玉臺新詠 全十巻 訳注解説

漢文委員会kanbuniinkai紀頌之   唐五代詞詩・花間集・玉臺新詠 中国の韻文学には、古くは周代の詩があり、漢魏六朝には古詩と楽府かあり、唐代になって古詩に対して新しい近体の律詩、絶句がおこった。楽府がおとろえ新しく勃興したのが詞である。詞ははじめ、学詞ともよばれ、楽曲の歌詞をさしていうものであるが、それが流行するとともに、唐詩などと相ならんで、一つの韻文学として成立したのである。 5年以上のブログ連載。(魚玄機・薛濤・花間集)完掲載 現在《玉臺新詠》完全版連載中 予定(文選【詩篇】文選【賦篇 楚辞 詩經 ・・・・)

中国の韻文学には、古くは周代の詩があり、漢魏六朝には古詩と楽府かあり、唐代になって古詩に対して新しい近体の律詩、絶句がおこった。楽府がおとろえ新しく勃興したのが詞である。詞ははじめ、学詞ともよばれ、楽曲の歌詞をさしていうものであるが、それが流行するとともに、唐詩などと相ならんで、一つの韻文学として成立したのである。
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温庭筠の詞詩を約60首程度掲載の後、魚玄機50首程度連載し,薛濤約百首、韋莊五十首
森鴎外小説 『魚玄機』 彼女の詩を冷静に、客観的に分析 過去の女性蔑視の見方を排除して解釈 訳註解説
現在、『花間集』全詩500首、全首連載が終了した。いま、500首全首、見直し、改訂版Ver.2.1として、根本的に語訳、注釈をやり直して掲載しています。出来るだけ(改訂版Ver.2.1)と記している詩を読まれることを薦めます。
現在 玉臺新詠 訳注解説連載中
   玉臺新詠 概要 目録・目次 http://kanbunkenkyu.web.fc2.com/list1.html

2020年03月

玉臺新詠集 巻四 9.謝朓 巻4•9-1-8雜詩十二首其六雜詠五首之一 鐙 訳注解説 漢文委員会 紀頌之Blog11131

玉臺新詠集 巻四 9.謝朓 4•9-1-8雜詩十二首其六雜詠五首之一 訳注解説 漢文委員会 紀頌之Blog11131

 

 

 9.謝朓

 

49-1-8雜詩十二首其六雜詠五首之一 鐙

 

玉臺新詠集  謝朓詩 訳注解説

 

 

漢文委員会 紀頌之Blog11133

 

 

 

#6

雜詩十二首其四(詠邯鄲故才人嫁為廝養卒婦)

(趙の後宮の妃嬪・才人であった女性の後宮を解放されて、その後のことを述べる)

生平宮閤裏、出入侍丹墀。

常日頃、宮中の奥深い閏閤の中ですごしているし、出るのは閏閤殿から天子の朱ぬりの土縁に面した部屋で、侍っているのである。

開笥方羅縠、窺鏡比蛾眉。

その部屋での、妃嬪たちはすることがなく、箪笥の引き出しを開いてうすぎぬの服地の美をくらべ合わせたり、鏡をのぞいては、朋輩と書き眉の美しさを比較しあったりするのである。

初別意未解、去久日生悲。

幼いとき後宮に入内したわたしが初めて宮中から別れた時、俗世間の生活にただ茫然として、理解することができなかったが、離れて久しくなるにつれ、日に日に悲しさが膨らんでゆくのです。

顦顇不自識、嬌羞餘故姿。

心配事がおおいいのか、病気をしたのが気づかぬうちにやつれたようだが、それでも妃嬪としての矜持と恥じらいの心、気高き妃嬪の姿はまだ残って居る。

夢中忽髣髴、猶言承讌私。

だから、夢の中ではたちまちもとの姿がおぼろに現れる、今でもなお宴席に侍って私恩をいただいているなどと言うこともある。

 

雜詩十二首其四(詠邯鄲故才人嫁為廝養卒婦)(邯鄲の故の才人が嫁して雑役の卒の婦と為れるを詠ず)

生平 宮閤の裏、出入 丹墀に侍す。

笥を開き 羅縠を方ずれば、鏡を窺って蛾眉を比す。

初め別れしより 意 未だ解けず、去ること久しく 日に悲しみを生ず。

顦顇 自ら識らず、嬌羞 故姿を餘す。

夢中 忽ち 髣髴として、猶お 言う 讌私を承わると。

 

雜詩十二首其五 秋夜

(秋夜の景を写して空閏を守る思婦の情を叙す。)

秋夜促織鳴、南鄰擣衣急。

きりぎりすが鳴く秋の夜、南隣の井戸端からは女たちの砧打つ響きがせわしく聞こえてくる。

思君隔九重、夜夜空佇立。

あなたは九重の空のかなたに隔たって しまった。それを思うて夜な夜な独り空しくたたずんでいる。

北窗輕幔垂、西月光入。

秋も深まれば寒く、澄が入るが、此の窓には軽やかな「まく」が垂れて暖を取る、西の戸口からは月の光がさしこんでくる。

何知白露下、坐視前堦濕。

じっと坐して家の前の階のうるおうたのを見ると、知らぬまに白露がおりていた、もう秋も深い。

誰能長分居、秋盡冬復及。

それに誰がいつまでもかく別れ別れに住んで居られるのであろう。やがて秋が終わればまた冬がやってくる。

 

(雜詩十二首其五 秋夜)

秋夜 促織鳴き、南鄰 擣衣 急なり。

君を思うて 九重を隔つ、夜夜 空しく佇立す。

北窗に 輕幔垂れ、西に 月光入る。

何ぞ知らん 白露の下るを、坐して視る 前堦の濕おうを。

誰か能く 長らく分居せん、秋盡きて 冬 復た及ぶ。

 

 

8  其六  雜詠五首   〔謝宣城詩集卷第五〕

(其一)  

燈の形から始まって、そのともっている時の状態、更に、その前に濁り坐って思いに沈んでいる思婦の思いを詠う。

發翠斜漢裏、蓄寳宕山峯。

緑色の煙が天にも続く斜めの警告の斜面に沿って、登っていく、宕山の峯のようなところに煙が留まって宝気が蓄えられている。

抽莖類仙掌、銜光似燭龍。

高く抜きんでた燭皿の茎のような山は「仙人掌」に似ている、光を含むと燭龍が照らすのに似たような明るさを放つ。

飛蛾再三繞、輕花四五重。

そこに、蛾が飛び回って二たび、三度、燭龍の周りを巡り、軽い灯の火花が四重、五重にも重なり合う。

孤對相思夕、空照舞衣縫。

あのお方との思い出に浸りながら、今は一人でそれに対していると、その光は、ひたすら私の舞衣装の縫い目を照らしているだけなのである。

其六  雜詠五首 (其一)  鐙

翠を發す 斜漢の裏、寳を蓄う 宕山の峯。

莖を抽いて 仙掌に類し、光を銜んで燭龍の似たり。

飛蛾 再三 繞り、輕花 四五 重なる。

孤對す 相思の夕、空しく照らす 舞衣の縫。

 

1.      (其二)   

杏梁賓未散  桂明欲

曖色輕幃裏  低光照寳琴

徘徊雲髻影  灼爍綺疏金

恨君秋夜月  遺我洞房陰

 

2.      (其三)   

本生朝夕池  落景照參差

汀洲蔽杜若  幽渚奪江蘺

遇君時採擷  玉座奉金巵

但願羅衣拂  無使素塵彌

 

3.      (其四)   鏡臺

玲瓏類丹檻  苕亭似玄闕

對鳳懸清冰  垂龍掛明月

照粉拂紅妝  插花埋雲髮

玉顏徒自見  常畏君情歇

 

