薛濤 《江邊》 唐五代詞・宋詩

秋風が吹きはじめたかと思うと、北の方から、雁が列をなして飛んでくると。それは人の世のこのわが身も、心精神と肉体と、ともにその自然のおとろえに應ずるかのように、女はおとろえをみせてくるのを感じるのです。

2013年5月9日 同じ日の紀頌之5つのブログ
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25  江邊 薛濤 唐五代詞・宋詩 薛濤-160-32-#25   漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ2347


江邊
(錦江の辺で待っている女を詠う。)
西風忽報雁雙雙,人世心形兩自降。
秋風が吹きはじめたかと思うと、北の方から、雁が列をなして飛んでくると。それは人の世のこのわが身も、心精神と肉体と、ともにその自然のおとろえに應ずるかのように、女はおとろえをみせてくるのを感じるのです。
不為魚腸有真訣,誰能夜夜立清江。

女が毎夜のように、江邊に立っているのは、もしかしたら帰ってこない男から魚の腹にしのばせた便りがないかと、心待ちに、待ちつづけているからなのです。
嘉陵江111111(江邊)
西風忽ち報じ 雁 雙雙、人世 心世 兩つながら自ら降る。
魚腸に真訣あるが爲ならずんは、誰か能く 夢夢 清江に立たん。


『江邊』 現代語訳と訳註
(本文)
江邊
西風忽報雁雙雙,人世心形兩自降。
不為魚腸有真訣,誰能夜夜立清江。


(下し文)
西風忽ち報じ 雁 雙雙、人世 心世 兩つながら自ら降る。
魚腸に真訣あるが爲ならずんは、誰か能く 夢夢 清江に立たん。


(現代語訳)
(錦江の辺で待っている女を詠う。)
秋風が吹きはじめたかと思うと、北の方から、雁が列をなして飛んでくると。それは人の世のこのわが身も、心精神と肉体と、ともにその自然のおとろえに應ずるかのように、女はおとろえをみせてくるのを感じるのです
女が毎夜のように、江邊に立っているのは、もしかしたら帰ってこない男から魚の腹にしのばせた便りがないかと、心待ちに、待ちつづけているからなのです。


(訳注)
江邊

(錦江の辺で待っている女を詠う。)
有る秋に客に対して詩を作って、それを薛濤䇳に書き示したものであろう。薛濤の実体験のものではない。魚玄機にはもっと過激な引用で同様の詩がある。ただ薛濤は自己の知識をひけらかして無いだけかもしれないという点を考慮したとしても、薛濤と魚玄機の詩の力量、学力の比較は魚玄機が数段上のようである。


西風忽報雁雙雙,人世心形兩自降。
oborotsuki04秋風が吹きはじめたかと思うと、北の方から、雁が列をなして飛んでくると。それは人の世のこのわが身も、心精神と肉体と、ともにその自然のおとろえに應ずるかのように、女はおとろえをみせてくるのを感じるのです。
・西風 秋風。
・忽報 吹きそめたかと思うと。
雁雙雙 雁は秋に入ると冷たい北方から飛んでくる。それが列をなして飛んでくるの意。雁の足には手紙が付けられて飛んでくるという意味を含む。その場合の雁は雁書。雁足 蘇武の故事。妻からの手紙をいう。蘇武が漢の使となって匈奴に捕えられていたとき、漢より別の使者がいって匈奴をあざむいていうのに、天子が上林中において弓を射て雁を得たところ、雁の足に帛書が繋いであった「蘇武は大沢の中にある」により蘇武の所在がわかり、救出できた。
・心形 精神と肉体。
・降 おとろえること。


