玉臺新詠 全十巻 訳注解説

漢文委員会kanbuniinkai紀頌之   唐五代詞詩・花間集・玉臺新詠 中国の韻文学には、古くは周代の詩があり、漢魏六朝には古詩と楽府かあり、唐代になって古詩に対して新しい近体の律詩、絶句がおこった。楽府がおとろえ新しく勃興したのが詞である。詞ははじめ、学詞ともよばれ、楽曲の歌詞をさしていうものであるが、それが流行するとともに、唐詩などと相ならんで、一つの韻文学として成立したのである。 5年以上のブログ連載。(魚玄機・薛濤・花間集)完掲載 現在《玉臺新詠》完全版連載中 予定(文選【詩篇】文選【賦篇 楚辞 詩經 ・・・・)

中国の韻文学には、古くは周代の詩があり、漢魏六朝には古詩と楽府かあり、唐代になって古詩に対して新しい近体の律詩、絶句がおこった。楽府がおとろえ新しく勃興したのが詞である。詞ははじめ、学詞ともよばれ、楽曲の歌詞をさしていうものであるが、それが流行するとともに、唐詩などと相ならんで、一つの韻文学として成立したのである。
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温庭筠の詞詩を約60首程度掲載の後、魚玄機50首程度連載し,薛濤約百首、韋莊五十首
森鴎外小説 『魚玄機』 彼女の詩を冷静に、客観的に分析 過去の女性蔑視の見方を排除して解釈 訳註解説
現在、『花間集』全詩500首、全首連載が終了した。いま、500首全首、見直し、改訂版Ver.2.1として、根本的に語訳、注釈をやり直して掲載しています。出来るだけ(改訂版Ver.2.1)と記している詩を読まれることを薦めます。
現在 玉臺新詠 訳注解説連載中
   玉臺新詠 概要 目録・目次 http://kanbunkenkyu.web.fc2.com/list1.html

2015年07月

7毛文錫《巻五22醉花間二首》『花間集』223全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6387

毛文錫  醉花間二首 其一  

休相問,怕相問,相問還添恨。春水滿塘生,鸂鶒還相趁。

咋夜雨霏霏,臨明寒一陣。偏憶戍樓人,久邊庭信。

(教坊の曲、寵愛を失った妃嬪が、自分を出征した夫を待つ寡婦として、同じ心境であると詠うものである。)尋ねるのをやめよう、尋ねることが怖い、そして、尋ねた様子がわかってしまうと、また、恨みが増すというもの。又春が来てゆきどけの春の增水、堤にはびっしりと春草を生えている、見れば鸂鶒のオスがことしもまた、メスを追いかけている。昨夜はしとどに雨の降る音がしていて、明け方になると急に冷え込み、寒さがひとしきりである。瞭望臺にいる人と一緒にすごしたころをひたすら思い出し、随分ながいこと辺境の地からの便りも途絶えている。

 

7毛文錫《巻五22醉花間二首》『花間集』223全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6387

 

 
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毛文錫(生卒年未詳)、字を平珪と言い、南陽(今の河南省南陽)の人。十四歳で進士に及第し、前萄の王建に仕え、司徒に任じられ、毛司徒と呼ばれた。その後、前覇が亡びると、後主の王術に従って後唐に降り、さらに後局に仕え、欧陽胴、闇選、鹿虔辰、韓暮らと詞をもって後局の孟池に奉仕し「五鬼」と称された。著書に『前局紀事』二巻、『茶譜』一巻がある。毛文錫の詞は大多数が男女の離別の情や傷惜春の情を詠ったものであるが、中には功名富貴を主張したものや、辺境の戦を詠ったものもある。『花間集』には二十一首の詞が収められている。

 

 

 

醉花間二首 其一

(教坊の曲、寵愛を失った妃嬪が、自分を出征した夫を待つ寡婦として、同じ心境であると詠うものである。)

休相問,怕相問,相問還添恨。

尋ねるのをやめよう、尋ねることが怖い、そして、尋ねた様子がわかってしまうと、また、恨みが増すというもの。

春水滿塘生,鸂鶒還相趁。

又春が来てゆきどけの春の增水、堤にはびっしりと春草を生えている、見れば鸂鶒のオスがことしもまた、メスを追いかけている。

 

昨夜雨霏霏,臨明寒一陣。

昨夜はしとどに雨の降る音がしていて、明け方になると急に冷え込み、寒さがひとしきりである。

偏憶戍樓人,久絶邊庭信。

瞭望臺にいる人と一緒にすごしたころをひたすら思い出し、随分ながいこと辺境の地からの便りも途絶えている。

 

(花間に醉う)【すいかかん】

相い問うを 休【や】めよ,相ひ問うを怕【おそ】る,相い問わば 還【ま】た恨みを添えん。

春水 滿塘に生じ,還た相い趁【お】う。

 

昨夜 雨 霏霏として,明けに 臨みて  寒さ一陣。

偏に 憶う 戍樓【じゅうろう】の人,久しく 邊庭の信【たより】を 絶つ。

 

醉花間二首 其二

深相憶,莫相憶,相憶情難極。

銀漢是紅牆,一帶遙相隔。

金盤珠露滴,兩岸花白。

風搖玉珮清,今夕為何夕。

 

 

『醉花間』 現代語訳と訳註

(本文)

醉花間二首 其一

休相問,怕相問,相問還添恨。

春水滿塘生,還相趁。

 

昨夜雨霏霏,臨明寒一陣。

偏憶戍樓人,久絶邊庭信。

 

(下し文)

(花間に醉う)【すいかかん】

相い問うを 休【や】めよ,相ひ問うを怕【おそ】る,相い問わば 還【ま】た恨みを添えん。

春水 滿塘に生じ,還た相い趁【お】う。

 

昨夜 雨 霏霏として,明けに 臨みて  寒さ一陣。

偏に 憶う 戍樓【じゅうろう】の人,久しく 邊庭の信【たより】を 絶つ。

 

(現代語訳)

(教坊の曲、寵愛を失った妃嬪が、自分を出征した夫を待つ寡婦として、同じ心境であると詠うものである。)

尋ねるのをやめよう、尋ねることが怖い、そして、尋ねた様子がわかってしまうと、また、恨みが増すというもの。

又春が来てゆきどけの春の增水、堤にはびっしりと春草を生えている、見れば鸂鶒のオスがことしもまた、メスを追いかけている。

昨夜はしとどに雨の降る音がしていて、明け方になると急に冷え込み、寒さがひとしきりである。

瞭望臺にいる人と一緒にすごしたころをひたすら思い出し、随分ながいこと辺境の地からの便りも途絶えている。

 

 (訳注)

醉花間二首 其一

(教坊の曲、寵愛を失った妃嬪が、自分を出征した夫を待つ寡婦として、同じ心境であると詠うものである。)

初めの三句「相問」を三度繰り返し使い、この詩はこの聯が強烈に心情を表している。やわらかい言い回してあるが、強烈に、「なぜ愛してくれないのですか?」と問いかけたいができない。こうした表現に当てはまるのは、寵愛を待ち続けるつまり、妃嬪の立場での心情を表している。そして又春が来て、万物の成長を目にするだけであると。後半は、一人過ごす春の雨の夜は寒さがひとしお身に浸み、西域の高楼で見張りをしている夫を待つ女と同じであるという。

唐教坊曲名。唐以降の中国王朝における宮廷に仕える楽人や妓女たちに宮廷音楽を教習させるための機関をさす。楽曲や歌舞の習得を主な目的とするが、官妓にあたる妓女を統括する役割もあった。その後の王朝に引き継がれ、清代まで続いたが、雍正帝の時に廃止された。

唐の教坊の曲名。『花間集』 には毛文錫の二首のみ巻五に所収。双調四十一字、前段二十一字五句四仄韻、後段二十字四句三仄韻で、❸❸❺5❺/5❺❺❺の詞形をとる。

醉花間二首 其一

休相,怕相,相問還添。春水滿塘生,鸂鶒還相

△△●  ●△● △●○○●  ○●●○△ ○△△

昨夜雨霏霏,臨明寒一。偏憶戍樓,久絶邊庭

●●●○○ △○○●●  △●●○○ ●●○○△

 

休相問,怕相問,相問還添恨。

尋ねるのをやめよう、尋ねることが怖い、そして、尋ねた様子がわかってしまうと、また、恨みが増すというもの。

・添恨:恨みがましい思いが加わる。 添:加わる。足す。

・相問:①おくること、相遺。②いたわる、相勞。③様子をうかがう。

杜甫 《1048重簡王明府》「甲子西南異,冬來只簿寒。江雲何夜盡,蜀雨幾時幹?行李須相問,窮愁豈自寬?君聽鴻雁響,恐致稻粱難。」(甲子 西南の異,冬來りて只寒に簿【いた】る。江雲 何ぞ夜に盡せん,蜀雨 幾時に幹せんや?行李 須く相い問わん,窮愁 豈に自ら寬かん?君聽くや鴻雁の響あるを,恐れ致【いだ】くは 稻粱の難なり。)(重ねて書簡を王明府に送ります。)この年、甲子の月、西南のこの蜀の地方において異変が起きた。冬が到来しているこのような寒波が来ている時期であるというのに。

長江にかかる雲はどういうことで夜になると覆い尽くし雨を降らせるのであろうか、そして、蜀地方は何時になったら乾いてくれるのだろうか。

こうしてまた旅に出ることで互いにの思いをぶっつけ合おうではないか。苦しみ悲しむことを何とかして自分自身で打ちやぶって晴らそうではないか。

君はもう聞いているだろうとは思うのだが、大鳥や、雁が鳴くのが響いて伝わってきたのは元号も変わりどんな変化があるのだろうか。一番心配するのは五穀豊穣が難しくなりはしないかということなのだ。

杜甫《1733秋興八首其八》「昆吾禦宿自逶迤,紫閣峰陰入渼陂。香稻啄餘鸚鵡粒,碧梧棲老鳳凰枝。佳人拾翠春相問,仙侶同舟晚更移。彩筆昔遊幹氣象,白頭吟望苦低垂。」

昆吾 御宿 自ら逶迤(いい)たり、紫閣の峰陰渼陂に入る。香稲  啄み余す 鸚鵡の粒、碧梧  棲み老ゆ  鳳凰の枝。佳人と翠を拾いて春に相い問い、仙侶と舟を同じくして晩に更に移る。綵筆【さいひつ】は昔曾て気象を干【おか】せしに、白頭  吟望して低垂【ていすい】に苦しむ。

長安の西の方面では昆吾だの御宿だのというところのあたりの地形がうねりくねっておる、そこらをとおって紫閣峰の北、沃陵へといりこむのである。途中では秋は香稲に鵜鵡の啄むべき粒がのこされており、碧棺には鳳風の棲むべき枝が棲みふるされていたりした。また春は佳人の野あそびして翠羽を拾う様子をたずねたり、夏は仙人なかまと同じ舟にのって晩になってもかまわず場所がえをしてあそんだりした。この自分は昔はかつて文彩の筆を以て天の気象をもおかししのいだことのあるものであるが、いまや老衰して白髪あたまをかかえてこの諸詩篇を吟じつつ長安の方をながめやるにどうもあたまがたれさがりがちでこまるのである。なんといくじのうなったものではないか。

 

春水滿塘生,鸂鶒還相趁。

又春が来てゆきどけの春の增水、堤にはびっしりと春草を生えている、見れば鸂鶒のオスがことしもまた、メスを追いかけている。

・春水・塘生:春の池や川の水に雪解け水で増水すること。堤防にびっしり春の草が生えている。滿:いっぱいに。塘:池。つつみ。

謝靈運《登池上樓》「池塘生春草,園柳變鳴禽。」(池の塘【つつみ】は春の草生じ、園の柳に鳴く禽【とり】も変りぬ。)

登池上樓 #2 謝靈運<25>#2  詩集 396 kanbuniinkai紀 頌之漢詩ブログ1005

鸂鶒:おおきなおしどり。1.鸂鶒,亦作“鸂鶆”。名。形大于鴛鴦,而多紫色,好并游。俗称紫鴛鴦2.山西祁方言中特指人喜的意思。常用作不鸂鶒,一般指不招人喜的人

・還相趁:鸂鶒のオスがなおもメスを追いかけている。 ・鸂鶒:〔けいちょく〕オシドリ(鴛鴦)に似た水鳥。つがいで動く。紫鴛鴦。 ・還:なおもまた。 ・相趁:…を追いかけていく。鳥の仲睦まじいさま。 ・趁:追う。後からついて行く。張泌『南歌子三首其三』「錦薦紅鸂鶒,羅衣繡鳳凰。綺疎飄雪北風狂,簾幕盡垂無事,鬱金香。」

南歌子 三首之三 張泌【ちょうひつ】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-356-7-#18  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3327

魚玄機『隔漢江寄子安』

江南江北愁望,相思相憶空吟。

鴛鴦暖臥沙浦,鸂鶒閑飛橘林。

煙裏歌聲隱隱,渡頭月色沈沈。

含情咫尺千裏,況聽家家遠砧。

隔漢江寄子安 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-110-45-#  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2097

 

昨夜雨霏霏,臨明寒一陣。

昨夜はしとどに雨の降る音がしていて、明け方になると急に冷え込み、寒さがひとしきりである。

・霏霏:雨がしとしとと降るさま。

・臨明寒一陣:明け方が近づいたときは、寒さがひとしきりだった。臨明:明け方が近づいて。寒一陣:寒さがひとしきりだった。

 

偏憶戍樓人,久絶邊庭信。

瞭望臺にいる人と一緒にすごしたころをひたすら思い出し、随分ながいこと辺境の地からの便りも途絶えている。

・戍樓人:要塞の望楼にいる人。出征している男。瞭望臺,守邊軍士用來遠望的高樓。ここでは寵愛を失った妃嬪が、天使の存在を比喩して述べる。

牛嶠『定西番』

紫塞月明千里,金甲冷,戍樓寒,夢長安。

思望中天闊,漏殘星亦殘。

畫角數聲嗚咽,雪漫漫。

定西番 牛嶠【ぎゅうきょう】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-337-6-#24  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3232

・久絶:長い間絶たれている。性交を長くしていないことと、手紙が長い間来ていないこと、この語を手紙が耐えてこないという意味ではこの詩は成り立たない。「休相」,「怕相」,「相問」「還添恨」「春水」「滿」「塘生」「還相趁」「昨夜雨」「霏霏」「寒一陣」「偏憶」「久絶」この語はすべて、交情に関する隠語である。

邊庭:辺疆。国境。 

・信:便り。手紙。

7毛文錫《巻五21柳含煙四首其四》『花間集』222全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6382

毛文錫  柳含煙四首其四  

御溝柳,占春多。半出宮牆婀娜,有時倒影醮輕羅,麴塵波。

昨日金鑾巡上苑,風亞舞腰纖軟。栽培得地近皇宮,瑞煙濃。

(皇城、宮城。大明宮、興慶宮へそれぞれの渠溝の土手に植えられた柳、天子のめでたい祥煙に覆われ、その場所を得ることでその力を発揮できると詠う。)天子のお庭に続く渠溝の土手に植えられた柳があり、柳が春景色になり、多くの草花が春に変わっていく。宮殿の土塀から半ば出た柳の枝が美しく、嫋やかで艶めかしい動きをするし、時によっては夕暮れは日影が長く大きく、星列宿を祭りをする巫女の様に軽く梳けて見える着物を羽織っている、その着物はやんごとなきお方しか着られない黄緑色のうす絹の着物の波が揺れるよう。昨日は天子が大明宮の金鑾殿にいて、上林苑の中を巡り歩き、衣擦れの舞の起す風がとどいてきて、細腰で舞い、指も腕も細くしなやか、柔らかに踊る。柳の樹の栽培は、皇城、後宮というめぐまれた地を得られ育つ、天子の御蔭のめでたい祥煙に覆われている。

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 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性 LiveDoorBlog7毛文錫《巻五21柳含煙四首其四》『花間集』222全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6382 
 薛濤の全詩花間集(1巻花間集(2巻花間集(3巻花間集(4巻花間集(5巻 
 魚玄機全詩花間集(6巻花間集(7巻花間集(8巻花間集(9巻花間集10巻 
 温庭筠66首 花間集1・2巻皇甫松11首 花間集二巻韋莊47首 花間集二巻薛昭蘊19首 花間集三巻牛嶠31首 花間集三・四巻張泌27首 花間集四巻 
 毛文錫31首 花間集5巻牛希濟11首 花間集5巻欧陽烱17首 花間集5・6巻和凝20首 花間集6巻顧夐56首 花間集6・7巻孫光憲47首 花間集7・8巻 
 魏承班15首 花間集8・9巻鹿虔扆6首 花間集9巻閻選8首 花間集9巻尹鶚6首 花間集9巻毛熙震29首 花間集9・10巻李珣39首 花間集10巻 
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7毛文錫《巻五20柳含煙四首其三》『花間集』221全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6377

毛文錫  柳含煙四首 其四  

御溝柳,占春多。半出宮牆婀娜,有時倒影醮輕羅,麴塵波。

昨日金鑾巡上苑,風亞舞腰纖軟。栽培得地近皇宮,瑞煙濃。

(京兆には章台の柳は、冕冠旒を満たし、東西の水陸駅に続く柳は毎日のように折楊柳、結同心しれ割られを見てきた、そうした見送り見送られての別れではない人たちがいる。それは若さを失えば、棄てられるという別れである。柳が見てきたと詠う。)

7毛文錫《巻五20柳含煙四首其三》『花間集』221全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6377

 

 
 2015年7月29日の紀頌之5つのBlog 
 ●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
 
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282-#2 《卷8-07贈范金卿,二首之一》-#2Index-20Ⅱ― 15-740年開元二十八年40歳 <282-#2> Ⅰ李白詩1565 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ6373 
 孟浩然 詩 index李白詩index謝霊運 詩 index司馬相如 《 子虛賦 ・上林賦 》揚雄 《 甘泉賦 》 ●諸葛亮(孔明)出師表 
 曹植(曹子建)詩 65首 index文選 賦)兩都賦序・西都賦・東都賦 (班固)《李白 全詩》
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(1)漁父辞 屈原『楚辞・九歌』東君 屈原《楚辞 『九辯』》 宋玉  <案内> 
 ●唐を代表する 中唐 韓愈 全500首  
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩
 
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78-#5 《巻0210送惠師》-#5 韓愈(韓退之) 804年貞元20年 39歳<1478> Ⅱ【11分割】-#5 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ6374 
 ・李商隠詩 (1) 136首の75首・李商隠詩 (2) 135首の61首●韓愈index-1 ・孟郊、張籍と交遊・汴州乱41首●韓愈詩index-2[800年 33歳~804年 37歳]27首●韓愈詩index-3 805年 38歳・]陽山から江陵府 36首●韓愈詩index-4 806年 39歳 江陵府・権知国子博士 51首(1)25首 
 index-5 806年39歳 50首の(2)25首index-6[807年~809年 42歳]20首index-7[810年~811年 44歳] 34首index-8 [812年~814年47歳]46首index-9[815年~816年 49歳] 57首index-10[817年~818年 51歳]・「平淮西碑」28首 
 index-11 819年 52歳 ・『論佛骨表』左遷 38首index-12 820年 53歳 ・9月國子祭酒に。18首index-13 821年~822年 55歳 22首index-14 823年~824年 57歳・病気のため退職。没す。 14首韓愈 哲学・儒学「五原」賦・散文・上奏文・碑文など 
 孟郊張籍     
 ●杜甫の全作品1500首を訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。" 
 Ⅲ杜甫詩全1500首   LiveDoorBlog766年-85杜甫 《1508上白帝城,二首之一》 杜甫詩index-15-766年大暦元年55歲-85 <948> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ6375 
 杜甫詩(1)736~751年 青年期・李白と交遊期・就活の詩 53首杜甫詩(2)752年~754年、43歳 73首(青年期・就活の詩) 杜甫詩(3)755年~756年、45歳 安史の乱に彷徨う 26首杜甫詩(4)作時757年、46歳 安史軍捕縛、脱出、左拾遺 43首杜甫詩(5)758年;乾元元年、47歳 左拾遺、朝廷疎外、左遷 53首杜甫詩 (6)759年;乾元二年、48歳 三吏三別 官を辞す 44首 
 杜甫詩(7)759年;乾元二年、48歳 秦州抒情詩 66首杜甫詩(8)作時759年、48歳 秦州発、同谷紀行、成都紀行 36首杜甫詩(9)760年;上元元年、49歳 成都浣花渓草堂 45首杜甫詩(10)761年;上元二年、50歳 成都浣花渓草堂 82首杜甫詩(11)762年寶應元年 杜甫51歳  浣花渓草堂~蜀中転々 43首杜甫詩(12)762年寶應元年 杜甫51歳 蜀中転々 49首 
 ●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている 
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 ●花間集全詩●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩。唐から五代詩詞。花間集 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性 LiveDoorBlog7毛文錫《巻五20柳含煙四首其三》『花間集』221全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6377 
 薛濤の全詩花間集(1巻花間集(2巻花間集(3巻花間集(4巻花間集(5巻 
 魚玄機全詩花間集(6巻花間集(7巻花間集(8巻花間集(9巻花間集10巻 
 温庭筠66首 花間集1・2巻皇甫松11首 花間集二巻韋莊47首 花間集二巻薛昭蘊19首 花間集三巻牛嶠31首 花間集三・四巻張泌27首 花間集四巻 
 毛文錫31首 花間集5巻牛希濟11首 花間集5巻欧陽烱17首 花間集5・6巻和凝20首 花間集6巻顧夐56首 花間集6・7巻孫光憲47首 花間集7・8巻 
 魏承班15首 花間集8・9巻鹿虔扆6首 花間集9巻閻選8首 花間集9巻尹鶚6首 花間集9巻毛熙震29首 花間集9・10巻李珣39首 花間集10巻 
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7毛文錫《巻五19柳含煙四首其二》『花間集』220全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6372

毛文錫  柳含煙四首 其二  

河橋柳,占芳春。映水含煙拂路,幾迴攀折贈行人,暗傷神。

樂府吹為橫笛曲,能使離腸斷續。不如移植在金門,近天恩。

(柳が鬱蒼と茂る夕方の霞と一体となって悲しく霞む様子をいうが、この詩は長安城の西市の横を流れる渠溝に架かる橋、長安周辺の河川、運河の柳並木に、まつわるいろんな逸話があったことを思わせる)隋堤運河を渡る橋のたもとの柳、かんばしい春はこれからどうなるのか。柳の緑は水に映り、柳が鬱蒼として霞にけむり、土手の道を枝は揺れて掃いているようだ。もう何度もここに来て、折楊柳をして、上にかかげて旅に行く人の安全を祈った事だろう、しかしその陰に約束が果たされず、失い、傷つき、恨むものがいる。“柳”の楽府は沢山あり、宮女、妓優が横一面に並んで、笛曲を吹奏する、そして、それはまた、別れの断腸の思いを続けさせられることになる。隋堤の柳は植え替えておなじようにはなるというものではないが、今、長安城の西の金門にある、それは天子の御恩がふりそそぐ近くにある。

7毛文錫《巻五19柳含煙四首其二》『花間集』220全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6372

 
 2015年7月28日の紀頌之5つのBlog 
 ●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
 
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282-#1 《卷8-07贈范金卿,二首之一》-#1Index-20Ⅱ― 15-740年開元二十八年40歳 <282-#1> Ⅰ李白詩1564 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ6368 
 孟浩然 詩 index李白詩index謝霊運 詩 index司馬相如 《 子虛賦 ・上林賦 》揚雄 《 甘泉賦 》 ●諸葛亮(孔明)出師表 
 曹植(曹子建)詩 65首 index文選 賦)兩都賦序・西都賦・東都賦 (班固)《李白 全詩》
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(1)漁父辞 屈原『楚辞・九歌』東君 屈原《楚辞 『九辯』》 宋玉  <案内> 
 ●唐を代表する 中唐 韓愈 全500首  
 Ⅱ中唐詩・晩唐詩
 
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78-#4 《巻0210送惠師》-#4 韓愈(韓退之) 804年貞元20年 39歳<1477> Ⅱ【11分割】-#4 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ6369韓愈詩-78-#4 
 ・李商隠詩 (1) 136首の75首・李商隠詩 (2) 135首の61首●韓愈index-1 ・孟郊、張籍と交遊・汴州乱41首●韓愈詩index-2[800年 33歳~804年 37歳]27首●韓愈詩index-3 805年 38歳・]陽山から江陵府 36首●韓愈詩index-4 806年 39歳 江陵府・権知国子博士 51首(1)25首 
 index-5 806年39歳 50首の(2)25首index-6[807年~809年 42歳]20首index-7[810年~811年 44歳] 34首index-8 [812年~814年47歳]46首index-9[815年~816年 49歳] 57首index-10[817年~818年 51歳]・「平淮西碑」28首 
 index-11 819年 52歳 ・『論佛骨表』左遷 38首index-12 820年 53歳 ・9月國子祭酒に。18首index-13 821年~822年 55歳 22首index-14 823年~824年 57歳・病気のため退職。没す。 14首韓愈 哲学・儒学「五原」賦・散文・上奏文・碑文など 
 孟郊張籍     
 ●杜甫の全作品1500首を訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。" 
 Ⅲ杜甫詩全1500首   LiveDoorBlog766年-84杜甫 《1507上白帝城【案:公孫述僭位於此,自稱白帝。】》 杜甫詩index-15-766年大暦元年55歲-84 <947> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ6370 
 杜甫詩(1)736~751年 青年期・李白と交遊期・就活の詩 53首杜甫詩(2)752年~754年、43歳 73首(青年期・就活の詩) 杜甫詩(3)755年~756年、45歳 安史の乱に彷徨う 26首杜甫詩(4)作時757年、46歳 安史軍捕縛、脱出、左拾遺 43首杜甫詩(5)758年;乾元元年、47歳 左拾遺、朝廷疎外、左遷 53首杜甫詩 (6)759年;乾元二年、48歳 三吏三別 官を辞す 44首 
 杜甫詩(7)759年;乾元二年、48歳 秦州抒情詩 66首杜甫詩(8)作時759年、48歳 秦州発、同谷紀行、成都紀行 36首杜甫詩(9)760年;上元元年、49歳 成都浣花渓草堂 45首杜甫詩(10)761年;上元二年、50歳 成都浣花渓草堂 82首杜甫詩(11)762年寶應元年 杜甫51歳  浣花渓草堂~蜀中転々 43首杜甫詩(12)762年寶應元年 杜甫51歳 蜀中転々 49首 
 ●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている 
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 ●花間集全詩●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩。唐から五代詩詞。花間集 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性 LiveDoorBlog7毛文錫《巻五19柳含煙四首其二》『花間集』220全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6372 
 薛濤の全詩花間集(1巻花間集(2巻花間集(3巻花間集(4巻花間集(5巻 
 魚玄機全詩花間集(6巻花間集(7巻花間集(8巻花間集(9巻花間集10巻 
 温庭筠66首 花間集1・2巻皇甫松11首 花間集二巻韋莊47首 花間集二巻薛昭蘊19首 花間集三巻牛嶠31首 花間集三・四巻張泌27首 花間集四巻 
 毛文錫31首 花間集5巻牛希濟11首 花間集5巻欧陽烱17首 花間集5・6巻和凝20首 花間集6巻顧夐56首 花間集6・7巻孫光憲47首 花間集7・8巻 
 魏承班15首 花間集8・9巻鹿虔扆6首 花間集9巻閻選8首 花間集9巻尹鶚6首 花間集9巻毛熙震29首 花間集9・10巻李珣39首 花間集10巻 
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柳含煙四首 其一

(煬帝が国を傾けるほどして作った運河は国を豊かにした。春の行楽の画船が行き交い、春景色に色を添え、船引きの笙歌は春の愁いを消してくれる。)隋堤の柳 其の一

隋堤柳,汴河旁。

煬帝が作った運河の堤に柳がある、そこから続く汴河通済渠の運河の側にも柳がつづく。

夾岸綠陰千里,龍舟鳳舸木蘭香,錦帆張。

両岸は千里先まで緑の影を成し続く。またそこには竜のフナ飾りの鮮やかな絵が行き交い、鳳凰の絵の舟が、香りたかい蘭の木で作られている。その船に錦の帆を張る。

因夢江南春景好,一路流蘇羽葆。

長安や洛陽いて夢で思うのは、江南地方の春の景色がよいものであるという、楽しみになる。隋堤の運河により一筋の水路の流れこの地域を結ぶことでそれぞれの地域を守り、蘇らせる。

笙歌未盡起橫流,鏁春愁。

そしてこの運河、娘たちの船引きの笙の笛に歌声を乗せた船は進んでも、未だにこの流れに横から入り込むが、波を起こしたりすることはない。この中においては春の愁いのこころに蓋をして、隠してくれる。

 

(柳含煙四首 其の一)

隋堤の柳,汴河の旁。

夾岸の綠陰千里なり,龍舟 鳳舸 木蘭の香,錦帆 張る。

夢に因って江南 春景好なり,一路 流蘇して 羽葆す。

笙歌 未だ盡く起きて橫流し,春愁を鏁す。

 

柳含煙四首 其二

(柳が鬱蒼と茂る夕方の霞と一体となって悲しく霞む様子をいうが、この詩は長安城の西市の横を流れる渠溝に架かる橋、長安周辺の河川、運河の柳並木に、まつわるいろんな逸話があったことを思わせる)
隋堤の柳 其の二

河橋柳,占芳春。

隋堤運河を渡る橋のたもとの柳、かんばしい春はこれからどうなるのか。

映水含煙拂路,幾迴攀折贈行人,暗傷神。

柳の緑は水に映り、柳が鬱蒼として霞にけむり、土手の道を枝は揺れて掃いているようだ。もう何度もここに来て、折楊柳をして、上にかかげて旅に行く人の安全を祈った事だろう、しかしその陰に約束が果たされず、失い、傷つき、恨むものがいる。

樂府吹為橫笛曲,能使離腸斷續。

“柳”の楽府は沢山あり、宮女、妓優が横一面に並んで、笛曲を吹奏する、そして、それはまた、別れの断腸の思いを続けさせられることになる。

不如移植在金門,近天恩。

隋堤の柳は植え替えておなじようにはなるというものではないが、今、長安城の西の金門にある、それは天子の御恩がふりそそぐ近くにある。

(柳含煙四首 其の二)

河橋の柳,芳春を占【たず】ねる。

水に映え煙を含み路を拂う,幾びか迴る 折るを攀げ行人に贈り,暗に 神を傷む。

樂府 吹きて笛曲を橫に為し,能く離れて腸斷の續かわ使む。

移植に如かずも 金門に在る,天恩に近し。

 

柳含煙四首 其三

章台柳,近垂旒。

低拂往來冠蓋,朦朧春色滿皇州,瑞煙浮。

直與路邊江畔別,免被離人攀折。

最憐京兆畫蛾眉,葉纖時。

 

柳含煙四首 其四

御溝柳,占春多。

半出宮牆婀娜,有時倒影醮輕羅,麴塵波。

昨日金鑾巡上苑,風亞舞腰纖軟。

栽培得地近皇宮,瑞煙濃。

 

 

『柳含煙四首』 現代語訳と訳註

(本文)

柳含煙四首 其二

河橋柳,占芳春。

映水含煙拂路,幾迴攀折贈行人,暗傷神。

樂府吹為橫笛曲,能使離腸斷續。

不如移植在金門,近天恩。

 

(下し文)

(柳含煙四首 其の二)

河橋の柳,芳春を占【たず】ねる。

水に映え煙を含み路を拂う,幾びか迴る 折るを攀げ行人に贈り,暗に 神を傷む。

樂府 吹きて笛曲を橫に為し,能く離れて腸斷の續かわ使む。

移植に如かずも 金門に在る,天恩に近し。

 

(現代語訳)

(柳が鬱蒼と茂る夕方の霞と一体となって悲しく霞む様子をいうが、この詩は長安城の西市の横を流れる渠溝に架かる橋、長安周辺の河川、運河の柳並木に、まつわるいろんな逸話があったことを思わせる)

隋堤運河を渡る橋のたもとの柳、かんばしい春はこれからどうなるのか。

柳の緑は水に映り、柳が鬱蒼として霞にけむり、土手の道を枝は揺れて掃いているようだ。もう何度もここに来て、折楊柳をして、上にかかげて旅に行く人の安全を祈った事だろう、しかしその陰に約束が果たされず、失い、傷つき、恨むものがいる。

“柳”の楽府は沢山あり、宮女、妓優が横一面に並んで、笛曲を吹奏する、そして、それはまた、別れの断腸の思いを続けさせられることになる。

隋堤の柳は植え替えておなじようにはなるというものではないが、今、長安城の西の金門にある、それは天子の御恩がふりそそぐ近くにある。

 

(訳注)

柳含煙四首 其二

(柳が鬱蒼と茂る夕方の霞と一体となって悲しく霞む様子をいうが、この詩は長安城の西市の横を流れる渠溝に架かる橋、長安周辺の河川、運河の柳並木に、まつわるいろんな逸話があったことを思わせる)

唐教坊の曲『花間集』には毛文錫の四首所収されている。双調四十五字、前段二十二字五句三平韻一仄韻、後段二十三字四句一仄韻三平韻で、❸③6⑦③/❼⑥⑦③の詞形をとる。

柳含煙四首 其一

隋堤、汴河旁。夾岸綠陰千里、龍舟鳳舸木蘭香、錦帆張。

因夢江南春景、一路流蘇羽葆。笙歌未盡起橫、鏁春愁。

柳、旁、香、張 /好、葆、流、愁。

△△●  ●○○

●●●○○●  ○○●●●○○ ●△△

○△○○○●● ●●○○●● 

○○●●●△○ △○○

『花間集』には毛文錫の四首所収されている。双調四十四字、前段二十一字五句三平韻、後段二十三字四句二仄韻二平韻で、3③6⑥③/❼❻⑦③の詞形をとる。

柳含煙四首 其二

河橋柳,占芳。映水含煙拂路,幾迴攀折贈行,暗傷

樂府吹為橫笛,能使離腸斷。不如移植在金,近天

押韻 春、人、神/曲、續、門、恩。

○○●  △○○

●●○○●●  △△○△●△○  ●△○

●●△○△●●  △●△○●●

△△○●●○○  ●○○

 

