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『菩薩蠻 七』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-7-1-#7  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1644


6.温庭筠 菩薩蠻
玉樓明月長相憶,柳絲袅娜春無力。
春の装いにかがやく高楼にのぼり、あかるい月かげがさしこむ、もうずいぶんな歳月になる、私のもとにかえってこないあの人を恋しく思う。柳のいとの様な腰つき、もっと魅力的にしているが、一人過ごす春の日、片思いのままは気力も失せて來る。
門外草萋萋,送君聞馬嘶。
門外にでて春の行楽に幔幕を春草がまた青々としげる中に有る。あの人を見送ったときには、乗ってゆく馬のいななくのを聞いたものだった。(いまも馬が嘶いてもあの人は来てくれない。)
畫羅金翡翠,香燭銷成淚。
うすものの衾に金と翡翠で描かれているのを見るばかり、今宵も更けゆくままに、蝋燭も溶けて流れ、涙もとめどがない。
花落子規啼,綠窗殘夢迷。
若い花はちりさり、ほととぎすは逢いたい一心で啼いて血を吐くのだ、部屋のみどり絹の上窓から思いを送るがどこかあの人のもとへ夢はまようのだろう。

菩薩蠻
玉樓明月長へに相ひ憶ふ、柳絲娜として春無力。
門外草萋萋たり、君を送れば馬の嘶くを聞けり。
畫【いろうつくしき】羅【うすぎぬ】金の翡翠、香【かぐはしき】燭消【とけ】て涙を成す。
花落ちて子規啼けば、綠窗【ろくそう】に殘夢迷ふ。

菩薩蠻:双調 四十四字。換韻。
年増になった妓女が、男と共に過ごした昔を思い起こしている情景を詠んでいる。

宮島(7)

『菩薩蠻 七』現代語訳と訳註
(本文)

玉樓明月長相憶,柳絲裊娜春無力。
門外草萋萋,送君聞馬嘶。
畫羅金翡翠,香燭銷成淚。
花落子規啼,綠窗殘夢迷。


(下し文)
玉樓明月長へに相ひ憶ふ、柳絲裊娜【じょうや】春力無し。
門外草萋萋たり、君を送れば馬の嘶くを聞けり。
畫【いろうつくしき】羅【うすぎぬ】金の翡翠、香【かぐはしき】燭消【とけ】て涙を成す。
花落ちて子規啼けば、綠窗【ろくそう】に殘夢迷ふ。


(現代語訳)
春の装いにかがやく高楼にのぼり、あかるい月かげがさしこむ、もうずいぶんな歳月になる、私のもとにかえってこないあの人を恋しく思う。柳のいとの様な腰つき、もっと魅力的にしているが、一人過ごす春の日、片思いのままは気力も失せて來る。
門外にでて春の行楽に幔幕を春草がまた青々としげる中に有る。あの人を見送ったときには、乗ってゆく馬のいななくのを聞いたものだった。(いまも馬が嘶いてもあの人は来てくれない。)
うすものの衾に金と翡翠で描かれているのを見るばかり、今宵も更けゆくままに、蝋燭も溶けて流れ、涙もとめどがない。
若い花はちりさり、ほととぎすは逢いたい一心で啼いて血を吐くのだ、部屋のみどり絹の上窓から思いを送るがどこかあの人のもとへ夢はまようのだろう。

 (訳注)
玉樓明月長相憶,柳絲裊娜春無力。
春の装いにかがやく高楼にのぼり、あかるい月かげがさしこむ、もうずいぶんな歳月になる、私のもとにかえってこないあの人を恋しく思う。柳のいとの様な腰つき、もっと魅力的にしているが、一人過ごす春の日、片思いのままは気力も失せて來る。
・玉樓 宝玉にかざられた立派な建物。春の装いにかがやく高楼は女妓のいる建物を指す。
・明月 明るい月。名月。仲秋の明月。美しい女。
・長  とこしえに。いつまでも。
・相憶 昔のことを思い起こす。憶は、あれこれと思いをはせること。
・柳絲 垂れ下がった柳の枝のこと。絲柳。女性の体の線のことを謂う。
・裊娜 しなやかなさま。なよなよとしているさま。は、嫋(たおやか、しなやか)に通ずる。
・春無力 春の様子は、力 無げである。春行楽で新しい出会いと結ばれるときに、男と別れたまま振り向いても暮れなくなって、さびしくうらぶれて無気力になっているということ。同時に女妓に歳を重ねて春に対する期待感がなくなっていることを云う。