不為魚腸有真訣,誰能夜夜立清江。
女が毎夜のように、江邊に立っているのは、もしかしたら帰ってこない男から魚の腹にしのばせた便りがないかと、心待ちに、待ちつづけているからなのです。
・魚腸/雁飛魚在/鴻魚尺素 鯉素 (故事). 手紙のこと。「鯉魚尺素」の略。鯉の腹の中から白絹(=素)に書かれた手紙が出てきた故事による。 「古楽府」飲馬長城窟行の「客従遠方来、遺我双鯉魚、呼児烹鯉魚、中有尺素書。
手紙のこと。「鯉魚尺素」の略。鯉の腹の中から白絹(=素)に書かれた手紙が出てきた故事による。「古楽府」『飲馬長城窟行』の「客従遠方来、遺我双鯉魚、呼児烹鯉魚、中有尺素書。(客遠方より来たり、我に双鯉魚を遺る、児を呼んで鯉魚を烹んとすれば、中に尺素の書有り)に由来する。
・眞訣 訣は、奥の手。奥義。
・夢夢 夜ごとの夢に。
・清江 固有名詞ではない。錦江の河辺の意味。



李白『烏夜啼』
黄雲城辺烏欲棲、帰飛唖亜枝上啼。
機中織錦秦川女、碧紗如煙隔窓語。
停梭悵然憶遠人、独宿弧房涙如雨。
「機中織錦秦川女」織機(はた)を前に 錦を織っている長安の女。・機中錦 錦を織る。夫を思い慕ったことばを回文で織り込む。 ・機中:機(はた)で織り込む。 ・機:はた。はたおる。 ・織錦:錦を織る。夫を思い慕ったことばを回文で織り込む。 ・秦川女:蘇蕙(蘇若蘭)のこと。この句は『晋書・列伝第六十六・列女・竇滔妻蘇氏』砂漠方面に流された夫を思う妻の典型を引用。秦川は長安地方を指す。夫が秦川刺史であったことによるための言い方。回文の錦を織った妻のことで竇滔とうとうの妻の蘇蕙(蘇若蘭)のこと。回文:順序を逆に読めば、別の意味になる文のこと。

『早秋』魚玄機-34 早秋
嫩菊含新彩,遠山閑夕煙。
涼風驚綠樹,清韻入朱弦。
思婦機中錦,征人塞外天。
雁飛魚在水,書信若為傳。

『盤中詩』 蘇伯玉妻
山樹高,鳥鳴悲。泉水深,鯉魚肥。
空倉雀,常苦飢。吏人婦,會夫稀。
出門望,見白衣。謂當是,而更非。
還入門,中心悲。
#2
北上堂,西入階。急機絞,杼聲催。
長嘆息,當語誰。
君有行,妾念之。出有日,還無期。
結巾帶,長相思。君忘妾,未知之。
妾忘君,罪當治。妾有行,宜知之。
#3
黃者金,白者玉。高者山,下者谷。
姓者蘇,字伯玉。人才多,智謀足。
家居長安身在蜀,何惜馬蹄歸不數。
羊肉千斤酒百斛,令君馬肥麥與粟。
今時人,智不足。與其書,不能讀。
當從中央周四角。

『盤中詩』「山樹高,鳥鳴悲。泉水深,鯉魚肥。」
夫の影を寫す山の樹木はさびしく高くしているのです。鳥鳴いて悲しみをしめす。私の思いの泉の水は深くして、文が入っているはずの鯉魚は肥え太っていくばかりです。
・山樹高,鳥鳴悲 樹は夫を示す。『詩経、小雅、伐木』
・泉水 女性を示す。『詩経、国風、泉水』「毖彼泉水、亦流于淇。」(毖たる彼の泉水、亦淇に流る。)
・鯉魚:りぎょ  表面は実物、裏面はてがみのこと、漢の蘇武が雁の足につけたてがみを天子が射て得たというはなしがある。また古人は絹に書信をかきそれを鯉魚の形状に結んだという。また、魚は男性の象徴でもある。盤中詩 蘇伯玉妻 漢詩<141-#1>古詩源 巻二 女性詩578 漢文委員会kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ1551