感懷寄人 魚玄機 

2013年3月9日 同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩怨歌行 曹植 魏詩<53-#1>古詩源 巻五 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2033
●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
Ⅱ中唐詩・晩唐詩原人 二段目 韓愈(韓退之) <117-2>Ⅱ中唐詩611 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2039
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
Ⅲ杜甫詩1000詩集題新津北橋樓得郊字 杜甫 成都(4部)浣花渓の草堂(4 - 14)  杜甫 <419>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2040 杜甫詩1000-419-602/1500
●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集述祖徳詩 二首(2)其一 謝霊運<8> kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞ブログ 2041 (03/09)
●森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”といわれているがこれに疑問を持ち異なる視点で解釈して行く。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性感懷寄人 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-99-35-#  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2042
 
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孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首

 


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卷804_28 【感懷寄人】魚玄機


感懷寄人
(心に思うところをある人によせる。)
恨寄朱弦上,含情意不任。
心のなかの満たされない思いをあなたに寄せます、赤いこと糸の音にそれをのせています。その思い焦がれる気持ちをこらえています、思いのままにすることはできないことでございます。
早知雲雨會,未起蕙蘭心。
わたしのこの思いはもうご承知のことで、確かに雲雨のような二人の出会いがしたいのです。香しい蘭の花のような心を未だに起こしては折りません。
灼灼桃兼李,無妨國士尋。
わたくし、若くてつやつやしているあの桃や李の花のように咲きはこっています。国士とも申すべきりっぱなお方をおたずねくださっても、妨げるものはありません。
蒼蒼松與桂,仍羨世人欽。
あなたさまは隆々とした松、青々としげる桂なお方と存じ上げています。あなた様を押し対することは世間の人もとても羨んでいます
月色苔階凈,歌聲竹院深。
あなたがお渡りになる苔むしたきざはしであっても塵ひとつないことは、月の光にきれいに照らされればわかります。また歌聲は竹の庭の奥深くにあるものです。
門前紅葉地,不掃待知音。

門の前には、紅葉が散りしいております。わざと掃いたりしないので、「知音」のおかたとしてお待ちしております。

(感懷 人に寄す)
恨は寄す 朱弦の上、情を含むも 意 任せず。
早に雲雨の會を 知るも、未だ蕙蘭の心を起さず。
灼灼たり 桃と李と、國士の尋ぬるに 妨ぐるなし。
蒼蒼たり 松と桂と、仍は 世人の欽するを羨む。
月色 苔階 凈く、歌聲 竹院 深し。
門前 紅葉の地、掃ずして知音を待つ。

魚玄機が宮島に
『感懷寄人』 現代語訳と訳註
(本文)

恨寄朱弦上,含情意不任。
早知雲雨會,未起蕙蘭心。
灼灼桃兼李,無妨國士尋。
蒼蒼松與桂,仍羨世人欽。
月色苔階凈,歌聲竹院深。
門前紅葉地,不掃待知音。


(下し文)
(感懷 人に寄す)
恨は寄す 朱弦の上、情を含むも 意 任せず。
早に雲雨の會を 知るも、未だ蕙蘭の心を起さず。
灼灼たり 桃と李と、國士の尋ぬるに 妨ぐるなし。
蒼蒼たり 松と桂と、仍は 世人の欽するを羨む。
月色 苔階 凈く、歌聲 竹院 深し。
門前 紅葉の地、掃ずして知音を待つ。


(現代語訳)
(心に思うところをある人によせる。)
心のなかの満たされない思いをあなたに寄せます、赤いこと糸の音にそれをのせています。その思い焦がれる気持ちをこらえています、思いのままにすることはできないことでございます。
わたしのこの思いはもうご承知のことで、確かに雲雨のような二人の出会いがしたいのです。香しい蘭の花のような心を未だに起こしては折りません。
わたくし、若くてつやつやしているあの桃や李の花のように咲きはこっています。国士とも申すべきりっぱなお方をおたずねくださっても、妨げるものはありません。
あなたさまは隆々とした松、青々としげる桂なお方と存じ上げています。あなた様を押し対することは世間の人もとても羨んでいます
あなたがお渡りになる苔むしたきざはしであっても塵ひとつないことは、月の光にきれいに照らされればわかります。また歌聲は竹の庭の奥深くにあるものです。
門の前には、紅葉が散りしいております。わざと掃いたりしないので、「知音」のおかたとしてお待ちしております。


(訳注)
感懷寄人
(心に思うところをある人によせる。)
森取外はこの詩をその小説「魚玄機」のなかで咸宜観での作として、新しい男である陳へ、彼女が心を動かして、この詩を贈るとしている。
「陳は翌日、詩を得て、直ちに威宜観に来た。魚玄機は人をしりぞけて引見し、僮僕に客を謝することを命じた。魚玄機の書斎からは只微かに低語の聾が聞えるのみであった。初夜を過ぎて陳は辞し去った。これからは陳は姓名を通ぜずに玄機の書斎に入ることになり、玄機は陳を迎へる度に客を謝することになった。」
と記している。
・感懐(かんかい) 心に思うところ。胸の思い。