門外草萋萋,送君聞馬嘶。
門外にでて春の行楽に幔幕を春草がまた青々としげる中に有る。あの人を見送ったときには、乗ってゆく馬のいななくのを聞いたものだった。(いまも馬が嘶いてもあの人は来てくれない。)
・萋萋 草が茂っているさま。
送君 恋人を送る。君とは男性を指す。
・聞馬嘶 馬のいななくのが 聞こえてきた。男と最後の別れの情景。


畫羅金翡翠,香燭銷成淚。
うすものの衾に金と翡翠で描かれているのを見るばかり、今宵も更けゆくままに、蝋燭も溶けて流れ、涙もとめどがない。
・畫羅 美しいうすぎぬのこと。畫は、動詞として、(絵を)えがく。形容詞として(建物などに色が塗られていたり、模様が画かれていたりして)美しい、(「畫船聽雨眠」の畫)になる。
・金翡翠 かわせみ。雌雄対になったカワセミのことで、翡は雄で翠は雌を謂う。
・香燭 香しき蝋燭。香はこの蝋燭がいい香りを放つかどうかということよりも、女性を暗示していることの方が大きい。
・消成涙 。蝋が溶けて涙を流したみたいになっていること。消を銷とする本が多い。銷の方が通りやすい。


花落子規啼,綠窗殘夢迷。
若い花はちりさり、ほととぎすは逢いたい一心で啼いて血を吐くのだ、部屋のみどり絹の上窓から思いを送るがどこかあの人のもとへ夢はまようのだろう。
花落 花が 散る。若い時の花は散る。
・子規 ホトトギス杜鵑。血を吐きながら、悲しげに、鳴くことから鳴き声が読み方と類似しているため不如歸とも書き表す。

宣城見杜鵑花 Kanbuniinkai紀頌之の漢詩 李白特集-244-350


法鏡寺 杜甫
洩雲蒙清晨,初日翳複吐。
朱甍半光炯,戸牖粲可數。
拄策忘前期,出蘿已亭午。
冥冥子規叫,微徑不複取。

“同谷紀行(6)” 法鏡寺 杜甫 <325>#1 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1541 杜甫詩 700- 478

杜甫の鳥獸蟲魚類について整理してみると次のようにある。
五言律詩 
『鸚鵡』、『子規』、『百舌』、『歸鴈二首』、『歸鴈』、『孤鴈』、『鸂鶒』、『花鴨』『麂』、    

錦瑟
錦瑟無端五十弦、一弦一柱思華年。
莊生曉夢迷蝴蝶、望帝春心托杜鵑。
滄海月明珠有涙、藍田日暖玉生煙。
此情可待成追憶、只是當時已惘然。

錦瑟 李商隠 1 Ⅰ晩唐李商隠詩<1>漢文委員会kanbuniinkai紀頌之漢詩ブログ<64>


1 温庭筠 おんていいん
(812頃―870以後)本名は岐、字は飛卿、幷州(山西省大原)の人。初唐の宰相温彦博の子孫にあたるといわれる。年少のころから詩をよくしたが、素行がわるく頽廃遊蕩生活に耽り、歌樓妓館のところに出入して、艶麗な歌曲ばかりつくっていた。進士の試験にも落第をつづけ、官途につくこともできなかった。徐商が裏陽(湖北)の地方長官をしていたとき、採用されて巡官となり、ついで徐商が中央の高官(成通のはじめ尚書省に入る)になったので、さらに任用されようとしたが成らなかった。859年頃に詩名によって特に召されて登用され、国子(大学)助教となった。たが、叙任前に微行中の宣宗に無礼があって罷免され、晩年は流落して終わった。そのため、生歿が未詳である。

