光・威・裒、姉妹三人の『七言聯句』と魚玄機『光・威・裒、姉妹三人・・・・・因次其韻。』

2013年4月6日

 同じ日の紀頌之5つのブログ
●古代中国の結婚感、女性感,不遇な生き方を詠う 三国時代の三曹の一人、三国時代の「詩神」である曹植の詩

Ⅰ李白と李白に影響を与えた詩
浮萍篇 曹植 魏詩<63-#2> 女性詩726 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2178

Ⅱ中唐詩・晩唐詩
●唐を代表する中唐の韓愈の儒家としての考えのよくわかる代表作の一つ
九辯 第四段-#2 宋玉 <00-#10回目>Ⅱもっとも影響を与えた詩文 639 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2179

Ⅲ杜甫詩1000詩集
●杜甫の全作品1141首を取り上げて訳注解説 ●理想の地を求めて旅をする。"
絶句漫興九首 其四 成都浣花渓 杜甫 <448>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2185 杜甫詩1000-448-631/1500

Ⅳブログ漢・唐・宋詞詩集
●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
南樓中望所遅客 謝霊運<36> kanbuniinkai 紀 頌之の詩詞ブログ 2181 (04/06)

Ⅴ.唐五代詞詩・宋詞詩・女性

●森鴎外の小説 ”激しい嫉妬・焦燥に下女を殺してしまった『魚玄機』”といわれているがこれに疑問を持ち異なる視点で解釈して行く。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩

光・威・裒、姉妹三人の『七言聯句』と魚玄機『光・威・裒、姉妹三人・・・・・因次其韻。』 魚玄機  ⅩⅫ唐五代詞・宋詩Gs-127--#9  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2182


■今週の人気記事(漢詩の5ブログ各部門)




光・威・裒、姉妹三人、
聯句を詠っている姉妹三人、光・威・裒のことである。
小孤、而始姸乃有是作。
小さいころに父親と死別した。(十分に教育してくれる人もなかったであろうと思われるのに)しかも初めから美人であり、美しい詩を作る。すなわち、こんなに立派な詩を作っている。
精醉儔難。謝家聯雪何以加之。
まことにりっぱな作品で、これに匹敵するような作品は、見出せないようなりっぱなものである。昔、晋の謝安の家で集まりがあったときに、たまたま降ってきた雪に封して、娘の道韞がそれを詩に詠んで、風にふかれて飛んでいる柳のわたのようだといい、いまだに語り草としてもてはやされているが、それさえもこの作以上とは思われない。
有客自京師来者示予。因次其韻。
都の長安からやってきた旅の人が、こちらにきて、わたくしに見せてくれた。感心のあまり、次韻して、この詩を作ってみた。
(光・威・哀三姉妹は、小くして孤、而も始めて姸、乃ち是の作あり。精醉儔し難し。謝家の聯雪と雖も、何を以てか之に加へん。客の京師より來る者あり、予に示す。困って其の韻に次す。)


#1
昔聞南國容華少,今日東鄰姊妹三。
客の話にでた三人の姉妹は、南方の生まれだという、南方に美人はすくないと聞いていたが、まちがいで、今、現に都のわたしの住んでいたすぐ近くに、こんな美しい三人の姉妹があろうとは。
妝閣相看鸚鵡賦,碧窗應繡鳳凰衫。
三姉妹は、化粧部屋で、「鸚鵡の賦」を見せあったりしているというし、東側の窓べで着物に鳳凰の模様を刺繍したりしているという。
紅芳滿院參差折,綠醑盈杯次第銜。
また一面に赤い花の咲き、芳しい風が中庭にただよい、そこで、三人は、長い花あるいは花を短く手折ったりしている、新酒のうまい清酒を、杯についでは、姉妹仲よく、順々に飲んでいることであろう。
恐向瑤池曾作女,謫來塵世未為男。

