くなってゆく。

媚の用語解説 - [音]ビ(漢) [訓]こびる1 なまめかしくする。色っぽい。「媚態・媚薬」2 こびへつらう。「佞媚(ねいび)3 あでやかで美しい。

 

香暖薰鶯語,風清引鶴音。

香炉には香が焚かれ暖かな煙が立ち、外に鶯が啼き、女冠達のささやきが混じる、清々しい風が流れ、鶴に乗った仙人の笙の音色が響き渡る。

鶴音 笙を吹く仙人が鶴に乗ってあらわれる。『列仙伝』巻上・王子喬に「王子喬は周の霊王の太子晋なり。好んで笙を吹き、鳳鳴を作し、伊洛の間に遊ぶ。

 

翠鬟冠玉葉,霓袖捧瑤琴。

長い黒髪を翡翠で飾った鬟に束ね冠には宝玉とはっぱに飾られている、虹色の袖で宝玉で飾った琴を両手で奉げている。

霓 夕立のあとなど,太陽と反対側の空に弧状にかかる七色の帯。空中の水滴粒子にあたった光の屈折と分光によって生じる。内側が紫,外側が赤の配列をした虹のほかに,この外側をとりまき,逆の色の配列の第二の虹が見えることがある。

捧 1 両手でささげ持つ。「捧持・捧呈・捧読」2 両手で持ちあげるようにしてかかえる。

 

應共吹簫侶,暗相尋。

まさに琴の音に乗せて共に笙の笛を吹くあの人と一緒に吹くと響きわたる、それは暗に互いを尋ね、求め合うかのようである。

蕭史という蕭(管楽器)の名人が居た。その音色は鳳凰の鳴き声の様であった。弄玉もまた蕭を吹くので、穆公は二人を結婚させた。何年も経った後に弄玉の吹奏も鳳の声のようになり、鳳凰が来てその家に止まった。《列仙傳》:「蕭史者,秦穆公時人,善吹蕭,能致孔雀、白鵠。穆公有女字弄玉,好之。公以妻焉,遂教弄玉作鳳鳴,居數十年,吹似鳳聲,鳳皇來止其屋。為作鳳臺,夫婦止其上,數年,皆隨鳳飛去。」

「蕭史という者,秦の穆公の時の人である,善く蕭を吹き,能く孔雀を、白鵠致す。穆公は女有り 字を弄玉,之を好む。公は以て妻と焉し,遂に弄玉に教え鳳鳴を作り,數十年居し,吹けば鳳聲に似たり,鳳皇は來りて其の屋に止る。鳳臺を作るを為し,夫婦は其の上に止り,數年,皆に鳳に隨って飛び去る。」

秦の蕭史がとどまるほどの所であり、書きつけてある文章は魯の恭王が残しておかれたもののようである。王子喬のような「笙鶴」伝説があるという。この山の頂上に、時折笙の笛を吹く仙人が鶴に乗って來るという、ここが仙郷ということなのだ。

  

善吹簫 嬴は秦の姓、善吹とは秦の穆公の娘の弄玉をいう。蕭史という蕭(管楽器)の名人が居た。その音色は鳳凰の鳴き声の様であった。弄玉もまた蕭を吹くので、穆公は二人を結婚させた。何年も経った後に弄玉の吹奏も鳳の声のようになり、鳳凰が来てその家に止まった。

杜甫『鄭駙馬宅宴洞中』

主家陰洞細煙霧,留客夏簟青瑯玕。

春酒杯濃琥珀薄,冰漿碗碧瑪瑙寒。

悞疑茅屋過江麓,已入風磴霾雲端。

自是秦樓壓鄭穀,時聞雜佩聲珊珊。

鄭駙馬宅宴洞中 杜甫

秦の穆公に女があり弄玉といったが、弄玉は簫の名人の蕭史を愛した。穆公は之を妻わしたところ、二人は日々楼上に於て簫を吹き鳳の鳴くが如くであったが、ある日鳳がやって来てその屋に止まり、夫妻はともにその鳳に随って飛び去った。秦楼とは弄玉のすむ楼をいい、臨晋公主の居楼に比する。
oushokun01
 

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柳がしげり、枝を窓に映し、春霞はしなやかに揺れただよう、翡翠の簾はものうげにまきあげている、高楼の砌のまとまったところに咲いていた杏の花の散り去ってしまった。一たび美男子のお方は遊び呆けて自ら出て行った、それからというもの、はすはしぼみ、月は欠けて惨めなほどになっている、まるでそれは女の人生の手本のようだ。