河橋柳,占芳春。

隋堤運河を渡る橋のたもとの柳、かんばしい春はこれからどうなるのか。

薛昭蘊《巻三30浣溪沙八首其四》「握手河橋柳似金,蜂鬚輕惹百花心,蕙風蘭思寄清琴。意滿便同春水滿,情深還似酒盃深,楚煙湘月兩沉沉。」(手を握るは河橋なり 柳 金に似たるころ,蜂鬚 輕く惹れる 百花の心,蕙風 蘭思 清琴に寄る。意 滿つ 便ち同うするは 春水滿ちるがごとく,情 深くするは 還た酒盃深くすに似たり,「楚煙」 「湘月」 兩れも 沉沉たり。)

 

映水含煙拂路,幾迴攀折贈行人,暗傷神。

柳の緑は水に映り、柳が鬱蒼として霞にけむり、土手の道を枝は揺れて掃いているようだ。もう何度もここに来て、折楊柳をして、上にかかげて旅に行く人の安全を祈った事だろう、しかしその陰に約束が果たされず、失い、傷つき、恨むものがいる。

含煙拂路 の緑は水に映り、柳が鬱蒼として霞にけむり、土手の道を枝は揺れて掃いている。

 

樂府吹為橫笛曲,能使離腸斷續。

“柳”の楽府は沢山あり、宮女、妓優が横一面に並んで、笛曲を吹奏する、そして、それはまた、別れの断腸の思いを続けさせられることになる。

樂府《楊柳》《大堤》《芙蓉》《曲渚》1 中国前漢の武帝の創設した、音楽をつかさどる役所。2 漢代に1が巷間から採集し、保存した歌謡、およびそれを模して作られた詩の一体。長句・短句の交錯する自由な詩形により、祭儀から日常生活に至る広範囲な題材を扱い、多くは楽器に合わせて歌った。3 漢詩の古体の一。漢代以降の2の題目・形式をまねて作った、伴奏を伴わない詩。唐代に流行。新楽府(しんがふ)といわれ、「白氏文集(はくしもんじゅう)」にも収められる白居易のものが有名

楽府2の題目。歌・行・歌行・引・曲・吟・辞・唱・怨などの種類がある。後世の詩人は、多くこれらに倣って楽府を作った。

 

不如移植在金門,近天恩。

隋堤の柳は植え替えておなじようにはなるというものではないが、今、長安城の西の金門にある、それは天子の御恩がふりそそぐ近くにある。

金門 金光門 長安の外郭の城の西側に三門があり、北にあるものを聞達門、中にあるものを金光門、南にあるものを延平門という。金光門を西に出ると昆明池の方へゆく。城内西市放生池から金光門を経て長安八水の一つ潏水と潏渠という運河でむすばれていた。当然この運河の両岸、に潏水の河岸に柳が植えられていた。当時のもっとも大量輸送手段というのは船に寄るものであった。漢の未央宮もこの河川の役割が大きかったようだ。

7毛文錫《巻五18柳含煙四首其一》『花間集』219全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6367

毛文錫  柳含煙四首 其一  

隋堤柳,汴河旁。夾岸綠陰千里,龍舟鳳舸木蘭香,錦帆張。

因夢江南春景好,一路流蘇羽葆。笙歌未盡起橫流,鏁春愁。

(煬帝が国を傾けるほどして作った運河は国を豊かにした。春の行楽の画船が行き交い、春景色に色を添え、船引きの笙歌は春の愁いを消してくれる。)隋堤の柳 其の一

煬帝が作った運河の堤に柳がある、そこから続く汴河通済渠の運河の側にも柳がつづく。両岸は千里先まで緑の影を成し続く。またそこには竜のフナ飾りの鮮やかな絵が行き交い、鳳凰の絵の舟が、香りたかい蘭の木で作られている。その船に錦の帆を張る。長安や洛陽いて夢で思うのは、江南地方の春の景色がよいものであるという、楽しみになる。隋堤の運河により一筋の水路の流れこの地域を結ぶことでそれぞれの地域を守り、蘇らせる。そしてこの運河、娘たちの船引きの笙の笛に歌声を乗せた船は進んでも、未だにこの流れに横から入り込むが、波を起こしたりすることはない。この中においては春の愁いのこころに蓋をして、隠してくれる。

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柳含煙四首 其一

(煬帝が国を傾けるほどして作った運河は国を豊かにした。春の行楽の画船が行き交い、春景色に色を添え、船引きの笙歌は春の愁いを消してくれる。)隋堤の柳 其の一

隋堤柳,汴河旁。

煬帝が作った運河の堤に柳がある、そこから続く汴河通済渠の運河の側にも柳がつづく。

夾岸綠陰千里,龍舟鳳舸木蘭香,錦帆張。

両岸は千里先まで緑の影を成し続く。またそこには竜のフナ飾りの鮮やかな絵が行き交い、鳳凰の絵の舟が、香りたかい蘭の木で作られている。その船に錦の帆を張る。

因夢江南春景好,一路流蘇羽葆。

長安や洛陽いて夢で思うのは、江南地方の春の景色がよいものであるという、楽しみになる。隋堤の運河により一筋の水路の流れこの地域を結ぶことでそれぞれの地域を守り、蘇らせる。

笙歌未盡起橫流,鏁春愁。

そしてこの運河、娘たちの船引きの笙の笛に歌声を乗せた船は進んでも、未だにこの流れに横から入り込むが、波を起こしたりすることはない。この中においては春の愁いのこころに蓋をして、隠してくれる。

 

(柳含煙四首 其の一)

隋堤の柳,汴河の旁。

夾岸の綠陰千里なり,龍舟 鳳舸 木蘭の香,錦帆 張る。

夢に因って江南 春景好なり,一路 流蘇して 羽葆す。

笙歌 未だ盡く起きて橫流し,春愁を鏁す。

 

柳含煙四首 其二

河橋柳,占芳春。

映水含煙拂路,幾迴攀折贈行人,暗傷神。

樂府吹為橫笛曲,能使離腸斷續。

不如移植在金門,近天恩。

 

柳含煙四首 其三

章台柳,近垂旒。

低拂往來冠蓋,朦朧春色滿皇州,瑞煙浮。

直與路邊江畔別,免被離人攀折。

最憐京兆畫蛾眉,葉纖時。

 

柳含煙四首 其四

御溝柳,占春多。

半出宮牆婀娜,有時倒影醮輕羅,麴塵波。

昨日金鑾巡上苑,風亞舞腰纖軟。

栽培得地近皇宮,瑞煙濃。

 

 

『柳含煙四首』 現代語訳と訳註

(本文)

柳含煙四首 其一

隋堤柳,汴河旁。

夾岸綠陰千里,龍舟鳳舸木蘭香,錦帆張。

因夢江南春景好,一路流蘇羽葆。

笙歌未盡起橫流,鏁春愁。

 

(下し文)

(柳含煙四首 其の一)

隋堤の柳,汴河の旁。

夾岸の綠陰千里なり,龍舟 鳳舸 木蘭の香,錦帆 張る。

夢に因って江南 春景好なり,一路 流蘇して 羽葆す。

笙歌 未だ盡く起きて橫流し,春愁を鏁す。

 

(現代語訳)

(煬帝が国を傾けるほどして作った運河は国を豊かにした。春の行楽の画船が行き交い、春景色に色を添え、船引きの笙歌は春の愁いを消してくれる。)隋堤の柳 其の一

煬帝が作った運河の堤に柳がある、そこから続く汴河通済渠の運河の側にも柳がつづく。

両岸は千里先まで緑の影を成し続く。またそこには竜のフナ飾りの鮮やかな絵が行き交い、鳳凰の絵の舟が、香りたかい蘭の木で作られている。その船に錦の帆を張る。

長安や洛陽いて夢で思うのは、江南地方の春の景色がよいものであるという、楽しみになる。隋堤の運河により一筋の水路の流れこの地域を結ぶことでそれぞれの地域を守り、蘇らせる。

そしてこの運河、娘たちの船引きの笙の笛に歌声を乗せた船は進んでも、未だにこの流れに横から入り込むが、波を起こしたりすることはない。この中においては春の愁いのこころに蓋をして、隠してくれる。

 

 

(訳注)

柳含煙四首 其一

唐教坊の曲『花間集』には毛文錫の四首所収されている。双調四十五字、前段二十二字五句三平韻、四仄韻、後段二十三字四句二仄韻二平韻で、❸③6⑦③/❼⑥⑦③の詞形をとる。

柳含煙四首 其一

隋堤  汴河
夾岸綠陰千里  龍舟鳳舸木蘭香  錦帆

因夢江南春景  一路流蘇羽

笙歌未盡起橫  鏁春

 

柳、旁、香、張 /好、葆、流、愁。

△△●  ●○○

●●●○○●  ○○●●●○○ ●△△

○△○○○●● ●●○○●● 

○○●●●△○ △○○

 

隋堤柳,汴河旁。

煬帝が作った運河の堤に柳がある、そこから続く汴河通済渠の運河の側にも柳がつづく。

隋堤 隋を建国した楊堅(文帝)は、この問題を解決するために587年に淮水と長江を結ぶ邗溝(かんこう)を開鑿し、589年に陳を滅ぼして、南北を統一した。

604年に二代皇帝煬帝が即位し、翌年より再び大運河の工事が始まる。

まず初めに黄河と淮水を結ぶ通済渠(つうせいきょ)が作られ、続いて黄河と天津を結ぶ永済渠(えいせいきょ)、そして長江から杭州へと至る江南河が作られ、河北から浙江へとつながる大運河が完成した。完成は610年のことで、その総延長は2500キロメートルを越える。

通済渠の工事には100万人の民衆が動員され、女性までも徴発されて5か月で完成した。これによって、後の人から暴政と非難され、更にこの運河を煬帝自身が竜船(皇帝が乗る船)に乗って遊覧し、煬帝が好んだ江南へと行幸するのに使ったことから、「自らの好みのために民衆を徴発した」などとも言われるようになる。

大運河は一から全てを開削したわけではなく、既存の小運河を連結した部分がかなりある。また大運河の建造は南北の統一を確かなものとし、江南の物産を河北にもたらした。永済渠建設の目的は高句麗遠征であった。

 

夾岸綠陰千里,龍舟鳳舸木蘭香,錦帆張。

両岸は千里先まで緑の影を成し続く。またそこには竜のフナ飾りの鮮やかな絵が行き交い、鳳凰の絵の舟が、香りたかい蘭の木で作られている。その船に錦の帆を張る。

夾岸 両岸。水流的兩岸、堤岸的兩旁。晉·陶淵明·桃花源記:「忽逢桃花林,夾岸數百步,中無雜樹,芳草鮮美,落英繽紛。」

綠陰 緑の影を成。

龍舟鳳舸木蘭香 竜のフナ飾りの鮮やかな絵が行き交い、鳳凰の絵の舟が、香りたかい蘭の木で作られている。

錦帆張 船に錦の帆を張る。

 

因夢江南春景好,一路流蘇羽葆。

長安や洛陽いて夢で思うのは、江南地方の春の景色がよいものであるという、楽しみになる。隋堤の運河により一筋の水路の流れこの地域を結ぶことでそれぞれの地域を守り、蘇らせる。

江南 長江(揚子江)以南の地方,今の江蘇,安徽,江西省南部。この3省を通称して江南ということもある。狭義には江左を,広義には長江中下流域つまり淮河(わいが),漢水以南で南嶺以北の華中の地を指す。古代の江南は蛮夷が住み,火耕水耨(かこうすいどう)という遅れた農法に象徴される後進地であったが,晋室の南渡と共に急速に開発が進んだ。そして明・清にいたると江南は文化の中心地となり,清の乾隆帝による,〈江浙は人文の淵藪である〉との論評を生むに至るのである。

蘇 1 生きかえる。よみがえる。「蘇生」2 草の名。

羽葆 羽飾りのことで

 

笙歌未盡起橫流,鏁春愁。

そしてこの運河は、笙の笛に歌声を乗せた船は進んでも、未だにこの流れに横から入り込むが、波を起こしたりすることはない。この中においては春の愁いのこころを蓋をして、隠してくれる。

笙歌 【しょうが】 笙にあわせて歌うこと。またその歌。

起橫流 この流れに横から入り込むこと。

鏁春愁 春の愁いのこころをなくしてくれる。

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毛文錫  紗恨二首 其二   

雙雙蝶翅塗鈆粉,花心。飛來穩,畫堂陰。

二三月愛隨飄絮,伴落花,來拂衣襟。更剪輕羅片,傅黃金。

(軽やかに花の蜜を求めて番で飛んでいた、やがて金蝶に成長する。その裏には数多くの女たちが変わっていった。)番で飛び、いつも番で過ごす、蝶の翅には鈆粉を塗って艶やかに変わり、花蕊の奥の芯の蜜を吸う。薄絹の奇麗な閨の窓辺から、刺繍の戸口におだやかに飛んで来て、朱塗りの綺麗な座敷の中に身を落ち着ける。 春二月三月のころは愛し合うためそれは風に舞う柳架の後を追い、散る花とともにやって来て襟のあたりを風のように通り抜けて行った。さらには、その翅は一片の薄絹を切り取り、黄金の粉を刷いた。

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恨二首 其一

(早春から盛春には寵愛を受けたが、その後、秋になってもつきにてらされる紗を照らす月明かりに未練心のを詠う。)

新春子還來至,一雙飛。

新しい春がくると、燕たちが、また、帰って来る、そして、番で飛びかう。

泥濕時時墜,人衣。

巣作りの泥をはこんできて、積み重ね、しばしば泥を落として、出入りする人の衣裳を汚したりする。

後園裏看百花發,香風拂,金扉。

後宮寝殿前の庭園に一斉にさまざまの花を咲かせるのを見る、花の間を通り抜けた風は香りをこの楼に拂いぬけてゆく、美しく飾られた戸口の金飾りの付いた扉を抜けて來る。

月照紗,恨依依。

絹張りの高窓に月が照らされる秋になると、胸に残る未練な心、恨みは尽きない。

 

(紗恨【さそうこん】二首 其の一

新春 子 還た來たり至たり,一ながら雙つながら飛ぶ。

に壘ねる泥は濕り 時に時におり墜ち,人の衣を【よご】す。

後の園裏に百花の發くを看て,香り風は拂う,金扉を。

月 紗照らし,恨み依依たり。

 

恨二首其二

(軽やかに花の蜜を求めて番で飛んでいた、やがて金蝶に成長する。その裏には数多くの女たちが変わっていった。)

雙雙蝶翅塗鈆粉,花心。

番で飛び、いつも番で過ごす、蝶の翅には鈆粉を塗って艶やかに変わり、花蕊の奥の芯の蜜を吸う。

飛來穩,畫堂陰。

薄絹の奇麗な閨の窓辺から、刺繍の戸口におだやかに飛んで来て、朱塗りの綺麗な座敷の中に身を落ち着ける。 

二三月愛隨飄絮,伴落花,來拂衣襟。

春二月三月のころは愛し合うためそれは風に舞う柳架の後を追い、散る花とともにやって来て襟のあたりを風のように通り抜けて行った。

更剪輕羅片,傅黃金。

さらには、その翅は一片の薄絹を切り取り、黄金の粉を刷いた。

(紗恨【さそうこん】二首 其の二)

雙雙たる蝶翅【ちょうし】鈆粉【しょうふん】を塗り,花心を【す】う。

【きそう】繡【しゅうこ】飛びて來りて穩【おちつ】き,畫堂の陰にあり。

二三月【にさんげつ】愛でて飄絮に隨い,落花に伴い,來りて衣襟を拂う。

更に輕羅の片を剪り,黃金を傅う。

 

 

『紗恨二首 其二』 現代語訳と訳註

(本文)

恨二首 其二

雙雙蝶翅塗鈆粉,花心。

飛來穩,畫堂陰。

二三月愛隨飄絮,伴落花,來拂衣襟。

更剪輕羅片,傅黃金。

 

(下し文)

(紗恨【さそうこん】二首 其の

雙雙たる蝶翅【ちょうし】鈆粉【しょうふん】を塗り,花心を【す】う

【きそう】【しゅうこ】飛びて來りて穩【おちつ】き,畫堂の陰にあり。

二三月【にさんげつ】でて飄絮に隨い,落花に伴い,來りて衣襟を拂う。

更に輕羅の片を剪り,黃金を傅う。

 

(現代語訳)

(軽やかに花の蜜を求めて番で飛んでいた、やがて金蝶に成長する。その裏には数多くの女たちが変わっていった。)

番で飛び、いつも番で過ごす、蝶の翅には鈆粉を塗って艶やかに変わり、花蕊の奥の芯の蜜を吸う。

薄絹の奇麗な閨の窓辺から、刺繍の戸口におだやかに飛んで来て、朱塗りの綺麗な座敷の中に身を落ち着ける。 

春二月三月のころは愛し合うためそれは風に舞う柳架の後を追い、散る花とともにやって来て襟のあたりを風のように通り抜けて行った。

さらには、その翅は一片の薄絹を切り取り、黄金の粉を刷いた。

 

(訳注)

恨二首其二

(男の心変わりを蝶にたとえて詠む。)

やがて太子になり、天子へと進むことを朝に喩えている。冒頭では羽の鈆粉を白粉に喩え、それが彩のある蝶へ、末句では金粉の蝶を天子に成長したと喩えているが、その間、寵愛ということで数々の花心が変わっていった。

唐の教坊の曲名。『花間集』には毛文錫の二首のみ所収。其一が双調四十一字、前段二十字四句二仄韻二平韻、後段二十一字五句一仄韻二平韻で、❼③❼③/7❸④4③、其二が双調四十二字、前段二十字四句二仄韻二平韻、後段二十二字四句二仄韻二平韻で、❼③❼③/❼❸④5③の詞形をとる。

恨二首其一

新春鷰子還來  一雙
壘巢泥濕時時  涴人
後園裏看百花  香風  繡

月照紗  恨依

○○●●○△●  ●○○

●△△●○○●  ●○△

●○●△●○●  ○△●  ●●○○

●●○●  ●△△

 

恨二首其二

雙雙蝶翅塗鈆

飛來,畫堂

二三月愛隨飄,伴落,來拂衣

更剪輕羅片,傅黃

○○●●○○●  ●○○

●?●●○△●  ●○○

●△●●○○●  ●●○  △●△○

△●△○●  △○○

 

雙雙蝶翅塗鈆粉,花心。

番で飛び、いつも番で過ごす、蝶の翅には鈆粉を塗って艶やかに変わり、花蕊の奥の芯の蜜を吸う。

○蝶翅塗鈆粉 変装する。身分を隠してくる。鈆粉:白粉。

 吸う。

 

飛來穩,畫堂陰。

薄絹の奇麗な閨の窓辺から、刺繍の戸口におだやかに飛んで来て、朱塗りの綺麗な座敷の中に身を落ち着ける。 

○綺 美しく飾られた囲われた女妓の部屋の窓や戸口。

 

二三月愛隨飄絮,伴落花,來拂衣襟。

春二月三月のころは愛し合うためそれは風に舞う柳架の後を追い、散る花とともにやって来て襟のあたりを風のように通り抜けて行った。

○飄絮 風の吹くままに舞い散る柳の種。架は綿毛の生えた柳の種。春は早春、盛春、晩春であり、それが一月二月三月であり、一月はこの女妓の所だけに来ていたことを示し、春の経過に伴い足が別の女に向いたことを云うものである。

 

更剪輕羅片,傅黃金。

さらには、その翅は一片の薄絹を切り取り、黄金の粉を刷いた。

剪輕羅片 その翅は一片の薄絹を切り取ること。天子自身の成長とその陰に、寵愛が移りゆくことを連想させる。

○傳黄金 黄金をつたえる。

7毛文錫《巻五16紗䆫恨二首》『花間集』217全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6357

毛文錫  紗恨二首 其一  

新春鷰子還來至,一雙飛。壘巢泥濕時時墜,涴人衣。

後園裏看百花發,香風拂,繡金扉。月照紗,恨依依。

(早春から盛春には寵愛を受けたが、その後、秋になってもつきにてらされる紗を照らす月明かりに未練心のを詠う。)新しい春がくると、燕たちが、また、帰って来る、そして、番で飛びかう。巣作りの泥をはこんできて、積み重ね、しばしば泥を落として、出入りする人の衣裳を汚したりする。後宮寝殿前の庭園に一斉にさまざまの花を咲かせるのを見る、花の間を通り抜けた風は香りをこの楼に拂いぬけてゆく、美しく飾られた戸口の金飾りの付いた扉を抜けて來る。絹張りの高窓に月が照らされる秋になると、胸に残る未練な心、恨みは尽きない。

7毛文錫《巻五16恨二首》『花間集』217全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6357

 
 2015年7月25日の紀頌之5つのBlog 
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恨二首 其一

(早春から盛春には寵愛を受けたが、その後、秋になってもつきにてらされる紗を照らす月明かりに未練心のを詠う。)

新春子還來至,一雙飛。

新しい春がくると、燕たちが、また、帰って来る、そして、番で飛びかう。

泥濕時時墜,人衣。

巣作りの泥をはこんできて、積み重ね、しばしば泥を落として、出入りする人の衣裳を汚したりする。

後園裏看百花發,香風拂,金扉。

後宮寝殿前の庭園に一斉にさまざまの花を咲かせるのを見る、花の間を通り抜けた風は香りをこの楼に拂いぬけてゆく、美しく飾られた戸口の金飾りの付いた扉を抜けて來る。

月照紗,恨依依。

絹張りの高窓に月が照らされる秋になると、胸に残る未練な心、恨みは尽きない。

 

 

(紗恨【さそうこん】二首 其の一

新春 子 還た來たり至たり,一ながら雙つながら飛ぶ。

に壘ねる泥は濕り 時に時におり墜ち,人の衣を【よご】す。

後の園裏に百花の發くを看て,香り風は拂う,金扉を。

月 紗照らし,恨み依依たり。

 

其二

雙雙蝶翅塗鈆粉,花心。

飛來穩,畫堂陰。

二三月愛隨飄絮,伴落花,來拂衣襟。

更剪輕羅片,傅黃金。

(紗恨【さそうこん】二首 其の二)

雙雙たる蝶翅【ちょうし】鈆粉【しょうふん】を塗り,花心を【す】う。

【きそう】繡【しゅうこ】飛びて來りて穩【おちつ】き,畫堂の陰にあり。

二三月【にさんげつ】愛でて飄絮に隨い,落花に伴い,來りて衣襟を拂う。

更に輕羅の片を剪り,黃金を傅う。

 

 

『紗恨二首 其一』 現代語訳と訳註

(本文)

恨二首 其一

新春鷰子還來至,一雙飛。

壘巢泥濕時時墜,涴人衣。

後園裏看百花發,香風拂,繡金扉。

月照紗,恨依依。

 

(下し文)

(紗恨【さそうこん】二首 其の一

新春 鷰子 還た來たり至たり,一ながら雙つながら飛ぶ。

巢に壘ねる泥は濕り 時に時におり墜ち,人の衣を涴【よご】す。

後の園裏に百花の發くを看て,香り風は拂う,繡金扉を。

月 紗照らし,恨み依依たり。

 

(現代語訳)

(早春から盛春には寵愛を受けたが、その後、秋になってもつきにてらされる紗を照らす月明かりに未練心のを詠う。)

新しい春がくると、燕たちが、また、帰って来る、そして、番で飛びかう。

巣作りの泥をはこんできて、積み重ね、しばしば泥を落として、出入りする人の衣裳を汚したりする。

後宮寝殿前の庭園に一斉にさまざまの花を咲かせるのを見る、花の間を通り抜けた風は香りをこの楼に拂いぬけてゆく、美しく飾られた戸口の金飾りの付いた扉を抜けて來る。

絹張りの高窓に月が照らされる秋になると、胸に残る未練な心、恨みは尽きない。

 

 

(訳注)

恨二首其一

(早春から盛春には寵愛を受けたが、その後、秋になってもつきにてらされる紗を照らす月明かりに未練心のを詠う。)

前段、春が来るころからせいしゅんのころまでは、寵愛を受けているころで、人の入出も多く、梁上のツバメの巣作りの泥によごされる。百花総覧のころには寵愛を失う。後段、風が通り過ぎるように、おわってしまう、いつしか秋になるとさびしく紗をてらす月明かりに未練心を恨むという。

 沙羅絹を張った窓に日が当たり暖かくなる春の季節になったことを表す語。紗恨は閨怨詩に用いられる。

 美しく飾られた妃嬪の閨、囲われた愛妾の部屋の窓や戸口。

語句:紗

毛文錫

巻五08喜遷鶯芳春景,曖晴煙,喬木見鶯遷。傳枝偎葉語關關,飛過綺叢間。錦翼鮮,金毳軟,百囀千嬌相喚。碧紗曉怕聞聲,驚破鴛鴦暖

毛文錫

巻五33河滿子紅粉樓前月照,碧紗外鶯啼。夢斷遼陽音信,那堪獨守空閨。恨對百花時節,王孫綠草萋萋。

和凝

巻六27春光好二首其一紗暖,畫屏閑,嚲雲鬟。睡起四肢無力,半春間。玉指剪裁羅勝,金盤點綴蘇山。窺宋深心無限事,小眉彎。

顧夐

巻六37虞美人六首其四碧梧桐映紗晚,花謝鶯聲懶。小屏屈曲掩青山,翠幃香粉玉爐寒,兩蛾攢。顛狂少年輕離別,辜負春時節。畫羅紅袂有啼痕,魂消無語倚閨門,欲黃昬。

顧夐

巻七07浣溪沙八首其七鴈響遙天玉漏清,小紗外月朧明,翠幃金鴨炷香平。何處不歸音信斷,良宵空使夢魂驚,簟涼枕冷不勝情

李珣

《巻十41酒泉子四首其四》  秋月嬋娟,皎潔碧紗外。照花穿竹冷沉沉,印池心。凝露滴,砌蛩吟,驚覺謝娘殘夢。夜深斜傍枕前來,影徘徊。

 

恨二首

唐の教坊の曲名。『花間集』には毛文錫の二首のみ所収。其一が双調四十一字、前段二十字四句二仄韻二平韻、後段二十一字五句一仄韻二平韻で、❼③❼③/7❸④4③、其二が双調四十二字、前段二十字四句二仄韻二平韻、後段二十二字四句二平韻で、❼③❼③/7⑦5③の詞形をとる。

恨二首其一

新春鷰子還來  一雙
壘巢泥濕時時  涴人
後園裏看百花  香風  繡

月照紗  恨依

○○●●○△●  ●○○

●△△●○○●  ●○△

●○●△●○●  ○△●  ●●○○

●●○●  ●△△

 

 

新春鷰子還來至,一雙飛。

新しい春がくると、燕たちが、また、帰って来る、そして、番で飛びかう。

 

壘巢泥濕時時墜,涴人衣。

巣作りの泥をはこんできて、積み重ね、しばしば泥を落として、出入りする人の衣裳を汚したりする。

○涴 汚に同じ。汚す。

 

後園裏看百花發,香風拂,繡金扉。

後宮寝殿前の庭園に一斉にさまざまの花を咲かせるのを見る、花の間を通り抜けた風は香りをこの楼に拂いぬけてゆく、美しく飾られた戸口の金飾りの付いた扉を抜けて來る。

○後園 後宮寝殿前の庭園。

○百花發 一斉にさまざまの花を咲かせること。

○繡金扉 美しく飾られた戸口の金飾りの付いた扉。妃嬪の部屋を指す。

 

月照紗,恨依依。

絹張りの高窓に月が照らされる秋になると、胸に残る未練な心、恨みは尽きない。

○月照紗 月が西に傾くことで高窓に月の明かりが当たることを言う。一晩中、一人で横になって、高窓を見上げていたということ。

依依 1.(書き言葉に用い;小枝が風になびいて)なよなよとしている.柳依依=柳がなよなよとなびく.2名残惜しい,恋々としている.依依之感=恋々たる思い.依依惜((成語))=後ろ髪を引かれる思いで別れを惜しむ.依依不舍((成語))=いつまでも名残を惜しむ,いつまでも未練を残す.

7毛文錫《巻五15甘州遍一首》『花間集』216全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6352

毛文錫  甘州遍二首其一  

春光好,公子愛閑遊,足風流。金鞍白馬,雕弓寶劍,紅纓錦襜出長鞦。花蔽膝,玉銜頭。

尋芳逐勝歡宴,絲竹不曾休。美人唱,揭調是《甘州》。醉紅樓。堯年舜日,樂聖永無憂。

(公子の時は煌びやかに過ごし、帝王学を身に着け、雅楽《甘州》を繰り返して謡い、酒宴を厳かに催していれば「堯年舜日」であり、憂えることなどない)  春日のひかりは快いものであり、公子はのどかな遊びを愛され、そこでは風流に満足されている。黄金でかざられた鞍をつけた白馬、彫刻で飾られた弓、宝飾の絵の剣、紅色の手綱、錦の前掛け、馬の尾の下から後輪に三繫を付けて轅を固定してでてゆく。馬の膝までを花で蔽っていて、頭から轡を銜える所にも飾り付けられている。芳しい「内官」の妾妃を訪ねて春景色を歓勝し、行楽の宴を遂行してきて、琴、瑟、管弦楽の演奏はやむことはない。妓優、宮妓らはずっと歌いつづけ、雅楽「甘州子」は調子を揃えて謡われている。高楼全体で酒宴に酔っている。古代賢君の堯と舜が施政した天下太平で国力も隆盛と「四時白紵歌」もうたわれて、このように聖天子のもとに音楽が演奏されればとこしえに、愁いなどすることはないのだ。

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 index-5 806年39歳 50首の(2)25首index-6[807年~809年 42歳]20首index-7[810年~811年 44歳] 34首index-8 [812年~814年47歳]46首index-9[815年~816年 49歳] 57首index-10[817年~818年 51歳]・「平淮西碑」28首 
 index-11 819年 52歳 ・『論佛骨表』左遷 38首index-12 820年 53歳 ・9月國子祭酒に。18首index-13 821年~822年 55歳 22首index-14 823年~824年 57歳・病気のため退職。没す。 14首韓愈 哲学・儒学「五原」賦・散文・上奏文・碑文など 
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 ●花間集全詩●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩。唐から五代詩詞。花間集 
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11

毛文錫

巻五15甘州遍二首其一春光好,公子愛閑遊,足風流。金鞍白馬,雕弓寶劍,紅纓錦襜出長鞦。花蔽膝,玉銜頭。尋芳逐勝歡宴,絲竹不曾休。美人唱,揭調是《甘州》。醉紅樓。堯年舜日,樂聖永無憂。

12

毛文錫

巻五16甘州遍二首其二秋風緊,平磧鴈行低,陣雲齊。蕭蕭颯颯,邊聲四起,愁聞戍角與征鼙。青塚北,黑山西。沙飛聚散無定,往往路人迷。

 

甘州遍二首其一

公子の時は煌びやかに過ごし、帝王学を身に着け、雅楽《甘州》を繰り返して謡い、酒宴を厳かに催していれば「堯年舜日」であり、憂えることなどない)

春光好,公子愛閑遊,足風流。

春日のひかりは快いものであり、公子はのどかな遊びを愛され、そこでは風流に満足されている。

金鞍白馬,雕弓寶劍,紅纓錦襜出長鞦。

黄金でかざられた鞍をつけた白馬、彫刻で飾られた弓、宝飾の絵の剣、紅色の手綱、錦の前掛け、馬の尾の下から後輪に三繫を付けて轅を固定してでてゆく。

花蔽膝,玉銜頭。

馬の膝までを花で蔽っていて、頭から轡を銜える所にも飾り付けられている。

尋芳逐勝歡宴,絲竹不曾休。

芳しい「内官」の妾妃を訪ねて春景色を歓勝し、行楽の宴を遂行してきて、琴、瑟、管弦楽の演奏はやむことはない。

美人唱,揭調是《甘州》。醉紅樓。

妓優、宮妓らはずっと歌いつづけ、雅楽「甘州子」は調子を揃えて謡われている。高楼全体で酒宴に酔っている。

堯年舜日,樂聖永無憂。

古代賢君の堯と舜が施政した天下太平で国力も隆盛と「四時白紵歌」もうたわれて、このように聖天子のもとに音楽が演奏されればとこしえに、愁いなどすることはないのだ。

 

甘州遍二首 其の一

春光 好しく,公子 閑遊を愛で,風流に足る。

金鞍 白馬に,雕弓 寶劍あり,紅纓の錦 襜は長鞦を出づ。

花は膝を蔽い,玉は頭を銜む。

芳を尋ね 逐に歡宴に勝り,絲竹 曾て休ず。

美人 唱し,是《甘州》を揭調す。紅樓に醉う。

堯年とし舜日とす,樂聖 永らく憂い無し。

 

 

『甘州遍二首其一』 現代語訳と訳註

(本文)

甘州遍二首其一

春光好,公子愛閑遊,足風流。

金鞍白馬,雕弓寶劍,紅纓錦襜出長鞦。

花蔽膝,玉銜頭。

尋芳逐勝歡宴,絲竹不曾休。

美人唱,揭調是《甘州》。醉紅樓。

堯年舜日,樂聖永無憂。

 

(下し文)

甘州遍二首 其の一

春光 好しく,公子 閑遊を愛で,風流に足る。

金鞍 白馬に,雕弓 寶劍あり,紅纓の錦 襜は長鞦を出づ。

花は膝を蔽い,玉は頭を銜む。

芳を尋ね 逐に歡宴に勝り,絲竹 曾て休ず。

美人 唱し,是《甘州》を揭調す。紅樓に醉う。

堯年とし舜日とす,樂聖 永らく憂い無し。

 

(現代語訳)

(公子の時は煌びやかに過ごし、帝王学を身に着け、雅楽《甘州》を繰り返して謡い、酒宴を厳かに催していれば「堯年舜日」であり、憂えることなどない)

春日のひかりは快いものであり、公子はのどかな遊びを愛され、そこでは風流に満足されている。

黄金でかざられた鞍をつけた白馬、彫刻で飾られた弓、宝飾の絵の剣、紅色の手綱、錦の前掛け、馬の尾の下から後輪に三繫を付けて轅を固定してでてゆく。

馬の膝までを花で蔽っていて、頭から轡を銜える所にも飾り付けられている。

芳しい「内官」の妾妃を訪ねて春景色を歓勝し、行楽の宴を遂行してきて、琴、瑟、管弦楽の演奏はやむことはない。

妓優、宮妓らはずっと歌いつづけ、雅楽「甘州子」は調子を揃えて謡われている。高楼全体で酒宴に酔っている。

古代賢君の堯と舜が施政した天下太平で国力も隆盛と「四時白紵歌」もうたわれて、このように聖天子のもとに音楽が演奏されればとこしえに、愁いなどすることはないのだ。

 