こんな聯句の詩を作った彼女たちは、きっと仙宮瑤池で西王母に仕えていた仙女で何かの罪によったのでしょう。今の下界に謫されてきたもので、男に生まれかわってりっはな詩人になってもよかったものを、女にさせられたものでしょう
#2
文姬有貌終堪比,西子無言我更慚。
漢末の蔡文姫(蔡琰)は、美人のうえに風流人で琴の腕前と詩にもたけていたてから、美人であり詩才のある今日の三人姉妹が比較されても、それに堪えうるほどのものであるが、同じ美人でも貧しい薪売りの娘で詩才のなく残していなかった西施とくらべられたら、比べる人がかえってそのことを羞じなければいけないでしょう。
一曲艷歌琴杳杳,四弦輕撥語喃喃。
蔡琰と三姉妹が、琴に合わせて、もし艶っぼく歌うと、琴の音は、奥ゆかしいようようと余韻をただよわせるでしょう。それがもし、琵琶をひいて歌ったのなら、その歌聾は、軽いばちさばきにのせて、賞賛した声はなんなんとどこまでもささやかれてゆくでしょう。
當臺競鬥青絲發,對月爭誇白玉簪。
鏡台の前に坐っていたら、三人がそれぞれみどりの黒髪の美しきをきそいあうでしょう。月の射しかかる下では、顔の白さ、輝きと髪にさした白玉のこうがいの美しさを自慢しあっていることでしょう。
小有洞中松露滴,大羅天上柳煙含。
彼女たち三人は謫仙女であるから、きっと松から露のしたたる清浄なあの小有洞へ掃ってゆくのであり、そこから柳と雲かすみにのりかかり、大羅天の天上仙界へ、やがては昇天してゆくことでしょう。
#3
但能為雨心長在,不怕吹簫事未諳。
だが、昔、巫山の神女の故事のように、雲と雨となったというし、彼女たちも謫仙女であってもこの世界で育った女であるから、そのように男とちぎる心の下地は、ちゃんともっているはず。だから今は弄玉のように簫を吹く故事にあるほどではないかもしれないので、それを心配する必要はないのでしょう。
阿母幾嗔花下語,潘郎曾向夢中參。
いや、もうすでに、よい愛人と、花の下で憩をささやいて、何度も阿母さんから叱られたこともあるでしょうし、夢の中では、美男子の潘岳のような詩才もある男が、きっと彼女たちのところへ通ってきていることでしょう。
暫持清句魂猶斷,若睹紅顏死亦甘。
そんな男たちは、彼女の清らかな詞句を讀むだけで、魂だけでなく下腹にも恋する思いがしたことでしょうから、それがもし実際に彼女たちの麗しき紅顏を見たならば、それこそ死んでもよいと思うにちがいないことでしょう。
悵望佳人何處在,行雲歸北又歸南。
それにしても、この美人の三姉妹を遠くから悲しく眺めているのはどこにどんな男がいるのでしょうか、行く雲のように男は女と交際していても、北へ帰る雁のように妻のもとに帰るものだけれど、聯句に「看見風光零落盡,弦聲猶逐望江南。」とあり、彼女たちは故郷の江南に帰ろうとするのでしょうか。

昔聞く南国には 容華 少なりと、今日東隣に 姉妹三たりあり。
妝閣相看る 鸚鵡の賦、碧窗応に繍すべし 鳳凰の衫。
紅芳 院に滞つれば 参差として折り、綠醑 杯に盈つれば 次第に銜む。
恐らくは 瑤池に向って曾つて女となり、謫せられて塵世に来って 未だ男と爲らざりしならん。


文姬には貌有り 終に比べるに堪ゆ,西子は言無く我更に慚づ。
一曲 艷歌 琴 杳杳【ようよう】,四弦 輕撥 語喃喃【なんなん】。
臺に當り競鬥して青絲の發,月に對し爭誇して白玉の簪。
小有 洞中 松露 滴り,大羅 天上 柳煙 含む。


但だ能く 雨と為る 心は 長へに在り、怕れず 簫を吹く 事 未だ諳んぜざるを。
阿母 幾たびか 花下に語るを 嗔り、潘郎 曾て 夢中に向って 参ず。
暫時の清句にも、魂 猶は断ゆ、若し 紅顔を睹なは 死もまた甘んぜん。
悵望す 佳人 何れの處にか 在る、行雲は 北に歸り 叉 南に歸る。

菜の花001














「全唐詩」巻801 光・威・裒、姉妹三人の『七言聯句』


聯句 光威裒
朱樓影直日當午,玉樹陰低月已三【:光。】。
南の方向の朱く塗られた高楼に正午の太陽がさしかかり、影は真下に落ちている。夜になって月明かりにきらめく大樹が落す月影も低いと思ったら真夜中の三更で月が一番高い所にある。
膩粉暗銷銀鏤合,錯刀閒翦泥金衫【:威。】。
あぶら口紅と白粉が夜も更けてとれて消えそうでも懸想道具入れの箱の吟の模様は輝いている。こんな暗い時に鋏を以て裁断しようものなら泥金衫の着物にはさみを入れかねない。
繡牀怕引烏龍吠,錦字愁教青鳥銜【:裒。】。
刺繍で飾られた寝台では怖いことが起こっていると思ったら、烏龍が吠えている(エクスタシーの声を指す)。きっと満たされない思いを錦の布に書きしるし西王母の使いの青い鳥に託して呼ぶことが出来たせいでしょう。

