期友人阻雨不至 魚玄機

森鴎外の小説 下女を殺してしまった『魚玄機』の詩 晩唐期 魚玄機の作品を従来とは違った視点で訳註解説する。

2013年3月10日 同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩美女篇 曹植 魏詩<54-#1>古詩源 巻五 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2043
●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
Ⅱ中唐詩・晩唐詩原人 韓愈(韓退之) <117-3>Ⅱ中唐詩612 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2044
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
Ⅲ杜甫詩1000詩集暮登四安寺鐘樓寄裴十迪 杜甫 成都(4部)浣花渓の草堂(4- 15) 杜甫 <420> 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2045 杜甫詩1000-420-603/1500
●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集述祖徳詩 二首(3)其二 謝霊運<9> kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞ブログ 2046 (03/10)
●森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”といわれているがこれに疑問を持ち異なる視点で解釈して行く。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性期友人阻雨不至 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-100-36  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2047
 
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謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
登永嘉緑嶂山詩 #1 謝霊運 <20> 詩集 386ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67474554.html
登池上樓 #1 謝霊運<25>#1  ー http://blog.livedoor.jp/kanbuniinkai10/archives/67502196.html
孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩 盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
女性詩人 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/0josei00index.html 女性詩人 古代から近世に至るまで女性の詩は書くことを許されない環境にあった。貴族の子女、芸妓だけである。残されている詩のほとんどは詞、楽府の優雅、雅なものへの媚の詞である。しかしその中に針のような痛みを感じさせるものがあるのである。
孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首

 


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卷804_29 【期友人阻雨不至】魚玄機


期友人阻雨不至
(逢うことを約束していた友人が長雨に阻まれてくることが出来ないのでこの詩を作る)
雁魚空有信,雞黍恨無期。
お勤め先からの訪ねてくるという空しい便りがあったが、論語の教え通りに「鷄黍之款」と御馳走を用意す予定も不満足なものです。
閉戶方籠月,褰簾已散絲。
窓を閉めているけれど薄雲からさす月明かりが窓に映る。窓の簾をまきあげると、長雨のために、簾のとじ絲が切れて、ばらばらにこわれそうになってしまっている。
近泉鳴砌畔,遠浪漲江湄。
又雨が降り出して部屋の近くにある池のほとりの敷石の雨音がしている。この分では大江の水嵩も高くなり遠くから波が押し寄せているのでしょう。(これではこれなかったのしかたがない)
鄉思悲秋客,愁吟五字詩。
あの友人もこちらに帰ってこれないことできっと旅の空で「悲愁」のことでしょう。そんな「悲愁」にはこうして五言詩を贈るので吟じてください。

友人と期せしも、雨に阻まれて至らず
雁魚空しく信有り、鷄黍 恨むらくは 期無し。
戸を閉づれば 方に月を寵め、簾を褰ぐれは己に絲を散ず。
近泉 砌畔【せいはん】に鳴り、遠浪江湄【こうび】に漲る。
鄉思う悲秋の客、愁吟せよ五字の詩。


李清照0055












『期友人阻雨不至』 現代語訳と訳註
(本文)
期友人阻雨不至
雁魚空有信,雞黍恨無期。
閉戶方籠月,褰簾已散絲。
近泉鳴砌畔,遠浪漲江湄。
鄉思悲秋客,愁吟五字詩。


(下し文)
友人と期せしも、雨に阻まれて至らず
雁魚空しく信有り、鷄黍 恨むらくは 期無し。
戸を閉づれば 方に月を寵め、簾を褰ぐれは己に絲を散ず。
近泉 砌畔【せいはん】に鳴り、遠浪江湄【こうび】に漲る。
鄉思う悲秋の客、愁吟せよ五字の詩。


(現代語訳)
(逢うことを約束していた友人が長雨に阻まれてくることが出来ないのでこの詩を作る)
お勤め先からの訪ねてくるという空しい便りがあったが、論語の教え通りに「鷄黍之款」と御馳走を用意す予定も不満足なものです。
窓を閉めているけれど薄雲からさす月明かりが窓に映る。窓の簾をまきあげると、長雨のために、簾のとじ絲が切れて、ばらばらにこわれそうになってしまっている。
又雨が降り出して部屋の近くにある池のほとりの敷石の雨音がしている。この分では大江の水嵩も高くなり遠くから波が押し寄せているのでしょう。(これではこれなかったのしかたがない)
あの友人もこちらに帰ってこれないことできっと旅の空で「悲愁」のことでしょう。そんな「悲愁」にはこうして五言詩を贈るので吟じてください。


(訳注)
期友人阻雨不至

逢うことを約束していた友人が長雨に阻まれてくることが出来ないのでこの詩を作る
道女であること。半隠遁していること。訪ねて遭わず。これらは多くの詩人が詠ってきたことである。魚玄機もその心境で作ったものであろう。


雁魚空有信,雞黍恨無期。
お勤め先からの訪ねてくるという空しい便りがあったが、論語の教え通りに「鷄黍之款」と御馳走を用意す予定も不満足なものです。
・友人 花街の友人であるから、懇意なお客、楽しみで期待できるひとということであろうか。
・阻 ははまる。さえぎられる。じゃまされる。
・雁魚 雁足、魚尺ともいう。手紙のこと。
・難黍(けいし上) にわとりのあつものと、きびのめし。人をもてなすことをいう。「論語」の微子篇に、「殺鷄為黍而食之」(鷄を殺し黍を為りて、これを食ふ)の句があり、馳走をこしらえて人を迎えることを、「鷄黍之款」という。
・期 約束した日。


閉戶方籠月,褰簾已散絲。
窓を閉めているけれど薄雲からさす月明かりが窓に映る。窓の簾をまきあげると、長雨のために、簾のとじ絲が切れて、ばらばらにこわれそうになってしまっている。
・方 四角の小窓
・籠月 うす虞後に隠れた月で時折りあらわれる。籠の中の月。妓女の魚玄機らしい表現だ。
・褰簾 納めている簾。


近泉鳴砌畔,遠浪漲江湄。
又雨が降り出して部屋の近くにある池のほとりの敷石の雨音がしている。この分では大江の水嵩も高くなり遠くから波が押し寄せているのでしょう。(これではこれなかったのしかたがない)
・近泉 近くの池。
・砌畔 みぎり【砌】とは。意味や解説。《「水限(みぎり)」の意で、雨滴の落ちるきわ、また、そこを 限るところからという》1 時節。おり。ころ。
・遠浪 遠くに見える水な禿
・江湄 江は大江。湄は、みぎわ。水際。


鄉思悲秋客,愁吟五字詩。
あの友人もこちらに帰ってこれないことできっと旅の空で「悲愁」のことでしょう。そんな「悲愁」にはこうして五言詩を贈るので吟じてください。
・郷思 友人が故郷を思うこと。自分のことを思っていること。
・悲秋客 友人が旅人として悲愁のを感じている。
・愁吟 さびしく詩歌を口ずさむこと。この詩を贈る相手に吟じてくれるように思いを送る。
中国人は自分がこう思うということよりも相手が自分のことをどう思うかでなく、こんな風に思っているという言い方をする。「鄉思」「悲秋」「客」は友人の事である。