薛濤 《酬人雨後玩竹》

薛濤 《酬人雨後玩竹》 (人の「雨後、竹を玩づ」に酬ゆ)
南の蛾眉の峯から春雨の温和な時候、春は、あらゆる植物が、皆盛んに繁って自己主張。旺盛な活力を誇っている中にあって、竹は、中身が空虚、空洞であるように、じっと自分だけ、自分の生き方を守っているのです。

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酬人雨後玩竹 薛濤 唐五代詞・宋詩 薛濤-149-21-#14   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2292




酬人雨後玩竹
(ある人が、「雨あがりに見た竹は、なかなかよいものだ」という題で詩を作り、わたしにくださったのに対して、お返しの詩。)
南天春雨時,那鑒雪霜姿。
南の蛾眉の峯から春雨の温和な時候になってきたころには、その竹が、冬のはげしい雪や霜にたえている強い姿は、誰にだって想像もできないのです。
眾類亦云茂,虛心寧自持。
春は、あらゆる植物が、みんな盛んに繁って自己主張します。その旺盛な活力を誇っているなかにあって、竹だけは、あの中身が空虚、空洞であるように、じっと自分だけ、自分の生き方を守っているのです。
多留晉賢醉,早伴舜妃悲。
昔、晋の竹林の賢者たちが、酔って清談をし、賦詩をのこしたのです。またもっと遠い、舜帝の皇后と妃が、帝の死を悲しんで泣いた涙の跡が、竹の斑紋となったのです。
晚歲君能賞,蒼蒼勁節奇。

年の暮れになって、はげしい寒さがおそってきたときに、ひとり相欒わらず、青々とした色を見せて強靭でおとろえず、節操をまもって雪霜のなかに強く生きぬくのです。

(人の「雨後、竹を玩づ」に酬ゆ)
南天 春雨の時、那んぞ雪霜の姿を 鑒【おも】わん。
衆類 亦【すべ】て云茂【うんも】するに、虚心能く自ら持す。
多く晋賢の酔を 留め、早に舜妃の悲しみに 伴ふ。
晩歳 君 能く質せよ、蒼蒼 勁節【けいせつ】の奇なるを。

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『酬人雨後玩竹』 現代語訳と訳註
(本文)

南天春雨時,那鑒雪霜姿。
眾類亦云茂,虛心寧自持。
多留晉賢醉,早伴舜妃悲。
晚歲君能賞,蒼蒼勁節奇。


(下し文)
(人の「雨後、竹を玩づ」に酬ゆ)
南天 春雨の時、那んぞ雪霜の姿を 鑒【おも】わん。
衆類 亦【すべ】て云茂【うんも】するに、虚心能く自ら持す。
多く晋賢の酔を 留め、早に舜妃の悲しみに 伴ふ。
晩歳 君 能く質せよ、蒼蒼 勁節【けいせつ】の奇なるを。


(現代語訳)
(ある人が、「雨あがりに見た竹は、なかなかよいものだ」という題で詩を作り、わたしにくださったのに対して、お返しの詩。)
南の蛾眉の峯から春雨の温和な時候になってきたころには、その竹が、冬のはげしい雪や霜にたえている強い姿は、誰にだって想像もできないのです。
春は、あらゆる植物が、みんな盛んに繁って自己主張します。その旺盛な活力を誇っているなかにあって、竹だけは、あの中身が空虚、空洞であるように、じっと自分だけ、自分の生き方を守っているのです。
昔、晋の竹林の賢者たちが、酔って清談をし、賦詩をのこしたのです。またもっと遠い、舜帝の皇后と妃が、帝の死を悲しんで泣いた涙の跡が、竹の斑紋となったのです。
年の暮れになって、はげしい寒さがおそってきたときに、ひとり相欒わらず、青々とした色を見せて強靭でおとろえず、節操をまもって雪霜のなかに強く生きぬくのです。


(訳注)
酬人雨後玩竹

(ある人が、「雨あがりに見た竹は、なかなかよいものだ」という題で詩を作り、わたしにくださったのに対して、お返しの詩。)
四川は、竹の名産地である。竿橋と称する大きな竹を編んで作った橋も、この地方の名物である。
望江楼公園には現在すでに七十余種の竹が集め植えられてあるという。中でも特殊なものは邦味の邦竹、蛾眉金頂の冷竹、江安の人面竹、鶏爪竹、長撃の花南竹、小花竹、成都西邦の琴線竹、鳳尾竹。そしてもっとも特色のあるものは綿竹県の綿竹で、米つぶのような実を結び、地に落ちて苗を生じる。杜甫『從韋二明府續處覓綿竹三數叢』「華軒藹藹他年到,綿竹亭亭出縣高。
江上舍前無此物,幸分蒼翠拂波濤。」
成都(1)浣花渓の草堂(5) 從韋二明府續處覓綿竹 杜甫 <356  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1739 杜甫詩 700- 534


南天春雨時,那鑒雪霜姿。
南の蛾眉の峯から春雨の温和な時候になってきたころには、その竹が、冬のはげしい雪や霜にたえている強い姿は、誰にだって想像もできないのです。
・鑒 鑑に同じ。見分ける。知る。
・雪霜姿 冬になって雪や霜に耐えているときのりりしい姿。


眾類亦云茂,虛心寧自持。
春は、あらゆる植物が、みんな盛んに繁って自己主張します。その旺盛な活力を誇っているなかにあって、竹だけは、あの中身が空虚、空洞であるように、じっと自分だけ、自分の生き方を守っているのです。
・衆類 あらゆる植物。
・亦 すべて。
・云茂 云は、物の多く盛んなさま。盛んに繁る。「荘子」 に 「万物云云」 の句がある。
・虚心(きょしん) 中心がむなしい。竹のなかに空洞があることをいう。


多留晉賢醉,早伴舜妃悲。
昔、晋の竹林の賢者たちが、酔って清談をし、賦詩をのこしたのです。またもっと遠い、舜帝の皇后と妃が、帝の死を悲しんで泣いた涙の跡が、竹の斑紋となったのです。
・晉賢醉 魏(三国時代)の時代末期から晋に、酒を飲んだり清談を行なったりと交遊した晋のとき、竹林のなかに遊び、酒を飲んで楽しんでいた七人のグループを、「竹林の七賢」といった。七人は、阮籍(げんせき)嵆康(けいこう)山濤(さんとう)劉伶(りゅうれい)阮咸(げんかん)向秀(しょうしゅう)王戎(おうじゅう)である。
・舜妃悲 ○湘妃 鼓宏舜の妻、蛾皇・女英の二人が舜王のあとを追いかけ湘水までゆき、舜の死んだことをきき、湘水に身をなげて死に、湘水の女神となった。それが湘妃であり、この湘妃が洞庭の月夜に瑟を鼓くという古伝説がある。○斑竹 斑紋のある竹、湘水の地方に産する。その竹は湘妃が涙を流したあとに生じたものであるとの伝説がある。○江 湘江をさす。「博物志」に見える。


晚歲君能賞,蒼蒼勁節奇。
年の暮れになって、はげしい寒さがおそってきたときに、ひとり相欒わらず、青々とした色を見せて強靭でおとろえず、節操をまもって雪霜のなかに強く生きぬくのです。
・晩蔵 歳暮、すなわち冬になったらの意。
・君 原詩の作者を指す。。
・蒼蒼(そうそう) あおあおと。
・勁節 勁は強敬な意。節があって強く、積雪などに折れない。節はふしであるが、同時に節操の節の意をふくみ、みさおがしっかりしていることにもかけている.
・奇 他とちがっていること。
篠竹000