4.        (其五)   落梅

新葉初冉冉  初蘂新霏霏

逢君後園讌  相隨巧笑歸

親勞君玉指  摘以贈南威

用持插雲髻  翡翠比光輝

日暮長零落  君恩不可追

 

 

朓(464 - 499年)は、南北朝時代、南斉の詩人。字は玄暉。本貫は陳郡陽夏県。同族の謝霊運・謝恵連とともに、六朝時代の山水詩人として名高く、あわせて「三謝」と称される。また謝霊運と併称して「二謝」と呼ぶこともあり、その場合は、謝霊運を「大謝」と呼ぶのに対し、謝朓を「小謝」と呼ぶ(ただし「小謝」の呼称は謝恵連を指すこともある)。宣城郡太守に任じられ、この地で多くの山水詩を残したことから、「謝宣城」とも呼ばれる。竟陵王・蕭子良の西邸に集った文人「竟陵八友」の一人であり、同じく八友の仲間である沈約・王融らとともに「永明体」と呼ばれる詩風を生み出した。

 

 

現代譯 訳注解説

(本文)

8  其六  雜詠五首   〔謝宣城詩集卷第五〕

(其一)  鐙

發翠斜漢裏、蓄寳宕山峯。

抽莖類仙掌、銜光似燭龍。

飛蛾再三繞、輕花四五重。

孤對相思夕、空照舞衣縫。

 

(下し文)

8其六  雜詠五首 (其一)  鐙

翠を發す 斜漢の裏、寳を蓄う 宕山の峯。

莖を抽いて 仙掌に類し、光を銜んで燭龍の似たり。

飛蛾 再三 繞り、輕花 四五 重なる。

孤對す 相思の夕、空しく照らす 舞衣の縫。

 

(現代語訳)

8燈の形から始まって、そのともっている時の状態、更に、その前に濁り坐って思いに沈んでいる思婦の思いを詠う。

緑色の煙が天にも続く斜めの警告の斜面に沿って、登っていく、宕山の峯のようなところに煙が留まって宝気が蓄えられている。

高く抜きんでた燭皿の茎のような山は「仙人掌」に似ている、光を含むと燭龍が照らすのに似たような明るさを放つ。

そこに、蛾が飛び回って二たび、三度、燭龍の周りを巡り、軽い灯の火花が四重、五重にも重なり合う。

あのお方との思い出に浸りながら、今は一人でそれに対していると、その光は、ひたすら私の舞衣装の縫い目を照らしているだけなのである。

 

 

 

(訳注解説・字解)

雜詩十二首

現存する詩は200首余り、その内容は代表作とされる山水詩のほか、花鳥風月や器物を詠じた詠物詩、友人・同僚との唱和・離別の詩、楽府詩などが大半を占める。

とりわけ叙景に優れ、謝霊運の山水詩を引き継ぎつつ、美を洞察する感受性は、他の六朝(りくちょう)詩人に類をみない。友人の沈約(しんやく)は謝の五言詩を「二百年来この詩なし」とたたえた。謝も沈約も竟陵王蕭子良(きょうりょうおうしょうしりょう)の文学サロンに出入りした八友の一人であるが、謝の詩は、唐詩の風を先駆けて切り開いており、唐の詩人李白(りはく)や杜甫(とほ)の評価も高い。尚書吏部郎に抜擢(ばってき)されてまもなく、王朝末期にありがちな皇帝廃立の陰謀に巻き込まれ、36歳で獄死した。『謝宣城集』5巻がある。

 

雜詩十二首8其六 雜詠五首   〔謝宣城詩集卷第五〕

(其一)  

燈の形から始まって、そのともっている時の状態、更に、その前に濁り坐って思いに沈んでいる思婦の思いを詠う。

詠物と閏怨を合わせたような作である。『玉台新詠』巻四。謝宣城詩集卷第五 30

 「あぶみ」「ひともし皿」その形、部屋の中での役割、印象など、そこにいる女性の宿命を詠うのである。二人で過ごしていた時の鐙燭は明るく、暖かく、楽しく照らしてくれた、同じ鐙燭を一人で見ればなおさら悲しい光となる。

 

發翠斜漢裏、蓄寳宕山峯。

緑色の煙が天にも続く斜めの警告の斜面に沿って、登っていく、宕山の峯のようなところに煙が留まって宝気が蓄えられている。

発翠斜漢裏「翠」は、山から立ち上る翠の気、嵐翠。「翠微」を意識する。1 薄緑色にみえる山のようす。また、遠方に青くかすむ山。2 山の中腹。八合目あたりのところ。

「斜漢」は、斜めに流れる天の河であるが、昼の景色を言うので、「漢」は大空、谷両岸の切り立った斜面が天に上る門のような感じというところ。燭台の上の油皿のことを言う。『初学記』巻二五引は「漢」字を「渓」に作るが、これであれば「斜めに流れる渓川」という意味になる。この句は、燈の、どこかわからないが或る部分を詠んだものである。

蓄宝宕山峯) この句も、燈の或る部分を詠んだものであるが、これは「蓄宝」であるから、油のことをいうのではなかろうか。「宕山」は仙山で、丹砂を大量に蔵しているという。『列仙伝』に「王桂は道士と共に宕山に上る。言ふ、此に丹砂有り、数万斤を得べしと。宕山の長吏、知りて山に上り之を封ずれば、砂は流出し、飛ぶこと火の如し」とある。

 

抽莖類仙掌、銜光似燭龍

高く抜きんでた燭皿の茎のような山は「仙人掌」に似ている、光を含むと燭龍が照らすのに似たような明るさを放つ。

抽茎類仙掌」 「抽茎」とは、燈の火皿が長い「茎」の先についているのをいう。それはあたかも漢の武帝が造ったという「仙人掌」に似ているという。『漢書』郊祀志に「孝武帝は相梁の銅柱、承露仙人掌を作る」とある。鋼柱の上で仙人が掌で天の甘露を承けている像を作ったのである。

衝光似燭龍 「燭龍」は、北の果ての地に燭をくわえた龍がいて、それで辺りを照らしているという。『楚辞』天間に「目安不到、燭龍何照」(日は安くにか到らざる、燭龍 何ぞ照らせる) とあり、その王逸注に「天の西北は幽冥にして日無きの国、龍有りて燭を衝へて照らす」 という。

 

飛蛾再三繞、輕花四五重。

そこに、蛾が飛び回って二たび、三度、燭龍の周りを巡り、軽い灯の火花が四重、五重にも重なり合う。

飛蛾再三続」 灯火のまわりを蛾が飛びまわる様子を いう。晋・張協の「雑詩」 に「蛸例吟階下、飛蛾払明燭」 (購例は階下に吟じ、飛蛾は明燭を払ふ) とある。

軽花四五重」 「軽花」は、灯火がパチパチと火花をとばすことをいうのであろう。灯火がこのように火花をとばすのは、銭財を得る前ぶれであるという。(『西京雑記』 三)いう。『玉台新詠』巻四。

 

孤對相思夕、空照舞衣縫。

あのお方との思い出に浸りながら、今は一人でそれに対していると、その光は、ひたすら私の舞衣装の縫い目を照らしているだけなのである。

孤対相思夕」 「孤対」は、独りで、以上述べたような燈に対していること。此の女性は燈の下で、遠く離れ ている恋人のことを、今宵ひたすら思い続けている。

空照舞衣縫」 「空照」とは、せっかく縫った舞衣を着 て舞い、恋人に見せることができないためである。宋・飽照の「代陳思王京洛篇」に「琴家縦横散、舞衣不復 縫」(琴家 縦横に散じ、舞衣 復た縫はず)とある。

