薛濤 蟬  唐五代詞・宋詩
夕立で樹々が洗われ、水滴がポクボタと落ちる、蝉の声がする中その音はすがすがしい風の中に次第に遠ざかりしなくなる。かぜがそよいで葉が擦れ合い音が蝉の鳴き声とだぶって聞こえてくる。

2013年4月20日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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●これまで分割して掲載した詩を一括して掲載・改訂掲載・特集  不遇であった詩人だがきめの細やかな山水詩をかいている
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●●森鴎外の小説『魚玄機』、芸妓で高い評価を受けた『薛濤』の詩。唐時代にここまで率直な詩を書く女性が存在した奇跡の詩
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蟬 薛濤 唐五代詞・宋詩 薛濤-141-13-#6   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2252




露滌音清遠,風吹故葉齊。 
夕立で樹々が洗われ、水滴がポクボタと落ちる、蝉の声がする中その音はすがすがしい風の中に次第に遠ざかりしなくなる。かぜがそよいで葉が擦れ合い音が蝉の鳴き声とだぶって聞こえてくる。
聲聲似相接,各在一枝棲。

この静けさの中に、鳴く声や葉擦れの声があり、相乗して聴こえてくる。でもそれぞれの声はそれぞれ一つの枝から発しているのであり、それぞれが一緒に暮らしているのでしょう。

露滌【ろじょう】音【いん】清しく遠ざかり,風吹 故葉 齊し。 
聲聲【せいせい】相接するが似き,各【おのお】の一枝の棲に在る。

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『蟬』 現代語訳と訳註
(本文)

露滌音清遠,風吹故葉齊。 
聲聲似相接,各在一枝棲。


(下し文)
露滌【ろじょう】音【いん】清しく遠ざかり,風吹 故葉 齊し。 
聲聲【せいせい】相接するが似き,各【おのお】の一枝の棲に在る。


(現代語訳)
夕立で樹々が洗われ、水滴がポクボタと落ちる、蝉の声がする中その音はすがすがしい風の中に次第に遠ざかりしなくなる。かぜがそよいで葉が擦れ合い音が蝉の鳴き声とだぶって聞こえてくる。
この静けさの中に、鳴く声や葉擦れの声があり、相乗して聴こえてくる。でもそれぞれの声はそれぞれ一つの枝から発しているのであり、それぞれが一緒に暮らしているのでしょう。


(訳注)
 蟬
宋玉『九辯』「燕翩翩其辭歸兮,蟬寂漠而無聲。」(そうなると燕はひらりひらりと飛んでいても結局は別れを告げて飛び去りのであり、蝉はもう静かに影もなくどこかに消えて声さえ聞こえないのだ。)
九辯 宋玉 <00-#2>Ⅱもっとも影響を与えた詩文 631 漢文委員会kanbuniinkai 紀頌之の漢詩ブログ2139
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露滌音清遠,風吹故葉齊。
夕立で樹々が洗われ、水滴がポクボタと落ちる、蝉の声がする中その音はすがすがしい風の中に次第に遠ざかりしなくなる。かぜがそよいで葉が擦れ合い音が蝉の鳴き声とだぶって聞こえてくる。
・露滌 夏の夕立で樹々が洗われ、水滴がポクボタと落ちるようなとき。滌は、洗う、すすぐ。
・音清 蝉の美しい鳴き声をいったもの。せせらぎの音でもなければ、水滴そのものの音でもない。
・遠 露の落ちる音が次第にしなくなる。蝉の声は静けさの意味である。
・風吹 風が吹いてもの意。
・故葉 繁った状態の葉で枯葉ではない。ベースに蝉の声があり、葉擦れの音が蝉の鳴き声とだぶって聞こえてくる。静けさを表現している。


聲聲似相接,各在一枝棲。
この静けさの中に、鳴く声や葉擦れの声があり、相乗して聴こえてくる。でもそれぞれの声はそれぞれ一つの枝から発しているのであり、それぞれが一緒に暮らしているのでしょう。
〇蝉は鳴き声を聞かせてくれる前、地中で長い間力を蓄える。蝉は不遇な男の声を象徴するものである。薛濤はここで葉擦れの音を不遇の男性客にたいして慰めの詩を作ったものであろう。この詩をもらった男性はきっと勇気づけられたことであろう。
この詩においても、「漢文大系15」P250における訳は全く理解力がないひどいものである。