(訳注)

甘州遍二首其一

公子の時は煌びやかに過ごし、帝王学を身に着け、雅楽《甘州》を繰り返して謡い、酒宴を厳かに催していれば「堯年舜日」であり、憂えることなどない)

【解説】天子の器は、公子の時から庶民とはかけ離れた生活で過ごすほどよく、「雕弓寶劍」を身に付けることは当然のこととし、「禮記」「昏儀」「内官」があり、妃も妃嬪もそれにしたがって行くものであり、そうして帝王学を身に着け、雅楽《甘州》を繰り返して謡い、酒宴を厳かに催していれば「堯年舜日」のような世の中であり、憂えることなどまったくないものである。

甘州子は西域から花街に来た娘をいう。 唐の長安は当時世界最大の都市で、国際交流都市であった。そこには青い目の娘がいた。特にペルシャ系、トルコ系の美女が詩に登場している。雅楽に「甘州子」がある。中国の雅楽は,〈雅正の楽〉の意で俗楽に対立し,儒教の礼楽思想に基づいて成立,発展したために狭義には天地宗廟の祭祀楽を意味するが,広義には国家,宮廷の儀式や宴饗の楽も含める。狭義の雅楽は古来の雅楽器を用い,堂上登歌(どうじようとうか),堂下楽懸(どうかがくけん)の2種の楽を奏し,八佾(はちいつ)の舞を舞うという一定の形式を有する。

甘州(かんしゅう)は中国にかつて存在した州。現在の中華人民共和国甘粛省張掖市に比定される。南北朝時代には西魏により西涼州が設置され、553年(廃帝3年)に甘州と改称された。その後、隋代は、隋朝が成立すると当初は甘州が設置され27県を管轄した。607年(大業3年)には郡制施行に伴い武威郡と改称された。

 

顧夐

甘州子五首 其一

甘州子五首 其二

甘州子五首 其三

甘州子五首 其四

甘州子五首 其五

玉樓春四首其一

 

唐の教坊の曲名。『花問集』には毛文錫の二首のみ所収。雙調六十三字、前段三十二字八句四平韻三仄韻、後段三十一字七句四平韻三仄韻で、❸⑤③4❹⑦❸③/❻⑤❸⑤③❹⑤

 の詞形をとる。この詩は難易なしである。獻詩、公讌詩の様でありながら、比興詩のようにも感じられる。掘り下げれは面白い詞である。

 

毛文錫《甘州遍二首其一》

3

5

3

 

春光,公子愛閑,足風

4

4

7

金鞍白馬,雕弓寶,紅纓錦襜出長

3

3

 

32

花蔽,玉銜

6

5

 

 

尋芳逐勝歡,絲竹不曾

3

5

3

 

美人,揭調是《甘》。醉紅

4

5

 

31

堯年舜,樂聖永無

 

63

 

❸⑤③4❹⑦❸③/❻⑤❸⑤③❹⑤

○△●  ○●●○○  ●△○

○○●●  ○○●●  ○○●△●△○

○●●  ●○○

○○●△○●  ○●△○△

●○●  ●△●○○  ●○○

○○●●  ●●●○○

 

春光好,公子愛閑遊,足風流。

春日のひかりは快いものであり、公子はのどかな遊びを愛され、そこでは風流に満足されている。

公子 君主の子は公子と呼ばれ、公子の子は公孫と呼ばれた。実質上、諸侯は王族に等しく、その子弟も王子と呼んでもさしつかえはないが、建前上は列国は周王の家来であり、王は周王ただ一人であるので、諸侯は公を称し、その子弟は公子となった。

閑遊 のどかに遊ぶこと。

 

金鞍白馬,雕弓寶劍,紅纓錦襜出長鞦。

黄金でかざられた鞍をつけた白馬、彫刻で飾られた弓、宝飾の絵の剣、紅色の手綱、錦の前掛け、馬の尾の下から後輪に三繫を付けて轅を固定してでてゆく。

白馬 詩経「鴻雁の什、白駒」賢者を隠遁させないで引き留めるためにいろいろ試みるが山、谷のなかにさっていくものである、ということから帰ってゆく貴富、ここでは貴公子のことを言う。

雕弓 文様の美しい烏號の雕弓。刻紋も弓;精美な弓。 漢司馬相如《子虚》:“左烏號之雕弓,右夏服之箭。(左には文様の美しい烏號の雕弓を、右には夏后氏の箙に入れた強力な矢を置く。)

寶劍 剣にまつわる有名な伝説がある名剣をいう。

 ① 冠の後ろに突き出ている巾子(こじ)の根もとをしめた紐(ひも)の余りを背に垂れ下げたもの。 ② 巾子の背面下部の付属具。骨を入れ薄絹に薄く漆をかける。形により,立纓(りゆうえい)・垂纓・巻纓・細纓などがある。① を装飾的に変化させたもの。 ③ 冠がぬげないように顎(あご)の下で結ぶ紐。

 宮女の腰巻、前掛け。馬に乗る時の前掛け。

 鞦韆(秋千)「鞦」「韆」はそれぞれ1文字でもブランコの意味を持つ。「鞦韆」は宮女が使った遊び道具(性具)をさす。いまのブランコとは少し違い飾りがたくさんついており、遊戯中、裾から足が見えて、皇帝が見ていて運よく夜伽に呼ばれる可能性から艶かしいイメージを持つものである。北宋の文人、蘇軾の漢詩「春夜」にも鞦韆が出てくることから、性行為の過程を詠んだという解釈もある。

① 馬具の一。馬の尾の下から後輪(しずわ)の鞖(しおで)につなぐ紐(ひも)。 → 三繫(さんがい) ② のち,頭・胸・尾にかける紐の総称。三繫。おしかけ。 ③ 牛馬の尻につけて,車の轅(ながえ)を固定させる紐。

 

花蔽膝,玉銜頭。

馬の膝までを花で蔽っていて、頭から轡を銜える所にも飾り付けられている。

 

尋芳逐勝歡宴,絲竹不曾休。

芳しい「内官」の妾妃を訪ねて春景色を歓勝し、行楽の宴を遂行してきて、琴、瑟、管弦楽の演奏はやむことはない。

絲竹 〔糸竹(しちく)〕 ① 〔「糸」は琴・三味線などの弦楽器,「竹」は笛・笙(しよう)などの管楽器〕和楽器の総称。管弦。 ② 音楽。音曲。

尋芳 皇太子の東宮公子、にも「内官」があり、子妃一人、その下に良娣、良媛、承徽、昭訓、奉儀などの品級があった。諸親王の王妃の下にも孺人【じゅじん】等の媵妾【ようしょう】の身分があった。

 

美人唱,揭調是《甘州》。醉紅樓。

妓優、宮妓らはずっと歌いつづけ、雅楽「甘州子」は調子を揃えて謡われている。高楼全体で酒宴に酔っている。

甘州 雅楽に「甘州子」がある。中国の雅楽は,〈雅正の楽〉の意で俗楽に対立し,儒教の礼楽思想に基づいて成立,発展したために狭義には天地宗廟の祭祀楽を意味する

 

堯年舜日,樂聖永無憂。

古代賢君の堯と舜が施政した天下太平で国力も隆盛と「四時白紵歌」もうたわれて、このように聖天子のもとに音楽が演奏されればとこしえに、愁いなどすることはないのだ。

堯年舜日 世の中が太平で国力も隆盛になることの比喩。 古代賢君の堯と舜が施政したよのなかをいう。南朝梁沈約《四時白紵歌春白紵》「佩服瑤草駐容色, 舜日堯年懽無極。」

 

7毛文錫《巻五14贊浦子一首》『花間集』215全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6347

毛文錫  贊浦子  

錦帳添香睡,金鑪換夕薰。懶結芙蓉帶,慵拖翡翠裙。

正是桃夭柳媚,那堪暮雨朝雲。宋玉高唐意,裁瓊欲贈君。

(若くて美しい妃嬪が寵愛を失って、物憂げな毎日を過ごす、高唐の賦のように、同じ化身するなら、佩び玉に化身できたらと詠う。)錦のとばりが垂れ、香りが広がるなかに伴って眠る。黄金の香炉には、夕方には新しい香と交換し燻らせている。物憂げに芙蓉柄の帯を結んでいるし、翡翠の飾りのスカートをだるそうに引きずっている。まさに、このうら若き妃嬪の美しさを詩経に言う「桃のみずみずしいとき」であり、若々しい柳葉の眉もくっきりとしている。それなのにどうして「朝雲暮雨」ではなく、夕暮れに雨のように涙を流し、朝には雲となって物憂げにするという、そんな生活に堪えている。宋玉の「高唐賦」に言う、雨となり雲となってまじわることを思い続けるけれど、それがかなわぬなら、瓊玉に化身し、佩び玉飾りに裁縫してとどける。そうしたら別れなくてもずっと一緒にすごせる。

7毛文錫《巻五14贊浦子一首》『花間集』215全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6347

 

 
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毛文錫(毛司徒文錫)    贊浦子一首

毛文錫(生卒年未詳)、字を平珪と言い、南陽(今の河南省南陽)の人。十四歳で進士に及第し、前蜀の王建に仕え、司徒に任じられ、毛司徒と呼ばれた。その後、前覇が亡びると、後主の王衍に従って後唐に降り、さらに後蜀に仕え、欧陽烱、閻選、鹿虔扆、韓琮らと詞をもって後蜀の孟昶に奉仕し「五鬼」と称された。著書に『前局紀事』二巻、『茶譜』一巻がある。毛文錫の詞は大多数が男女の離別の情や傷惜春の情を詠ったものであるが、中には功名富貴を主張したものや、辺境の戦を詠ったものもある。『花間集』には三十一首の詞が収められている。

 

 

贊浦子

(若くて美しい妃嬪が寵愛を失って、物憂げな毎日を過ごす、高唐の賦のように、同じ化身するなら、佩び玉に化身できたらと詠う。)

錦帳添香睡,金鑪換夕薰。

錦のとばりが垂れ、香りが広がるなかに伴って眠る。黄金の香炉には、夕方には新しい香と交換し燻らせている。

懶結芙蓉帶,慵拖翡翠裙。

物憂げに芙蓉柄の帯を結んでいるし、翡翠の飾りのスカートをだるそうに引きずっている。

正是桃夭柳媚,那堪暮雨朝雲。

まさに、このうら若き妃嬪の美しさを詩経に言う「桃のみずみずしいとき」であり、若々しい柳葉の眉もくっきりとしている。それなのにどうして「朝雲暮雨」ではなく、夕暮れに雨のように涙を流し、朝には雲となって物憂げにするという、そんな生活に堪えている。

宋玉高唐意,裁瓊欲贈君。

宋玉の「高唐賦」に言う、雨となり雲となってまじわることを思い続けるけれど、それがかなわぬなら、瓊玉に化身し、佩び玉飾りに裁縫してとどける。そうしたら別れなくてもずっと一緒にすごせる。

 

贊浦子

錦帳 香を添えて睡り,金鑪 夕に換えて薰る。

芙蓉の帶を懶結し,翡翠の裙を慵拖す。

正に是れ 桃夭 柳媚なり,那んぞ 暮雨 朝雲に堪えん。

宋玉 高唐の意,瓊を裁し 君に贈らんと欲す。

 

 

『贊浦子』 現代語訳と訳註

(本文)

贊浦子

錦帳添香睡,金鑪換夕薰。

懶結芙蓉帶,慵拖翡翠裙。

正是桃夭柳媚,那堪暮雨朝雲。

宋玉高唐意,裁瓊欲贈君。

 

(下し文)

贊浦子【さんほし】

錦帳 香を添えて睡り,金鑪 夕に換えて薰る。

芙蓉の帶を懶結し,翡翠の裙を慵拖す。

正に是れ 桃夭 柳媚なり,那んぞ 暮雨 朝雲に堪えん。

宋玉 高唐の意,瓊を裁し 君に贈らんと欲す。

 

(現代語訳)

(若くて美しい妃嬪が寵愛を失って、物憂げな毎日を過ごす、高唐の賦のように、同じ化身するなら、佩び玉に化身できたらと詠う。)

錦のとばりが垂れ、香りが広がるなかに伴って眠る。黄金の香炉には、夕方には新しい香と交換し燻らせている。

物憂げに芙蓉柄の帯を結んでいるし、翡翠の飾りのスカートをだるそうに引きずっている。

まさに、このうら若き妃嬪の美しさを詩経に言う「桃のみずみずしいとき」であり、若々しい柳葉の眉もくっきりとしている。それなのにどうして「朝雲暮雨」ではなく、夕暮れに雨のように涙を流し、朝には雲となって物憂げにするという、そんな生活に堪えている。

宋玉の「高唐賦」に言う、雨となり雲となってまじわることを思い続けるけれど、それがかなわぬなら、瓊玉に化身し、佩び玉飾りに裁縫してとどける。そうしたら別れなくてもずっと一緒にすごせる。

 

(訳注)

贊浦子

(若くて美しい妃嬪が寵愛を失って、物憂げな毎日を過ごす、高唐の賦のように、同じ化身するなら、佩び玉に化身できたらと詠う。)

唐教坊曲名。別名《普子》。『花間集』には毛文錫一首のみ所収。双調四十二字、前段二十字四句二平韻二仄韻、後段二十二字四句二平韻二仄韻で、❺⑤❺⑤/❻⑥❺⑤の詞形をとる。

錦帳 添香  金鑪 換夕
懶結 芙蓉  慵拖 翡翠
正是 桃夭 柳  那堪 暮雨 朝
宋玉 高唐  裁瓊 欲贈

●●○○●  ○○●●△

●●○○●  ○△●●○

△●○△●●  △○●●○○

●●○○●  △○●●○

 

錦帳添香睡,金鑪換夕薰。

錦のとばりが垂れ、香りが広がるなかに伴って眠る。黄金の香炉には、夕方には新しい香と交換し燻らせている。

 

懶結芙蓉帶,慵拖翡翠裙。

物憂げに芙蓉柄の帯を結んでいるし、翡翠の飾りのスカートをだるそうに引きずっている。

拖 ①(重いものを)ずるずる引っ張る,引きずる,引く.他拖着疲倦的身体回到家里。=彼は疲れた体を引きずって家まで。

懶・慵 物憂げにする。物ぐさい ・ ぐうたら ・ 怠惰 ・ もの臭い ・ 気だるい ・ 気怠い・ 不精ったらしい ・ 物臭 ・ 不まじめ

 

正是桃夭柳媚,那堪暮雨朝雲。

まさに、このうら若き妃嬪の美しさを詩経に言う「桃のみずみずしいとき」であり、若々しい柳葉の眉もくっきりとしている。それなのにどうして「朝雲暮雨」ではなく、夕暮れに雨のように涙を流し、朝には雲となって物憂げにするという、そんな生活に堪えている。

桃夭 《「詩経」周南・桃夭から。嫁ぐ若い女性の美しさを桃のみずみずしさにたとえた語》女性の婚期。嫁入りどきをいう。

桃之夭夭、灼灼其華。之子于歸、宜其室家。

桃之夭夭、有粉其實。之子于歸、宜其家室。

桃の夭夭たる、灼灼たり其の華。この子ここに歸【とつ】がば、其の室家に宜しからん。

桃の夭夭たる、粉たり其の實。この子ここに歸がば、其の家室に宜しからん。

柳媚 形容春天綠柳成蔭、繁花似錦的景象。

―化粧―

唐代の女性は、化粧にたいへん気をつかった。普通は、顔、胸、手、唇などに白粉や頬紅をつけ、また肌を白くし、あるいは艶やかにしたが、それ以外に眉を画くことをことのほか重視した。眉毛の画き方はたいへん多く、玄宗は画工に「十眉図」を描かせたことがあり、それらには横雲とか斜月などという美しい名称がつけられていた(『粧楼記』)。ある人は、唐代の女性は眉毛の装飾に凝り、それはいまだかつてなかった水準に達したと述べている。その他、彼女たちは額の上に黄色の粉を塗り、それを「額黄」「花蕊」「蕊黄」といった。また、金箔や色紙を花模様に切り抜いて両眉の間に貼るのが流行り、「花細」、「花子」などと呼んだ。その他、両頬に赤、黄の斑点、あるいは月や銭の図柄を貼るケースもあり、これは「粧靨」靨はえくぼの意)といった。

唐の玄宗皇帝が画工に命じて描かせた《十眉図》に見られるように,鴛鴦眉(八字眉),小山眉(遠山眉),五嶽眉,三峯眉,垂珠眉,月稜眉(却月眉),分稍眉,涵烟眉,払雲眉(横烟眉),倒暈眉の10種類であった。唐の末期には〈血曇粧〉といって目の縁を赤紫に彩った化粧がはやった。

暮雨朝雲 宋玉高唐の賦に言う「朝雲」は、朝の雲。「暮雨」は、夕暮れの雨。男女の契りのたとえと逆になっていることは、泣いて過ごし、夢に思うだけの生活をすること。

 

宋玉高唐意,裁瓊欲贈君。

宋玉の「高唐賦」に言う、雨となり雲となってまじわることを思い続けるけれど、それがかなわぬなら、瓊玉に化身し、佩び玉飾りに裁縫してとどける。そうしたら別れなくてもずっと一緒にすごせる。

宋玉「高唐賦」 楚の懐王が高唐で遊んですごした時、夢の中に女が現れて王と情を交これは、『文選』のに見える話に由来している。「雲雨巫山」一巫山之夢」ともいう。

裁 ① 布を断ち切る。「裁断・裁縫」② 是非善悪を判断して決める。処理する。「裁定・裁判/決裁・親裁・制裁・総裁・仲裁・独裁」3 外見。「体裁」4 裁縫のこと。「

 ① たま。「瓊玉」② 玉のように美しい。「瓊筵(けいえん)・瓊姿」

楚の懐王がみた夢を題材にした宋玉の「高唐賦」に登場する。その内容は巫山の神女が懐王と夢の中で出会い、親しく交わるというものである。なかでも、朝には雲に、夕方には雨になって会いたいという神女の言葉が有名となり、巫山雲雨や朝雲暮雨など男女のかなり親密な様子を表す熟語が生まれた。この故事を題材とした詩に劉禹錫の「巫山神女峰」がある。

・宋玉『高唐賦』「昔者楚襄王與宋玉遊於雲夢之台,望高之觀,其上獨有雲氣,兮直上,忽兮改容,須臾之間,變化無窮。王問玉曰:“此何氣也?”玉對曰:“所謂朝雲者也。”王曰:“何謂朝雲?”玉曰:“昔者先王嘗遊高唐,怠而晝寢,夢見一婦人曰:‘妾,巫山之女也。爲高唐之客。聞君遊高唐,願薦枕席。’王因幸之。去而辭曰:‘妾在巫山之陽,高丘之阻,旦爲朝雲,暮爲行雨。朝朝暮暮,陽臺之下。’旦朝視之,如言。故爲立廟,號曰朝雲。」

・謁 おまいりすること。

謁巫山廟 薛濤  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-242-108-#98  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2592

巫山一段雲一首 毛文錫【もうぶんせき】  ⅩⅫ唐五代詞・「花間集」 Gs-372-8-#8  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3407

7毛文錫《巻五13接賢賓一首》『花間集』214全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6342

毛文錫  接賢賓  

香韉鏤襜五花驄,春景初融。流珠噴沫躞蹀,汗血流紅。少年公子能乘馭,金鑣玉轡瓏璁。

為惜珊瑚鞭不下,驕生百步千蹤。信穿花,從拂柳,向九陌追風。

(春が訪れ、花も盛りになる寒食・清明節のころ、科挙発表の無礼講には、貴公子の若者が折角の春景色を台無しにすると詠う)香をいっぱいにしみ込ませた下鞍を付け、奇麗な房の前掛けを付けた五頭立てのあし毛の馬の車でやって来ると、春景色は初めて融解してかちをたかめてくる。馬たちの体には玉のような汗が吹き出し、行き来している。やがてその大宛国の駿馬たちは、汗血の珠のような汗をかき、それを流せば赤く染まる。貴公子の若者たちはいつでも馬にまたがってやってくる。馬具は黄金で飾られた手綱留めや、宝飾の轡、宝飾の玉が鳴り響くのである。春景色を惜しいことに台無しにするのは、珊瑚の鞍にまたがり、鞭を降ろすことをしいないが、貴公子、富貴の者の生まれ持ったおごりは百歩も千歩もあし跡を思うままに着けていく。その都大路の九の大通りに馬を追って風が通り抜けてゆくと、花を穿つことをつまびらかにし、そして、柳の枝を払ってゆく。

7毛文錫《巻五13接賢賓一首》『花間集』214全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6342

 
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 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
 
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接賢賓

(春が訪れ、花も盛りになる寒食・清明節のころ、科挙発表の無礼講には、貴公子の若者が折角の春景色を台無しにすると詠う)

五花春景初融。

香をいっぱいにしみ込ませた下鞍を付け、奇麗な房の前掛けを付けた五頭立てのあし毛の馬の車でやって来ると、春景色は初めて融解してかちをたかめてくる。

流珠噴沫躞蹀,汗血流紅。

馬たちの体には玉のような汗が吹き出し、行き来している。やがてその大宛国の駿馬たちは、汗血の珠のような汗をかき、それを流せば赤く染まる。

少年公子能乘馭,金玉轡瓏

貴公子の若者たちはいつでも馬にまたがってやってくる。馬具は黄金で飾られた手綱留めや、宝飾の轡、宝飾の玉が鳴り響くのである。

為惜珊瑚鞭不下,驕生百千蹤。

春景色を惜しいことに台無しにするのは、珊瑚の鞍にまたがり、鞭を降ろすことをしいないが、貴公子、富貴の者の生まれ持ったおごりは百歩も千歩もあし跡を思うままに着けていく。

信穿花,從拂柳,向九陌追風。

その都大路の九の大通りに馬を追って風が通り抜けてゆくと、花を穿つことをつまびらかにし、そして、柳の枝を払ってゆく。

 

 

接賢賓

香韉 鏤襜 五花の驄,春 景初めて融なり。

流珠 噴沫 躞蹀,汗血 流紅。

少年 公子 能く乘馭し,金鑣 玉轡 瓏璁。

惜むを為す 珊瑚 鞭下らずを,生を驕す 百步 千蹤を。

花を穿つを信【つまびら】かにし,柳を拂うに從い,九陌 追風に向う。

 

 

『接賢賓』 現代語訳と訳註

(本文)

接賢賓

香韉鏤襜五花驄,春景初融。

流珠噴沫躞蹀,汗血流紅。

少年公子能乘馭,金鑣玉轡瓏璁。

為惜珊瑚鞭不下,驕生百步千蹤。

信穿花,從拂柳,向九陌追風。

 

(下し文)

接賢賓

香韉 鏤襜 五花の驄,春 景初めて融なり。

流珠 噴沫 躞蹀,汗血 流紅。

少年 公子 能く乘馭し,金鑣 玉轡 瓏璁。

惜むを為す 珊瑚 鞭下らずを,生を驕す 百步 千蹤を。

花を穿つを信【つまびら】かにし,柳を拂うに從い,九陌 追風に向う。

 

(現代語訳)

(春が訪れ、花も盛りになる寒食・清明節のころ、科挙発表の無礼講には、貴公子の若者が折角の春景色を台無しにすると詠う)

香をいっぱいにしみ込ませた下鞍を付け、奇麗な房の前掛けを付けた五頭立てのあし毛の馬の車でやって来ると、春景色は初めて融解してかちをたかめてくる。

馬たちの体には玉のような汗が吹き出し、行き来している。やがてその大宛国の駿馬たちは、汗血の珠のような汗をかき、それを流せば赤く染まる。

貴公子の若者たちはいつでも馬にまたがってやってくる。馬具は黄金で飾られた手綱留めや、宝飾の轡、宝飾の玉が鳴り響くのである。

春景色を惜しいことに台無しにするのは、珊瑚の鞍にまたがり、鞭を降ろすことをしいないが、貴公子、富貴の者の生まれ持ったおごりは百歩も千歩もあし跡を思うままに着けていく。

その都大路の九の大通りに馬を追って風が通り抜けてゆくと、花を穿つことをつまびらかにし、そして、柳の枝を払ってゆく。

 

(訳注)

接賢賓

(春が訪れ、花も盛りになる寒食・清明節のころ、科挙発表の無礼講には、貴公子の若者が折角の春景色を台無しにすると詠う)

貴公子が春都登路を闊歩するのは、科挙及第者の発表時に、都は無礼講になる。清明節の時期であり、行楽の時季であり、貴公子の舞台はどこにでもある。

『花間集』には毛文錫一首のみ所収。双調六十二字、前段三十五字六句四平韻、後段二十四字五句二平韻で、⑦⑤6④7⑥/7⑥33⑤ の詞形をとる。

香韉鏤襜五花  春景初
流珠噴沫躞  汗血流
少年公子能乘馭  金鑣玉轡瓏

為惜珊瑚鞭不下 驕生百步千
信穿花 從拂 向九陌追
 
 
 

 
  

 

香韉鏤襜五花驄,春景初融。

香をいっぱいにしみ込ませた下鞍を付け、奇麗な房の前掛けを付けた五頭立てのあし毛の馬の車でやって来る、春景色は初めて融解してかちをたかめてくる。

 したぐら【下鞍・韉】. 馬具の一。和式の鞍で,鞍橋(くらぼね)の下に敷いて,馬の背を保護するもの。普通二枚を重ねて用い,上を切付(きつつけ),下を膚付(はだつけ)と称する。中世以後は,全体を切付と称することがある。(

鏤襜 〔襜褕〕古代一种短的便衣。まえかけ

五花驄 馬のたてがみを翦りて飾とせる馬。五花馬とおなじ。青と白の斑紋の馬。驄:あし毛の馬。五花驄馬七香車,云是平陽帝子家。

全唐·卷199 岑參《感遇》五花驄馬七香車,云是平陽帝子家。鳳皇城頭日欲斜,門前高樹鳴春鴉。漢家魯元君不聞,今作城西一古墳。昔來唯有秦王女,獨自吹蕭乘白雲。」

李白《將進酒》「五花馬,千金裘。呼兒將出換美酒、與爾同銷萬古愁。

235-#3李白 89(改訂版)《巻2-8  將進酒 -#3》Index-16 Ⅱ―11-736年開元二十四年36歳 <235-#3> Ⅰ李白詩1480 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ5948

初融 初めて融解する。

 

流珠噴沫躞蹀,汗血流紅。

馬たちの体には玉のような汗が吹き出し、行き来している。やがてその大宛国の駿馬たちは、汗血の珠のような汗をかき、それを流せば赤く染まる。

躞蹀 ①小股に歩く.②行き来する.

汗血馬【かんけつば】  西域(中央アジア)地方に産した名馬の一種。1日に千里を走り,疾駆すると血のような汗を流すので,この名がつけられたという。前漢の武帝のとき,張騫(ちようけん)の遠征によって西域に名馬のいることが中国に知られるようになった。中国では古来名馬を天馬と称しているが,《史記》の大宛列伝によると,〈はじめ烏孫の馬を天馬と名づけたが,大宛の汗血馬を得てみるといっそうたくましく,そこで大宛の馬を天馬と称し,烏孫の馬を西極(せいきよく)と改めた〉と記されている。

 

少年公子能乘馭,金鑣玉轡瓏璁。

貴公子の若者たちはいつでも馬にまたがってやってくる。馬具は黄金で飾られた手綱留めや、宝飾の轡、宝飾の玉が鳴り響くのである。

金鑣 轡・鑣・銜〔口輪の意〕① 馬に手綱(たづな)をつけるため,馬の口にくわえさせる金具。くつばみ。くくみ。 -を取る」② 家紋の一。① にかたどったもの。丸の中に十字形のあるものと,杏葉(ぎようよう)形のものとある。 遊女のいる家。また,遊女屋の主人。くつわ屋。

瓏璁 玉と玉の鳴る音の意とで、. 明朗に鳴る音の意。 【意味】明るく朗らかなさま。 明朗な気質を現すもの。 音色が美しく清らかなさま。 美しく清廉なさま。

 

為惜珊瑚鞭不下,驕生百步千蹤。

惜しいことには珊瑚の鞍にまたがり、鞭を降ろすことをしいないが、貴公子、富貴の者の生まれ持ったおごりは百歩も千歩もあし跡を思うままに着けていく。

驕生 富貴の者の生まれ持ったおごり。

【しょう】[音]ショウ(漢)[訓]あと足あと。「蹤跡/先蹤・追蹤」 -

 

信穿花,從拂柳,向九陌追風。

その都大路の九の大通りに馬を追って風が通り抜けてゆくと、花を穿つことをつまびらかにし、そして、柳の枝を払ってゆく。

信 ①まこと。②あきらかにする。③しる。④しるし。⑤わりふ。⑥したがう。⑦うやまう。⑧たもつ。⑨まかせる。⑩二晩泊まる。再宿。⑪海水の定時の干満。⑫つかい、使者。⑬たより、おとづれ。⑭五音の宮をいう。⑮五行で土をいう。⑯五行で水神をいう。

 

穿花 

《巻六23薄命女》「天欲曉,宮漏穿花聲繚繞。牎裏星光少,冷霞寒侵帳額,殘月光沉樹杪。夢斷錦幃空悄悄,強起愁眉小。」

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毛文錫  更漏子  

春夜闌,春恨切,花外子規啼月。人不見,夢難憑,紅紗一點燈。

偏怨別,是芳節,庭中丁香千結。宵霧散,曉霞輝,梁間雙鷰飛。

(春の夜の時の移り変わり、三春の時、別れてからの時、やがて人が訪ねて来なくなる時、秋の夜の燈火の時、そして庭の丁子が蕾を付け、「同心結」した春が来て、ツバメが軒下に子作りをした。寡婦の情を詠う。)春の盛りの夜の宴、こんな春には恨みが身に染みるもので、春の終わりには交際も断絶する、花の彼方には月に囁く子規が恋しい胸の内を訴える様になきはじめる。訪ねてくるひとのなく、夢のなかで逢追うと思っても、それさえも難しくなる。灯火はただ一つ、紅く戸張に映るだけだ。ひたすらに別れたことを怨みに思っているけれど、いま、最高の季節とである、庭先の丁字の花のように、せっそうをかたくまもっているし、千年さきまでと「同心結」と約束してくれたことを信じている。それでもまた、今日も宵闇の霧は消えさり、朝になれば、朝靄は晴れ、空は輝き始める、ことしもまた、梁のあいだを番の燕がとびかうようになった。

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 index-11 819年 52歳 ・『論佛骨表』左遷 38首index-12 820年 53歳 ・9月國子祭酒に。18首index-13 821年~822年 55歳 22首index-14 823年~824年 57歳・病気のため退職。没す。 14首韓愈 哲学・儒学「五原」賦・散文・上奏文・碑文など 
 孟郊張籍     
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 杜甫詩(1)736~751年 青年期・李白と交遊期・就活の詩 53首杜甫詩(2)752年~754年、43歳 73首(青年期・就活の詩) 杜甫詩(3)755年~756年、45歳 安史の乱に彷徨う 26首杜甫詩(4)作時757年、46歳 安史軍捕縛、脱出、左拾遺 43首杜甫詩(5)758年;乾元元年、47歳 左拾遺、朝廷疎外、左遷 53首杜甫詩 (6)759年;乾元二年、48歳 三吏三別 官を辞す 44首 
 杜甫詩(7)759年;乾元二年、48歳 秦州抒情詩 66首杜甫詩(8)作時759年、48歳 秦州発、同谷紀行、成都紀行 36首杜甫詩(9)760年;上元元年、49歳 成都浣花渓草堂 45首杜甫詩(10)761年;上元二年、50歳 成都浣花渓草堂 82首杜甫詩(11)762年寶應元年 杜甫51歳  浣花渓草堂~蜀中転々 43首杜甫詩(12)762年寶應元年 杜甫51歳 蜀中転々 49首 
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 ●花間集全詩●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩。唐から五代詩詞。花間集 
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 温庭筠66首 花間集1・2巻皇甫松11首 花間集二巻韋莊47首 花間集二巻薛昭蘊19首 花間集三巻牛嶠31首 花間集三・四巻張泌27首 花間集四巻 
 毛文錫31首 花間集5巻牛希濟11首 花間集5巻欧陽烱17首 花間集5・6巻和凝20首 花間集6巻顧夐56首 花間集6・7巻孫光憲47首 花間集7・8巻 
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更漏子

(春の夜の時の移り変わり、三春の時、別れてからの時、やがて人が訪ねて来なくなる時、秋の夜の燈火の時、そして庭の丁子が蕾を付け、「同心結」した春が来て、ツバメが軒下に子作りをした。寡婦の情を詠う。)

春夜闌,春恨切,花外子規啼月。

春の盛りの夜の宴、こんな春には恨みが身に染みるもので、春の終わりには交際も断絶する、花の彼方には月に囁く子規が恋しい胸の内を訴える様になきはじめる。

人不見,夢難憑,紅紗一點燈。

訪ねてくるひとのなく、夢のなかで逢追うと思っても、それさえも難しくなる。灯火はただ一つ、紅く戸張に映るだけだ。

偏怨別,是芳節,庭中丁香千結。

ひたすらに別れたことを怨みに思っているけれど、いま、最高の季節とである、庭先の丁字の花のように、せっそうをかたくまもっているし、千年さきまでと「同心結」と約束してくれたことを信じている。

宵霧散,曉霞輝,梁間雙鷰飛。

それでもまた、今日も宵闇の霧は消えさり、朝になれば、朝靄は晴れ、空は輝き始める、ことしもまた、梁のあいだを番の燕がとびかうようになった。

 

(更漏子【こうろうし】)

春夜闌【たけなわ】にして,春恨 切に,花外にして 子規 月に啼く。

人見ず,夢 憑【たの】み難く,紅紗 一點の燈。

偏【ひとえ】に別れを怨み,是れ芳節,庭中 丁香 千結す。

宵霧 散り,曉霞 輝き,梁間 雙鷰 飛ぶ。

 