玉臺新詠集 巻四 9.謝朓 巻4•9-1-7雜詩十二首其四詠邯鄲故才人嫁為厮養卒婦 訳注解説 漢文委員会 紀頌之Blog11125

玉臺新詠集 巻四 9.謝朓 4•9-17雜詩十二首其四詠邯鄲故才人嫁為厮養卒婦  訳注解説 漢文委員会 紀頌之Blog11125

 

 

 9.謝朓

 

49-1-7雜詩十二首其五秋夜

 

玉臺新詠集  謝朓詩 訳注解説

 

 

漢文委員会 紀頌之Blog11125

 

 

 

1

謝朓詩 雜詩十二詩 贈王主簿二首

雜詩十二首

贈王主簿二首其一

(以前寵愛を一手に受けていた女が、寵愛を失った今の思いを詠う)

日落窗中坐  紅妝好顏色

日の落ちかかる夕暮れ時、窗部屋の中に物憂げに坐っている。紅い装束をした美しい顔色の女である。

舞衣襞未縫  流黃覆不織

舞い衣はひだができて古めかしいが、新しいのはまだ縫えないでいる。機の上の生絹も織り半ばで上を覆いかぶせたままにしてある。

蜻蛉草際飛  遊蜂花上食

庭の草ぎわに衣装を鮮明にして整えている羽を持つカゲロウが飛び舞わり、蜂もあちこち飛び回ってから、花の上に蜜をあさっている。

一遇長相思  願寄連翩翼

それを見て女は、あなたをおもい、寵愛はいつまでもと誓った、だからもう一ど遇いたいと願っています、どうにかして、すぐにでもあの雌雄うち連れて飛ぶ鳥の翼にこの身を託したいものだと。

 

(王主簿に贈る。二首其の一)

日落ち 窗中に坐し、紅妝 顏色を好くす。

舞衣 襞【ひだ】たつも 未だ縫せず、流黃 覆うても織らず。

蜻蛉 草むらの際に飛び、蜂は遊び 花上に食す。

一たび遇わんこと “長相思”、  願わくば連翩たる翼に寄せん。

 

2

(二)

(洛陽城の片隅に、二人の美女の歌姫がいて、町のものも遠くからもその歌声を聞こうとあつまる。そうした春の日の情景を詠う)

清吹要碧玉  調弦命綠珠

清らかな吹奏のためにはあの美女の碧玉をむかえて命じるし、絃の調べには石崇の寵妾の縁珠がにあうので侍らせていいつけるのが一番いい。

輕歌急綺帶  含笑解羅襦

女の軽やかに歌う姿に心を動かして、その美しい帯にせまり、女が笑を含んでうすぎぬの袖なしをもぬぐ。

餘曲詎幾許  高駕且踟躕

最後の曲まで歌い残しの曲がどれほどあるのだろうか。それを最後まで聴こうとしているのだろう、車を止めぐずぐずとためらっている。

徘徊韶景暮  惟有洛城隅

そのように楽しみ過ごせば、時の過ぎるのも忘れているあなたを見て、わたしの方はやるせなさにその場を行ったり来たりしているうちに春の日も暮れてゆく。ただ、それはのどかなこの洛陽城の片隅の景色の中におこっただけのことなのである。

 

(二)

清吹 碧玉を要へ、調弦 綠珠に命ず。

輕歌 綺帶をに急し、含笑 羅襦を解く。

餘曲 詎んぞ幾許【いくばく】、高駕 且つ踟躕す。

徘徊 韶景の暮れるは、惟だ 洛城の隅に有り。

 

3.   同王主簿怨情

(男の愛を失った婦人の悲しい運命を詠う)

掖庭聘國  長門失懽

漢延の大奥、掖庭宮から遠く離れた砂漠の向こうの匈奴に迎えられたのは王昭君である、衛子夫が後宮に入ると、子もなく武帝の寵を失って長門宮は冷宮となり、楽しい宴会に侍ることもなかったのは陳皇后である。

相逢詠蘼蕪  辭寵悲團扇

また、離縁されて、もとの夫に逢いたくて詠ったのは“靡蕪の詩”であり、班倢妤が天子の愛を奪われ、斥けられたときのいいぐさは、秋の「うちわ」である。これらは皆男の愛を失った婦人の悲しい運命である。

花叢亂數蝶  風簾入雙燕

花さくくさむらに喋が二つ三つ乱れとび、風にゆられる簾の中には一対の燕が舞いこんでくる。

徒使春帶  坐惜紅顏變

それを眺めやるわたしは、棄てられた身の悲しさに痩せ細って、春の帯もいたずらに長すぎるありさま、そぞろに紅の顕もふけてゆくのが惜しまれる。

平生一顧重  夙昔千金賤

日ごろはわたしの一顧を重んじて、昔黄金千金のねうちも賎しめたほどであった。

故人心尚永  故心人不見

わが夫の心は今もなお昔にかわらぬ とは思うのだが、しかし昔ながらの心の人は見るよしもないのが今の世の常、それを思うて限りなくうらめしい。

 

3.           (王主簿の怨情に同じゅうす。)

披庭 絶国に幣され、長門 懽讌を失ふ。

相い蓬いては 蘼蕪を詠じ、寵を辭して 団扇を悲しむ。

花叢には 数蝶乱れ、風簾に 雙燕 入る。

徒らに春帯をしてからしめ、坐ろに紅粧の変ずるを惜しむ。

生平 一顧に 重く、宿昔に 千金 賎し。

故人の心は 尚お爾り、 故心の人は 見ず。

 

雜詩十二詩 其三 夜聴妓二首

4〔一〕

(洛陽の美妓たちの歌舞矯態を描いたものである。今夜の宴席の様子が、妓女の腕輪の触れ合う音と、その席に立ちこめている艶やかな雰囲気によって、詠われている。)

瓊閨釧響聞、瑤席芳塵滿。

うるわしい閏から 腕輪の触れあう響きが聞こえ にぎやかな座席には 芳わしい塵が満ちている。

要取洛陽人、共命江南管。

いまや洛陽の美妓を呼び寄せて、みんなで江南の笛を吹かせ合奏している。

情多舞態遲、意傾歌弄緩。

情が溢れて、なまめかしく舞の動きはゆったりと、客を意識してそちらにきもちを傾けていて、それに合わせて歌の調べも緩やかになる。

知君密相親、寸心傳玉椀。

それは あなたが密かに親しみを感じているのを 知って一寸の心のたけを一寸の玉椀で運んで伝えようとしている。

(一) 
(其の一 夜 妓を聴く)

瓊閏に 釧響を聞く 堵席に 芳塵 満つ。

洛陽の人を要へ取りて、共に 江南の管を命ず。

情多くして 舞態 遅く、意傾きて 歌弄 緩やかなり。

君の密かに相い親しむを知りて、寸心 玉椀に伝う。

 

5〔二〕

(超高級官僚の邸宅における春の宴の模様を述べたもの

上客光四座、佳麗直千金。

身分高い客人たちが満座と集まっている、舞台もかがやき、そこに歓樂する佳麗の美女は皆千金の価値ある光景である。

挂釵報纓絶、珥荅琴心。

客の中に冠の纓がちぎれたのを治そうとしているものがいる、美人はその人の纓に簪を使って、冠を正して報いたようで、客は琴心をもって、これに答えている。

娥眉已共笑、清香復入衿。

蛾眉のそろった美人たちは貴賓客と共に笑い歓談している、美女たちの清らかな香りは客のえりもとにまでただよってくる。

歓樂夜方靜、翠帳垂沉沉。
小學堂で演じられる舞の歌曲もおわり、夜はひっそりと静まりかえる、庭の奥の室の内には翠のとばりが深くたれこめて、夜は更に静かにふけわたる。

 

