同じ日の紀頌之5つの漢文ブログ
Ⅰ.李白と李白に影響を与えた詩集
古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、曹植の詩
又贈丁儀王粲  曹植(曹子建)  魏詩<38-#2>文選 贈答二 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1928

Ⅱ.中唐詩・晩唐詩
 
唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
原道  韓愈 (韓退之) 9段目<115-16>Ⅱ中唐詩588 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1918 

Ⅲ.杜甫詩1000詩集
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 
●理想の地を求めて旅をする。"
散愁二首 之一 杜甫 成都(3部)浣花渓の草堂(3 -11)  杜甫 <399>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1930 杜甫詩1000-399-580/1500

Ⅳ.漢詩・唐詩・宋詞詩詩集
將適天臺,留別臨安李主簿 孟浩然 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞ブログ 1931 (02/15)

Ⅴ.晩唐五代詞詩・宋詞詩
 
森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”といわれているがこれに疑問を持ち異なる視点で解釈して行く
情書(書情寄李子安) 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-77-13-# 卷804_9 【情書(一作書情寄李子安)】魚玄機  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1932

 
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孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首

 




卷804_9 【情書(書情寄李子安)】魚玄機
情書(書情寄李子安) 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-77-13-#  卷804_9 【情書(一作書情寄李子安)】魚玄機  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1932


情書(書情寄李子安)
こころをこめて李子安さまへ書を寄せます
飲冰食檗誌無功,晉水壺關在夢中。
氷をのんでも、あんなに食べにくいキハダを食べても、情炎を消すことできないのです。夜ごとの夢のなかに、あなたとすごした晉水、壺關にいたころのことが毎夜あらわれるのです。
秦鏡欲分愁墮鵲,舜琴將弄怨飛鴻。
このままだと私だってカササギが落ちて愁いを分けた様「秦鏡」に映しだされてしまう操を守れないかもしれませんよ。また古代舜の時代からの琴を弾くと「南風」がおこり、飛べないわが身をとんでいきたいと思うばかり、大鳥が飛んでいくのを恨むばかりです。
井邊桐葉鳴秋雨,窗下銀燈暗曉風。
井戸のあたりに植えられている夫婦の象徴のあおぎりの葉が、秋雨に打たれて音をたてています。窓の近くにおいてある燭燈火でさえも、暁け方近くなると、夜明けの冷たい風に消えそうになってしまいます。
書信茫茫何處問,持竿盡日碧江空。

帰られるお約束はともかく私への書簡さえも春笠にまで注意してみていてもどこからもなにも言って来ませんね。鳥も、飛脚もだめで、魚書でというなら釣竿を以て日がな一日、青空が夕空に変わるまで釣り糸を垂れましょう。
情書、李子安に寄す
冰を飲むも檗【きにた】を食ふも志 功なし、晉水 壺關【こくかん】夢中に在り。
秦鏡【しんきょう】分たんと欲するも墮鵲【だじゃく】を愁ひ、舜琴【しゅんきん】弄【ろう】せんと將【す】るも飛鴻【ほこう】を怨む。
井邊【せいへん】の桐葉【とうよう】は 秋雨に鳴り、窗下【そうか】の銀燈【ぎんとう】は 暁風【ぎょうふう】に暗し。
書信【しょしん】 茫茫 何れの處にか問はん、竿を持つこと盡日【じんじつ】なるも 碧江【へきこう】空し。

女性詩人0053














『情書(書情寄李子安)』 現代語訳と訳註
(本文)
情書
飲冰食檗誌無功,晉水壺關在夢中。
秦鏡欲分愁墮鵲,舜琴將弄怨飛鴻。
井邊桐葉鳴秋雨,窗下銀燈暗曉風。
書信茫茫何處問,持竿盡日碧江空。