 

『更漏子』 現代語訳と訳註

(本文)

更漏子

春夜闌,春恨切,花外子規啼月。

人不見,夢難憑,紅紗一點燈。

偏怨別,是芳節,庭中丁香千結。

宵霧散,曉霞輝,梁間雙鷰飛。

 

(下し文)

(更漏子【こうろうし】)

春夜闌【たけなわ】にして,春恨 切に,花外にして 子規 月に啼く。

人見ず,夢 憑【たの】み難く,紅紗 一點の燈。

偏【ひとえ】に別れを怨み,是れ芳節,庭中 丁香 千結す。

宵霧 散り,曉霞 輝き,梁間 雙鷰 飛ぶ。

 

(現代語訳)

(春の夜の時の移り変わり、三春の時、別れてからの時、やがて人が訪ねて来なくなる時、秋の夜の燈火の時、そして庭の丁子が蕾を付け、「同心結」した春が来て、ツバメが軒下に子作りをした。寡婦の情を詠う。)

春の盛りの夜の宴、こんな春には恨みが身に染みるもので、春の終わりには交際も断絶する、花の彼方には月に囁く子規が恋しい胸の内を訴える様になきはじめる。

訪ねてくるひとのなく、夢のなかで逢追うと思っても、それさえも難しくなる。灯火はただ一つ、紅く戸張に映るだけだ。

ひたすらに別れたことを怨みに思っているけれど、いま、最高の季節とである、庭先の丁字の花のように、せっそうをかたくまもっているし、千年さきまでと「同心結」と約束してくれたことを信じている。

それでもまた、今日も宵闇の霧は消えさり、朝になれば、朝靄は晴れ、空は輝き始める、ことしもまた、梁のあいだを番の燕がとびかうようになった。

 

 

(訳注)

更漏子

(春の夜の時の移り変わり、三春の時、別れてからの時、やがて人が訪ねて来なくなる時、秋の夜の燈火の時、そして庭の丁子が蕾を付け、「同心結」した春が来て、ツバメが軒下に子作りをした。寡婦の情を詠う。)

更漏 夜の時を刻むことをいい、一人寝の寂しさを詠う。

前段は、眠れぬ時を送る孤閏の悲しみを述べ、後段、丁字(チョウジ)の花は愁いが心から離れぬことを表し、番の燕は身の孤独を際上江たせる。ただ、ここに登場する女性は、別れた男がどこに行ったのかだれなのか師の言葉の中から直接的なものは見いだせない。こういう女性は、寵愛を失った女性であること、生活の心配がない女性ということであり、妓女、妓優ではないし、戦争や、兵役で送り出した寡婦でもない、ある時期寵愛を受け、寵愛を失って久しい妃嬪ということであろう。

『花間集』には毛文錫の作が一首収められている。双調四十六字、前段二十三字六句二仄韻二平韻、後段二十三字六句三仄韻二平韻で、3❸❻3③⑤/❸❸❻3③⑤の詞形をとる。

更漏子

春夜闌, 春恨, 花外子規啼。 人不見, 夢難, 紅紗一點

偏怨, 是芳, 庭中丁香千。 宵霧散, 曉霞, 梁間雙鷰

○●○  ○●●  ○●●○○●  ○△●  △△○  ○○●●○

△△●  ●○●  ○△○○○●  ○△●  ●○○  ○△○●○

更漏子という題で、花間集には温庭筠、韋莊、牛嶠、毛文錫、孫光憲、毛熙震などの作が収録されている。

123 更漏子 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-282-5-#36  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2957

『更漏子 一』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-15-2-#1 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1676

『更漏子 二』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-16-2-#2 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1680

『更漏子 三』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-17-2-#3 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1684

『更漏子 四』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-18-2-#4 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1688

『更漏子 五』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-19-2-#5 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1692

『更漏子 六』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-20-2-#6 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1696

更漏子三首 其一 牛嶠【ぎゅうきょう】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-325-6-#12  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3172

更漏子三首 其二 牛嶠【ぎゅうきょう】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-326-6-#13  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3177

更漏子三首 其三 牛嶠【ぎゅうきょう】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-327-6-#14  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3182

 

春夜闌,春恨切,花外子規啼月。

春の盛りの夜の宴、こんな春には恨みが身に染みるもので、春の終わりには交際も断絶する、花の彼方には月に囁く子規が恋しい胸の内を訴える様になきはじめる。

○春夜闌 :①盛春、②深夜、③宴席がたけなわ、④性交の絶頂期 ・春恨:①盛春を過ぎようとするのに待ち人が来ない、②春わずかな間に別れを告げられる ・子規:晩春から初夏にかけて鳴く。

○子規 ホトトギス。晩春から初夏。子規と杜鵜とは別種との説があるが恐らくは同じものであろう。ほととぎす。蜀の望帝の春を思う心は、血を吐いて悲しげになく杜鵑(ホトトギス)に魂を托(たく)した。(そのように、血を吐きながらなく思いである)。
不如帰、杜宇、杜鵑、蜀魂、蜀鳥、杜魄、蜀魄、子規、躑躅。李白【宣城見杜鵑花】蜀國曾聞子規鳥,宣城還見杜鵑
成都に着いた翌年夏に『杜鵑行』を作っている。

杜鵑行 杜甫 成都(2)浣花渓の草堂(2 -16-1)  <379 1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1831 杜甫詩1000-379-557/1500

杜鵑行 杜甫 成都(2)浣花渓の草堂(2 -16-2)  <379 2 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1835 杜甫詩1000-379-558/1500

766年大暦元年55-2-1 《杜鵑 -#1》 杜甫index-15 杜甫<865ー#1>漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ5090

766年大暦元年55-2-2 《杜鵑 -#2》 杜甫index-15 杜甫<865ー#2>漢文委員kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ5095

766年大暦元年55-2-3 《杜鵑 -#3》 杜甫index-15 杜甫<865ー#3>漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ5100

この三句で早春、盛春、晩春の三春という時間経過を示す。

 

人不見,夢難憑,紅紗一點燈。

訪ねてくるひとのなく、夢のなかで逢追うと思っても、それさえも難しくなる。灯火はただ一つ、紅く戸張に映るだけだ。

○人不見 愛する人の姿のないこと。

○難憑 1 今は夢しか会えず、よりかかる、頼みにする、よりどころとするのが難しい。2 霊がのり移りがたし。つきがたし。

 

偏怨別,是芳節,庭中丁香千結。

ひたすらに別れたことを怨みに思っているけれど、いま、最高の季節とである、庭先の丁字の花のように、せっそうをかたくまもっているし、千年さきまでと「同心結」と約束してくれたことを信じている。

○偏怨別是芳節 今が美しい春の季節であるがため、別離が一層辛い、の意。

○丁香千結 チョウジの花が千々に結び咲く。本句は実景を描くと同時に女性の愁いが千々に結ばれて解けぬことを言う。チョウジの花は、愁いに心が結ばれて解けぬ比喩。

牛嶠「感恩多」其二

自從南浦別,愁見丁香結

近來情轉深,憶鴛衾。

幾度將書托煙鴈,淚盈襟。

淚盈襟,禮月求天,願君知我心。

チョウジの花が開花の崎でも花びらが閉じたようになっていること。愁いに心が結ばれて解けぬ比喩。香の字を用いているのは、チョウジの花を乾燥させたものが薬剤や香辛料として用いられたことによるもの。

 

宵霧散,曉霞輝,梁間雙鷰飛。

それでもまた、今日も宵闇の霧は消えさり、朝になれば、朝靄は晴れ、空は輝き始める、ことしもまた、梁のあいだを番の燕がとびかうようになった。

宵霧は散り,曉霞は輝き,梁間には雙鷰が飛ぶ。

 

 

接賢賓

香韉鏤襜五花驄,春景初融。

流珠噴沫躞蹀,汗血流紅。

少年公子能乘馭,金鑣玉轡瓏璁。

為惜珊瑚鞭不下,驕生百步千蹤。

信穿花,從拂柳,向九陌追風。

 

贊浦子

錦帳添香睡,金鑪換夕薰。

懶結芙蓉帶,慵拖翡翠裙。

正是桃夭柳媚,那堪暮雨朝雲。

宋玉高唐意,裁瓊欲贈君。

 

甘州遍二首

其一

春光好,公子愛閑遊,足風流。

金鞍白馬,雕弓寶劍,紅纓錦襜出長鞦。

花蔽膝,玉銜頭。

尋芳逐勝歡宴,絲竹不曾休。

美人唱,揭調是《甘州》。醉紅樓。

堯年舜日,樂聖永無憂。

 

其二

秋風緊,平磧鴈行低,陣雲齊。

蕭蕭颯颯,邊聲四起,愁聞戍角與征鼙。

青塚北,黑山西。

沙飛聚散無定,往往路人迷。

鐵衣冷,戰馬血沾蹄,破蕃溪。

鳳皇詔下,步步躡丹梯。

 

花間集 毛文錫の作品

虞美人二首其一

虞美人二首其二

酒泉子一首

喜遷鶯一首

贊成功一首

西溪子一首

中興樂一首

更漏子一首

接賢賓一首

贊浦子一首

甘州遍一首

恨二首

恨二首

柳含煙四首其一

柳含煙四首其一

柳含煙四首其一

柳含煙四首其一

醉花間二首

醉花間二首

浣紗溪一首

浣紗溪一首

月宮春一首

戀情深二首

戀情深二首

訴衷情二首

訴衷情二首

應天長一首

何滿子一首

巫山一段雲一首

7毛文錫《巻五11中興樂一首》『花間集』212全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6332

毛文錫  中興樂  

花繁煙豔深,丁香軟結同心。翠鬟女,相與共淘金。

紅蕉葉裏猩猩語,鴛鴦浦,鏡中鸞舞。絲雨隔,荔枝陰。

(若くして妃嬪として宮中に入った女性が、寵愛の絶頂であること、花や果物に喩えて詠う。楊貴妃を連想させる。)ニクズクにもいっぱい花が咲き、春霞が濃く深くそこにただよっている。丁子は貞操を守り、心はやさしく結ばれることになる。髪をほどいて翡翠の飾りを付けた妃嬪は、砂金を掬いより分ける簀子の中の金のようにゆれうごいている。姫芭蕉は葉を裏にしたり、顔を赤らめて、酔っ払って言うような「猩猩」とした言葉を発し、それは鴛鴦が暮らす入り江の奥まった砂浜の安定的な暮らしであるし、鏡に描かれた仲睦まじい鳳凰鸞の舞のようである。雨絲は次第に隔絶してきて、熟れた荔枝はそっと陰におかれる。

7毛文錫《巻五11中興樂一首》『花間集』212全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6332

 
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7毛文錫《巻五10西溪子一首》『花間集』211全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6327

毛文錫  《西溪子》  

昨日西溪遊賞,芳樹奇花千樣,鏁春光。金罇滿,聽絃管,嬌妓舞衫香暖。不覺到斜暉,馬馱歸。

(若さと、妖艶さと備えた妓優がその踊りに名をはせたが、何時しか歳を重ねると活躍の場がなくなり、駄馬のように帰って行くと美しい妓優を詠う)昨日、西の渓谷で渓谷の風情を感賞して遊んだ、芳しい木樹は珍しい綺麗な花をつけていて、たくさんの花が様々な形で咲いていた。しかし、春の日差しは閉ざされようとしていた。きょうは、黄金の大盃に酒をいっぱいに注ぎ、琴瑟楽器や笛、管楽器を奏でているのを耳にし、愛嬌のある妓優は霓裳羽衣の曲で長い上着を着て舞い、春の宴は香も盛んに、暖かな中に広がる。あしたは、夢中でいて気付かなかった、日は西に沈んでゆくもので、かならずさめるものなのだ、つまらぬ駄馬のように帰ってゆく。

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 index-11 819年 52歳 ・『論佛骨表』左遷 38首index-12 820年 53歳 ・9月國子祭酒に。18首index-13 821年~822年 55歳 22首index-14 823年~824年 57歳・病気のため退職。没す。 14首韓愈 哲学・儒学「五原」賦・散文・上奏文・碑文など 
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花間集 五巻    毛文錫  西溪子一首

 

 

 

 

 

 

 

 

花間集 教坊曲『西溪子』三首

 

 

作者



初句7字

 

 

牛嶠(牛給事嶠)

巻四

西溪子一首

捍撥雙盤金鳳,

 

 

毛文錫(毛司徒文錫)

巻五

西溪子一首

昨日西溪遊賞,

 

 

李珣(李秀才珣)

巻十

西溪子一首

金縷翠鈿浮動,

 

 

 

 

 

 

 

 

牛嶠  西溪子

捍撥雙盤金鳳,蟬鬢玉釵搖動。

畫堂前,人不語,弦解語。

彈到昭君怨處,翠蛾愁,不迴頭。

(西溪子【せいけいし】)

捍撥【かんぱち】雙盤 金鳳あり,蟬鬢 玉釵 搖れ動く。

畫堂の前,人語らず,弦するは語を解す。

彈くは「昭君怨」の處に到り,翠・蛾も愁うなり,頭を迴わせざるなり。

《西溪子》牛嶠【ぎゅうきょう】 ⅩⅫ唐五代詞・「花間集」Gs-338-6-#25 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3237

李珣  西溪子

金縷翠鈿浮動,粧罷小圓夢。

日高時,春已老,人來到,滿地落花慵掃。

無語倚屏風,泣殘紅。

(西溪子)

金縷の翠鈿 浮動し,粧い罷え 小 夢を圓う。

日 高き時,春 已に老けたり,人 來りて到り,滿地の落花 掃うに慵く。

無語るく屏風を倚せ,殘紅に泣きたり。

20-539《西溪子一首,》十巻 李珣Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-722-20-(539) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ5157

 

 

毛文錫《西溪子

(若さと、妖艶さと備えた妓優がその踊りに名をはせたが、何時しか歳を重ねると活躍の場がなくなり、駄馬のように帰って行くと美しい妓優を詠う)

昨日西溪遊賞,芳樹奇花千樣,鏁春光。

昨日、西の渓谷で渓谷の風情を感賞して遊んだ、芳しい木樹は珍しい綺麗な花をつけていて、たくさんの花が様々な形で咲いていた。しかし、春の日差しは閉ざされようとしていた。

金罇滿,聽絃管,嬌妓舞衫香暖。

きょうは、黄金の大盃に酒をいっぱいに注ぎ、琴瑟楽器や笛、管楽器を奏でているのを耳にし、愛嬌のある妓優は霓裳羽衣の曲で長い上着を着て舞い、春の宴は香も盛んに、暖かな中に広がる。

不覺到斜暉,馬馱歸。

あしたは、夢中でいて気付かなかった、日は西に沈んでゆくもので、かならずさめるものなのだ、つまらぬ駄馬のように帰ってゆく。

 

西溪子

昨日 西溪に 遊賞し,芳樹 奇花 千樣あり,春光にく。

金罇 滿ち,絃管を聽き,嬌妓 衫を舞い 香暖かなり。

覺えず 斜暉に到るを,馬 歸るを。

凌波曲舞002
 

 

『西溪子』 現代語訳と訳註

(本文)

《西溪子》

昨日西溪遊賞,芳樹奇花千樣,鏁春光。

金罇滿,聽絃管,嬌妓舞衫香暖。

不覺到斜暉,馬馱歸。

 

(下し文)

西溪子

昨日 西溪に 遊賞し,芳樹 奇花 千樣あり,春光に鏁く。

金罇 滿ち,絃管を聽き,嬌妓 衫を舞い 香暖かなり。

覺えず 斜暉に到るを,馬馱 歸るを。

 

(現代語訳)

(若さと、妖艶さと備えた妓優がその踊りに名をはせたが、何時しか歳を重ねると活躍の場がなくなり、駄馬のように帰って行くと美しい妓優を詠う)

昨日、西の渓谷で渓谷の風情を感賞して遊んだ、芳しい木樹は珍しい綺麗な花をつけていて、たくさんの花が様々な形で咲いていた。しかし、春の日差しは閉ざされようとしていた。

きょうは、黄金の大盃に酒をいっぱいに注ぎ、琴瑟楽器や笛、管楽器を奏でているのを耳にし、愛嬌のある妓優は霓裳羽衣の曲で長い上着を着て舞い、春の宴は香も盛んに、暖かな中に広がる。

あしたは、夢中でいて気付かなかった、日は西に沈んでゆくもので、かならずさめるものなのだ、つまらぬ駄馬のように帰ってゆく。

 

(訳注)

《西溪子》

(若さと、妖艶さと備えた妓優がその踊りに名をはせたが、何時しか歳を重ねると活躍の場がなくなり、駄馬のように帰って行くと美しい妓優を詠う)

唐代には「妓」と呼ばれた人は三種類あった。家妓・宮妓・官妓の三種である。いずれも妓と称されたが、三者の身分・生活はそれぞれ異なっていた。家妓は私人が自宅で養い蓄えている女楽、歌舞人であり、私有財産であって、姫妾とか婦女と呼ばれる人と同類であった。

宮妓は専門に宮廷に奉仕する女芸人であった。彼女たちは歌舞や楽器を習い、縄・竿・球・馬などを操る曲芸を学んだ。その職責は皇室が挙行する各種の祝祭・式典・宴会などの儀式に出演したり、また平生にあっては天子の耳目を楽しませることであった。

宮妓の大部分は直接民間から選抜された芸、容貌ともに秀でた楽戸*、侶優などの女子、それに少数の一般平民出身の女子であった。たとえば、著名な宮廷歌妓の永新は、もともと吉州(江西省吉安県)の楽戸の娘であり、歌が上手だったため選ばれて宮中に入った。辞填壇はもとは色町の妓女であったが、挙が上手だったため宮中に入って仕えることになった。平民女性で選抜されたものは、玄宗時代には特に「搊弾家」(演奏家)と称された(以上は、段安節『楽府雑録』「歌」、『古今図書集成』閏媛典閏艶部、崔令欽『教坊記』による。)。

*楽戸 楽籍という賤民身分の戸籍に属し、宮中の官妓、在野の楽人などが登録されていた。

『花間集』には三首所収され、毛文錫の作が一首収められている。双調三十五字、前段十五字五句一平韻、四仄韻、後段十四字三句一仄韻二平韻で、❻❻❸❸❸❻⑤③の詞形をとる。

昨日西溪遊  芳樹奇花千 鏁春

金罇滿 聽絃  嬌妓舞衫香
不覺到斜  馬馱

   

   
  

 

昨日西溪遊賞,芳樹奇花千樣,鏁春光。

昨日、西の渓谷で渓谷の風情を感賞して遊んだ、芳しい木樹は珍しい綺麗な花をつけていて、たくさんの花が様々な形で咲いていた。しかし、春の日差しは閉ざされようとしていた。

鏁春光 春の穏やか光を閉ざす。

鏁=鎖 ① 金属製の輪をつないだ紐状のもの。とざす。 ② 物と物とを結び付けているもの。きずな。

 

 

<鏁 春>

 

毛文錫

巻五10西溪子昨日西溪遊賞,芳樹奇花千樣,鏁春光。金罇滿,聽絃管,嬌妓舞衫香暖。不覺到斜暉,馬馱歸。

毛文錫

巻五19毛文錫《巻五19 柳含煙四首其一》隋堤柳,汴河旁。夾岸綠陰千里,龍舟鳳舸木蘭香,錦帆張。因夢江南春景好,一路流蘇羽葆。笙歌未盡起橫流,鏁春愁

和凝

巻六22河滿子二首其二寫得魚牋無限,其如花鏁春輝。目斷巫山雲雨,空教殘夢依依。卻愛熏香小鴨,羨他長在屏幃。

李珣

《巻十38酒泉子四首其一》  寂寞青樓,風觸繡簾珠翠撼。月朦朧,花暗澹,鏁春愁。尋思往事依稀夢,淚臉露桃紅色重。鬢欹蟬。釵墜鳳,思悠悠。

 

  

 

金罇滿,聽絃管,嬌妓舞衫香暖。

きょうは、黄金の大盃に酒をいっぱいに注ぎ、琴瑟楽器や笛、管楽器を奏でているのを耳にし、愛嬌のある妓優は霓裳羽衣の曲で長い上着を着て舞い、春の宴は香も盛んに、暖かな中に広がる。

罇 おおさかずき。もたい〔もたひ〕【瓮/甕/罇】

 ①(上半身に着る)ひとえの上着,シャツ.⇒ ,汗衫.②(足元まで届く)長い上着.

嬌妓舞 後宮に妖艶に舞う妓優。紅桃は『明皇雑録』『楊太真外伝』に見える。楊貴妃の侍女。楊貴妃に命じられて、紅粟玉の腕輪を謝阿蛮に渡した。後に、玄宗が安史の乱の勃発後、長安に帰還した時、楊貴妃の侍女の一人として会合する。そこで、楊貴妃の作曲した「涼州」を歌い、ともに涙にくれたが、玄宗によって、「涼州」は広められた。唐の張雲容は霓裳羽衣の曲を一人で舞い、金の腕輪を贈られた。謝阿蛮は『明皇雑録』『楊太真外伝』に見える、新豊出身の妓優。「凌波曲」という舞を得意としていた。その舞踊の技術により、玄宗と楊貴妃から目をかけられ、腕輪を与えられた。後に、玄宗が安史の乱の勃発後、長安に帰還した時、舞踊を披露した後で、その腕輪を玄宗に見せたため、玄宗は涙を落としたと伝えられる。

 

不覺到斜暉,馬馱歸。

あしたは、夢中でいて気付かなかった、日は西に沈んでゆくもので、かならずさめるものなのだ、つまらぬ駄馬のように帰ってゆく。

不覺到斜暉,馬馱歸 名をはせた妓優も若い日は何時までも続くものではない、いつしか駄馬の扱いになってしまうというほどの意味。【だ】 荷役に使う馬。駄馬。[接頭]名詞に付いて、値うちのないもの、つまらないもの、粗悪なものなどの意を表す。[接尾]助数詞。馬1頭に負わせる荷物の量を1駄として、その数量を数えるのに用いる。江戸時代には36貫(約135キロ)を定量とした。

 

 

 

 

 


7毛文錫《巻五09贊成功一首》『花間集』210全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6322

毛文錫  贊成功  

海棠未坼,萬點深紅,香包緘結一重重。似含羞態,邀勒春風。蜂來蝶去,任遶芳叢。

昨夜微雨,飄灑庭中,忽聞聲滴井邊桐。美人驚起,坐聽晨鐘。快教折取,戴玉瓏璁。

(海棠花の蕾の様な年若い女性が妃嬪として後宮に入り寵愛を一手に受けていることを詠う。)海棠花はいまだ花を開いてはいないけれど庭には赤い蕾が転々として深紅にひろがっている。たくさんの蕾は包み込んではいるものの、持っている香りをほのかにするが、その花ビラを一重、一重と結んでしまいこんでいる。それは恥じらいのしぐさを含んでいるし、春風が強く吹いてくれば迎える様にして花を開く。そうして、やがて蜂が飛んでくれば、今度は蝶が飛び去ってゆく、自由に飛びかい芳しい香りの叢に入る。昨夜は、小雨が降ったので、寝殿前の庭中が潤い色を濃くしとてもきれいになってくる。暫くすると、たちまち井戸のまわりの梧桐の葉に雨が滴り堕ちる雨音がきこえてくる。美人妃は雨音に驚いて起き上がったが、落ち着き払って朝方の鐘の音を聞いている。海棠花というべき妃嬪は、いろんなことを教えられ、心地良い事を教えられ、折られ摘み取られて行く、宝玉を頂戴して、宝玉が清らかにあたって鳴って妃嬪は今が最盛期である。

7毛文錫《巻五09贊成功一首》『花間集』210全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6322

 
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7毛文錫《巻五08喜遷鶯一首》『花間集』209全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6317

毛文錫  喜遷鶯一首  

芳春景,曖晴煙,喬木見鶯遷。 傳枝偎葉語關關,飛過綺叢間。

錦翼鮮,金毳軟,百囀千嬌相喚。碧紗曉怕聞聲,驚破鴛鴦暖。

(春が来て寵愛を受けた妃嬪は、春の暖かな砂浜に睦まじくする鴛鴦のように過すと詠う)芳しい香りが風に乗って来る春の景色、晴れあがっているが春霞に覆われてぼんやりしている。飛び遷ってきた鶯が高い木にとまっている。林の木々の葉が重なり伝わる葉擦れの音が聞こえその音に合わせて寄り添うように鳥たちがなごやかに啼いている。飛び立ったかと思うと奇麗な草むらの間に入っていく。その鳥の翼は錦織のようにあざやかに輝き、腹毛は柔らかに金色に輝く、だから、「ももさえずり」は、すべて艶めかしく、愛嬌をふりまいて、おおきな声で互いを呼び合ったりしている。朝日が昇り、東の高窓の紗を照らしたので急に明るくなった閨で、鶯啼が春の夜明けを知らせるために啼く時間に聞くことができなかったことが心配になるけれど、それに、夢を見ていたのが破れて起き上がって驚きはしたけれど、日が登ってくれば鴛鴦が砂浜で過ごす暖かい日よりになってくる。

 

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花間集の中で喜遷鶯は六首以下のとおりである。

韋相莊(韋荘)

(改訂版)-35韋荘113《巻3-13 喜遷鶯二首 其一》

(改訂版)-36韋荘114《巻3-14 喜遷鶯二首 其二》

薛侍郎昭蘊(薛昭蘊)

(改訂版)-4.薛昭蘊135巻三35喜遷鶯三首 其一》

(改訂版)-4.薛昭蘊136《巻三36喜遷鶯三首 其二》

(改訂版)-4.薛昭蘊137《巻三37喜遷鶯三首 其三》

毛文錫(毛司徒文錫)

喜遷鶯一首

 

遷鶯 鶯遷のこと。 鶯が谷から出て大きな木に移ること。転じて、立身出世すること。進士の試験に及第することをいう。科挙の試験に合格し、朝まだき、天子にお目見えするさまを、道教の神、玉華君にお目見えするさまを借りて詠うもので率直な表現をしている。前段は、天子に拝謁に向かう騎馬の行列の鳴り物入りの賑やかなさまは他人の騒がしさ、襟や袖を吹き過ぎる夜明けの風の模様、五更の空は自分自身が感じるこれまでと違った感覚などを描写する。後段は、参内する科挙の合格者の騎馬の列、それを導く儀仗隊の盛んなさま、合格者の豪華な着衣などを描写した後、いよいよ天子に拝謁するさまを述べる。韋荘は科挙の試験に幾度も失敗を重ね、晩年、五十九歳になって初めて合格した。この詞には、その歓びのさまが言葉の端々に表れている。後段最後の「玉華君に引見せらる」の句は、科挙の合格者が、天子直々の試験、殿試験を受けることを言ったものである。

『喜遷鶯二首』其一、『題酒家』「酒綠花紅客愛詩,落花春岸酒家旗。尋思避世爲逋客,不醉長醒也是癡。」題酒家 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-278-5-#32  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2937

韋莊 長安春

長安二月多香塵、六街車馬聲鈴凛。

家家楼上如花人、千枝萬枝紅艶新。

簾間笑語自相問、何人占得長安春。

長安春色本無主、古来盡屬紅樓女。

如今無奈杏園人、駿馬輕車擁将去。

長安春 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-269-5-#23  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2892 

薛昭蘊 喜遷鶯三首 其二

(改訂版)-4.薛昭蘊136《巻三36喜遷鶯三首 其二》 

喜遷鶯三首 其二

金門曉,玉京春,駿馬驟輕塵。

樺煙深處白衫新,認得化龍身。

九陌喧,千啓,滿袖桂香風細。

杏園歡宴曲江濱,自此占芳辰。

(喜遷鶯三首 其の二)

金門の曉,玉京の春,駿馬は驟【はし】り 輕塵【じんけい】す。

樺煙 深處 白衫の新,認得す 龍身に化するを。

九陌の喧,千の啓,滿袖 桂香 風細やかなる。

杏園の歡宴 曲江の濱,自ら此に 芳辰を占む。

(喜遷鶯三首 其の二:科挙に及第したその当日、天子に謁見し、その後街に出て祝福を受け、杏園、曲江での祝宴を満喫すると詠う。)

いつも見る金光門の暁が、今日は晴れやかだ、天子におあいできる輝かしい都の春である、駿馬もこの日は次々に入城してきて、急ぎ馬が砂塵を巻いて突っ走り、人も集まって進むと砂塵が舞う。

謁見の宮殿には樺の燭火の煙は奥まったところにまで漂っていて、そこには白く新しい上着をまとった官女がならぶ、そこ二つの角と五つの爪を持つ龍に化身された皇帝が鎮座されているのが分かった、科挙試験合格が実感として感じる。

安城の南北にぬける「九通」はどの通りも喧しくなり、たくさんの邸宅、家という家の門は開かれた、及第者は、各家を回って祝ってもらう、通りの大勢の人々は手を振って喜んでくれ、各所で焚かれる桂のお香は春のおだやかな微風に乗って届いてくる。

夕方には、杏園で、歓喜の祝宴を賜り、曲江のほとりの砂浜でも色とりどりの幔幕が張られ祝いの宴が催され、長安の街を園遊する。このようにいま自分は目標を達成し、よい日、よい時を一人でかみしめ、満喫しているのだ。

『花間集』全詩訳注解説(改訂版)-4.薛昭蘊136《巻三36喜遷鶯三首 其二》巻三3636-136〉漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-5882

またの名を《早梅芳》、《春光好》、《烘春桃李》、《喜遷鶯令》、《萬年枝》、《燕歸來》、《鶴沖天》、《鶴冲霽》、《燕帰梁》、などという。「花間集」には韋荘の詩二首収められている。双調四十七字、前段二十三字五句五平韻、後段二十四字五句二仄韻二平韻で、③③⑤⑦⑤/3❸❻⑦⑤の詞形をとっている。

 長安皇城宮城00

 

喜遷鶯一首

(春が来て寵愛を受けた妃嬪は、春の暖かな砂浜に睦まじくする鴛鴦のように過すと詠う)

芳春景,曖晴煙,喬木見鶯遷。

芳しい香りが風に乗って来る春の景色、晴れあがっているが春霞に覆われてぼんやりしている。飛び遷ってきた鶯が高い木にとまっている。

傳枝葉語關關,飛過綺叢間。

林の木々の葉が重なり伝わる葉擦れの音が聞こえその音に合わせて寄り添うように鳥たちがなごやかに啼いている。飛び立ったかと思うと奇麗な草むらの間に入っていく。

錦翼鮮,金毳軟,百囀千嬌相喚。

その鳥の翼は錦織のようにあざやかに輝き、腹毛は柔らかに金色に輝く、だから、「ももさえずり」は、すべて艶めかしく、愛嬌をふりまいて、おおきな声で互いを呼び合ったりしている。

碧紗曉怕聞聲,驚破鴛鴦暖。

朝日が昇り、東の高窓の紗を照らしたので急に明るくなった閨で、鶯啼が春の夜明けを知らせるために啼く時間に聞くことができなかったことが心配になるけれど、それに、夢を見ていたのが破れて起き上がって驚きはしたけれど、日が登ってくれば鴛鴦が砂浜で過ごす暖かい日よりになってくる。

 

(喜遷鶯一首)

芳しき春景,曖かな晴煙,喬木 鶯遷を見る。

傳枝  關關と語り,飛びて綺叢の間を過る。

錦翼の鮮,金毳の軟,百囀 千嬌 相いに喚す。

碧紗の曉 聲を聞くを怕れ,破れるを驚けど 鴛鴦の暖。

 

 

『喜遷鶯一首』 現代語訳と訳註

(本文)

喜遷鶯一首

芳春景,曖晴煙,喬木見鶯遷。

傳枝偎葉語關關,飛過綺叢間。

錦翼鮮,金毳軟,百囀千嬌相喚。

碧紗曉怕聞聲,驚破鴛鴦暖。

 

(下し文)

(喜遷鶯一首)

芳しき春景,曖かな晴煙,喬木 鶯遷を見る。

傳枝 偎葉 關關と語り,飛びて綺叢の間を過る。

錦翼の鮮,金毳の軟,百囀 千嬌 相いに喚す。

碧紗の曉 聲を聞くを怕れ,破れるを驚けど 鴛鴦の暖。

 

(現代語訳)

(春が来て寵愛を受けた妃嬪は、春の暖かな砂浜に睦まじくする鴛鴦のように過すと詠う)

芳しい香りが風に乗って来る春の景色、晴れあがっているが春霞に覆われてぼんやりしている。飛び遷ってきた鶯が高い木にとまっている。

林の木々の葉が重なり伝わる葉擦れの音が聞こえその音に合わせて寄り添うように鳥たちがなごやかに啼いている。飛び立ったかと思うと奇麗な草むらの間に入っていく。

その鳥の翼は錦織のようにあざやかに輝き、腹毛は柔らかに金色に輝く、だから、「ももさえずり」は、すべて艶めかしく、愛嬌をふりまいて、おおきな声で互いを呼び合ったりしている。

朝日が昇り、東の高窓の紗を照らしたので急に明るくなった閨で、鶯啼が春の夜明けを知らせるために啼く時間に聞くことができなかったことが心配になるけれど、それに、夢を見ていたのが破れて起き上がって驚きはしたけれど、日が登ってくれば鴛鴦が砂浜で過ごす暖かい日よりになってくる。

 

(訳注)

喜遷鶯一首

(春が来て寵愛を受けた妃嬪は、春の暖かな砂浜に睦まじくする鴛鴦のように過すと詠う)

前段は春行楽に寵愛され、わが世の春と有頂天、良い暮らしにかわってゆく、後段、また来た春にも、寵愛を受け続けてゆくという女を詠う。

またの名を喜選鶯令、鶴冲天、鶴冲霽、燕帰来、燕帰梁、早梅芳、春光好などという。“花間集」には毛文錫の詩一首収められている。双調四十七字、前段二十三字五句四平韻、後段二十四字五句四仄韻で、3③⑤⑦⑤/❸❸❻7❺の詞形をとっている。

喜遷鶯一首

芳春景,曖晴,喬木見鶯

傳枝偎葉語關,飛過綺叢

錦翼,金毳,百囀千嬌相

碧紗曉怕聞聲,驚破鴛鴦

○○●  ●○○  ○●●○○

△○○●●○○  ○△●○△

●●△  ○●●  ●●○△△●

●○?●●△○  ○●○○●

 

芳春景,曖晴煙,喬木見鶯遷。

芳しい香りが風に乗って来る春の景色、晴れあがっているが春霞に覆われてぼんやりしている。飛び遷ってきた鶯が高い木にとまっている。

○芳春景 芳しい香りが風に乗って來る春の景色。

曖晴煙 はっきりせず、ぼんやりしているさま。あやふやなさま。春の朧な様子。

○喬木 高木(こうぼく)は、植物学の用語で、木本のうち、樹高が5mを超える植物のことである。10m未満のものを小高木、20mを超えるものを大高木と呼ぶこともある。広義(一般)では、高木(こうぼく、たかぎ)は丈の高い(人の背丈以上の)木をいう。 喬木(きょうぼく) 

○鶯遷 鶯が谷から出て大きな木に移ること。転じて、立身出世すること。進士の試験に及第すること。地位の変化により女を棄てることを意味する。

 

傳枝偎葉語關關,飛過綺叢間。

林の木々の葉が重なり伝わる葉擦れの音が聞こえその音に合わせて寄り添うように鳥たちがなごやかに啼いている。飛び立ったかと思うと奇麗な草むらの間に入っていく。

傳枝 葉が重なり伝わるように、鬱蒼とした様子ではない。

偎葉 ぴったり寄り添う,寄り掛かる, 偎依寄り掛かる.

