送別 魚玄機
花街の女の別れを詠うもの。李白の『憶秦娥』の雰囲気にもとづき、李商隠『嫦娥』などと張り合う気持ちで作ったものであろう。この時代には長安の人々は詩人の句を吟じて別れたもので誰にでもあることを題材にしたものである。


2013年3月24日 同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩
Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩薤露行 曹植 魏<58-#1> 女性詩713 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2113
●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
Ⅱ中唐詩・晩唐詩原毀 韓愈(韓退之) <119-#9>Ⅱ中唐詩626 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2114
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
Ⅲ杜甫詩1000詩集晩晴 杜甫 <434>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2115 杜甫詩1000-434-617/1500
●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集過瞿渓山飯僧 謝霊運<23> kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞ブログ 2116 (03/24)
●森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”といわれているがこれに疑問を持ち異なる視点で解釈して行く。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性送別 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-114-49-#  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2117
 
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謝靈運が傲慢で磊落だったというが彼の詩からはそれを感じさせるということは微塵もない。謝靈運、謝朓、孟浩然は好きな詩人である。
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孟浩然の詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/209mokonen01.html 孟浩然の詩 盛唐初期の詩人であるが謝霊運の詩に傾倒して山水詩人としてとてもきれいな詩を書いている。特に山水画のような病者の中で細やかな部分に動態を感じさせる表現力は素晴らしい。

李商隠詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/3991_rishoin000.html
李商隠詩 華やかな時はほんの1年余り、残りは不遇であった。それが独特な詩を生み出した。この詩人の詩は物語であり、詩を単発で見ては面白くなく、数編から十数編のシリーズになっているのでそれを尊重して読まれることを進める。
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孟郊詩 http://www10.plala.or.jp/kanbuniinkai/328_moukou001.html 「文章得其微,物象由我裁。」詩人が作り出す文章は細やかなる描写表現を得ているものだ、万物の事象をも作り出すことさえも詩人自身の裁量でもってするのである。
李商隠詩 http://kanbuniinkai7.dousetsu.com/99_rishoinn150.html Ⅰ李商隠150首

 
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卷804_42 【送別】魚玄機

送別
(どんな人にも別れはある)
秦樓幾夜愜心期,不料仙郎有別離。
長安の高殿には秦の弄玉と蕭史との故事のように幾度もかさねた男と女がまた約束を重ねている。そのように過ごしていても仙人になって昇天していくものでいつ川別離というものはあるものです。
睡覺莫言雲去處,殘燈一盞野蛾飛。

いつものように寝ざめてみると雲の向こうに去って行ったなんて言うものではないでしょう。昨日の燭蝋の明かりが残り、別れのもう一杯ということはするもので、それをしないままに行くことは、野暮な蛾が野原に飛んでいくということなのです。

秦樓 幾夜か 愜心の期、料らざりき 仙郎 別離有らんとは。
睡覺して 言ふこと莫かれ 雲去りし處を、残燈 一盞【いっさん】 野蛾 飛ぶ。


oborotsuki04『送別』 現代語訳と訳註
(本文)

秦樓幾夜愜心期,不料仙郎有別離。
睡覺莫言雲去處,殘燈一盞野蛾飛。


(下し文)
秦樓 幾夜か 愜心の期、料らざりき 仙郎 別離有らんとは。
睡覺して 言ふこと莫かれ 雲去りし處を、残燈 一盞【いっさん】 野蛾 飛ぶ。


(現代語訳)
(どんな人にも別れはある)
長安の高殿には秦の弄玉と蕭史との故事のように幾度もかさねた男と女がまた約束を重ねている。そのように過ごしていても仙人になって昇天していくものでいつ川別離というものはあるものです。
いつものように寝ざめてみると雲の向こうに去って行ったなんて言うものではないでしょう。昨日の燭蝋の明かりが残り、別れのもう一杯ということはするもので、それをしないままに行くことは、野暮な蛾が野原に飛んでいくということなのです。


(訳注)
送別

(どんな人にも別れはある)
花街の女の別れを詠うもの。李白の『憶秦娥』の雰囲気にもとづき、李商隠『嫦娥』などと張り合う気持ちで作ったものであろう。この時代には長安の人々は詩人の句を吟じて別れたもので誰にでもあることを題材にしたものである。

李白『憶秦娥』
簫声咽簫声咽(むせ)び
秦娥夢断秦楼月秦娥夢は断ゆ 秦楼の月
秦楼月秦楼の月
年年柳色年年の柳色
㶚陵傷別㶚陵に別れを傷む
楽遊原上清秋節楽遊原上 清秋の節
咸陽古道音塵絶咸陽の古道 音塵絶ゆ
音塵絶音塵絶ゆ
西風残照西風 残照
漢家陵闕漢家の陵闕(りょうけつ)

秦樓幾夜愜心期,不料仙郎有別離。
長安の高殿には秦の弄玉と蕭史との故事のように幾度もかさねた男と女がまた約束を重ねている。そのように過ごしていても仙人になって昇天していくものでいつ川別離というものはあるものです。
・秦樓 秦の穆公のむすめの弄玉と蕭史との故事。蕭史は周の宣王の史官であったが、蕭の名手でもあった。秦の穆公がむすめの弄玉をこれにめあわせた。蕭史は弄玉に鳳の鳴く音を吹くことを教えたが、数年たつと、鳳がその昔にひかれてくるようになった。公は鳳台を築いてったが、後に蕭史は竜に乗り、弄玉は鳳に乗って天上にのぼっていったという伝説がある。
・愜心 飽き足りる。満足する。こころよい。したがう。



睡覺莫言雲去處,殘燈一盞野蛾飛。
いつものように寝ざめてみると雲の向こうに去って行ったなんて言うものではないでしょう。昨日の燭蝋の明かりが残り、別れのもう一杯ということはするもので、それをしないままに行くことは、野暮な蛾が野原に飛んでいくということなのです。
・仙郎 仙人の若者。ここは蒲史が雲に乗って天上に昇っていった。浮気心の男をいう。
・一盞【いっさん】 1 一つのさかずき。2 1杯の酒や水。また、それを飲むこと。「―を傾ける」「―の水」
魚玄機55021