薛濤 《秋泉》 
琴の音のような音を聞けば、毎夜毎夜いつまでもきこえてくるので、あの男のことを思う心がつづくのです。さびしさと恋しさで、夜半をすぎても、まだ眠りにつくことができないのです。

2013年5月6日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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秋泉 薛濤 唐五代詞・宋詩 薛濤-157-29-#22   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2332


秋泉
(秋の夜の泉水の水音。)
泠色初澄一帶煙,幽聲遙瀉十絲弦。
去年の秋別れた男が秋も仲秋を過ぎて初氷の季節になってもやってこない。冷たい夜が色濃くなると、今夜もこの部屋に至る辺りは香の霞に包まれるのです。待ち侘びて横になっていると静かな中にはるか遠くの水泉たまりにたくさんの水琴の音色がきこえてくるのです。
長來枕上牽情思,不使愁人半夜眠。
琴の音のような音を聞けば、毎夜毎夜いつまでもきこえてくるので、あの男のことを思う心がつづくのです。さびしさと恋しさで、夜半をすぎても、まだ眠りにつくことができないのです。

冷色 初めて澄み一帯の煙、幽聾 遙かに瀉ぐ十絲の弦。
長へに 枕上に乗って 情思を牽き、愁人をして 半夜 眠らしめず。


『秋泉』 現代語訳と訳註
(本文)
秋泉
泠色初澄一帶煙,幽聲遙瀉十絲弦。
長來枕上牽情思,不使愁人半夜眠。


(下し文)
冷色 初めて澄み一帯の煙、幽聾 遙かに瀉ぐ十絲の弦。
長へに 枕上に乗って 情思を牽き、愁人をして 半夜 眠らしめず。

(現代語訳)
(秋の夜の泉水の水音。)
去年の秋別れた男が秋も仲秋を過ぎて初氷の季節になってもやってこない。冷たい夜が色濃くなると、今夜もこの部屋に至る辺りは香の霞に包まれるのです。待ち侘びて横になっていると静かな中にはるか遠くの水泉たまりにたくさんの水琴の音色がきこえてくるのです。
琴の音のような音を聞けば、毎夜毎夜いつまでもきこえてくるので、あの男のことを思う心がつづくのです。さびしさと恋しさで、夜半をすぎても、まだ眠りにつくことができないのです。


(訳注)
秋泉
(秋の夜の泉水の水音。)
・秋泉(しゅぅせん) 秋の夜の澄みきったしじまの中にひびく泉水の水音を詠じたもの。
晩秋の月はじめ今夜こそ来てくれるとの願いを以て部屋の準備をするが、待ち人来たらず。横になると水琴窟のような音が聞こえてきて眠れない。そんな女を詠う。


泠色初澄一帶煙,幽聲遙瀉十絲弦。
去年の秋別れた男が秋も仲秋を過ぎて初氷の季節になってもやってこない。冷たい夜が色濃くなると、今夜もこの部屋に至る辺りは香の霞に包まれるのです。待ち侘びて横になっていると静かな中にはるか遠くの水泉たまりにたくさんの水琴の音色がきこえてくるのです。
冷色 冷たい色をしている9月初めのころをさす。そのことは自分の夢、希望を満たすことであり、逢える希望の月をしめしている。
初澄 初々しくてわずかなくもりもなくよく澄んでいる。初々しくて心に迷いがなくなる。去年の秋別れた男がまた来た秋(初)にもやってこない。寒露を示す語である。
一帶煙 一般的にたなびく水蒸気、夕もやをいうが、ここは女の部屋に香を焚いてしっかりいきわたっていること。この頃の花街は猛烈に香を焚いていたことと書かれている。催眠効果もあったようだ。。
幽聾(ゆうせい) かすかな音。
遙瀉 水泉たまり
十絲弦 十本以上の弦をつけた琴を弾くような細やかな美しい音。わき水の音の形容であるから、水琴窟のような状況、それも一か所ではなくポチャ、ポチャが十種類以上も違う音色になることをいう。つまり、待ち侘びて夜中の間中この音を聞いている。