(下し文)
情書、李子安に寄す
冰を飲むも檗【きにた】を食ふも志 功なし、晉水 壺關【こくかん】夢中に在り。
秦鏡【しんきょう】分たんと欲するも墮鵲【だじゃく】を愁ひ、舜琴【しゅんきん】弄【ろう】せんと將【す】るも飛鴻【ほこう】を怨む。
井邊【せいへん】の桐葉【とうよう】は 秋雨に鳴り、窗下【そうか】の銀燈【ぎんとう】は 暁風【ぎょうふう】に暗し。
書信【しょしん】 茫茫 何れの處にか問はん、竿を持つこと盡日【じんじつ】なるも 碧江【へきこう】空し。

(現代語訳)
こころをこめて李子安さまへ書を寄せます
氷をのんでも、あんなに食べにくいキハダを食べても、情炎を消すことできないのです。夜ごとの夢のなかに、あなたとすごした晉水、壺關にいたころのことが毎夜あらわれるのです。
このままだと私だってカササギが落ちて愁いを分けた様「秦鏡」に映しだされてしまう操を守れないかもしれませんよ。また古代舜の時代からの琴を弾くと「南風」がおこり、飛べないわが身をとんでいきたいと思うばかり、大鳥が飛んでいくのを恨むばかりです。
井戸のあたりに植えられている夫婦の象徴のあおぎりの葉が、秋雨に打たれて音をたてています。窓の近くにおいてある燭燈火でさえも、暁け方近くなると、夜明けの冷たい風に消えそうになってしまいます。
帰られるお約束はともかく私への書簡さえも春笠にまで注意してみていてもどこからもなにも言って来ませんね。鳥も、飛脚もだめで、魚書でというなら釣竿を以て日がな一日、青空が夕空に変わるまで釣り糸を垂れましょう。


(訳注)
情書情書(書情寄李子安)

こころをこめて李子安さまへ書を寄せます
山西の澤州の夫の実家から、自分だけひと足さきに長安に戻ってきた彼女が、すぐ後を追って長安へもどるといった李億がなかなか歸ってこないので、いらいらして待ちわびているころの作。
第一句の.こときは情熱の女魚玄機らしく、あからさまにばっと自分の悶える心をぶっつけている。詩全般としてもよいできばえの一つ。

魚玄機2長安洛陽中原地図
飲冰食檗誌無功,晉水壺關在夢中。
氷をのんでも、あんなに食べにくいキハダを食べても、情炎を消すことできないのです。夜ごとの夢のなかに、あなたとすごした晉水、壺關にいたころのことが毎夜あらわれるのです。
・冰(こおり)
・檗 キハダ。黄檗(おうばく)のこと。1 (「黄柏」とも書く)キハダの別名。また、キハダの樹皮から作った染料、または生薬。漢方で内皮を健胃・収斂(しゅうれん)薬などに使用。熱をさげる効果がある。「木鶏」(中国の有名な机物に関する薫物) にも見えている。
・晉水 山西省を流れている河。末は黄河に合流するひ この地方に李子安がいるわけ。魚玄機も去年はそこにいた。魚玄桟の第一の澤州の旅。
・壺關(こかん) 壺關山のこと。山西省の長治牌の壷口山をいう。やはり李子安がいる地方をさす。


秦鏡欲分愁墮鵲,舜琴將弄怨飛鴻。
このままだと私だってカササギが落ちて愁いを分けた様「秦鏡」に映しだされてしまう操を守れないかもしれませんよ。また古代舜の時代からの琴を弾くと「南風」がおこり、飛べないわが身をとんでいきたいと思うばかり、大鳥が飛んでいくのを恨むばかりです。
・秦鏡欲分愁墮鵲 「西京雑記」に、秦の始皇が人間の腸や胃など五臓を照らし見ることのできる鏡をもっていて、女が邪心なおもいをいだくと、胆臓が張り心臓が動くのでわかったという。心の奥底を照らし見せる鏡の意。また「鵲鏡」ということばがあり、「神異経」に、昔、別居している夫婦があり、それぞれ鏡の半分を分けてもっていたが、ある時、妻の方がよその男と通じた。すると女のもっていた鏡が、鵲に化して夫のもとへ飛んでいった。それから鵲を鏡の裏面にうきぼりにするようになったという。呉均の「閏怨」 の詩に、「ねがはくは飛鵲の鏡となり翩々として別離を照さん」という句がある。魚玄機の詩のこの旬は、これらを踏まえて詠じたもの。
・舜琴將弄怨飛鴻 舜が五弦の琴を作り、「南風」の詩をうたったことが、「礼紀」という古典に見えている。「怨飛鴻」はあるいはそういう題の琴曲があるのではあるまいか。
・弄(ろう)は琴を弾くこと。