關關 一羽でなくいろんな多くの鳥がなごやかに啼くこと。

 

錦翼鮮,金毳軟,百囀千嬌相喚。

その鳥の翼は錦織のようにあざやかに輝き、腹毛は柔らかに金色に輝く、だから、「ももさえずり」は、すべて艶めかしく、愛嬌をふりまいて、おおきな声で互いを呼び合ったりしている。

○錦翼 錦織のように輝くつばさ。立身出世して雲の上の存在になる様子。

李白、樂府『雉子斑』〔設辟邪伎鼓吹雉子斑曲辭〕

辟邪伎作鼓吹驚,雉子班之奏曲成,喔咿振迅欲飛鳴。

扇錦翼,雄風生。

雙雌同飲啄,趫悍誰能爭。

乍向草中耿介死,不求黃金籠下生。

天地至廣大,何惜遂物情。

善卷讓天子,務光亦逃名。

所貴曠士懷,朗然合太清。

○金毳 金の細くてやわらかい毛、金色に輝く柔らかな鳥の腹毛。

○百囀 ももさえずり。多くの人が一気にしゃべっていること。数多くさえずること。

○千嬌 千の艶めかしく、愛嬌をふりまく。あでやか。なまめかしい。この句は出世した男に女たちがすり寄ってくる様子をいう。

○相喚1 大声で呼ぶ。わめく。「喚呼・喚声/叫喚」2 呼び出す。

 

碧紗曉怕聞聲,驚破鴛鴦暖。

朝日が昇り、東の高窓の紗を照らしたので急に明るくなった閨で、鶯啼が春の夜明けを知らせるために啼く時間に聞くことができなかったことが心配になるけれど、それに、夢を見ていたのが破れて起き上がって驚きはしたけれど、日が登ってくれば鴛鴦が砂浜で過ごす暖かい日よりになってくる。

○碧紗 薄緑の薄絹を張って窓、東の高窓をいう。

䆫曉 うす絹を張った高窓に夜明けの横に入る日差しが窓を照らす。朝方がたまで愛し合っていて急に朝日が射したために、高窓の紗を照らしたので急に閨全体が明るくなった様子を云う。

毛文錫『紗窓恨』

恨二首 其一

新春鷰子還來至,一雙飛。

壘巢泥濕時時墜,涴人衣。

後園裏看百花發,香風拂,繡金扉。

月照紗,恨依依。

紗窗恨 毛文錫【もうぶんせき】  ⅩⅫ唐五代詞・「花間集」 Gs-368-8-#4  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3387

怕聞聲 夜明けを知らせるために泣く時間に泣くことができなかったことが心配になる。

○驚破鴛鴦 夢を見ていたのが破れて起き上がって驚いたけれど、日が登って鴛鴦が砂浜で過ごす暖かい日よりになってくる。

長安城図 作図00
 

7毛文錫《巻五07酒泉子一首》『花間集』208全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6312

毛文錫  酒泉子  

綠樹春深,鷰語鶯啼聲斷續。蕙風飄蕩,入芳叢,惹殘紅。

柳絲無力裊煙空,金盞不辭須滿酌。海棠花下思朦朧,醉香風。

(前の春、あれほど寵愛を受けたのに、春になっても、行楽に行くこともなく後宮の海棠花の下で、ただ酒を呑むだけと詠う。)柳の木樹は緑に繁り、春の景色は盛りになってきた。ツバメは梁の上で雛たちが囀り、しきりに春を告げていた鶯の啼き声も、次第に断続的になり、そして、聞えなくなった。花のかおりは風に乗ってただよい、その芳しい香りがうっそうと茂る花木草木の中に入ってゆく。それでも残って咲いている花にまでとりこになってしまう。みどりが濃くなった柳の枝には、しなやかに揺る燻煙も、ただ空しいものと力もなくなっていく、そこには話すわけでもなく、金の盃に注がれる酒を全て飲み続け、酔いつぶれるしかない。また、春を誇る海棠花が咲くその下で、あのお方への思いは、ただ朦朧とするだけで、この香りのよい風にあたって酔っている。

7毛文錫《巻五07酒泉子一首》『花間集』208全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6312

 
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7毛文錫《巻五06虞美人二首其二》『花間集』207全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6307

毛文錫  虞美人二首 其二  

寶檀金縷鴛鴦枕,綬帶盤宮錦。夕陽低映小明,南園綠樹語鶯鶯,夢難成。

玉鑪香暖頻添炷,滿地飄輕絮。珠簾不卷度沉煙,庭前閑立畫鞦韆,豔陽天。

(春になり、その盛りのころは寵愛を一手に受けていたが、春の終わりには寵愛を失ったという、その情景を詠う)閨の寝牀は寶檀であり、金糸飾りが施され、鴛鴦のように枕に臥す、寝殿には綬帶鳥図に盤宮錦とありとあらゆる飾りに寵愛されているのを感じるものにかこまれている。日も長く、夕日は低く照らし、寝殿閨の小窓を明るくする。春も終わるころになり、寝殿南側の庭園に葉もうっそうと茂るころには、愛し合いながらも別れることになる「鶯鶯伝」を語ることになる。夢は、現実になることは難しいものだ。

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 杜甫詩(7)759年;乾元二年、48歳 秦州抒情詩 66首杜甫詩(8)作時759年、48歳 秦州発、同谷紀行、成都紀行 36首杜甫詩(9)760年;上元元年、49歳 成都浣花渓草堂 45首杜甫詩(10)761年;上元二年、50歳 成都浣花渓草堂 82首杜甫詩(11)762年寶應元年 杜甫51歳  浣花渓草堂~蜀中転々 43首杜甫詩(12)762年寶應元年 杜甫51歳 蜀中転々 49首 
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毛文錫(生卒年未詳)、字を平珪と言い、南陽(今の河南省南陽)の人。十四歳で進士に及第し、前蜀の王建に仕え、司徒に任じられ、毛司徒と呼ばれた。その後、前覇が亡びると、後主の王衍に従って後唐に降り、さらに後蜀に仕え、欧陽烱、閻選、鹿虔扆、韓琮らと詞をもって後蜀の孟昶に奉仕し「五鬼」と称された。著書に『前局紀事』二巻、『茶譜』一巻がある。毛文錫の詞は大多数が男女の離別の情や傷惜春の情を詠ったものであるが、中には功名富貴を主張したものや、辺境の戦を詠ったものもある。『花間集』には三十一首の詞が収められている。

 

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7毛文錫《巻五05虞美人二首其一》『花間集』206全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6302

毛文錫  虞美人二首其一  鴛鴦對浴銀塘暖,水面蒲梢短。垂楊低拂麴塵波,蛟絲結網露珠多,滴圓荷。遙思桃葉江碧,便是天河隔。錦鱗紅鬣影沉沉,相思空有夢相尋,意難任

(南京、秦淮の河畔「桃葉渡」には、桃葉を深く愛した.王獻之のことがよくわかる趣を残していると詠う。)あれほどに思いつづけた東晋の情熱の女妓「桃葉」は遙か呉江のほとりの碧のもとにある。すなわち、今は、ここには二人を引き裂くのは天の川が横たわっている。そして“たまにはお前から私に思いを寄せてくれ”といったものの、錦の鱗魚は水底深く住んでいて、魚中書を出すすべもなく、これだけ恋い焦がれているのに、ただ夢に尋ねるだけなのだ、この思いはもう堪えがたいものだ。

7毛文錫《巻五05虞美人二首其一》『花間集』206全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6302

 
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毛文錫(生卒年未詳)、字を平珪と言い、南陽(今の河南省南陽)の人。十四歳で進士に及第し、前蜀の王建に仕え、司徒に任じられ、毛司徒と呼ばれた。その後、前覇が亡びると、後主の王衍に従って後唐に降り、さらに後蜀に仕え、欧陽烱、閻選、鹿虔扆、韓琮らと詞をもって後蜀の孟昶に奉仕し「五鬼」と称された。著書に『前局紀事』二巻、『茶譜』一巻がある。毛文錫の詞は大多数が男女の離別の情や傷惜春の情を詠ったものであるが、中には功名富貴を主張したものや、辺境の戦を詠ったものもある。『花間集』には三十一首の詞が収められている。

 

毛文錫三十一首

巻五05虞美人二首其一鴛鴦對浴銀塘暖,水面蒲梢短。垂楊低拂麴塵波,蛟絲結網露珠多,滴圓荷。遙思桃葉江碧,便是天河隔。錦鱗紅鬣影沉沉,相思空有夢相尋,意難任

巻五06虞美人二首其二寶檀金縷鴛鴦枕,綬帶盤宮錦。夕陽低映小明,南園綠樹語鶯鶯,夢難成。玉鑪香暖頻添炷,滿地飄輕絮。珠簾不卷度沉煙,庭前閑立畫鞦韆,豔陽天

巻五07酒泉子綠樹春深,鷰語鶯啼聲斷續。蕙風飄蕩入芳叢,惹殘紅。柳絲無力裊煙空,金盞不辭須滿酌。海棠花下思朦朧,醉香風。

巻五08喜遷鶯芳春景,曖晴煙,喬木見鶯遷。傳枝偎葉語關關,飛過綺叢間。錦翼鮮,金毳軟,百囀千嬌相喚。碧紗曉怕聞聲,驚破鴛鴦暖

巻五09贊成功海棠未坼,萬點深紅,香包緘結一重重。似含羞態,邀勒春風。蜂來蝶去,任遶芳叢。昨夜微雨,飄灑庭中。忽聞聲滴井邊桐,美人驚起,坐聽晨鐘。快教折取,戴玉瓏璁。

巻五10西溪子昨日西溪遊賞,芳樹奇花千樣,鏁春光。金罇滿,聽絃管,嬌妓舞衫香暖。不覺到斜暉,馬馱歸。

巻五11中興樂豆花繁煙豔深,丁香軟結同心。翠鬟女,相與共淘金。紅蕉葉裏猩猩語,鴛鴦浦,鏡中鸞舞。絲雨隔,荔枝陰

巻五12更漏子春夜闌,春恨切,花外子規啼月。人不見,夢難憑,紅紗一點燈。偏怨別,是芳節,庭中丁香千結。宵霧散,曉霞輝,梁間雙鷰飛。

巻五13接賢賓香韉鏤襜五花驄,春景初融。流珠噴沫躞蹀,汗血流紅。少年公子能乘馭,金鑣玉轡瓏璁。為惜珊瑚鞭不下,驕生百步千蹤。信穿花,從拂柳,向九陌追風

巻五14贊浦子錦帳添香睡,金鑪換夕薰。懶結芙蓉帶,慵拖翡翠裙。正是桃夭柳媚,那堪暮雨朝雲。宋玉高唐意,裁瓊欲贈君。

巻五15甘州遍二首其一春光好,公子愛閑遊,足風流。金鞍白馬,雕弓寶劍,紅纓錦襜出長鞦。花蔽膝,玉銜頭。尋芳逐勝歡宴,絲竹不曾休。美人唱,揭調是《甘州》。醉紅樓。堯年舜日,樂聖永無憂。

巻五16甘州遍二首其二秋風緊,平磧鴈行低,陣雲齊。蕭蕭颯颯,邊聲四起,愁聞戍角與征鼙。青塚北,黑山西。沙飛聚散無定,往往路人迷。

巻五17恨二首其一新春鷰子還來至,一雙飛。壘巢泥濕時時墜,涴人衣。後園裏看百花發,香風拂,繡金扉。月照紗,恨依依

巻五18恨二首其二雙雙蝶翅塗鈆粉,花心。綺飛來穩,畫堂陰。二三月愛隨飄絮,伴落花,來拂衣襟。更剪輕羅片,傅黃金

巻五19毛文錫《巻五19 柳含煙四首其一》隋堤柳,汴河旁。夾岸綠陰千里,龍舟鳳舸木蘭香,錦帆張。因夢江南春景好,一路流蘇羽葆。笙歌未盡起橫流,鏁春愁。

巻五20柳含煙四首其二河橋柳,占芳春。映水含煙拂路,幾迴攀折贈行人,暗傷神。樂府吹為橫笛曲,能使離腸斷續。不如移植在金門,近天恩。

巻五21柳含煙四首其三章台柳,近垂旒。低拂往來冠蓋,朦朧春色滿皇州,瑞煙浮。直與路邊江畔別,免被離人攀折。最憐京兆畫蛾眉,葉纖時。

巻五22柳含煙四首其四御溝柳,占春多。半出宮牆婀娜,有時倒影醮輕羅,麴塵波。昨日金鑾巡上苑,風亞舞腰纖軟。栽培得地近皇宮,瑞煙濃。

巻五23醉花間二首其一休相問,怕相問,相問還添恨。春水滿塘生,鸂鶒還相趁。咋夜雨霏霏,臨明寒一陣。偏憶戍樓人,久邊庭信

巻五24醉花間二首其二深相憶,莫相憶,相憶情難極。銀漢是紅牆,一帶遙相隔。金盤珠露滴,兩岸花白。風搖玉珮清,今夕為何夕

巻五25浣沙溪春水輕波浸綠苔,枇杷洲上紫檀開。晴日眠沙鸂鸂穩,暖相隈。羅襪生塵遊女過,有人逢著弄珠迴。蘭麝飄香初解珮,忘歸來。

巻五26浣溪沙七夕年年信不違,銀河清淺白雲微,蟾光鵲影伯勞飛。每恨蟪蛄憐婺女,幾迴嬌妬下鴛機,今宵嘉會兩依依。

巻五27月宮春一首水精宮裡桂花開,神仙探幾迴。紅芳金蘂繡重臺,低傾馬瑙盃。玉兔銀蟾爭守護,姮娥女戲相隈。遙聽鈞天九奏,玉皇親看來。

巻五28戀情深二首其一滴滴銅壺塞漏咽,醉紅樓月。宴餘香殿會鴛衾,蕩春心。真珠簾下曉光侵,鶯語隔瓊林。寶帳欲開慵起,戀情深。

巻五29戀情深二首其二玉殿春濃花爛熳,簇神仙伴。羅裙窣地縷黃金,奏清音。酒闌歌罷兩沉沉,一笑動君心。永作鴛鴦伴,戀情深。

巻五30訴衷情二首其一桃花流水漾縱橫,春晝彩霞明。劉郎去,阮郎行,惆悵恨難平。愁坐對雲屏,算歸程。何時攜手洞邊迎,訴衷情。

巻五31訴衷情二首其二鴛鴦交頸繡衣輕,碧沼藕花馨。隈藻荇,映蘭汀,和雨浴浮萍。思婦對心驚,想邊庭。何時解珮掩雲屏,訴衷情。

巻五32應天長平江波暖鴛鴦語,兩兩釣舡歸極浦。蘆州一夜風和雨,飛起淺沙翹雪鷺。漁燈明遠渚,蘭棹今宵何處。羅袂從風輕舉,愁殺採蓮女。

巻五33河滿子紅粉樓前月照,碧紗外鶯啼。夢斷遼陽音信,那堪獨守空閨。恨對百花時節,王孫綠草萋萋。

巻五34巫山一段雲雨霽巫山上,雲輕映碧天。遠峯吹散又相連,十二晚峯前。暗濕啼猿樹,高籠過客舡。朝朝暮暮楚江邊,幾度降神仙。

巻五35臨江仙暮蟬聲盡落斜陽,銀蟾影掛瀟湘。黃陵廟側水茫茫。楚山紅樹,煙雨隔高唐。岸泊漁燈風颭碎,白蘋遠散濃香。靈娥皷琴韻清商,朱絃淒切,雲散碧天長。

毛文錫. (約西元913年前後在世),字平珪,高陽(今河北高陽縣)人。 唐進士。在蜀做翰林學士,累官司徒。蜀亡,降後唐。後又事後蜀,擅小詩豔語。 西溪子昨夜西溪遊賞,芳樹奇花千樣。鎖春光,金樽滿,聽絃管。 嬌妓舞衫香暖。不覺到斜暉,馬馱歸。

毛文錫三十一首

 

 

 

7毛文錫《巻五05虞美人二首其一》『花間集』206全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6302

 

 

虞美人二首 其一

(南京、秦淮の河畔「桃葉渡」には、桃葉を深く愛した.王獻之のことがよくわかる趣を残していると詠う。)

鴛鴦對浴銀塘暖,水面蒲梢短。

鴛鴦は銀色に光る池の水に遊び、堤には春の暖かさがひろがってきたが、それでも蒲は水面より顏を短く出す。

垂楊低拂塵波,蛟絲結網露珠多,滴圓荷。

柳の枝は水面に届くほどに垂れて掃き払い、池の波は柳の薄黄の色にそまっている。その水面に映る枝は、蛟が蜘蛛の巣に露の玉も編込まれたように多くある、円い蓮の葉には露がこぼれ落ちる。 

遙思桃葉江碧,便是天河隔。

あれほどに思いつづけた東晋の情熱の女妓「桃葉」は遙か呉江のほとりの碧のもとにある。すなわち、今は、ここには二人を引き裂くのは天の川が横たわっている。

錦鱗紅鬣影沉沉,相思空有夢相尋,意難任。

錦の鱗魚は水底深く住んでいて、魚中書を出すすべもなく、これだけ恋い焦がれているのに、ただ夢に尋ねるだけなのだ、この思いはもう堪えがたい。

 

 

其二

寶檀金縷鴛鴦枕,綬帶盤宮錦。

夕陽低映小明,南園綠樹語鶯鶯,夢難成。

玉鑪香暖頻添炷,滿地飄輕絮。

珠簾不卷度沉煙,庭前閑立畫鞦韆,豔陽天。

 

 

『虞美人二首 其一』 現代語訳と訳註

(本文)

虞美人二首 其一

鴛鴦對浴銀塘暖,水面蒲梢短。

垂楊低拂麴塵波,蛟絲結網露珠多,滴圓荷。

遙思桃葉江碧,便是天河隔。

錦鱗紅鬣影沉沉,相思空有夢相尋,意難任。

 

(下し文)

鴛鴦 対浴して銀塘 暖かに、水面 蒲梢 短し。

垂楊 低く払う 麹塵の波、蛟絲 網を結びて 露珠 多く、円荷に滴る。

遙かに思うは 桃葉 呉江の碧ならんこと、便ち是れ 天河 隔つ。

錦鱗紅髭 影 沈沈として、相い思うも 空しく夢の相い尋ぬる 有るのみ、意 任え難し

 

(現代語訳)

(南京、秦淮の河畔「桃葉渡」には、桃葉を深く愛した.王獻之のことがよくわかる趣を残していると詠う。)

鴛鴦は銀色に光る池の水に遊び、堤には春の暖かさがひろがってきたが、それでも蒲は水面より顏を短く出す。

柳の枝は水面に届くほどに垂れて掃き払い、池の波は柳の薄黄の色にそまっている。その水面に映る枝は、蛟が蜘蛛の巣に露の玉も編込まれたように多くある、円い蓮の葉には露がこぼれ落ちる。 

あれほどに思いつづけた東晋の情熱の女妓「桃葉」は遙か呉江のほとりの碧のもとにある。すなわち、今は、ここには二人を引き裂くのは天の川が横たわっている。

そして“たまにはお前から私に思いを寄せてくれ”といったものの、錦の鱗魚は水底深く住んでいて、魚中書を出すすべもなく、これだけ恋い焦がれているのに、ただ夢に尋ねるだけなのだ、この思いはもう堪えがたいものだ。

 

(訳注)

虞美人二首 

(南京、秦淮の河畔「桃葉渡」には、桃葉を深く愛した.王獻之のことがよくわかる趣を残していると詠う。)

 秦末・ 虞美『虞美人歌』玉臺新詠

虞美人歌
漢兵已略地,四方楚歌聲。
大王意氣盡,賤妾何聊生。
虞美人歌  秦末・虞美人 詩<118>古代 女性詩 555 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1482 

『虞美人歌』

この詩は『史記正義』に出てくる楚の項羽(項籍)の女官である虞美人の作といわれる。項羽が、垓下で敗れたときに慷慨悲歌したときの詩

項羽『垓下歌

力拔山兮氣蓋世,時不利兮騅不逝。

騅不逝兮可奈何,虞兮虞兮奈若何!

であるが、それに対して虞美人が歌い舞った。

項羽と劉邦は戦いと和睦を繰り返しながら、垓下で雌雄を決する一戦を迎える。この時、項羽の少数の軍勢を大軍で取り囲んだ劉邦は、味方の兵士たちに項羽の祖国楚の歌を歌わせる。この歌を聞いた項羽は味方の兵が寝返ったのだと誤解して絶望する。その絶望の中で歌ったとされるのが、「垓下歌」である。

・西楚覇王・項羽の愛姫・虞姫の唱った歌。 

・この悲劇に基づき後世、同題の詩が作られる。 

・虞美人 項羽の女官。「美人」は位。

・実質上の妻。『史記・項羽本紀』虞姫は、どの戦闘にもついて行った。

唐の教坊の曲名。『花間集』には十四首所収。毛文錫の詩は二首収められている。双調五十八字、前後段五句二十九字二仄韻三平韻で、❼❺⑦⑦③/❼❺⑦⑦③の詞形をとる。

虞美人二首 其一

鴛鴦對浴銀塘,水面蒲梢

垂楊低拂麴塵,蛟絲結網露珠,滴圓

遙思桃葉,便是天河

錦鱗紅鬣影沉,相思空有夢相,意難

○○●●○○●  ●●○△●

○○○●●○○  ○○●●●○○  ●○△

○△○●○○●  △●○○●

●○○●●○○  △△△●△△○  ●△△

 

其一

(鴛鴦のように過したが、今は高貴な人の妻、二人の間には天の川がある。そこにいるとわかっていても手が届かないもどかしい男の気持ちを詠う。虞美人に男の気持ちは伝わらない。)

呉江のほとりに住む虞美人に思慕する。前段は、春、水温む時節の池陂の景物を描写し、後段は、前段の番の鴛鴦(オシドリ)から、呉江の対岸に住む高貴な人の女となった女性への思いを募らせる。二人を隔てる呉江は決して渡れない天の川に相当し、手紙を寄せる手だてもなく、ただ夢に彼女を尋ねるはかりで、とても今の気持ちには堪えられないと、手に届かない女性への切なる思いを語る。

 

鴛鴦對浴銀塘暖,水面蒲梢短。

鴛鴦は銀色に光る池の水に遊び、堤には春の暖かさがひろがってきたが、それでも蒲は水面より顏を短く出す。

○銀塘 光を反射して銀色に光る池の水と堤。

 

垂楊低拂麴塵波,蛟絲結網露珠多,滴圓荷。

柳の枝は水面に届くほどに垂れて掃き払い、池の波は柳の薄黄の色にそまっている。その水面に映る枝は、蛟が蜘蛛の巣に露の玉も編込まれたように多くある、円い蓮の葉には露がこぼれ落ちる。 

○麴塵波 薄黄色の波間。麹塵は酒造用の麹の薄黄色の花。ここでは芽吹いた薄黄色の柳の葉に水面が染まっているさまを表現している。

○蛟絲 柳の枝が水面に映るのが、ミズチが蜘蛛の絲をだして網の様だし、その網には真珠の珠が光るようである。

 

遙思桃葉江碧,便是天河隔。

あれほどに思いつづけた東晋の情熱の女妓「桃葉」は遙か呉江のほとりの碧のもとにある。すなわち、今は、ここには二人を引き裂くのは天の川が横たわっている。

○桃葉 東晋・王献之の愛妾の名。ここでは借りて意中の女性を意味する。王献之の愛妾“桃葉”は秦淮の両岸を往来する時、王献之は心配でならずに、いつも自ら秦淮河の渡し場まで迎えに行き、≪桃葉歌≫「桃葉復桃葉,渡江不用楫。但渡無所苦,我自迎接汝。」“桃葉よ桃葉、河を渡るのに櫂は使わないでおくれ、そして、苦しいことはすることはないでいいよ、私が迎えに行くから”と、渡し場から大声で叫び続け、そのうちに南浦渡は桃葉渡と呼ばれるようになった。後の人々は王献之の記念として、彼が当時、桃葉を迎えに行っていた渡し場を桃葉渡と名付けた。

 

錦鱗紅鬣影沉沉,相思空有夢相尋,意難任。

そして“たまにはお前から私に思いを寄せてくれ”といったものの、錦の鱗魚は水底深く住んでいて、魚中書を出すすべもなく、これだけ恋い焦がれているのに、ただ夢に尋ねるだけなのだ、この思いはもう堪えがたいものだ。

○錦鱗紅鬣 鯉を飾って言ったもの。雷はここでは魚のロひげの意。鯉は手紙の別称。楽府古辞の「客 遠方より来たり、我に双鯉魚を遣る。児を呼びて鯉魚を君さしむ、中に尺素の書有り」(魚中書)とある。

○影沈沈 水中深く沈んで姿の見えぬこと。

○意難任 思いをそのままにはしておけない、堪えがたい思い。

この三句は、.王獻之《桃葉歌二首其二》「桃葉復桃葉,桃葉連桃根。相憐兩樂事,獨使我殷勤。」“桃葉よ桃葉、桃の葉は桃の根と連なっているよ、お互いに愛し合うのは、二人が一緒にいる時の楽しいことだけど、お前は私ばかりに気を持たせてばかりだ、たまにはお前から私に思いを寄せてくれ”という詩に基づいている。

張泌《巻五04蝴蝶兒 一首》『花間集』205全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6297

張泌  蝴蝶兒 一首  

蝴蝶兒,晚春時,阿嬌初著淡黃衣,倚學畫伊。

還似花間見,雙雙對對飛。

無端和淚拭鷰脂,惹教雙翅垂。

(若い女が楽しく手習いをしていて窓辺で蝶の絵を描く、庭の花の間にはツガイの朝が舞う、自分は何時まで一人なのか、先行き不安であるとそのさまを詠う。)かわいらしい蝶が舞い、春もおわろうとする頃、阿矯ちゃんは初めて大人の装いの薄黄の衣を身に着けた。こんどは窓近くいて、習いたての絵、それも胡蝶の絵を描いている。

張泌《巻五04蝴蝶兒 一首》『花間集』205全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6297

 

 
 2015年7月13日の紀頌之5つのBlog 
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 ・李商隠詩 (1) 136首の75首・李商隠詩 (2) 135首の61首●韓愈index-1 ・孟郊、張籍と交遊・汴州乱41首●韓愈詩index-2[800年 33歳~804年 37歳]27首●韓愈詩index-3 805年 38歳・]陽山から江陵府 36首●韓愈詩index-4 806年 39歳 江陵府・権知国子博士 51首(1)25首 
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蝴蝶兒 一首

(若い女が楽しく手習いをしていて窓辺で蝶の絵を描く、庭の花の間にはツガイの朝が舞う、自分は何時まで一人なのか、先行き不安であるとそのさまを詠う。)

蝴蝶兒,晚春時,阿嬌初著淡黃衣,倚學畫伊。

かわいらしい蝶が舞い、春もおわろうとする頃、阿矯ちゃんは初めて大人の装いの薄黄の衣を身に着けた。こんどは窓近くいて、習いたての絵、それも胡蝶の絵を描いている。

還似花間見,雙雙對對飛。

咲き乱れている花間に蝶がみえ、二つながら、一つになって留まっているし、番となりて並んで飛んでいる。

無端和淚拭鷰脂,惹教雙翅垂。
訳もなく涙を落して絵がにじんでしまった、蝴蝶は対になって楽しそうに飛んでいるのに比べ、自分は独りなので、つい、わけもなく涙が出たのだ、絵にそんなことを引き起こしたので、燕脂の色で拭ってみると、胡蝶の羽が垂れ下れてしまった。もう、楽しく飛ぶ蝶ではなくなってしまった。

 

(蝴蝶兒【こちょうじ】)

蝴蝶兒,春の時,阿嬌【あきょう】初めて淡の衣を著けて,に倚り 伊【これ】を畫くを學ぶ。

還た花間 見るに似たり,雙雙とし 對對として飛ぶ。

端無くもを和して 脂【えんし】を拭【ぬぐい】,惹【さそ】いて雙翅【そうし】垂れ教【し】む。

 

 

『蝴蝶兒』 現代語訳と訳註

(本文)

蝴蝶兒 一首

蝴蝶兒,晚春時,阿嬌初著淡黃衣,倚學畫伊。

還似花間見,雙雙對對飛。

無端和淚拭鷰脂,惹教雙翅垂。

 

(下し文)

(蝴蝶兒【こちょうじ】)

蝴蝶兒,晚春の時,阿嬌【あきょう】初めて淡黃の衣を著けて,に倚り 伊【これ】を畫くを學ぶ。

還た花間 見るに似たり,雙雙とし 對對として飛ぶ。

端無くも淚を和して 鷰脂【えんし】を拭【ぬぐい】,惹【さそ】いて雙翅【そうし】垂れ教【し】む。

 

(現代語訳)

(若い女が楽しく手習いをしていて窓辺で蝶の絵を描く、庭の花の間にはツガイの朝が舞う、自分は何時まで一人なのか、先行き不安であるとそのさまを詠う。)

かわいらしい蝶が舞い、春もおわろうとする頃、阿矯ちゃんは初めて大人の装いの薄黄の衣を身に着けた。こんどは窓近くいて、習いたての絵、それも胡蝶の絵を描いている。

咲き乱れている花間に蝶がみえ、二つながら、一つになって留まっているし、番となって並んで飛んでいる。

訳もなく涙を落して絵がにじんでしまった、蝴蝶は対になって楽しそうに飛んでいるのに比べ、自分は独りなので、つい、わけもなく涙が出たのだ、絵にそんなことを引き起こしたので、燕脂の色で拭ってみると、胡蝶の羽が垂れ下れてしまった。もう、楽しく飛ぶ蝶ではなくなってしまった。

 

(訳注)

蝴蝶兒

(若い女が楽しく手習いをしていて窓辺で蝶の絵を描く、庭の花の間にはツガイの朝が舞う、自分は何時まで一人なのか、先行き不安であるとそのさまを詠う。)

描かれた番の蝶は、楽しそうで花から花へと並び飛ぶえであったものが、ほかの女のもとに行った男を思い、思わず絵に涙を落とす。そして、慌てて濡れた腋脂の色をぬぐうと、蝶の絵は二枚の羽を垂れた姿に変わったと述べる。媒の絵を見て悔しい思い涙を落とした。

『花間集』には張泌の一首のみ所収。曲名が作品冒頭の語になっていること、またこの曲名の作品は、張泌以外にはないことからすると、彼の創作曲である。双調四十字、前段十八字四句四平韻、後段二十二字四句三平韻で、③③⑦⑤/5⑤⑦⑤の詞形をとる。

蝴蝶兒 一首

蝴蝶  晚春
阿嬌初著淡黃衣  
還似花間見  雙雙對對飛
無端和淚拭鷰  惹教雙翅

○●○  ●○○

○△○△△○△  △○●●○

○●○△●  ○○●●○

○○△●●●○  ●△○●○

 

蝴蝶兒,晚春時,阿嬌初著淡黃衣,倚學畫伊。

かわいらしい蝶が舞い、春もおわろうとする頃、阿矯ちゃんは初めて大人の装いの薄黄の衣を身に着けた。こんどは窓近くいて、習いたての絵、それも胡蝶の絵を描いている。

胡蝶児 胡蝶に同じ。児は接尾辞。多く愛らしいものや小さいものに付ける。「・・・・ちゃん」という雰囲気の類。児童、子どもの意味はない。

阿嬌 漢の武帝の従妹の名。武帝が「若得阿嬌,當以金屋貯之。」と言い、後に皇后とした。ここでは、美少女の意味で使われている。阿は呼びかけの接頭語。ここでは少女を意味する。「かわいこちゃん」という雰囲気の類。

・淡黄 アオギリ科の落葉高木。樹皮は緑色。葉は大形で手のひら状に三~五つに裂け、柄は長い。夏に、淡黄色の雄花と雌花がまじって咲き、果実は、種子のついた舟形のさやが放射状につく。庭木・街路樹とし、材は楽器・家具用。梧桐(ごどう)。《季 夏》

・倚窗 窓に寄り添い。

・學畫 絵を学ぶ。

 指示代名詞。ここでは蝶を指す。

 

還似花間見,雙雙對對飛。

咲き乱れている花間に蝶がみえ、二つながら、一つになって留まっているし、番となりて並んで飛んでいる。

・還似 まるで…みたい。なおも…のごとく。

・花間 花の咲き乱れているところ。

・見 出会う。

・雙雙 あちらで二匹、こちらで二匹という具合に、ならんで飛んでいるさま。

・對對 あちらで一対、こちらで一対という具合に、対になって飛んでいるさま。

還似花間見 この句は男女の関係、性交を云うもので、花が女で、蝶が男ということでの花間に見るようだということ『花間集』の象徴ともいえるものである。還は、やはり。だからこそ、絵の蝶は「やはり」花の間を飛ぶ、本当の蝶のようだの意。好きな人とうまくいっている時には、思うことも、絵にかいても二つ、つがいに書くという女心を云う。今だったら相合傘を書くということだ。