百味鍊來憐益母,千花開處鬥宜男【:光。】。
これでは百薬草を練り込んで持ってきてこどもをうんだあとにひつような益母草を用意することを可愛そうに思う。千にも及び花が咲くところに宴を開いたら宜男草を身に着けて春の行楽を闘いあうことになる。
bijo02鴛鴦有伴誰能羨,鸚鵡無言我自慚【:威。】。
そんなことから始まった鴛鴦のように常に一緒になっている誰からも羨ましがられる。それかと思うと、人の言葉を言い返す鸚鵡が一言も語れないそんなお付き合いをしているなんて私自身が恥ずかしいと思うことである。
浪喜游蜂飛撲撲,佯驚孤燕語喃喃【:裒。】。
春の行楽であの殿方は蜂が花から花へとブンブンとびまわるように変にはしゃいでいる。男女の偽りの付き合いに驚愕しているツバメのようにペチャクチャと語り合うのである

偏憐愛數蛓蛦掌,每憶光抽玳瑁簪【:光。】。
変わったものを可愛がることには毛虫のようなもの、かたつむりのようなものを飼ってそれを増やしていくのを愉しんでいるのです。そんな風に女をあつかう男がいるかと思えば、毎日鼈甲のかんざしを磨いて光らせるように女を扱う男もいます。
煙洞幾年悲尚在,星橋一夕帳空含【:威。】。
この仙人が澄んでいる女の園に何年も何年も女が棄てられる悲しみがあるし、一年に一度だけ橋をわたってくるような一夜のとばりの中の空しい出会いもあるというもの。
窗前時節羞虛擲,世上風流笑苦諳【:裒。】。
女のその部屋の寝台の窓辺にはそんな悲しみで時を過ごし時には空しさで自分を投げ出すことも愧じるのです。世の中の色恋についてこうして苦しいことを詩にそらんじてはにが笑いをするのです。

獨結香綃偷餉送,暗垂檀袖學通參【:光。】。
ひとり江南の薄絹をはおることで江南の雰囲気にひたるのです。そして部屋を暗くして檀香をたきこめた袖着物を垂らしたりして男の人が通ってくるようにするのです。
須知化石心難定,卻是為雲分易甘【:威。】。
どうにかして誰かを夫としてえらぶことが出来るように心を落ち着けることを知るようになってきました。したがってこれによって冷静に男とわかれてしまうこと別な男と甘い関係になるのです。
看見風光零落盡,弦聲猶逐望江南【:裒。】。
風流な景色を見て過ごし、霜の降り頃には葉をおとし尽くすのをこの身において歌にするのです。今なお琴を弾いて「江南を望む」を追いかけて歌うのです。



朱樓の影直にして日當午なり,玉樹の陰 低くくして月已に三つ。[:光。]
膩粉【じふん】暗に銷して銀鏤の合,錯刀【さくとう】閒に翦りて泥金の衫【さん】[:威。]
繡床【しゅうしょう】怕引して烏龍の吠,錦字【きんじ】愁教して青鳥の銜[:裒。]
  
百味【ひゃくみ】鍊來【れんらい】して益母【えきぼ】を憐れみ,千花【せんか】開處【かいしょ】して宜男【ぎなん】を鬥う。 [:光。]
鴛鴦【えんおう】伴有り誰が能く羨まん,鸚鵡【おうむ】言無くも 我自ら慚ず。[:威。]
浪【みだ】りに喜び游蜂【ゆうほう】飛びて撲撲たるを,佯【いつわ】りに驚く孤燕【こえん】語りて喃喃【なんなん】たるを。[:裒。]
  
偏【ひとえ】に憐みて愛しみを數え 蛦【じい】の掌【しょう】,每【つね】に憶いて光【かがや】かしさを抽【ぬ】く玳瑁【たいまい】の簪【しん】。[:光。]
煙洞【えんどう】幾年【いくねん】悲しみ尚お在り,星橋【せいきょう】一夕【いつせき】帳 空しく含む。[:威。]
窗前【そうぜん】の時節【じせつ】虛しく擲【なげうつ】を羞じ,世上【せじょう】の風流苦【はなは】だ諳【そらん】ずるを笑む。[:裒。]
  
獨り香綃【こうしょう】を結んで餉送【しょうそう】【ぬす】み,暗に檀袖【だんしゅう】を垂れて通參【つうさん】を學ぶ。[:光。]
須く知るべし 石に化するも心定めき難を,卻って是れ雲と為し 分 甘んじ易すし。[:威。]
看するは 風光 零落 盡するを見,弦するは 猶お逐う 「江南を望む」を聲す。[:裒。]