〔二〕

上客 四座を光らす、佳麗 直い 千金。

挂釵 纓の絶ゆるに報い、珥 琴心に荅う。

娥眉 已に 共に笑う、清香 復た 衿に入る。

歓樂 夜 方に靜なり、翠帳 垂れて沉沉たり。

 

#6

雜詩十二首其四(詠邯鄲故才人嫁為廝養卒婦)

(趙の後宮の妃嬪・才人であった女性の後宮を解放されて、その後のことを述べる)

生平宮閤裏、出入侍丹墀。

常日頃、宮中の奥深い閏閤の中ですごしているし、出るのは閏閤殿から天子の朱ぬりの土縁に面した部屋で、侍っているのである。

開笥方羅縠、窺鏡比蛾眉。

その部屋での、妃嬪たちはすることがなく、箪笥の引き出しを開いてうすぎぬの服地の美をくらべ合わせたり、鏡をのぞいては、朋輩と書き眉の美しさを比較しあったりするのである。

初別意未解、去久日生悲。

幼いとき後宮に入内したわたしが初めて宮中から別れた時、俗世間の生活にただ茫然として、理解することができなかったが、離れて久しくなるにつれ、日に日に悲しさが膨らんでゆくのです。

顦顇不自識、嬌羞餘故姿。

心配事がおおいいのか、病気をしたのが気づかぬうちにやつれたようだが、それでも妃嬪としての矜持と恥じらいの心、気高き妃嬪の姿はまだ残って居る。

夢中忽髣髴、猶言承讌私。

だから、夢の中ではたちまちもとの姿がおぼろに現れる、今でもなお宴席に侍って私恩をいただいているなどと言うこともある。

 

雜詩十二首其四(詠邯鄲故才人嫁為廝養卒婦)(邯鄲の故の才人が嫁して雑役の卒の婦と為れるを詠ず)

生平 宮閤の裏、出入 丹墀に侍す。

笥を開き 羅縠を方ずれば、鏡を窺って蛾眉を比す。

初め別れしより 意 未だ解けず、去ること久しく 日に悲しみを生ず。

顦顇 自ら識らず、嬌羞 故姿を餘す。

夢中 忽ち 髣髴として、猶お 言う 讌私を承わると。

 

雜詩十二首其五 秋夜

(秋夜の景を写して空閏を守る思婦の情を叙す。)

秋夜促織鳴、南鄰擣衣急

きりぎりすが鳴く秋の夜、南隣の井戸端からは女たちの砧打つ響きがせわしく聞こえてくる。

思君隔九重、夜夜空佇立

あなたは九重の空のかなたに隔たって しまった。それを思うて夜な夜な独り空しくたたずんでいる。

北窗輕幔垂、西月光入

秋も深まれば寒く、澄が入るが、此の窓には軽やかな「まく」が垂れて暖を取る、西の戸口からは月の光がさしこんでくる。

何知白露下、坐視前堦濕

じっと坐して家の前の階のうるおうたのを見ると、知らぬまに白露がおりていた、もう秋も深い。

誰能長分居、秋盡冬復及

それに誰がいつまでもかく別れ別れに住んで居られるのであろう。やがて秋が終わればまた冬がやってくる。

 

 

(雜詩十二首其五 秋夜)

秋夜 促織鳴き、南鄰 擣衣 急なり。

君を思うて 九重を隔つ、夜夜 空しく佇立す。

北窗に 輕幔垂れ、西に 月光入る。

何ぞ知らん 白露の下るを、坐して視る 前堦の濕おうを。

誰か能く 長らく分居せん、秋盡きて 冬 復た及ぶ。

 

 

現代譯 訳注解説

(本文)

7雜詩十二首其五 秋夜

秋夜促織鳴、南鄰擣衣急

思君隔九重、夜夜空佇立

北窗輕幔垂、西月光入

何知白露下、坐視前堦濕

誰能長分居、秋盡冬復及

 

(下し文)

7(雜詩十二首其五 秋夜)

秋夜 促織鳴き、南鄰 擣衣 急なり。

君を思うて 九重を隔つ、夜夜 空しく佇立す。

北窗に 輕幔垂れ、西に 月光入る。

何ぞ知らん 白露の下るを、坐して視る 前堦の濕おうを。

誰か能く 長らく分居せん、秋盡きて 冬 復た及ぶ。

 

(現代語訳)

(秋夜の景を写して空閏を守る思婦の情を叙す。)

7

きりぎりすが鳴く秋の夜、南隣の井戸端からは女たちの砧打つ響きがせわしく聞こえてくる。

あなたは九重の空のかなたに隔たって しまった。それを思うて夜な夜な独り空しくたたずんでいる。

秋も深まれば寒く、澄が入るが、此の窓には軽やかな「まく」が垂れて暖を取る、西の戸口からは月の光がさしこんでくる。

じっと坐して家の前の階のうるおうたのを見ると、知らぬまに白露がおりていた、もう秋も深い。

それに誰がいつまでもかく別れ別れに住んで居られるのであろう。やがて秋が終わればまた冬がやってくる。

 

(訳注解説・字解)

雜詩十二首

現存する詩は200首余り、その内容は代表作とされる山水詩のほか、花鳥風月や器物を詠じた詠物詩、友人・同僚との唱和・離別の詩、楽府詩などが大半を占める。

とりわけ叙景に優れ、謝霊運の山水詩を引き継ぎつつ、美を洞察する感受性は、他の六朝(りくちょう)詩人に類をみない。友人の沈約(しんやく)は謝の五言詩を「二百年来この詩なし」とたたえた。謝も沈約も竟陵王蕭子良(きょうりょうおうしょうしりょう)の文学サロンに出入りした八友の一人であるが、謝の詩は、唐詩の風を先駆けて切り開いており、唐の詩人李白(りはく)や杜甫(とほ)の評価も高い。尚書吏部郎に抜擢(ばってき)されてまもなく、王朝末期にありがちな皇帝廃立の陰謀に巻き込まれ、36歳で獄死した。『謝宣城集』5巻がある。

 

雜詩十二首其五 秋夜

(秋夜の景を写して空閏を守る思婦の情を叙す。)

 

秋夜促織鳴、南鄰擣衣

きりぎりすが鳴く秋の夜、南隣の井戸端からは女たちの砧打つ響きがせわしく聞こえてくる。

促織 昆虫「こおろぎ(蟋蟀)」の異名。

擣衣(擣衣・搗衣)【とうい】砧【きぬた】で衣を打つこと。「擣【う】つ砧を臼にいれ、布を杵(棒杵)でつく。砧でつくのは洗濯ではなく、冬用の厚いごわごわした布を柔軟にするため。

李白 四夜呉歌其三「長安一片月,萬搗衣聲。 時は今、秋の末、清らかな一片の月が昇ってくると、その月光は長安城中に満ちている、その明かりの中、どこの家でも砧をたたく音が聞こえてくる。

搗衣(擣衣) 杜甫 <295> kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1352 杜甫詩 700- 415

亦知戍不返,秋至拭清砧。已近苦寒月,況經長別心。
寧辭搗衣倦,一寄塞垣深。用盡閨中力,君聽空外音。

 

思君隔九重、夜夜空佇立

あなたは九重の空のかなたに隔たって しまった。それを思うて夜な夜な独り空しくたたずんでいる。

九重  いくえにもかさなっていること。 天子の住む所。宮中。ここのえ。大空を立てよ子それぞれ三等分したことを言う。そのまんなかがてんしのすまいするところということ。

 

北窗輕幔垂、西月光入

秋も深まれば寒く、澄が入るが、此の窓には軽やかな「まく」が垂れて暖を取る、西の戸口からは月の光がさしこんでくる。

北窗輕幔垂 冬を迎え、北側には幔幕をしてだ案某効果を上げる。

 