 

無端和淚拭鷰脂,惹教雙翅垂。

訳もなく涙を落して絵がにじんでしまった、蝴蝶は対になって楽しそうに飛んでいるのに比べ、自分は独りなので、つい、わけもなく涙が出たのだ、絵にそんなことを引き起こしたので、燕脂の色で拭ってみると、胡蝶の羽が垂れ下れてしまった。もう、楽しく飛ぶ蝶ではなくなってしまった。

・無端 ゆえなく。わけもなく。端なくも。

・和涙 涙と共に。

・拭臙脂 (絵を描いている)べにをぬぐう。涙がべにを流し去ったということ。

 引き起こす。

張泌《巻五03何瀆神一首》『花間集』204全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6292

張泌  河瀆神 一首  

古樹噪寒鴉,滿庭楓葉蘆花。晝燈當午隔輕紗,畫閣珠簾影斜。

門外往來祈賽客,翩翩帆落天涯。迴首隔江煙火,渡頭三兩人家。

(長江の水神を祀る社の内外の景色を、朝、昼、夕、夜の様子を詠う。)山門を潜り中に入ると、古木にからすや、冬の烏が鳴き騒ぎ、楓樹に庭に落ち葉、紅葉などふくめて秋の花がいっぱい庭一面を覆うのである。祠の中は真昼時というのにうすぐらく、薄い帳がかかり、その奥深くには灯明ともしていて、絵が壁に描かれた祠の楼閣に下がる珠簾のかげが斜めになびく。

張泌《巻五03何瀆神一首》『花間集』204全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6292

 
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(改訂版Ver.2.1

河瀆神 一首

(長江の水神を祀る社の内外の景色を、朝、昼、夕、夜の様子を詠う。)

古樹噪寒鴉,滿庭楓葉蘆花。

山門を潜り中に入ると、古木にからすや、冬の烏が鳴き騒ぎ、楓樹に庭に落ち葉、紅葉などふくめて秋の花がいっぱい庭一面を覆うのである。

晝燈當午隔輕紗,畫閣珠簾影斜。

祠の中は真昼時というのにうすぐらく、薄い帳がかかり、その奥深くには灯明ともしていて、絵が壁に描かれた祠の楼閣に下がる珠簾のかげが斜めになびく。

門外往來祈賽客,翩翩帆落天涯。

それなのに、門前を行き交うのは参詣の人や道祠女の客であり中まで入ってこない、その向こうにはひらひらと水面の果てに帆船が消え行く。

迴首隔江煙火,渡頭三兩人家。

振り向けば川を隔てむこうの渡し場に迎えのかがり火がたかれ、埠頭に火を焚き、その向こうに人家が二つ三つとならぶ。

河瀆神【かとくしん】 一首

古樹 寒鴉【かんあ】噪【さわ】がしく,庭を滿る 楓葉【ふうよう】蘆花【ろか】。

晝燈【ちゅうとう】午に當りて輕紗【けいさ】を隔て,畫閣 珠簾 影斜【なな】めなり。

門外 往來す祈賽【きさい】の客,翩翩【へんぺん】たる帆は天涯に落つ。

首を迴らせば 江を隔つる煙火あり,渡頭 三つ兩つの人家あり。

 


(改訂版Ver.2.1

『河瀆神一首』現代語訳と訳註

(本文)

河瀆神 一首

古樹噪寒鴉,滿庭楓葉蘆花。

晝燈當午隔輕紗,畫閣珠簾影斜。

門外往來祈賽客,翩翩帆落天涯。

迴首隔江煙火,渡頭三兩人家。

 

(下し文)

河瀆神【かとくしん】 一首

古樹 寒鴉【かんあ】噪【さわ】がしく,庭を滿る 楓葉【ふうよう】蘆花【ろか】。

晝燈【ちゅうとう】午に當りて輕紗【けいさ】を隔て,畫閣 珠簾 影斜【なな】めなり。

門外 往來す祈賽【きさい】の客,翩翩【へんぺん】たる帆は天涯に落つ。

首を迴らせば 江を隔つる煙火あり,渡頭 三つ兩つの人家あり。

 

(現代語訳)

(長江の水神を祀る社の内外の景色を、朝、昼、夕、夜の様子を詠う。)

山門を潜り中に入ると、古木にからすや、冬の烏が鳴き騒ぎ、楓樹に庭に落ち葉、紅葉などふくめて秋の花がいっぱい庭一面を覆うのである。

祠の中は真昼時というのにうすぐらく、薄い帳がかかり、その奥深くには灯明ともしていて、絵が壁に描かれた祠の楼閣に下がる珠簾のかげが斜めになびく。

それなのに、門前を行き交うのは参詣の人や道祠女の客であり中まで入ってこない、その向こうにはひらひらと水面の果てに帆船が消え行く。

振り向けば川を隔てむこうの渡し場に迎えのかがり火がたかれ、埠頭に火を焚き、その向こうに人家が二つ三つとならぶ。

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

河瀆神 一首

(長江の水神を祀る社の内外の景色を、朝、昼、夕、夜の様子を詠う。)

歴史のある長江の水神を祀る社の内側は、ひっそりとしていて、落ち葉も庭一面に広がり、紅葉も赤く染まっている。長江に灌ぎこむ支流の川の両岸には多くの人がいるが、長江の向こう岸には、二、三軒の民家が夕餉の支度をしている。

前段は、冬を迎える社を覆う古木、烏、楓、蘆の花、祠の高閣の珠簾、灯明を掲げて客を迎えるのを描き、後段は、社の外の参拝客、川を行く帆船、娼屋の燈火が上る二、三軒の人家の様を描く。

『花間集』には張泌の作が一首収められている。双調四十九字、前段二十四字四句四平韻、後段五字四句四灰韻で、⑤⑥⑦⑥/❼❻❻❻の詞形をとる。

河瀆神 一首

古樹噪寒,滿庭楓葉蘆

晝燈當午隔輕,畫閣珠簾影

門外往來祈賽,翩翩帆落天

迴首隔江煙,渡頭三兩人

●●●○○  ●○○●○○

●○△●●△○  ●●○○●○

○●●△○●●  ○○△●○○

△●●○○●  ●○△●○○

 

古樹噪寒鴉,滿庭楓葉蘆花。

山門を潜り中に入ると、古木にからすや、冬の烏が鳴き騒ぎ、楓樹に庭に落ち葉、紅葉などふくめて秋の花がいっぱい庭一面を覆うのである。

古樹 長い年月を経ている樹木。古木(こぼく)。古い歴史のある社を連想させる。

○寒鴉 秋から冬にかけての烏。『鴉』(からす)、人がいない寂しさを連想させる。

楓葉 紅葉したカエデの葉。・楓 マンサク科の落葉高木。カエデではない。

滿庭 「秋の花」庭に落ち葉、紅葉などふくめて秋の花、秋の景色がいっぱいであること。

○蘆花 アシの花穂。蘆には秋という意味があり「秋の花」庭に落ち葉、紅葉などふくめて秋の花がいっぱいであること。

此の二句は、秋の色模様と矢代の寂寞感を表す。

 

晝燈當午隔輕紗,畫閣珠簾影斜。

祠の中は真昼時というのにうすぐらく、薄い帳がかかり、その奥深くには灯明ともしていて、絵が壁に描かれた祠の楼閣に下がる珠簾のかげが斜めになびく。

晝燈 昼行燈。 (日中にともっている行灯のように)ぼんやりとしている人。また,役に立たない人。

當午 1.正午, 中午。 唐李紳《憫農》詩之二: “鋤禾日當午, 汗滴禾下土。2)指午夜。 温庭筠 巻一12菩薩蠻十四首其十二》夜來皓月纔當午,重簾悄悄無人語。深處麝煙長,臥時留薄粧。當年還自惜,往事那堪憶。花落月明殘,錦衾知曉寒。」

『花間集』全詩訳注解説(再)-1溫庭筠2《菩薩蠻十四首 其二》溫庭筠66首巻一1-2〉漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-5207

○畫閣 絵が壁に描かれた祠の楼閣。珠簾とあるところから、道女、聖女妓の祠であることがわかる。

 

門外往來祈賽客,翩翩帆落天涯。

それなのに、門前を行き交うのは参詣の人や道祠女の客であり中まで入ってこない、その向こうにはひらひらと水面の果てに帆船が消え行く。

○門外往來 門前を行き交う

○祈賽 祈は御利益を祈る、賽は神の加護に感謝を捧げる。

○翩翩 ばたばたとはためくさま。

落天涯 水平線の彼方に消え去る。

 

迴首隔江煙火,渡頭三兩人家。

振り向けば川を隔てむこうの渡し場に迎えのかがり火がたかれ、埠頭に火を焚き、その向こうに人家が二つ三つとならぶ。

迴首隔江 振り向けば川を隔てる渡し場

〇煙火 炊事の煙が起ち上るとかがり火。

○渡頭 渡し場。

三兩 二、三軒の家

 

 

 

 

 

 

温庭筠、『河瀆神』参照。

 

(改訂)-1溫庭筠45《巻1-45 河瀆神 三首其一》

(改訂)-1溫庭筠46《巻1-46 河瀆神 三首其二》

改訂)-1溫庭筠47《巻1-47 河瀆神 三首其三》

 

 

孫光憲の

14-359《河瀆神二首其一》孫光憲

14-360《河瀆神二首其二》孫光憲

 

 

 

張泌《巻五02江城子 二首之二》『花間集』203全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6287

張泌  江城子 二首 其二  

浣花溪上見卿卿,臉波秋水明,黛眉輕。綠雲高綰,金族小蜻蜓。好是問他來得磨?和笑道:莫多情。

(花が咲き乱れる川の畔二、行楽で楽しむ甘え声が聞こえてくる。それ以来秋になっても寵愛を受け続ける、何不自由のない生活に、このままの生活でいいのと尋ねたら、「やっぱり浮気心はいけないよ」答えたと詠う)

張泌《巻五02江城子 二首之二》『花間集』203全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6287

 
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 ・李商隠詩 (1) 136首の75首・李商隠詩 (2) 135首の61首●韓愈index-1 ・孟郊、張籍と交遊・汴州乱41首●韓愈詩index-2[800年 33歳~804年 37歳]27首●韓愈詩index-3 805年 38歳・]陽山から江陵府 36首●韓愈詩index-4 806年 39歳 江陵府・権知国子博士 51首(1)25首 
 index-5 806年39歳 50首の(2)25首index-6[807年~809年 42歳]20首index-7[810年~811年 44歳] 34首index-8 [812年~814年47歳]46首index-9[815年~816年 49歳] 57首index-10[817年~818年 51歳]・「平淮西碑」28首 
 index-11 819年 52歳 ・『論佛骨表』左遷 38首index-12 820年 53歳 ・9月國子祭酒に。18首index-13 821年~822年 55歳 22首index-14 823年~824年 57歳・病気のため退職。没す。 14首韓愈 哲学・儒学「五原」賦・散文・上奏文・碑文など 
 孟郊張籍     
 ●杜甫の全作品1500首を訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。" 
 Ⅲ杜甫詩全1500首   LiveDoorBlog766年-67杜甫 《1492寄岑嘉州【案:自注:州據蜀江外。】#1》【2分割】 杜甫詩index-15-766年大暦元年55歲-67 <931-#1> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ6285 
 杜甫詩(1)736~751年 青年期・李白と交遊期・就活の詩 53首杜甫詩(2)752年~754年、43歳 73首(青年期・就活の詩) 杜甫詩(3)755年~756年、45歳 安史の乱に彷徨う 26首杜甫詩(4)作時757年、46歳 安史軍捕縛、脱出、左拾遺 43首杜甫詩(5)758年;乾元元年、47歳 左拾遺、朝廷疎外、左遷 53首杜甫詩 (6)759年;乾元二年、48歳 三吏三別 官を辞す 44首 
 杜甫詩(7)759年;乾元二年、48歳 秦州抒情詩 66首杜甫詩(8)作時759年、48歳 秦州発、同谷紀行、成都紀行 36首杜甫詩(9)760年;上元元年、49歳 成都浣花渓草堂 45首杜甫詩(10)761年;上元二年、50歳 成都浣花渓草堂 82首杜甫詩(11)762年寶應元年 杜甫51歳  浣花渓草堂~蜀中転々 43首杜甫詩(12)762年寶應元年 杜甫51歳 蜀中転々 49首 
 ●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている 
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 ●花間集全詩●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩。唐から五代詩詞。花間集 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性 LiveDoorBlog張泌《巻五02江城子 二首之二》『花間集』203全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6287 
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 温庭筠66首 花間集1・2巻皇甫松11首 花間集二巻韋莊47首 花間集二巻薛昭蘊19首 花間集三巻牛嶠31首 花間集三・四巻張泌27首 花間集四巻 
 毛文錫31首 花間集5巻牛希濟11首 花間集5巻欧陽烱17首 花間集5・6巻和凝20首 花間集6巻顧夐56首 花間集6・7巻孫光憲47首 花間集7・8巻 
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(改訂版Ver.2.1

江城子 二首其一

(妃嬪であっても、何も変わらず、早春になっても、清明節の行楽の時節になっても、することは、寵愛を受ける準備だけをひたすらするだけで、だれともよていはない、化粧もすぐに済ませるし、何事もおこらないし、心に、何ももつことなくすぎてゆくと詠う。)

碧欄干外小中庭,雨初晴,曉鶯聲。

寝殿につながる長い渡り廊下の手すりに沿って小庭があり、その先には中庭がある。春の長雨の後の若芽が芽吹く春らしい潤いのある晴れが広がると、暁の鶯の声が聞こえてきて、早春の季節がくる。

飛絮落花,時節近清明。

柳絮は風に舞い飛び散り、春の花は落ちはじめると、もう間もなく、寒食。清明節の季節になる。

睡起捲簾無一事,面了,沒心情。

妃嬪は眠りから醒めれば起きだして、簾を巻き上げ、外にはする何事もなく、寵愛を受ける準備をすることだけが仕事である。朝化粧はすぐにおわるし、心の中にある思いや感情がなんにもなくなっている。

(江城子 二首其の一)

碧の欄干の外 中庭小さくし,雨初めて晴れ,曉の鶯は聲す。

絮を飛し 花を落す,時節は清明に近ずく。

睡りから起きて簾を捲く 一の事も無し,面をえ了り,心も情も沒【な】くす。

 

(改訂版Ver.2.1

江城子 二首其二

(花が咲き乱れる川の畔二、行楽で楽しむ甘え声が聞こえてくる。それ以来秋になっても寵愛を受け続ける、何不自由のない生活に、このままの生活でいいのと尋ねたら、「やっぱり浮気心はいけないよ」答えたと詠う)

浣花溪上見卿卿,臉波秋水明,黛眉輕。

花さき乱れる渓のほとりには、男女の仲睦まじい所を見る。清らかな目のような波、澄わたった水鏡のような水面をつきがあかるく照らす。疑いもなく交わることで、まゆずみでかいた眉もかろやかである。

綠雲高綰,金族小蜻蜓。

両鬢にみどりの黒髪を雲型にして、頭の中央には、高く束ねて流行の髪型にしている。流行の小さなトンボの金細工の飾りをつけている。

好是問他來得磨?和笑道:莫多情。

こんな生活を続けていていいものだろうかと聞いてみる“そうしたら、笑って答えてくれる。「情が深いのはいいけどそれが浮気心ではいけない。」”と。

江城子 二首其の二

浣花溪の上【ほと】り卿卿するを見る,臉波 秋水明るく,黛眉 輕し。

綠雲 高綰にして,金族の小蜻蜓あり。

是を好とし 他に問う「來りて磨を得んや?」和かに笑うて道う「多情する莫れ。」

 

 

(改訂版Ver.2.1

『江城子 二首 其二』 現代語訳と訳註

(本文)

江城子 二首 其二

浣花溪上見卿卿,臉波秋水明,黛眉輕。

綠雲高綰,金族小蜻蜓。

好是問他來得磨?和笑道:莫多情。

 

(下し文)

江城子 二首其の二

浣花溪の上【ほと】り卿卿するを見る,臉波 秋水明るく,黛眉 輕し。

綠雲 高綰にして,金族の小蜻蜓あり。

是を好とし 他に問う「來りて磨を得んや?」和かに笑うて道う「多情する莫れ。」と

 

(現代語訳)

(花が咲き乱れる川の畔二、行楽で楽しむ甘え声が聞こえてくる。それ以来秋になっても寵愛を受け続ける、何不自由のない生活に、このままの生活でいいのと尋ねたら、「やっぱり浮気心はいけないよ」答えたと詠う)

花さき乱れる渓のほとりには、男女の仲睦まじい所を見る。清らかな目のような波、澄わたった水鏡のような水面をつきがあかるく照らす。疑いもなく交わることで、まゆずみでかいた眉もかろやかである。

両鬢にみどりの黒髪を雲型にして、頭の中央には、高く束ねて流行の髪型にしている。流行の小さなトンボの金細工の飾りをつけている。

こんな生活を続けていていいものだろうかと聞いてみる“そうしたら、笑って答えてくれる。「情が深いのはいいけどそれが浮気心ではいけない。」”と。

 

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

江城子 二首 其二

(花が咲き乱れる川の畔二、行楽で楽しむ甘え声が聞こえてくる。それ以来秋になっても寵愛を受け続ける、何不自由のない生活に、このままの生活でいいのと尋ねたら、「やっぱり浮気心はいけないよ」答えたと詠う)

・張泌:唐末~五代・後蜀の詞人。唐末に進士となる。生没年不詳。出身地不詳。五代・後蜀の花間派(五代・『花間集』に掲載された詞人)たちの一。官は右諫議大夫史館修撰で終わる。

『花間集』には張泌の江城子が二首収められている。単調三十五字、八句五平韻で、⑦③③4⑤73③の詞形をとる。

江城子 二首其一

碧欄干外小中、 雨初晴、 曉鶯聲。

飛絮落花、 時節近清明。

睡起捲簾無一事、 勻面了、 沒心情。

●○○●●△○  ●○○ ●○○

○●●○ ○●●○○

●●△○○●● ○●● ●○○

江城子 二首其二

浣花溪上見卿,臉波秋水,黛眉

綠雲高綰,金族小蜻

好是問他來得磨?和笑道:莫多

   

 

   

 

浣花溪上見卿卿,臉波秋水明,黛眉輕。

花さき乱れる渓のほとりには、男女の仲睦まじい所を見る。清らかな目のような波、澄わたった水鏡のような水面をつきがあかるく照らす。疑いもなく交わることで、まゆずみでかいた眉もかろやかである。

・浣花溪 花さき乱れる浣花渓。杜甫が名づけた成都の草堂のあった場所、後、薛濤が晩年に草堂に隠遁した。

・卿卿 昵懇の間柄。貴人と逢ってうれしい状況を云う。男女の情事の際の声を意味する。形容夫妻或相的男女十分昵人は手に手を取っていつまでも語り合い,仲むつまじい限りだ。

牛嶠『菩薩蠻七首 其三』

玉釵風動春幡急,交枝紅杏籠煙泣。

樓上望卿卿寒新雨晴。

薰爐蒙翠被,繡帳鴛鴦睡。

何處有相知,羨他初畫眉。

・臉波 清らかな目のような波。

菩薩蠻七首 其二

柳花飛處鶯聲急,暗街春色香車立。

金鳳小簾開,臉波和恨來。

今宵求夢想,難到青樓上。

贏得一場愁,鴛衾誰並頭。

菩薩蠻七首 二 牛嶠【ぎゅうきょう】  ⅩⅫ唐五代詞・ 「花間集」 Gs-331-6-#18  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3202

花間集「臉波」

牛嶠

巻四16菩薩蠻七首其二

金鳳小簾開,臉波和恨來。

張泌

巻五02江城子二首其二

浣花溪上見卿卿,臉波秋水明,黛眉輕。

和凝

巻六17臨江仙二首其二

肌骨細勻紅玉軟,臉波微送春心。

顧夐

巻六47甘州子五首其五

山枕上,燈背臉波橫。

・秋水明 秋水:秋のころの澄わたった水。清らかに張った空と海。転じて清廉潔白清らかさを喩える。

・黛眉 まゆずみでかいた眉 (まゆ)

 

綠雲高綰,金族小蜻蜓。

両鬢にみどりの黒髪を雲型にして、頭の中央には、高く束ねて流行の髪型にしている。流行の小さなトンボの金細工の飾りをつけている。

・綰 髪をかき上げて束ねる。「人皆は今は長しと―・けと言へど」〈万・一二四〉2 舟をあやつる。「大舟を荒海(あるみ)に漕ぎ出で八()舟―・け我が見し児らがまみは著(しる)しも」〈万・一二六六〉3 《「だく」とも》手綱をあやつる。

・金族 金細工の群がったもの

・蜻蜓 とんぼ。ここでは髪飾り。

 

好是問他來得磨?和笑道:莫多情。

こんな生活を続けていていい者だろうかと聞いてみる“そうしたら、笑って答えてくれる。「情が深いのはいいけどそれが浮気心ではいけない。」”と。

・好是 ~したほうがよい。

・多情 ]1 情が深くて、感じやすいこと。また、そのさま。2 異性に対する心が移りやすいこと。また、そのさま。移り気。

江城子二首 其一

恩重嬌多情易傷,漏更長,解鴛鴦。

朱唇未動,先覺口脂香。

緩揭繡衾抽皓腕,移鳳枕,枕潘郎。

103 江城子 其一 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-295-5-#49  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3022

 

『天仙子 其一』 

惆望前回夢裏期、看花不語苦尋思。

露桃花裏小腰肢。

眉眼細、鬢雲垂。

唯有多情宋玉知。

天仙子 其一 ~ 其五 其一 韋荘  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-270-5-#24  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2897

張泌《巻五01江城子 二首之一》『花間集』202全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6282

張泌  江城子 二首 其一  

碧欄干外小中庭,雨初晴,曉鶯聲。飛絮落花,時節近清明。睡起捲簾無一事,勻面了,沒心情。

(妃嬪であっても、何も変わらず、早春になっても、清明節の行楽の時節になっても、することは、寵愛を受ける準備だけをひたすらするだけで、だれともよていはない、化粧もすぐに済ませるし、何事もおこらないし、心に、何ももつことなくすぎてゆくと詠う。)

 

 

張泌《巻五01江城子 二首之一》『花間集』202全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6282

 
 2015年7月10日の紀頌之5つのBlog 
 ●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩六朝謝朓・庾信 後世に多大影響を揚雄・司馬相如・潘岳・王粲.鮑照らの「賦」、その後に李白再登場 
 Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
 
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 ●唐を代表する 中唐 韓愈 全500首  
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76-#8 《八讀巻六11 祭十二郎文》-8 韓愈(韓退之) 803年貞元19年 38歳<1459> Ⅱ【18分割】 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ6279 
 ・李商隠詩 (1) 136首の75首・李商隠詩 (2) 135首の61首●韓愈index-1 ・孟郊、張籍と交遊・汴州乱41首●韓愈詩index-2[800年 33歳~804年 37歳]27首●韓愈詩index-3 805年 38歳・]陽山から江陵府 36首●韓愈詩index-4 806年 39歳 江陵府・権知国子博士 51首(1)25首 
 index-5 806年39歳 50首の(2)25首index-6[807年~809年 42歳]20首index-7[810年~811年 44歳] 34首index-8 [812年~814年47歳]46首index-9[815年~816年 49歳] 57首index-10[817年~818年 51歳]・「平淮西碑」28首 
 index-11 819年 52歳 ・『論佛骨表』左遷 38首index-12 820年 53歳 ・9月國子祭酒に。18首index-13 821年~822年 55歳 22首index-14 823年~824年 57歳・病気のため退職。没す。 14首韓愈 哲学・儒学「五原」賦・散文・上奏文・碑文など 
 孟郊張籍     
 ●杜甫の全作品1500首を訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。" 
 Ⅲ杜甫詩全1500首   LiveDoorBlog766年-66杜甫 《1491寄常徵君》七言律詩 杜甫詩index-15-766年大暦元年55歲-66 <930> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ6280 
 杜甫詩(1)736~751年 青年期・李白と交遊期・就活の詩 53首杜甫詩(2)752年~754年、43歳 73首(青年期・就活の詩) 杜甫詩(3)755年~756年、45歳 安史の乱に彷徨う 26首杜甫詩(4)作時757年、46歳 安史軍捕縛、脱出、左拾遺 43首杜甫詩(5)758年;乾元元年、47歳 左拾遺、朝廷疎外、左遷 53首杜甫詩 (6)759年;乾元二年、48歳 三吏三別 官を辞す 44首 
 杜甫詩(7)759年;乾元二年、48歳 秦州抒情詩 66首杜甫詩(8)作時759年、48歳 秦州発、同谷紀行、成都紀行 36首杜甫詩(9)760年;上元元年、49歳 成都浣花渓草堂 45首杜甫詩(10)761年;上元二年、50歳 成都浣花渓草堂 82首杜甫詩(11)762年寶應元年 杜甫51歳  浣花渓草堂~蜀中転々 43首杜甫詩(12)762年寶應元年 杜甫51歳 蜀中転々 49首 
 ●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている 
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 ●花間集全詩●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩。唐から五代詩詞。花間集 
 Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性 LiveDoorBlog張泌《巻五01江城子 二首之一》『花間集』202全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6282 
 薛濤の全詩花間集(1巻花間集(2巻花間集(3巻花間集(4巻花間集(5巻 
 魚玄機全詩花間集(6巻花間集(7巻花間集(8巻花間集(9巻花間集10巻 
 温庭筠66首 花間集1・2巻皇甫松11首 花間集二巻韋莊47首 花間集二巻薛昭蘊19首 花間集三巻牛嶠31首 花間集三・四巻張泌27首 花間集四巻 
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(改訂版Ver.2.1

江城子 二首其一

(妃嬪であっても、何も変わらず、早春になっても、清明節の行楽の時節になっても、することは、寵愛を受ける準備だけをひたすらするだけで、だれともよていはない、化粧もすぐに済ませるし、何事もおこらないし、心に、何ももつことなくすぎてゆくと詠う。)

碧欄干外小中庭,雨初晴,曉鶯聲。

寝殿につながる長い渡り廊下の手すりに沿って小庭があり、その先には中庭がある。春の長雨の後の若芽が芽吹く春らしい潤いのある晴れが広がると、暁の鶯の声が聞こえてきて、早春の季節がくる。

飛絮落花,時節近清明。

柳絮は風に舞い飛び散り、春の花は落ちはじめると、もう間もなく、寒食。清明節の季節になる。

睡起捲簾無一事,面了,沒心情。

妃嬪は眠りから醒めれば起きだして、簾を巻き上げ、外にはする何事もなく、寵愛を受ける準備をすることだけが仕事である。朝化粧はすぐにおわるし、心の中にある思いや感情がなんにもなくなっている。

(江城子 二首其の一)

碧の欄干の外 中庭小さくし,雨初めて晴れ,曉の鶯は聲す。

絮を飛し 花を落す,時節は清明に近ずく。

睡りから起きて簾を捲く 一の事も無し,面をえ了り,心も情も沒【な】くす。

 

其二

浣花溪上見卿卿,臉波秋水明,黛眉輕。

綠雲高綰,金族小蜻蜓。

好是問他來得磨?和笑道:莫多情。

 

 

(改訂版Ver.2.1

『江城子 二首 其一』 現代語訳と訳註

(本文)

江城子 二首 其一

碧欄干外小中庭,雨初晴,曉鶯聲。

飛絮落花,時節近清明。

睡起捲簾無一事,勻面了,沒心情。

 

 

(下し文)

(江城子 二首其の一)

碧の欄干の外 中庭小さくし,雨初めて晴れ,曉の鶯は聲す。

絮を飛し 花を落す,時節は清明に近ずく。

睡りから起きて簾を捲く 一の事も無し,面を勻え了り,心も情も沒くす。

 

 

(現代語訳)

(妃嬪であっても、何も変わらず、早春になっても、清明節の行楽の時節になっても、することは、寵愛を受ける準備だけをひたすらするだけで、だれともよていはない、化粧もすぐに済ませるし、何事もおこらないし、心に、何ももつことなくすぎてゆくと詠う。)

寝殿につながる長い渡り廊下の手すりに沿って小庭があり、その先には中庭がある。春の長雨の後の若芽が芽吹く春らしい潤いのある晴れが広がると、暁の鶯の声が聞こえてきて、早春の季節がくる。

柳絮は風に舞い飛び散り、春の花は落ちはじめると、もう間もなく、寒食。清明節の季節になる。

妃嬪は眠りから醒めれば起きだして、簾を巻き上げ、外にはする何事もなく、寵愛を受ける準備をすることだけが仕事である。朝化粧はすぐにおわるし、心の中にある思いや感情がなんにもなくなっている。

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

江城子 二首 其一

(妃嬪であっても、何も変わらず、早春になっても、清明節の行楽の時節になっても、することは、寵愛を受ける準備だけをひたすらするだけで、だれともよていはない、化粧もすぐに済ませるし、何事もおこらないし、心に、何ももつことなくすぎてゆくと詠う。)

愛されるかどうかというのは問題なく、愛されることなくても、ただ毎日そのための準備だけをするというもの。最大120~130名もの、妃を制度として老いた。そのための準備をするのが数万人の宮女の仕事である。

唐は隋の制度を参照して完壁で精密な「内官」制度をつくった。その規定では、皇后一人、その下に四人の妃(貴妃、淑妃、徳妃、賢妃各一人)、以下順位を追って、九嬪(昭儀、昭容、昭媛、修儀、修容、修媛、充儀、充容、充媛各一人)、捷好九人美人九人、才人九人、宝林二十七人、御女二十七人、采女二十七人が配置される。上記のそれぞれの女性は官品をもち、合計で122人の多きに達した。皇后だけが正妻であり、その他は名義上はみな「妃嬪」-皇帝の妾とされた。

韋荘、牛嶠の『江城子』参照。欧陽烱については後日掲載する。

『花間集』全詩訳注解説(改訂版)-25韋荘103《巻3-03 江城子二首 其一》三巻3-〈103〉漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-5717

『花間集』全詩訳注解説(改訂版)-26韋荘104《巻3-04 江城子二首 其二》三巻4-〈104〉漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-5722

牛嶠《巻四22江城子二首 其一》『花間集』173全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6137

牛嶠《巻四23江城子二首 其二》『花間集』174全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6142

11 -16 江城子一首 歐陽舍人炯十七首ⅩⅫ唐五代詞・「花間集」 Gs-426-11-#16  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ3677

 

『花間集』には張泌の江城子が二首収められている。単調三十五字、八句五平韻で、⑦③③4⑤73③の詞形をとる。

碧欄干外小中、 雨初晴、 曉鶯聲。

飛絮落花、 時節近清明。

睡起捲簾無一事、 勻面了、 沒心情。

●○○●●△○  ●○○ ●○○

○●●○ ○●●○○

●●△○○●● ○●● ●○○

 

碧欄干外小中庭,雨初晴,曉鶯聲。

寝殿につながる長い渡り廊下の手すりに沿って小庭があり、その先には中庭がある。春の長雨の後の若芽が芽吹く春らしい潤いのある晴れが広がると、暁の鶯の声が聞こえてきて、早春の季節がくる。

○碧欄 東側の欄干。寝殿への渡り廊下の欄干。

○小中庭 後宮寝殿へ続く庭。

雨初晴 春の長雨の後の若芽が芽吹く春らしい潤いのある晴れの様子を意。。

○曉鶯聲 鶯は早春の暁に春を告げるために啼くもの。

 

飛絮落花,時節近清明。

柳絮は風に舞い飛び散り、春の花は落ちはじめると、もう間もなく、寒食。清明節の季節になる。

飛絮落花 前聯が早春を表現し、この聯は盛春をいう。

清明 春分から数えて十五日目。二十四節気の一つ。現在の四月四、五日頃。韋荘の詞と極似している。寒食、清明節は行楽の時季の始まり。

韋荘『河傳其三』

錦浦,春女,繡衣金縷,霧薄雲輕。

花深柳暗,時節正是清明雨初晴

玉鞭魂斷煙霞路,鶯鶯語,一望巫山雨。

香塵隱映,遙見翠檻紅摟,黛眉愁。

寒食節は、2月末に、一日中冷たいものを食べる。前後3日間、火を焚くこと、夜間に灯りをつけることを禁じられた。清明節は、31日に寒食節が終わると、一続きで行われる、家で新火をおこし始める行事である。

 

睡起捲簾無一事,勻面了,沒心情。

妃嬪は眠りから醒めれば起きだして、簾を巻き上げ、外にはする何事もなく、寵愛を受ける準備をすることだけが仕事である。朝化粧はすぐにおわるし、心の中にある思いや感情がなんにもなくなっている。

無一事 寵愛を受ける準備をすることだけが仕事であり、外にすることはない。

勻面了 顔を整える、化粧するのもすぐ終わる。・勻面:顔を整える、化粧する。謂化妝時用手搓臉使脂粉勻凈。指用脂粉化妝過的臉。

沒心情 心の中にある思いや感情がなくなる。・心情:心の中にある思いや感情。

 

張泌《巻四50柳枝一首》『花間集』201全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6277

張泌  柳枝一首  

膩粉瓊粧透碧紗,雪休誇。金鳳搔頭墮鬢斜,髮交加。

倚著雲屏新睡覺,思夢笑。紅腮隱出枕函花,有些些。

(柳のようにほそく、柳絮の白より白く美しい姿、妃嬪の美しさを詠う)柳のようにほそく美しい姿、なめらかな白粉、紅い宝玉に飾られ、碧い薄絹から細腰が透けて見える。雪のように飛ぶ柳絮よ、その白さを自慢するのはやめなさい、お前より美しいものがあるのだから。

張泌《巻四50柳枝一首》『花間集』201全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6277

 
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花間集 教坊曲 『楊柳枝』二十四首

 

 

溫助教庭筠(温庭筠)

巻一

楊柳枝八首之一

館娃宮外鄴城西,

 

 

巻一

楊柳枝八首之二

宜春苑外最長條,

 

 

巻一

楊柳枝八首之三

金縷毿毿碧瓦溝,

 

 

巻一

楊柳枝八首之四

御柳如絲映九重,

 

 

巻一

楊柳枝八首之五

織錦機邊鶯語頻,

 

