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『菩薩蠻十三』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-13-1-#13  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1668


此の詩は西施をイメージして作ったもの。


14温庭筠 .菩薩蠻
竹風輕動庭除冷,珠簾月上玲珑影。
初夏のさわやかな風が竹の林を抜けて庭先から、軽やかに簾を動かして房に付いている風鈴がすきとおったように美しく鳴りつめたく響く。玉のすだれに月がさしのぼってあかるくすみわたった影をおとす。
山枕隱濃妝,綠檀金鳳凰。
閨に横向きで寝枕する女は今宵も待ち侘びて宵の濃い化粧のままある。綠壇でつられた枕には金の鳳風の紋様が彫描されている。
兩蛾愁黛淺,故國吳宮遠。
二つの眉はさびしそうにまゆずみがうすれている。むかし呉宮に送られた西施は、はるかにへだたった故国をなつかしくおもった。(今、ひとり待ち侘びる女は西施と同じ思いなのだ。)。
春恨正關情,畫樓殘點聲。

廻り廻って春は男女の交わりが始まるものであるのに待ち侘びる春の恨みはほんとに愛情に関連するものだ。夜明けが近くなったのか、飾られた高楼のうえで時をつげる太鼓の音の名残のようにがとぎれとぎれにきこえてくる。


『菩薩蠻』十三 現代語訳と訳註
(本文)

竹風輕動庭除冷,珠簾月上玲瓏影。
山枕隱濃妝,綠檀金鳳凰。
兩蛾愁黛淺,故國吳宮遠。
春恨正關情,畫樓殘點聲。


(下し文)
竹風 輕動して 庭除の冷,珠簾 月上りて瓏影するも玲なり。
山枕は濃妝を隱し,綠檀には金の鳳凰あり。
兩蛾は愁いて黛淺し,故國 吳宮の遠。
春恨 正に關情し,畫樓 點聲を殘す。

(現代語訳)
初夏のさわやかな風が竹の林を抜けて庭先から、軽やかに簾を動かして房に付いている風鈴がすきとおったように美しく鳴りつめたく響く。玉のすだれに月がさしのぼってあかるくすみわたった影をおとす。
閨に横向きで寝枕する女は今宵も待ち侘びて宵の濃い化粧のままある。綠壇でつられた枕には金の鳳風の紋様が彫描されている。
二つの眉はさびしそうにまゆずみがうすれている。むかし呉宮に送られた西施は、はるかにへだたった故国をなつかしくおもった。(今、ひとり待ち侘びる女は西施と同じ思いなのだ。)。
廻り廻って春は男女の交わりが始まるものであるのに待ち侘びる春の恨みはほんとに愛情に関連するものだ。夜明けが近くなったのか、飾られた高楼のうえで時をつげる太鼓の音の名残のようにがとぎれとぎれにきこえてくる。


(訳注)
竹風輕動庭除冷,珠簾月上玲瓏影。

初夏のさわやかな風が竹の林を抜けて庭先から、軽やかに簾を動かして房に付いている風鈴がすきとおったように美しく鳴りつめたく響く。玉のすだれに月がさしのぼってあかるくすみわたった影をおとす。
・庭除 庭の階段のあるところ。風除室のような意味を持つ場所。
・玲瓏影 玲の瓏も同じ意味で、1 玉などが透き通るように美しいさま。また、玉のように輝くさま。2 玉などの触れ合って美しく鳴るさま。また、音声の澄んで響くさま。


山枕隱濃妝,綠檀金鳳凰。
閨に横向きで寝枕する女は今宵も待ち侘びて宵の濃い化粧のままある。綠壇でつられた枕には金の鳳風の紋様が彫描されている。
・山枕 枕のこと。温庭篤の更漏子詞に「山枕蹴、錦余寒」、顧鼻の甘州子詞に山枕上、長是怯農鐘」とある。
・隠 臥=隠と同じ、もたれること。よりかかること。或は向こう向きに寢る。
・濃妝 こってりとあついお化粧をした年増女。宵の口に化粧をするのは濃い化粧で、寝る前には寝化粧に帰る。つまり、今日も来なかったということ。西施の事も意味する語である。
・綠檀 黒檀、紫檀と綠壇は枕をつくる木材をいう。緑壇は緑色の枕檀(まくら)ということで、寝るという意味になる。緑檀は後宮でつかわれるもの。
・金鳳凰 枕にはどこされた紋様で、つがいを描いているので、空しさを引き立てる。


兩蛾愁黛淺,故國吳宮遠。
二つの眉はさびしそうにまゆずみがうすれている。むかし呉宮に送られた西施は、はるかにへだたった故国をなつかしくおもった。(今、ひとり待ち侘びる女は西施と同じ思いなのだ。)。
・故国呉宮遠 呉宮は西施をかりていう。呉は江蘇一帯をいう。西施;沉魚落雁 西施
水光瀲艷晴方好,山色空濛雨亦奇。
若把西湖比西子,濃妝淡抹總相宜。


春恨正關情,畫樓殘點聲。
廻り廻って春は男女の交わりが始まるものであるのに待ち侘びる春の恨みはほんとに愛情に関連するものだ。夜明けが近くなったのか、飾られた高楼のうえで時をつげる太鼓の音の名残のようにがとぎれとぎれにきこえてくる。
・残点声 鍾鼓を鳴らして時を告げる音が、明方近くなって、眠い中ほとんどきこえなくなること。夜通し待っている様子、せつなさをあらわすもの。