何知白露下、坐視前堦濕

じっと坐して家の前の階のうるおうたのを見ると、知らぬまに白露がおりていた、もう秋も深い。

 

 

誰能長分居、秋盡冬復及

それに誰がいつまでもかく別れ別れに住んで居られるのであろう。やがて秋が終わればまた冬がやってくる。

 

玉臺新詠集 巻四 9.謝朓 巻4•9-1-6雜詩十二首其四詠邯鄲故才人嫁為厮養卒婦 訳注解説 漢文委員会 紀頌之Blog11115

玉臺新詠集 巻四 9.謝朓 4•9-1-6雜詩十二首其四詠邯鄲故才人嫁為厮養卒婦  訳注解説 漢文委員会 紀頌之Blog11115

 

 

 

 9.謝朓

 

49-1-6雜詩十二首其四詠邯鄲故才人嫁為厮養卒婦

 

玉臺新詠集  謝朓詩 訳注解説

 

 

漢文委員会 紀頌之Blog11117

 

 

 

1

謝朓詩 雜詩十二詩 贈王主簿二首

雜詩十二首

贈王主簿二首其一

(以前寵愛を一手に受けていた女が、寵愛を失った今の思いを詠う)

日落窗中坐  紅妝好顏色

日の落ちかかる夕暮れ時、窗部屋の中に物憂げに坐っている。紅い装束をした美しい顔色の女である。

舞衣襞未縫  流黃覆不織

舞い衣はひだができて古めかしいが、新しいのはまだ縫えないでいる。機の上の生絹も織り半ばで上を覆いかぶせたままにしてある。

蜻蛉草際飛  遊蜂花上食

庭の草ぎわに衣装を鮮明にして整えている羽を持つカゲロウが飛び舞わり、蜂もあちこち飛び回ってから、花の上に蜜をあさっている。

一遇長相思  願寄連翩翼

それを見て女は、あなたをおもい、寵愛はいつまでもと誓った、だからもう一ど遇いたいと願っています、どうにかして、すぐにでもあの雌雄うち連れて飛ぶ鳥の翼にこの身を託したいものだと。

 

(王主簿に贈る。二首其の一)

日落ち 窗中に坐し、紅妝 顏色を好くす。

舞衣 襞【ひだ】たつも 未だ縫せず、流黃 覆うても織らず。

蜻蛉 草むらの際に飛び、蜂は遊び 花上に食す。

一たび遇わんこと “長相思”、  願わくば連翩たる翼に寄せん。

 

2

(二)

(洛陽城の片隅に、二人の美女の歌姫がいて、町のものも遠くからもその歌声を聞こうとあつまる。そうした春の日の情景を詠う)

清吹要碧玉  調弦命綠珠

清らかな吹奏のためにはあの美女の碧玉をむかえて命じるし、絃の調べには石崇の寵妾の縁珠がにあうので侍らせていいつけるのが一番いい。

輕歌急綺帶  含笑解羅襦

女の軽やかに歌う姿に心を動かして、その美しい帯にせまり、女が笑を含んでうすぎぬの袖なしをもぬぐ。

餘曲詎幾許  高駕且踟躕

最後の曲まで歌い残しの曲がどれほどあるのだろうか。それを最後まで聴こうとしているのだろう、車を止めぐずぐずとためらっている。

徘徊韶景暮  惟有洛城隅

そのように楽しみ過ごせば、時の過ぎるのも忘れているあなたを見て、わたしの方はやるせなさにその場を行ったり来たりしているうちに春の日も暮れてゆく。ただ、それはのどかなこの洛陽城の片隅の景色の中におこっただけのことなのである。

 

(二)

清吹 碧玉を要へ、調弦 綠珠に命ず。

輕歌 綺帶をに急し、含笑 羅襦を解く。

餘曲 詎んぞ幾許【いくばく】、高駕 且つ踟躕す。

徘徊 韶景の暮れるは、惟だ 洛城の隅に有り。

 

3.   同王主簿怨情

(男の愛を失った婦人の悲しい運命を詠う)

掖庭聘國  長門失懽

漢延の大奥、掖庭宮から遠く離れた砂漠の向こうの匈奴に迎えられたのは王昭君である、衛子夫が後宮に入ると、子もなく武帝の寵を失って長門宮は冷宮となり、楽しい宴会に侍ることもなかったのは陳皇后である。

相逢詠蘼蕪  辭寵悲團扇

また、離縁されて、もとの夫に逢いたくて詠ったのは“靡蕪の詩”であり、班倢妤が天子の愛を奪われ、斥けられたときのいいぐさは、秋の「うちわ」である。これらは皆男の愛を失った婦人の悲しい運命である。

花叢亂數蝶  風簾入雙燕

花さくくさむらに喋が二つ三つ乱れとび、風にゆられる簾の中には一対の燕が舞いこんでくる。

徒使春帶  坐惜紅顏變

それを眺めやるわたしは、棄てられた身の悲しさに痩せ細って、春の帯もいたずらに長すぎるありさま、そぞろに紅の顕もふけてゆくのが惜しまれる。

平生一顧重  夙昔千金賤

日ごろはわたしの一顧を重んじて、昔黄金千金のねうちも賎しめたほどであった。

故人心尚永  故心人不見

わが夫の心は今もなお昔にかわらぬ とは思うのだが、しかし昔ながらの心の人は見るよしもないのが今の世の常、それを思うて限りなくうらめしい。

 

3.           (王主簿の怨情に同じゅうす。)

披庭 絶国に幣され、長門 懽讌を失ふ。

相い蓬いては 蘼蕪を詠じ、寵を辭して 団扇を悲しむ。

花叢には 数蝶乱れ、風簾に 雙燕 入る。

徒らに春帯をしてからしめ、坐ろに紅粧の変ずるを惜しむ。

生平 一顧に 重く、宿昔に 千金 賎し。

故人の心は 尚お爾り、 故心の人は 見ず。

 

雜詩十二詩 其三 夜聴妓二首

4〔一〕

(洛陽の美妓たちの歌舞矯態を描いたものである。今夜の宴席の様子が、妓女の腕輪の触れ合う音と、その席に立ちこめている艶やかな雰囲気によって、詠われている。)

瓊閨釧響聞、瑤席芳塵滿。

うるわしい閏から 腕輪の触れあう響きが聞こえ にぎやかな座席には 芳わしい塵が満ちている。

要取洛陽人、共命江南管。

いまや洛陽の美妓を呼び寄せて、みんなで江南の笛を吹かせ合奏している。

情多舞態遲、意傾歌弄緩。

情が溢れて、なまめかしく舞の動きはゆったりと、客を意識してそちらにきもちを傾けていて、それに合わせて歌の調べも緩やかになる。

知君密相親、寸心傳玉椀。

それは あなたが密かに親しみを感じているのを 知って一寸の心のたけを一寸の玉椀で運んで伝えようとしている。

(一) 
(其の一 夜 妓を聴く)

瓊閏に 釧響を聞く 堵席に 芳塵 満つ。

洛陽の人を要へ取りて、共に 江南の管を命ず。

情多くして 舞態 遅く、意傾きて 歌弄 緩やかなり。

君の密かに相い親しむを知りて、寸心 玉椀に伝う。

 

5〔二〕

(超高級官僚の邸宅における春の宴の模様を述べたもの

上客光四座、佳麗直千金。

身分高い客人たちが満座と集まっている、舞台もかがやき、そこに歓樂する佳麗の美女は皆千金の価値ある光景である。

挂釵報纓絶、珥荅琴心。

客の中に冠の纓がちぎれたのを治そうとしているものがいる、美人はその人の纓に簪を使って、冠を正して報いたようで、客は琴心をもって、これに答えている。

娥眉已共笑、清香復入衿。

蛾眉のそろった美人たちは貴賓客と共に笑い歓談している、美女たちの清らかな香りは客のえりもとにまでただよってくる。

歓樂夜方靜、翠帳垂沉沉。
小學堂で演じられる舞の歌曲もおわり、夜はひっそりと静まりかえる、庭の奥の室の内には翠のとばりが深くたれこめて、夜は更に静かにふけわたる。

