秋怨 魚玄機

2013年3月1日 同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩箜篌引 曹植 魏詩<50-#2>古詩源 巻五 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1998
●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
Ⅱ中唐詩・晩唐詩原性 韓愈(韓退之) <116-5>Ⅱ中唐詩603 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ1999
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
Ⅲ杜甫詩1000詩集漫成二首其一 杜甫 成都(4部)浣花渓の草堂(4 - 6)  杜甫 <411> 五言律詩 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2000 杜甫詩1000-411-594/1500
●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集萬山潭作 孟浩然 kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞ブログ 2001 (03/01)
●森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”といわれているがこれに疑問を持ち異なる視点で解釈して行く。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性秋怨 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-91-27-#  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2002
 
 ■今週の人気記事(漢詩の5ブログ各部門)
 ■主要詩人の一覧・詩目次・ブログindex
古詩十九首 (1) 漢詩 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67676781.html
安世房中歌十七首(1) 唐山夫人 漢詩 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67710265.html
為焦仲卿妻作 序 漢詩<143>古詩源 巻三 女性詩
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67729401.html
於凊河見輓船士新婚別妻一首 曹丕(魏文帝) 魏詩 http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67759129.html
朔風 (一章) 曹植 魏詩<25-#1>文選 雑詩 上  http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67780868.html
謝靈運詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/1901_shareiun000.html 謝靈運詩 六朝期の山水詩人。この人の詩は上品ですがすがしい男性的な深みのある詩である。後世に多大な影響を残している。
謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386ー
http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67474554.html
登池上樓 #1 謝霊運<25>#1  ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67502196.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩 盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。
李商隠詩
http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html 李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人
http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人 古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩
http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩
http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首  
 
 



秋怨 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-91-27-#   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2002

卷804_21 【秋怨】魚玄機


秋怨
(秋の長い夜を怨む)
自嘆多情是足愁,況當風月滿庭秋。
自分自身でも浮気っぽい気持ちを持っている。とても一人の男だけを考えいろいろ愁いているということが出来ない。なげかわしいことかもしれません。まして、風がそよぎ、満月が出ているこんな風流な雰囲気が庭中にいっぱいに広がっている秋の夜なのです。
洞房偏與更聲近,夜夜燈前欲白頭。

そんな夜なのにこの寝室で困った事と思いすごす。夜更けの時を告げる太鼓の音が聞こえてくる。もう夜明けが近くなったのでしょうか。それが毎夜毎夜部屋の燈火の前でこんな調子ではきっと若白髪になってしまいます。

自ら嘆ず多情は是れ足愁なるを、況や風月滞庭の秋に 當るをや。
洞房偏へに更聲と近し、夜夜燈前に白頭ならんとす。


58moon


『秋怨』 現代語訳と訳註
(本文)
秋怨
自嘆多情是足愁,況當風月滿庭秋。
洞房偏與更聲近,夜夜燈前欲白頭。


(下し文)
自ら嘆ず多情は是れ足愁なるを、況や風月滞庭の秋に 當るをや。
洞房偏へに更聲と近し、夜夜燈前に白頭ならんとす。


(現代語訳)
(秋の長い夜を怨む)
自分自身でも浮気っぽい気持ちを持っている。とても一人の男だけを考えいろいろ愁いているということが出来ない。なげかわしいことかもしれません。まして、風がそよぎ、満月が出ているこんな風流な雰囲気が庭中にいっぱいに広がっている秋の夜なのです。
そんな夜なのにこの寝室で困った事と思いすごす。夜更けの時を告げる太鼓の音が聞こえてくる。もう夜明けが近くなったのでしょうか。それが毎夜毎夜部屋の燈火の前でこんな調子ではきっと若白髪になってしまいます。

魚玄機が宮島に








(訳注)
秋怨

秋の長い夜を怨む
李白『秋思』『春思』、『静夜思』『玉階怨』『春怨』などに共通しているのは女性は一人の男性のことを思う。それは、戰に出て帰ってこない男、商売で旅に出て帰ってこない男、浮気者の男性が帰ってこない女性を男の目線から詠っているものである。あるいは女性の詩であれば一人の男しか相手にできないという前提があるのである。果たして当時の社会の男女の間の事がそれほど詩に取り上げられるということは逆に一般的に貞操感がないから、男の希望として、一人の男を思うという詩が成り立つのではなかろうか。
魚玄機は、自分自身多情であるといって嘆くのである。この表現は素晴らしく、こんな表現は中国歴史上魚玄機が初めてであろう。決して芸妓だから言えたわけではないのである。
ただ、この詩も大系15では李億に棄てられた魚玄機が一人で過ごす夜が耐えられないという偏った意味で解釈されているが、これは間違っている。魚玄機の詩のよい所をすべて否定した儒教的解釈は面白くない。


自嘆多情是足愁,況當風月滿庭秋。
自分自身でも浮気っぽい気持ちを持っている。とても一人の男だけを考えいろいろ愁いているということが出来ない。なげかわしいことかもしれません。まして、風がそよぎ、満月が出ているこんな風流な雰囲気が庭中にいっぱいに広がっている秋の夜なのです。
・多情 1 情が深くて、感じやすいこと。また、そのさま。「―な青年期」「―多感」 2 異性に対する心が移りやすいこと。また、そのさま。移り気。
・足愁 十分な愁い。限りないさびしさ。
・況(いわんや)まして。


洞房偏與更聲近,夜夜燈前欲白頭。
そんな夜なのにこの寝室で困った事と思いすごす。夜更けの時を告げる太鼓の音が聞こえてくる。もう夜明けが近くなったのでしょうか。それが毎夜毎夜部屋の燈火の前でこんな調子ではきっと若白髪になってしまいます。
・洞房 婦人のへや。女の寝室。
・偏(ひとえに) 不公平な意。やれやれこまったことに、の心をふくんだ副詞。
・更聾(こうせい) 更は、夜の間の時間を五つに区切ることばで、初更が八時、二更が十時、三更が十二時、四更が午前二時、五更が午前四時。そのたびにその時刻を知らせるため城樓で太鼓が打たれる。更声はしたがって鼓声でもある。すぐ近くでその大鼓が鳴る。いっそ聞こえなければよいものをという心が「偏」という字にふくまれている。
・欲 欲望の欲でなく、まさに何々せんとすの意。
・白頭 白髪の頭。憂いのために白髪がふえていく。