 

巻一

楊柳枝八首之六

蘇小門前柳萬條,

 

 

巻一

楊柳枝八首之七

牆東御路傍,

 

 

巻一

楊柳枝八首之八

兩兩黃鸝色似金,

 

 

皇甫先輩松(皇甫松)

巻二

楊柳枝二首其一

春入行宮映翠微

 

 

巻二

楊柳枝二首其二

爛熳春歸水國時

 

 

牛給事嶠(牛嶠)

巻三

柳枝五首其一

解凍風來末上青,

 

 

巻三

柳枝五首其二

橋北橋南千萬條,

 

 

巻三

柳枝五首其三

狂雪隨風撲馬飛,

 

 

巻三

柳枝五首其四

王宮裡色偏深,

 

 

巻三

柳枝五首其五

裊翠籠煙拂暖波,

 

 

張舍人泌(張泌)

巻四

柳枝一首

膩粉瓊粧透碧紗,

 

 

和學士凝(和凝)

巻六

柳枝三首  其一

軟碧瑤煙似送人,

 

 

巻六

柳枝三首  其二

瑟瑟羅裙金縷腰,

 

 

巻六

柳枝三首 其三

鵲橋初就咽銀河,

 

 

顧太尉(顧

巻七

楊柳枝一首 顧夐

秋夜香閨思寂寥,

 

 

孫少監光憲(孫光憲)

巻八

陽柳枝四首 其一

閶門風暖落花乾

 

 

巻八

陽柳枝四首 其二

有池有榭即濛濛,

 

 

巻八

楊柳枝四首其三

根柢雖然傍濁河,

 

 

巻八

楊柳枝四首其四

萬株枯槁怨亡隋,

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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張泌《巻四49滿宮花一首》『花間集』200全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6272

張泌《巻四49滿宮花一首》

花正芳,樓似綺,寂寞上陽宮裏。鈿籠金鏁睡鴛鴦,簾冷露華珠翠。

嬌豔輕盈香雪膩,細雨黃鶯雙起。東風惆悵欲清明,公子橋邊沉醉。

(一度寵愛を受けていた妃嬪は数多く、歳を重ねて洛陽の上陽宮に遷されたものには寵愛を受ける春はやってこないし、ひっそりと生涯を終えると。)春の暖かさを運ぶ風も吹いては来るが寂しく音を立て、気が付けば春の盛りの清明節になっている。それでも、公子は上陽宮にわたる橋のあたりまでこられてはいるが酒に酔い潰れて此処に訪れることはない。

 

張泌《巻四49滿宮花一首》『花間集』200全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6272

 
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花間集 教坊曲『滿宮花』三首

 

 

作者



初句7字

 

 

張舍人泌

巻四

滿宮花一首

花正芳,樓似綺,

 

 

魏太尉承班

巻九

滿花一首

雪霏霏,風凜凜,

 

 

尹參卿鶚

巻九

滿宮一首

月沉沉,人悄悄,

 

 

 

 

 

 

 

魏太尉承班 《滿宮花一首》

雪霏霏,風凜凜,玉郎何處狂飲。

醉時想得縱風流,羅帳香幃鴛寢。

春朝秋夜思君甚,愁見繡屏孤枕。

少年何事負初心,淚滴縷金雙衽。

15-444《滿宮花一首》魏承班Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-627-15-(444) 巻九漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4682

尹鶚 《滿宮花一首》

月沉沉,人悄悄,一炷後庭香裊。

風流帝子不歸來,滿地禁花慵掃。

離恨多,相見少,何處醉迷三島。

漏清宮樹子規啼,愁鏁碧春曉。

18-473《滿宮花一首,》巻九 尹鶚Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-656-18-(473) 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4827

 

 

 

張泌 《滿宮花一首

(一度寵愛を受けていた妃嬪は数多く、歳を重ねて洛陽の上陽宮に遷されたものには寵愛を受ける春はやってこないし、ひっそりと生涯を終えると。)

花正芳,樓似綺,寂寞上陽宮裏。

その花は今まさに芳しく美しい盛りであり、高楼に於いても綺麗さはひけをとらないも、ひっそりと寂しさが洛陽上陽宮の中にある。

鈿籠金鏁睡鴛鴦,簾冷露華珠翠。

かごかんざし、金属製の輪をつないだひも状のもので結ばれ、鴛鴦のふとんのなかに眠る。簾から寒気が入り、ひらいたはなに夜露が降り、珠と翡翠に閨は飾られている。

嬌豔輕盈香雪膩,細雨黃鶯雙起。

愛嬌も、妖艶なしぐさも十分あり、薫り高く雪のように色白の素肌はきめ細かいけしょうがされている。これほどの魅力あるものなら、春なって細雨が降って来るころには高麗鶯の番が春を告げに起きだしてくるだろう。

東風惆悵欲清明,公子橋邊沉醉。

春の暖かさを運ぶ風も吹いては来るが寂しく音を立て、気が付けば春の盛りの清明節になっている。それでも、公子は上陽宮にわたる橋のあたりまでこられてはいるが酒に酔い潰れて此処に訪れることはない。

(滿宮花一首)

花 正に芳し,樓 綺に似るも,寂寞とす 上陽宮の裏。

鈿籠 金 鴛鴦睡り,簾 冷やかして 華に露 珠翠あり。

 輕やかに盈ちて 香雪の膩,細雨 鶯 雙びて起す。

東風 惆悵して 清明にならんと欲し,公子 橋邊に 醉す。

 


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張泌《巻四48思越人一首》『花間集』199全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6267

張泌  思越人  

翠屏欹,銀燭背,漏殘清夜迢迢。雙帶繡窠盤錦薦,淚浸花暗香銷。

珊瑚枕膩鴉鬟亂,玉纖慵整雲散。若是適來新夢見,離腸爭不千斷。

(少し前には、寵愛を一手に引き受けていた、寵愛を失っても、寵愛を受ける準備をしている、しかしもし、一時でもその気持ちを向けてくれたらどんなに良いかと思い続けると詠う)

 

張泌《巻四48思越人一首》『花間集』199全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6267

 
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花間集 教坊曲『思越人』四首

 

 

作者



初句7字

 

 

張舍人泌

巻四

思越人一首

鷰雙飛,鶯百囀

 

 

孫少監光憲

巻八

思越人二首其一

古臺平,芳艸遠

 

 

巻八

思越人二首其一

渚蓮枯,宮樹老,

 

 

鹿太保虔扆

巻九

思越人一首

翠屏欹,銀燭背

 

 

 

 

 

 

 

(改訂版Ver.2.1

思越人

翠屏欹,銀燭背,漏殘清夜迢迢。

雙帶繡窠盤錦薦,淚浸花暗香銷。

珊瑚枕膩鴉鬟亂,玉纖慵整雲散。

若是適來新夢見,離腸爭不千斷。

(少し前には、寵愛を一手に引き受けていた、寵愛を失っても、寵愛を受ける準備をしている、しかしもし、一時でもその気持ちを向けてくれたらどんなに良いかと思い続けると詠う)

寝牀のまわりに翡翠の飾りのついた屏風をそばにたたせ、銀の燭台をその前に立てて、漏刻が知らせてくれるぎりぎりの時間まで、素晴らしい夜をこれ以上の幸せは無いものと、ゆっくりと過した。

そして、二つの帯を並べ、鳳凰の刺繍のかけ布団、錦のからまりあったベッド敷きシーツ、そこには、涙がしみこみ、花の刺繍は薄くらく沈みこみ、お香も消えて久しい。

珊瑚の髪飾り、枕に染みついた皮脂、結った髪は乱れてもそのまま、白くて細く綺麗な指や、細身の体には何にもする気にならないしぐさであり、嘗ての妖艶さは雲が散ったようにどこにも見えない。

こんな感じになってしまったが、もしあのお方がここへ来てくれるなら、新しい夢を見ることが出来、離れているこころがズタズタに斬り断たれることなどなくまじりあうことになったことだろう。

 

(思越人)

翠屏は欹だて,銀燭は背にす,漏殘の清夜 迢迢たり。

雙帶 繡窠 盤錦薦し,淚浸し 花暗く 香銷す。

珊瑚 枕膩 鴉鬟【あかん】亂して,玉纖 慵整し 雲散す。

若し是れ 適來すれば 新らたに夢め見,離腸すれども 千斷することなく爭す。

 

(改訂版Ver.2.1

『思越人』 現代語訳と訳註

(本文) (改訂版Ver.2.1

思越人

翠屏欹,銀燭背,漏殘清夜迢迢。

雙帶繡窠盤錦薦,淚浸花暗香銷。

珊瑚枕膩鴉鬟亂,玉纖慵整雲散。

若是適來新夢見,離腸爭不千斷。

 

 

(下し文)

(思越人)

翠屏は欹だて,銀燭は背にす,漏殘の清夜 迢迢たり。

雙帶 繡窠 盤錦薦し,淚浸し 花暗く 香銷す。

珊瑚 枕膩 鴉鬟【あかん】亂して,玉纖 慵整し 雲散す。

若し是れ 適來すれば 新らたに夢め見,離腸すれども 千斷することなく爭す。

 

(現代語訳)

(少し前には、寵愛を一手に引き受けていた、寵愛を失っても、寵愛を受ける準備をしている、しかしもし、一時でもその気持ちを向けてくれたらどんなに良いかと思い続けると詠う)

寝牀のまわりに翡翠の飾りのついた屏風をそばにたたせ、銀の燭台をその前に立てて、漏刻が知らせてくれるぎりぎりの時間まで、素晴らしい夜をこれ以上の幸せは無いものと、ゆっくりと過した。

そして、二つの帯を並べ、鳳凰の刺繍のかけ布団、錦のからまりあったベッド敷きシーツ、そこには、涙がしみこみ、花の刺繍は薄くらく沈みこみ、お香も消えて久しい。

珊瑚の髪飾り、枕に染みついた皮脂、結った髪は乱れてもそのまま、白くて細く綺麗な指や、細身の体には何にもする気にならないしぐさであり、嘗ての妖艶さは雲が散ったようにどこにも見えない。

こんな感じになってしまったが、もしあのお方がここへ来てくれるなら、新しい夢を見ることが出来、離れているこころがズタズタに斬り断たれることなどなくまじりあうことになったことだろう。

 

(改訂版Ver.2.1

(訳注)

思越人

(少し前には、寵愛を一手に引き受けていた、寵愛を失っても、寵愛を受ける準備をしている、しかしもし、一時でもその気持ちを向けてくれたらどんなに良いかと思い続けると詠う)

『花間集』には四首所収。張泌の作は一首収められている。双調五十一字、前段二十五字五句二平韻、後段二十六字四句四仄韻で、33⑥7⑥/❼❻❼❻の詞形をとる。なお、『花間集』の思越人は鷓鴣天、思佳客、醉梅花の異名があるが、時代がもう少しあとになるもので無関係である。

思越人一首

翠屏欹 銀燭背  漏殘清夜迢
雙帶繡窠盤錦薦  淚浸花暗香
珊瑚枕膩鴉鬟  玉纖慵整雲
若是適來新夢  離腸爭不千

  
  
  
  

 

翠屏欹,銀燭背,漏殘清夜迢迢。

寝牀のまわりに翡翠の飾りのついた屏風をそばにたたせ、銀の燭台をその前に立てて、漏刻が知らせてくれるぎりぎりの時間まで、素晴らしい夜をこれ以上の幸せは無いものと、ゆっくりと過した。

翠屏 翡翠の飾りのついた屏風。寝牀のまわりに立てる。

迢迢 1 はるかに遠いさま。2 他より高いさま。また、すぐれているさま。

 

雙帶 繡窠 盤錦薦,淚浸 花暗 香銷。

そして、二つの帯を並べ、鳳凰の刺繍のかけ布団、錦のからまりあったベッド敷きシーツ、そこには、涙がしみこみ、花の刺繍は薄くらく沈みこみ、お香も消えて久しい。

繡窠 二人で一つになった刺繍で飾った布団。窠:巣,ねぐら,做窠巣をつくる.

 からまりあう

 (1) 推薦する,推挙する.(2) 草.(3) むしろ,ござ、草荐ベッドに敷くござ.

 

珊瑚 枕膩 鴉鬟亂,玉纖 慵整 雲散。

珊瑚の髪飾り、枕に染みついた皮脂、結った髪は乱れてもそのまま、白くて細く綺麗な指や、細身の体には何にもする気にならないしぐさであり、嘗ての妖艶さは雲が散ったようにどこにも見えない。

枕膩 枕の赤、油汚れ。

鴉鬟【あかん】①黒い髪の毛。 ②髪の結い方の一つ。あげまき。また、その髪に結った少年・少女。 ③召使の女。

玉纖 指が白くて細く綺麗な様子。

 ものうい。けだるい。夢や目標がない様子。

 

若是 適來 新夢見,離腸 爭不千斷。

こんな感じになってしまったが、もしあのお方がここへ来てくれるなら、新しい夢を見ることが出来、離れているこころがズタズタに斬り断たれることなどなくまじりあうことになったことだろう。

張泌《巻四47生查子一首》『花間集』198全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6262

張泌  生子一首  

相見稀,喜見相見,相見還相遠。檀畫荔枝紅,金蔓蜻蜓軟。

魚鴈疎,芳信斷,花落庭陰晚。可憐玉肌膚,消瘦成慵懶。

愛していた女が、後宮に召された妃嬪は寵愛を受けたがやがて、寵愛を失う、玉のような美肌を保っていたが、今はもう何もする気がないという妾妃となった女を詠う)

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張泌(生平年未詳)は、五代、前蜀の人。字、出身地ともに未詳。『花間集』では牛嶠と毛文錫の間に置かれていることから、前蜀に仕えて舎人になったことが知れるだけである。晩唐から五代にかけて、張泌という名の人物が三人いたことが分かっており、このため同名異人のこの三者がしばしば混同されてきた。『花間集』 には《浣溪沙》二十七首の詞が収められていて、張泌の「浣溪沙」作が十首収められている。浣溪沙は早春の川に染めた布地を晒し、その後、河原で一枚づつ並べて乾す様子をいうものであったが、寒食、清明節のころから、初夏にかけて、行楽で、川縁や野原に、万幕を張る様子を、言うようになった。春の絶頂期、人生の絶頂期、恋愛の絶頂期を示すものが多い。舟を出して花いっぱいの渓谷に入って遊んだものが、今では砂ばかりの渓谷しか見られない、ということを象徴にして女、女妓の侘しさ、寂しさを詠うものである。 

 

 

 

 

 

 

 

 

花間集 教坊曲『生子』七首

 

 

作者



初句7字

 

 

張舍人泌

巻四

子一首

相見稀,喜見相見

 

 

牛學士希濟

巻四

子一首

春山煙欲收,天澹

 

 

孫少監光憲

巻八

子三首其一

寂寞掩朱門,正是天

 

 

巻八

子三首其二

暖日策花驄,嚲鞚垂

 

 

巻八

子三首其三

金井墮高梧,玉殿籠

 

 

魏太尉承班

巻九

子二首其一

煙雨晚晴天,零落花

 

 

巻九

子二首其二

寂寞畫堂空,深夜垂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

子一首

(愛していた女が、後宮に召された妃嬪は寵愛を受けたがやがて、寵愛を失う、玉のような美肌を保っていたが、今はもう何もする気がないという妾妃となった女を詠う)

相見稀,喜見相見,相見還相遠。

はじめはまれに見つめるだけだったが、見つめあうことで喜びあうようになり、そして互に見つめ合い、そしてまた、互いは遠ざかることになる。

檀畫枝紅,金蔓蜻軟。

後宮に入った女には香木の黒檀に鳳凰が描かれ、荔子の紅が並べられ、金細工の蔓に金細工のトンボの髪飾りやわらかく揺れている。

魚鴈疎,芳信斷,花落庭陰

魚中の書簡も雁書簡もこなくなり、何時しか、良いことも音沙汰ないままになってしまった、そして、花は落ち、庭の南の草木も終ってしまい、女としても年を重ねた。

可憐玉肌膚,消成慵懶。

輝くような白い肌はまだまだ可愛らしい、しかし、寵愛を失うことは、そのため、痩せほそり、もうなにもするきがなくなってしまった。

 

(生子)

相い見る稀れ,喜び見 相い見,相い見て還た相い遠ざかる。

檀畫  紅なり,金蔓 蜻 軟かなり。

魚鴈 疎にするも,芳信 斷ち,花落ち 庭陰の

可憐なる 玉の肌膚,消す 慵懶成るを。

 

 

『生』 現代語訳と訳註

(本文)

子一首

相見稀,喜見相見,相見還相遠。

檀畫荔枝紅,金蔓蜻蜓軟。

魚鴈疎,芳信斷,花落庭陰晚。

可憐玉肌膚,消瘦成慵懶。

 

(下し文)

(生子)

相い見る稀れ,喜び見 相い見,相い見て還た相い遠ざかる。

檀畫 荔枝 紅なり,金蔓 蜻蜓 軟かなり。

魚鴈 疎にするも,芳信 斷ち,花落ち 庭陰の晚。

可憐なる 玉の肌膚,消瘦す 慵懶成るを。

 

(現代語訳)

(愛していた女が、後宮に召された妃嬪は寵愛を受けたがやがて、寵愛を失う、玉のような美肌を保っていたが、今はもう何もする気がないという妾妃となった女を詠う)

はじめはまれに見つめるだけだったが、見つめあうことで喜びあうようになり、そして互に見つめ合い、そしてまた、互いは遠ざかることになる。

後宮に入った女には香木の黒檀に鳳凰が描かれ、荔子の紅が並べられ、金細工の蔓に金細工のトンボの髪飾りやわらかく揺れている。

魚中の書簡も雁書簡もこなくなり、何時しか、良いことも音沙汰ないままになってしまった、そして、花は落ち、庭の南の草木も終ってしまい、女としても年を重ねた。

輝くような白い肌はまだまだ可愛らしい、しかし、寵愛を失うことは、そのため、痩せほそり、もうなにもするきがなくなってしまった。

 

(訳注)

子一首

(愛していた女が、後宮に召された妃嬪は寵愛を受けたがやがて、寵愛を失う、玉のような美肌を保っていたが、今はもう何もする気がないという妾妃となった女を詠う)

「生」は、唐教坊曲の名、『花間集』には七首所収。張泌の作は一首収められている。双調四十三字、前段二十二字四句三仄韻、後段二十一字五句三仄韻で、3❹❺5❺/3❸❺5❺の詞形をとる。

子一首

相見稀,喜見相,相見還相

檀畫荔枝紅,金蔓蜻蜓

魚鴈疎,芳信,花落庭陰

可憐玉肌膚,消瘦成慵

△●○  ●●△● △●○△●

○●●○○ ○△○△●

○●△ ○△●  ○●○○●

●○●○○  ○●○○●

 

相見稀,喜見相見,相見還相遠。

はじめはまれに見つめるだけだったが、見つめあうことで喜びあうようになり、そして互に見つめ合い、そしてまた、互いは遠ざかることになる。

相見・相見・相見 

 

檀畫 荔枝紅,金蔓 蜻蜓軟。

後宮に入った女には香木の黒檀に鳳凰が描かれ、荔子の紅が並べられ、金細工の蔓に金細工のトンボの髪飾りやわらかく揺れている。

/真弓  ニシキギ科の落葉低木。山野に生え、葉は楕円形で、対生。雌雄異株。初夏、緑白色の小花が集まって咲き、果実はほぼ四角形で、熟すと四つに裂けて赤い種子が現れる。古くは材で弓を作った。やまにしきぎ。かわくまつづら。《季 花=夏 実=秋》2 (「檀弓」とも書く)マユミの木で作った弓。3 (かさね)の色目の名。表は蘇芳(すおう)、裏は黄。多く秋に用いる。

荔枝 ライチはムクロジ科の果樹。 レイシとも呼ばれる。11種。中国の嶺南地方原産で、熱帯・亜熱帯地方で栽培される。 常緑高木で、葉は偶数羽状複葉で互生する。花は黄緑色で春に咲く。果実は夏に熟し、表面は赤くうろこ状、果皮をむくと食用になる白色半透明で多汁の果肉があり、その中に大きい種子が1個ある。

金蔓 金銭を得る、つてや手がかり。資金などを出してくれる人。「―をつかむ」ここは金細工の飾り物。

蜻蜓 トンボのかみかざり。 1 トンボ目ヤンマ科の昆虫の総称。体長6センチ以上あり、体は長く太めで、複眼も大きい。翅(はね)は幅広く、翅脈(しみゃく)が太い。昆虫類中最も速く飛ぶ。ギンヤンマ・ルリボシヤンマ・カトリヤンマなど。2 大形のトンボ。

 

魚鴈疎,芳信斷,花落庭陰晚。

魚中の書簡も雁書簡もこなくなり、何時しか、良いことも音沙汰ないままになってしまった、そして、花は落ち、庭の南の草木も終ってしまい、女としても年を重ねた。

魚鴈 魚中の書簡(魚中の書簡も雁書簡)も雁書簡(雁足)

芳信 1 他人を敬って、その手紙をいう語。慕っている身分の高い人からの手紙。2 花の咲いたという便り。花信。

庭陰 庭の南の草木も終る。

 

可憐玉肌膚,消瘦成慵懶。

輝くような白い肌はまだまだ可愛らしい、しかし、寵愛を失うことは、そのため、痩せほそり、もうなにもするきがなくなってしまった。

玉肌膚 輝くような白い美肌。

慵懶 慵:ものうい,だるい。懶:1 なんとなく心が晴れ晴れしない。だるくておっくうである。2 苦しい。つらい。

張泌《巻四46女冠子一首》『花間集』197全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6257

張泌  女冠子 一首  

露花煙草,寂寞五雲三島,正春深。貌減潛銷玉,香殘尚惹襟。

竹疎虛檻靜,松密醮壇陰。何事劉郎去,信沉沉。

(後宮に祀られた祠の舞台、祭壇に、後宮に入った若い女冠子をうたうもので、膨大な数の尼と女道士(女冠)の集団の中のアイドルの頂点のような存在である、しかし歳を重ねれば世代交代ということはつきものである。数万にも及ぶ女道士も人知れずなくなっていくと詠う。

張泌《巻四46女冠子一首》『花間集』197全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6257

 
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 ●杜甫の全作品1500首を訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。" 
 Ⅲ杜甫詩全1500首   LiveDoorBlog766年-62杜甫 《1523贈崔十三評事公輔 -#4》【5分割】 杜甫詩index-15-766年大暦元年55歲-62 <926-#4> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ6255 
 杜甫詩(1)736~751年 青年期・李白と交遊期・就活の詩 53首杜甫詩(2)752年~754年、43歳 73首(青年期・就活の詩) 杜甫詩(3)755年~756年、45歳 安史の乱に彷徨う 26首杜甫詩(4)作時757年、46歳 安史軍捕縛、脱出、左拾遺 43首杜甫詩(5)758年;乾元元年、47歳 左拾遺、朝廷疎外、左遷 53首杜甫詩 (6)759年;乾元二年、48歳 三吏三別 官を辞す 44首 
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張泌《巻四46女冠子一首》『花間集』197全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6257
 
 薛濤の全詩花間集(1巻花間集(2巻花間集(3巻花間集(4巻花間集(5巻 
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 温庭筠66首 花間集1・2巻皇甫松11首 花間集二巻韋莊47首 花間集二巻薛昭蘊19首 花間集三巻牛嶠31首 花間集三・四巻張泌27首 花間集四巻 
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張泌(生平年未詳)は、五代、前蜀の人。字、出身地ともに未詳。『花間集』では牛嶠と毛文錫の間に置かれていることから、前蜀に仕えて舎人になったことが知れるだけである。晩唐から五代にかけて、張泌という名の人物が三人いたことが分かっており、このため同名異人のこの三者がしばしば混同されてきた。『花間集』 には《浣溪沙》二十七首の詞が収められていて、張泌の「浣溪沙」作が十首収められている。浣溪沙は早春の川に染めた布地を晒し、その後、河原で一枚づつ並べて乾す様子をいうものであったが、寒食、清明節のころから、初夏にかけて、行楽で、川縁や野原に、万幕を張る様子を、言うようになった。春の絶頂期、人生の絶頂期、恋愛のの絶頂期を示すものが多い。舟を出して花いっぱいの渓谷に入って遊んだものが、今では砂ばかりの渓谷しか見られない、ということを象徴にして女、女妓の侘しさ、寂しさを詠うものである。 

 

 

 

 

 

 

 

 

花間集 教坊曲『女冠子』十九首

 

 

溫助教庭筠

巻一

女冠子二首其一

含嬌含笑

 

 

 〃

巻一

女冠子二首其二

霞帔雲髮,

 

 

韋相莊

巻三

女冠子二首其一

四月十七,

 

 

 〃

巻三

女冠子二首其二

昨夜夜半,

 

 

薛侍郎昭蘊

巻三

女冠子二首其一

求仙去也,

 

 

 〃

巻三

女冠子二首其二

雲羅霧縠,

 

 

牛嶠(牛給事嶠)

巻四

女冠子四首 其一

綠雲高髻,

 

 

 〃

巻四

女冠子四首 其二

錦江煙水,

 

 

 〃

巻四

女冠子四首 其三

星冠霞帔,

 

 

 〃

巻四

女冠子四首 其四

雙飛雙舞,

 

 

張舍人泌

巻四

女冠子一首

露花煙草,

 

 

孫少監光憲

巻八

女冠子二首其一

蕙風芝露,

 

 

 〃

巻八

女冠子二首其二

澹花瘦玉,

 

 

鹿太保虔扆

巻九

女冠子二首其一

鳳樓琪樹,

 

 

 〃

巻九

女冠子二首其二

步虛壇上,

 

 

毛秘書熙震

巻九

女冠子二首其一

碧桃紅杏,

 

 

 〃

巻九

女冠子二首其二

脩蛾慢臉,

 

 

李秀才珣

巻十

女冠子二首其一

星高月午,

 

 

 〃

巻十

女冠子二首其二

春山夜靜,

 

 

 

 

 

 

 

 


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牛嶠《巻四45女冠子四首 其四》『花間集』196全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6252

牛嶠  女冠子四首其四  

雙飛雙舞,春晝後園鶯語。卷羅幃。錦字書封了,銀河鴈過遲。

鴛鴦排寶帳,荳繡連枝。不語勻珠淚,落花時。

春の日中、後宮の寝殿の庭で鶯のように語り合い、二つ並んで飛び、二つ揃って舞う、若くして子を作り、連枝に名を縫いこまれはしても、花が散るように、忘れ去られ、妃嬪は涙をするばかり。

牛嶠《巻四45女冠子四首 其四》『花間集』196全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6252

 
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(改訂版Ver.2.1

女冠子四首

牛嶠(生卒年不詳),字を松卿といい,また延峰ともいった。隴西(今の甘肅省西部)の人,唐の宰相、牛僧孺の孫である。唐の僖宗、878年乾符元年の進士,拾遺,補尚書郎を歷任した。王建が蜀の鎮守になると,牛嶠は判官に任じられ、王建が建国して帝を称えると給事中等職に任じられ,故に後の人は “牛給事”と稱した。牛嶠博學、文才有り,詩は李賀に學んだ,尤も其の詞を以って世に聞く,現在《歌詩集》三捲あったことは知られているが今日うしなわれていて傳わらない。花間集に三十二首収められている。

 

(改訂版Ver.2.1

女冠子四首其一

女冠子四首其の一(若くてアイドルのような女冠が初め恋をした有様を詠う)

綠雲高髻,點翠紅時世。月如眉。

黒髪が輝き両鬢の雲型に高くした髷のもとどり姿、翡翠が鏤められた髪飾り、若い人に流行の赤くきれいな頬紅の化粧をする、それに新月のような眉を書いている。

淺笑含雙靨,低聲唱小詞。

恥しがってすこし笑うと両の頬にえくぼができる、低い声で短冊に書き込んだ短篇詞譜をうたっている。

眼看唯恐化,魂蕩欲相隨。

鏡を見るとただ変わっていくのが恐ろしいし、落ち着かず蕩心であってもいい、連れ立って歩きたいと思っている。

玉趾迴嬌,約佳期。

耀く歌を謡って庭をいっしょに歩いてまわればその声は余韻として広がり、また、逢瀬の期日約束をする。

(女冠子四首 其の一)

綠雲の高髻,點翠 勻紅しく 時世なり。月 眉の如し。

淺笑 雙靨を含み,低聲 小詞を唱う。

眼看 唯だ化を恐れ,魂蕩 相い隨わんと欲す。

玉趾して嬌步迴り,佳期を約す。

(改訂版Ver.2.1

女冠子四首其二

(後蜀の後宮に美女がそろい、この春、寵愛を受ける妃賓に最高の飾り身支度に包まれ、それが久しく続くと詠う。)

錦江煙水,卓女燒春濃美。小檀霞。

錦江の水面は春の煙がただよい、卓文君をおもわせる宮女がならび、温む燒春の新酒の美酒が用意され、宮女はきれいに紫紅色の化粧をととのえる。

帶芙蓉帳,金釵芍藥花。

鸞の刺繍の帯、芙蓉の帳、金の簪、芍薬の花、限りの無いほどの寵愛を受けているさまでいっぱい。

侵膩髮,臂釧透紅紗。

そのうえ、生え際までの黄色の額に花鈿の化粧をして、紅色の紗の袖に腕輪が透けて見える。

柳暗鶯啼處,認郎家。

柳が緑色濃く繁り、陰を暗くする頃、鶯が囀るあたり、愛しき君の邸宅が見える。

(女冠子四首其二)

錦江の煙水,卓女の燒春 濃美なり。小檀霞【しょうだんか】。

繡帶【しゅうたい】芙蓉の帳,金釵 芍藥の花。

額黃【がくこう】膩髮【じはつ】を侵し,臂釧【ひせん】紅紗【こうさ】に透ける。

柳 暗く 鶯 啼く處,郎が家を認む。

 

女冠子四首其三

女冠詞四首その三(禁断の園には、今年も春の盛りが来て杏の花の香りに包まれる、一時期の寵愛であったかもしれないが、それを夢見て暮らすと詠う)

星冠霞,住在蘂珠宮裏。佩叮

星の如く宝玉を鏤めた冠、霓裳羽衣の美しくて軽やかな衣装、額の中心に黄色い花鈿の化粧をし、その中心に真珠を付けていて宮殿の内に住んでいる。そこには佩びの音がなりひびく。

明翠搖翼,纖珪理宿粧。

翡翠のとばりを明るく照らされ蝉の翼が揺れ、きめのこまかい白粉の粉を宵越しの化粧をしている。

壇春艸綠,藥院杏花香。

災厄を消除する祭祀の祭壇には春草が一斉に伸びて一面緑に変っている。禁苑の囲いの庭には満面の花で、もう杏花の香りがいっぱいに広がる。

青鳥傳心事,寄劉郎。

恋の使者である青鳥よ伝えてくれ 心にある思いを、あのおかたに寄せるこの詩を。

其の三

星の冠 霞の帔,住むは蘂珠【ずいしゅ】宮裏に在る。佩し、叮し、す。

翠を明し 蟬翼搖れ,纖珪 宿粧を理す。

醮壇【しょうだん】 春艸【しゅんそう】の綠,藥院【やくいん】 杏花の香。

青鳥 心事を傳へ,劉郎に寄す。

(改訂版Ver.2.1

女冠子四首其四

雙飛雙舞,春晝後園鶯語。卷羅幃。

離れる事は無いと二つ並んで飛び、二つ揃って舞う、春の日中、後宮の寝殿の庭で鶯のように語り合う、そして、仙郷月宮に遊び、うす絹で袋のように包まれ、巻かれる。

錦字書封了,銀河鴈過遲。

すぐれて美しい詩句、書、慕って送る手紙もすべてやりつくし、銀河をとぶ、あの雁さえも過ぎ去るときも遅くなる。

鴛鴦排寶帳,荳連枝。

鴛鴦は宝の幃の中で排卵をし、にくづくの花のように、若くして子を作り、連枝に縫いこまれる。

不語,落花時。

そして、花が散る時がやってくる、いま、語る人もなく真珠の玉のような涙をおとしつづける。

(女冠子四首其の四)

雙ながら飛び 雙ながら舞い,春の晝 後園 鶯 語る。羅幃を卷く。

錦字 書 封じ了し,銀河 鴈 遲れて過る。

鴛鴦 寶帳に排し,荳  連枝を繡する。

語らずして珠淚に勻【あまね】し,落花の時。

 

(改訂版Ver.2.1

『女冠子』 現代語訳と訳註

(本文)女冠子四首其四

雙飛雙舞,春晝後園鶯語。卷羅幃。

錦字書封了,銀河鴈過遲。

鴛鴦排寶帳,荳繡連枝。

不語勻珠淚,落花時。

 

(下し文)

(女冠子四首其の四)

雙ながら飛び 雙ながら舞い,春の晝 後園 鶯 語る。羅幃を卷く。

錦字 書 封じ了し,銀河 鴈 遲れて過る。

鴛鴦 寶帳に排し,荳 繡 枝を連る。

語らずして珠淚に勻【あまね】し,落花の時。

 

(現代語訳)

春の日中、後宮の寝殿の庭で鶯のように語り合い、二つ並んで飛び、二つ揃って舞う、若くして子を作り、連枝に名を縫いこまれはしても、花が散るように、忘れ去られ、妃嬪は涙をするばかり。

離れる事は無いと二つ並んで飛び、二つ揃って舞う、春の日中、後宮の寝殿の庭で鶯のように語り合う、そして、仙郷月宮に遊び、うす絹で袋のように包まれ、巻かれる。

すぐれて美しい詩句、書、慕って送る手紙もすべてやりつくし、銀河をとぶ、あの雁さえも過ぎ去るときも遅くなる。

鴛鴦は宝の幃の中で排卵をし、にくづくの花のように、若くして子を作り、連枝に縫いこまれる。

そして、花が散る時がやってくる、いま、語る人もなく真珠の玉のような涙をおとしつづける。

 

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牛嶠《巻四44女冠子四首 其三》『花間集』195全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6247