井邊桐葉鳴秋雨,窗下銀燈暗曉風。
井戸のあたりに植えられている夫婦の象徴のあおぎりの葉が、秋雨に打たれて音をたてています。窓の近くにおいてある燭燈火でさえも、暁け方近くなると、夜明けの冷たい風に消えそうになってしまいます。
井邊 梧桐はしばしは井戸のそばに絶えられる。夫婦の象徴で、仲の良い所に植え育つという。
・桐葉(とうよう)・秋雨(しゅぅぅ)・薗下(そうか)
・暁風(ぎようふう)どの語も帰る約束に対しそれを守らないことで男女の結びつきが上手くいかない時のものである。


書信茫茫何處問,持竿盡日碧江空。
帰られるお約束はともかく私への書簡さえも春笠にまで注意してみていてもどこからもなにも言って来ませんね。鳥も、飛脚もだめで、魚書でというなら釣竿を以て日がな一日、青空が夕空に変わるまで釣り糸を垂れましょう。
・書信 魚書・尺素・雙鯉・雙魚ともいう。
古詩十九首之第十七首
孟冬寒氣至,北風何慘栗。愁多知夜長,仰觀眾星列。三五明月滿,四五蟾兔缺。客從遠方來,遺我一書劄。上言長相思,下言久離別。置書懷袖中,三歲字不滅。一心抱區區,懼君不識察。
孟冬寒気至り、北風何ぞ慘栗たる。
愁多くして夜の表きを知り、仰いで衆星の列るを観る。
三五明月満ち、四五蟾兔【せんと】缺く。
客遠方より来り、我に一書札を遣る。
上には長く相思ふと言ひ、下には久しく離別すると言ふ。
書を懐袖【かいしゅう】の中に置き、三歳なるも字滅せず。
(現代語訳)
一心に區區を抱き、君の識察せざらんことを憤る。)
冬の初めというのに極寒の気がおとずれ来た、北風のなんとものすごくつめたいことであろうか。
愁いが鬱積して堪らないのに夜が長いのは身にしみるくるしさだ。見上げる空には多くの星かならんでいる。
月は三夜五夜と日々明るくなり、十五夜には満月になる、四夜五夜と蟾蜍に喰われ兔もいなくなり、二十日夜になると欠け月になる。
こうして辛い月日を過ごしたある日、遠方から訪ねて来た客が、わたしに一連の手紙を渡してくれた。
夫からの便りで、始めの方には「いつまでも忘れぬ」とあり、文末の方には「もうすこしこの別れが久しくなる」と書いてあった。
わたしはこの手紙を懐におさめて肌身離さず大切にし、三年たっても一字も消えてはいないのだ。
心のなかにひとつあるのは夫を思う女心のこまごまとした思い、それをあなたが察してくださらないのかと心配でたまらないのです。
古詩十九首之十七 漢の無名氏 (17) 漢詩<104>Ⅱ李白に影響を与えた詩539 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1434


・茫茫(ほうほう) はるかで見きわめがたいこと。ここではいくら待ち望んでも見られないの意。
・盡日一日中。
・碧江(へきこう) 青い水の流れる河。たんに河の意。


この詩を読むと恋しくてたまらないという内容ではないように思う。魚玄機の作詩能力が高く、過去の故事や、基になる詩があるというだけで、李億がどこまで理解してくれるのか確かめているようにしか思えない。魚玄機が李億に棄てられて嫉妬心でヒステリックな状態でいたという固定観念を捨てて客観的に解釈する必要があるのである。この固定観念により間違った解釈が横行している。ここではそういった解釈を一つ一つ訂正して行こうと思っている。