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『更漏子 四』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-18-2-#4  花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1688


4.更漏子
相見稀,相憶久,眉淺淡煙如柳。
あの人と逢うことはめったになくなりました。そしてあの人のことはもう久しい思いだけとなったのです。この頃はうっすらと靄のかかった柳葉のような眉で、憂愁にくれているのです。
垂翠幕,結同心,侍郎熏繡衾。
春には閨の緑のとばりをたれこめて、あなたとかたいちぎりを結びました。侍郎のあなたと刺繍をしたかけ布に香がしみいる時を過ごしたのです。
城上月,白如雪,蟬鬓美人愁絕。
秋も深く、城のうえの月かげは、雪のように白くさえわたっているようになると、蝉の羽のように鬂のうすれたうつくしい美人の私だけが眠りもしないで、あの人をまちわびて、愁いもたえかねて沈んでいるのです。
宮樹暗,鵲橋橫,玉簽初報明

宮居の樹々さえもほの暗くなり、月も西にかたむいてきた。カササギの渡し橋だけは横たわっているのはみえ、あの人とのことはまだつながっている。だけど玉簽のひびきではじめて時をしらされる、もう明け方になったのです
(四)
相ひ見ゆること稀に、相ひ憶ふこと久し、眉淺く  淡く烟【かす】むこと柳の如し。
翠幕を垂らし、同心を結ぶ、侍郎 繡衾を燻ず。
城 月上り、白きは雪の如し、蝉の鬢 美人は愁い絶す。
宮の樹は暗く、鵲橋 橫たはる、玉籤初めて明を報ず。


『更漏子』 現代語訳と訳註
(本文)
更漏子
相見稀,相憶久,眉淺淡煙如柳。
垂翠幕,結同心,侍郎熏繡衾。
城上月,白如雪,蟬鬓美人愁絕。
宮樹暗,鵲橋橫,玉簽初報明。


(下し文) 更漏子
相ひ見ゆること稀に、相ひ憶ふこと久し、眉淺く  淡く烟【かす】むこと柳の如し。
翠幕を垂らし、同心を結ぶ、侍郎 繡衾を燻ず。
城 月上り、白きは雪の如し、蝉の鬢 美人は愁い絶す。
宮の樹は暗く、鵲橋 橫たはる、玉籤初めて明を報ず。


(現代語訳)
あの人と逢うことはめったになくなりました。そしてあの人のことはもう久しい思いだけとなったのです。この頃はうっすらと靄のかかった柳葉のような眉で、憂愁にくれているのです。
春には閨の緑のとばりをたれこめて、あなたとかたいちぎりを結びました。侍郎のあなたと刺繍をしたかけ布に香がしみいる時を過ごしたのです。
秋も深く、城のうえの月かげは、雪のように白くさえわたっているようになると、蝉の羽のように鬂のうすれたうつくしい美人の私だけが眠りもしないで、あの人をまちわびて、愁いもたえかねて沈んでいるのです。
宮居の樹々さえもほの暗くなり、月も西にかたむいてきた。カササギの渡し橋だけは横たわっているのはみえ、あの人とのことはまだつながっている。だけど玉簽のひびきではじめて時をしらされる、もう明け方になったのです。


(訳注)
更漏子 詞牌の一。詞の形式名。双調 四十六字。換韻。詳しくは 「構成について」を参照。
・この詞は花間集の温庭筠の更漏子 其四。この詞は、前半は、独りになった女性が男の人の帰るのを待っており、下片は、月を見るに付けても、共に暮らしていたときが思い出され、いつの間にか明け方になってきたことをうたった詞である。温庭筠の詩はどの詩も実際には異なるが魚玄機(温庭筠を約50首若掲載の後魚玄機50首)を念頭にして読むと面白く理解が深まる