 
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鹿太保虔扆 花間集巻九に六首所収。

臨江仙二首  鹿太保虔扆(鹿虔扆【ろくけんい】)

鹿虔扆(生卒年未詳、およそ938年前後に在世)は、後蜀の詞人。呼び名や原籍も不詳。広政年間(938965)に、永泰軍節度使となり、検校大尉に昇進、太保の官を加えられた。そのため鹿太保と呼ばれた。

欧陽烱、毛文錫、韓琮、閻選らとともに詞に巧みで、後主の孟昶に奉仕した。これを嫌った人々は、この五人を五鬼と呼んだ。後蜀滅亡後は仕えることはなかった。『花間集』には六首の詞が収められている。 

臨江仙二首 其一

(栄枯盛衰、亡国の後、後宮に立って見ると絢爛さはないけれど、その中で男女の情は消えることはないと詠う。)

金鏁重門荒苑靜,綺愁對秋空。

国は敗れたというのに、錠前の下りた重なる門はしっかりとしていて、荒れ果てているものの苑は静まりかえっている、閨の彫りの窓には愁いを含んで秋空に向かう。

翠華一去寂無蹤,玉樓歌吹,聲斷已隨風。

天子の御旗は去ってしまったが、寂しさの跡形はここにはないのだ。たしかに、以前は、玉楼の歌や楽の音がやむことはなかったが、にぎやかなその声は、いま、一切ないが、風の声が音楽のように流れ随っている。

煙月不知人事改,夜闌還照深宮。

霞める月のように、男女の情は人の世の改まるを知らず、夜がふけて、男女の情事は闌に向えば、月の明かりは、なお宮殿を照らすのである。

藕花相向野塘中,暗傷亡國,清露泣香紅。

池の蓮の花のように美人たちはさし向かいたくましく生きるが、国の亡んだことで暗く傷ましいものもいる、清き露をまもっていく宮女、美人たちは香しき花に泣いたのだ。

 

臨江仙二首 其二

(一旦宮殿に上がった宮女はそのまま歳を重ねてゆくと詠う。)

無賴曉鶯驚夢斷,起來殘醉初醒。

暁に春を告げる鶯が啼いたけどそれは夢を見ているの驚かされるだけであり、それで起き上がっても酔いたくてのんだお酒で宵は残っているはずなのに初めて醒めたかのように酔えない。

絲柳裊煙青,翠簾慵卷,約砌杏花零。

柳がしげり、枝を窓に映し、春霞はしなやかに揺れただよう、翡翠の簾はものうげにまきあげている、高楼の砌のまとまったところに咲いていた杏の花の散り去ってしまった。

一自玉郎遊冶去,蓮凋月慘儀形。

一たび美男子のお方は遊び呆けて自ら出て行った、それからというもの、はすはしぼみ、月は欠けて惨めなほどになっている、まるでそれは女の人生の手本のようだ。

暮天微雨灑閑庭,手挼裙帶,無語倚雲屏。

夕方の大空から細雨が降り、静かな庭を潤している、手にはしわが出始めても宮女の正装を付けている、誰とも話すことはなく、閨に倚る人もなく雲母の屏風は使うことなく壁に倚りかかっている。

 

(臨江仙二首 其の一)

金鏁の重門 苑荒て靜なり,綺 愁いて秋空に對す。

翠華 一たび去り 寂として蹤無く,玉樓 歌吹し,聲え斷え 已に風に隨う。

煙月 人事の改まれるを知らず,夜 闌【たけなわ】にして還た 深宮を照らす。

藕花 野塘の中ほどに相い向い,暗に亡國を傷み,清露 香紅に泣く。

 

(臨江仙二首 其の二)

無賴 曉鶯 驚きて夢斷ち,起き來って 醉い殘るも 初めて醒む。

に絲柳を映し 裊煙青し,翠簾 慵く卷く,砌に約して 杏花零す。

一たび自ら玉郎 遊冶去り,蓮は凋れ 月は慘け 形を儀す。

暮天に微雨 閑庭に灑ぎ,手は挼し 裙は帶す,語る無くして 雲屏に倚る。

芍薬001
 

『臨江仙二首 其二』 現代語訳と訳註

(本文)

臨江仙二首 其二

無賴曉鶯驚夢斷,起來殘醉初醒。

絲柳裊煙青,翠簾慵卷,約砌杏花零。

一自玉郎遊冶去,蓮凋月慘儀形。

暮天微雨灑閑庭,手挼裙帶,無語倚雲屏。

 

(下し文)

(臨江仙二首 其の二)