 

〔二〕

上客 四座を光らす、佳麗 直い 千金。

挂釵 纓の絶ゆるに報い、珥 琴心に荅う。

娥眉 已に 共に笑う、清香 復た 衿に入る。

歓樂 夜 方に靜なり、翠帳 垂れて沉沉たり。

 

#6

雜詩十二首其四(詠邯鄲故才人嫁為廝養卒婦)

(趙の後宮の妃嬪・才人であった女性の後宮を解放されて、その後のことを述べる)

生平宮閤裏、出入侍丹墀。

常日頃、宮中の奥深い閏閤の中ですごしているし、出るのは閏閤殿から天子の朱ぬりの土縁に面した部屋で、侍っているのである。

開笥方羅縠、窺鏡比蛾眉。

その部屋での、妃嬪たちはすることがなく、箪笥の引き出しを開いてうすぎぬの服地の美をくらべ合わせたり、鏡をのぞいては、朋輩と書き眉の美しさを比較しあったりするのである。

初別意未解、去久日生悲。

幼いとき後宮に入内したわたしが初めて宮中から別れた時、俗世間の生活にただ茫然として、理解することができなかったが、離れて久しくなるにつれ、日に日に悲しさが膨らんでゆくのです。

顦顇不自識、嬌羞餘故姿。

心配事がおおいいのか、病気をしたのが気づかぬうちにやつれたようだが、それでも妃嬪としての矜持と恥じらいの心、気高き妃嬪の姿はまだ残って居る。

夢中忽髣髴、猶言承讌私。

だから、夢の中ではたちまちもとの姿がおぼろに現れる、今でもなお宴席に侍って私恩をいただいているなどと言うこともある。

 

雜詩十二首其四(詠邯鄲故才人嫁為廝養卒婦)(邯鄲の故の才人が嫁して雑役の卒の婦と為れるを詠ず)

生平 宮閤の裏、出入 丹墀に侍す。

笥を開き 羅縠を方ずれば、鏡を窺って蛾眉を比す。

初め別れしより 意 未だ解けず、去ること久しく 日に悲しみを生ず。

顦顇 自ら識らず、嬌羞 故姿を餘す。

夢中 忽ち 髣髴として、猶お 言う 讌私を承わると。

 

雜詩十二首其四秋夜

秋夜促織鳴  南鄰擣衣急

思君隔九重  夜夜空佇立

北窗輕幔垂  西月光入

何知白露下  坐視前堦濕

誰能長分居  秋盡冬復及

 

 姮娥 0021

 

 

 

現代譯 訳注解説

(本文)

6.雜詩十二首其四(詠邯鄲故才人嫁為廝養卒婦)

生平宮閤裏、出入侍丹墀。

開笥方羅縠、窺鏡比蛾眉。

初別意未解、去久日生悲。

顦顇不自識、嬌羞餘故姿。

夢中忽髣髴、猶言承讌私。

 

(下し文)

6(邯鄲の故の才人が嫁して雑役の卒の婦と為れるを詠ず)

生平 宮閤の裏、出入 丹墀に侍す。

笥を開き 羅縠を方ずれば、鏡を窺って蛾眉を比す。

初め別れしより 意 未だ解けず、去ること久しく 日に悲しみを生ず。

顦顇 自ら識らず、嬌羞 故姿を餘す。

夢中 忽ち 髣髴として、猶お 言う 讌私を承わると。

(現代語訳)

(趙の後宮の妃嬪・才人であった女性の後宮を解放されて、その後のことを述べる)

#6

常日頃、宮中の奥深い閏閤の中ですごしているし、出るのは閏閤殿から天子の朱ぬりの土縁に面した部屋で、侍っているのである。

その部屋での、妃嬪たちはすることがなく、箪笥の引き出しを開いてうすぎぬの服地の美をくらべ合わせたり、鏡をのぞいては、朋輩と書き眉の美しさを比較しあったりするのである。

幼いとき後宮に入内したわたしが初めて宮中から別れた時、俗世間の生活にただ茫然として、理解することができなかったが、離れて久しくなるにつれ、日に日に悲しさが膨らんでゆくのです。

心配事がおおいいのか、病気をしたのが気づかぬうちにやつれたようだが、それでも妃嬪としての矜持と恥じらいの心、気高き妃嬪の姿はまだ残って居る。

だから、夢の中ではたちまちもとの姿がおぼろに現れる、今でもなお宴席に侍って私恩をいただいているなどと言うこともある。

 

 

(訳注解説・字解)

雜詩十二首

現存する詩は200首余り、その内容は代表作とされる山水詩のほか、花鳥風月や器物を詠じた詠物詩、友人・同僚との唱和・離別の詩、楽府詩などが大半を占める。

とりわけ叙景に優れ、謝霊運の山水詩を引き継ぎつつ、美を洞察する感受性は、他の六朝(りくちょう)詩人に類をみない。友人の沈約(しんやく)は謝の五言詩を「二百年来この詩なし」とたたえた。謝も沈約も竟陵王蕭子良(きょうりょうおうしょうしりょう)の文学サロンに出入りした八友の一人であるが、謝の詩は、唐詩の風を先駆けて切り開いており、唐の詩人李白(りはく)や杜甫(とほ)の評価も高い。尚書吏部郎に抜擢(ばってき)されてまもなく、王朝末期にありがちな皇帝廃立の陰謀に巻き込まれ、36歳で獄死した。『謝宣城集』5巻がある。

 

雜詩十二首其四(詠邯鄲故才人嫁為廝養卒婦)

(趙の後宮の妃嬪・才人であった女性の後宮を解放されて、その後のことを述べる)

邯鄲の以前天子の妃嬪で後宮に仕えていた才人という位にあったものが雑役の兵卒に嫁してその妻となったことを詠じた詩である。「邯鄲」は趙の都、「才人」は正四品の女官、「廝養」は軍中で薪をとったり、炊飯を行ったりする者をいう。
才人  古来、宮中にはいわゆる「内職」という制度があった。『礼記』「昏義」に、「古、天子は、后に六宮、三夫人、九嬢、二十七世婦、八十一御妻を立て、以て天下の内治を聴く」とある。

唐初の武徳年間(618 - 626年)に、唐は隋の制度を参照して完璧で精密な「内官」制度をつくった。その規定では、皇后一人、その下に四人の妃(貴妃、淑妃、徳妃、賢妃各一人)、以下順位を追って、九嬢(昭儀、昭容、昭媛、修儀、修容、修媛、充儀、充容、充媛各一人)、捷好九人、美人九人、才人九人、宝林二十七人、御女二十七人、采女二十七人が配置される。上記のそれぞれの女性は官品をもち、合計で122人の多きに達した。皇后だけが正妻であり、その他は名義上はみな「妃嬪」-皇帝の妾とされた。

 