相見稀,相憶久,眉淺淡煙如柳。
あの人と逢うことはめったになくなりました。そしてあの人のことはもう久しい思いだけとなったのです。この頃はうっすらと靄のかかった柳葉のような眉で、憂愁にくれているのです。
・相見 逢うこと。
・稀 まれ。殆ど逢っていないこと。
・相憶 思いをつのらせていること。ここでの相は、お互いに、という意味はない。
・久 時間的にながいこと。
眉淺 眉の化粧があわい。大切な男の人が、いなくなり、やるせなく、物憂げな感じをいっている。
・淡烟如柳 柳のように淡くかすんでいる。柳は韻字でもあり、柳葉は女性の美しい眉の形容でもある。「柳眉」「柳葉眉」。


垂翠幕,結同心,侍郎熏繡衾。
春には閨の緑のとばりをたれこめて、あなたとかたいちぎりを結びました。侍郎のあなたと刺繍をしたかけ布に香がしみいる時を過ごしたのです。
・垂翠幕 閨房の緑のカーテンをすること。春のことをいう。
結同心 同心結を結うこと。連環回文様式の結び方。また、同心結は、(男女の)ちぎりを結ぶことと。錢唐 蘇小(蘇小小)『西陵歌』「妾乘油壁車,郞乘靑踪馬。何處結同心、西陵松柏下。」(妾(わたくし)は 油壁の車に乘り,郞(あなた)は 靑の馬に 乘る。何處(いづこ)にか 同心を 結ばん、西陵の 松柏の下(もと)。)とみえる。蘇小小『西陵歌』
・侍郎 通常官名で、皇帝の側に仕える役で、現代風に言えば次官。「侍郎(きみ)のため」となる。ただし、下片に、美人、宮樹と官職名や宮中関係の語が出てくるので、繋がりから見るとこれも官職名で男は、高級官僚である。焦がれる気持ちを表現している、一夫多妻制の時代で富貴の身分では、簡単に女を捨てた。ただし嫡子を産むと立場は全く異なった。
・燻綉衾 うすぎぬの掛け布団に香を焚く。愛しい人の帰りを待った寝床の設え。


57moon
城上月,白如雪,蟬鬓美人愁絕。
秋も深く、城のうえの月かげは、雪のように白くさえわたっているようになると、蝉の羽のように鬂のうすれたうつくしい美人の私だけが眠りもしないで、あの人をまちわびて、愁いもたえかねて沈んでいるのです。
・城上月 街の上の月。月は、圓く家族団らん(団円)を表し、男の人と共にいたころの回憶。目の前の月の情景から思いを派生させている。城は都市のこと。城市。街が城郭で囲まれていたことからこういう。秋になったことを云う。
・蝉鬢 当時の女性の髪型の一。両横の鬢が薄くセミの羽のようになっていることから付いた名称。また、セミの羽のようにつややかで美しい髪の形容。
美人 宮女、芸妓。役職を云う場合もある。
愁絶 哀しみが、際だって大きいこと。絶は、前の字(語)の様子が際だっている時に使われる。愁殺。ここは絶で押韻するため愁絶になった。壮絶、隔絶、卓絶、冠絶の類。


宮樹暗,鵲橋橫,玉簽初報明。
宮居の樹々さえもほの暗くなり、月も西にかたむいてきた。カササギの渡し橋だけは横たわっているのはみえ、あの人とのことはまだつながっている。だけど玉簽のひびきではじめて時をしらされる、もう明け方になったのです。
宮樹暗 夜目に、宮中の樹木の生い茂っているさまをいう。月の後半だと西に傾かないので、月の初めのころと考えられる。つまり、本当の別れが来たと思っていないことをあらわしている。。月の後半の月20日の月、名残り月を別れの月という。
鵲橋 天の川のこと。カササギが七夕に橋を架けて、牽牛と織女を会わせるという。わが邦では、転じて宮中の階(みはし。きざはし)を謂う(かささぎの渡せる橋に…)。つまりあの人とはまだ切れてはいない。
・玉籤 籤は、水時計に浮かべている竹などでできたもので、時間を計る。玉は、美称。
報明 夜明けを告げる。五更の時のこと