河傳 温庭筠 



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『河傳』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-49-2-#   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1812






河傳
湖上,閑望。
湖のほとりの樓閣から、静かに湖面を眺めている。
雨蕭蕭,煙浦花橋路遙。
雨はしとしとと降り続いてる。雨靄のかかった入り江に、橋のほとりに花が雨に潤い鮮やかにさいている、その路はとおくはるかにかすんでいる。
謝娘翠蛾愁不消,終朝,夢魂迷晚潮。
嘗ては謝安に携えられた娘のようであったのに今は、みどりの蛾眉が消えかけても愁いは消えないでいるのです。宵の化粧もそのままについにあさになるのです、あの人は夜は夢のなか、昼は魂さえも雨靄に、夕ぐれになれば潮のあとを追って迷ってばかりなのでしょう。
蕩子天涯歸棹遠,春已晚,莺語空腸斷。
空のはてに行ったまま、わたしのことも忘れてしまっている放蕩癖のあの人が、舟にのって帰ってくることはないのでしょうか。この長雨で春はもう過ぎて行こうとしています。鶯の鳴き声を聞くたびにただむなしい下腹はいたくなるだけなのです。
若耶溪,溪水西。
若耶渓にも女が居ます、西施が足を洗って見初められた渓川の西の方に。
柳堤,不聞郎馬嘶。

楊柳を折った柳の堤に、ここにはあの人が旅立つときに乗った馬のいなないたのに、今はなにもきこえないのです。
河傳
湖の上り,閑かに望む。
雨 蕭蕭として,煙める浦に花橋の路遙なり。
娘 翠蛾を謝するは愁い消さず,終に朝なり,夢魂は晚の潮に迷う。
蕩子は天涯にあり棹して歸るは遠く,春 已に晚く,鶯語 空しく腸斷す。
若耶溪,溪水の西。
柳の堤,郎の馬嘶くも聞えず。

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『河傳』 現代語訳と訳註
(本文)

湖上,閑望。
雨蕭蕭,煙浦花橋路遙。
謝娘翠蛾愁不消,終朝,夢魂迷晚潮。
蕩子天涯歸棹遠,春已晚,莺語空腸斷。
若耶溪,溪水西。
柳堤,不聞郎馬嘶。


(下し文)
湖の上り,閑かに望む。
雨 蕭蕭として,煙める浦に花橋の路遙なり。
娘 翠蛾を謝するは愁い消さず,終に朝なり,夢魂は晚の潮に迷う。
蕩子は天涯にあり棹して歸るは遠く,春 已に晚く,鶯語 空しく腸斷す。
若耶溪,溪水の西。
柳の堤,郎の馬嘶くも聞えず。


(現代語訳)
湖のほとりの樓閣から、静かに湖面を眺めている。
雨はしとしとと降り続いてる。雨靄のかかった入り江に、橋のほとりに花が雨に潤い鮮やかにさいている、その路はとおくはるかにかすんでいる。
嘗ては謝安に携えられた娘のようであったのに今は、みどりの蛾眉が消えかけても愁いは消えないでいるのです。宵の化粧もそのままについにあさになるのです、あの人は夜は夢のなか、昼は魂さえも雨靄に、夕ぐれになれば潮のあとを追って迷ってばかりなのでしょう。
空のはてに行ったまま、わたしのことも忘れてしまっている放蕩癖のあの人が、舟にのって帰ってくることはないのでしょうか。この長雨で春はもう過ぎて行こうとしています。鶯の鳴き声を聞くたびにただむなしい下腹はいたくなるだけなのです。
若耶渓にも女が居ます、西施が足を洗って見初められた渓川の西の方に。
楊柳を折った柳の堤に、ここにはあの人が旅立つときに乗った馬のいなないたのに、今はなにもきこえないのです。