牛嶠  女冠子四首 其三  

星冠霞帔,住在蘂珠宮裏。佩叮明翠搖蟬翼,纖珪理宿粧。

醮壇春艸綠,藥院杏花香。青鳥傳心事,寄劉郎。

星の如く宝玉を鏤めた冠、霓裳羽衣の美しくて軽やかな衣装、額の中心に黄色い花鈿の化粧をし、その中心に真珠を付けていて宮殿の内に住んでいる。そこには佩びの音がなりひびく。翡翠のとばりを明るく照らされ蝉の翼が揺れ、きめのこまかい白粉の粉を宵越しの化粧をしている。災厄を消除する祭祀の祭壇には春草が一斉に伸びて一面緑に変っている。禁苑の囲いの庭には満面の花で、もう杏花の香りがいっぱいに広がる。

 

牛嶠《巻四44女冠子四首 其三》『花間集』195全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6247

 
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(改訂版Ver.2.1

女冠子四首

牛嶠(生卒年不詳),字を松卿といい,また延峰ともいった。隴西(今の甘肅省西部)の人,唐の宰相、牛僧孺の孫である。唐の僖宗、878年乾符元年の進士,拾遺,補尚書郎を歷任した。王建が蜀の鎮守になると,牛嶠は判官に任じられ、王建が建国して帝を称えると給事中等職に任じられ,故に後の人は “牛給事”と稱した。牛嶠博學、文才有り,詩は李賀に學んだ,尤も其の詞を以って世に聞く,現在《歌詩集》三捲あったことは知られているが今日うしなわれていて傳わらない。花間集に三十二首収められている。

 

(改訂版Ver.2.1

女冠子四首其一

女冠子四首其の一(若くてアイドルのような女冠が初め恋をした有様を詠う)

綠雲高髻,點翠紅時世。月如眉。

黒髪が輝き両鬢の雲型に高くした髷のもとどり姿、翡翠が鏤められた髪飾り、若い人に流行の赤くきれいな頬紅の化粧をする、それに新月のような眉を書いている。

淺笑含雙靨,低聲唱小詞。

恥しがってすこし笑うと両の頬にえくぼができる、低い声で短冊に書き込んだ短篇詞譜をうたっている。

眼看唯恐化,魂蕩欲相隨。

鏡を見るとただ変わっていくのが恐ろしいし、落ち着かず蕩心であってもいい、連れ立って歩きたいと思っている。

玉趾迴嬌,約佳期。

耀く歌を謡って庭をいっしょに歩いてまわればその声は余韻として広がり、また、逢瀬の期日約束をする。

(女冠子四首 其の一)

綠雲の高髻,點翠 勻紅しく 時世なり。月 眉の如し。

淺笑 雙靨を含み,低聲 小詞を唱う。

眼看 唯だ化を恐れ,魂蕩 相い隨わんと欲す。

玉趾して嬌步迴り,佳期を約す。

(改訂版Ver.2.1

女冠子四首其二

(後蜀の後宮に美女がそろい、この春、寵愛を受ける妃賓に最高の飾り身支度に包まれ、それが久しく続くと詠う。)

錦江煙水,卓女燒春濃美。小檀霞。

錦江の水面は春の煙がただよい、卓文君をおもわせる宮女がならび、温む燒春の新酒の美酒が用意され、宮女はきれいに紫紅色の化粧をととのえる。

帶芙蓉帳,金釵芍藥花。

鸞の刺繍の帯、芙蓉の帳、金の簪、芍薬の花、限りの無いほどの寵愛を受けているさまでいっぱい。

侵膩髮,臂釧透紅紗。

そのうえ、生え際までの黄色の額に花鈿の化粧をして、紅色の紗の袖に腕輪が透けて見える。

柳暗鶯啼處,認郎家。

柳が緑色濃く繁り、陰を暗くする頃、鶯が囀るあたり、愛しき君の邸宅が見える。

(女冠子四首其二)

錦江の煙水,卓女の燒春 濃美なり。小檀霞【しょうだんか】。

繡帶【しゅうたい】芙蓉の帳,金釵 芍藥の花。

額黃【がくこう】膩髮【じはつ】を侵し,臂釧【ひせん】紅紗【こうさ】に透ける。

柳 暗く 鶯 啼く處,郎が家を認む。

 

女冠子四首其三

女冠詞四首その三(禁断の園には、今年も春の盛りが来て杏の花の香りに包まれる、一時期の寵愛であったかもしれないが、それを夢見て暮らすと詠う)

星冠霞,住在蘂珠宮裏。佩叮

星の如く宝玉を鏤めた冠、霓裳羽衣の美しくて軽やかな衣装、額の中心に黄色い花鈿の化粧をし、その中心に真珠を付けていて宮殿の内に住んでいる。そこには佩びの音がなりひびく。

明翠搖翼,纖珪理宿粧。

翡翠のとばりを明るく照らされ蝉の翼が揺れ、きめのこまかい白粉の粉を宵越しの化粧をしている。

壇春艸綠,藥院杏花香。

災厄を消除する祭祀の祭壇には春草が一斉に伸びて一面緑に変っている。禁苑の囲いの庭には満面の花で、もう杏花の香りがいっぱいに広がる。

青鳥傳心事,寄劉郎。

其の三

星の冠 霞の帔,住むは蘂珠【ずいしゅ】宮裏に在る。佩し、叮し、す。

翠を明し 蟬翼搖れ,纖珪 宿粧を理す。

醮壇【しょうだん】 春艸【しゅんそう】の綠,藥院【やくいん】 杏花の香。

青鳥 心事を傳へ,劉郎に寄す。

 

女冠子四首其四

雙飛雙舞,春晝後園鶯語。卷羅幃。

錦字書封了,銀河鴈過遲。

鴛鴦排寶帳,荳繡連枝。

不語勻珠淚,落花時。

(其の四)

雙ながら飛び 雙ながら舞い,春の晝 後園 鶯 語る。羅幃を卷く。

錦字 書 封じ了し,銀河 鴈 遲れて過る。

鴛鴦 寶帳に排し,荳 繡 枝を連る。

語らずして珠淚に勻し,落花の時。

 

 

(改訂版Ver.2.1

『女冠子』 現代語訳と訳註

(本文)

女冠子四首 其三

星冠霞帔,住在蘂珠宮裏。佩叮

明翠搖蟬翼,纖珪理宿粧。

醮壇春艸綠,藥院杏花香。

青鳥傳心事,寄劉郎。

 

(下し文)

女冠子四首其の三

星の冠 霞の帔,住むは蘂珠【ずいしゅ】宮裏に在る。佩し、叮し、

翠を明し 蟬翼搖れ,纖珪 宿粧を理す。

醮壇【しょうだん】 春艸【しゅんそう】の綠,藥院【やくいん】 杏花の香。

青鳥 心事を傳へ,劉郎に寄す。

 

(現代語訳)

女冠詞四首その三(禁断の園には、今年も春の盛りが来て杏の花の香りに包まれる、一時期の寵愛であったかもしれないが、それを夢見て暮らすと詠う)

星の如く宝玉を鏤めた冠、霓裳羽衣の美しくて軽やかな衣装、額の中心に黄色い花鈿の化粧をし、その中心に真珠を付けていて宮殿の内に住んでいる。そこには佩びの音がなりひびく。

翡翠のとばりを明るく照らされ蝉の翼が揺れ、きめのこまかい白粉の粉を宵越しの化粧をしている。

災厄を消除する祭祀の祭壇には春草が一斉に伸びて一面緑に変っている。禁苑の囲いの庭には満面の花で、もう杏花の香りがいっぱいに広がる。

恋の使者である青鳥よ伝えてくれ 心にある思いを、あのおかたに寄せるこの詩を。

 

(訳注)

女冠子四首其三

女冠詞四首その三(禁断の園には、今年も春の盛りが来て杏の花の香りに包まれる、一時期の寵愛であったかもしれないが、それを夢見て暮らすと詠う)

『花間集』には牛嶠の作が四首収められている。

温庭筠、韋荘、女冠子参照。

『花間集』全詩訳注解説(改訂)-148《巻1-48 女冠子二首 其一》66首巻一48-〈48〉漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-5437

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『花間集』全詩訳注解説(改訂版)-43韋荘121《巻3-21 女冠子二首 其一》三巻21-〈121〉漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-5807

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8-418《女冠子一首》張泌Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-601-8-(418) 四巻漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4552

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女冠子四首 其一

綠雲高,點翠勻紅時。月如

淺笑含雙靨,低聲唱小

眼看唯恐,魂蕩欲相隨。

玉趾迴嬌,約佳

●○○●  ●●○○○△ ●△○

△●○○● ○○●●○

●△△●● ○●●△○

●●△△● ●○○

双調四十一字、前段二十二字五句二灰韻二平韻、後段十八宇四句一平韻で、❹❻③5⑤/55③の詞形をとる。

女冠子四首其二

錦江煙,卓女燒春濃。小檀

繡帶芙蓉帳,金釵芍藥

額黃侵膩髮,臂釧透紅

柳暗鶯啼,認郎

●○○●  ●●△○○● ●○○

●●○○● ○○●●○

●○△●● ●●●○○

●●○○● ●○○

双調四十一字、前段二十二字五句三仄韻二平韻、後段十八宇四句二仄韻二平韻で、❹❻③❺⑤/❺⑤⑤③の詞形をとる。

女冠子四首其三

星冠霞,住在蘂珠宮。佩叮

明翠搖蟬,纖珪理宿

醮壇春艸,藥院杏花

青鳥傳心,寄劉

○△○△  ●●●○○● △○?

○●○○● ○○●●?

△○○●● ●△●○○

○●△○● ●○○

 

星冠霞帔,住在蘂珠宮裏。佩叮

星の如く宝玉を鏤めた冠、霓裳羽衣の美しくて軽やかな衣装、額の中心に黄色い花鈿の化粧をし、その中心に真珠を付けていて宮殿の内に住んでいる。そこには佩びの音がなりひびく。

・星冠 星の如く宝玉を鏤めた冠。

・霞帔 白居易·霓裳羽衣歌:「虹裳霞帔步搖冠,鈿瓔纍纍佩珊珊。」

薄絹などで作った、女性の美しくて軽やかな衣装のこと。また、舞曲の名。もと西域から伝来したものという。一説に唐の玄宗が仙人と月宮に遊び、仙女の舞を見たが、玄宗はその音調を覚えて帰り、楽士にそのとおり作らせたのがこの楽曲という。楊貴妃ようきひはこの舞を得意としたとされる。▽「霓裳」は虹にじのように美しいもすそ(スカート)の意。「霓」は虹。「羽衣」は鳥の羽で作った軽い衣。天あまのはごろも。天人や仙人が着て空を飛ぶという。・帔 とは。意味や日本語訳。古代の女性の刺繍(し/しゆう)つきの肩掛け. 

蘂珠 粉心黃蘂は額の中心に黄色い化粧をぬること。その中心の真珠を付ける。

 1 身に帯びる。「佩剣・佩刀・佩用/帯佩」2 腰につける飾り。「玉佩」3 心にとどめて忘れない。

・叮 (1) (蚊やノミが)刺す,かむ被蚊子叮了一下蚊に刺された.(2) 問い詰める,しつこく尋ねる叮了她一句念を押すように彼女に尋ねた.

 鐘の音を表す擬声語。

 

明翠搖蟬翼,纖珪理宿粧。

翡翠のとばりを明るく照らされ蝉の翼が揺れ、きめのこまかい白粉の粉を宵越しの化粧をしている。

・纖〔繊〕【せん】1 ほそい。こまかい。「繊維・繊細・繊繊・繊毛」2 繊維。

・珪  主に石英粒からなる砂。花崗岩(かこうがん)などの風化で生じる。珪石を粉砕した人工珪砂もある。ガラスの原料、鋳物砂、研磨材に使用。石英砂。

・宿妝 宵越しの化粧。岑参《醉子美人》朱唇一点桃花殷,宿妝嬌羞偏髻鬟。 

「宿粧」

 

溫庭筠

巻一03菩薩蠻十四首其三

蘂黃無限當山額,宿粧隱笑紗窗隔。

溫庭筠

巻二04遐方怨二首其一

宿粧眉淺粉山橫,約鬟鸞鏡裡,繡羅輕。

牛嶠

巻四03女冠子四首其三

明翠搖蟬翼,纖珪理宿粧。

顧夐

巻六34虞美人六首其一

宿粧猶在酒初醒,翠翹慵整倚雲屏,轉娉婷。

 

醮壇春艸綠,藥院杏花香。

災厄を消除する祭祀の祭壇には春草が一斉に伸びて一面緑に変っている。禁苑の囲いの庭には満面の花で、もう杏花の香りがいっぱいに広がる。

・醮 中国における道教の祭祀の一つ。《隋書》経籍志の道経序録によれば,醮とは災厄を消除する方法の一つで,夜中,星空の下で酒や乾肉などの供物を並べ,天皇太一や五星列宿を祭り,文書を上奏する儀礼をいう。

藥院 禁苑の囲いを凝らして出入りを禁じたところ。男子禁制の道女のいるところ。

 

青鳥傳心事,寄劉郎。

恋の使者である青鳥よ伝えてくれ 心にある思いを、あのおかたに寄せるこの詩を。

・青鳥 青色は五行思想方位で東に当たる。春の神を青帝ともいう。また靑鳥は天上の女神西王母の侍女でもある。そこでここは、青い鳥が春の使者として訪れたことをいうのであろう。恋の使者(青鳥 仙界とのなかだちをするという青い鳥、恋の使者である。この島に棲む青い鳥が使者である。仙女西王母の使いの鳥。杜甫「麗人行」にもある。お誘いの手紙を届けるものを指す。)

・劉郞 仙桃を味わった浦島太郎のような人物である劉晨=劉郎である夢心地の状態にある男、何年も訪れてくれなくなっているのでこのようにいう。12年もたっていることと、全く景色が変わって、ここにいる女を含めみんなが全く変わっていたというものだ。 

牛嶠《巻四43女冠子四首 其二》『花間集』194全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6242

牛嶠  女冠子四首其二  

錦江煙水,卓女燒春濃美。小檀霞。繡帶芙蓉帳,金釵芍藥花。

額黃侵膩髮,臂釧透紅紗。柳暗鶯啼處,認郎家。

(後蜀の後宮に美女がそろい、この春、寵愛を受ける妃賓に最高の飾り身支度に包まれ、それが久しく続くと詠う。)錦江の水面は春の煙がただよい、卓文君をおもわせる宮女がならび、温む燒春の新酒の美酒が用意され、宮女はきれいに紫紅色の化粧をととのえる。鸞の刺繍の帯、芙蓉の帳、金の簪、芍薬の花、限りの無いほどの寵愛を受けているさまでいっぱい。そのうえ、生え際までの黄色の額に花鈿の化粧をして、紅色の紗の袖に腕輪が透けて見える。柳が緑色濃く繁り、陰を暗くする頃、鶯が囀るあたり、愛しき君の邸宅が見える。

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 2015年7月2日の紀頌之5つのBlog 
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 孟郊張籍     
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 杜甫詩(7)759年;乾元二年、48歳 秦州抒情詩 66首杜甫詩(8)作時759年、48歳 秦州発、同谷紀行、成都紀行 36首杜甫詩(9)760年;上元元年、49歳 成都浣花渓草堂 45首杜甫詩(10)761年;上元二年、50歳 成都浣花渓草堂 82首杜甫詩(11)762年寶應元年 杜甫51歳  浣花渓草堂~蜀中転々 43首杜甫詩(12)762年寶應元年 杜甫51歳 蜀中転々 49首 
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 魚玄機全詩花間集(6巻花間集(7巻花間集(8巻花間集(9巻花間集10巻 
 温庭筠66首 花間集1・2巻皇甫松11首 花間集二巻韋莊47首 花間集二巻薛昭蘊19首 花間集三巻牛嶠31首 花間集三・四巻張泌27首 花間集四巻 
 毛文錫31首 花間集5巻牛希濟11首 花間集5巻欧陽烱17首 花間集5・6巻和凝20首 花間集6巻顧夐56首 花間集6・7巻孫光憲47首 花間集7・8巻 
 魏承班15首 花間集8・9巻鹿虔扆6首 花間集9巻閻選8首 花間集9巻尹鶚6首 花間集9巻毛熙震29首 花間集9・10巻李珣39首 花間集10巻 
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牛嶠(生卒年不詳),字を松卿といい,また延峰ともいった。隴西(今の甘肅省西部)の人,唐の宰相、牛僧孺の孫である。唐の僖宗、878年乾符元年の進士,拾遺,補尚書郎を歷任した。王建が蜀の鎮守になると,牛嶠は判官に任じられ、王建が建国して帝を称えると給事中等職に任じられ,故に後の人は “牛給事”と稱した。牛嶠博學、文才有り,詩は李賀に學んだ,尤も其の詞を以って世に聞く,現在《歌詩集》三捲あったことは知られているが今日うしなわれていて傳わらない。花間集に三十二首収められている。

 

(改訂版Ver.2.1

女冠子四首

牛嶠(生卒年不詳),字を松卿といい,また延峰ともいった。隴西(今の甘肅省西部)の人,唐の宰相、牛僧孺の孫である。唐の僖宗、878年乾符元年の進士,拾遺,補尚書郎を歷任した。王建が蜀の鎮守になると,牛嶠は判官に任じられ、王建が建国して帝を称えると給事中等職に任じられ,故に後の人は “牛給事”と稱した。牛嶠博學、文才有り,詩は李賀に學んだ,尤も其の詞を以って世に聞く,現在《歌詩集》三捲あったことは知られているが今日うしなわれていて傳わらない。花間集に三十二首収められている。

 

(改訂版Ver.2.1

女冠子四首其一

女冠子四首其の一(若くてアイドルのような女冠が初め恋をした有様を詠う)

綠雲高髻,點翠紅時世。月如眉。

黒髪が輝き両鬢の雲型に高くした髷のもとどり姿、翡翠が鏤められた髪飾り、若い人に流行の赤くきれいな頬紅の化粧をする、それに新月のような眉を書いている。

淺笑含雙靨,低聲唱小詞。

恥しがってすこし笑うと両の頬にえくぼができる、低い声で短冊に書き込んだ短篇詞譜をうたっている。

眼看唯恐化,魂蕩欲相隨。

鏡を見るとただ変わっていくのが恐ろしいし、落ち着かず蕩心であってもいい、連れ立って歩きたいと思っている。

玉趾迴嬌,約佳期。

耀く歌を謡って庭をいっしょに歩いてまわればその声は余韻として広がり、また、逢瀬の期日約束をする。

(女冠子四首 其の一)

綠雲の高髻,點翠 勻紅しく 時世なり。月 眉の如し。

淺笑 雙靨を含み,低聲 小詞を唱う。

眼看 唯だ化を恐れ,魂蕩 相い隨わんと欲す。

玉趾して嬌步迴り,佳期を約す。

(改訂版Ver.2.1

女冠子四首其二

(後蜀の後宮に美女がそろい、この春、寵愛を受ける妃賓に最高の飾り身支度に包まれ、それが久しく続くと詠う。)

錦江煙水,卓女燒春濃美。小檀霞。

錦江の水面は春の煙がただよい、卓文君をおもわせる宮女がならび、温む燒春の新酒の美酒が用意され、宮女はきれいに紫紅色の化粧をととのえる。

帶芙蓉帳,金釵芍藥花。

鸞の刺繍の帯、芙蓉の帳、金の簪、芍薬の花、限りの無いほどの寵愛を受けているさまでいっぱい。

侵膩髮,臂釧透紅紗。

そのうえ、生え際までの黄色の額に花鈿の化粧をして、紅色の紗の袖に腕輪が透けて見える。

柳暗鶯啼處,認郎家。

柳が緑色濃く繁り、陰を暗くする頃、鶯が囀るあたり、愛しき君の邸宅が見える。

(女冠子四首其二)

錦江の煙水,卓女の燒春 濃美なり。小檀霞【しょうだんか】。

繡帶【しゅうたい】芙蓉の帳,金釵 芍藥の花。

額黃【がくこう】膩髮【じはつ】を侵し,臂釧【ひせん】紅紗【こうさ】に透ける。

柳 暗く 鶯 啼く處,郎が家を認む。

 

女冠子四首其三

星冠霞帔,住在蘂珠宮裏。佩叮

明翠搖蟬翼,纖珪理宿粧。

醮壇春艸綠,藥院杏花香。

青鳥傳心事,寄劉郎。

其の三

星の冠 霞の帔,住むは蘂珠【ずいしゅ】宮裏に在る。佩し、叮し、す。

翠を明し 蟬翼搖れ,纖珪 宿粧を理す。

醮壇【しょうだん】 春艸【しゅんそう】の綠,藥院【やくいん】 杏花の香。

青鳥 心事を傳へ,劉郎に寄す。

 

女冠子四首其四

雙飛雙舞,春晝後園鶯語。卷羅幃。

錦字書封了,銀河鴈過遲。

鴛鴦排寶帳,荳繡連枝。

不語勻珠淚,落花時。

(其の四)

雙ながら飛び 雙ながら舞い,春の晝 後園 鶯 語る。羅幃を卷く。

錦字 書 封じ了し,銀河 鴈 遲れて過る。

鴛鴦 寶帳に排し,荳 繡 枝を連る。

語らずして珠淚に勻し,落花の時。

 

 

(改訂版Ver.2.1

『女冠子四首』 現代語訳と訳註

(本文)

女冠子四首其二

錦江煙水,卓女燒春濃美。小檀霞。

繡帶芙蓉帳,金釵芍藥花。

額黃侵膩髮,臂釧透紅紗。

柳暗鶯啼處,認郎家。

 

(下し文)

(女冠子四首其の二)

錦江の煙水,卓女の燒春 濃美なり。小檀霞【しょうだんか】。

繡帶【しゅうたい】芙蓉の帳,金釵 芍藥の花。

額黃【がくこう】膩髮【じはつ】を侵し,臂釧【ひせん】紅紗【こうさ】に透ける。

柳 暗く 鶯 啼く處,郎が家を認む。

 

(現代語訳)

(後蜀の後宮に美女がそろい、この春、寵愛を受ける妃賓に最高の飾り身支度に包まれ、それが久しく続くと詠う。)

錦江の水面は春の煙がただよい、卓文君をおもわせる宮女がならび、温む燒春の新酒の美酒が用意され、宮女はきれいに紫紅色の化粧をととのえる。

鸞の刺繍の帯、芙蓉の帳、金の簪、芍薬の花、限りの無いほどの寵愛を受けているさまでいっぱい。

そのうえ、生え際までの黄色の額に花鈿の化粧をして、紅色の紗の袖に腕輪が透けて見える。

柳が緑色濃く繁り、陰を暗くする頃、鶯が囀るあたり、愛しき君の邸宅が見える。

 

(訳注) (改訂版Ver.2.1

女冠子四首

(後蜀の後宮に美女がそろい、この春、寵愛を受ける妃賓に最高の飾り身支度に包まれ、それが久しく続くと詠う。)

蜀の都、成都の酒舗の女性から吹きになった卓文君を思わせる妃嬪について詠う。冒頭、舞台は蜀の都の成都、春には、新酒、蜀の名酒の燒春が用意され、続いて、女は薄紅色の化粧、鸞刺繍の帯、蓮の花模様の帳を垂れた部屋に住み、髪には芍薬の花飾りの金簪を挿して、最高の身繕いをしいることを述べる。後段は、花鈿の額の黄色い塗り化粧と、紅色の紗の袖から透けて見える腕輪を描く。最後の二句は何時までも寵愛が続いていることを描く。

『花間集』には牛嶠の作が四首収められている。

温庭筠、韋荘、女冠子参照。

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14-377《女冠子二首其一》孫光憲(37)Ⅻ唐五代詞・『花間集』全詩訳注解説Gs-560-14-(377) 花間集 巻第八 (四十八首)漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ4347

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其二

(女の立場に立ち、男に寄せる思いを描く。)

唐の教坊の曲名。女冠は女道士の意。『花間集』 には牛嶠の作が四首収められている。双調四十一字、前段二十三字五句二仄韻二平韻、後段十八宇四句二平韻一仄韻で、❹❻③5⑤/❺⑤❺③の詞形をとる。

女冠子四首 其一

綠雲高,點翠勻紅時。月如

淺笑含雙靨,低聲唱小

眼看唯恐,魂蕩欲相隨。

玉趾迴嬌,約佳

●○○●  ●●○○○△ ●△○

△●○○● ○○●●○

●△△●● ○●●△○

●●△△● ●○○

双調四十一字、前段二十二字五句二灰韻二平韻、後段十八宇四句一平韻で、❹❻③5⑤/55③の詞形をとる。

女冠子四首其二

錦江煙水,卓女燒春濃美。小檀霞。

繡帶芙蓉帳,金釵芍藥花。

額黃侵膩髮,臂釧透紅

柳暗鶯啼,認郎

●○○●  ●●△○○● ●○○

●●○○● ○○●●○

●○△●● ●●●○○

●●○○● ●○○

 

錦江煙水,卓女燒春濃美。小檀霞。

錦江の水面は春の煙がただよい、卓文君をおもわせる宮女がならび、温む燒春の新酒の美酒が用意され、宮女はきれいに紫紅色の化粧をととのえる。。

○錦江 成郡を流れる川。織り上げた錦をこの川で濯ぐと色が鮮やかになることから、この名がついた。

○卓女 前漢の卓王孫の娘、卓文君。司馬相如と駆け落ちして酒屋を開き酒のお燗に当たった。ここでは卓文君を借りて成都の洒舗の女を言う。

○燒春 蜀の名酒の名。

○濃美 味の濃く美味しいこと。芳醇。

○小煙霞 若く映しい女性がきれいに紫紅色の化粧をする。指女红鲜麗,如彩霞一片。檀:紫色。

 

繡帶芙蓉帳,金釵芍藥花。

鸞の刺繍の帯、芙蓉の帳、金の簪、芍薬の花、限りの無いほどの寵愛を受けているさまでいっぱい。

○繡帶 帳に付けられた帯状の飾りを言う。

 

額黃侵膩髮,臂釧透紅紗。

そのうえ、生え際までの黄色の額に花鈿の化粧をして、紅色の紗の袖に腕輪が透けて見える。

○額黃 化粧法の一つ。女の額にほどこす黄色の化粧法。額黄ともいい、古く漢代からあったといい、六朝時代をへて唐代までずっと行なわれていた。

『菩薩蠻 三』

蕊黃無限當山額,宿妝隱笑紗窗隔。

相見牡丹時,暫來還別離。

金作股,上蝶雙舞。

心事竟誰知?月明花滿枝。

『菩薩蠻 三』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-3-3-# 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1628

○臂釧 腕輪。

 

柳暗鶯啼處,認郎家。

柳が緑色濃く繁り、陰を暗くする頃、鶯が囀るあたり、愛しき君の邸宅が見える。

・春を告げる鶯が春が終わろうとするのに、何時までもなく、錦水、池のほとりの宮殿にこの春は、何時までも、寵愛が続く。

牛嶠《巻四42女冠子四首 其一》『花間集』193全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1)-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6237

牛嶠  女冠子四首 其一  

綠雲高髻,點翠勻紅時世。月如眉。淺笑含雙靨,低聲唱小詞。

眼看唯恐化,魂蕩欲相隨。玉趾迴嬌步,約佳期。

女冠子四首其の一(若くてアイドルのような女冠が初め恋をした有様を詠う)

黒髪が輝き両鬢の雲型に高くした髷のもとどり姿、翡翠が鏤められた髪飾り、若い人に流行の赤くきれいな頬紅の化粧をする、それに新月のような眉を書いている。恥しがってすこし笑うと両の頬にえくぼができる、低い声で短冊に書き込んだ短篇詞譜をうたっている。

牛嶠《巻四42女冠子四首 其一》『花間集』193全詩訳注解説(改訂版Ver.2.1-漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ-6237

 
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牛嶠(生卒年不詳),字を松卿といい,また延峰ともいった。隴西(今の甘肅省西部)の人,唐の宰相、牛僧孺の孫である。唐の僖宗、878年乾符元年の進士,拾遺,補尚書郎を歷任した。王建が蜀の鎮守になると,牛嶠は判官に任じられ、王建が建国して帝を称えると給事中等職に任じられ,故に後の人は “牛給事”と稱した。牛嶠博學、文才有り,詩は李賀に學んだ,尤も其の詞を以って世に聞く,現在《歌詩集》三捲あったことは知られているが今日うしなわれていて傳わらない。花間集に三十二首収められている。

 

(改訂版Ver.2.1

女冠子四首其一

女冠子四首其の一(若くてアイドルのような女冠が初め恋をした有様を詠う)

綠雲高髻,點翠紅時世。月如眉。

黒髪が輝き両鬢の雲型に高くした髷のもとどり姿、翡翠が鏤められた髪飾り、若い人に流行の赤くきれいな頬紅の化粧をする、それに新月のような眉を書いている。

淺笑含雙靨,低聲唱小詞。

恥しがってすこし笑うと両の頬にえくぼができる、低い声で短冊に書き込んだ短篇詞譜をうたっている。

眼看唯恐化,魂蕩欲相隨。

鏡を見るとただ変わっていくのが恐ろしいし、落ち着かず蕩心であってもいい、連れ立って歩きたいと思っている。

玉趾迴嬌,約佳期。

耀く歌を謡って庭をいっしょに歩いてまわればその声は余韻として広がり、また、逢瀬の期日約束をする。

(女冠子四首 其の一)

綠雲の高髻,點翠 勻紅しく 時世なり。月 眉の如し。

淺笑 雙靨を含み,低聲 小詞を唱う。

眼看 唯だ化を恐れ,魂蕩 相い隨わんと欲す。

玉趾して嬌步迴り,佳期を約す。

 

其二

錦江煙水,卓女燒春濃美。小檀霞。

繡帶芙蓉帳,金釵芍藥花。

額黃侵膩髮,臂釧透紅紗。

柳暗鶯啼處,認郎家。

 

其三

星冠霞帔,住在蘂珠宮裏。佩叮

明翠搖蟬翼,纖珪理宿粧。

醮壇春艸綠,藥院杏花香。

青鳥傳心事,寄劉郎。

 

其四

雙飛雙舞,春晝後園鶯語。卷羅幃。

錦字書封了,銀河鴈過遲。

鴛鴦排寶帳,荳繡連枝。

不語勻珠淚,落花時。

 

(改訂版Ver.2.1

『女冠子四首』 現代語訳と訳註

(本文) 女冠子四首 其一

綠雲高髻,點翠勻紅時世。月如眉。

淺笑含雙靨,低聲唱小詞。

眼看唯恐化,魂蕩欲相隨。

玉趾迴嬌步,約佳期。

 

(下し文)

(女冠子四首 其の一)

綠雲の高髻,點翠 勻紅しく 時世なり。月 眉の如し。

淺笑 雙靨を含み,低聲 小詞を唱う。

眼看 唯だ化を恐れ,魂蕩 相い隨わんと欲す。

玉趾して嬌步迴り,佳期を約す。

 

(現代語訳)

女冠子四首其の一(若くてアイドルのような女冠が初め恋をした有様を詠う)

黒髪が輝き両鬢の雲型に高くした髷のもとどり姿、翡翠が鏤められた髪飾り、若い人に流行の赤くきれいな頬紅の化粧をする、それに新月のような眉を書いている。

恥しがってすこし笑うと両の頬にえくぼができる、低い声で短冊に書き込んだ短篇詞譜をうたっている。

鏡を見るとただ変わっていくのが恐ろしいし、落ち着かず蕩心であってもいい、連れ立って歩きたいと思っている。

耀く歌を謡って庭をいっしょに歩いてまわればその声は余韻として広がり、また、逢瀬の期日約束をする。

 

 

(訳注)

女冠子四首其一

女冠子四首其の一(若くてアイドルのような女冠が初め恋をした有様を詠う)

温庭筠、韋荘、女冠子参照。

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唐の教坊の曲名。女冠は女道士の意。『花間集』 には牛嶠の作が四首収められている。双調四十一字、前段二十三字五句二仄韻二平韻、後段十八宇四句二平韻一仄韻で、❹❻③5⑤/❺⑤❺③の詞形をとる。

女冠子四首 其一

綠雲高,點翠勻紅時。月如

淺笑含雙靨,低聲唱小

眼看唯恐,魂蕩欲相隨。

玉趾迴嬌,約佳

●○○●  ●●○○○△ ●△○

△●○○● ○○●●○

●△△●● ○●●△○

●●△△● ●○○

 

 

綠雲高髻,點翠勻紅時世。月如眉。

黒髪が輝き両鬢の雲型に高くした髷のもとどり姿、翡翠が鏤められた髪飾り、若い人に流行の赤くきれいな頬紅の化粧をする、それに新月のような眉を書いている。

○この三句は、女冠がうら若き乙女であることをいう。

・綠雲高髻 若い女の黒髪が輝き両鬢の雲型に高くした髷のもとどり姿。

・點翠 宝飾の翡翠がちりばめられた簪。

・勻紅 頬紅を付けて化粧する。

・時世 時とともに移り変わる、世の中。時代。ときよ。

・月如眉 眉が新月のようである;眉月(指新月). 眉黛.のことで、古代女子が眉を黛畫するのに用いる。黛,青黑色的顏料である。

 

淺笑含雙靨,低聲唱小詞。

恥しがってすこし笑うと両の頬にえくぼができる、低い声で短冊に書き込んだ短篇詞譜をうたっている。

・靨 笑()(くぼ) (1)笑うと、頬にできる小さなくぼみ。 (2)ほくろ。

・低聲 恥しがって小声を出す。

・小詞 1.短冊などの書き込んだ短篇歌詞。填寫:(表・伝票などに)記入する,書き込む.2.民間歌謠或は曲藝をいう。 猶小調。

 

眼看唯恐化,魂蕩欲相隨。

鏡を見るとただ変わっていくのが恐ろしいし、落ち着かず蕩心であってもいい、連れ立って歩きたいと思っている。

恐化 変化して行くのが怖い

魂蕩 蕩:1.落ち着かないで、ゆれうごく。ゆらぐ。うごかす。「蕩心・漂蕩」2.しまりがなく、わがまま。ほしいまま。特に、酒色におぼれる。「放蕩・遊蕩・蕩児」

 

玉趾迴嬌步,約佳期。

耀く歌を謡って庭をいっしょに歩いてまわればその声は余韻として広がり、また、逢瀬の期日約束をする。

・玉趾 足跡が輝いている。ここでは歌声が余韻として残るというほどの意味である。

・佳期 逢瀬の約束の期日。

 

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