無賴 曉鶯 驚きて夢斷ち,起き來って 醉い殘るも 初めて醒む。

絲柳を映し 裊煙青し,翠簾 慵く卷く,砌に約して 杏花零す。

一たび自ら玉郎 遊冶去り,蓮は凋れ 月は慘け 形を儀す。

暮天に微雨 閑庭に灑ぎ,手は挼し 裙は帶す,語る無くして 雲屏に倚る。

 

(現代語訳)

(一旦宮殿に上がった宮女はそのまま歳を重ねてゆくと詠う。)

暁に春を告げる鶯が啼いたけどそれは夢を見ているの驚かされるだけであり、それで起き上がっても酔いたくてのんだお酒で宵は残っているはずなのに初めて醒めたかのように酔えない。

柳がしげり、枝を窓に映し、春霞はしなやかに揺れただよう、翡翠の簾はものうげにまきあげている、高楼の砌のまとまったところに咲いていた杏の花の散り去ってしまった。

一たび美男子のお方は遊び呆けて自ら出て行った、それからというもの、はすはしぼみ、つきはかけてみじめなほどになっている、まるでそれは女の人生の手本のようだ。

夕方の大空から細雨が降り、静かな庭を潤している、手にはしわが出始めても宮女の正装を付けている、誰とも話すことはなく、閨に倚る人もなく雲母の屏風は使うことなく壁に倚りかかっている。

 

杏の花01
 

(訳注)

臨江仙二首 其二

 

臨江仙二首

『花間集』には鹿虔扆の作が六首、臨江仙は二首収められている。双調五十八字、前後段二十九字五句三平韻で、7⑥⑦4⑤/7⑥⑦4⑤の詞形をとる。

無賴曉鶯驚夢斷  起來殘醉初
絲柳裊  翠簾慵卷 約砌杏花

一自玉郎遊冶去 蓮凋月慘儀  

暮天微雨灑閑庭 手挼裙帶  無語倚雲

○●●○○△●  ●△○●○

●?○●?○  ●○○△ ●●●○  

●●●○○●● △○●●○ 

●○○●●○ ●○○●  ○●△○

 

無賴 曉鶯 驚夢斷,起來 殘醉 初醒。

暁に春を告げる鶯が啼いたけどそれは夢を見ているの驚かされるだけであり、それで起き上がっても酔いたくてのんだお酒で宵は残っているはずなのに初めて醒めたかのように酔えない。

無賴 ① 定職をもたず,素行の悪い・こと(さま)。そのような人をもいう。ならずもの。  頼るところのないこと。

 

 絲柳 裊煙青,翠簾 慵卷,約砌 杏花零。

柳がしげり、枝を窓に映し、春霞はしなやかに揺れただよう、翡翠の簾はものうげにまきあげている、高楼の砌のまとまったところに咲いていた杏の花の散り去ってしまった。

裊とは?漢字辞典。 裊画数:13音読み:ジョウ、 ニョウ、 チョウ訓読み:しなやか

約 やく【約】[漢字項目]とは。意味や解説。[音]ヤク(呉)(漢)[訓]つづめるつづまやか[学習漢字]41 ひもで結ぶ。締めくくる。「制約・括約筋」2 ひもで結び目を作り、取り決めの目印とする。広く、約束のこと。

 

一自 玉郎 遊冶去,蓮凋 月慘 儀形。

一たび美男子のお方は遊び呆けて自ら出て行った、それからというもの、はすはしぼみ、つきはかけてみじめなほどになっている、まるでそれは女の人生の手本のようだ。

遊冶 〔「冶」は飾る意〕 遊びにふけって,容姿を飾ること。酒色にふけること。

慘〔惨〕【さん】1 いたましい。みじめ。「惨禍・惨苦・惨憺(さんたん)・惨落/悲惨」2 むごい。むごたらしい。

儀形 手本。模範。ぎぎょう。「和漢の鑑(かがみ)と仰ぎて、四海 ... 1件の用語解説(儀刑で検索). Tweet. デジタル大辞泉の解説. ぎ‐けい 【儀刑/儀型/儀形】 《「儀式刑法」の略》手本。模範。

 

暮天 微雨 灑閑庭,手挼 裙帶,無語 倚雲屏。

夕方の大空から細雨が降り、静かな庭を潤している、手にはしわが出始めても宮女の正装を付けている、誰とも話すことはなく、閨に倚る人もなく雲母の屏風は使うことなく壁に倚りかかっている。

挼とは。意味や日本語訳。[](1) (紙などが)(しわ)になる.(2) (布などが)すりへる.

くんたい【裙帯】① 裳の腰につけて左右に長く垂らした紐。官女が正装の時,装飾として用いた。② すそと帯。
杏の花001
 

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