江行 二首 其二 魚玄機 

2013年3月3日 同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩鬥鷄 曹植 魏詩<51-#1>楽府 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2008
●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
Ⅱ中唐詩・晩唐詩原性 韓愈(韓退之) <116-7>Ⅱ中唐詩605 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2009
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
Ⅲ杜甫詩1000詩集春夜喜雨 杜甫 成都(4部)浣花渓の草堂(4 - 8)  杜甫 <413>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2010 杜甫詩1000-413-596/1500
●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集九日従宋公戯馬台集送孔令詩 謝霊運<2> kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞ブログ 2011 (03/03)
●森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”といわれているがこれに疑問を持ち異なる視点で解釈して行く。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性江行 二首 其二 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-93-29-#  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2012
 
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卷804_22 【江行】魚玄機

江行 二首
其一
大江橫抱武昌斜,鸚鵡洲前戶萬家。
大いなる長江の流れのむこうに、斜めに広がる武昌の町が見える。まるで長江が町をかかえこんでいる。そこに鸚鵡洲があり、家が万戸建っている。
畫舸春眠朝未足,夢為蝴蝶也尋花。
華やかな舟の旅はずっとのんびりしたもので、春の朝の今朝も、まだ眠りが足りない感じである。またうとうとするうちに荘周の「蝴蝶」のように、夢のなかで花から花へ、またも飛びまわったのである。

其二
煙花已入鸕鶿港,畫舸猶沿鸚鵡洲。
春がすみのなかを、すでに鸕鶿の港へきているようだ。私の乗った奇麗なお船は、依然として鸚鵡洲に沿って航行している。
醉臥醒吟都不覺,今朝驚在漢江頭。

船の旅の間中、酒に酔い、酔えば眠り、醒めれば詩を吟じる。それの繰り返し、何もかにも全く覚えていない。今朝も目をさますと、船はもう漢水の川口にいるので驚いたのです。


江行 二首 其一
大江 橫にして武昌を斜にするを抱く,鸚鵡 洲にして戶 萬家を前にす。
畫舸【がか】春眠 朝 未だ足らず,夢に蝴蝶と為りて 也た花を尋ぬ。

江行 二首 其二
煙花 已に入る 鸕鶿【ろじ】の港,畫舸 猶お沿う鸚鵡の洲。
醉臥 醒吟 都て覺らず,今朝 漢江の頭【ほとり】に在るを驚く。


『江行 二首 其二』 現代語訳と訳註
(本文)

煙花已入鸕鶿港,畫舸猶沿鸚鵡洲。
醉臥醒吟都不覺,今朝驚在漢江頭。


(下し文)
江行 二首 其二
煙花 已に入る 鸕鶿【ろじ】の港,畫舸 猶お沿う鸚鵡の洲。
醉臥 醒吟 都て覺らず,今朝 漢江の頭【ほとり】に在るを驚く。


(現代語訳)
春がすみのなかを、すでに鸕鶿の港へきているようだ。私の乗った奇麗なお船は、依然として鸚鵡洲に沿って航行している。
船の旅の間中、酒に酔い、酔えば眠り、醒めれば詩を吟じる。それの繰り返し、何もかにも全く覚えていない。今朝も目をさますと、船はもう漢水の川口にいるので驚いたのです。


(訳注)
江行 二首 其二
深江をくだり、揚子江との合流瓢につき、むこうに武昌のにぎやかな市街、こちらがわに鸚鵡洲を見て、舟中での作とされる。
洞庭湖鄂州02この詩も唐時代の地名と詩の雰囲気が合わないような気がする。唐の時代の武昌は現在の位置とは全く違うところにあり、長江の流れ、湿地帯、中州の様相が全く違うのである。魚玄機は漢江を下って武昌に着いたのであればどこへ行こうというのか。
この詩は魚玄機が想像で作ったものであるということであれば、客のお題に沿って詩を作ったということではなかろうか。魚玄機の詩に地名が出て來ると地図で確認するとどこかずれているのである。したがって、その地名で魚玄機の足跡は確かなものとはいえなし、判断を間違える。地図を参照されたい。大系15の解釈は魚玄機が漢江を下って長江(揚子江)との合流地点を詠ったものとしている。その根拠は武昌という地名で、地図ではi-6地点である。しかし、中国歴史地図六朝時代から隋、唐、宋まで丹念に確認したが、jk-5地点なのである。詩の雰囲気もいかにもお座敷で作られたように現実感のない詩であるのもうなずけるのではなかろうか。江行 二首についても、私には現実感が全くないとしか思えないのである。


煙花已入鸕鶿港,畫舸猶沿鸚鵡洲。
春がすみのなかを、すでに鸕鶿の港へきているようだ。私の乗った奇麗なお船は、依然として鸚鵡洲に沿って航行している。
・煙花(えんか) 花がすみ。春の景色。
・鸕鶿 鵜のとり。中國古代より鵜飼が行われていた様でその港ではなかろうか。この二句は対句を意識しているため想像で描く風景であろう。


醉臥醒吟都不覺,今朝驚在漢江頭。
船の旅の間中、酒に酔い、酔えば眠り、醒めれば詩を吟じる。それの繰り返し、何もかにも全く覚えていない。今朝も目をさますと、船はもう漢水の川口にいるので驚いたのです。
・漢江頭 かんこうのほとり) 漢江が長江に合流するところ。

魚玄機の詩は李白の『鸚鵡洲』を参考にしてお座敷で作られたものと考える方が妥当ではなかろうか。つまり、ここに魚玄機は旅行していないのである。
鸚鵡洲(李白 唐詩)
鸚鵡來過吳江水,江上洲傳鸚鵡名。
鸚鵡西飛隴山去,芳洲之樹何青青。
煙開蘭葉香風暖,岸夾桃花錦浪生。
遷客此時徒極目,長洲孤月向誰明。

この詩においては、森鴎外の判断の方が正しいものと思われる。