薛濤 《憶荔枝》 
昔から聞いているが、荔枝の原産地は、五嶺山脈のむこうの象郡であると、ずっと中国の南方の荒れ果て未開の地である。かつてそれを食べたことがあるが、その赤い実のゆたかな肌あいは、忘れようとして忘れることができない。

2013年5月5日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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憶荔枝 薛濤 唐五代詞・宋詩 薛濤-156-28-#21   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2327


憶荔枝
(昔は遠く運ばれてきていた荔枝のことを考える。)
傳聞象郡隔南荒,絳實丰肌不可忘。
昔から聞いているが、荔枝の原産地は、五嶺山脈のむこうの象郡であると、ずっと中国の南方の荒れ果て未開の地である。かつてそれを食べたことがあるが、その赤い実のゆたかな肌あいは、忘れようとして忘れることができない。
近有青衣連楚水,素漿還得類瓊漿。

近ごろ聞くところによると、わが四川省の青衣江のほとりでも、それを産するようになり、南方の味が、楚水を通じて、この地方にも移されてきたが、しかし、その実のふくんでいる水分は、あの原産地の産品とくらべると、雲泥の相違だが、だがまあ、それでもみごとな原産地物の味を、思い出させてくれるぐらいの味はもっている。


(荔枝【れいし】を憶)
傳聞するは 象郡 南荒に隔つと,絳實【こうじつ】丰肌【ほうき】忘る可からず。
近ごろ青衣の楚水に連なる有り,素漿 還た瓊漿に類するを得ん。


『憶荔枝』 現代語訳と訳註
(本文)

傳聞象郡隔南荒,絳實丰肌不可忘。
近有青衣連楚水,素漿還得類瓊漿。


(下し文) (荔枝【れいし】を憶)
傳聞するは 象郡 南荒に隔つと,絳實【こうじつ】丰肌【ほうき】忘る可からず。
近ごろ青衣の楚水に連なる有り,素漿 還た瓊漿に類するを得ん。


(現代語訳)
(昔は遠く運ばれてきていた荔枝のことを考える。)
昔から聞いているが、荔枝の原産地は、五嶺山脈のむこうの象郡であると、ずっと中国の南方の荒れ果て未開の地である。かつてそれを食べたことがあるが、その赤い実のゆたかな肌あいは、忘れようとして忘れることができない。
近ごろ聞くところによると、わが四川省の青衣江のほとりでも、それを産するようになり、南方の味が、楚水を通じて、この地方にも移されてきたが、しかし、その実のふくんでいる水分は、あの原産地の産品とくらべると、雲泥の相違だが、だがまあ、それでもみごとな原産地物の味を、思い出させてくれるぐらいの味はもっている。


(訳注)
憶荔枝

(昔は遠く運ばれてきていた荔枝のことを考える。)
ライチ(広東語 lai6ji1)はムクロジ科の常緑高木の果樹。 レイシ(荔枝、茘枝、学名:Litchi chinensis)とも呼ばれる。1属1種。 中国の嶺南地方原産で、熱帯・亜熱帯地方で栽培される。中国語ではリーチー(拼音: Lizhī 、)で、属名もこれに由来する。「ライチ(ー)」は、広東語での茘枝の読みを片仮名表記したものである。英語のlycheeは、広東語風にライチーとも、北京語風にリーチーとも発音する。

杜甫《病橘》五言古詩 成都(5部)浣花渓の草堂(5-(25-1))
群橘少生意,雖多亦奚為?惜哉結實小,酸澀如棠梨。
剖之盡蠹蟲,采掇爽所宜。紛然不適口,豈只存其皮。

蕭蕭半死葉,未忍別故枝。玄冬霜雪積,況乃回風吹。』
嘗聞蓬萊殿,羅列瀟湘姿。此物歲不稔,玉食失光輝。

寇盜尚憑陵,當君減膳時。汝病是天意,吾恐罪有司。
憶昔南海使,奔騰獻荔枝。百馬死山谷,到今耆舊悲。』
病橘五言古詩 成都5-(25-1) 杜甫 <474>  漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2340 杜甫詩1000-474-662/1500


傳聞象郡隔南荒,絳實丰肌不可忘。
昔から聞いているが、荔枝の原産地は、五嶺山脈のむこうの象郡であると、ずっと中国の南方の荒れ果て未開の地である。かつてそれを食べたことがあるが、その赤い実のゆたかな肌あいは、忘れようとして忘れることができない。
・象郡 今の広東省の南方から広西省の歪、安南に至る地域。
・南荒(なんこう) 中国の南方の地域。荒はアレチであり、また中国の外周の地。
・絳實(こうじつ) 赤い実。赤く熟した荔枝の実。
・丰肌 殻の中の実の乳白色のゆたかな肌。


近有青衣連楚水,素漿還得類瓊漿。
近ごろ聞くところによると、わが四川省の青衣江のほとりでも、それを産するようになり、南方の味が、楚水を通じて、この地方にも移されてきたが、しかし、その実のふくんでいる水分は、あの原産地の産品とくらべると、雲泥の相違だが、だがまあ、それでもみごとな原産地物の味を、思い出させてくれるぐらいの味はもっている。
・青衣 靑衣水という河の名。四川省の楽山県で長江に注ぐ河。この附近にも誘枝を産するようになった。(下の地図B-2,B-3の広範囲の一帯)
・楚水 湘水のこと。この川をさかのぼり永州、桂州が運河により繋がっていて、嶺南地方象郡と川でつながって居ることを云う。杜甫の「岳陽楼」の詩に、「呉楚東南に折け」とあるが、その楚地方の河。広東広西方面へつづく河がみえる。
・素漿 ふつうの水。四川産の荔枝がふくんでいる水分。
・瓊漿 瓊は美玉。りつはな珍重すべきもの。南方産の荔枝がふくんでいる水分を四川産のものにくらべて、瓊玉のようだといったわけ.

成都南部01
・荔枝 中国南方の塵。果実は食用となる。揚貴妃がこのんで、はや馬で取り寄せたことがある。易支・離枝・丹歳ともいう。珍奇な果実である。後に四川省の楽山県の辺りにも産するようになったが、味は劣るということのようだ。
 

唐・杜甫『解悶』
一辭故國十經秋,毎見秋瓜憶故丘。
今日南湖采薇蕨,何人爲覓鄭瓜州。

悶を解く 
一たび 故國を辭して十たび秋を經へ,秋瓜を見る毎ごとに故丘を憶おもふ。
今日 南湖に薇蕨を采とる,何人か 爲ために覓めん鄭瓜州。

先帝貴妃今寂寞,荔枝還復入長安。
炎方每續朱櫻獻,玉座應悲白露團。