長來枕上牽情思,不使愁人半夜眠。
琴の音のような音を聞けば、毎夜毎夜いつまでもきこえてくるので、あの男のことを思う心がつづくのです。さびしさと恋しさで、夜半をすぎても、まだ眠りにつくことができないのです。
・牽情恩 愛する男への思いを起こさせる。
・愁人(しゅうじん) さびしい人。この街の女。男といっしょにいないからさびしいのであるが、中国人は、自分がさびしいとは言わない。相手がきっとさびしいだろう、とか、誰かがさびしいことだろう、というここでも、薛等のことを謂っているのではない。ただ、こうした詩を薛濤䇳に書いて、最近来ないお客に贈ったのである。
・半夜 ①まよなか。夜半。また、子(ね)の刻から丑(うし)の刻まで。② 1夜を2分したその半分。③昼夜に分けて客をとった遊女。


「初」から導かれる月について
泠色 冷は9月 初は8/3か,9/3である。澄むがあるので8月初めではなく、9/3と考える。9月は別れの月でもある。
三日月01

は三夜五夜と日々明るくなり、十五夜には満月になる、四夜五夜と蟾蜍に喰われ兔もいなくなり、二十日夜になると欠け月になる。

陰暦十六夜の月。満月の翌晩は月の出がやや遅くなるのを、月がためらっていると見立てたもの。《季 秋》
陰暦二〇日の月。特に陰暦八月についていう。更け待ち月。[季]秋。


・月 雁声が聞こえる時の「月」とは、秋の月のことになる。月について、今夜は十二夜、満月には帰ってきてくれるという希望を持った意味となる。ちなみに十三夜は初恋。二十日は名残月、別れの月。閨情詩はそれぞれ別の意味を含んでいるので併せて考えると味わいが深くなる。)

・殘月 十五夜までにはなく陰暦十六日以降、一般的には二十日頃の夜明けに残る月を云う。このような月を詩に詠うは芸妓との別れる場合、人目を忍んで逢瀬を重ねた男女の別れを云う。

・初月 初月(はつづき、しょげつ). 三日月。陰暦3日(ごろ)の、月で最初に見え始める月。特に、陰暦8月の初月。唐朝の中興も未だ力微に、群盗の勢いなお盛んなることを暗示する。杜甫は同谷を出発したのは11月の終わりで成都に着いたのは12月20日を過ぎているはずである。したがってこの詩の「初月」はこの夜、昇った月ではない。秦州における杜甫の五言律詩『初月』「光細弦欲上,影斜輪未安。微升古塞外,已隱暮雲端。河漢不oborotsuki02h改色,關山空自寒。庭前有白露,暗滿菊花團。」秦州抒情詩(8)  初月 杜甫 <293>に“「八月三日の月」初月、三日月は、その光が細くこの日その弦形の尖端をうわむきにしている、しかしその影の部分は半円形の底辺のあたりはおちつかぬさまだ。三日月の影の部分が広がって満月になるエネルギー、そのことは自分の夢、希望を満たすことであり、それが自分とその家族の安寧、安定、おちつきにつながる輪、満月の満足までにはなっていない。”この『初月』に基づいている。

・立秋(りっしゅう)は、二十四節気の第13。七月節(旧暦6月後半 - 7月前半)。初めて秋の気配が現れてくる頃とされる。このころは涼しい、清という季語である。
処暑(しょしょ)は、二十四節気の第14。七月中(通常旧暦7月内)。
白露(はくろ)は、二十四節気の第15。八月節(旧暦7月後半 - 8月前半)。大気が冷えてきて、露ができ始めるころ。『暦便覧』では、「陰気やうやく重りて、露にごりて白色となれば也」と説明している。
秋分(しゅうぶん)は、二十四節気の第16。八月中(旧暦8月内)。
寒露(かんろ)は、二十四節気の第17。九月節(旧暦8月後半 - 9月前半)。露が冷気によって凍りそうになるころ。雁などの冬鳥が渡ってきて、菊が咲き始め、蟋蟀(こおろぎ)などが鳴き止むころ。
霜降(そうこう)は、二十四節気の第18。九月中(通常旧暦9月内)。露が冷気によって霜となって降り始めるころ。『暦便覧』では「露が陰気に結ばれて霜となりて降るゆゑ也」と説明している。
楓や蔦が紅葉し始めるころ。この日から立冬までの間に吹く寒い北風を木枯らしと呼ぶ。
立冬(りっとう)は、二十四節気の第19。十月節(旧暦9月後半 - 10月前半)。初めて冬の気配が現われてくる日。『暦便覧』では、「冬の気立ち始めて、いよいよ冷ゆれば也」と説明している。
秋分と冬至の中間で、昼夜の長短を基準に季節を区分する場合、この日から立春の前日までが冬となる