集に撞蘭集三巻、金墨集十巻、漢南其稿十巻があったという。かれは晩唐の詩人として李商隠と相並び、「温李」として名を知られている。音楽に精しく、鼓琴吹笛などを善くし、当時流行しつつあった詞の作家としても韋荘と相並んで「温韋」の称があった。その詞の大部分は超崇祚の編した花間集に収載されている。洗練された綺麗な辞句をもちいた、桃李の花を見るような艶美な作風は花間集一派の詞人を代表するもので、「深美閎約」と批評されているその印象的なうつくしさにおいてほ花間集中、及ぶものがないといってよく、韋荘の綺麗さとよい対照をなしている。王国維が花間集に収載する六十六首のほか他書に散見するものを合せて輯した金荃詞一巻があり、七十首を伝えている。


 (井泥四十韻 第四場面 李商隠 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 144


井泥四十韻 第4場面
伊尹佐興王,不藉漢父資。
磻溪老釣叟,坐爲周之師。」
屠狗與販繒,突起定傾危。
長沙啟封土,豈是出程姬。」
帝問主人翁,有自賣珠兒。
武昌昔男子,老苦爲人妻。」
蜀王有遺魄,今在林中啼。
淮南雞舐藥,翻向雲中飛。』
○蜀王 蜀の開国伝説によると、周の末に蜀王の杜宇が帝位に即き、望帝と称した。望帝は部下のものに治水を命じておきながら、その妻と姦通し、その後その罪を恥じて隠遁した。旧暦二月、望帝が世を去ったとき、杜鵑(ホトトギス)が、哀鳴した。これを蜀王魂という。また、春心托杜鵑 相手と結ばれたいとを思う心は、血を吐きながら悲しげに鳴く杜鵑(ホトトギス)に托す。杜鵑:〔とけん〕ほととぎす。血を吐きながら悲しげに鳴くという。
燕臺詩四首 其二 夏#1 李商隠130 紀頌之の漢詩ブログ李商隠特集150- 130-1
李商隠1錦瑟
韓愈 杏花

居鄰北郭古寺空,杏花兩株能白紅。
曲江滿園不可到,看此寧避雨與風 ?
二年流竄出嶺外,所見草木多異同。』

杏花 #1 Ⅱ韓退之(韓愈) 紀頌之の漢詩ブログ989 韓愈特集-37-#1

冬寒不嚴地恆泄,陽氣發亂無全功。
浮花浪蘂鎮長有,纔開還落瘴霧中。
山榴躑躅少意思,照耀黃紫徒為叢。』


杏花 #2 Ⅱ韓退之(韓愈) 紀頌之の漢詩ブログ992中唐305 韓愈特集-37-#2
鷓鴣鈎輈猿叫歇,杳杳深谷攢青楓。
豈如此樹一來翫,若在京國情何窮。
今旦胡為忽惆悵,萬片飄泊隨西東。
明年更發應更好,道人莫忘鄰家翁。』
杏花 #3 Ⅱ韓退之(韓愈) 紀頌之の漢詩ブログ995中唐306 韓愈特集-37-#3
○山榴
 「さつき(皐月)」の古名。山奥の岩肌などに自生する。盆栽などで親しまれている。サツキツツジ(皐月躑躅)などとも呼ばれており、他のツツジに比べ一ヶ月程度遅い、旧暦の五月(皐月)の頃に一斉に咲き揃うところからその名が付いたと言われる。○躑躅 ツツジ。おおむね常緑若しくは落葉性の低木から高木で、葉は常緑または落葉性で互生、果実は蒴花である。4月から5月の春先にかけて漏斗型の特徴的な形の花(先端が五裂している)を数個、枝先につける。杜鵑花(とけんか)、杜鵑はほととぎすの別名。

・綠窗
 緑のうすぎぬの窓。女性の部屋の窓のこと。
・殘夢 見果てぬ夢。見残した夢。男と過ごした日々の思いでを指している。
・迷 悩乱している。


7<参考>漢詩大系24 中田勇次郎 下し文
 玉樓明月長相憶,月あかき玉のうてなに恋ひわたりつつ
柳絲娜春無力。あをやぎの絲よりかけて春ちからなし
門外草萋萋,かどのとの草おひしげり
送君聞馬嘶。君がゆく馬のいななき聞きにしはいづこ
畫羅金翡翠,うすもののうへに畫けるほ金の翡翠
香燭銷成淚。ともしびのはかなくとけて涙となり
花落子規啼,花ちりてほととぎすなくしののめの
綠窗殘夢迷。まどべにまよふ夢のなごり