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(訳注)
河傳

・双調五十五字、前段七旬同氏韻五平韻、後段七句三穴韻四平韻(詞譜十一)。


湖上,閑望。
湖のほとりの楼閣から、静かに湖面を眺めている。
・湖上 中盤に謝娘が出ることから、太湖あたりかもしれない。すると湖畔の樓閣であろう。


雨蕭蕭,煙浦花橋路遙。
雨はしとしとと降り続いてる。雨靄のかかった入り江に、橋のほとりに花が雨に潤い鮮やかにさいている、その路はとおくはるかにかすんでいる。
・湖、樓閣、浦、花、橋、道、すべてあの人との思い出の場所である。嘗てはあの人に携えられて遊んだところなのだ。

謝娘翠蛾愁不消,終朝,夢魂迷晚潮。
嘗ては謝安に携えられた娘のようであったのに今は、みどりの蛾眉が消えかけても愁いは消えないでいるのです。宵の化粧もそのままについにあさになるのです、あの人は夜は夢のなか、昼は魂さえも雨靄に、夕ぐれになれば潮のあとを追って迷ってばかりなのでしょう。
・謝女というのは晋の謝安が東山の彼を愛した故事から出たもの。過去女もそういう時期もあった。李白『送侄良攜二妓赴會稽戲有此贈』「攜妓東山去。 春光半道催。遙看若桃李。 雙入鏡中開。」
『更漏子 一』温庭筠  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-15-2-#1 花間集 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1676

・翠蛾 翠の蛾眉。
・終朝 宵の化粧(翠蛾)をして待っていても終に朝になってしまう。
・夢魂 夜は夢の中で迷い、昼は魂が雨靄に迷い、夕暮れは潮の波に迷うということ。


蕩子天涯歸棹遠,春已晚,鶯語空腸斷。
空のはてに行ったまま、わたしのことも忘れてしまっている放蕩癖のあの人が、舟にのって帰ってくることはないのでしょうか。この長雨で春はもう過ぎて行こうとしています。鶯の鳴き声を聞くたびにただむなしい下腹はいたくなるだけなのです。
・蕩子 放蕩の男子。いわゆる貴公子という場合もある。久しく他方に行ったまま、遊びつづけて帰ってこない人。古詩十九首 第ニ首「青青河畔艸、欝欝園中柳。盈盈楼上女、皎皎当窓牅。娥娥紅紛粧、繊繊出素手。昔為倡家女、今為蕩子婦。蕩子行不帰、空牀難独守。」とある。
古詩十九首之二 (2) 漢詩<89>Ⅱ李白に影響を与えた詩521 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1380



若耶溪,溪水西。
若耶渓にも女が居ます、西施が足を洗って見初められた渓川の西の方に。
若耶渓 今新江省紹興県南にある。西施が紗を浣ったところ。ここは素女を西施にたとえていう。西施ものがたり 参照

『採蓮曲』
若耶渓傍採蓮女、笑隔荷花共人語。
日照新粧水底明、風飄香袖空中挙。
岸上誰家遊冶郎、三三五五映垂楊。
紫騮嘶入落花去、見此踟蹰空断腸


李白10  採蓮曲


李白『越女詞 五首 其三』 
耶溪採蓮女,見客棹歌囘。
笑入荷花去,佯羞不出來。

越女詞 五首 其三 李白14-3


柳堤,不聞郎馬嘶。
楊柳を折った柳の堤に、ここにはあの人が旅立つときに乗った馬のいなないたのに、今はなにもきこえないのです。



温庭筠の同名の詞は以下の通り内容は連詞のようであるが、注釈は省略する。
河傳
江畔,相喚。曉妝鮮,仙景個女采蓮。
請君莫嚮那岸邊。少年,好花新滿船。
紅袖搖曳逐風暖(一作軟),垂玉腕,腸嚮柳絲斷。
浦南歸,浦北歸。莫知,晚來人已稀。


河傳
同伴,相喚。杏花稀,夢裏每愁依違。
仙客一去燕已飛。不歸,淚痕空滿衣。
天際雲鳥引晴(一作情)遠,春已晚,煙霭渡南苑。
雪梅香,柳帶長。小娘,轉令人意傷。