恨寄朱弦上,含情意不任。
心のなかの満たされない思いをあなたに寄せます、赤いこと糸の音にそれをのせています。その思い焦がれる気持ちをこらえています、思いのままにすることはできないことでございます。
・恨 満たされない思い。心に満足しえないでいるありさま。
・朱弦 朱い琴いと。


早知雲雨會,未起蕙蘭心。
わたしのこの思いはもうご承知のことで、確かに雲雨のような二人の出会いがしたいのです。香しい蘭の花のような心を未だに起こしてはおりません。
・雲雨會 男女の交情。雲は男性、雨が宋玉「高唐の賦」にある巫山神女の故事によるもので、懷王と交わった後、神女が「暮には行雨とならん」とどんな時でも一緒にいるといった意味を持つ雨である。
・蕙蘭 ともにかおり草。美人をさす。略に自己の巽しい恋心をいったものか。


灼灼桃兼李,無妨國士尋。
わたくし、若くてつやつやしているあの桃や李の花のように咲きはこっています。国士とも申すべきりっぱなお方をおたずねくださっても、妨げるものはありません。
・灼灼 桃の木の若くてつやつやしているさま。「詩経」の周南桃夭に、「灼々たりその華」の句がある。桃李の花をたとえたもの。曹植『雜詩六首 其四』「南國有佳人,容華若桃李。」南国に佳人有り、容華は桃李の若し。南の国には美しい人がいる。容貌の華やかなことは、桃や李の花のようである。

雜詩六首其四 曹植 魏詩<21>古詩源 巻三 女性詩647 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1805

 

蒼蒼松與桂,仍羨世人欽。
あなたさまは隆々とした松、青々としげる桂なお方と存じ上げています。あなた様を押し対することは世間の人もとても羨んでいます。
・蒼蒼(そうそう) 線の色をみせていきいきと生きている。
・松輿桂 ともにりっはな男性をたとえたもの。
○欽 うやまう。つつしむ。李白の「下邦杷橋に張子房を懐ふ」詩に、「我來圯橋上、懷古欽英風。」(我 圯橋(いきょう)の上に來り、古(いにしえ)を懐うて、英風を欽(しと)う。)經下邳圯橋懷張子房 #1 李白 Kanbuniinkai紀頌之の漢詩李白特集350 -272


月色苔階凈,歌聲竹院深。
あなたがお渡りになる苔むしたきざはしであっても塵ひとつないことは、月の光にきれいに照らされればわかります。また歌聲は竹の庭の奥深くにあるものです。
・ここは奥の書斎で接待するということ、そこには誰も近づかないということを云う。


門前紅葉地,不掃待知音。
門の前には、紅葉が散りしいております。わざと掃いたりしないので、「知音」のおかたとしてお待ちしております。
・紅葉(こうよう) かえでの葉とはかぎらない。あかくなった木の葉。出入りの様子が残るようなことをしないというほどの意味。
魚玄機550034・知音 自分の心を知るしたしい友人。○知音 知己。自分の琴の演奏の良さを理解していくれる親友のこと。伯牙は琴を能くしたが、鍾子期はその琴の音によって、伯牙の心を見抜いたという。転じて自分を理解してくれる知人。
『列子、湯問』「伯牙善鼓琴。鐘子期善聽。伯牙鼓琴。志在登高山。鐘子期曰。善哉。巍巍兮若泰山。志在流水。鍾子期曰。善哉。洋洋兮若江河。伯牙所念。鐘子期必得之。伯牙游於泰山之陰。卒逢暴雨。止於巖下心悲。乃援琴而鼓之。初為霖雨之操。更造崩山之音。曲毎奏。鐘子期輒窮其趣。伯牙乃舍琴而嘆曰。善哉善哉。子之聽。夫志想象。猶吾心也。吾於何逃聲哉。」 
(下し文)
伯牙善く琴を鼓し、鍾子期善く聴く。
伯牙琴を鼓し、志泰山登るに在り、鍾子期曰く、善い哉、巍巍兮として泰山の若し、と。
志流水に在らば、鍾子期曰く、 善い哉、琴を鼓する、洋洋兮として江河の若し、と。
伯牙の念ふ所、鐘子期必ず之を得。
伯牙、泰山の陰に遊び、卒に暴雨に逢ふ。
巖下に止まりて心悲しみ、乃ち琴を援りて之を鼓す。
初め「霖雨の操」を為し、更に「崩山の音」を造す。
曲奏する毎に、鐘子期輒ち其の趣きを窮む。
伯牙乃ち琴を舎きて嘆じて曰く、善い哉、善い哉、子の聴く。
夫れ志を想像する、猶ほ吾が心のごときなり。
吾れ何に於いて声を逃れんや、と。