生平宮閤裏、出入侍丹墀

常日頃、宮中の奥深い閏閤の中ですごしているし、出るのは閏閤殿から天子の朱ぬりの土縁に面した部屋で、侍っているのである。

生平 ふだん。いつも。つね日ごろ。副詞的にも用いる。

宮閤裏 「宮閤」は後宮の正門を言う俗名で、後宮に奉公することを言うものであろう。15歳で試験を受け、入内し、3年満期を繰り返し、2125歳で対処し、結婚する。可愛がられれば、一人の妃嬪に終生仕えることもあるが、出自によっては、よい家系に傅くこともあったようだ。 彼女たちは身を九重(天子の宮殿)に置き、はなはだ高貴であるように見えるが、じつはただの皇帝家の家婢に過ぎず、衣食の心配がなくたいへん幸福のように見えるが、じつは人間性を最も残酷に破壊された人々であった。 宮廷においては、少数の地位の高い后妃の他は、万単位で数えられる普通の宮人であり、唐代では「宮女」「宮蛾」「宮婢」などとも呼ばれていた。彼女たちは長安にあった三大皇宮(太極宮、大明宮、興慶宮)と東都洛陽にあった大内(天子の宮殿)と上陽の両宮殿、及び各地の離宮、別館、諸親王府皇帝陵にそれぞれ配属されていた。

丹墀 宮殿の階上の庭、天子の宮殿。

 

開笥方羅縠、窺鏡比蛾眉。

その部屋での、妃嬪たちはすることがなく、箪笥の引き出しを開いてうすぎぬの服地の美をくらべ合わせたり、鏡をのぞいては、朋輩と書き眉の美しさを比較しあったりするのである。

 ここは、箪笥と考える。

羅穀 うすものの服地、「穀」はしわを織り出したきぬ、「ちりめん」の類。

窺鏡 鏡の中を覗き込む。寵愛のない妃嬪たちは、みんなで集まって日がな一日、遊んだり、雑談して過ごした。

 

初別意未解、去久日生悲。

幼いとき後宮に入内したわたしが初めて宮中から別れた時、俗世間の生活にただ茫然として、理解することができなかったが、離れて久しくなるにつれ、日に日に悲しさが膨らんでゆくのです。

 

顦顇不自識、嬌羞餘故姿。

心配事がおおいいのか、病気をしたのが気づかぬうちにやつれたようだが、それでも妃嬪としての矜持と恥じらいの心、気高き妃嬪の姿はまだ残って居る。

顦顇 憔悴ということ。心配や疲労・病気のためにやせ衰えること。

 

夢中忽髣髴、猶言承讌私

だから、夢の中ではたちまちもとの姿がおぼろに現れる、今でもなお宴席に侍って私恩をいただいているなどと言うこともある。

髣髴 おぼろにそれらしく見えること。

承讌私 宴席で私恩をうける意。

 

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玉臺新詠集 巻四 9.謝朓 巻4•9-1-5雜詩十二首其三夜聽妓二首之二 上客光四座 訳注解説 漢文委員会 紀頌之Blog11107

玉臺新詠集 巻四 9.謝朓 4•9-1-5雜詩十二首其三夜聽妓二首之二 上客光四座 訳注解説 漢文委員会 紀頌之Blog11107

 

 

 9.謝朓

 

49-1-5雜詩十二首其三夜聽妓二首之二 上客光四座

 

玉臺新詠集  謝朓詩 訳注解説

 

 

漢文委員会 紀頌之Blog11109

 

 

 

 

謝朓詩 雜詩十二詩 贈王主簿二首

雜詩十二首

贈王主簿二首其一

(以前寵愛を一手に受けていた女が、寵愛を失った今の思いを詠う)

日落窗中坐  紅妝好顏色

日の落ちかかる夕暮れ時、窗部屋の中に物憂げに坐っている。紅い装束をした美しい顔色の女である。

舞衣襞未縫  流黃覆不織

舞い衣はひだができて古めかしいが、新しいのはまだ縫えないでいる。機の上の生絹も織り半ばで上を覆いかぶせたままにしてある。

蜻蛉草際飛  遊蜂花上食

庭の草ぎわに衣装を鮮明にして整えている羽を持つカゲロウが飛び舞わり、蜂もあちこち飛び回ってから、花の上に蜜をあさっている。

一遇長相思  願寄連翩翼

それを見て女は、あなたをおもい、寵愛はいつまでもと誓った、だからもう一ど遇いたいと願っています、どうにかして、すぐにでもあの雌雄うち連れて飛ぶ鳥の翼にこの身を託したいものだと。

 

(王主簿に贈る。二首其の一)

日落ち 窗中に坐し、紅妝 顏色を好くす。

舞衣 襞【ひだ】たつも 未だ縫せず、流黃 覆うても織らず。

蜻蛉 草むらの際に飛び、蜂は遊び 花上に食す。

一たび遇わんこと “長相思”、  願わくば連翩たる翼に寄せん。

 

 

(二)

(洛陽城の片隅に、二人の美女の歌姫がいて、町のものも遠くからもその歌声を聞こうとあつまる。そうした春の日の情景を詠う)

清吹要碧玉  調弦命綠珠

清らかな吹奏のためにはあの美女の碧玉をむかえて命じるし、絃の調べには石崇の寵妾の縁珠がにあうので侍らせていいつけるのが一番いい。

輕歌急綺帶  含笑解羅襦

女の軽やかに歌う姿に心を動かして、その美しい帯にせまり、女が笑を含んでうすぎぬの袖なしをもぬぐ。

餘曲詎幾許  高駕且踟躕

最後の曲まで歌い残しの曲がどれほどあるのだろうか。それを最後まで聴こうとしているのだろう、車を止めぐずぐずとためらっている。

徘徊韶景暮  惟有洛城隅

そのように楽しみ過ごせば、時の過ぎるのも忘れているあなたを見て、わたしの方はやるせなさにその場を行ったり来たりしているうちに春の日も暮れてゆく。ただ、それはのどかなこの洛陽城の片隅の景色の中におこっただけのことなのである。

 

(二)

清吹 碧玉を要へ、調弦 綠珠に命ず。

輕歌 綺帶をに急し、含笑 羅襦を解く。

餘曲 詎んぞ幾許【いくばく】、高駕 且つ踟躕す。

徘徊 韶景の暮れるは、惟だ 洛城の隅に有り。

 

3.   同王主簿怨情

(男の愛を失った婦人の悲しい運命を詠う)

掖庭聘國  長門失懽

漢延の大奥、掖庭宮から遠く離れた砂漠の向こうの匈奴に迎えられたのは王昭君である、衛子夫が後宮に入ると、子もなく武帝の寵を失って長門宮は冷宮となり、楽しい宴会に侍ることもなかったのは陳皇后である。

相逢詠蘼蕪  辭寵悲團扇

また、離縁されて、もとの夫に逢いたくて詠ったのは“靡蕪の詩”であり、班倢妤が天子の愛を奪われ、斥けられたときのいいぐさは、秋の「うちわ」である。これらは皆男の愛を失った婦人の悲しい運命である。

花叢亂數蝶  風簾入雙燕

花さくくさむらに喋が二つ三つ乱れとび、風にゆられる簾の中には一対の燕が舞いこんでくる。

徒使春帶  坐惜紅顏變

それを眺めやるわたしは、棄てられた身の悲しさに痩せ細って、春の帯もいたずらに長すぎるありさま、そぞろに紅の顕もふけてゆくのが惜しまれる。

平生一顧重  夙昔千金賤

日ごろはわたしの一顧を重んじて、昔黄金千金のねうちも賎しめたほどであった。

故人心尚永  故心人不見

わが夫の心は今もなお昔にかわらぬ とは思うのだが、しかし昔ながらの心の人は見るよしもないのが今の世の常、それを思うて限りなくうらめしい。

 

3.           (王主簿の怨情に同じゅうす。)

披庭 絶国に幣され、長門 懽讌を失ふ。

相い蓬いては 蘼蕪を詠じ、寵を辭して 団扇を悲しむ。

花叢には 数蝶乱れ、風簾に 雙燕 入る。

徒らに春帯をしてからしめ、坐ろに紅粧の変ずるを惜しむ。

生平 一顧に 重く、宿昔に 千金 賎し。

故人の心は 尚お爾り、 故心の人は 見ず。

 

雜詩十二詩 其三 夜聴妓二首

4〔一〕

(洛陽の美妓たちの歌舞矯態を描いたものである。今夜の宴席の様子が、妓女の腕輪の触れ合う音と、その席に立ちこめている艶やかな雰囲気によって、詠われている。)

瓊閨釧響聞、瑤席芳塵滿。

うるわしい閏から 腕輪の触れあう響きが聞こえ にぎやかな座席には 芳わしい塵が満ちている。

要取洛陽人、共命江南管。

いまや洛陽の美妓を呼び寄せて、みんなで江南の笛を吹かせ合奏している。

情多舞態遲、意傾歌弄緩。

情が溢れて、なまめかしく舞の動きはゆったりと、客を意識してそちらにきもちを傾けていて、それに合わせて歌の調べも緩やかになる。

知君密相親、寸心傳玉椀。

それは あなたが密かに親しみを感じているのを 知って一寸の心のたけを一寸の玉椀で運んで伝えようとしている。

(一) 
(其の一 夜 妓を聴く)

瓊閏に 釧響を聞く 堵席に 芳塵 満つ。

洛陽の人を要へ取りて、共に 江南の管を命ず。

情多くして 舞態 遅く、意傾きて 歌弄 緩やかなり。

君の密かに相い親しむを知りて、寸心 玉椀に伝う。

 

5〔二〕

(超高級官僚の邸宅における春の宴の模様を述べたもの

上客光四座、佳麗直千金。

身分高い客人たちが満座と集まっている、舞台もかがやき、そこに歓樂する佳麗の美女は皆千金の価値ある光景である。

挂釵報纓絶、珥荅琴心。

客の中に冠の纓がちぎれたのを治そうとしているものがいる、美人はその人の纓に簪を使って、冠を正して報いたようで、客は琴心をもって、これに答えている。

娥眉已共笑、清香復入衿。

蛾眉のそろった美人たちは貴賓客と共に笑い歓談している、美女たちの清らかな香りは客のえりもとにまでただよってくる。

歓樂夜方靜、翠帳垂沉沉。
小學堂で演じられる舞の歌曲もおわり、夜はひっそりと静まりかえる、庭の奥の室の内には翠のとばりが深くたれこめて、夜は更に静かにふけわたる。

 

〔二〕

上客 四座を光らす、佳麗 直い 千金。

挂釵 纓の絶ゆるに報い、珥 琴心に荅う。

娥眉 已に 共に笑う、清香 復た 衿に入る。

歓樂 夜 方に靜なり、翠帳 垂れて沉沉たり。

 

 

 

現代譯 訳注解説

(本文)

雜詩十二首 其二

雜詩十二詩 其三 夜聴妓二首

5〔二〕

上客光四座、佳麗直千金。

挂釵報纓絶、珥荅琴心。

娥眉已共笑、清香復入衿。

歓樂夜方靜、翠帳垂沉沉。

 

(下し文)

(一) 

(其の一 夜 妓を聴く)

瓊閏に 釧響を聞く 堵席に 芳塵 満つ。

洛陽の人を要へ取りて、共に 江南の管を命ず。

情多くして 舞態 遅く、意傾きて 歌弄 緩やかなり。

君の密かに相い親しむを知りて、寸心 玉椀に伝う。

 

(現代語訳)

(超高級官僚の邸宅における春の宴の模様を述べたもの

身分高い客人たちが満座と集まっている、舞台もかがやき、そこに歓樂する佳麗の美女は皆千金の価値ある光景である。

客の中に冠の纓がちぎれたのを治そうとしているものがいる、美人はその人の纓に簪を使って、冠を正して報いたようで、客は琴心をもって、これに答えている。

蛾眉のそろった美人たちは貴賓客と共に笑い歓談している、美女たちの清らかな香りは客のえりもとにまでただよってくる。

小學堂で演じられる舞の歌曲もおわり、夜はひっそりと静まりかえる、庭の奥の室の内には翠のとばりが深くたれこめて、夜は更に静かにふけわたる。

 

 

(訳注解説・字解)

雜詩十二首

現存する詩は200首余り、その内容は代表作とされる山水詩のほか、花鳥風月や器物を詠じた詠物詩、友人・同僚との唱和・離別の詩、楽府詩などが大半を占める。

とりわけ叙景に優れ、謝霊運の山水詩を引き継ぎつつ、美を洞察する感受性は、他の六朝(りくちょう)詩人に類をみない。友人の沈約(しんやく)は謝の五言詩を「二百年来この詩なし」とたたえた。謝も沈約も竟陵王蕭子良(きょうりょうおうしょうしりょう)の文学サロンに出入りした八友の一人であるが、謝の詩は、唐詩の風を先駆けて切り開いており、唐の詩人李白(りはく)や杜甫(とほ)の評価も高い。尚書吏部郎に抜擢(ばってき)されてまもなく、王朝末期にありがちな皇帝廃立の陰謀に巻き込まれ、36歳で獄死した。『謝宣城集』5巻がある。

 

雜詩十二詩 5〔二〕

上客光四座、佳麗直千金

身分高い客人たちが満座と集まっている、舞台もかがやき、そこに歓樂する佳麗の美女は皆千金の価値ある光景である。

直千金 非常に価値の高いこと。 -の一打」 「春宵(しゆんしよう)一刻-」 » 価「値千金」に関するほかの成句値千金 価を二つにせず

 

挂釵報纓絶珥荅琴心

客の中に冠の纓がちぎれたのを治そうとしているものがいる、美人はその人の纓に簪を使って、冠を正して報いたようで、客は琴心をもって、これに答えている。

挂釵報纓絶 「挂釵」は奴を男の冠のひもにかける意。宋玉の「諷賦」に「主人の女輩翠の奴を以て臣の冠倭に撞く」とある。 「櫻絶」は『説苑』に楚の荘王の夜宴に燭が消えたすきに臣の一人が美人の衣を引いた。美人はその客の冠のひもを引きちぎって点火を 促したが、王は客の失態をあらわすことを避けて、一座の者にみな冠纓をたちきらせて、その後火をつけさせたとある。句はこの二つの 故事を併せて、男女の情を通じることを述べたのである。

珥荅琴心 「」は『史記』「滑稽伝」に淳于髠(じゅんうこん)の言を引いて「前 に堕碍あり後に遺替あり」と述べ、男女雑座のさまを記してある。すなわち耳玉がおちたり、かんざしをおきわすれたりした遊楽の状を いったのである。「琴心」は「司馬相加伝」に卓王孫の女文君が音曲に通じていたので相加は琴心をもって之を挑んだと叙してある。こ の句もまた二つの故事を連ねて男女の情態を写したものである

荅琴心

娥眉已共笑、清香復入衿。

蛾眉のそろった美人たちは貴賓客と共に笑い歓談している、美女たちの清らかな香りは客のえりもとにまでただよってくる。

娥眉 ① 蛾の眉(触角)のように三日月形にすんなり曲がった、女の美しい眉。〔詩経‐衛風・碩人〕② 転じて、美人のこと。③ 三日月。眉月。とくに俳諧では、陰暦八月三日の月をいう。《季・秋》

 

歓樂夜方靜、翠帳垂沉沉。
小學堂で演じられる舞の歌曲もおわり、夜はひっそりと静まりかえる、庭の奥の室の内には翠のとばりが深くたれこめて、夜は更に静かにふけわたる。

歓樂 小學堂で演じられる舞の歌曲をいうが、その演奏も終わった後の様子を言うのであろう。小学道は中庭などに独立した堂か、宮殿の一角にある。

翠帳 青緑色のとばりであるが貴婦人の閨闈が連想される語である。翠帳紅閨【スイチョウコウケイ】. 貴婦人の寝室。青緑色のとばりと紅(くれない)色に飾った寝室の意。

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